2017 年 7 月
個人投資家向け会社説明会 ミーティングメモ
大和インベスター・リレーションズ㈱((以下、「当社」といいます。)はこの資料の正確性、完全性を保証するもの東京建物株式会社(8804)
日 時:2017 年 7 月 15 日 場 所:大和コンファレンスホール(東京都千代田区) 説明者:取締役常務執行役員 小澤 克人 氏 1. 会社概要 ・ 当社は 1896(明治 29)年 10 月に設立され、2016 年に創立 120 周年を迎えた、日本で最 も歴史ある不動産会社です。 ・ 企業理念は「信頼を未来へ」。創業者である安田善次郎(旧安田財閥の創始者)が大切 にしていた「お客様第一の精神」「進取の精神」という想いを受け継ぎ、住宅ローンの 原型となる割賦販売方式を生み出すなど、不動産業の草分けとして様々な取り組みを行 ってきました。 2000 年代以降も、J-REIT の日本プライムリアルティ投資法人の上場や、 文部科学省・会計検査院との PFI(民間資金等活用事業)となる『霞が関コモンゲート』 の開発を行っており、最近では『大手町タワー』など大規模な複合オフィスビルを複数 開発しています。 ・ 当社の事業はビル事業と住宅事業を中心に構成されますが、その他の事業として、駐車 場事業、シニア事業、リゾート事業、保育事業、海外事業など、マーケットの拡大が見 込める事業にもチャレンジしています。 ・ 現在、「次も選ばれる東京建物グループへ」をキーワードに、収益力の強化を図る 5 ヵ 年(2015~2019 年)の中期経営計画を進めています。高値掴みを避け、独自性の強い分 野の積極的拡大を図る「戦略的投資」、顧客満足度向上・差別化によるさらなる顧客獲 得を目指す「ソフト・サービス強化」、多様な事業メニューを活かして新しい事業機会 を獲得する「グループシナジーの発揮」の 3 つを重点戦略に掲げています。 ・ 現中期経営計画における目標として、最終年度である 2019 年に営業利益 500 億円を達 成することを掲げています。営業利益は 2015 年以降順調に拡大し、2017 年は 420 億円 を見込んでいます。特に東京都心部の住宅事業およびオフィスビル事業が堅調のため、 2019 年の定量目標 500 億円の達成は蓋然性が高まっています。 ・ 財務の健全性を維持する観点から財務指標にも目標を定めています。DE レシオ(連結 有利子負債÷連結自己資本)は 3 倍以内、有利子負債/EBITDA 倍率(有利子負債÷キ ャッシュ・フロー)は 13 倍以内を目標としています。不動産事業は投資が加速すると 負債が過大になる危険性を構造的にはらんでいるため、収益性と財務健全性のバランス に配慮して計画を推進しています。 ・ 当社は、社会インフラを提供する総合不動産会社であることから、誰もが活力をもって 参加できる共生社会の実現に向けて、様々な CSR 活動(社会貢献活動)に取り組んでいます。具体的には、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー として、パラスポーツの大会に社員が足を運んで大会の盛り上げに協力したり、新豊洲 にオープンしたランニング施設のネーミングライツを取得し、『新豊洲 Brillia ランニン グスタジアム』と名付けたりしています。 2.事業紹介-1/ビル事業 ・ 当社は東京を中心に競争力の高いビルを保有することで、収益基盤を構築しています。 当社が保有するビルは、地域では東京の都心 5 区の物件、築年数では 10 年未満の物件 の割合がいずれも 6 割超と多く、基準階の面積では 500 坪以上の大型ビルの開発が近年 継続したことにより、競争上優位なポートフォリオを形成しています。 ・ 保有ビルの稼働率は 2017 年 3 月末で 96.5%と、ほとんど空室がない状況です。賃貸物 件における簿価(帳簿上の価格)と時価(マーケットの価格)の差分である含み益は、 2016 年で 3,434 億円に達しています。 ・ 当社は東京 23 区および地方政令指定都市に多数の大規模なオフィスビルを保有し、『中 野セントラルパーク』などの大規模な開発を行っています。 ・ 当社のオフィスビルの旗艦物件は、オフィス棟にみずほ銀行本店が入居し、上層部にラ グジュアリーホテル「アマン東京」が展開する『大手町タワー』です。 ・ 『大手町タワー』の最大の特徴は、敷地全体の約 3 分の 1 に相当する約 3,600 ㎡におよ ぶ「大手町の森」です。入居者や周辺の方の憩いの場となる広大な緑地は、大手町の敷 地と同様の環境条件を持つ千葉県の山林で約 3 年間樹木を育成し、敷地に移植しました。 