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ROCKY NOTE 結節性多発動脈炎 Polyarteritis nodosa : PAN(131219) 学生時代には苦手な分野だったが 今では自然と得意分野になっている なんてことはほとんどなかった気がす

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Academic year: 2021

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結節性多発動脈炎 Polyarteritis nodosa : PAN(131219)

学生時代には苦手な分野だったが、今では自然と得意分野になっている。なんてことはほとんど なかった気がする。(というか、全く無かったかも…。) まれな疾患についての知識は学生中がピー クで、その後は忘れ去られていくものが多い。話題になった時こそ勉強のチャンスなので、簡単に 復習しておこうと思う。  原発性血管炎は、これまで罹患血管径別、想定される病因別、病理組織所見別などによりさ まざまに分類がされてきた。現在は、1994 年に提唱された Chapel Hill 分類が一般的に用いら れている。これは、全身性壊死性血管炎を障害血管径別に区分し、抗好中球細胞質抗体 (antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎という疾患概念を新たに取り入れ た。この血管径による分類は、病因論的背景とも関連しており、現在でも世界的に広く受け入 れられている。2)

(参考文献 3 より引用)

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(参考文献 4 より引用)

 本邦では、血管炎としてこの PAN と MPA の他、高安動脈炎ならびに Wegener 肉芽腫症が特

定疾患(難病)に指定されている。2)

 結 節 性 動 脈 周 囲 炎 ( Periarteritis nodosa:PN ) は 、 2005 年 か ら 結 節 性 多 発 動 脈 炎 (Polyarteritis nodosa : PAN)と顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis : MPA)の 2 疾 患に分離されました。その理由は、2 疾患の間に病因、臨床症状、病理組織所見、検査成積、 予後において、差異の存在することが明らかにされたからです。1)

 動脈は血管径により、大型、中型、小型、毛細血管に分類されます。PAN は、中型血管を主

体として、血管壁に炎症を生じる疾患であります。従がって、毛細血管を主体とする顕微鏡 的 多 発 血 管 炎 ( MPA ) と は 異 な っ て い ま す 。 又 、 抗 好 中 球 細 胞 質 抗 体 ( antineutrophil cytoplasmic antibody : ANCA)も、血清中には検出されないことから異なります。今の所この 疾患に対する疾患特異性のある診断マーカーは、存在しません。フランスなどでは、HB 肝炎 virus により発症する症例が相当数報告されておりますが、本邦では稀にしか認められませ

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ん。1)  全国で 250 例程度と推定され、かつ年間の新規発症 症例数は 50 人程度と考えられていま す。又、PAN の発症年齢は MPA に比較して若干若い年齢者に多く、平均 55 歳です。男女比 は 3:1 でやや男性に多い 傾向があります。1)  症状は、炎症による全身症状と、罹患臓器の炎症・虚血などによる臓器特異的な症状に大 別される。2)  全身症状:全症例の中で、発熱(38~39℃)が 80%に、体重減少が 60%に、高血圧が 20% の症例に認められます。発熱は抗生剤抵抗性 であり、かつ悪寒・戦慄を伴うことは稀です。 体重減少は数ヶ月以内に 6kg 以上の減少をきたします。高血圧は糸球体虚血によりレニン・ アンギオテンシン系の活性化により発症し、悪性高血圧の所見を呈します。1)  臓器症状:頻度の高い順に列挙します。筋肉・関節症状は 80%に、皮膚症状(紫斑、潰瘍、 結節性紅斑)は 60%に、腎障害(急性腎不全、腎炎)・高血圧は 50%に、末梢神経炎は 50% に中枢神経症状(脳梗塞、脳出血)は 25%に、消化器症状(消化管出血、穿孔、梗塞)は 20%に、認められます。又、心症状(心筋梗塞、心外膜症)や肺・胸膜症状、眼症状などを呈 することもありますが、その頻度は稀であります。1)  消化管障害は、小腸に多い。腸管膜動脈の炎症の場合初期では腹痛、進行すると腸管梗 塞・下血、穿孔を認め、予後を決定する重要な要因である。胆嚢、膵、虫垂などが個別に障 害を受けることもある。2)  末梢神経障害では、多発性単神経炎の症状が高頻度(約 50%)に認められる。感覚障害と して、手足の「しびれ」が多い。2)  皮膚症状の頻度も高く、半数以上に認められる。皮下結節が多いのが PAN の特徴で、結節 性紅斑、紫斑、網状皮班(リベドー)、難治性皮膚潰瘍などを伴う。血管炎が皮膚のみに認め る病態を皮膚型(cPAN)と呼んでいる。2)  全身型も皮膚型も皮膚症状は類似しているので、区別が困難なことがあります。皮膚の細小 血管炎のため、蕁麻疹様血管炎、ヘノッホ・シェーンライン病に類似する小型の浸潤を触れる 紫斑、皮下出血、皮膚潰瘍など多彩な皮膚症状が生じることがあります。5)  約 80%の症例では、関節や筋肉の症状を痛みやこわばりとして訴える。しかし、変形や骨破 壊を示すことはない。筋肉症状は、筋肉痛あるいは筋力低下として出現する。特に腓腹筋で 著明なことが多く、この部位の筋生検で血管炎を証明できることが多い。2)  血液・尿検査:白血球数の増加、血小板の増加、CRP 高値、血沈の亢進などを認められます。 しかし、疾患特異的な検査成積は存在しません。尿には、蛋白と沈査に赤血球が認められま す。1)

