ORの手法AHP基礎2
(ExcelによるAHP)
社会情報特講Ⅲ
先週のベスト感想(講義で分った事)
• 複雑な選択をする問題を3レベルに階層化すること で、根拠を持ちハッキリと選択できることが分かった。 • 数学が苦手で不安でしたが、全く問題なくAHPの基 本が分かりました。 • 基準や重要視するものが異なるときにAHPを用い る。そうすることで個人の裁量を反映しつつも定量 的な解が求められる。 • AHPという言葉は始めて聞いたのですが、階層化 意思決定法だということとその方法もわかりました。 説明だけ読んだ時は難しかったですが具体例を見先週のベスト感想(講義難しかった事)
• 数値が多く出てくるのでどの数値が何に対応してい るのか見失いやすかった。 • 計算はパソコンがしてくれるので大丈夫と思うが 1/3乗に少しとまどった。 • 専門用語がいくつかでてきたこと。 • スライドが若干見ずらくて教科書を右往左往した。 • 初めての言葉(幾何平均等)が多いのに、スライドの 変化が少々早く授業に付いていくのがやっとです。 • ゆっくり考えればできるがスラスラやるには頭がこ んがり何の計算をしているのかわからなくなった。先週のベスト感想(課題難しかった事)
• 項目が大変多いのでミスがないか不安で チェックが大変でした。 • 用紙は両面ではなく片面2枚とかにしてもらえ ないですかね。 • 四捨五入をする位が小数第3位なのか小数第 4位なのかわからなかった。先週のベスト感想(その他何でも
1)
• 本当に算数レベルの四則演算でORを実践できると 知りこれからの講義が楽しみになった。 • 不安を抱き講義に望んだが特に難しいと感じること なく今回は終えられた。「自分でも出来る」という気 持ちになり少し安心した。例題も身近で面白かった。 • もっと演習があった方が嬉しい。講義では時間がな いと思うので、紹介する程度でいいので知りたい。 • とても分かりやすく理解深めることができました。課 題で出来るだけページをまたがず取り組めるように して頂けたら幸いです。 • CoffeeBreakが短かかったので次回楽しみです。先週のベスト感想(その他何でも
2)
• 解説がとても分かりやすかったのでOR初学者であ る私でもAHPについて理解できた。CoffeeBreakが 短かかったのが悲しい。 • 総合評価値の計算はテスト等で電卓必須ですか? • manabiにパワーポイントスライドを上げてほしい。 • AHPはいろんなことに使えるとのことでしたが、実 際にどんな場面でどのように活用されているのか 気になりました。 • 講義が短くて良かったです。算術平均と幾何平均
【算術平均とは】 • x1からxnのn個データの算術平均xAは 【幾何平均とは】 • x1からxnのn個データの幾何平均xGは • 使い分けは平均値が必要な場合基本的に算術 平均で、比データの場合に比の平均は幾何平 均を使う。 n n Gx
x
x
1
・・・
n
x
x
x
A
(
1
・・・
n)
/
•
対象が大きく変動する場合は幾何平均で
平均をとる方が実感覚と合致する。
• 例えば数値群(10,1,1000,1,10)の算術
平均をとると
204.4で、外れ値1000に引張
られる。
• 幾何平均は10となり、相加平均の204.4
より生データの1や
10が大半を占める状況
の実感覚に合う。
幾何平均を使う具体例
• マイクロソフト社のExcel「表計算ソフト」の代表的 なツールである。 • データの集計や分析を行う非常に身近なソフト ウェアである。 • AHPは手計算でも計算可能であるが計算ミスを しがちである。 • Excelを利用することにより、比較的簡単に計算 が可能となる。 • Excelを用いてAHP計算の方法を示すので、 AHPを利用するときの参考にしてほしい。
Excelを使ってAHPの解を求める
例題
8.1の再掲
• 美人の祥子さんにはボーイフレンドが、太一,務, 隆文の3人いる。 • そろそろ結婚しようと思うが3人はそれぞれ長所 と短所がある。 • 彼女は容姿,人柄,所得の3つに着目する。 • 彼女は誰を結婚相手として選ぶとよいか。 • この問題の難しさは,評価基準が勘やフィーリン グなどの曖昧な点を含むことである。祥子の評価基準の一対比較
容姿 人柄 所得
容姿
1
7
5
人柄
1/7
1
1/3
所得
1/5
3
1
表
8.1 祥子の評価項の一対比較表
表
8.2 祥子の評価基準の幾何平均と重要度
