Ⅰ.はじめに
「時事問題」についての中学生にその是非を問う討 論学習である。時事問題は,マスコミでも報道され関 心をもつ生徒も多い。特に,消費税については,生徒 にとっては自分の問題であり,「生活知」から発言す ることができる。「アップされると小銭が増える」「も のの値段があがる」「庶民の生活が苦しくなる」とい う意見に代表される「生活知」が,教室における「学 校知」や,マスコミ報道における「社会知」により揺 れながら認識形成がおこなわれる。「学校知」「社会 知」とは「少子高齢社会への財源」「諸外国の税体系」 「国債残高」等である。また,「消費税アップ」と 「TPP 参加」については,「職業」「社会的立場」によ り,意見が異なる。「高齢者」「大学生」「外国人」「米 作りの農民」「フリーター」「失業者」など,それぞれ の「職業」「社会的立場」により「意見」が規定され る。疑似的に,生徒を,それぞれの「職業」「社会的 立場」にたって考えさせる。さまざまな「立場」によ る「価値判断」の相違を知り,多様な意見や考えがあ ることを理解したうえで,自分自身の意思決定をおこ なうことが大切である。また,本実践においては, 「政党への手紙」を書かせた。丁寧に各政党から返事 もいただいた。生の政治家(政党)との対話をしなが ら主権者意識を培う「参画」「発信」型授業が大切で ある。Ⅱ.学習の流れ
1 次 国民生活と税 A 君の一日,先生の源泉徴収票,諸外国の例等の資 料を使う。「税」を「財政の役割」として位置付ける。 主権者として,税金の使い方については,監視する必 要があることを理解させる。 2 次 「社会保障」 自分自身の問題として考えるよう具体的に遭遇する 人生の事例をもとに考えさせる。年金についても,ス ポーツの例などを紹介しながら,興味深く学習できる よう工夫する。 3 次 「消費税」 「年金の財源」「国債返却の財源」と「物価高」「不 景気」がトレードオフの関係にあることを考えさせ, 他国の例を紹介しながら,意思決定をおこなう授業を 展開する。 4 次 「TPP 参加」 「参加」「不参加」のよるプラス面とマイナス面を考 えさせ,価値判断から意思決定を問う。 5 次 〈定期テスト〉で「消費税 10%アップに賛成 か反対か? 200 字程度で書きなさい」という問題をだ し,クラス全員の意見を提示する。 6・7 次 クラスを 6 班にわけ,「消費税アップ賛成」 2 班,「 消 費 税 ア ッ プ 反 対 」2 班,「TPP 賛 成 」1 班 「TPP 反対」1 班にわけ,「KJ 法」による情報整理を行 う。 8 次 「消費税アップの是非」をめぐるプレゼン及 び討論会 9 次 「立場をかえて考えるワークショップ」 アトランダムに選んだ,「職業」「社会的立場」によ る「消費税アップ」と「TPP 参加」の意見を書き, 論議をする。 10 次 学習まとめは「政治家への手紙」という, 主権者意識を培う方法で「参画」「発信」型授業をお こなった。Ⅲ.「消費税アップ」についての意見
税金,社会保障,消費税と国債,TPP の 4 時間の授 業後,定期テストで次のテーマで出題した。「消費税アップ」と
「TPP 参加」の是非を問う
─「立場」を変えて
多面的・多角的に考える─
The Journal of Economic Education No.32, September, 2013 A Discussion about the Pros and Cons of theIncrease in Consumption Tax and Joining Talks on Trans-Pacific Partnership : Let’s Look at These Issues From a Different Perspective
and Consider Multilaterally and Multidirectionally Kawahara, Kazuyuki
〈定期テスト〉消費税 10%アップに賛成か反対か? 200 字程度で書きなさい 30 名中「賛成」は 16 名,反対は 14 名であった。 (無答は 0) 〈賛成派〉 「日本の財政赤字は,千兆円に届きそうなほど大き くなっています。今後も少子高齢化は進み,社会保障 への支出はますます増えるのでその赤字は減らないと 思います。今のうちに赤字を減らしておかないと将来, 大変なことになります。増税すると,所得が低い人へ の負担や景気への悪影響が心配されるけど,早いうち に増税するのは仕方のないことだと思います。ただし, 政府の無駄な支出を減らし,生活用品には増税しない などの工夫も必要だと思います。」(Y) 以上の意見のように,「賛成派」の意見は「税はい ずれ自分のところにかえってくる」「財政赤字の解決」 「少子高齢社会への対応」「社会資本の整備」「EU は 高負担高福祉」に集約される。 〈反対派〉 「私は反対です。なぜなら,今でも日本は景気が悪 いのに消費税を 10% にするとみんなの消費意欲がな くなり,ますます不景気になると思うからです。それ に収入の低い人ほど税金の負担が多くなるのは累進課 税の意味がなくなります。本当に政府のお金が足りな いのならば公共事業を減らしたり無駄遣いをもっとな くしたらよいと思います。それでもだめだったら他の 国みたいに食糧品だけ税率を低くしたりして絶対に必 要なもの以外だけにしてほしいです」(O) 「反対派」の意見は「消費意欲の減退」「景気後退」 「低所得者の税負担が多くなる」「政府の放漫政策」 「年金生活者の圧迫」「現政府では反対」「今はタイミ ングが悪い」など多岐にわたっている。