(4)

 白血球分画では、好中球を主体に増加するが、従来指摘されていた好酸球増多は少ない。 高ガンマグロブリン血症を示すことが多い。典型的な PAN では ANCA の陽性率は低く(20% 以下)、特異的血清マーカーの変化はみられない。腎障害を伴う場合には、蛋白尿や血尿 (尿沈渣上赤血球の増加)を認める。しかし、典型的な糸球体腎炎の所見は認めない。PAN の中の一つの病型として B 型肝炎ウィルス(HB)感染に関連した PAN の存在が認められる が、本邦では HBs 抗原陽性の PAN は極めて少ない。2)  放射線画像:血管造影や MRA で血管壁に動脈瘤の形成が認められます。特に、腸間膜動 脈や腎実質内血管に認められることが多いです。1)  腸間膜動脈、腎動脈、冠動脈や分枝に内腔狭窄、不整、途絶、多発小動脈瘤が認められる。 2)  血管生検:臓器障害部位の中枢側に病変が認められます。血管壁の中膜を中心にしたフィ ブリノイド変性と炎症性細胞浸潤が存在し、内弾性板の断裂が観察されます。腎糸球体には、 一般的には半月体形性所見は認められません(→MPA)。1)  生検部位は病変のある筋肉や腎が多いが、下肢に多発性単神経炎や筋肉痛がある場合に は腓腹筋の筋生検が行いやすく、診断率も高い。2)  予後予測や治療法選択のために、重症度や活動性を評価するいくつかの判定基準が提唱さ

れている。なかでも、BVAS(Birmingham Vaculitis Activity Score)や FFS(five factor score)、 VDI(vasculitis damage index)などがよく用いられている。2)

 診断には血管造影の所見が重要である。組織学的には中型あるいは小動脈の壊死性血管

炎であるが、CHCC の分類では糸球体腎炎や細小動脈、毛細血管、細静脈の血管炎を伴わ ないことで MPA と区別される。3)

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(参考文献 3 より引用)  疾患の病状により治療法に多少の差異が存在します。即ち、病状が重篤な症例では、初め にステロイドパルス療法を施行し、その後は 経口ステロイド(プレドニソロン PSL 0.8mg/kg/ 日)を投与します。又、1 ヵ月後にはシクロホスファミド(cyclophosphamide:CY)を 10~8mg/kg 程度で点滴投 与します。この点滴を 4~6 回繰り返すのが一般的です。経口ステロイドは病 状改善と共に漸減しますが、PSL5mg/日は数年に亘り再燃防止の為に継続投与する必要が あります。軽症例では、経口ステロイドのみで治療します。尚、腎不全には血液透析を、腸管

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穿孔では腸切除を要します。尚、病状の回復期には、 血管炎の治癒過程で生じる血管内腔 の狭窄による末梢側の虚血から、種々の臓器障害を生じます。この為、血栓溶解薬、抗血小 板凝集抑制薬、血管拡張薬を投与します。1)  治療の基本は、変性期や急性炎症期にはプレドニゾロン大量療法、重度の腎病変および中 枢神経病変を認める場合やステロイド抵抗例には、ステロイドパルス療法にシクロホスファミ ド(cyclophosphamide :CY)の経口または大量間欠静脈療法など免疫抑制薬による治療の併 用である。肉芽期・療痕期には、閉塞性血管炎症状に対し、抗凝固療法および抗血栓療法 が行われる。早期の治療介入により血管閉塞性の障害を残さないことが重要である。2)  PAN の診断から死亡までの時期をみると、半年以内の死亡が多いことから、診断後早期の 急性期の治療管理が生命予後に大きく影響する。死因は、脳出血、消化管出血、腎不全、 心筋梗塞、心不全、感染症などである。発症の 3 カ月以内の寛解治療が適切であると、その 後の予後は比較的良好であり、5 年生存率は約 80%である。再燃率は、40%程度と高く、寛 解維持療法が重要である。2)  多くの症例は、多少の臓器障害を残して寛解に至ります。特に知覚障害、運動障害、維持透 析で QOL(quality of life)の低下を来す症例が多く存在します。1) 参考文献 1. 結節性動脈周囲炎 (1)結節性多発動脈炎.難病情報センターホームページ http://www.nanbyou.or.jp/entry/244 2. 鈴木祐介, 富野康日己.結節性多発動脈炎.医学と薬学 65(3): 313-317, 2011. 3. 吉原竪, 山田明.血管炎症候群.診断と治療 98(10): 1633-1640, 2010. 4. 渡部芳子, 種本和雄.血管炎入門編 前編.バスキュラー・ラボ 10(1): 116-120, 2013. 5. 結節性動脈周囲炎(結節性多発動脈炎・顕微鏡的多発血管炎)皮膚科 Q&A.日本皮膚科学 会ホームページ http://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q15.html

参照

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