埋学療法 学 第
38
巻 第6
号421
〜
435
頁 (2011
年 )研 究
論
文
理
学療法 分
野
に
お
け
る
英 語
専
門
語
彙
抽 出
と
そ
の
特 性
*(
ESP
語
彙 )
の
宮 本 祥
子
1
)#五 百
蔵 高浩
2
)宮 本 謙
三1
)宅 問
豊
D
井
上
佳 和
1
)竹 林 秀 晃
1
)岡 部 孝
生
1
)滝 本
幸
治
1
) 要 旨【
目的1
本 研 究は,
理 学療 法 士 養 成 課程の英 語教 育を.
ESP
(
Eng
]ish
for
Specific
Purposes)教育
の下位分
野の ひ とつ に
位
置付
け,
合理的根拠
を備 えた専門英 語教 育の内容 構 築 を行 うための基 礎 的 分 析 を行 うこと を 目 的とする。
【
方 法】
リハ ビリ テー
シ ョ ン・
理学 療法 専
門学 術 雑 誌が対象
の学 術 論 文コー
パ ス (397,
874
語 ) と,
理学療
法 教科
書(
概 論書 ) が 対象
の教 科 書コー
パ ス (546
,
666
語 )を構 築し,2
種 類のコー
パ ス の語 彙 的特 性 を分析
し た。
ま た,
各コー
パ スから理 学 療 法 分 野の専 門 的語 彙 を抽 出し,
理 学 療 法ESP
語 彙 表 を構 築 したe【
結果1
他 分 野の学 術的テクス ト と比 較 し,
2
種 類の コー
パ ス の両方で,
専門 的語 彙が多用 さ れ る傾 向が 強 かっ た。 各コー
パ ス の専 門的 語 彙は,
理学療 法の業 務 内容を よく反 映しており,8
割以 上の単 語が ど ち らの コー
パ スでも出現し ていた。
ESP
語 彙 表には1
β00
語 が お さめられた。 【結 論12
種 類の コー
パ ス は概 して質 的に 同様の特 徴をもっ ていた。 語 彙 指導
の際に は,
学
習の負担
を軽減
する 工夫
が必要で あ る と推察
さ れ た。
キー
ワー
ド 英 語 専 門語 彙,
英 語 教 育,
コー
パ ス は じ め に理 学 療 法 分 野にお ける国 際化の波は近
年
もなお高 まっ てい る。
国 際 学 会で の日本 人に よ る演 題 発 表の増 加は無論
の こと1),
JPTA
自身
も国際学
会を招
致運営す
る な ど し,
H
本の学 術 技能
の向
上 と国 際 的 な情報 交換
を盛ん に 促 進してい る こ とは周 知の通 りである。 こ の よう な現 状 にあっ て,
理学療 法
士養
成 課 程に在籍す
る学 生の中
にも 国際 化へ 関心 を寄せ る者
が増 加して きており,
学 内の英 語 教 育へ の ニー
ズ と 重要 性も高まっ て きてい る 2)。
凵本の大 学にお ける英 語教 育 は,
近 年 教 養 課 程にお け る 英語教 育の ように 特 定の 目標 を定めずに 学 習 す るEGP
(
English
for
Genera
]Purposes
)
か ら,
ビ ジ ネス*
Selecting
Technica]Vecabularyin
℃he Fietd oi Physica⊥Therapya皿dDezermining its Characteristics
/)土 佐リハ ビリ テ
ー
ション カ レッジ 理学療法学科 〔〒781−
5103 高 知 県高知 市 大津乙2500−
2)Shok 〔} Miyamoto
,
PT,
MA,
K巳nzD Miyamoto.
PT,
PhD,
Yutaka Takuma
,
PT,
MS,
Yoshikazu InI〕ue,
PT,
MEd,
HideakiTakebayashi
,
PT,
PhD,
Takao Okabc.
PT,
MEd,
Koji’
1’
akirllc〕to.
PT
,
MEd :Departmcnt of Physical Therapy,
Tosu RehabilitationCollege
2 ) 高知 県 立 大 学 文 化 学 部
Takahirc〕Ioroi
.
PhD:Faculty of CulturaL Studies,
University〔,fKochi
# E
−
maiL ptrc.
shoke@tosareha.
ac.
jp(受 伺 日 2011Sf
.
亅月11口/’
妥7理 囗 2011tiA・
7月22日)英 語や科 学 英 語の ように
,
ある特 定の 目的 を もっ て学 習す る
ESP
(
English
for
Specific
Purposes
)
へ と 移行して い く流れ にある
。
こ の傾 向はヨー
ロ ッパ など職業
領 域・
学 問 領 域で異 言 語 間の接 触が多い 国に顕 著であ り,
現在
,
ESP
は 世界 的に英語教 育
の一
分 野 と し て確
立 し た地位
を占
めて いる。 理 学療 法士養成
課 程の英 語 教 育は 依 然 構 成 根 拠に乏しい状 態にあるが.
ESP
の下 位 分野 の ひとつ に位置付
け,
詳
細な分析
結果
に基づ き教育
を展
開してい く必要が あ る。
現 在ESP
研 究では,
各 分 野で の言 語使 用の状 況をコー
パ ス注1>を 構 築 して分 析 し,
各 専 門 分 野で特 徴 的に出 現 す る 語 彙 を,
リス ト と してま と め る 研 究 が多く行 わ れ てい る3
−
5
)。 理 学 療法
分 野におい て も本 分 野に特 徴 的に 出現 する語 彙 (ESP
語 彙 ) を調 査し.
専 門 的 な語 彙 が 如 何なるもの かを 明 らか に し た 上 で,
根 拠
ある専
門英 語教 育
へ と繋 げ
る 必要
が ある 。筆 者
は 理学 療 法 分 野のESP
研究へ の 立脚地 と して,
2007
年の本 誌に拙 稿 「理 学 療 法 教 育にお ける英 語 文 献 読 解のための教 育 語 彙 選 定一
独 自の コー
パ ス分 析を通して一
6)」を発 表 した。 前 稿 で は,
リハ ビ リ テー
ション・
理学 療 法 分野の学 術 雑 誌に 使 用さ れてい る語 彙か らt 中 学 学 習 語 を 除 き頻 度の高い 順 に300
語 を抽出 し た。
そ して,
抽 出さ れ た基 本 的 な語 彙300
語で学 術雑誌の読みが どの程 度 可 能と なる かを調422
理 学 療 法 学 第38
巻 第6
号 査し.