幾何平均(手計算) • 容姿 (1 × 7 × 5 )1/3 = 3.27 • 人柄 (1/7 × 1 × 1/3)1/3 = 0.36 • 所得 (1/5 × 3 × 1)1/3 = 0.84 • 幾何平均の総和 3.27+0.36+0.84=4.48 各項目の重要度(手計算) • 容姿 3.27 / 4.48 = 0.73 • 人柄 0.36 / 4.48 = 0.08 • 所得 0.84 / 4.48 = 0.19
図
8.2 Excelによる評価基準の
幾何平均と重要度
A B C D E F 1 評価基準 容姿 人柄 所得 幾何平均 重要度 2 容姿 1 7 5 3.271066 0.730645 3 人柄 0.142857 1 0.333333 0.362460 0.0809612 4 所得 0.2Step1
3 1 0.843433 0.188364 Step2 Step3 Step5 Step6(Step1) 表8.1の一対比較データをセルに入力。 ( B2=1, C2=3,D2=5, B3=1/7,C3=1,D3=1/3, B4=1/5,C4=3,D4=1 )
(Step2) E2に=PRODUCT(B2:D2)^(1/3)」を入力
し、容姿の幾何平均を計算。
– PRODUCT(B2:D2) はセルB2~D2の積 (B2×C2×D2)を計算する。 – 3乗根は^(1/3)で計算し (1×7×5)^(1/3)となる。(Step3) E2のセルを,E3~E4に相対参照で複写
し、「人柄」「所得」の幾何平均も計算する。
図
8.2の作成1
(Step4) E5=SUM(E2:E4)を入力し、幾何平均E2~ E4の和を計算する。 ü SUM(E2:E4)はE2~E4の和(E2+E3+E4)を計算。 (Step5) F2=E2/$E$5」を入力し,「容姿」の幾何平 均E2を幾何平均和E5で割り重要度を求める。 ü $E$5はセルE5を指し$を行と列番号の前に付け、 番地固定の絶対参照となり複写で位置がずれない。 (Step6) 「容姿」の重要度F2をF3~F4に複写し、「人 柄」「所得」の重要度を求める。
図
8.2の作成2
絶対参照と相対参照
【絶対参照には「$」が付く】 • 「A1」「B2」など普通にセル番地を入力した場合 全て「相対参照」である。 • これを「絶対参照」に変えるには「$A$1」「$B$2」 のように「$」記号を列記号と行番号に付ける。 • セル番地に$を付けるにはキー入力の他「F4」を 押す。「A1」クリックし後、「F4」を押すと「$A$1」 「A$1」「$A1」「A1」と表記が変わる。 • 「$A$1」のような「絶対参照」はコピーしても「A1」 が変化しない「書き換え禁止」の厳しい掟で守る。絶対参照の使用例
• 商品の2割引価格を算出するた めD2=C2*B1と数式を入れる。 • C2に商品Aの価格、B1に値引 率80%を入れる。 • 両セルも鍵をかけず相対参照。 • この式を商品Dまでコピーする と、相対参照なので正常でない0 が並ぶ。 • 「B1」に鍵かけ絶対参照 E2=C2*$B$1にしコピーすると商 A B C D E 1 0.8 2 A 300 240 240 3 B 200 0 160 4 C 250 0 200 5 D 600 0 480 =C2*B1 =C2*$B$1表
8.4「容姿」の一対比較と重要度
太一 務
隆文 幾何平均 重要度
太一
1 5 3 2.47
0.66
務
1/5 1 1 0.58 0.16
隆文
1/3 1 1 0.69
0.18
幾何平均の総和
3.74
• 幾何平均の総和から,「容姿」に関する各人の
重要度を「
=幾何平均/総和」で求める。
• 太一の場合、重要度(太一)=2.47/3.74=0.66、
となり同様に、務は
0.16、隆文は0.18となる。
図
8.5 Excelによる
容姿の幾何平均と重要度
A B C D E F 1 候補者 太一 務 隆文 幾何平均 重要度 2 太一 1 5 3 2.46621 0.658644 3 務 1/5 1 1 0.564804 0.156182 4 隆文 1/3 1 1 0.693361 0.185174 幾何平均Step1
Step2 Step3 Step5 Step6(Step1) 表8.4の一対比較データをセルに入力。 ( B2=1, C2=5, D2=3, B3=1/5, C3=1, D3=1, B4=1/3,C4=1, D4=1 ) (Step2) E2に=PRODUCT(B2:D2)^(1/3)」を入力し、 太一の幾何平均を計算する。 ü PRODUCT(B2:D2) はセルB2~D2の積 (B2×C2×D2)を計算する。 ü 3乗根は^(1/3)で計算し (1×5×3)^(1/3)となる。 (Step3) E2のセルを,E3~E4に相対参照で複写し、 「務」「隆文」の幾何平均も計算する。
