平成
22
年度
フロンティアプロジェクト
修士学位論文
仮想化技術を用いた安全な無線通信方式の研究
A secure wireless communication system using
virtualization technologies
1115139
傍 士
裕 生
指導教員
清 水
明 宏
2011
年
3
月
4
日
高知工科大学大学院 工学研究科 基盤工学専攻
フロンティア工学コース
要 旨
仮想化技術を用いた安全な無線通信方式の研究
傍 士
裕 生
近年,企業や組織による無線LAN を用いたネットワークの構築が増加している.無線 LANには有線LANによるネットワークの構築に比べて,機器の移動,導入,運用が安価に なるという利点がある.一方,盗聴や改ざん,なりすましといった危険性が存在し,セキュ リティ対策が必要である.セキュリティ対策には費用が必要となるため,安価なネットワー ク構築を行うためには,安価なセキュリティ対策が必要となる.そこで,安価に安全なネッ トワークの構築を実現するための無線LAN通信方式を用いる.しかし,無線LAN通信方 式は動作環境が限定される場合がある.本論では,安全なネットワークの構築を実現する無 線LAN通信方式を動作環境に依存することなく使用可能にする方式を提案し検証する.提 案方式は,仮想化ソフトウェアを用いて動作環境ではない環境上で動作環境を動作させ通信 を実現する.また,仮想化ソフトウェアを用いることで,動作環境が動作しない環境へ容易 に導入することが可能である.検証を行い,異なる動作環境において提案方式が実現可能か 確認した. キーワード 無線通信, ユーザ認証, 仮想化技術Abstract
A secure wireless communication system using virtualization
technologies
Hoji, Yusei
In recent years, the network construction using wireless LAN have been increas-ing in companies and organizations. Wireless LAN is easy to move and inexpensive introduction costs and operation costs than wired LAN. Wireless LAN is the risk of fal-sification and eavesdropping and spoofing. So security is required. Because the security measures required costs, in order to construct an inexpensive network would require expensive security measures. Therefore, the wireless LAN communication method to build secure networks at low cost. However, wireless LAN communication system may not be available depending upon operating environment. Propose a method of A secure wireless communication system using virtualization technologies. And verify system. And, by using virtualization software, which can be easily introduced to the operating environment does not work environment. Verify the feasibility of different operating environments in the verification the proposed system.
目次
第1章 はじめに 1 第2章 無線LANにおけるセキュリティ対策 4 2.1 通信の暗号化 . . . 4 2.2 ユーザ認証 . . . 4 2.3 IEEE802.1X/EAP . . . 5 2.4 組織に適したセキュリティ対策方式 . . . 8 第3章 仮想化 9 3.1 仮想化ソフトウェアの概要 . . . 9 3.2 仮想化ソフトウェア使用の利点 . . . 10 第4章 提案方式 14 4.1 提案方式の構成 . . . 14 4.1.1 使用する仮想化ソフトウェアの条件 . . . 15 4.1.2 実機 . . . 15 4.1.3 仮想マシン. . . 16 4.1.4 実機と仮想マシンの接続 . . . 16 4.1.5 無線LAN通信方式 . . . 16 第5章 検証と考察 17目次 5.1.4 Mac OS Xによる検証を行った構成 . . . 18 5.1.5 Ubuntu Linuxによる検証を行った構成 . . . 19 5.2 検証結果 . . . 20 5.3 考察. . . 20 第6章 おわりに 25 謝辞 26 参考文献 27