抽 出し た語彙指
導 法と と もに論 じ た。
本 研究では 専 門 的な語 彙へ と分 析を進 展さ せて い く。 今 同,
改め て 学 術 雑 誌 が 対 象の コー
パス と教 科 書(
概 論 書)
を対象
と し たコー
パ ス を構 築し,
理学 療 法 分 野の学 術テ ク ス トに 特 徴 的に出 現 する専 門 的 な語 彙につ いて,
その特 性 を分 析 し た。
分 析の 目 的は次の 三 点である。
第一
は,…
般 英 語と 比較し,
理学 療 法コー
パ スの語 彙が どの様 な特 徴を もつ かを 明ら か にする こ と。 第二 は,
各 コー
パ ス でESP
語 彙 を抽 出し,
コー
パ ス ご とのESP
語 彙の特 性を明
ら か にす
る こと。
第
三 に は,
こ れ ら二点
の分析
結 果に 基づ き 理学 療 法ESP
語 彙 表を作 成 する ことで ある。ESP
語 彙に 関 する研 究に おい て,
特 定分 野の 言語分 析の た め に独 自にコー
パ スを構築
し た の ち,
当該
分 野の 特 徴 語を抽出 し分 析 する手 法と して は,一
般化 し てい る 汎 用コー
パ スや語 彙 表 を参 照 語 彙リス トとし て設 定し,
分 析 対 象の コー
パス の語 彙 と比 較 する方 法が多い。
国 内 に おけるESP
語 彙の研 究では,
大 学 英 語 教 育 学 会 基 本 語 リス トJACET80007
)を参 照 語 彙 リス トと している研 究が散 見さ れ る 8)9)。一
方,
海 外の 研究例 で は,
West
に よ る
General
Service
List
ofEnglish
Words
(GSL
)1e〕と
Coxhead
によるAcademic
Word
List
(AWL
)
m
の両方
,
ま たは どち ら か一
方を参 照 語彙表
に定
めてい る研究
が多
い。 医 学 分 野で は,
医 学 英 語を分析
し たWang
ら3)や公 衆 衛鑑の’
言 語を分 析し たMillar
ら 12)の研 究 がこ の手 法 を採 用 し てい る。GSL
やAWL
を 参照語
彙 リス ト に設 定 する手法
は,
Nation
13 )に よ る学 術 的テ クス トにおいて の語 彙の分 類 方 法に基 盤 を 置い てい る。Nation
は 学 術 的テ クス1
・
に 出 現 す る 語彙を,
高 頻度語C
.
般 英 語),
学 術 語彙,
専 門語 彙,
低 頻 度 語に分 類し た。 その一
ヒで学 術 的テクス ト で は,
高 頻 度 語 (一
般 英 語 )が約80
%程 度,
学 術 語 彙 が10
%程 度,
専門 語彙
が5 〜
10
%程
度を1・
Liめ,
加 えて 低 頻 度 語が5
%程 度の割 合で 出現 する と論じて いる。
高 頻 度 語 (一
般 英 語 )とは,
どの よ うな 種 類の テ ク ス トを 読む際に も高 頻 度に出現 する語で約2,
000
語 あるとさ れ,
英語学
習の最
初の 日標
と な る。
学術 語彙
は,
様
々 な分 野 の学 術 的テ クス トの 中で共 通して高 頻 度に出現 する語と さ れ,
学 術 的テ クス1・
を 読 む 必 要の ある英 語 学 習 者 が,
高 頻 度 語を習 得し たのち学 習 すべ き語彙
で あ る と さ れ て い る。 専 門 語 彙は,
学術的専 門 分 野で 特 徴 的 に 出 現 す る 語 彙で ある。
ESP
語 彙と して,
経済
に特 有の 語,
1
:学 に特有の語,
な ど と して論 じ ら れ るの がこの分 類 に属す る語である。
最 後に低 頻度 語 は,
上 述 した 三つ の語 彙の 分 類のい ずれに も該 当し ない語で あ る。一
般 性が低い語 や,
間 有名詞,
地 名 な ど,
当 該の テクス トに特 有の語が含
ま れ る。
本研究で もGSL
とAWL
を 参 照 語 彙リス ト に 設定し,GSL
とAWL
に掲 載の ない 語 を理 学 療 法 分 野の 専 門 語 彙 と し て 抽 出 する。
この場 合.
専門語 彙とし て議 論の的と なる多 数の語が高 等 学 校 卒 業 までに通 常 遭 遇し ない,
難 易 度の高
い 語と な る 恐 れ が あ る。
し か し,
出 現]pl数
の高
い語
に注目す
る と一
.
般 的な語 彙が分 析 対 象 とな り,
テク ス トの特 徴が消 失して しま うとの主 張が な され てい るこ と を鑑み 14},
理学療 法
分野 の テ ク ス ト に 特 徴 的に 現 れ る語に 分析の重 点を 置 け る手法
を採用 す る こと とした。 方 法1,
コー
パ ス の構 築 学 術 論 文が テク ス ト源と なっ てい る コー
パ ス (re−
search article corpus
,
以 下RA
コー
パ ス とする) と,
理学 療 法の教
科書 (
概 論 書)
が テクス ト源となっ て いる コー
パ ス (以 下,
PT
教 科 書コー
パ ス とする)
の2
種 類を構 築し た
。
RA
コー
パ スの 対象
雑 誌はア メリ カ 理学 療法 協 会に よ る
Physical
Ther
αpy
と,
ア メ リ カ物理医 学リハ ビ リ テ
ー
シ ョ ン ア カ デ ミー
に よ るArchives
ofPhblsical
Medicine
andReh
αbilitation
の2
誌 と し た。
対象雑 誌の決定条 件 は
,
(1
)
学術 団体の機関 誌であ るこ と,
(2
) 特 定 領 域の理 学療 法で は な く広い領 域 をカ バー
し てい る雑 誌で あ ること,
(3
)
月 刊誌で あ る こ と,
(
4
)
インパ ク トファ ク ター
付きである こ と,
(5
) 掲 載 論 文はIMRAD ,
t
.
2)形 式に則っ た論 文で あるこ と とした。
実 際の コー
パ ス の対 象 論 文は,
2
誌の2008
年 版の 各 号に 掲 載さ れ た研 究 論 文のう
ち,
各 号掲
載 順に4
論
文と し た。
これ は,
掲 載
さ れてい る論
文数
の最少
の 月が4
論 文で あっ たこと に よ る。 よっ て,
総 論 文 数は96
論 文となっ た。 他 方,PT
教 科 書 コー
パ ス はO
’Suilivan
andSchmitz
のPhysical
Reh
αbilitation
15)を 対 象 と し た
。
書 籍の決 定 基 準は.
