親 と
子 の 野
外 活 動
ワ
ー
ク
シ
ョ ッ
プ
・フ
ォ
レ
ス
ト
、な が
く
て
ピク
ニ
ッ
ク
、無形
の デ
ザ
イ
ン
ー
関
係
を
つく る デ ザ イ
ン
ー
Outdoor
Activities
W6rkshop
of
Parent
and
Child
Forest
,
Nagakute
Picnic
,
lntangibie
Design
−
Design
to
Create
a
Relationship
一
石井 晴 雄
愛
知 県 立芸 術 大学ISHII
Haruo
Aichi
University
of theArts背 景
:モ ノのあ ふ れ
ている時代
の デザ イ
ン 現 代 社 会に は モ ノ が 溢れ、
普 段の生 活に必 要 なものはすでに 充 足 さ れてお り、
我 々 生 活 者 はこれ 以 上モ ノは 必 要 は ない と 感 じて いるの で は ないだろうか。
最 近 は工場の生 産 現 場 を見
せる オー
プン ファク ト リー
やバ ック ヤー
ドツ アー、
モ ノ作 り体 験 な ど、
単 にモ ノを 売 る だ けでは な く新 しい体 験 や 出 会い の場 を 提 供 する 「体 験 型 消 費 」 「つ な が り消 費」 「共 感 消 費」 とい っ た 新 しい消 費 動 向 も 注 目 さ れて い る。
モ ノが ない時代
に は単
に モ ノ を 作っ てい れ ば よ かっ たデザイ ン のあ り方も、
モ ノが 溢れ、
モ ノ の売 れ ない時代
には、
従 来
ど お りモ ノを作
る ので はなく モ ノ 以前
の場
や体 験
、
関係
、
ス トー
リー、
共感
と いっ た無
形の モ ノ を デ ザ インす る視
点 が 必要に なっ て い る。
また現 代 社 会は都 市 化に よっ て、
地 域の コ ミュ ニ ティー
で の 人 と 人の関 係は薄 れてい る。
そ し て 子供 達 が 多 様 な 年 代の大 人 と 関 わる機
会 も 減 少 してお り、
そ こか ら多様
なこと を学
ぶ機 会
も 減 少し ている。
そ こ で意 識 的に地 域の コ ミュ ニ テ ィー
や コ ミュ ニ ケー
ショ ンを 活 性化
するな んらかの仕 組
みが 必要
になっ ている。
例 え ば 古 来 よ り地 域 に は祭 礼 や 節 句 な どの季 節ことのイベン トがあ り、
そ れ らの イベ ントを と お して地 域の住 民の コ ミュ ニ ケー
ショ ンが は か ら れてき た。
しかし 長年、
都 市 化 された 生 活 に慣 れ、
地 域 社 会 や 地 域の風 土、
環 境 と 関 わること を して こな かった 我 々 に とっ て、一
朝一
夕に地 域 と 関 わる こ と は難し い。
特 に 都 市 部で生 活 す る 住 人 に とって、
社 会 的 なバック グラウン ド も違う地 域の住 人と交 流 す ることは す ぐに は実 現 しそうにない。
地 域
の コ ミュ ニ テ ィー
や 人と人と のつな が り な ど は お 金で買 え る も ので は な い し、
論 理で解 決で き る もの でも ない。
またそ れぞ れ の地域
に は固有
の風土や 歴 史があ るので、
他の地 域で う ま くい ったことで も、
その ま ま自 分た ちの地 域 に あては めるこ と はでき ない。 その 地域
で 関 係 を 作っ てゆ くた め に は、
机 上の 論理 で は な く 実際に そ の地 域で活 動し、
人と交 わ り、
実 践 を 通 して様
々 な経 験
を重
ねて得 るし かない。
1.
親 と
子 の 野外 活 動
ワー
ク
ショ ップ
・
フォレ ス ト2008
年
〜2014
年
フォレ ス トは 愛 知 県 名 古 屋 市の東 隣、
長 久 手 市 内にある愛 知県
立 芸 術 大学
の豊 か な 自然環 境
の中
で、
地 域の 子供
が 地域
の 大 人 や 学 生と関 わ り な がら 野外 体 験 や 農 耕、
調 理、
自 然 素材
を 生 か し た 造 形 等 を おこな うワー
クショ ップシ リー
ズである。
2008
年 よ り開 始したこ の ワー
クショ ップシ リー
ズは年
間8
回 から10
回 程 度
、
季 節
によっ て移
り変
わる様
々 な自然
の要素
を テー
マ に、
毎回 テー
マ を変え て 開催
し て い る。一
回の参
加者
は 子供
10
名
〜
15
名 程度
、
大人
IO
名程 度
。
子供
は原則
と して小 学
生
を対象
として い る。
概 要
a.