図目次
1.1 企業内でのLAN構築状況 . . . 2 1.2 LAN構築企業における無線LAN導入状況. . . 3 2.1 IEEE802.1X/EAPを使用する際の構成 . . . 6 2.2 IEEE802.1X/EAP認証時のダイアグラム . . . 7 3.1 ホストOS型仮想マシン . . . 11 3.2 ハイパーバイザー型仮想マシン . . . 12 3.3 仮想化ソフトウェアの使用例 . . . 13 4.1 提案方式 . . . 15 5.1 Mac OS Xの検証を行った構成 . . . 21 5.2 Ubuntu Linuxの検証を行った構成 . . . 22 5.3 Mac OS Xのプロキシ設定画面 . . . 23 5.4 Ubuntu Linuxのプロキシ設定画面 . . . 24表目次
2.1 EAPを用いたユーザ認証方式. . . 8 5.1 検証に用いた仮想マシンの構成 . . . 17 5.2 VirtualBoxで使用可能なネットワーク機能 . . . 19 5.3 Mac OS X の検証に用いた実機の構成 . . . 19 5.4 Ubuntu Linuxの検証に用いた実機の構成 . . . 19第
1
章
はじめに
近年,図1.1に示すように,企業や教育機関といった組織の多数においてネットワークの 構築が行われている[1].また,図1.2に示すように,ネットワーク構築には電波を用いた 無線通信によりネットワークの構築が可能である無線LAN(Local Area Network)が用い られている[2].無線 LANを用いる場合,従来用いられている有線 LANと比べ,ネット ワークと端末を接続する際LANケーブルを必要としないという特徴がある.そのため,無 線LANを用いることで端末の配置や移動が容易となり,有線LANを用いた場合と比較し 導入,運用に必要な費用を抑制可能である.しかし,企業はネットワークの構築や運用を行 う上でセキュリティ対策に不安を持っている.無線LANは電波を用いるという性質から盗 聴や改ざん,なりすましが発生する危険性がある [3].そのため,情報流出や活動が妨害さ れるといった問題が生じる可能性がある.第2章では,無線LANの安全性を高めるために 用いられるセキュリティ対策について述べる.第3章では,提案方式に用いる仮想化につい て述べ,技術的優位性を示す.第4章では,提案方式である仮想化技術を用いた無線LAN 通信方式を述べる.第5章では,提案方式を検証するため,検証に用いた提案方式の動作環 境やシステム構成を述べ,検証結果を示し考察する.第6章では,本論文のまとめと今後の 課題について述べる.
第
2
章
無線
LAN
におけるセキュリティ
対策
本章では,無線LANにおけるセキュリティ対策である通信の暗号化とユーザ認証につい て述べた後,企業や教育機関といった組織に適したセキュリティ対策方式について述べる.2.1
通信の暗号化
通信の暗号化とは,無線LANにおいて通信の盗聴や改ざんを防ぐため用いられる対策で ある.通信を暗号化した場合,やりとりをする情報を鍵と呼ばれる情報によって暗号化し, 送信先で復号を行う.そのため,鍵を知らなければやりとりをしている情報は解読不可能で あるから盗聴を防ぐ.また,通信の途中で情報を書き換えることことが不可能となるため改 ざんを防ぐ.鍵が流出すると,安全な通信が行えなくなるため,鍵の管理を適切に行うこと は重要である.2.2
ユーザ認証
ユーザ認証とは,ネットワークにおいて通信のなりすましを防ぐために用いられる対策で ある.無線LANによってネットワークを構築する場合,通信を行う対象が物理的に結びつ いていないため,有線LANの場合に比べて,ネットワークに接続する資格を有するか検証 する必要がより高まる. ユーザ認証では,ユーザIDとパスワードの組み合わせや,証明書 を用いて,ユーザの正当性を認証する.2.3 IEEE802.1X/EAP
2.3
IEEE802.1X/EAP
IEEE802.1X とは,通信におけるユーザ認証の規格である.IEEE802.1Xは有線LAN, 無線LANを問わず用いられる規格であるが,特に無線LANにおけるユーザ認証に用いら れている.EAP(Extensible Authentication Protocol)とは,IEEE802.1Xにおいて認証 機構を提供するためのプロトコルである[4].EAPでは様々な認証方式が使用可能であり, 組織は用途に応じて認証方式を導入する. IEEE802.1X/EAPを使用する際の構成を図 2.1に示す.EEE802.1X/EAPでは,認証 を行う端末上で動作するサプリカント,認証を行う認証サーバ,認証結果を通信に反映する ための認証装置が用いられる.また,証明書を用いてユーザの認証情報の信頼性を高める場 合は,認証局が用いられる.図2.2にIEEE802.1X/EAP認証時のプロトコルを示す.