(1
)一
冊で で きる限 り多 くの リハ ビ リ テー
ショ ン領 域の 記述 を 含んでい るこ と,
(2
)どの領 域の 記 述 も,
医 学的な基礎
知識 か ら リハ ビ リ テー
シ ョ ン ま での診 療の流 れ を押さ え て あ る こ と,
(3
)
文章
構成 が,
箇 条 書きの羅 列で は な く文 章 形 式であるこ と,
と し た。
これ は リハ ビ リ テー
シ ョ ン の初 心 者 向 けに,
評 価の た め の基 礎 知 識や治 療 提 供の ノウハ ウ につ いて書 か れ た書 籍 である。
内 容に は研 究 者が研究成 果を発 表
し た記述 は な い 。 これより,
2
種 類の コー
パ スは質 的に異なっ たコー
パ ス であ る と言 える。
な お コー
パ ス は.
「テ キス ト内 部に テキス トを選ぶ基 準 を置 くべ きではない 16)。」とする原 理に則 り構 築し た。
時 流 も含め本 分 野で用い ら れてい る言語の実 態 を 反 映 し た 分 析,
語 彙 表 作 りを行 うた めには,
こ の原理に依るの が より適し た手 法であ る と考え る。
し た がっ て,
最 初 に 対 象 雑 誌と書 籍の選 択 基準を 定 め た 後 は,
コー
パ ス本 体 に対 し 意 図 的 な 操 作は行っ てい ない。
この 結 果,RA
コー
パ ス の対 象と なっ た雑誌,
書 籍の出 版 国 と論文の分 野に は偏 りが 生 じてい る,
、
2
誌の 学 術雑 誌 書 籍はすべ理 学 療 法 分 野にお け る 英 語専 門 語 彙
423
て米 国が出版 国となっ た。
また論 文の 内訳は,
神 経 疾 患 系36
論 文,
骨 関節 疾 患 系26
論文
,
生活環境系
12
論文
,
内 部 障 害10
論 文,
その他12
論 文となっ た。 こ の状 況は,
アメ リカ の理学 療 法が世界の中で も学 術 的に先 駆 的 な立場
にある こと,
リハ ビ リ テー
ショ ンの分 野のう
ち,
ア メ リ カ国内で は神 経系, 骨 関節疾患系が 重 要 視 さ れている こ とを投 影 してい る と考 える。 コー
パス構 築の実 際は,
学 術 論 文 はabstract,
table
,
acknowledgements など を除き本 文の み を抽出 し,
コ ンピュ
ー
タ内に取 り込ん だ。Physic
α1
Reh
αbilitation
も,
各 章の
Figure,
Table,
Box
や,
章の まとめ を記 述したQuestion
f
{〕r review な ど を除き,
本 文のみ を抽
出し て コン ピュー
タ に取 り込んだ。
コー
パ ス と して抽
出 さ れ た テ ク ス トは テキス トフ ァ イル と して保 存し た。
そ して,
これらの テ キス ト ファイルに対 しタ グ付 け プログ ラムで あ るGoTagger
を 用い,
品詞タ グ 付 け と レン マ化(
単 語 の活 用 形 を原 形に戻 すこと)の作 業を行っ た。 さら に,
レ ンマ 化 さ れ たタ グ付 きコー
パスか ら語 彙 出 現 頻 度 表 を 作成 し た。
こ の作 業に はCygwin
とk2editor
の ふたつ の ソ フ トを用いた。2.
分析の手 順D
理学療法
コー
パ ス の特徴
(1
>2
種類のコー
パ ス の概観 分 析の第一
段 階として,
今 回構 築 した2
種 類の理 学 療 法コー
パ ス の 全 般的特 徴と,
一
般 英 語コー
パ ス を 比 較し た 理学療
法コー
パ ス の特 徴を分析
した。
理 学 療 法コ
ー
パ ス の全 般 的 特 徴の分析
で は,
語 彙 的 多 様 性 と自律 的 読 解の た め に必 要 な語 数 を調 査した。
語彙
的多 様
性と は テ クス ト中の語 彙の密
度の こ と で あ り,
密 度が高い ほ ど 読解
の難 易 度 も高 くな る。
指 標に はSTTR
(Standardized
Type
/Token
Ratio
:標 準 化タイプ
・
トー
クン比 ) を 用いる。Tokens
(延べ語 数 ) とは,
コー
パ ス中に出現する 語 を すべ て一
回ずつ数 えてい く数 え方
で あり,
総 単語 数を意 味 する。Types
(
異な り語 数)
と は,
同じ語があれ ば,
そ れ が何 度 出現 して も一
回と し か数えない 数 え方で あ り.
単 語の種 類の数 を意 味 する。
STTR
は,
異 な り 語 数 を 延べ 語 数で割っ た値であるTTR
(Type
/Token
Ratio
)
をコー
パ ス の 最 初 か ら最 後 ま で1,
000
語 ご と に算 出 し,
平 均 するこ とで 求め ら れ る 王7 )。
本研究で は,Mike
Scott
氏に よ るコー
パ ス分 析 ソ フ トWordSmith
でサ ポー
トされて い るSTTR
の計 算 機 能を利 用し た。自律 的読 解と は
,
文 脈におい て単 語の意 味を推 測 しな が らテ ク ス トが読める状 態をい う。 辞 書を用い なくとも 文章
が読め るレ ベ ルで ある。 自律 的読 解のた め に は,
テ クス ト に お け る カバー
率に換 算し た場 合,
95
% の語 彙 を 知っ て お く必 要 が あ る と さ れて い る 18)。
2
種 類の コー
パ ス において.
95
% の カバー
率を達 成 するた めには具 体 的に何語知
っ て おく
必要
がある かを調
査し た。
一
般 英 語コー
パ ス と 比較し た 理学 療 法コー
パ ス の特 徴の 調 査 で は,
理 学 療 法 コー
パ ス とBNC
(British
National
Corpus
)
Le
皿matizedFrequency
List
にお ける 語彙の品詞 別 分 布状 況の比 較 を 行っ た
。
対 照コー
パ ス で あるBNC
Lemlnatized
Frequency
List
はBNC
の 高 頻 度 語の う ち,
頻 度 が800
回以上の もの をレ ンマ化 して ま と め たもの である19)。BNC
は現在
国 際 的に非 常に有
名 な,
計1
億 語か ら な る一
一
般 英 語の大 規 模 汎 用コー
パ ス である。
(
2
)
語彙 (
高
頻度語
・
学 術 語彙
・
理学療法
語)
の分 類方
法と その分
析
分 析の第二段 階では.
