実引退年齢及び公式引退年齢
・ 2007年における各国の公式引退年齢(公的老齢年金を満額受給可能な最低年齢)は、概ね65歳となっている
が、フランスの男女及びイギリスの女性については60歳となっている。
・ 実引退年齢(40歳以上の者が労働力を離れた(継続就労の意思なく退職した)年齢の平均値)は、イギリスの女
性及び日本を除き公式引退年齢を下回っている。
(歳)
(表1)
実引退年齢
(1999~2004 年)
公式引退年齢
(2007年)
男性
女性
男性
女性
アメリカ
64.2
63.1
65.7(65歳8ヶ月)
注1
イギリス
63.0
61.6
65.0
60.0
注2
ドイツ
61.3
60.6
65.0
注3
フランス
59.3
59.5
60.0
日本
69.3
66.1
65.0
(国民年金(基礎年金))、
60.0
(厚生年金) 注4
OECD 諸国平均
63.2
61.8
64.0
注5
62.9
注5
注1)2007年までに67歳に引上げ
注2)2020年までに65歳に引上げ
注3)2012年から2029年までに67
歳に引上げ
注4)厚生年金について男性は
2025年までに、女性は2030年まで
に65歳に引上げ
注5)OECD諸国平均は2004年
Source: OECD estimates based on the European Union Labour Force Survey and other national labour force surveys
出典:「2005~2006年 海外情勢報告」 (厚生労働省 2007年3月)
年金の繰上げ・繰下げ支給制度
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
日本
60歳から繰上げ支給可能 56歳から繰上げ支給可能 国民年金(老齢基礎年金)
可能な年齢 62歳から繰上げ支給可能 (対象者は、被保険者期間が15年以上
の女性、長期失業者、又は高齢者パート (対象者は、被保険者期間が42年
以上の者。)
60歳から繰上げ支給可能
繰り
上
げ
支給制
度
繰上げ支給は認め
られていない。
就労促進制度活用者。)
給付増減率
(繰上げ期間に応じ
年金給付が減額さ
れる)
繰上げ期間が36か月まで
は約0.56%/ 月、36か月以
降は約0.42%/ 月の割合
で給付額が減額される。
0.3%/ 月減額、3.6 %/ 年減額 ( 最大
18%給付額が減額)
※繰上げ支給制度自体が2016年末で
廃止。
給付は減額されず、満額受給可 0.5%/月の割合で給付額が減額さ
れる。
備考
(例えば、1941年生まれ
の満額受給開始年齢が
65歳8か月である者が62
歳まで44か月繰上げた場
合約23.3% 減額される。)
被保険者期間が35年以上の長期被保
険者については、63歳から繰上げ支給
可能。
(最大10.8%給付額が減額)
※長期被保険者の繰上げ支給開始年齢
は2010~2011年にかけ63から62歳へ
引下げ予定。
55歳から繰上げ支給可能
(対象者は、障害者で被保険者期
間が30年以上の者。給付は減額
されず、満額受給可)
※ いずれの繰上げ支給制度も
2004年から実施。
厚生年金(老齢厚生年金)
繰上げ支給は認められない。
※他に重度障害者に対する繰上げ支給
制度あり。
繰下
げ
支
給制度
可能な年齢 ~7 0歳
上限なし
※2005年に上限5
年の制限を廃止
上限なし 上限なし
※繰下げ支給は2004年から開始。 ~7 0歳
給付増減率
(繰下げ期間に応じ
年金給付が増額さ
れる)
0.625% /月
(7.5% /年)
※増額率は現在引上げ中
であり2008年には8%/
年となる。
10.4% /年
※2005年に増額率
を7.5% /年から引
上げ
0.5% /月
(6%/年)
0.75% /四半期
(3%/年)
※2007年1月から就業継続者に
ついては、より高い増額率(4~5%
/年)の適用を実施
0.7%/ 月
(8.4%/ 年)
他の選択肢として 被保険者期間が40年以上の者の 老齢厚生年金は平成19年4 月から
備考
一時金制度あり み適用 繰下げ支給制度が開始
・ 繰上げ支給制度はイギリスを除き各国ともあり、フランスについては減額されずに受給が可能となっている。
・ 繰下げ支給制度は各国ともあるが、繰下げた場合の割増率はイギリスで最も大きく、1年遅らせた場合、10.4%
の割増率となっている。
(表2 )
出典:「2005~2006年 海外情勢報告」 (厚生労働省 2007年3月)等
3
被扶養配偶者の取扱いと短時間労働者
・ 被扶養配偶者について、ドイツ以外は何らかの取扱いがなされている。アメリカ、イギリスについては被扶養配偶
者に対してそれぞれ夫の年金の50%、60%の給付、フランスについては被用者本人に対し配偶者分を加給する形
で支給されている。
・ 短時間労働者について、アメリカ、フランスは報酬を有する者は強制適用、イギリスは週84ポンド以上、ドイツは
月の報酬400ユーロ以上又は週の労働時間が15時間以上の場合に強制適用となっている。
(表4)
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