2.3 IEEE802.1X/EAP
2.3 IEEE802.1X/EAP
2.4 組織に適したセキュリティ対策方式
2.4
組織に適したセキュリティ対策方式
組織に適したセキュリティ対策方式を検討する上で重要な点として,安全性の確保と,導 入と維持に必要な費用が安価であること,そして様々な種類の動作環境に対応することが挙 げられる.安全に通信を暗号化しユーザ認証を行う方法として WPA2 Enterpriseがある. WPA2 Enterprise ではIEEE802.1X/EAPを用いてユーザ認証を行う.EAPでは様々な ユーザ認証方式が使用可能である.表 2.1にEAPを用いたユーザ認証方式の比較を示す. ユーザ認証を行う場合,安全性を高めるためにユーザ認証へ証明書を用いると認証局が必要 である.認証局を導入,維持するためには追加の費用が必要となるため,認証局を設置する ことなく安全なユーザ認証が可能なことが望ましい. 認証局を必要とせず安全なユーザ認証を実現する方法として,認証にワンタイムパスワー ド[5]を使用するものがある.ワンタイムパスワードはほげほげもげもげであるため,認証 局の設置が不要である.ワンタイムパスワード認証方式を用いたIEEE802.1X/EAPのユー ザ認証方式としてEAP-IPNがある.また,EAP-IPNはユーザ認証に用いるワンタイムパ スワードを通信の暗号化における鍵にする.そのため,鍵が安全に取り扱われ安全な通信, ユーザ認証を同時に実現する方式である.しかし,EAP-IPNは特定の動作環境以外でサプ リカントが動作しない.特定の動作環境外であってもEAP-IPNを使用可能にすることで, より多くの組織に安全で安価なセキュリティ対策方式を導入することが可能となると考えら れる. 表2.1 EAPを用いたユーザ認証方式 認証方式 サーバ認証方法 認証局 なりすまし EAP-FAST ユーザ名/パスワード 不要 可能 EAP-TLS 証明書 必要 不可能 EAP-IPN ユーザ名/ワンタイムパスワード 不要 不可能
第
3
章
仮想化
本章では,提案方式に用いる仮想化ソフトウェアについて述べる.仮想化ソフトウェアの 概要を述べた上で,仮想化ソフトウェアを用いる利点を述べる.3.1
仮想化ソフトウェアの概要
仮想化ソフトウェアとは,仮想マシンを作成,動作させるために用いられるソフトウェア である.仮想化ソフトウェアを用いることで,端末上に独立した異なるOSを同時に動作さ せることが可能となる.仮想化ソフトウェアによって動作する仮想マシンには,ホストOS 型,ハイパーバイザー型がある[6].ホストOS型は図のようにホストOSと呼ばれる実機 上で動作するOS上でさらにゲストOSを動作させる方式である. ハイパーバイザー型は,図のようにハイパーバイザーと呼ばれるハードウェアと仮想マシ ンを仲介するシステム上でゲストOSを動作させる方式である. 近年,端末の性能が向上していることから,一つの端末上で複数の OS(Operating System)を利用する需要がある.このような場合,通常ホストOSを使い,ゲストOSを補 助的に使用するような場合はホストOS型の仮想化ソフトウェアが使用される.図にホスト OS上で複数のゲストOSが動作している例を示す.一方,サーバのような並列して複数の3.2 仮想化ソフトウェア使用の利点 ン上で制御するかを選択可能である.