2
種 類の理学 療 法コー
パ ス に収 録 され た語 彙の詳 細 な 分析 を行っ た。 まずRA
コー
パ ス,
PT
教科書 コー
パ ス に含ま れ た すべ ての単 語 につ い て,
語 彙 出現 頻 度 表 を構 築し た。 次に2
種 類の コー
パ スにお ける高 頻 度 語 (一
般 英 語 )の出 現 割 合 を調 査 するた め,
構 築
し た語彙
出現 頻度表
の中か らGSL
に掲
載のあ る語 を分離 した。 さら にt
学 術 語 彙の出現 割 合を調 査 する た め,
各コー
パ ス の語 彙 出現 頻 度 表の中か らAWL
に掲 載 のある語 を分 離し た。
最 後に そ れ ぞ れ のコー
パ スに おい てGSL
にもAWL
にも掲 載が な かっ た語 を理学療 法
語 と定め抽出 し た。
そ して,
理学 療 法 語と して抽出で き た 実 際の語 を2
種 類の コー
パ ス間で比 較 し,
各コー
パ ス の 専門的な語 彙の 特 徴を探っ た。
学 術 論 文とい う特 定の ジャ ン ルの英 語は,
独 特のス タ イル をもつ と考 えられが ちである。 本 段 階の分 析に より,
学 術 論 文の英 語 に 特 異 性が認め ら れ る か否
かの確 認 を行っ た。
2
)
理学療 法ESP
語 彙 表の作
成第
・
一
段 階,
第二 段 階の 分析
結 果に基づ き 理学 療 法ESP
語 彙 表 を作 成した。 作 成の方 針は,
既存の専門英 語の 語 彙表
が存 在しない こ とを鑑み,
有 用 性 を 重視
した 基 本 的 な 専 門 語 彙 を 表 と し て ま と め る こ とであ る。
(1
) の分 析に おい て2
種 類の コー
パ ス の質 が 異 なる場 合,
各 コー
パ ス は個 嬲に扱い,
表に掲 載 する語彙
は 別々 に抽
出 す る 必 要 が あ る。
逆 に2
種
類の コー
パ スが類 似していれ ば,2
種
類の コー
パ ス を統合
し,
双 方の コー
パ スに共 通 して出現 する中核 的 な語を抽 出 すれ ばよい。本 稿で は
,
手 順 (1
)に従い理 学 療 法コー
パ スの語彙 的 特 性 を 分 析 し た 結 果に基づき 作 成し た,
理学 療 法
ESP
語彙表
の提 示 まで を結 果の項で提 示 する。ESP
語彙 表
に掲 載
と なっ た実 際の 語彙
の分析と,
語 彙 指 導に対 する示 唆につ い ては,
考 察の項で議 論 する。
結 果1.
堙学療法コー
パス の概 観1
)
2
種
類の コー
パ ス の全般 的特 徴424
理学療法 学 第38
巻 第6
号 表1RA
コー
パ ス・
PT
教 科 書コー
パ ス の語 彙 的 多 様 性 延べ 語数 (Tokens
) 異 な り語 数 (Types
)STTR
(
Standardized
Type
〆Token
Ratio
)RA
コー
パ スPT
教科 書コー
パ ス397
,
874546
,
666
10,
01714,
566
34
.
940
、
6
1ee.
鵬 學o・
ON 呂o.
服 7 の.
◎% 5 疵o懸 5癖.
暴% 40.
o% 30.
雛冤 2v.
o$s 工の 驪 o.
罫騰 a 50 癰 1 pqe t5むG(}‘
「
’
藍
岬
RA二一
バ ヌ一
PT教 科書 ロ屮
パ ス「 z爵ooo 濛 置 図
1
語 彙の順位と カバー
率との関係(
1
)
語 彙 的多様
性RA
コー
パ ス は延べ 語 数(
Tokens
)で397.
874,
異な り語数 (
types)
で10,
017
と なっ た。
よっ てSTTR
は34.
9
であっ た。
PT
教 科書
コー
パ スは,
Tokens
546
,
666
,
Types
l4
,
566
となっ た。 よっ てSTTR
は40.
6
であっ た (表1
>。STTR
はPT
教 科 書コー
パ ス の 方がRA
コー
パ ス よ り も 大 き かっ た。
(
2
)
自律 的読 解の た め に 必要 な 語 数RA
コー
パ ス で は,
異 な り語 数 (types
)で10,
017
語 中2.
741
語で95
% をカ バー
し た。
これ はRA
コー
パ ス全体
の27.
3
%の位 概である。
・
方PT
教 科 書コー
パ ス では,
14
,
566
語 中4
,
107
語で95
%をカバー
した。 これ はPT
教 科 書コー
パ ス全 体の28.
1
%の位 置である (図1
)。 異 な り語 数は単 語の種 類の数 を表 す。
どち らのコー
パ ス にお い て も,
頻度
の 高い約28
%の種
類の語
を習 得 すれ ば自
律 的読 解が 酊能と な ること が確 認さ れ た。
2)
一
般 英 語コー
パ ス と 比較し た 理学療法
コー
パ スの特
徴RA
コー
パ ス,
PT
教 科 書コー
パ ス と,
BNC
との 品 詞 別の 分 布 割 合を 比較 し た。
RA
コー
パ ス とPT
教 科 書 コー
パ ス は非 常に類似 し た 傾向
を示して いる の に対 し,
.
.
一
般 英 語の代 表 的 なコー
パ ス で あ るBNC
は,
理学 療 法 分 野の2
種 類の コー
パ ス と は 違 っ た 傾向
を示 し ていた(
図2)
。
2
.
語 彙の 分 類 (高 頻 度 語・
学 術語彙
・
理学療
法 語)
と種
類 別 分 布 状 況2
種 類の コー
パ スに出 現 する語 を 高 頻 度 語 (…
般 英 語 ),
学 術 語 彙,
理 学 療 法 語に分 類し た (表2
)。
語彙の 種 類 別 分 布割
合に は,2
種
類の コー
パ スに 共 通性が認め ら れ る結 果と なっ た。
学 術 的テ ク ス トで は,
高 頻 度 語 (一
般 英 語)が 約80
%,
専門 語彙が約5
〜
IO
% をpliめる とするNation
の主 張 と比 較 し,
RA
コー
パ ス,
PT
教 科 書コー
パ ス とも,
高頻度 語,
す な わ ちGSL
に も掲 載の あ る語が10
% 以 上低い 割 合に と ど まっ て いた。 反 対に 専 門 語 彙の割 合,
す なわ ち 理 学 療 法 語の 割 合は,
RA
コー
パ ス で22
.
2
%,
PT
教 科 書 コー
パ ス で は24
.
5
% とLO
%以 上 高かっ た。Chung
ら 20) は,
解 剖 学の テ クス ト 中,
GSL
とAWL
に掲 載の ない 語 (本 研 究にお ける理 学療法
語に対 応)
の 割 合が43.
0
% で あっ た と報
告し てい る。
理学 療 法コー
パ スは解 剖学の テクス トほ ど特殊
性は 高 くは ないが,
専門譜彙
が多用 さ れ る 傾向があるこ と が わ かっ た。
3
.