日本
制度名
老齢遺族障害保険
(配偶者給付)
国民保険
(配偶者加算)
労働者年金保険
一般制度
(扶養配偶者加給年金)
国民年金
(老齢基礎年金)
配偶者に対する年金給
付
夫の年金(基本年金額)
の50%
夫の基礎年金の60%
なし
加給年金(注1)
基礎年金の100%
被扶養の妻の平均受給
月額(2006 年)
平均500.4ドル/月
[約59,523円/月]
月額約216ポンド/ 月
[約50,324円/月]
なし
満額609.8ユーロ/ 年
[約95,726円/年]
[約7,980 円/月]
満額66,000 円/月
保険料賦課下限額(年
収)
(2006年)
収入を有する者は適用。
年金額算定の根拠となる
保険料記録は、年970ド
ル[約11万5千円]以上の
収入
課税徴収は年収1,500 ド
ル[約17万8千円]以上
週97ポンド以上[週
22,599円][年約117
万5千円]
(週給84~97ポンドの
者は保険料負担が免
除)
400ユーロ(月)
4,800 ユーロ(年換算)
[約763,969円]
収入を有する者は適用
年金額算定の根拠となる
被保険料記録は最低賃
金の200時間分
(約1,438 ユー[225,737
円])の収入
(2004年)
①130万円(第1号被保
険者)
②通常の労働者の1週
間の労働時間の4分の
3以上(第2号被保険
者)
短時間労働者に対する
適用
被用者については、報酬
(earnings) の多寡や労働
時間の長短を問わず、全
て適用し、保険料が賦課
される
報酬(earnings) が週84
ポンド以上の被用者は
強制加入
月の報酬(earnings) が
400ユーロ以上又は週の
労働時間が15時間以上
である場合は強制加入
報酬(earnings) を有する
者については、強制適用
1日又は1週間の所定
労働時間、1ヶ月の所定
労働日数が、通常の就
労者のおおむね4分の
3以上
為替換算は、日本銀行外国為替相場状況(2006年12月末)、
(1ドル=118.95円、1ポンド=232.98円、1ユーロ=156.98円)
注1)給付は被用者本人に支給される
出典:丸山桂[2007]「女性と年金に関する国際比較」『海外社会保障研究』No.158等
5
企業年金制度
・ 欧米において退職金制度は一般的でなく、企業年金が中心となっている。
(表6)
アメリカ USA イギリス GBR ドイツ DEU
フランス FRA 日 本 JPN
AGIRC ARRCO
厚生年金基金
Employee's
pension fund
適格退職年金
Approved
retirement
annuity
確定拠出年金
Defined-contribution pension
scheme
確定給付企業年金
Defined-contribution
pension scheme
設立
Establish-ment
企業の任意
[エリサ法に企業年金が満たすべき
最低条件を規定]
企業の任意
[社会保障年金法に付加年
金からの適用除外の条件を
規定]
企業の任意
[老齢企業年金改革法に企
業年金が満たすべき最低条
件を規定]
幹部職員退職年金
制度連合会
補足年金制度連合
会
(1) 厚生労働大臣
の認可が必要。
(2)500 人以j 上の
加入員がいるこ
と。(3) 設立母体が
健全であること。
事業主 年金の規約につい
て、厚生労働大臣の
承認が必要。企業型
と個人型がある。
規約型と基金型が
ある。労使が合意
した年金の規約に
ついて、厚生労働
大臣の承認(基金
の場合は基金の設
立認可)が必要。
全国的労使協約の適用を受ける企業は
設立が義務づけられる。
加入資格
Eligibility for
participa-tion
21 歳から1 年以上の勤務を法定。 条件なしが多くなりつつあ
る。
[ 通常5年から10 年の勤務
期間]
幹部職員
( 強制加入)
一般被用者(強制
加入)
厚生年金の適用
事業所に使用され
る被保険者。
企業又は団体の
被用者( 事業主で
ある個人、これと
生計を一にする親
族、事業主である
法人の役員等の
加入は不可)
厚生年金保険の被
保険者、日本私立学
校振興・共済事業団
加入者及び農林漁
業団体職員共済組
合組合員
厚生年金保険の被
保険者等。年金規
約において加入者
資格を定めることが
できる。
支給開始
年齢
Pension-able age
65 歳
[ 繰上げ、繰下げ( 法定)あり] 大部分が65 歳( 女子60 歳) 65 歳(女子60 歳) 60 歳
厚生年金保険に
同じ( 代行部分)。
加算型の加算部
分は自由。
自由 最初の拠出からの
経過年数に応じ60~
65歳。
原則として60~65
歳の範囲で年金規
約に定める年齢
( 老齢給付)。
給付水準
Pension
benefits
levels
定額・定率等給付設計は企業に
よって異なるが、公的年金とあわ
せ、従前賃金の60~70 %を保障。
一般的には[最終給与または
再評価後全期間平均給与]
× 乗率[1/80~1/60]×
加入年数[40 年加入で最終
給与の50% 以上]