3.2
仮想化ソフトウェア使用の利点
仮想化ソフトウェアを使用する利点として,従来使用しているOSに大幅な変更を加える ことなく,従来動作が不可能なアプリケーションや周辺機器の制御が可能となるということ が挙げられる.そのため,仮想化ソフトウェアを使用することによって,アプリケーション や周辺機器の動作可能な環境が拡大できる. また,仮想化ソフトウェアが動作可能な環境であれば,環境が異なったとしても同様の動 作環境を提供可能であるという利点も挙げられる.そのため,動作環境の導入が容易に行 える.3.2 仮想化ソフトウェア使用の利点
3.2 仮想化ソフトウェア使用の利点
3.2 仮想化ソフトウェア使用の利点
第
4
章
提案方式
本章では,従来動作が不可能な環境において,無線LAN通信方式を動作可能にするため の提案方式を示す.4.1
提案方式の構成
提案方式は仮想化ソフトウェアを用い,無線LAN通信方式が使用できない動作環境上に 無線LAN 通信方式が動作可能な環境を構築するものである.提案方式の構成を示す.図 4.1が提案方式の全体構成である. 使用する環境に仮想化ソフトウェアを用いて仮想マシン環境を構築する.構築した仮想マ シン環境上に無線LAN子機を制御するためのOSを導入する.無線LAN子機アダプタに よって無線LAN親機との通信が行われる.仮想マシン環境と使用している環境間の通信は, 仮想マシンの制御アプリケーションにより2点間に限定された通信として用意される.無線 LAN子機を制御するOS上にproxyサーバを構築する.使用環境上でproxyサーバの使用 設定を施すことで,使用環境上の通信は仮想マシンにより制御される無線LAN子機を経由 した通信となる.4.1 提案方式の構成 図4.1 提案方式
4.1.1
使用する仮想化ソフトウェアの条件
提案方式に使用する仮想化ソフトウェアの条件を示す.本提案方式では無線LAN 通信 を行う際に,無線LAN通信端末そのものを直接制御する必要がある.そのため,USB2.0 ポートを仮想マシンから直接制御可能な仮想化ソフトウェアである必要がある.そして,仮 想マシンと実機間を安全に接続するため,2点間に限定した通信が行える必要がある.4.1.2
実機
提案方式に使用する実機について示す.実機とは使用者が直接操作することになる端末で ある.提案方式に使用は実機上に仮想化ソフトウェアによって仮想マシンを構築する.実機 上で動作する仮想マシンは無線LAN通信方式に対応するため.Windows OSで動作する.4.1 提案方式の構成
4.1.3
仮想マシン
提案方式で構築する仮想マシンについて示す.提案方式は無線LAN 通信方式を行うた めに動作可能な環境を構築するため仮想マシンを構築する.従って,仮想マシンは動作環 境となるOS が導入可能である必要がある.そのため,仮想化ソフトウェア上で動作する OSとして,現在もっとも使用されているWindows OS(Windows XP,Windows Vista, Windows 7)が動作できる必要がある.また,仮想マシンには仮想化ソフトウェアの項目で 記述した機能の他に記憶領域,ディスプレイアダプタが最低限必要である.
4.1.4
実機と仮想マシンの接続
実機と仮想マシン間の接続について条件を示す.本提案方式では,実機で行う通信は仮想 マシンが制御する無線LANによって行われる.そのため,実機と仮想マシン間での通信の 安全性が提案方式の安全性に対して重要な要素である.本提案方式では実機と仮想マシン間 の接続は2点に限定した通信として実現し,外部から通信が不可能な形を取る.これによ り,実機上で無線LAN通信を行う場合と同等の安全性が確保可能である.4.1.5
無線
LAN
通信方式
本提案方式は,動作環境が限定される無線 LAN通信方式を動作環境以外で動作可能に する方式である.したがって,提案方式は使用する無線LAN通信方式を特定の方式に限定 しない.しかし,安全な無線 LAN通信という点から考えると,本論文で議論したように EAP-IPNを無線LAN通信方式として用いることが望ましい.第
5
章
検証と考察
本章では,提案方式の検証に用いた構成と検証結果を示し,考察を述べる.
