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第18回日本助産学会学術集会集録ワークショップ (その1)

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1.その 先 の助 産 ケア ー 連 携 か ら生 まれ る母 子 の安 全 保 証

連携から生まれる母子の安全保証

座長 みづ き助産院 神 谷 整 子 東京医科歯科大学医学部附属病院 藤 木 佳 代 子 社 会情 勢 の 変 化 と共 に 、家 族 形 態 が 変 化 し、 少子 ・高齢 化 がす す み 、 人 々 の価 値 観 が 多様 化 した 中 、母 子 を 取 り巻 く環 境 は 大 き く変 わ っ て き た。 ま だ ま だ施 設 分 娩 が 主流 を 占め て い るの が現 状 で あ る が 、 主体 的 に よ り自然 で 自分 な りの納 得 の い くお産 を 求 め 、 ま た理 想 や 快 適 性 を求 め 、お 産 の場 を 自宅 ・開 業助 産院 ・病 産 院 な ど と選 択 して い る女性 や 、 育 児 を継 続 して 支 援 が受 け られ る施 設 に 足 を運 ん で い る母 親 が増 えて い る。 生命 の誕 生 とは 、母 と子 が 暖 か い 家庭 の延 長 上 に生 み 出 され 育 まれ る もの で あ るが 、 どこ の場 所 で どの よ うなお 産 を しよ うが周 産期 管理 は母 と子 の安 全 を考 え た 上 で成 り立 つ こ とは 言 うま で もな い。 助 産 院 で は 、助 産 師 と して正 常 に責 任 を持 つ 。 それ は 、 正 常 か ら逸 脱 し何 らか の 医療 行 為 を必 要 と して い る と助 産判 断 した場 合 、 リス ク が 高 くな らな い うち に嘱 託 医 に産 婦 や 新 生 児 の搬 送 を決 断 す る こ とが重 要 で あ る。 こ の こ とは 、個 人 病 院 や 比 較 的 設備 や ス タ ッフが そ ろ っ てい る総合 病院 ・大 学病 院 な どの 医師 や 助 産 師 の間 に も同 じこ とが 言 え る。 PICUやNICUを 持 た な い病 院 の産 科 の場 合 は 、 日頃 か ら周 産 期 管 理 に は様 々な 問題 を 抱 え て い る。 合 併 妊 娠 ・多胎 妊娠 ・早産 ・新 生児 仮 死 ・未 熟 児 な ど対 応 が 困難 な 症 例 で は、 必然 的 に妊 産 婦 や 児 の 状 態 に よ り母 体搬 送 ・新 生児 搬 送 な どを余 儀 な く され る。 そ れ は 、 不 妊 治 療 に も限 界 を 与 え 、母 子 分 離 を 引 き 起 こす な ど様 々 な新 た な 問 題 を提 起 ず る。 母 子 の安 全 性 を保 証 す るた め に は 、施 設 間 の連 携 、医 師 間 の連 携 、 医 師 と助 産 師 間 の 連携 、 助 産 師 間 の連 携 、 行 政 や他 職 種 との連 携 な ど様 々 な連 携 の も とに成 り立 っ。 医療 機 関 ・施 設 間 のネ ッ トワー ク作 りも必 須 で あ る。 ま た 、 日頃 か らお 互 い に情 報 交 換 ・勉 強 会 な どコ ミュ ニ ケ シ ョンの 場 を持 つ こ と も大 切 で あ る。 例 え 、搬 送 を行 っ た と して も、施 設 の 壁 を超 え入 院 中 も施 設 助 産 師 と地 域 助 産 師 、 あ るい は他 の職 種 との 間 で助 産 ケ ア の 連携 を積 極 的 に図 り、 常 にお 母 さん の視 点 で物 事 を考 え る こ との で きる助 産 師 が 、お 母 さん の そ ば に居 られ る環 境 作 りを行 ない 、早 期 に地 域 や 家族 の も とに 帰れ る よ うに 、 そ の 後 の助 産 ケ ア の 提 供 が連 携 し て行 え る こ とが母 子 の 安 全 を保 証 す る こ とに つ な が る と考 え る。 今 回 の ワー ク シ ョ ップ で は 、助 産 師 それ ぞれ の 立場 で積 極 的 に活 躍 され て い る 、 山本 詩 子 氏 、 福 井 トシ 子 氏 、 村 上 睦 子 氏 よ り話 題 を提 供 して い た だ き、 「母 子 の 安 全 を保 証 す る」 た め に、 医 療 チ ー ム と して助 産 ケ ア を連 携 して い く こ と、 そ して助 産 師 の リス クマ ネ ー ジ メ ン トの重 要性 につ い て 皆 様 と共 に 意 見 交 換 して い き た い。 46 日本助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)