いま、
こ の時
、
その季 節
のも
のを使 う
フ ォ レ ス トで は そ の
季節
に収穫
できる野菜
や木
の実
な どを収
穫
し て調理 し て食
べた り、
そ の季 節に咲く草 花な ど の自 然 素 材 を使
用して造 形
をした り、
虫 や
ザリガニ、
魚
な どを採
るとい う 体 験 をお こなっ て い る。
日本 は四季の変 化に
富
んでお り、
身の回 りの 自然に目 を 凝ら せ ばそ の季 節
なら で は の様
々 な ものを発
見す
る こ とがで き る。 いつ どこ にどの よ う な 野草
や食
べ ら れ る木の実が あ る か を調 べ、
そ の食
べ方
を 調べ て実際
につくっ てみる こ と によっ て、
季
節や地 域の こ と を体験
的に知る フィー
ル ド ワー
ク に な る。
季 節の木の実 を 採 集し て食べ る8
デザイン学研究特集号Specialトssue
of
Jepanese
Soclety 「ortheScrence
of
Deslgn Vel
.
21−
4 No.
84 2014NII-Electronic Library Service
季 節の野 草 を 採 取 して調 理 する 泥 を 集 めて土 壁の家 を 造るb.
こ こ、
そ の場 に あ
るも
のを生 か す
愛知芸 大の敷地 に は手つかずの自 然や 里 」]
、
森、
池 そ して畑 な ど が あ り、
土、
木
、
水
、
植 物 な
どの自然 素 材
に溢
れて いる。 そして子 供 達は それら の素 材を生か して、
多 様 な 活 動 や 造 形を おこなっ ている。
活 動 や 造 形の素 材 は他 所 か ら 持 ち 込 む 必 要 が ない の で運 搬の 労 力も節 約で き るし、
自然 由 来 なの で 活 動 後は その場 に廃棄
して土 に 還 すことがで き る。
ま た 焚 き 火で燃 や し て燃 料 と す る な ど、
エネ ルギ
ー
と して再 利 用 す るこ と もでき る。
ま た 野 菜 を 自 分 た ちで育てた り、
地 域で収 穫 し た 野 菜 や 果 実、
木の実 を 使っ て料 理 を している。
木の枝 を 集 めて調 理の燃 料 と して使 う c.
交 流
:学 生 や 地 域
の人 と
の リ ア ルな 交 流
フ ォ レ ス トで は アー
ト や デ ザ イ ンを学ぶ愛知県立芸 術 大 学 の学 生
が、
自身
の体 験 型
の作
品 を地 域
の子供 達
や 大 人 に 晃て も らったりワー
ク ショ ッ プの 参 加 者になっ てもらい、
様々な フィー
ドバッ ク を 得る場 に も なっ てい る。
ま た 地 域の子 供 達 や 大 人に とっ ても、
学 生との交 流 をと お して普 段 は 得られ ない新 しい体 験 を す る 場 に なっ てい る。
学 生の ワー
ク ショ ップ に 参 加経 緯
フォ レス ト は開 始 当 初は愛知県立芸 術 大 学の 豊か な 空間と自 然 環境
の中
で、
なん ら かの造 形のプログ
ラ ムをおこな うとい う 方 法で始 まっ た。
素 材 も 画 材 屋 や ホー
ム セン ター
で買っ て来た 物 も 使っ て いた。
ま た 参 加 は 子供
のみに限 定 して い た。
しか し、
材 料の調 達 や 廃 棄の問 題、
安 全のた めの スタッ フ の確 保 な ど の多 様な課 題が発生 し、
3
年 目か ら は畑で耕 作 体 験を始め る と と も に主 なテー
マ を農
と食
に定
め、
造
形体 験
も で き る限 りそ の場に あ る素 材
を使
う こ と に し た。 ま た 子供
だけ で な く親も参
加 す るこ とを 可 能にした。
そし てその時 その場
にある自然 由 来
の素 材 を 使 うことに よっ て、
材 料の調 達 や廃棄
の問 題は解 消
さ轍
轡
:
ll
∵
訓
黠
れた
。
ま た季 節そ れ ぞ れ の自
然の要素
か ら テー
マ や素材
を考
え るこ と によっ て、
テー
マやア イ デ ア を考
え る こ とが容易
になっ た。 ま た農
と食
を テー
マ に す る こ と に よっ て参
加 者 が 薪 拾い や 火 起こ し、
調
理、
洗い物
や 後片 付
け な ど を 主体
的に行
う よ う に な り、
参 加 者の参 加 意 識も向 上した。
親子 で の参 加 も可 能 と し たことによっ て、
親子
や家
族単 位
で の参
加者
が増
加 し、
自
分の家族
以外
の子供
た ち の こ とをケ アした り、
いっ し ょ に遊
んだ り す る 交 流 も 生 ま れた。
また多 くの大 人の目がある ことで、
ス タッ フ の安 全管
理へ割
い て い たエ ネルギ
ー
も軽 減
さ れた。考 察
a.