この取り組みにより、環境配慮型物件として各種表彰・認証を取得しています。また、 東京メトロ(東京地下鉄株式会社)との共同事業で大手町駅との間に地下歩行空間を整 備し、交通利便性を向上させる地下空間を創出しています。この取り組みは都市整備の モデルケースとして、世界各国から注目されています。 ・ 当社は、東京都中央区八重洲に本社を構える関係上、日本のビジネスの中心地である東 京駅周辺に特に多くのオフィスビルを保有しています。現在も東京駅周辺の 3 つのエリ アで再開発計画を進めていますが、その中でも「東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再 開発事業」が、当社にとって最大の開発プロジェクトです。 同プロジェクトは、国際 空港や地方都市を結ぶ地下バスターミナルやカンファレンス施設、医療施設等を整備す る大規模再開発事業であり、東京の国際競争力向上に貢献するプロジェクトといわれて います。難易度の高い再開発事業ですが、2020 年頃の着工・2025 年頃の完成を目指し、 地元の地権者の皆様との協議を進めています。 3.事業紹介-2/住宅事業 ・ 住宅事業では、東京都内を中心に『Brillia』ブランドで分譲マンションを多数供給して います。 価格の高騰によりマンションの売れ行きが鈍るとの観測も一部にありますが、
東京都心を中心に、駅近で利便性の高い物件は引き続き人気を博しており、好調な販売 が継続しています。 ・ 最近の代表的な物件では、『Brillia Towers 目黒』が挙げられます。目黒駅前に再開発に より 2 棟のタワーマンションを建築する物件ですが、目黒駅前という非常に希少性の高 い立地にあり景観も良いため、メディアでも頻繁に取り上げられ、販売開始から半年ほ どですべて完売しています。マンション事業では、お客様にお引き渡しをしたタイミン グで収益が計上されます。完売した 1 棟は 2017 年、もう 1 棟は 2018 年竣工予定ですの で、2017 年および 2018 年に高い利益貢献を見込んでいます。
・ その他の代表物件として、『Brillia City 横浜磯子』という横浜プリンスホテル跡地約 10ha を開発したプロジェクトがあります。広大な敷地を取り囲むように 13 棟の建物が配置 された大規模マンションで、まるで 1 つの街がつくられたような場所となっています。 ・ 『Brillia 多摩ニュータウン』は、総戸数 640 戸の老朽化した団地を約 2 倍の 1,249 戸の 新しいマンションに生まれ変わらせた、日本最大級のマンション建替えプロジェクトで す。若年層の人口を増やし、多世代交流型施設を充実させて世代間のコミュニケーショ ンの活性化にも貢献したことで注目を集めました。 ・ 現在、東京都心を中心に厳選して用地を取得しており、ランドバンク(取得済み開発用 地を住戸数に換算したもの)を 7,000 戸分確保し開発を進めています。供給戸数はおよ そ 1,000~1,500 戸で推移し、タワーマンションの好調な販売により利益率は年々向上し ています。 ・ 今後の主だった計上予定物件として、5 つのプロジェクトがあります。既に完売してい る『Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE』は 2017 年に計上を予定しており、や はり完売済みの『Brillia Tower 上野池之端』のほか、現在販売中の『Brillia Tower 代々 木公園 CLASSY』および年明けから販売を開始する予定の『(仮称)一番町プロジェク ト』は、中期経営計画の最終年度となる 2019 年の計上予定です。また、2022 年の計上 に向けて白金の再開発にも取り組んでいきます。 4.事業紹介-3/“第 3 の柱”の事業 ・ アセットサービス事業は、不動産を取得し、リニューアルやリノベーション等様々な手 法により付加価値を高めて再販売することによって利益を獲得する事業です。法人の皆 様に様々な不動産活用の提案をする CRE 戦略提案も行っています。例として、上野に本 店を構える中国料理店「東天紅」様に対し、隣接するゴルフ練習場を活用して新店舗を 建設し、旧本店跡地に当社が『Brillia Tower 上野池之端』を建設するというご提案をし、 双方にとって win-win な取引ができた事例があります。 ・ 駐車場事業では、業界シェアの第 3 位に位置づけられる「日本パーキング(NPC)」を中 心に展開しており、2016 年 12 月末現在 65,000 車室超の駐車場を運営しています。今後 も、M&A を積極的に活用し、事業の拡大を図っていきます。