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1.その 先 の助 産 ケ ア ー 連 携 か ら生 まれ る母 子 の 安全 保 証

助産師職能団体 としての安全管理 を拓 く

演者 日本赤十字社医療 センター 村 上 睦 子 これ まで に な く重 大 な医 療 事 故 が繰 り返 され る背 景 に は 、そ の 事 故 の 内容 が公 表 され ず 、 ま た、 十 分 な事 故 防止 対 策 が と られ な か っ た こ とが 挙 げ られ る.年 々裁判 所 へ の提 訴 件 数 も こ こ30年 間 で8倍 にな って い る とい う.リ ス クマ ネ ジ メ ン トは 医 療 紛 争 を防 ぐ 「防 衛 」 が 目的 で は な く、 よ り良 い 医 療 の遂 行 や 温 か い 患 者 ・医 療 関 係 構 築 の た め の もの で あ る. 特 に、 周 産期 の 医療 事 故 は 「子 ど もの 出生 」 とい う幸せ を 目前 に 突然 に して 生 じる。 助 産 プ ロセ スに お い て 、妊 娠 ・分 娩 ・産褥 ・胎 児 ・新 生児 とい う連 続 性 、 正 常 と異 常 の見 極 めの 難 しさ、 母親 と子 ど もの 生 命 の 安否 に 直接 的 にか か わ る とい う特 性を もつ。 周 産 期 医 療 の 現 状 は 、限 りな く母 児 の 安 全 を確 保 で き る レベ ル に達 して い るが 、 予測 不 可能 な状 況 に遭遇 す る。 出産 の 場 所 が 高度 医療 施 設や 有床 医療 施 設 と して の診 療 所 、 嘱 託 医制 度 を とる助 産 所 と広 範 囲 であ る。 異 常 事 態 の 対 応 に つ い て も各 施 設 の判 断 や 方 針 に 委 ね られ て い るの が 現 状 で あ る。 この よ うな 中で 、助 産 師 会 と して今 、 しな けれ ば な らない 母子 医療 へ の 安 全 管 理 で あ り、 質 管理 へ の組織 創 りで も あ る。 そ の第 一 歩 と して 、 日本 助 産 師 会 の 「安 全 対 策 室 」 が 開 設 され た。妊 産 婦 の 尊 重 とい う視 点 で の分 析 が 不 足 して い な いか 、 単 な る情 報 提供 の推 進 や 、 医 療 安 全対 策 、 メデ ィ カル ・フ ロ ンテ ィ ア戦 略 を語 る だ けで は 片 手落 ちで は ない か 等 、妊 産婦 の 権 利や 出産 の ア メニ テ ィ等QOLを 重 視 した 「出産 場 所 の 選 択 」 の 問題 、 医 の 倫 理 、 出 産 の 自費診 療 制 度 の あ り方 、 開業 助 産 師 の経 営 管理 の 問題 を ど う考 え るか の 課題 が 山積 み で あ る。 質 と安 全 の 向 上 こそ 、病 院経 営 上 の 戦 略 的 な課 題 で も あ り、段 階 を踏 んで 計 画 的 に組織 創 り を して いか な けれ ば な らな い。 何 事 につ けて も 「少 子 」 が枕 言 葉 と して語 られ る中 で 、周 産 期 医療 の 何 が 一 体 問題 な の か を認 識 しな けれ ば な らな い。 今 、助 産 師 が 安 全 な 出産 へ の 実績 を証 明 す る時 で もあ る。 開業 助 産 所 の 経 営 の厳 し さの 中で 、質 向 上へ の 安 全 対策 の 取 り組 み は意 義 が 大 きい。 快 適 で安 全 な出 産 環 境 の シス テ ム開 発 は 、 出産 に 関わ る1人 ひ と りが 問 わ れ る課題 で あ り、 リー ダー シ ップ と個 人 の意 識 の変 革 に期 待 され る。 そ して 、 サ ー ビス の 最 終 的 な受 け て で あ る妊 産 婦 の 参 加 こそ 必 須 で あ る。 助 産 師会 の組 織 創 りで は 、 どの よ うな 資 源 が 必要 で 、 限 られ た 資源 を どの よ うに 配分 す る こ とが 必要 な のか 等 の 新 た な機 能 が 求 め ら れ て い る。 シ ン ポ ジ ュー ム で は安 全 対 策 を起 点 に して 、 出産 の安 全 文 化 を どの よ うに醸 成 し て い くか の戦 略 に 触 れ てみ た い。