コ ミュ ニケ
ー
シ ョ ン のプ
ラット
フ ォー
ム とし
て の野 外
活 動
人と人が オ
ー
プンな 交 流がで き る場をつ く る た め に は、
まず
誰 も が 参 加でき る 共 通の プラットフ ォー
ム が必 要 に な る。
しか し現 代 社 会では 価 値 観 も 多 様 化 している ので、
誰 も が 共 通 の 体 験 や 価 値 観 を 共 有 す ること が難しくなっ て いる。
そこ で誰 もが 参 加で き るコ ミュ ニ ケー
ショ ンのプ ラットフォー
ムとして野 外 活 動 は 有 効であ ると考 え る。
現 代 社 会では 何 事 も 便 利 に なっ て し まい、
例 え ば 火 を 使い た け れ ば ガス コ ン ロやIH ヒー
ター
の スイッチ をつ け れ ば よい。
確かに安 全で便 利になっ た かもしれ ないが、
そ こに は工夫した りい っ し ょ に共 同 作 業をする機 会は失 わ れて いる。
そ して な ん ら かの活動
を通して他 者
との コ ミュ ニ ケー
ショ ンを す る機会
は 失 わ れてし まっ て い る。
現 代の社 会は高 度に分 業 化
、
階 層 化 さ れ、
多 くの もの はブ
ラックボ
ックス化 さ れている ので、
他 の 人 が 何 を やってい るの か見え にくい。
大 人は会 社に行 き、
子 供は保 育 園 や 学 校に行 く の で、
子 供には 大 人が普 段 仕 事で何 を して い るのか わ か ら ない し、
子 ど も の学 校の こ と は 大 人 に は わ か ら な い。
そ して大 人 と 子 どもが 同じ目線
に立っ て仕事
を し た り物 事
を見たり考
え たり す る こ とがで きず、
親や学 校
の先
生は常
に 子供
に何
か を 「提
供
」 する側
で あ り、
子供
は常
に提 供
される も の を 「受
け取 る」 側になっ て しまい が ち だ。
フ ォ レ ス トで は子 供 達が野 外で薪を拾っ た り焚 き 火の番を し た り堆 肥
を一
輪 車
で畑
に運んだ りす る など、
野外
なら で は の活 動 をし て い る。
ひ と た び自 然の中
で働
く と き、
燃 料と な る薪
は 子 供でも拾 うこと がで きる し、
食
べ物
と なる野草
を子供
が摘
む こと もできる。
特 別 なスキルや 知識
を 必 要と しない の で、
子供
でも な んらかの役割
を担
う こ とがで ぎ、
大 人
と子供
の関係
はよ り フ ラット に な る。
自然の中では 全てが シンプ ルで オー
プン で あ り、
働
く行為
の目的
や結
果も明確
に共有
す ること ができ るの で、
働
く満
足感
も得
や す く な る。 ま た野 外の様 な オー
プン ス ペー
ス で は そ の場の状況 は すべて可視
化さ れて い る ので、
誰も10
デ ザ イン学 研 究特 集号Speclal Issue otJapanese Society fortheScienceof Design
Vol
.
21・
4No
、
642014 が 全体
の状
況 を把 握し、
自分 が やるべ きこと を 認 識し て自 発 的 に行
動 する こと ができる。
一
輪 車 を 使って堆 肥 を 運 ぷb.
