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「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

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Academic year: 2021

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(1)

23.法人所得課税

23.1 法人税(法人所得課税)の意義

法人擬制説=法人は株主の集合体 ⇒ 法人税は株主に対する所得税の前取り(源泉徴収) ⇒ 法人税と配当課税の存在は二重課税(統合の必要性) ⇒ 配当控除制度 法人実在説=法人は個人から独立した存在 ⇒ 法人税は法人自体が有する担税力を前提にした租税 シャウプ勧告=法人擬制説 二重課税調整方式=① 配当控除制度(配当所得の一定割合を税額控除) ② 法人間配当益金不算入制度 ③ インピュテーション方式(法人税加算調整)

23.2 法人所得と経常利益

<経常利益(企業会計)> 目的=株主や債権者などの利害調整 & 経営情報の開示 営業費用=売上原価+販売費+一般管理費(減価償却費は営業費用に含まれる。) 営業利益=売上-営業費用 営業外収益=受取利息+受取配当+資産評価益+etc 営業外費用=支払利息+資産評価損+etc 経常収益=売上+営業外収益 経常費用=営業費用+営業外費用 経常利益=経常収益-経常費用 <法人所得> 目的=適正(公平&中立)な課税を実現するための課税標準 法人所得(課税所得)=益金-損金 益金=経常収益-資産の評価益-受取配当+etc 損金=経常費用-資産の評価損+特別償却+etc <減価償却制度> 減価償却資産=時間の経過とともに価値が減少する資産 (例) 建物、機械など 減価償却制度=減価償却資産の取得価額を使用する年数にわたって費用配分する制度 特別償却=設備導入後の早期に通常の減価償却費を超えて認められる減価償却費 (問題23-1)資産の評価益(評価損)が法人所得に算入されない理由について検討しなさい。

(2)

<日本の法人所得課税> t

Y

=t年度の法人所得 t

A

=t年度の法人事業税額 1 

t t t

Y

A

B

:t年度の法人税の課税標準 (23-1) 2008 年 1 月現在 課税標準 税率 税額 国税 法人税

B

t

[

Y

t

A

t1

]

t

1(=0.31) t

B

t

1 地方税 法人住民税

t

1

B

t

t

2(=0.1732)

t

2

(

t

1

B

t

)

法人事業税

B

t

t

3(=0.0963)

[

]

3 t t

t

B

A

<法人所得課税の実効税率> t

T

t

1

B

t

t

2

(

t

1

B

t

)

t

3

B

t(=法人税額+法人住民税額+法人事業税額) t t

Y

T /

=(t 年度の)法人所得課税の実効税率 1 

t t

B

B

であれば、

B

t

Y

t

A

t1

Y

t

t

3

B

t1

Y

t

t

3

B

t (23-2) であるから、

Y

t

(

1

t

3

)

B

t (23-3) となる。したがって、 3 3 2 1 3 3 1 2 1

1

)

1

(

)

1

(

)

(

t

t

t

t

B

t

B

t

B

t

t

B

t

Y

T

t t t t t t

(23-4) となる。そして、2008 年 1 月現在では

t

1=0.3、

t

2=0.173、

t

3=0.096 であるから、

0

.

4087

096

.

0

1

096

.

0

)

173

.

0

1

(

3

.

0

1

)

1

(

3 3 2 1

t

t

t

t

Y

T

t t (23-5) である。 (問題23-2)

B

t

B

t1のとき、法人税の実効税率

t

1

B

t

/

Y

tが約27.37%、法人住民税の実効 税率

t

2

(

t

1

B

t

)