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1.その 先 の 助産 ケ ア ー 連 携 か ら生 まれ る母 子 の 安 全 保 証

開業助産師の立場 か ら

演者 山本助産院 山 本 詩 子 少 産 少 子 の 時 代 に あ りな が ら、 助 産 院 で の 分 娩 件 数 は 、 緩 や か な増 加 を示 して い る。 そ の理 由 と して は 、 「自分 ら し く快 適 に 産 み た い 」 とい う消 費 者 個 々 の 出 産 に対 す る意 識 の 向上 に よ る もの と思 わ れ る。 自然 分 娩 、母 乳 育 児 な どを主 体 的 に求 め る とい っ た ニー ズ の変 化 と、 そ れ らを切 望 す る妊 産婦 の増 加 は 、地 域 に い る私 達 開業 助 産 師 に は 、 手 に取 る よ うに 理 解 す る こ とが で き る。 助 産院 で の 出産 は全 体 の1%約1万 人 で あ る が 、母 児 共 、2万 人 の 生 命 の確 保 を保 証 しな けれ ば な らな い とい う重 責 を担 っ て い る。 「過 失 」 は 、助 産 師 の危 険 予 見義 務 と危 険 回 避 義 務 が 、 不 注 意 に よ り怠 っ て い た こ とをい う。 危 険 予 見 の た め に活 用す る 専 門的 知 識 と技 術 が 適 切 で あ っ たか ど うか の判 断 は 、 事 故 発 生 当時 の 医療 水 準 が 基 準 とな る。 助 産 師 は 、 常 に 最 新 の 医 学 的 知識 水 準 と最 新 の 助 産 技術 を 習 得 す る努 力 を怠 っ て い て は、 社 会 的 責 任 を果 た す こ とが で きず 、 責 任 を問 われ る結 果 を招 くこ とに な る。 開 業助 産 師 は 、 分 娩 取扱 い基 準 を遵 守 し、 い か な る理 由が あ ろ う とも分 娩 取 り扱 い 基 準 を逸 脱 した分 娩 の 取 扱 い は しな い こ とを徹 底 す べ き で あ る。 保助 看 の 中 で 唯一 開業 権 を持 ち、 医 業 を行 うこ との で き る専 門職 で あ るが ゆ え 、 そ の 責任 は 大 き い と言 え る。 分娩 を 取 り扱 う開業 助 産 師 に とって 、 緊 急 時 の 搬 送 先 の 問題 は 大 きい 。 緊急 時 に 適切 な判 断 を し、 対 処 す る た め に は 熟 練 した助 産 師 の ア シ ス トは重 要 で あ る。 助産 師 同 士 の チー ム ワー ク は も とよ り、 嘱 託 医 師 や 緊 急 搬 送 先 との 連 携 は 、常 日頃 か ら情報 交 換 や 報 告 、 相 談 をす る こ とで 信 頼 が 生 じス ム ー ズ な対 応 へ とつ な が っ て い る。 緊急 搬 送 後 も、 開業 助 産 師 が 搬 送 した 病 院 で 分 娩 介 助や 、 手 術 室 に同 行 す る な どの こ とが で き る な らば 、 た とえ 自然 分 娩 にな らな い 場 合 で あっ て も妊 産 婦 に とっ て は非 常 に 安 心 して満 足度 の 高 い 分娩 とな る。 必 要 に応 じて そ の 後 の 家 庭 訪 問 に つ な げ 、 医 療 と連 携 して 妊 娠 ・分 娩 ・産 褥 ・育 児 が一 連 の流 れ の 中で「 な め らか な ケ ア ー 」 とな り安 全 で快 適 な助 産 ケ アー が 提 供 で き る もの と確 信 して い る。 厚 生 労 働 省 「健 や か 親 子21」 課 題2「 助 産 所 に お け る安 全 で 快 適 な 妊 娠 、 出 産 環 境 の 確 保 」 を 目指 し、 更 な る努 力 を重 ね る必 要 が あ る。 48 日本 助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)