状
況的
パー
ソ ナ1丿ティー
野 外で の活 動では、
人はその人が ど んな 仕 事を して いるか と か、
どこの 学 校 にいる かという 個 人の社 会 的 なバック グ ラ ウン ドを想 起 させる 社 会 的 記 号か ら解 放 さ れ、
同 じ野 外という物 理 的 な 空 間 を 共 有 してい る という そ の一
点 の みでのつな が るこ と に なる。
普 段 人 間 は 社 会 生 活 を 送っ て いる 時 は 自 ずと自 身の社 会 的 な 記 号 を まとい、
自 身の ペ ル ソナ (=
社 会 的 な 顔 ) を 演 じ て いる が、
時と してそ のベルソナ 自体が コミュ ニケー
ショ ンを 阻害
す る 要 因になっ て いる場 合
も あ る。
自然
環境
とい う 人 間の ペル ソナ を 演 じ ること か ら解 放 さ れ る 空 間 に おいては 自ず
とフ ラッ トで オー
プンな 意 識 が 生 ま れ、
そ してその よ う な 意 識の状 態 に なっ ては じ めて、
オー
プンなコミュ ニケー
ションが 可 能 に な る。
エ ド ワ
ー
ド・
ホー
ル は 「か く れ た 次 元 」 (み すず 書
房 ) の 中 で、
以 下の よ う に 述べ て いる。
「人 間を、
多 種 多 様の情 報を与 える、一
連
の伸縮
す る場
によっ て 囲 ま れて いるのだと考
え る よ う に な れば、
人 間を まっ た く異な っ た光の下で見 直 すこと にな る だろう。
その とき は じめて、
人 間の行 動 をパー
ソナ リティ の 型 を含 めて研 究で き ることに な る。
内 向 型 と 外 向 型、
権i
威 主 義 タ イプ と平 等 主 義 タ イプ、
アポロ型とディオニ ュ ソス型 等々 と いっ た様
々なパー
ソナ リティの彩 りや 段階
が あ る ば か りでな く、
わ れ わ れ の一
人一
人が多く の習 得された状 況 的 なパー
ソナ リ テ ィ を もっ て い る の で あ る」。人
間の パー
ソ ナ リ ティー
は固定 化
さ れ た も ので は な く、
そ の時の状 況 や 人と の関 係、
周 囲の 環境
との相
互作
用によっ て変 化 す る もの なのだ。
例 え ば 山 道 を 歩い て い ると、
す れ 違う人と自 然に挨 拶 を 交 わ すことが ある。
しか し山 を 降 りて都 会の歩 道の上 を 歩い ても、
も は や す れ違う 人 と挨 拶 を か わ すこと は ない。
そ ん なこと か ら も 人 間の意識
は 周 りの環 境 や 状 況 に 左 右 さ れるもの である こと が 分 かる。
人の副
NII-Electronic Library Service
意識
やコ ミュニ ケー
ショ ン の方 法 は、
それ が おこな わ れる環境
と い う初 期条
件に よっ て そ の質
や内容
が 変 化す る。
だか ら環
境 とは人の意識
やコミュ ニ ケー
ショ ン のため の基本
的 な プラッ ト フォー
ムなのだと 言 う こ とができるだろ う。
c
.
子 供 を と お し
て考 え る社 会
、未 来
地 域 に お い て 子
供
は 大 人達を、
そ し て地 域社
会をつ な ぐ強い引 力
を持
つ。 現代
の多様 な 社会 的 な
バ ッ ク グラ ウ ン ドを持
つ大
人 同士 は ス ムー
ズなコミュ ニ ケー
ショ ンを す る こ と が困 難な場 合があ るが、
子供
がその場
に いるこ と によっ て協 力
し て子供達
の安 全を確 保し た り遊び相 手に な り、
地域 社
会の 大 人 と し て共 通の感 覚
を持
つ ことができ る。 ま た子供
は大 人
の よ う に社会 的
意
識が発 達して い ない ので、
誰に 対 しても オー
プン なコミュ ニ ケー
ショ ンを 行 うの で、
その よ う な 子供 達
に接
す ること によっ て、
大 人の精 神 も 解 放 さ れてゆ く。
子 供 と一
緒 に 活 動 を す る 時、
我々大 人 は その子 供たちが将 来 も 安 心 して暮 ら していっ て欲 しい と思 う し、
子 供 達 が 安 心 して 暮 らせる 社 会 に なっ て ほ しい と思 う。
しか し現 在の よ うに化 石 燃 料 に 依 存 した 社 会 が 続 け ば、
将 来 化 石 燃 料 が 枯 渇 した 時 に は 子 供 達の生 活 は立 ち行かな く な るか も しれ ない。
ま た日 本のよ うに化石燃 料 を 輸 入 に 頼っ ていた ら、
将 来 その輸 送ライン を 防衛
するた め に軍 隊
が 出 動 すること に な り、
自分の子 供 が 戦 線 に 送 りこ ま れ る こ と になる 可能 性 も ある。
そ の地 域で そ の季 節 に
採
れ た 野 菜 や 穀 物、
果 物、
穀 物 を 食べ る こ と は、
食 品の輸 送 や 保 存に必 要 な 化石燃 料の消 費 を 抑 制 す る こと に な る。
ま た 地 域の農 家 が 作っ た 農 産 品 は、
安 心 して子 供にも 食べ させる こと ができる。
ま た 地 域の森 林 資 源 を 薪 など のエ ネ ル ギー
と して利 用 す ること も、
カー
ボンニ ュー
トラ ル の観 点
からも 意味
が あること だ。
ま た 現 在の よ う に 両 親とも 共 働 き の家 庭 が 増え ると両 親 だ けで子 育てを することは 不 可 能で、
祖
父 母 や 近 所の大 人、
託 児 所、
保 育 所 など、
社 会 全 体と して子 育てを 考え る必 要 がで て くる。
地 域で子 供 達 が 安 全 に 遊べ る 場所
や自然環 境
も ほ しい。
こ のよ う に 子 供 と活 動 す る と き、
子 供 達 が 安 心し て暮ら せ る未 来 や、
地 域 社 会、
環 境 につ い て 考 え る ことになる。
2 .