・ シニア事業では、『Brillia』のブランドで培ったノウハウを活かした住まいづくりと、介 護サービスを提供しています。『グレイプス』というブランドで展開しています。 ・ リゾート事業では、ペットツーリズム(ペットを連れて旅行に行くこと)の流行に着目 し、施設内の全室・全エリアで愛犬と一緒に行動できる愛犬同伴型ホテル「レジーナリ ゾート with DOGS」を展開しています。現在、箱根、軽井沢、富士、伊豆など有名リゾ ートエリアで展開しておりますが、平日でも高稼働率・高単価となっている事業です。 5.株主還元及び株価の推移 ・ 当社は、配当性向 30%を目指して安定的に配当することを基本方針に、株主還元を行っ ています。 2017 年の配当金は、中間配当金 14 円を実施し、期末配当金 14 円を予定し ています。これにより、年間配当金は 28 円を予定しています。今後も利益を伸ばすこ とで配当額を増やし、株主の皆さまに還元していきたいと考えております。 ・ 当社の株価について 2016 年 1 月から 2017 年 6 月末まで見てみると、マンション事業や ビル事業が好調であることから、同業他社と比較して相対的には高いパフォーマンスを 示しながら推移しています。 ・ ただし、2016 年 7 月から 2017 年 7 月までの TOPIX と東証不動産指数(不動産会社の平 均的な株価)および当社株価を比較した場合、直近は当社を含めた不動産会社の株価は だいぶ割安に評価されていることが伺えます。この理由として、当社は 2 つの懸念が潜 在するものと分析しています。 ・ 1 つめの懸念は、東京都心のオフィスビルの大量供給に関する懸念です。2018 年と 2020 年に平均的な供給量よりも多いオフィスビル供給が予定されています。これに伴い空室 率が上昇し、賃料が下落するのではないかという懸念が株価に反映されていると予測さ れますが、この懸念については、次に掲げる 3 つの理由から払拭されてきています。 ・ まず、2018 年と 2020 年は単年度では大量供給となる見込みですが、1997~2016 年の平 均供給量 105 万㎡に対して 2017~2021 年の平均供給量は約 110 万㎡に過ぎず、平均値で 捉えるとほとんど大差のない供給量となります。 ・ 次に、今回の大量供給は大規模な再開発事業が主となるため、既存の建物が取り壊され ることにより、その分の面積が減少します。新しく完成するビルにはホテルや商業施設 が占めるウエイトが多いことを考えると、実際の供給面積はそれほど大きくは無いので はないかと多くのアナリストが分析しています。 ・ さらに、都心のオフィスビルの空室率は、2017 年 5 月末で 3.41%、6 月末で 3.26%とほ とんど空きがない状況です。平均賃料に関しても、2017 年 6 月末で1坪当たり 18,864 円と、42 ヶ月連続で右肩上がりに上昇しています。 ・ 2 つめの懸念は、価格の高騰と人口減少を背景に分譲マンションの需要が減少するとい う懸念です。実際、建築費の上昇とともに郊外の駅から離れた物件では売れ行きが鈍っ ていますが、ダブルインカム(共働き世帯)の増加により、利便性の高い都心型マンシ
ョンに対する需要は高水準で継続しているのが現状で、当社が供給するタワー物件も好 調に販売が推移しています。 ・ 我が国では人口減少が始まっていますが、東京圏については減少ペースが遅く、東京都 区部については 2030 年まで人口が増加し、都心の 3 区については 2040 年に現在よりも 人口が 4 割増えることが予測されています。これが、当社が東京都心にフォーカスして マンション事業を展開する背景となります。 ・ 当社の特長としては、「創業から 120 年培ってきた信頼と実績」、「良質な資産」がある こと、「お客様の様々なニーズに応えられる多彩なメニュー」を持っていること、東京 にフォーカスしながら「話題性の高いプロジェクト」、「成長性に富んだ事業ポートフォ リオ」を構築していきたいと考えています。 ・ 投資家の皆様におかれましては、当社を含めた不動産会社の株式を再評価いただき、分 散投資の一環としてご検討いただければ幸いです。 6.質疑応答 Q1.株主優待については、実施しないのですか。 A1.現在、株主優待は行っていません。当社は株主の皆様に対しての公平性・平等性を大 事に考えているためです。当社が開発・運営する施設をご利用いただくという考え方 もありますが、すべてのエリアに均等に施設が存在しているわけではないので、公平 性が保てなくなります。