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1.その 先 の助 産 ケ ア ー 連 携 か ら生 まれ る母 子 の 安 全保 証

緊 急 場 面 に お け る 医 療 者 間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン

演者 杏林大学医学部付属病院 福 井 トシ 子 医療 事 故 あ るい は 医事 紛 争 の 背 景 に は 、 医療 チー ム にお け る コ ミュ ニ ケー シ ョンや 患者 ・ 医療従 事 者 間 の コ ミュ ニ ケー シ ョンの 不 足 が あ る こ とを指摘 され て い る。 そ こで 、 母 子 の 安 全を保 証 す るた め の 医療 者 間 の コ ミュニ ケー シ ョンに つ い て考 え 、助 産 師 の 倫 理 綱領 に基 づ いた助 産 活 動 にお け る コ ミュニ ケー シ ョン に つ い て 考 え る。 1.医 療 チ ー ム にお け る コ ミュ ニ ケー シ ョン 病 院 は組 織 内 に お け る コ ミュニ ケ ー シ ョンが 、 醸成 しが た い職 場 で あ る との指 摘 が これ ま であ っ た。 昨今 は 、職 員 間 、 職 種 間 で言 い に くい こ と もは っ き り言 え る環境 や 風 土 作 りに力 が注が れ て い る。 他 職 種 間 で お 互 い に理 解 を深 め良好 な コ ミュ ニケ ー シ ョン を保 つ こ とは 、 助 産 の 質 の保 証 や 医療 事 故 防 止 の 観 点 か ら も重 要 で あ る。 ま た、 同職 種 間 の 良好 な コ ミュニ ケ ー シ ョンの 構 築 は 、妊 産 婦 の 情 報 の収 集 と伝 達 、計 画 的 ・継続 的 な助 産 活 動 の実 施 、 ま た複 数 の助 産 師 に よ るチ ェ ック機 能 の活 性 化 な ど、助 産 の 質 の保 証 と安 全 な助 産 の提 供 を 目的 に 、 どの病 院 で も力 点 をお いて 取 り組 まれ てい る の で は ない だ ろ うか。 「質 の 高 い助 産 は 、妊 産 婦 本位 の 医療 か ら始 ま る。妊産婦 を中心に各職種 がそれぞれ役割 を分 担 し、妊 産 婦 を は じめ、 そ こに携 わ る者 の 立 場 は 互 い に尊 重 され な けれ ば な らな い」 と の認 識 が 関係 者 全 体 に浸 透 して こそ 、本 来 の 意 味 で の コ ミュニ ケ ー シ ョンが 可 能 に な る も の と考 え る。 2.妊 産 婦 ・医 療 従 事 者(助 産 師)間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン 医療従 事 者 す な わ ち助 産 師 は 、妊 産褥 婦 の信 頼 が得 られ る よ う、 常 日頃 か ら妊 産 褥 婦 の人 権 を尊重 し、妊 産 褥 婦 との コ ミュニ ケー シ ョン に努 め な くて は な らな い こ とは 、す で に強 調 され て い る こ とで あ る。 妊 産褥 婦 の信 頼 を得 る とい うこ とは 、 プ ライバ シー 権 を保 護 す る た めに ク ライ ア ン ト情 報 の 秘 密 を守 り、情 報 を共 有 す る場 合 には 適切 な判 断 に基 づ い て行 い 、 助 産師 は、 自己の 決 定 と行 動 に 対す る責 任 を有 し、女 性 へ の ケ ア の結 果 に 関す る説 明 責 任 を 果 た す。 とい っ た 倫 理 綱 領 に基 づ い た 行 動 が とれ る こ とで あ る と理 解 して い る。 そ して助 産 師 は 、 自 己の決 定や 行 動 が もた らす結 果 に関 して 責任 を 有す る とい う倫 理 綱 領 にの っ とっ た 行 動 を とれ る こ とが 、 妊 産 婦 に とっ て必 要 な 十 全 な ケ ア を提 供 で き る こ とに な る もの と考 えて い る。 この倫 理 綱 領 に基 づ い た行 動 は、 助 産 師 に 自律 した行 動 を求 め てお り、 そ の 行 動 は 、 助 産 師 の コ ミュニ ケー シ ョ ン能 力 を前 提 と して い る。 助 産 師 が 倫 理 綱領 に基 づ い た助 産 を実 践 で き る こ とが 、 妊 産褥 婦 が保 健 医療 行 動 に対 して