理 学療 法ESP
語 彙 表の作 成RA
コー
パ ス とPT
教 科 書コー
パ スには多数の 共 通点 が認め ら れ た。 本 結果 に基づ き,2
種 類の コー
パ ス を統 合 し た 上で理学 療 法ESP
語 彙 表の作 成を行 うこと と し た。
こ れ より,
学 術 論 文と教 科 書 (概 論書 )とい う異な理 学 療 法 分 野にお ける英 語 専 門語 彙
425
50.
0% 45.
0%40
.
0
% 35.
0% 30.
0% 25.
0% 20.
0%15
.
O
%10
,
0
%5
.
0
%0
.
0
%纏
“ “諮
詑
詮
ボ
ツ
ダ
図2RA
コー
パ ス・
PT
教 科書コー
パス・
使 用さ れ てい る英 語の品詞 名 (略 語 )は,
以下の品 詞を表して い る.
Pt.
,
一
_.
_
篝
や
ゆ 團RAコー
パ ス 囲PT
教 科 書 コー
パス 蠶BNC
BNC
に お け る品詞 別分布 割合n
=
1)oun,
v=
verb,
prep≡
preposition,
det=
determiner,
a=
adjective,
conl=
conjunction,
adv
三
adverb,
to
=
to
,
pron=
pronoun,
modal≡
modal verb,
interjection
=
interjection
,
cd
=
cardina ! number,
fw
=
foreign
word表
2 RA
コー
パ ス・
PT
教 科 書コー
パ スに おける語 彙の種
類 別 分布
延べ 語 数 (tokens)によ る 比較 異な り語 数 (types)に よ る 比 較RA
コー
パスPT
教科書コー
パスRA
コー
パ スPT
教 科 書コー
パ スGSL
にも掲 載のある語AWL
にも掲載の あ る 語 理学療 法 語 合 計 278,
060 (699%>31
,
297
(79
%)88
,
517
(222
%)397
,
874 (100.
0%) 368.
27044
,
528133
β68546
,
666
(67
.
4
%) (8
.
1
%〉 (24
.
5
%) (100.
0%) 2,
]33
(21
.
3
%)679
(6
,
8
%)72e5
(71
.
9
%) 10,
17
(100
.
0
%)2
,
751 (18
.
9
%)744
〔5.
1%)11
,
071
(76
.
0
%) 14,
566 (100
,
096
) る ジャ ン ル のテ クス トにわたっ て出 現 する,
優 先 的に習得
すべ き基 本 的 な語が抽 出さ れ ると考 える。
理 学 療 法ESP
語 彙 表の作 成 手順の 第一
段 階で は,
RA
コー
パ ス とPT
教 科 書コー
パ ス を統 合し た。 統 合 した コー
パ ス の サ イ ズは延べ語 数 (Tokens
)944
,
540
,
異 な り語 数 (Types
)17,
724
であっ た。STTR
は38.
4
であっ た。
第二 段 階で は,ESP
語彙 表
に掲 載 する語の 絞 り込 み を行っ た。
まず統 合 コー
パ ス17.
724
の中 か ら2
種類 の コー
パ ス の両 方で出 現 する,
理 学療 法 語 に分 類 され た 語 を 抽 出した。 さらに語 彙の一
般 性 を確 保 する た め,
Wang
ら3)やChung
20)が 用い た手 法を参照 し,
の条
件に当て は ま る単 語を 除外
し た。
(1
> 度量衡の単 位(
2
)
数 詞,
序数詞(
3
)
固有 名詞(
人名,
地名)
: てい る 人名は 採 用 す る (4
) 略 語 (5
)外 来 語 (6
)一
文字の単語 以 下 病 名,
解剖学用 語 と なっ 理 学 療 法ESP
語 彙 表の た め に抽 出 された語は,
最 終 的に延べ語 数153,
093,
異 な り語 数1,
600
となっ た。1,
600
の 語は 理学 療 法ESP
語 彙に採 用し,
本 論文 の最 後にAppendix
「理 学療法
ESP
語彙 表 」として添付
して いる。 収 録となっ た語 彙に は,
片 方の コー
パ ス で特 徴 的に高 頻 度に出現する語が含 まれ てい る。
これ はJACET80007
),
石川5)の 手 法 を 踏 襲し,
対 数 尤 度が75
以上の語 と基準
を定 め,
Mke
Scott
に よ る コー
パ ス 分 析 ソ フ トWordSlnith
Tools
を 用い該 当 する語 を検 索 し た。 検 索 さ れた語につ い て は語 彙 表の語の横に 記号 を付 与し た。
考 察1
.
理学 療 法コー
パ ス の概 観1
)2
種 類の コー
パス の全 般 的 特 徴2
種 類の コー
パ スは概 して類 似 性 が 高 く.
双 方ともに 学 術テ ク ス トの特 徴を十二 分に有し ていた。 加 えて学 術 論 文コー
パ ス で は,
論 文の文 章 構 成の特 徴 も観 察 さ れ た。
STTR
は,
数 値が低いほ ど語 彙 的 多 様 性が低い こ とを426
理 学 療 法 学 第38
巻 第6
号 意 味している。
す なわち,
多 様 性が低いほ ど 同 じ単語の繰
り返 しが多く
,
テ クス トを読
む た め に知
っ ておくべ き 語 彙数 は 少 な くな る。
書き 言葉の テ ク ス トで は,一
般 的 にSTTR
は40
以 ヒになる とされ てい る21)。PT
教 科 書 コー
パ スのSTTR40 .
6
は,
書 き 言葉の テ クス トの特
微 を 反 映し てい る と考え ら れ た。一
方RA
コー
パ ス のSTTR
は34.
9
と低い 傾 向にある。Fuentes
22) 23)は,
科 学 技 術 論 文で34
.
O
,
ビジ ネス英 語で35
.
47
−・
38.
43
であ っ たと報
告し てい る。
本結
果は専 門 的な語藁
が多
用さ れ,
同じ 単 語が反 復さ れる学 術 論 文の特 徴 を 反 映している と考 え ら れ た。自律 的 読 解の た め に 必 要 な語 数の割 合の分 析か ら は
,
2
種
類の コー
パ ス が ほ ぼ共通 し た性 質を有してい るこ と が明ら か となっ た。 読みを進め る際の出現 頻 度1
頂の語 彙 の順 位と カバー
率の 関係 は,
語 彙 をひ とつ知っ てい るご と にカ バー
率
が数%ず
つ増 えてい くという
直 線的増 加で なく
,・
.
一
定 数の高 頻 度 語が高
い カバー
率を茜め る.