ご理解を賜れればと思います。 Q2.海外での事業展開については、どのように考えていますか。 A2.日本から距離的に近くマネジメントの行いやすい地域であるアジアをターゲットに海 外事業を展開しています。中国では 2005 年より、中国最大手の不動産会社である「万 科企業」と共同でマンションの開発事業を展開し、これまで 6 都市・9 つのプロジェク トすべてで利益を創出しています。ASEAN では、シンガポールを拠点に、現地の大手 ディベロッパーおよび三井物産株式会社との 3 社共同で建替え事業プロジェクトを展 開しています。アジアの事業については、今後も良質な事業機会を獲得しながら拡大 していきたいと考えています。 Q3.人口減少の中で、住宅需要の収縮が始まっています。その対応策も経営計画に取り入 れていらっしゃるようですが、どのような取り組みか教えてください。また、順調に いっていますか。 A3.人口減少の影響が一番大きいのは住宅事業であるため、当社では経営計画において 3 つの戦略に取り組んでいます。1 つめの戦略は、東京都区部では 2030 年まで人口の増 加が見込まれることに着目し、東京にフォーカスした住宅事業を展開することです。2 つめは、土地を高値掴みすることがないように供給戸数の拡大にとらわれず、良質な
物件に厳選して供給することです。3 つめは、再開発事業や建替え事業においては、土 地の権利者の方と協議して適正な価格で権利を返還する顧客満足度の高い販売を重視 する戦略です。この 3 つの戦略により、人口減少という逆境下でも堅調に住宅事業を 展開したいと考えています。 Q4.資金調達の状況、調達金利、社債の発行状況について教えてください。 A4.低金利下で調達のコストについても期間 10 年の調達で 0.5%を切る水準にあり、金融 機関も財務体質の良い会社に対しては厚遇するので、当社の調達環境は大変に良好で す。今後金利が上がるのではないかという懸念もありますが、当社ではデュレーショ ン(借入資金の残年数)を平均 6.5 年以上と長くしているため、金利が多少変動しても、 クッションは充分に効く安定した資金調達状況を確保しています。 Q5.不動産の販売会社を完全に子会社にするということは考えていますか。そのメリット とデメリットを教えてください。 A5.当社はすでに 2015 年に、東京建物不動産販売株式会社を株式交換で完全子会社化して います。この狙いは、グループシナジーの強化および意思決定の迅速化を図ることに ありました。この過程で住宅販売事業を分社化する議論もありましたが、分社化する と業績優先になり当社の価値である良質な物件取得が阻害されるデメリットがあるこ とから、逆に東京建物不動産販売の住宅販売機能を東京建物に統合し、開発と販売の 連携強化を優先しました。東京建物不動産販売株式会社の子会社化から 3 年が経過し、 当社では製販管一体となった事業体制が確立されているので、東京建物不動産販売株 式会社子会社化の効果は顕著に現れているものと考えます。 Q6.『多摩ニュータウン』の建替え成功のポイントは何なのでしょうか。それによって、御 社の建替えプロジェクトは増えているのでしょうか。 A6.『多摩ニュータウン』には、もともとお住まいの 650 戸近い住民の皆様がいらっしゃい ました。建替えは居住者に生活の変更を余儀なくしますから、当社ではマンション管 理組合の皆様と協調して、開発期間中に居住者のニーズの把握に努めました。管理組 合や居住者と連携してプロジェクトを進めていくことが、成功への大きなポイントに なると考えます。マンション建替えプロジェクトの成功事例として注目を集めたこと から、現在も様々なマンションの住民の方々や管理組合の方々から建替えのお問い合 わせをいただいています。 Q7.J-REIT の投資口価格が下がっていますが、東京建物の株価への影響はありますか。 A7.REIT は、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不 動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する、投資信託と同様の金
融商品です。株価に影響する市場環境などの基本的な要素は不動産ビジネスと同様で すが、REITの場合は賃貸収益が主となるため賃貸マーケットの影響が強く反映され、 株価が下がっているものと思われます。当社はオフィスビル事業以外に住宅事業や商 業施設の開発などにも関わっており、開発した物件は REIT に限らず様々な先に売却す ることも行っているため、当社の株価への影響はさほどないものと考えます。