5.1
検証の概要
提案方式の検証として,Mac OS XとUbuntu Linuxの2つOS上で提案方式を実現し, 動作検証を行った.また,異なるOSで同一の仮想マシンが使用可能か確認を行った.
5.1.1
検証に用いた仮想マシンの構成
提案方式の検証に用いた仮想マシンの構成を表5.1に示す.仮想マシンで動作させるOS には多数の無線LAN通信方式のサプリカントの動作が可能なWindows XP SP3を用いた. そして,ProxyサーバとしてANHTTPD Server 1.42pを用いた[9].仮想マシンから制御 するUSB無線LANアダプタとして,PCI GW-US54GXSを用いた.
表5.1 検証に用いた仮想マシンの構成
5.1 検証の概要
5.1.2
使用した仮想化ソフトウェア
使用した仮想化ソフトウェアについて示す.検証には,VirtualBox4.0.4[7]を用いた.また, USB2.0機器を制御可能にするため,VirtualBox 4.0.4 Oracle VM VirtualBox Extension Packを導入した.
5.1.3
実機と仮想マシン間の接続
実機と仮想マシンの間の接続について示す.表5.2にVirtualBoxの提供するネットワー ク機能を示す.ブリッジアダプタは,実機と同様に仮想マシンを取り扱う場合に用いる. NATは仮想マシンから外部に接続可能だが,実機から仮想マシンに接続不可能にする場合 に用いる.内部ネットワークは,外部や実機から仮想マシンに接続出来ず,複数の仮想マシ ンによるネットワークを構築する場合に用いる.そして,ホストオンリーアダプタは,外部 からの接続が出来ず,実機と仮想マシン間のみ通信可能にする場合に用いる.検証を行った 構成では,ホストオンリーアダプタを選択した.そのため,実機と仮想マシン間の通信は2 点間に限定された通信となる. そして,実機の通信が仮想マシンを経由するために,実機上のネットワーク設定から HTTP Proxyの設定を変更し,通信が仮想マシンを経由するようにする.5.1.4
Mac OS X
による検証を行った構成
Mac OS Xによる検証を行った構成を図5.1に示す.また,検証に用いた実機の構成を表 5.3に示す.検証では,Windows OSの動作環境をWindows OS以外で動作させることから,Mac OS Xを使用できる端末を検証環境に選択した.
5.1 検証の概要 表5.2 VirtualBoxで使用可能なネットワーク機能 名称 外部からの接続 実機と仮想マシン間の限定接続 ブリッジアダプタ 可能 不可能 NAT 不可能 不可能 内部ネットワーク 不可能 不可能 ホストオンリーアダプタ 不可能 可能 表5.3 Mac OS X の検証に用いた実機の構成
CPU 2.93GHz intel Core i7 メモリ 16GB 1333MHz DDR3 OS Mac OS 10.6.6
5.1.5
Ubuntu Linux
による検証を行った構成
Ubuntu Linuxによる検証を行った構成を図5.2に示す.また,検証に用いた実機の構成 を表5.4に示す.検証では,Windows OSの動作環境をWindows OS以外で動作させるこ とから,Ubuntu Linux[8]が使用できる端末を検証環境に選択した. 表5.4 Ubuntu Linuxの検証に用いた実機の構成5.2 検証結果
5.2
検証結果
検証により,Mac OS X,Ubuntu Linux共に提案方式を用いることでHTTP通信が可 能であることを確認した.この通信は,実機と仮想マシン間を限定された接続によって通信 されており,仮想マシン上で動作するOS上で制御された通信機器によって行われている. 実機と仮想マシン間の通信は安全に行えることから,実機上で通信が行える場合と比較し, 安全性に違いはない.このことから,提案方式は安全であると言える.また,用意した仮想 マシンはMac OS XとUbuntu Linuxいずれの動作環境上でも正常に動作することが確認 できた.