な が く てピ
クニ ック2014
年
〜
「な が くてピクニ ック」 は参 加 者 自 身が地 元で採れ た野 菜や 穀 物 を 用い て調 理 を して食 事 を した り舞
台 装 飾 をして、
最後
に音 楽
の ライ ブ演 奏 会 を 開 く参 加 型の イベ ントだ。
2011
年に起 き た 東 北 大 震 災 に よっ て、
私 た ち は地 域 社会
の 人 と 人 との つな が りの大 切 さ を 改 めて思い知 ら さ れ た。
いく ら 社 会の イ ン フ ラや 行 政の シ ス テム が あっ ても、
いざ
とい う 時は や は り普
段 か ら個 々の住 民 同 士のつ な が り が 大 切 に な る。
その た めには ま ず 地 域の人 達 と、
地 域で安 心 して暮
ら せる関係
をつ く る こ とが 必要 に な る。
そ こ で私たちは音 楽 やアー
ト、
食によ る参
加 型の イベ ン トによっ て、
地 域の人と人 が出会
い交
流 する 場 をつ く り たいと考え た。
第
一
回 な がく て ピクニ ックin
西校
区共
生ス テー
ション2014
年
6
月1
日13
:00
〜
17
:00
、
西校
区共 生ス テー
ショ ン愛 知 県
長久手 市
五合池
2209
番地
助成
;平成
26
年 度
長 久手市 協
働ま ちづく り事
業 活 動 助 成企
画・
主催
: ト ラ ンジション長久手
、
愛
知 県 立芸 術大 学
石井
研 究 室、
長久手市
たつせがあ る課、
長久 手市
産業緑
地 課 調理指 導
:村瀬 摩
里子 ラ イブ 演 奏 :Ett
地元 で採れた野菜を参加 者 と 調理する ス タッ フの学 生 や 子 供 達で ライブ演 奏 会 場の装 飾をつ く る黼
1
二
:
:
鎧∴
∴
参加 者でつ くっ た料理 を食べ る ライブ演奏 を聴く 第二回 な が くてピ クニ ック
in
愛 知 芸 大の森2014
年8
月25
日16
:00
〜
20
:00
、
愛 知 県 立 芸 術 大 学 長 鶴 池 愛 知 県 長 久 手 市 岩 作 三 ケ 峯1−114
愛 知 県 立 芸 術 大 学 助 成 :第8
回 人と自 然の共 生 国 際フォー
ラム 活 動 助 成 企 画・
主 催 :な が くて ピ クニ ックin
愛 知 芸 大の森 実 行 委 員 会、
愛 知 県立芸 術 大 学 石 井 研 究 室 ライブ
演 奏 :Ett、
YOK 調 理 指導
:村 瀬 摩 里 子、
宮 崎 喜一、
名 川 敬 子 参加者とラ イブス テー
ジの装飾の準備12
デ ザ イ ン学 研 究 特 集 号Speclei
lssueofJapameseSocletyforthe
Scienceot
Design
>ol
.
21齟
4No842014 参加者が竹の先に パ ン生 地をっ け て焚き 火で パ ン を焼く 地元 の農 家さ ん か ら提供さ れ た 野菜でつ くった料理 を食べる ラ イブ演奏
概 要
a.