曲 線 的な増 加になる とい わ れて い る。 本 結 果か ら,
双 方の コー
パ ス と もに頻 度の高い 順に30
% 以 下の語 を知
っ て いれば辞書
なしで テ クス トの読解
が 可能
なレベ ル に達
す る こ と が明ら かになっ た。
読 解 力 向上 を 目標に指 導を行 う際に は,
テ クス トに出現 する語 を 際 限 な く習 得させ る の で は な く,
読 解の鍵と な る語を定め,
選定し た 語 か ら 優 先 的に習 得さ せ るべ き で あ る と.
考え ら れ た。
2
)一
般 英 語コー
パ スと比 較し た理 学 療 法コー
パ ス の特 徴一
般 英 語の コー
パス との 品 詞 別 分 布 割 合の比 較で は,
RA
コー
パ ス,
PT
教科 書
コー
パ ス ともに主な特徴
と し て,
代 名
詞が少
ない こ と,
名
詞が多
い こと が挙
げら れ た。 ま た,
副 詞 が 少 ない傾 向 も 認め られ た。 学術テ クス トに お け る代 名 詞の 少 なさ につ い て は,O
’
Keeffe
ら24)に よっ て も 報 告 さ れ てい る。1
人称や2
人称代名詞 を 用い た表 現を避 けた り,
受 け 身を多
用 し た りする こ と に よ り,
動 作 隶 が 不 明 瞭となる書 き言 葉の ス タイルが影響し てい ると考
えら れた。
名詞 が多い根 拠と して は,
学 術テ クス トや専 門 的なテ クス トで は名
詞句 (
ふ たつ 以 上の語 が 集 まっ て ひ とつ の名 詞の働き を してい るもの)の割 合 が高 くな る とさ れ5>24).
本 研 究の コー
パ ス でも,
複 含名詞
や,
形 容 詞に修 飾さ れ る名 詞旬
な ど,
当 該 分 野の専 門用 語が多 用さ れ る 傾向
が あ る と推察
さ れ た。
さ ら に 副 詞が少ない根 拠 と し て は,
学術 論 文 に は 直 接 的 な表現 が多
い と さ れてい るこ と か ら,
文 彩に関係 する副 詞が一
般 英 語より も少 なくな る た め と考え ら れ た。
2
.
理学 療 法語の分析
理 学 療 法 語と して分 類さ れ たの は,RA
コー
パ ス で は 延べ 語 数 (Tokens
)
で88,
517
(
22,
3
%)
,
PT
教 科 書コー
パ ス で は133
,
868
(
24.
5
%)である。
最 初に両 方の コー
パ ス で重複し て 出現 する 語 を分 析した(
延べ 語 数 を基 準 とする)
。
RA
コー
パ ス の理学 療 法 語88
,
517
中77
ユ70
はPT
教 科 書コー
パ ス にも 出 現 する。
その割 合は872
%と なっ た。 またPT
教 科 書コー
パ ス の理学 療 法語133
,
868
中111,
587
はRA
コー
パ ス に も出現 す る。
割合 は83.
4
% となっ た。
どちらの コー
パ ス にも出現 する語の うち,
頻 度の高い 順に上 位120
位 までの 語 を 調 査 し た ところ,
約 半 数の52
語 が 両方の コー
パ ス で120
位 以 内 に 出 現 して い た。
上位120
位 まで の語は1
語 を除 き出 現 頻 度 が100
回以 上 であるの で,
ひ とつ の 目安 とし て 上位120
位を 比較し た。
両方
の コー
パスで 出現す る具 体的 な単 語は次の と おりで あ る。
障 害や治 療に関 する語 など,
理 学 療 法の業 務 内 容 を よく反 映し た語が重 複 して い た。score
,
muscle,
treatment,
analysis,
rehabilitation,
activlty,
intervention
,
ther
且pist
,
therapy
,
movement,
gait
,
functional
,
clinical,
limitation
,
sessめn,
impairment,
hip
,
feedback,
information
,
measurement,
cognitive,
disabil
正ty
,
associate,
玉njtlry,
addition,
finding
,
mobility,
extremity,
response,
recovery,
intensity
,
relationship,
evidence
,
acute,
additional,
symptom,
procedtlre
,
chronic
,
flexion
,
disorder
,
ankle,
diagnosis
,
development,
perceptlon,
examinatjon,
spasticity,
medication,
clinician,
stance,
managernent,
sp 玉na 至,
contractiOn次に
.
RA
コー
パ ス で の み出現する 理学 療 法 語,
PT
教科 書
コー
パ スでのみ出 現 する 理学 療 法 語を分 析し た。
RA
コー
パ ス の理学 療法
語におい ては,
88
,
5
ユ71PIL347
がRA
コー
パ ス で のみ出現 する語であっ た。 その割 合は12,
8
% である。
RA
コー
パ スで の み出現する語に は,
特 定の統 計 手 法 や 研 究 計 画 に 関 す る 語 が多い。
頻 度の高い 順にlt
位30
位ま での語を示 す。beneflciary
,
logistic
,
kappa
,
preterm
,
pucker
,
pretest
,
millimize
,
injurlous
,
pearson,
pos直nterven 廿on,
enrOllment macrovascular,
posttest
Preintervention
,
unmet,
pilot
,
posttreatment
,
nonmobility,
analyte,
seer,
dropout
,
duration,
quintile
,
confounder,
neuropsychologic,
cronbach
,
dutch,
nonhand,
interfere
,
eligibility
一
方,
PT
教 科 書コー
パ ス の理学 療 法 語において は,
133
,
868
中22
,
281
がPT
教 科 書コー
パ ス の み で出現する 語であっ た。 その割 合 は16
,
6
%である。PT
教 科 書コー
パ スでのみ鋤 現 する語は,一
.
一
・
次 医 療や高次脳 障 害に関す る語 な ど理学 療 法の周辺領 域の語が多い。
上位30
位 ま で の語は次の と おりである。理 学 療 法 分 野にお ける英 語 専 門語 彙
427
vatue
,
dysarthria
,
vertigo,
lymphatic
,
hrainstem
,
garment
,
agnosia,
quadruped,
symmetrical,
gradual,
myocardiu 皿
,
topical,
contour,
drainage
,
lymph
.
carotid,
rupture,
thorax,
upholstery,
cleanse,
ulceration,
corset,
fibriilation
,
axillary,
cavityコ
ー
パ スご との話 彙の比 較では,
RA
コー
パス で は論 文の枠 組みを なす 語 がカ バー
される こと,
PT
教 科 書コー
パ ス では,
理学療法
の周辺領 域に位 置 する語までが広 範 囲に カバー
さ れ る こ と が特
徴であっ た。
英語教育
に有
用 な語彙
リス ト を作
成する ことが 目的で ある こと を考
慮し た 場 合,
これ らの語は理 学 療 法の中核 部 分 とは言い切 れ ない範 囲 と なるため,
リス トの語 と して採 用 するに は難 点が あ る と 推察さ れ た。
教 育の場で,
学 習すべ き 語 と し て単 語 を提 示 す る 際 に は,
優 先 度の高い もの と低い もの との差 を明確にする 必 要 がある。
あら ゆ る領 域か ら その 当該領
域 で使
用さ れ る語を際限 な く抽出する と,
学
習 す べ き範
囲が拡 大し,
学 習 者へ の負 担
は 重 くなる一
方
と な る。 た と え ば,
統 計に関 する語と,
語に関連 する知 識と を大 量に学 習 させ ていて は.
