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2. FLSH の定常状態ここでは磁化の定常状態がどのように作られるのか感覚的につかめるように説明していきます 2.1 磁化ベクトルによる FLSH の定常状態の考察 Fig.3 の磁化ベクトルモデルを使って説明します 1) 縦磁化が定常状態を作っています 大きさを とします 2) 時刻 t=0 に

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Academic year: 2021

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グラディエントエコーと定常状態

1. はじめに グラディエントエコーにつきものの定常状態,Bloch方程式,信号強度式。 とっつきにくいのですが、視覚的に磁化ベクトルを理解すれば分かりやすく、 数学も高校生の数学でかなりの部分を理解することができます。 今回はGradient Echoの代表的なFLASH(GEではSPGRですね)とFIESTA を主に取り上げて解説したいと思います。 1.グラディエントエコーの種類 グラディエントエコー型パルスシーケンスには多くの種類がありますが、 今回はその性質によりFig.1に示す3種類に分けて考えてみたいと思います。 1.1 FLASH Fig.1-aがFLASHです。TR後の次の励起時に横磁化を残さず縦磁化だけで 定常状態を作るタイプです。横磁化を消す方法としてFLASHでは スポイラーグラディエントにより行われます。 FLASHはスポイラーグラディエントによる横磁化のスポイルが不完全だと、 画像中央に明るい高信号領域,FLASHバンドが出現します。 GEではRFの送信位相を毎回一定量増やすRFスポイリングを行うSPGRが 製品となっています。シーケンスとしてはGRE型にRFスポイリングを付加した 形です。縦磁化だけで定常状態が作られるのでT1強調画像が得られます。 1.2 GRE Fig.1-bがGREです。GEでは過去にはGRASSと呼んでいました。 特徴としてはフェーズエンコード軸にリワインダーを付加してあるので、 フェーズエンコード勾配磁場によるスピンの位相分散を巻き戻すため、 次の励起時に横磁化も一部回復します。そのためT2*強調画像が得られます。 1.3 FIESTA Fig.1-cがFIESTAです。 全ての軸の勾配磁場による位相分散を巻き戻すため、次の励起時に横磁化も 強く残ります。1つのRFによるFID信号と2つ以上のRFによるスピンエコー信号 が同時に観測されるため、強いT2強調画像に近い画像が得られます。 このシーケンスはグラディエントエコーでありながら強い信号強度が得られ ますが、静磁場不均一や局所磁場不均一に弱く、バンディグアーチファクトと 呼ばれる低信号領域が出現しやすいため、その影響を最小限にするため 通常5ms程度以下の短いTRでスキャンされます。 Ó 2010 GEヘルスケアジャパン(株)  無断転載禁止

TR

TR

Fig.1-a FLASH

Fig.1-b GRE(GRASS)

TR

Fig.1-c FIESTA(FISP)

Gs

Gp

Gr

RF

Gs

Gp

Gr

RF

Gs

Gp

Gr

RF

(2)

2 / 2. FLASHの定常状態 ここでは磁化の定常状態がどのように作られるのか感覚的につかめるように 説明していきます。  2.1 磁化ベクトルによるFLASHの定常状態の考察  Fig.3の磁化ベクトルモデルを使って説明します。  1)縦磁化が定常状態を作っています。大きさをm0とします。  2)時刻t=0にRFをX軸方向に加えると共鳴した磁化はX軸回りに倒れます。  3)励起により生じた横磁化によりFIDが観測されます。  Aをフリップ角とすると強度はm0 sinA となります。  4)次の励起、時刻t=TRまでに縦磁化MzはスピンのT1値によるT1緩和で回復  していきます。一方横磁化Myはスポイルされて消されてしまいます。  5)時刻 t=TRの時点で縦磁化Mzがちょうどm0に回復し戻れば、  まさに定常状態となり1)のステップから繰り返すことができます。 このようにしてFLASHの定常状態は作られます。  2.2 FLASHの定常状態に至るまで 磁化の定常状態はすぐに出来上がるわけではありません。 静磁場に置かれた磁化は平衡状態M0を保っています。  RFによる励起で定常状態m0に移行するのですが、 そこに至るまでには複数回の励起が必要です。  Fig.2の横軸は励起回数、縦軸は磁化の平衡状態M0を1として規格化した 励起直前の縦磁化の定常状態と励起直後の横磁化(FID)の強度です。  T1/T2=580/50,Flip=20,TR=10msの条件下のシミュレーション結果です。 完全に定常状態に至るまでには数十回のアイドリングが必要となります。  2.3 FLASHの信号強度式 一般にそれぞれのパルスシーケンスの信号強度式はBloch方程式を解く ことにより求められます。  RF磁場が無い場合の回転座標系でのBloch方程式は、 一階の微分方程式となっていて比較的容易に解くことができます。  Fig.3 の磁化ベクトルモデルに沿ってFLASHの信号強度式を求めます。  Z軸に関するBloch方程式は(1)式で表されます。  dMz / dt = ­(Mz – M0)/T1 ­­­ (1)  ここにM0:平衡状態の磁化, T1:T1値, Mz:縦磁化です。  (1)式の一般解は(2)式となります。  Mz = M0 + exp{­t/T1}Cz ­­­ (2)