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1.そ の先の助産 ケア-連 携か ら生まれ る母子の安全保証 自己決 定 で き る、 あ るい は治 療 に主 体 的 に 参加 す る こ とに 繋 が り、 ま た ひ い て は 医 療 事 故 防 止 の た め に妊 産 褥 婦 自身 が 参加 で き る とい う こ と も可 能 とな る も の と考 え て い る。 三 次 救 急 の 場 に母 体 搬 送 され た 、 事 例 を 振 り返 りな が ら リス ク を共 有 す る た め の コ ミュニ ケー シ ョン につ い て 、 共 に考 え て い た だ き た い と思 う。 50 日本助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)

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2.その先 の助 産 ケ ア ー 国際 協 力 に 通 じる助 産師 の能 力 と は

国際協 力 に通 じる助 産 師の能 力 とは

座長 助 産学会国際援助システム委員会委員長 毛 利 多 恵 子 助産学会 国際援助 システム委員会委員 藤 原 美 幸 国際 協 力 とい う活動 に は、 さま ざま な 形態 が あ ります。 海 外 に 出 向 いて 協 力 す る活 動 、 日 本 で海 外 か らの研 修 生 を受 け入 れ る活 動 、 そ して在 日外 国 人 へ の サ ポー トな どです 。 助 産 学 会 にお い て も、 今 年 は じめて ネ パ ー ル か ら研 修 生 を受 け入 れ 、 「自然 で安 全 な助 産一 母 子 に や さ しい ケ アー 」 を 学 ん で い た だ く活 動 をは じめ た ば か りで す。 今 回 の ワー ク シ ョ ップ で は 、海 外 で国 際 協 力 に 関 わ って こ られ た助 産 師 の方 をお 招 き し、 国際 協 力 を行 う助 産 師 に は どの よ うな能 力 が 必 要 な のか 、 日本 の助 産 師 は何 が で き るの か 、 そ の力 を 育む た め に どの よ うな こ とが必 要 な の か等 につ い て お 話 い た だ き ます 。 また ブ ラ ジ ル か ら研 修 に こ られ て い る方 々 に も、 日本 の 助 産 に期 待 す る こ とな ど指 定 発 言 を い た だ き た い と思 い ます 。 これ か ら海 外 で活 動 した い か た 、す で に海 外 で活 動 され たか た、 日本 で海 外 研修 生 の 受 け入 れ を され て い るか た 、在 日の 外 国 人 の ケ ア にか か わ っ た こ との あ るか た、 国 際協 力 の教 育 に 関 わ る かた 等 に ご参 加 い た だ き、 さま ざ まな 視 点 か ら国際 協 力 に通 じる助 産 師 の能 力 に つ い て デ ィス カ ッシ ョンで き る機 会 に した い と思 い ます 。 そ して 、 日本 の助 産 師 の よ さの 再発 見 を 、 また 国 際 協力 をす るの に どの よ うな教 育 的 な準 備 が必 要 か な ど につ い て 考 え る機 会 に した い と思 い ま す。

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2.その 先 の助 産 ケ ア ー 国 際 協 力 に 通 じる助 産 師 の 能 力 とは