統 計に関 連 した語の学 習に 多 くの時 間が費や さ れ る ば か りで,
理学 療 法の代 表 的対 象 疾 患に関 する語の学 習に は到 底 達し得 ない。 語の出現 頻 度や語の 出現 する ジャ ン ル の数は,
理 学 療 法の現 状 を 反映してい る。
理学 療 法の 中核 分野で はない語にまで範 囲を拡
大す
る より.
現状
にあわ せ,
双方
の ジャンル に わ たり普
遍的に出現 する語を ま と める方
が,
英 語 教 育のた め にも有 用 性の高いリ ス トを作 成で きると考 えられ た。3.
統合 コー
パ ス の特 徴 と 理 学療法ESP
語 彙表に お さ まっ た語の分 析1
) 統 合コー
パ ス の特 徴RA
コー
パ ス とPT
教科
書コー
パ ス を ま と め た統 合 コー
パ ス のSTTR
は38.
4
で あ る。
前
述の と お り,
専
門 的なテ クス トで はSTTR
は40
以 下に なる と さ れて い る 2D。 本 研 究で構 築 した2
種 類の コー
パ スを 統 合 して もSTTR
は40
以下に維 持 さ れてい た。 また,
統 合コー
パ ス のSTTR
はPT
教 科 書コー
パ ス のSTTR40 .
6
よ り も小さい。
大 き なコ・
一
一
パ ス で はSTTR
が 小 さくな る傾 向に あ ると する知 見16)と一
致して いた。
統 合し たコー
パ ス のSTTR
は,
コー
パ ス の規模が 大 きく なっ て も,
特 定の語の反 復が多 く なる のみである こ とを示 唆 して い る。
次に統 合コ
ー
パ ス におい て,
自律 的 読解
が 可能
に な る とさ れる95
% をカバー
する語 を抽 出し た。
抽 出さ れ た 語 彙は延べ 語 数 (Tokens
>897,
573
,
異 な り語 数 (Types
)4
,
112
であっ た。
すな わ ち,
コー
パ ス中の17
,
724
種 類の 語の う ち約4,
000
Pt
類の語 を習 得 す れ ば,
文 脈か ら未 知 語 を推測 し な が ら学 術 論 文や教 科 書 (概 論 書 ) を読 み進 め られる こ と となる。Laufer
18) は,
語 彙 項 目に して約
4800
語のサ イズ が読解
に必 要 な語彙
数の臨界
点である と 主張
し,
こ れ を し きい値 語彙 (
threshold
vocabulary ) と呼んだ。
そ して テ ク ス トの読 解におい て は,
し きい値 語 彙 が 達 成 されると,
意 図 的 な 語 彙の学 習の必 要 性 は消 失 してい く と 論 じてい る。
し きい値語彙は 今 回構 築した コー
パ ス でも十 分に有 効で あっ た。2
) 理 学 療 法ESP
語 彙 表におさまっ た語の分 析と教 育へ の示 唆(
1
)
理学療 法
ESP
語 彙
の特徴
統 合コ
ー
パ ス の延べ 語tw
944
,
540
に対し,
理学療 法
ESP
語 彙の延べ語 数は153,
093
で ある。 よっ て統 合 され たコー
パ ス にお ける理 学 療 法ESP
語 彙の 占 有 率 は16,
2
% と なっ た。
理学 療 法ESP
語彙 表に馭め ら れ た 語 彙の特 徴として は,一
点 目として,
下 位 語の数の少 な さが あ げ ら れる
。
下位 語 (hyponym ,
subordinateterm
)は
,
英語学
要語辞
典25)で は次
の よう
に説 明さ れ ている。
下 位
語 (
hyponym
)
subordinate term ともい う
。
上位 語 (hyperonym
) の対 立 概 念で.
ある辞 項,
特に名 詞の意 味a が 「b
お よびc」の よ
う
に連 語 的に言い換 え可能な場 合,
b
もしくはc をa の下位 語とい う。parent
に関しては
.
parent
=‘
father
&mother’
が 成 立 するの で,
father
とmother は と も に上位 語parent
の 下位 語と み な さ れ
う
る。 この よう
に,
ある 上位 語に対し て対 等の 関係にある複 数 個の
一
ド位 語をcoryponyln と 呼ぶ。 辞 書 的 定 義は 属 性 語 + 上位 語’
の形 式を とることが多レ 理 学療法ESP
語彙表 に は,
具 体 的 な身 体 部 位や疾患 を表 すいわ ゆ る下 位 語 が少 な く,
より上位 的 な範 疇の単 語の方 が多い傾 向 がみられる。
た とえ ば,
幾つ かの 単 語 は系統
を表
す 単語で あ る.