/

Y

tが約4.74%、法人事業税の実効税率

t

3

B

t

/

Y

tが約8.76%である ことを確認しなさい。 <法人所得課税の国際比較(2008 年 7 月現在)> 国 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 法人所得課税 の実効税率(%) 40.68 40.75 30.00 29.83 33.33 (出所)財務省ホームページ (注1)アメリカの実効税率は地方税(州法人税)がカリフォルニア州の場合について計算している。 1 資本金 1 億円以上の普通法人に課される税率。 2 道府県民税と市町村民税の標準税率はそれぞれ 5.0%と 12.3%である。 3 資本金 1 億円以上の普通法人の(年)400 万円までの法人所得に対する標準税率は 5.0%、400 万円超800 万円以下の法人所得に対する標準税率は 7.3%、800 万円超の法人所得に対する標 準税率は9.6%である。したがって、以下で計算される実効税率は、800 万円超の法人所得に 対するものである。

(3)

23.4 法人(所得課)税と設備投資

法人(所得課)税、特別償却などが設備投資にどのような影響を与えるかを検討しよう。(新 しい)機械1 台の購入価格を

p

、(1年間での)真の経済的減価償却率を

とする。したが って、真の経済的減価償却(定額減価償却)は

p

となる。また、利子率(年利)を

r

とする。 <機械の中古市場とレンタル料> 中古機械の市場が存在しているとすると、1 年経過すると機械の価値が

p

だけ低下して、

p

)

1

(

になる。したがって、リース会社が借り入れで資金調達して、新しい機械を

p

で 購入してレンタルし、1 年後にレンタル料

x

を受け取るとともに、1 年後にその機械を中古 市場で売却すると、受け取る金額は

x

(

1

)

p

であり返済する元利合計は

(

1

r)

p

である。 つまり、利益は

x

(

1

)

p

(

1

r)

p

(23-6) となる。そして、リース業界が競争的であれば利益がゼロとなるようにレンタル料

x

が決ま ることになるので、レンタル料は

x

(

r

)

p

(23-7) と定まることになる。 (問題 23-3)リース会社のレンタル料収入、機械を中古市場で売却するときに生じるキャ ピタル・ロス、資金調達コストという概念を用いて(23-6)を導出しなさい。 <機械をレンタルした場合> 機械1 台による経常収益(=益金)を

R

とし、営業費用は簡単化のためゼロとする。法人 税が存在しない場合は、企業の利益

R

(

r

)

p

(23-8) である。したがって、

R

(

r

)

p

⇒ 機械をレンタルする。 (23-9a)

R

(

r

)

p

⇒ 機械をレンタルしない。 (23-9b) ということになる。 (問題23-4)(23-9)より利子率

r

が上昇すると設備投資がどのような変化するかを検討しな さい。 税率

t

の法人税が存在する場合においても、レンタル料が全て費用(=損金)として考慮さ れるならば、企業の税引き後利益

(

1

t

)

R

(

r

)

p

(23-10) である。したがって、法人税の存在は機械のレンタル行動に影響を与えないことになる。 (問題23-5)法人税の存在は機械のレンタル行動に影響を与えない理由を説明しなさい。

(4)

<機械を購入(設備投資)した場合> 法人税が存在するもとで、①設備投資と資金調達行動の関係、②設備投資と減価償却制度 の関係について検討しよう。 ① 設備投資と資金調達行動 資金調達の手段は負債(借入&社債発行)による調達と自己資本(株式発行&内部留保) による資金調達に大別できる。そして、損金として考慮できるのは負債で調達した場合の 利子支払だけであり、自己資本で調達した場合の機会費用(=自己資金を運用したときに 得られる収益)を考慮することができない。このような資金調達コストに関する取り扱い の差が、設備投資行動に対して資金調達方法を非中立的にしていることを以下で示そう。 負債(=借り入れ)による資金調達比率を

とすれば、負債による資金調達額は

p

であり、 損金に考慮される利子支払額は

r

p

となる。 機械を購入した場合の法人所得(課税所得)はRr

p

pとなるので、法人税額は t(Rr

p

p) (23-11) である。したがって、税引き後利益

R

(

r

)

p

t(Rr

p

p)

(

1

t

)