国 際協力 の力 を育 て るた め に取 り組 ん で い る事

演者 国立国際 医療 センター国際医療協力局派遣 協力第一課 小 山 内 泰 代 【産 婆 と保 健 医療 体 制 】 わ が 国 で は 、衛 生 状 況 の 改 善や 医療 の 進 歩 に よ り疾 病 構 造 が 大 き く 変 化 し、 中 で も母 子 保 健 に関 す る指 標 は 著 しく改 善 した。 保 健 医療 状 況 の 改 善 の 背 景 に は 、 目覚 しい経 済 発 展 、 教 育 レベ ル の 向 上 、 女 性の社 会 進 出 、 そ して 国 の 体 制 づ く りな ど、 多 く の社 会 的 要 因 が影 響 してい る事 を忘れ て は な らな い。 一 方 、世 界 の 多 くの 国 々で は 、 い ま だ 妊 娠 出産 に 関す る女性 や 、 子供 の死 亡 が多 い状 況 で あ る。 しか し、 これ らの 国 々 が 必 要 と し て い る の は 、単 に医 療 や ケ ア の技 術 的 改 善 だ け で は な い。 こ こで は 、母 子保 健 状 況 の改 善 に 貢 献 した と思 われ る産 婆 の 存 在 と支援 体制 、 ま た保 健 医療 サー ビス ヘ ア クセ スで き る環 境 に 着 目 した い。 【助 産 ケ ア の 質 と ア ク セ ス 】 日本 は 、江 戸時 代 か ら職 業 的 に 独 立 した 産 婆 が存 在 した。 開 発 途 上 国 の 伝 統 的 産 婆 とは 、社 会 的 役 割 が異 な るが 、産 婆 が果 た す 助 産 ケア には 何 ら違 いが 無 い 。 助 産 師 は 、 女性 の潜 在 的 な力 を最 大 限 に発 揮 で き る よ うに 、 妊 娠 中か ら育 児 まで 継 続 して 、 女性 の そ ば に 寄 り添 うこ とが で き る。 個 と して の女 性 の喜 びや 痛 み をわ か ち あ うこ とが で き、 女 性 の 力 を引 き 出す 手 段 を持 っ て い る とい うこ とが強 み で あ り、 国 際 協 力 にお い て も非 常 に重 要 な 基本 的視 点 と考 え る。 しか し、 かつ て の 日本 もそ うで あ っ た よ う に、 多 くの 国 の 女 性 は 、 出 産 の た め に保 健 医療 に ア クセ スす る こ とが で き な い 状 況 に あ る。 それ ばか りか 、 女 性 自身 が 受 け るサ ー ビス を 「選 択 」 す る こ と さえ で き な い 場 合 も あ る。 ア クセ スが 困難 な場 合 に我 々に は 何 が で き るの だ ろ うか。 ケ アか ら少 し離 れ て 、 そ の 国 に住 む 人 々が 何 を必 要 と して い るの か を知 る事 が 、協 力 の第 一 歩 で あ る。 助 産 ケ ア の 質 は普 遍 的 で あ る と考 え た場 合 、 ア クセ ス が 困難 な状 況 に お い て は 、 ア クセ ス の改 善 へ働 きか け る能 力 を 育 て る こ とが 必 要 と考 え る。 【人材 育 成 】 ア クセ ス の 改 善 へ働 きか け る能 力 を 育 て る た め に、 人 材 育 成 を通 じた体 制 作 りが 不 可 欠 で あ り、 そ の た め に は 「人 の 力 を 引 き出 す 」 こ とが求 め られ て い る と考 えて い る。 そ こで人 材 育成 の 手法 と して 、 人 間 の行 動 の 側 面 に も焦 点 を 当て て い る。 個 々人 が 潜 在 能 力 を発揮 で き る環 境 が作 られ る こ とで 、 ケ ア 提 供 者 と女 性 や そ れ を 取 り巻 く社 会 が つ な が って い く こ とを期 待 す る。 開発 途 上 国 に は 、 日本 の 社 会 が 発 展 と共 に 捨 て て しま っ た大 切 な もの が た く さん残 っ て い る。 先進 国 と同 じ発 展 を期 待 す る の で は な く、 各 々の 国 の 良 さや 、 人 び との 力 を 生 かす こ とが で きる よ うな 協 力 が で き る よ うに な りた い と 思 う。 52 日本 助 産 学 会誌 第17巻 第3号(2004.3)

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2.その 先 の助 産 ケ ア-国 際 協 力 に通 じる助 産 師 の 能 力 とは