図
8.5の作成1
(Step4) E5=SUM(E2:E4)を入力し、幾何平均E2~ E4の和を計算する。 ü SUM(E2:E4)はE2~E4の和(E2+E3+E4)を計算。 (Step5) F2=E2/$E$5」を入力し,「容姿」の幾何平 均E2を幾何平均和E5で割り重要度を求める。 ü $E$5はセルE5を指し$を行と列番号の前に付け、 番地固定の絶対参照となり複写で位置がずれない。 (Step6) 「太一」の重要度F2をF3~F4に複写し、「務」 「隆文」の重要度を求める。
図
8.5の作成2
表
8.5「人柄」の一対比較と重要度
太一 務 隆文 幾何平均 重要度
太一
1 1/7 1/3 0.36
0.08
務
7 1 5
3.27
0.73
隆文
3 1/5 1
0.84
0.19
幾何平均の総和
4.48
• 幾何平均の総和から,「人柄」に関する各人
の重要度を「
=幾何平均/総和」で求める。
• 太一は0.36/4.48=0.08、務は0.73、隆文は
0.19となる。
Step1
Step2 Step3 Step5 Step6図
8.6 Excelによる
人柄の幾何平均と重要度
A B C D E F 1 候補者 太一 務 隆文 幾何平均 重要度 2 太一 1 0.14286 0.33333 0.36246 0.08096 3 務 7 1 5 3.27107 0.73065 4 隆文 3 0.2 1 0.84343 0.18839 幾何平均(Step1) 表8.5の一対比較データをセルに入力。 ( B2=1, C2=1/7, D2=1/3, B3=7, C3=1, D3=5, B4=3, C4=1/5, D4=1 ) (Step2) E2に=PRODUCT(B2:D2)^(1/3)」を入力し、 太一の幾何平均を計算する。 ü PRODUCT(B2:D2) はセルB2~D2の積 (B2×C2×D2)を計算する。 ü 3乗根は^(1/3)で計算し (1×1/7×1/3)^(1/3)となる。 (Step3) E2のセルを,E3~E4に相対参照で複写し、 「務」「隆文」の幾何平均も計算する。
図
8.6の作成1
(Step4) E5=SUM(E2:E4)を入力し、幾何平均E2~ E4の和を計算する。 ü SUM(E2:E4)はE2~E4の和(E2+E3+E4)を計算。 (Step5) F2=E2/$E$5」を入力し,「容姿」の幾何平 均E2を幾何平均和E5で割り重要度を求める。 ü $E$5はセルE5を指し$を行と列番号の前に付け、 番地固定の絶対参照となり複写で位置がずれない。 (Step6) 「太一」の重要度F2をF3~F4に複写し、「務」 「隆文」の重要度を求める。
図
8.6の作成2
表
8.6 「所得」の一対比較表と重要度
太一 務 隆文 幾何平均 重要度
太一
1 3 1/3 1.0 0.26
務
1/3 1 1/5 0.41 0.10
隆文
3 5 1 2.47
0.64
幾何平均の総和
3.87
• 幾何平均の総和から,「所得」に関する各人
の重要度を「
=幾何平均/総和」で求める。
• 太一は1.0/3.87=0.26、務は0.10、隆文は
0.64となる。
Step2 Step3 Step5 Step6
Step1
図
8.7 Excelによる
所得の幾何平均と重要度
A B C D E F 1 候補者 太一 務 隆文 幾何平均 重要度 2 太一 1 3 0.33333 1 0.25828 3 務 0.33333 1 0.2 0.40548 0.10473 4 隆文 3 5 1 2.46621 0.63699 幾何平均(Step1) 表8.6の一対比較データをセルに入力。 ( B2=1, C2=3, D2=1/3, B3=1/3, C3=1, D3=1/5, B4=3, C4=5, D4=1 ) (Step2) E2に=PRODUCT(B2:D2)^(1/3)」を入力し、 太一の幾何平均を計算する。 ü PRODUCT(B2:D2) はセルB2~D2の積 (B2×C2×D2)を計算する。 ü 3乗根は^(1/3)で計算し (1×3×1/3)^(1/3)となる。 (Step3) E2のセルを,E3~E4に相対参照で複写し、 「務」「隆文」の幾何平均も計算する。
図
8.7の作成1