現 代の村 祭
り:音 楽
とアー
ト、
食
に よるコミュ ニケー
ショ ン音 楽 やア
ー
ト、
デザ イン、
食 は 人 を 集め、
人の心 を解
放し、
人 と人の交 流 を 促 進 する力 が ある。一
昔 前は村の祭
り などで神
楽 や しつら え という形で、
コ ミュ ニ テ ィー
の中
に芸能
やアー
ト、
デザ イン は生 きて いた。
し か し近年
の音楽
や アー
ト、
食はマ ス社 会の中で消費
の対象
に な り、
地域
に根
ざし た音楽
やアー
ト、
−
」
NII-Electronic Library Service
食のあ り方 は 忘 れ られて し まっ たの では ないだ ろ う か。
祭
り に は衣 装 や 扮 装、
音 楽、
踊 り、
練 り歩 く な ど、
非 日 常 的 な行 為
がつきも のだ。
普 段の 日常の社 会 的 な 意 識、
ペ ル ソ ナ に縛
ら れた人
の精神
を解
放し、
人の意識
を転 換
する装置
とし て衣 装や扮
装、
音
楽、
踊り、
しつ ら え などの行 為
や装 置 があ る。
人 はそ れら の行 為 や装
置に よっ て、
日常
生活
で の社会 的
な顔
から 解放 さ れ る。
現 代 社 会に お い て そ の よ う に普段 の 日常と は違う空
間 や新
しい出 来事
を出現
させ、
人
の気持
ち を 触 発 し、
新
た な 人の流 れや交 流
を生み出
す場
をつ く る も の と し て、
アー
トやデ ザ イン、
音楽
、
食
は有 効
であ る。
近 代 化 以 前の日 本では、
季 節 の 節 句 や 農 作 業 な ど が一
区切 り っ いた と き な ど に、
さ ま ざ ま な 祭 りが あっ た。
そ れ に よっ て 日頃
の農 作 業の労 を ね ぎ らい、
収 穫 を 共 に 喜 び 合い、
収 穫 を 神 に 感 謝し、
共に収 穫 物 を 食べ、
共 同 体の結 束 を 確 認し合っ た だ ろ う。
ま た 近 隣の村 々 か ら来 訪 者 を 招 き入 れ、
人と人の交 流 や新
しい出 会 も あっ た だろう。
そ してそこに は 必 ず 唄 や 踊 り などの様
々な 芸 能 やしっ ら えが あっ た だろ う。
祭 り はそ のよ う にコ ミュ ニ テ ィー
の結束
や交
流 を促
す場
であ り、
音
楽 やアー
ト、
デ ザ インは そ の よ う な交 流の場を創 出す る機 能 が あっ たと 思 う。
こ のイベン トで は そ の よ うな祭
りに 込 めた先
人の知 恵 を 想い起 こ し、
そ の想いを も う一
度
現代
的な形で復 活 させたい。
b.
食 が
つ く る共 感 感 覚
と祝 祭 性
食べ るという 行 為 はど んな
年齢
や社 会 的
なバッ ク グラ ウン ド の人でも おこな う行 為であ り、
そ の 食べ るという 生 物に とっ て 根 源 的 な 行 為と 「お いしい」 と感
じ る感覚
は、
人と人と の共 感 感 覚 を 呼 び起こすた め に重
要な要素
にな りう る。 ま た一
緒
に調 理を し た り食べ た り す る こ と は、
親 密な共同体 験 を 作 り 出 す機 会 に な る。
こ のイベ ン トで調理 に
使
う野菜
や穀 物
は、
で き るだけ そ の地 域で採 れ た り自
分た ちで栽 培
し た も のを利
用 するよう に した い。
春の種ま き か ら世 話を し て秋に収 穫し て 調 理 し て食べ ると いう 体験
に は、
自ず
と自然
の恩 恵 を 感じ られる。
そ して皆の労 働 を ねぎ
ら う気持
ち と あ い まっ て、
収穫
した 作 物 を 調 理 して皆 で食べるという行 為に は自
ずと祝 祭性
を帯
びて く る。
そ の祝 祭 性こそ が アー
トや デ ザイ ン、
音楽
な どの芸術
、
芸能
の原 点では ない だ ろ う か。
c.