そ れ に はmuscle,
pulmonaryt
artery,
nerve など が含 ま れる。 これ らの語は下 位 語と して,
具 体 的 な筋 肉の名 称や器 官の構 成 要 素 を含んでい る。1,
600
語の 中で 下位 語と考
え ら れ る ものは次の語で ある。
hip,
ankle,
diabetes
,
depression
,
inpatient
,
aphas 圭a,
ulcer
,
elbow,
oxygen,
heel
,
pelvis
,
outpatient,
thigh
,
quadriceps
,
supine,
spine,
lymphedema ,
glucose
,
hem
三plegia,
forearm,
osteoporosis,
ievodopa
tetraplegiaataxia
,
corna,
traPezius,
osteonecrosis,
Parkinson,
dorsiflexion
,
paraplegia
,
collagen,
femoris
,
gastrocnemius
,
cerebellum
,
hamstring,
dementia
,
dopa,
osteoarthritis,
dopamine
,
trochanter,
mercury,
squat,
malleolus,
pneumonia
,
scapula,
buttock
,
ultrasound,
asthma,
deltoid
,
femur,
Velcro
,
tibia,
hemoglobin
,
serum,
pharynx
,
spina,
428
理 学 療 法 学 第38
巻 第6
号biceps
,
kidney
Aitchison
261 は,
人が語 彙 知 識を蓄 える際に は語と語 の つ なが り‘
word−
web’
を 作っ て蓄
えてい る と し,
word−
web のう
ちの ひ とつ と して,一
ヒ位 語
一
下 位 語の関 係を挙 げて い る。 理 学 療 法ESP
語 彙に は,
その概 念と して い くつかの要 索 を含む語 が 多い 。 語 彙 を提 示 する際 に は,
語 彙の学 習と専門的知識の整理 が 同時に で き,
語 と語のつ な が りが 理解で き る よう
な語彙
指導
を行 うこ と が有効
である と思 わ れる。 具 体 案と して は,
上に列 挙し た語を刺 激 語と して,
対 等の関 係にある他の語 を 連 想さ せ たり,
刺
激 語 を概 念と し て含
む 上位
の語の連想を さ せ る活 動が可 能であ る。
二 点 目の特 徴は,
身体 部 位の名 称は上 肢に関 する部 位 の名 称 よ り も ド肢に関 した 部 位が多いこ とである。
具体 的に は 以 下 に 示す 単 語であ る。
上肢の 部位の名 称
…
elbow,
forea
エm,
ulnaド肢の部 位の名 称
…
hip
,
ankle,
heel
,
thigh
,
fe
皿oris,
matleolus
,
fen
ユur,
tibia
下肢の
部位
の名
称の多
さ は,
理学療 法
が身体機能
のう
ちで も,
移 動能力を高め る治 療を中心に行っ て い る こと を 反 映 してい る。 身 体 部 位につ い て語 彙 指 導 を行う
際に は,
下 肢 に 関 す る 語 か ら優 先 的 に 教 え る 方 が効 率的 で あ ろう。
(
2
) 統 合コー
パ ス に対 する理 学療 法ESP
語 彙の 占有 率統 含さ れた コ
ー
パ ス の延べ 語 数944
,
540
に対 する理 学 療法
ESP
語彙
153,
093
の占
有率
は,16.
2
% で あ る。
こ れは
,
Wang
ら3)に よ るThe
Me
(lical
Acade
皿ic
Word
List
(
MAWL
)で は12
.
24
%,
Fraser
l4)に よるThe
Pharma
−
cology
Word
List
で は12.
91
%となっ て いるこ とに 比較し や や 大 きい
。
Wang
らのMAWL
では,
単 語の数 え 方 として,
単 語のE
,折 形や一
定レベル の派生形を一
まと め とする ワー
ドフ ァ ミリー
注3)を研 究 対 象コー
パ ス に適 応した 上 で,
ワー
ドフ ァ ミリー
の構 成 語が医 学の32
分 野のう
ち16
分
野 以.
.
ヒ で 出 現するこ と と,
コー
パ ス中 で 少な くとも30
回 出現 するこ と を リス トの語の 条 件と して い る。 また
Fraser
のThe
Pharmac
〔}logy
Word
List
では
,
語の 出 現 頻 度につ い て,
回 数 と して1
図 以L
論 文 数で2
論文 以 上 で 出現 するこ と を条
件と し てい る。
本 研 究で は語 彙を絞 り込 む 際 に,
コー
パ スの内 部を 意 図 的に操 作し ない よう,
語の 出現する 分 野の数や論 文 数の 条 件は設 定してい ない。
理学 療 法ESP
語 彙 表の 占有 率 の大き さ は,
本 研究の絞
り込みの基準
が緩や か であっ た こと が影響
してい る と推 察さ れ た。
し か し,
理 学 療 法 分 野の専 門テ クス ト を,
辞 書な しで読 む ため に知っ ておく べ き語 彙が如何
な る もの かを俯 瞰できる点か ら,
理 学 療 法 分 野に既存のESP
語 彙 表の 存 在し ない 現 状にあっ て は,
本 研 究で定め た基準
を採用する方が語 彙 表の汎用性 が高ま る と考 える。
理 学 療 法ESP
語 彙 表に お さまっ た 語に加 え,
GSL
に も掲
載の あ る語,AWL
に も掲載
の ある語を合 計 する と,
統合 さ れ たコー
パ ス944,
540
語 中の875
,
248
語,
92
.
6
% がカバー
される。
理 学 療 法ESP
語 彙 表はコー
パス全 体 で は16.
2
% し か カバー
し ない が,
理学療法
分 野のESP
語 彙 として習得 すべ き 語彙の具体
的 な 目標になり得ると 考 え る。
な お 文 部科学省 「学 習指導 要 領 』におい て,
高 校3
年 間で学 習 語 彙として提 示 さ れる語 が1,
300 〜
L800
語と さ れ ていること27)を考 慮 すると,
か なり語 彙 数が 多い。
限 ら れ た授
業時
間 内で学
習者
に提 示す る際に は,
理学 療 法ESP
語 彙の中で も頻 度の高い 語やある分 野に のみ関 連 する語へ 予め さ ら に絞 り込みを行
っ て おく
必 要 もあると考 える。
結 論 本 研 究の 目 的 は,
リハ ビ リ テー
シ ョ ン・
理 学 療 法 分野 の学 術 論 文と教 科 書 (概論 書)
か ら独 自にコー
パス を構 築し,
専
門 英語の特 性
を語 彙の観
点か ら明ら か にする と ともに,
理学療
法 分 野の専 門語 彙を抽 出 する ことであっ た。 分 析の結 果2
種 類の コー
パ ス の特 徴に は共 通 点が多 く,
独 特の ス タイル を もつ と考 えら れ が ち な学
術論
文 も,
教科書 と ほ ぼ 類 似 し たス タ イルを もっ てい る こ と が 明ら か になっ た。 理学 療 法の基 本の専 門 語 彙を選 定 する た めには.
普 遍 性の高い 語 を選 定 すべ き と考 え,
2
種 類 の コー
パス の両方に出現する語 彙か ら1
,
600
語を抽 出し,
理学療法
ESP
語 彙表
を構 築し た。
掲 載と なっ た語 彙は高
頻度
語 (一
.
・
般 英語)
や学術 語彙
を学ん だ後,
理学 療 法 のESP
語 彙 として どの よう な 語 を学べ ばよい か,一
定 の 目標 を提示で き たと考 える。
文 献1
) 礼 団法 人H
本 理 学 療 法 士 協 会 :Congress
Rep
〔〕rt.
社 団 法 人 目本 理 学 療 法士協 会ニ ュー
ス.
2007:248;6
−
9
,
2
)飯 田恭 了 :英 語 専 門 領 域の 「ことば 」を学ぶ,
PT
ジャー
ナル.
2008
;42
:596
−
598
.
3
)Wang
J,
Liang
S
,
et α1
.
:Establishment
of a mcdicalacademic word
list
.
English
for
Speci
且cPurposes
.
2008
;
27
:442
−
458
.
4)Mudraya
O
:Engineering English:Alexical
frequency
instructional
model.
English
for
Specific
Purposes
,
2006
;