ミッドワイフ及 び助 産 介助 者 を取 り巻 く途 上 国の現状 につ いて

演者 日本 キ リス ト教海外医療協力会 立 山 恭 子 途 上 国 の 助 産 を 取 り巻 く状 況 に つ い て 考 えて み た い と思 い ます。 現 在 、世 界 の年 間 出 生 数 は約 一億 数 千 万 人 と言 われ 、 その90%が 途 上 国 で の 出生 です 。 ま た妊娠 分 娩 に 関わ る女 子 の 死 亡 は年 間約50万 人 強 といわ れ 、 そ の ほ とん どが途 上 国 で起 き て い る こ とに な ります 。 先 進 国 で の 分 娩 は ほぼ100%が 良 く トレー ニ ン グ され た助 産 師 ま た は 医師 に よっ て 介 助 さ れ てい ます 。 しか し途 上 国 で は50%に も満 ちて い ませ ん。 ア ジア の 国 を 見 ま して も ス リラ ン カ を除 く南 ア ジ ア地 域 と東 南 ア ジ ア の ラオ ス は ま だ20%以 下 で す。 妊 産 婦 死 亡 も約 半 数 の 国 で は100-600(対 出 生10万)と 報 告 され て お り、 ア フ リカ 中 南部 はAIDS/HIV感 染 者 が 多 い ため に1000以 上 とな っ て い ます 。 保 健 要 員 に伝 統 的 助 産 婦(TBA)が 加 え られ て い る のか ど うか はそ の 国 の 事 情 に よ り異 な ります が 、 フ ィ リ ピンは住 民組 織 母 子 保健 サ ー ビス の 最先端 の 中 にTBAを ス タ ッフ と して位 置 付 けて い ます 。 しか し多 くの 国 で は国 際機 関 の 勧 告 に従 いTBAを 排 除 す る方 向 に 向 か っ てお り、保 健 サー ビス要 員 と して は入 れ て い な い と こ ろ が多 くな っ てい ます 。 しか し現実 に は80%を 占め る農 村 部 お よび都 市 の貧 困 者 地 域 で はTBA が ほ とん どの 出 産 に 立 ち会 っ てお り、 こ こに保 健 政 策 と現 実 との乖 離 が 見 られ ます。 途 上 国 とはそ の80%は 農 村 人 口が 占め て い ます 。 農村 は都 市 と違 い 人 口が散 在 して い るの が ど この 国で も共 通 して い ます。 従 っ て対 人 口で配 置 され て い る保健 医療 機 関 ま での 距 離 は 人 口が 散 在 して い る とこ ろ ほ ど遠 くな り施 設 ま でア クセ ス で き な いた め に利 用 者 は少 な くな ります 。 道 路 お よび 交 通 機 関 状 況 が保 健 医療 機 関 まで の ア クセ ス の 大 きな 問 題 で す 。 人 々 の所 得 の 問 題 は 世 界 の 南 北格 差 と同 様 に 、 首都 と地 方 との 国 内格 差 が1990年 代 に 入 って か らます ます 拡 大 して き ま した。 世 界 銀行 やIMFの 構 造 調整 を導 入 した結 果 、 首 都 の 経 済 活動 は活 発 に な り、 地 方 か らの貧 困層 の 人 口移 動 が増 えて い ます 。 都 市 で は失 業 者 が 増 加 し、 これ らの 人 々は イ ンフ ォ ー マル セ ク ター で働 か ざる を得 ず住 居 は不 定 住 な た め に公 的 医 療 サー ビ スの 恩 恵 に は な か な か与 れ ませ ん。 ほ とん どの国 で は 全 人 口の10-15%が 首 都 人 口 で あ りそれ に 対 して 医 師 は70-80%が 集 中 して い ます 。 現 実 に は地 方 に配 置 され て い る はず の 医師 も諸 事 情 に よっ て 本 人 は 首都 に 滞 在 して い る こ とが 多 い 現 実 が あ ります 。 この よ うな環 境 の な か で働 く助 産 婦 は 特 に郡 部 の施 設 で は 自分 の知 識 と技 術 だ けが 頼 り とな ります 。 伝 統 的助 産 婦 か ら リフ ァー され て くる妊 産 婦 さん に も対処 しな けれ ば な りませ ん。 通信 手 段 もな く、近 くに産 婦 人 科 専 門 医 は も とよ り協 力 して も らえ る 医師 は居 な い こ との ほ うが多 い の です 。 次 の 医療 機 関 に 搬 送 しよ うと思 って も家族 特 に 夫 の意 思 決 定 や 搬 送 手 段 と

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2.そ の先の助産ケア-国 際協力に通 じる助産師の能力 とは

費 用 の 問 題 が あ ります 。

これ らの 調 整 も助 産 婦 の肩 に か か っ て い るの が現 状 で す 。

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3.その 先 の助 産 ケ ア-母 子 相 互 作 用 の視 点 を毎 日の ケア に取 り入 れる