R

(

r

)

p

tp(1

)r (23-12) となる。たとえば、資金を全て負債で調達している(

1

)場合は(23-12)は(23-10)に一 致するので、法人税の存在は資金調達行動に対して中立的である。しかし、負債での資金 調達を(

を)減少させると、(23-12)の右辺の値が減少するので設備投資行動が抑制され ることになる。言い換えると、法人税が存在するもとで、利子支払だけが損金への算入を 認められている場合は、資金調達手段を負債によるものへと誘導する効果を持っているこ とになる。 ② 設備投資と加速度減価償却の関係 損金に参入できる減価償却費は、政策的に真の経済的減価償却とは異なるパターンで参入 することが認められることがある。たとえば、真の経済的減価償却のパターンが毎年

p

ず つ1/

年間にわたって償却されていく場合に、加速度的に毎年

a

p

ずつ1/(a

)年にわたっ て償却されるとして損金への参入が認められることがある(

a

1

)。すなわち、どちらの減 価償却のもとでも償却される費用の合計額は同じであるが、加速度減価償却のほうが設備 投資実施後に減価償却される時点がより早くなるわけである。なお、以下では簡単化のた め資金は全て負債で調達されているとする(

1

)。 (問題 23-6)

0

.

2

のとき、加速度減価償却が実施されないときと、実施されるとき (

a

1

.

25

)で減価償却の年数はどのように変化するか。

(5)

機械を購入した場合に損金に参入される減価償却費は、1 年目から1/(a

)年目まではa

p であり、1/(a

)1年目から1/

年目まではゼロとなる。したがって、法人所得(課税所得) は 1 年目から1/(a

)年目まではRrpa

pであり、1/(a

)1年目から1/

年目までは p r R ということになる。なお、以下では簡単化のため

1/2の場合に着目して、a1の ケースとa2のケースを比較検討する。 真の経済的減価償却(a1)のケース: 1 年目の税引き後利益

1と2 年目の税引き後利益

2は一致して

2R(r1/2)pt(Rrpp/2) (23-13) となる。このとき、2 年間にわたる税引き後利益の割引現在価値は r     1 2 1

t

R r p

r (1 ) ( 1/2) 1 1 1            (23-14) である。したがって、法人税と減価償却制度の存在は設備投資行動に対して中立的である。 加速度減価償却(a2)のケース: 1 年目の税引き後利益 a 1

1aR(r1/2)pt(Rrpp)=(1t)

R(r1/2)p

tp/2 (23-15) であり、2 年目の税引き後利益 a 2

2aR(r1/2)pt(Rrp)=(1t)

R(r1/2)p

tp/2 (23-16) となる。すなわち、加速度減価償却は1 年目の税引き後利益をtp/2だけ増加させるととも に、2 年目の税引き後利益をtp/2だけ減少させる効果をもつことになる。そして、1 年目の 増加分と 2 年目の増加分が同じということは加速度減価償却が設備投資行動に与える影響 がないということであろうか。その点を確認するために、2 年間にわたる税引き後利益の割 引現在価値aを求めてみると r a a a     1 2 1

t

R r p

r (1 ) ( 1/2) 1 1 1            + 2 1 tp r r  (23-17) である。したがって、加速度減価償却のもとでの税引き後利益の割引現在価値のほうが、 真の経済的減価償却のもとでの税引き後利益の割引現在価値よりも大きいことになる(a >)。すなわち、加速度減価償却制度は設備投資を促進する効果をもつことになる。 なお、この加速度減価償却は 1 年目に納めるべき法人税を無利子で延納することを許す制 度として理解することも可能である。1 年目に猶予された納税額tp/2を2 年目に利子を付 けて納税するとすれば(1r)tp/2だけ納税する必要がる。しかし、それをtp/2だけの納税 で済ませてもらえたということは、rtp/2だけの利子支払を免除されたと理解することがで きる。そして、これを現在価値で評価すると 2 1 tp r r   ということになる((23-17)を参照)。

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