一般的なものとしては、最
終給与×乗率×勤続期間
により、公的年金と合わせ
て最終給与の65%~75%
となる。
個人の年金ポイント
×ポイント単価
代行部分の3割を
上回る水準。
自由 拠出した掛金が個人
毎に区分され、加入
者それぞれが自己
責任のもとに運用商
品を選び、掛金と運
用収益の結果をもと
に給付額が決まる。
基準に従い規約で
定めるところにより
算定した額。
[30 年加入で最終
給与の約30%] [ 30年加入で最終給与の約20%]
公的年金制
度との調整
Adjustment
to public
pension
scheme
次の2 つの方法がある。
(1) 控除方式=全体の給付水準か
ら公的年金給付相当額部分を差し
引いた残りを支給。
(2) 超過方式=公的年金と企業年
金を合わせた給付額が所得の一定
水準になるよう、公的年金の上限
以上の報酬に高い給付乗率を適
用
いくつかの条件を満たせば、
公的年金の付加年金部分か
ら適用除外される。
同じ期間国の制度に加入し
た場合の付加年金の給付を
下回らないこと。
公的年金に上乗せされる。
[公的年金と合わせて最終
給与の65%~75% となる。]
公的年金に上乗せされる。
[公的年金と合わせて最終給与の60%
~70% になる。]
公的年金に上乗
せされる。
公的年金に上乗
せされる。
公的年金に上乗せさ
れる。
公的年金に上乗せ
される。
出典:「データブック 国際労働比較2007」 (労働政策研究・研修機構 2007年3月)
7
早期退職優遇制度の導入状況
・ 退職給付制度のある企業のうち「何らかの早期退職優遇制度がある」とする割合は全体で5. 4%と低い水準に
なっているが、大企業(1,000人以上)では3分の1以上で早期退職優遇制度がある。
・ 早期退職の対象者としては「50歳層」、「55歳層」で多くなっているが、退職金の加算割合は、大卒50歳層で7割
程度、55歳層で5割程度となっている。
(表8)
(表7)
40 歳
4 5歳
50 歳
55歳
40 歳
45 歳
50 歳
55 歳
[86.7] 100.0
5.4 1.2 2.2 4.0 5.0 1.2 2.0 3.7 4.8 94.6
[97.1] 100.0 37.7
12.8 22.9 33.4 35.7 12.7 22.2 31.1 33.3
62.3
[91.0] 100.0
11.3
2.9
4.8
8.4 10.5
2.8
4.3
8.0 10.1
88.7
[95.7] 100.0
20.6
4.4
9.6 16.1 19.2
4.5
7.8 14.2 17.9
79.4
[89.5] 100.0
8.1
2.3
3.1
5.8
7.5
2.3
3.1
5.8
7.4
91.9
[84.7] 100.0
1.7
0.1
0.3
1.0
1.6
0.1
0.3
0.8
1.5
98.3
[ ] 内の数値は、全企業に対する退職給付(一時金・年金) 制度がある企業数割合である。
何らか
の早期
退職優
遇制度
あり
(単位:%)
大 学 卒(複数回答)
高 校 卒( 複数回答)
早期退
職優遇
制度なし
100~299 人
30 ~ 99 人
1,000 人 以 上
100 ~ 999 人
300~999 人
調 査 産 業 計
退職給付制度
(一時金・年金)
がある企業
大 学 卒 高 校 卒
早期退職優遇
制度あり
モデル退職金
( 自己都合) 加算割合
早期退職優遇
制度あり
モデル退職金
( 自己都合) 加算割合
(%) ( 万円) (%) (%) (万円) (%)
[50 歳]
調 査 産 業 計 [4 .0] 1 4 28 .1 70 .3 [3 .7 ] 1 3 76 .8 62 .9
1,000 人 以 上 [33.4] 1709.5 87.4 [31.1] 1648.1 72.4
100 ~ 999 人 [8.4] 1350.2 57.3 [8.0] 1248.3 55.3
300 ~ 999 人 [16.1] 1468.2 63.2 [14.2] 1353.3 63.8
100 ~ 299 人 [5.8] 1174.1 48.5 [5.8] 1145.7 47.1
30 ~ 99 人 [1.0] 1247.2 91.2 [0.8] 1409.0 80.0
[55 歳]
調 査 産 業 計 [5 .0] 1 7 18 .2 51 .6 [4 .8 ] 1 6 08 .7 50 .8
1,000 人 以 上 [35.7] 2110.2 56.6 [33.3] 1922.4 51.2
100 ~ 999 人 [10.5] 1593.9 49.5 [10.1] 1444.6 50.7
300 ~ 999 人 [19.2] 1759.7 49.1 [17.9] 1586.2 54.3
100 ~ 299 人 [7.5] 1379.7 50.0 [7.4] 1299.0 46.9
30 ~ 99 人 [1.6] 1669.9 52.0 [1.5] 1743.0 50.9
[ ] 内の数値は、退職給付(一時金・年金)制度に対する早期退職優遇制度がある企業数の割合である。
出典:平成15年就労条件総合調査(厚生労働省 2005年11月)
9