参
加 性
:モ ノが充 足 す
る時代
の体 験
、
地域
へ の参
加 意 識ま たこの イベ ン トは
単
に音 楽 やアー
ト、
食べものを一
方 的 に提 供
す る の で はなく、
参 加 者 が 同 じ 目線 に立っ てイベ ン トづ く りに参
加し、
共同
でイベ ント を 作 りあ げ る参 加 型 の イベ ン トに した。一
方 的
に何
かを見
せた り 売っ た り提 供 した りす るの では なく、一
緒に調理 を し た り舞 台設営の準 備 をした り して共 通の 目 的 を 達 成 す る 体 験 を と お して、
参 加 者 同 士 が 自 然 にコミュ ニ ケー
ショ ンを すること ができ ること を め ざ している。
こ の イベン トで は若 者 からお 年 寄 り、
若い夫 婦 や 子 供 まで実 に多様
な年代
と社
会 的 なバッ ク グラウン ドを 持つ 人 達 が一
同 に 会し た。
そ の姿を 見 て い る と、
特に東 北 大 震 災 以 降、
人 々の地 域へ の参画
意識
が高
まっ て い る様
に感 じる。
こ の イベ ン トは 今 後も 長久 手 市 内 外の 多 様 なコ ミュ ニ ティ
ー
施 設 や里山 な ど で、
継 続
的 に 開 催 する こと を 計 画 して いる。
3
.
無 形
のデザ イ
ン2007
年
〜2014
年
愛 知
県立芸術
大学 美術 学部
デザ イン・
工芸 科
デザイ ン専攻
2
年
生 課 題、
デ ザ イン基 礎、
無 形の デ ザ イン 担 当 :石 井 晴 雄、
宮
崎喜
一
(
非常 勤 講 師 〉
、
宮崎 知 恵 (
非 常 勤
講 師 )概
要これ は
愛
知 県 立 芸 術 大 学 美 術学 部
デザ
イン・
工芸科
デザイン 専 攻で、
毎 年2
年 生 約35
名 を 対 象に おこなっ て い る課 題であ る。
課 題の実 施 期 間 は3
週 間。
課 題の内容
は個 人 または グルー
プで、
5
分 以 内で、
学 内の任 意の場 所で行 為、
動 き、
参 加 性 を 伴っ た 表 現 を おこな う という ものだ。
具 体 的 な 方 法としては 学内
の環 境
を 生 か してな ん ら かの状 況 をつ くっ た り、
他の学 生 が参
加で きる しくみをつ くる、
火・
水・
音・
風 な どの現 象 を使 う、
作
法・
方
法 を考
える、
ス トー
リー
を 作 り伝 える、
体 験 を 倉1
」造
す る、
食
べ る、
飲
む、
特
定の時間
や 空間
を設
定し、
そ の時 間 や 空間 で しか 体 験でき ない体 験 を する、
皆で遊べる遊 び を 考 え 実 践 するな ど 多 様 だ。
参 加 型の作 品瓣
艷
二
:
:
競∴
に
パ フ ォ
ー
マ ン ス 身体を使っ たゲー
ム 着ぐ る み に よ る パ フ ォー
マ ン ス趣 旨
a.
そ
の場
で、
そ こ にあ
る状 況
、
環境
を生
か すデザイン は そ の場の状 況
、
条 件 や 対 象 と なる人 を 想 定し て最
適
な答
え を出
す必
要があ る。
いく ら 「よいデザイ ン 」 であっ て も周 囲の状 況 や 環 境と合 わ な け れ ば その デザ インは 生 か さ れ な い し、
そ も そ も そ れ は よいデ ザイン とは 言 え ないだろ う.
逆に デザ インさ れ たも の自体
が傑 出
し た モ ノでな くても、
その場の14
デ ザ イン学研 究特 集号Special Issueof Japanese Society tor the Science of Design Vol
、
2↑.
4 No.
84 2014状
況 や 環境
、
人
と合
っ て いれば
そのデ ザ インは生
か さ れ る 場 合 も あ る。
デ ザイン と その場、
状 況、
人 は 双 方 向 的 な 関 係 に あ り、
デザ インを す る 場 合 は そこに あ る もの、
状 況 を生 か して最 適 な答え を出 す 必 要がある。
現
在
で は情 報
、
生産
、
流
通 革 命 に よっ て、
さ まざ
ま なモ ノや コ ト を地 域で生 産、
創 造 す ること がで き る よ う に なっ て き た。
マ スメディア、
マ スプロダ ク トによっ て作られ た一
元的で一
方 向 的 なモ ノや 価 値 観では な く、
自 分 た ちの土 地で そ こ にある潜
在 的 なコ ン テ ン ツを再 発 見 し、
そ の時、
そ の場で し か体 験で き ない体 験 や 価 値 を 創 造 してゆ くこと もデザイ ンの役割
になっ て きている の では ないだろ うか。b.