5.3
考察
提案方式を実現し,動作検証を行った.検証結果から本提案方式が無線LANによる安全 なネットワークの構築を実現することを示した.また,今回は2つのOSでの検証を行った が,提案方式が特定の環境に対して動作可能かどうかは,仮想化ソフトウェアの動作環境に 依存するため,提案方式は今回検証を行った構成以外でも使用する仮想化ソフトウェアが動 作可能な環境であれば適応可能と考えられる.さらに,仮想マシンは検証するOSに依存す ることなく同一のものを使用可能であったことから,導入に必要な作業は仮想化ソフトウェ アの設定のみであると言える.そのため,提案方式は,導入が容易であると言える.しかし ながら,今回の検証では,通信の安全性及びHTTP通信の可否しか検証をしておらず,通 信速度や提案方式を実現するための端末の性能について議論をしていない.5.3 考察
5.3 考察
5.3 考察
5.3 考察
第
6
章
おわりに
本論文では仮想化技術を用いた安全な無線LAN通信を実現するための方式について述べ た.成果として従来,安全な無線LAN方式が限定された動作環境においてのみ使用可能で あった点について,動作環境の対象外であっても,無線LAN通信方式を使用しネットワー クに参加することが実現可能なことを示した.システムの利用条件が緩和されることにより 安全な無線LANネットワークの構築が実現容易になる. 今後の課題として,仮想マシンの導入を単純化し,導入コストを低減させる必要がある. また,処理負荷を検証し,低性能な端末でも利用可能にする必要がある. 最後に,今後の展望として提案方式の動作環境の拡大が挙げられる.今回検証を行った動 作環境外であっても,仮想化ソフトウェアが動作可能であれば提案方式を適応可能であるか ら,無線LAN方式を使用可能になる動作環境が拡大できる.謝辞
本研究の遂行と論文作成にあたり,ご指導,ご助言をいただきました高知工科大学フロン ティア工学コース清水明宏教授に心から感謝し御礼申し上げます. 本研究の副査をご担当いただきました渡邊法美教授,村上雅博教授に御礼申し上げます. また,本研究において御指導,御助言頂いた妻鳥貴彦講師に御礼申し上げます.さらに,研 究活動に暖かい励ましの言葉をくださった高知工科大学OB寒川剛志氏に感謝いたします. そして,研究活動を支えてくださった高知工科大学清水研究室の皆様に御礼申し上げ ます.参考文献
[1] 総務省,“平成21 年通信利用動向調査報告書(企業編),” 通信利用動向調査,p.1, 2010.
[2] 財団法人インターネット協会, “インターネット白書2009,”株式会社インプレス R&D, 2009
[3] 加藤聰彦, “無線LAN セキュリティ―次世代技術IEEE 802.11iとWPA の実際,” 構 造計画研究所,2006/02/10.
[4] Aboba, B., et al. “Extensible Authentication Protocol(EAP)”. RFC 3748, June 2004.
[5] T.Tsuji, A.Shimizu, “A one-time password authentication method for low spec machines and on internet protocols,”IEICE Trans.Commun., vol.E87-B, no.6, pp.1594-1600, 2004.
[6] 島崎聡史,吉田佳宏,ビーナス・テクノロジィズ, “サーバ管理者/システム開発者のため の仮想化技術徹底活用,” 秀和システム, 2008
[7] オラクル, VirtualBox, http://www.virtualbox.org/.
[8] Canonical Ltd. / Ubuntu Foundation, Ubuntu, http://www.ubuntu.com/ . [9] 中田 昭雄, ANHTTPD Server, http://www.st.rim.or.jp/ nakata/ .