Fig.2 FLASHの定常状態に至るまで

励起直後の状態を考えます。 時刻 t=0のときMz = m0 cosA より、積分定数Czが求まります。 Cz = m0cosA – M0 --- (3) ここに A はフリップ角です。 (3)を(2)に代入して(4)式を得ます。 Mz = M0 + (m0cosA – M0)exp{-t/T1} --- (4) 定常状態を作る条件を入れます。 時刻 t = TRのときMzは定常状態のm0となるから (5)式が得られます。 m0 = M0(1 – exp{-TR/T1} ) / (1 – exp{-TR/T1}cosA ) --- (5) FIDの強度myはm0sinAであるから、 FLASHの信号強度式(6)式を得ることができます。 my = M0sinA(1 – E1) / (1 – E1cosA) --- (6)         ここに E1 = exp{-TR/T1} --- (7) 良く知られているようにグラディエントエコーでは信号最大にするフリップ角, エルンスト角は90以下となります。 エルンスト角は例えばFLASHの場合、簡便な解法として合信号強度式(6)式を フリップ角Aに関し偏微分を行い、それが 0 となる(極値)条件(8)式から 求めることができます。

(3)

m0

1) 定常状態

2) 励起

A

3) FID観測

Fig.3 FLASHのSteady State

Bloch方程式

dMz / dt = -(Mz – M0)/T1

t = TR

My= m0 sinA

Mz

= m0 cosA

Mz

4) 緩和

   

定常状態1)へ

T1緩和

×

横磁化スポイル

A

RF

t = 0

My= 0

t = 0

Ó 2010 GEヘルスケアジャパン(株) 

m0

(4)

4 / 3. FIESTAの定常状態 さて次にFIESTA(FISP)について考えてみます。FLASHでは縦磁化だけの定常状態 だけを考えればよかったですが、今度は横磁化の定常状態も考慮に入れます。 3.1 磁化ベクトルによるFIESTAの定常状態の考察 Fig.5を使って説明します。 1)磁化が定常状態を作っています。縦磁化横磁化それぞれmz,myとします。 mz,myを合成した磁化をm0で表しています。 2)時刻t=0にRFをX軸方向に加えると共鳴した磁化はX軸回りに倒れます。 3)励起により生じた横磁化によりMR信号が観測されます。  それぞれの縦,横磁化成分mz,myから縦,横磁化成分Mz,Myが生じます。 4)次の励起、時刻t=TRまでに縦磁化MzはスピンのT1値によるT1緩和で回復  していきます。横磁化MyはスピンのT2*値により減衰していきます。 5)時刻 t=TRの時点で縦磁化がちょうどmzに回復し,横磁化が –myとなれば、  次のRFの送信位相を反転すれば定常状態を作ることができます。 FIESTAではRFを励起ごとに加える方向を反転(0-180-0-180-…)します。 このようにしてFIESTAの定常状態は作られます。 3.2 FIESTAの定常状態に至るまで Fig.4も横軸は励起回数、縦軸は励起直前の縦磁化の定常状態と 励起直後の横磁化の強度です。条件はT1/T2=580/50,Flip=50,TR=10msです。 特徴的なのは励起開始直後信号強度が大きく振動することです。 これはFIESTAではフリップ角が比較的大きいのと、励起開始直後の磁化の 振る舞いは言わば励起ごとに縦磁化と横磁化が入れ替わっているように見える からです。 この振動は序所にフリップ角を深くしていったり、浅くしていったりする手法で 抑制することができます。 また強い信号強度及び別コントラストを得るため完全な定常状態に移行する前の 遷移状態でデータ収集することも可能です。 それがGEのCOSMICです。 2.3 FIESTAの信号強度式 FIESTAもFLASH同様のアプローチで信号強度式を求めることができます。 横磁化の定常状態も求めるためMz,Myに関するBloch方程式を解くことになります。 dMz / dt = -(Mz – M0)/T1 , dMy / dt = -My / T2 --- (9) 若干の計算の後、良く知られたFIESTAの信号強度式(10)式を得ます。 myは励起直前の定常状態となった横磁化の強度です。 my = M0(1 – E1)E2sinA / ( 1 – E1E2 – cosA(E1 – E2) ) --- (10)       ここに E2 = exp{-TR/T2} --- (11)

Fig.4 FIESTAの定常状態に至るまで

この信号強度式には TRの間に磁場不均一等でスピンが受ける位相シフトの項は含まれていません。 言わば理想系での信号強度式になります。 位相シフトを考慮した信号強度式はmx,my,mzの3つの変数についてBloch方程式 を解けば得られます。ただ計算も結果も複雑なので、今回は触れません。 グラディエントエコーが世に出て約30年、理論としては20年も前に確立していた FIESTAが装置の性能が追いつき実用的になったのは最近のことです。 3D ボリュームスキャンがあたりまえになってきた現在、 グラディエントエコーは今やMRの検査時間を短縮する方法として MRに必要不可欠です。 単なるT1,T2*画像から、従来のコントラストとは別のコントラストが得られる MERGE, COSMIC, SWAN、またMRAや部位に特化したLAVA, VIBRANT, さらには形態画像だけではなくT2*測定のMFGRE,水脂画像のLAVA-Flex等 機能,定量画像も得られるようになり進化し続けています。

今後も目が離せないパルスシーケンスです。

(5)

5 /

my

mz

my cosA

A

A

my sinA

mz cosA

mz sinA

Mz

= mz cosA + my sinA

My

= -mz sinA + my cosA

Bloch方程式

dMz / dt = -(Mz – M0)/T1

dMy / dt = -My / T2

My = -my

Mz = mz

Fig.5 FIESTAのSteady State

1) 定常状態1

2) 励起

3) 信号観測

4) 緩和

 

RF(A)

t = 0

t = TR

T1緩和

T2緩和

5) 定常状態2

RF(-A)

t = 0

m0

m0

Ó 2010 GEヘルスケアジャパン(株) 

参照

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