受 け 手
との関 係
で考 え る
無形 の デザインと いっ ても 全 く
何
もつ くっ て はいけ ない訳で はな く、
最 小 限の要素
を作 ること は 許 容 さ れている。
た だ 学 生 が制 作し た も の に対して教 員が一
方 的 に 評 価 を 下 す というこ と は行 わ ない。
実 社 会でデザ イン さ れ た ものにつ いて の最 終 的 な 被 験 者はユー
ザー
であ り、
常 に その ユー
ザー
を 意 識 して デザ イ ンす るということ が 重 要 に なる。
こ の課 題で は自 身のプラ ン に 参 加 す る 同 じ ク ラス の学 生 が 自 身のプラ ンに どのよう に反応
し た か をリ ア ル に体 験 する ことによっ て、
自 身の デザイ ン のエ ン ドユー
ザー
につ いて意 識 する こと を 意 図して い る。
c.
動 的
に考
え るま た現 在は デザ インす る 対 象 は 視 覚 的 な
媒
体 や 立体 物
とい っ た物
理 的 な ものば か りでは な く、
アニ メー
ショ ン の よ う な動 的な媒 体か らコ スチュー
ム、
キャラク ター、
言 葉
、
振
る舞
い、
音
、
ス トー
リー、
体 験 な ど 多 義にわ たっ てお り、
固定 的な モ ノ では な く あ ら ゆ る 要 素 を 包 含 した 動 的 な 状 況 や関係
も、
デザイ ンが扱う テー
マにな りつ つ ある。
ま た こ の課 題で は 広い空 間で、
多 くの人 数 を 相 手 に おこな う た め、
細かい説 明 など はで き ず、
よ りシンプルかつ明快 な 世界 観 を 創 造 して参 加 者 を その世 界 に 引 き 込 むこと が 必要
になる。
これは多 様 なモ ノや 情 報 が 氾 濫 する現代 社 会
にお ける デザイ ン の あ りか たに も 共 通 する課 題 だ。
考 察
コミ
ュ ニケ
ー
ション の しく
み の必
要性
と高
ま る 共 感 力近
年
は スマー
トフォンなど が発 達 し、
時 間 が あるとス マー
ト フ ォ ン でゲ
ー
ムやSNS
を 始 め る 学 生の姿 が 目 立っ よ う に なっ て き た。
ま たフ ェ イスツー
フェ イス の コ ミュ ニケー
ションが下手
になっ て きてい る様 に 思 わ れ る。
そこ で、
こ の課 題
で はでき る かぎり リ ア ル な人 間 同士の コミュ ニケー
シ ョ ンを する機 会
を増
やしたい という意
図 も あっ た。
いくら電子 デ バ イ ス が発 達し」
NII-Electronic Library Service
ても、
最 良の コミュニケー
ション の手 段 は実 際に会っ て話 を し た り、一
緒
に体
を動 か すことでは ないだろうか。
こ の
課
題 を 始め ると当
初は 「ものを つ くって は いけ ない」 と いう課題 に当
惑 する学
生 も多
いが、
次第
に課
題の趣 旨 を理解し て、
活発な 表現
や 仕掛
け を 考え始め る。
そ し て課 題の発 表にな ると、
学生
は リ ア ルなコ ミュ ニ ケー
ション の現場
で明確
なリ ア クシ ョ ンを す る よ うにな る。 こ の課 題は2007
年 よ
り毎年 行
っ て お り、
いわ ば 定点
観 測 的に各 年
代の学 生の、
課 題の発表
に対
す る リア クションを 見てき たこ とにな
るが
、
近年
は特
に課 題に 参 加 す る 学 生の リ ア ク ショ ンが良 くなっ て いる よ う に思う。
そ してその転換 点
は や は り東 北
大 震災 だ
っ た の では ないだろう か。
あの未 曾 有の大 災 害 を 目の当たりに して、
学 生の中で も他 者への共 感 力 や 社 会 にコ ミッ トす る 欲 求 は高 まっ ている よ う に 思 う。
【
参
考 文 献】
1
)
エ ドワー
ド・
ホー
ルは 「か く れ た 次元
」(
みす ず書 房)
【
詳 細情 報 】
1
)親
と子
の野外活 動
ワー
クシ ョップ・
フ ォ レ スト(
愛
知県
立芸
術
大学
石井
研 究 室)
http
:〃www.
f
−
o−
r−
e−
s−
t
.
org/2
)
無 形の デザイン(
愛
知県
立 芸術
大 学美術
学部
デザイン・
工芸 科
デザ イン専 攻
メ デ ィ ア デザイ ン領域 )
http
:〃www.
aigei−
media.
com3
)
な が くて ピクニ ッ クhttp
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picnic
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com ノま と め :