母 子 相 互作 用 の視 点 を毎 日の ケ ア に取 り入 れ る

座長 国立看護大学校 佐 々 木 和 子

講 演 者 の 広 瀬 た い 子 先 生 は 、 母 子 相 互 作 用 を 客 観 的 に観 察 、 測 定 す る 尺 度 と して ア メ リ カ で 開 発 され たNCAST(Nursing Child Assessment Satellite Training)の 第1の 研 究 者 で い らっ し ゃ い ま す 。NCASTと は 、 ご 存 知 の よ うに 「母 と子 」 や 「養 育 者 と子 ど も の 」 相 互 作 用 を評 価 す る 尺 度 で す が 、 先 生 は 多 くの 研 究 を 通 して そ の 日本 人 へ の 使 用 可 能 性 に つ い て も 明 らか に して い ら っ し ゃ い ま す 。 わ が 国 で も 多 く の 母 親 達 に 、 育 児 上 の さ ま ざ ま な 困 難 が 伴 う よ う に な っ て き ま した 。 サ ポ ー トを 必 要 と して い る 母 親 は た く さ ん い ら っ し ゃ い ま す 。 サ ポ ー トの 手 段 の ひ と つ と して こ の 講 演 は き っ と皆 様 の お 役 に 立 つ 事 で し ょ う。

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3.その 先 の助 産 ケ ア-母 子 相 互作 用 の 視 点 を毎 日の ケ アに取 り入 れる

母 子相 互作 用 の 視 点 を毎 日の ケ ア に取 り入 れ る

演者 東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 広 瀬 た い 子 今 日わ が 国 は 、 小 児虐 待 、 凶悪 犯 罪 の若 年 化 、育 児 不 安 等 、小 児 と家 族 に 関 連 した大 き な 社 会 問題 を抱 えて い ます 。 この よ うな 問題 に対 して、 助 産 師 を は じめ と した看 護 の 専 門家 に よ る小 児 と家族 へ の 支援 が これ ま で以 上 に望 まれ て い ます 。 看 護 職 者 は 、子 ど もの 出 生 以 前 か ら母親 とそ の家 族 に 関 わ り、子 ども の 出生 過 程 とそ の 後 に対 して も 関 わ りを持 ち 続 け る こ との で き る唯 一 の 専 門職 とい っ て も過 言 で は あ りませ ん。 しか もそ の 関 わ りを持 づ 場 所 は 、 病 院 ・施 設 ・職 場 ・学校 ・地域 ・家 庭 と ほ ぼ無 制 限 で す。 した が っ て 、 看 護 職 者 は 、 様 々 な方 法 と場 所 を活 用 して前 述 した 日本 社 会 の 深 刻 な 問 題 の 予 防 、解 決 の た め に重 要 な役 割 を果 たす こ とが で き る の です 。 しか しな が ら、 そ の よ うな 問題 を予 測 し、 看 護 ア セ ス メ ン トを 実施 し て 、早 期 支 援 を行 い 、母 子 とそ の 家族 が よ り健 康 で健 全 な 生活 を送 る こ とが で き る よ う看 護 介入 を行 う こ とは 容 易 で は あ りませ ん。 この ワ ー ク シ ョ ップで は、 万 能 薬 の よ うな 看護 方 法 を提 供 す る こ とは で き ませ ん が 、上 記 の 問 題 に 対 処 す る た め の 看 護 の 一 端 と し て の 、 親 子 の ア セ ス メ ン ト法 で あ るNCAST

(Nursing Child Satellite Training)に つ い て 学 び た い と思 い ます 。 こ とば を持 たず 、 コ ミュニ ケ ー シ ョンの 手 段 も未 熟 な赤 ちゃ ん か らの非 言 語 的 メ ッセ ージ(cueと 呼 ぶ こ とに します)の 種 類 と、 それ を受 け 取 る母 親(父 親 も含)の アセ ス メ ン トに つ い て お 話 し した い と思 い ま す 。 限 られ た 時 間 と準 備 状 態 に お い てす べ て を学 び、 習 得 す る こ とは で き ませ ん の で 、 今 回 は 赤 ち ゃん のcueを 中心 に皆 さん と学 習 を 進 め、 親 の アセ ス メ ン トにつ い て は お 話 しだ け に したい と思 い ま す 。 日頃 、母(父)子 臨床 に深 くか か わ っ てい らっ しゃ る 皆 さん か らも、 多 くの フ ィ ー ドバ ック をい た だ き な が ら、お 互 い の体 験 を共 有 し、 看 護 実 践 力 を切 磋 琢 磨 で き る も の に した い と望 ん で い ます 。 56 日本 助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)

参照

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