(Step4) E5=SUM(E2:E4)を入力し、幾何平均E2~ E4の和を計算する。 ü SUM(E2:E4)はE2~E4の和(E2+E3+E4)を計算。 (Step5) F2=E2/$E$5」を入力し,「容姿」の幾何平 均E2を幾何平均和E5で割り重要度を求める。 ü $E$5はセルE5を指し$を行と列番号の前に付け、 番地固定の絶対参照となり複写で位置がずれない。 (Step6) 「太一」の重要度F2をF3~F4に複写し、「務」 「隆文」の重要度を求める。
図
8.7の作成2
表
8.7 例題8.1の総合評価
【総合評価の計算】
「太一」0.73×0.66+0.08×0.08+0.19×0.26=0.54 「務」 0.73×0.16+0.08×0.73+0.19×0.10=0.19 「隆文」0.73×0.18+0.08×0.19+0.19×0.64=0.27 容姿 人柄 所得 総合評価 評価基準 0.73 0.08 0.19 太一 0.66 0.08 0.26 0.54 務 0.16 0.73 0.10 0.19 隆文 0.18 0.19 0.64 0.27図
8.8 Excelによる候補者の総合評価
A B C D E 1 容姿 人柄 所得 総合評価 2 評価基準 0.73065 0.08096 0.18839 3 太一 0.65864 0.08096 0.25829 0.53645 4 務 0.15618 0.73065 0.10473 0.19300 Step2Step1
(Step1) 表8.2の評価基準、表8.4の容姿、表8.5の 人柄、表8.6の所得の重要度データをセル入力。 ( B2=0.73065, C2=0.08096, D2=0.18839, B3=0.65864, C3=0.08096, D3=0.25829, B4=0.15618, C4=0.73065, D4=0.10473, B5=0.18517, C5=0.18839, D5=0.63699 )
(Step2) E2に=SUMPRODUCT(B$2:D$2,B3:D3)
を入力し、太一の総合評価を計算する。 ü SUMPRODUCT(B2:D2,B3:D3) はセル(B2,C2,D2) とセル(B3,C3,D3)の内積(積和)を計算する。 (Step3) E2のセルを,E3~E4に相対参照で複写し、 「務」「隆文」の総合評価も計算する。
図
8.8の作成
• 「太一」の総合評価の計算は、E2に
=SUMPRODUCT(B$2:D$2,B3:D3)
• 評価基準は他の2人にも共通なので、位置ズ
レがおきないように
$を用い、B$2:D$2とする。
• 複写すると他の2人の総合評価の式は次のよ
うになる。
•務: =SUMPRODUCT(B$2:D$2,B4:D4)
•隆文:=SUMPRODUCT(B$2:D$2,B5:D5)
図
8.8の作成(補足)
[1]木下栄蔵「よくわかるAHP―孫子の兵法の戦略モデル」 オーム社 (2006) [2]後藤正幸「階層型意思決定モデル(AHP)と統計学的考 察」武蔵工業大学環境情報学部紀要,第五号,研究論 文3-4, pp. 77-88, 2004. [3]酒井浩二・山本嘉一郎「Excelで今すぐ実践!感性的評 価―AHPとその実践例」ナカニシヤ出版 (2008) [4]高萩栄一郎・中島信之「Excelで学ぶAHP入門―問題 解決のための階層分析法」オーム社 (2005) [5]八巻直一・高井英造「問題解決のためのAHP入門 ―Excelの活用と実務的例題 」日本評論社 (2005)
さらに
AHPを勉強するための参考書
• [5]は基本的な扱いから少し進展した内容も含みか つAHPのソフトもあり実用的である。 • [4]もエクセルを用い初心者向けに解説する。 • 次の段階として重要度の他の計算方法として固有 値法の知識を深めたい。 • [1][5]は評価基準が複雑で2層に渡る場合の集団合 意形成にAHPを適用する例が多い。 • 身近な問題の実例は[3]に多く示す。 • 理論的に幾何平均や固有値モデルの正当性の理
AHPの参考書の解説
• 演習課題8.3:Excel-AHPを用いて、以下のアイドル の総合魅力度を、4個の評価基準をもとに求め、 No.1アイドルを求めよ。 • 候補として、指原莉乃、渡辺麻友、山本彩、柏木由 紀の4人である。 • 評価基準は,ルックス、歌唱、ダンス、トークである。 • 評価基準間、基準ごとの各人の一対比較表は以下 となる。幾何平均法を用いて各候補者の総合評価 値を求めなさい。黄色塗りセルに式を入れて下さい。