Ⅳ.KJ 法「消費税アップ」と「TPP 参加」
KJ 法による情報の整理を 6 班にわかれておこなっ た。班編成は,一班 5 名程度で「消費税賛成」2 班, 「消費税反対」2 班,「TPP 賛成」1 班,「TPP 反対」 1 班で実施した。 「消費税アップ」の班分けは,前述の試験答案の意 見により分類した。「TPP 参加」については,教師が 抽出し生徒に依頼した。作業は以下の手順でおこなう。 ① ポストイットに思いつくまま意見を書く ② 書かれた意見を項目ごとに整理し「表札」をつく る ③ それぞれの「表札」を関係づけるⅤ.「基調」作成から「討論会」へ
KJ 法による情報整理をおこない,「消費税アップ」 と「TPP 参加」について,討論のための基調作成を おこなった。以下はその基調である。(下線は筆者) 〈基調〉 消費税賛成 (略)少子高齢化社会になると子ども一人の高齢者 への負担が多くなります。(略)少子高齢化が進めば 子ども一人あたり,現在の約5倍である10人分負担を しなくてはならなくなるかもしれません。なので少子 高齢化社会への準備をきちんとすべきだと思います。 さらに日本には莫大な量の国債があります。現在,日 本の国債は 864 兆になっています。日本はこの国債を きちんと返済しなければなりません。日本よりも,消 費税が高い国は存在しています。日本よりも消費税が 高い国は大体日本よりも社会保障や高齢者への年金は 充実しています。消費税が 5% から 10% へ上がるとい うことは,何か物を買う時に普段より 5% 多く支払わ なければいけないということですが,支払った分,公 共事業,社会保障など,なんらかの形で,支払った国 民自身に返ってきます。日本のこれからのために消費 税を上げるべきだと思います。消費税反対 なぜなら今は不景気だからたくさんの人々が困りま す。例えば失業者や年金生活者,非正規労働者などで す。消費税はものを買うと絶対に払わなければいけま せん。また消費税は累進課税制度のようなものがない ので所得の低い人が損になってしまいます。その消費 税が上がれば,ただでさえ苦しいその人たちの生活が もっと苦しくなってしまいます。(略)しかし将来, 日本は少子高齢化が進み老人が増えるので社会保障の 額が増えますが,その一方それを負担する人たちは 減って大変なことになってしまいます。それを解決す るために新しい税を作ったり,違う税を上げたらよい と思います。また消費税を上げるとしても生活必需品 や食糧品などは対象外にするべきだと思います。(略) TPP 賛成 私たちのグループは TPP に賛成です。その理由は 時代の流れに乗っていって日本主導で動かせるように なるくらいがんばればいいと思います。(略)まず, 日本の将来を考えてみたとき,農家の人たちにとって はとても厳しい状況になるので,やはり国が何かを支 援してあげるべきだと思います。次に,世界との関係 においては良好になると思います。なぜなら,チリや マレーシアのような国からの作物を買うことにより, その人たちの生活が楽になるだろうし,外国との交流 も増え,今参加することによって日本だけ孤立するこ となくよい関係を保っていけると思います。また自由 貿易ということは日本の工業の良さを世界に示すこと ができるのではないかと思いました。IT 産業や自動 車・家電関係は大幅に輸出が増え,経済が活性化しま す。(略)以上のことを総合して,日本にとって不利 益な点もあるけれど,今このタイミングで参加したほ うが日本の将来には利益になると思います。 TPP 反対 まず,今の日本の食料自給率は 40%と低いのに TPP 参加により 13%になると試算されています。そ れによって店では外国製品がいっぱい並ぶことになる でしょう!(略)外国製品が輸入されると,日本の製 品は最終的には同じ価格になってしまいます。消費者 にとってはいいことですが,日本の商品が安くなると 農家は崩壊します。日本では農作物を作るのに多額の 費用が必要です。だから,安い農作物をつくることは 無理なのです。農家がつぶれてしまうと,農業によっ て保たれていた自然環境が破壊され,日本の緑が減少 してしまいます。次に,TPP の中心国であるアメリ カとオーストラリアとの関係です。オーストラリアの 一人あたりの耕地面積は 3024 ヘクタール,アメリカ の耕地面積は,198 ヘクタールありますが,日本は 1.9 ヘクタールしかありません。その状況で,生産量や効 率性において日本が勝てるわけがありません。(略) そうなると,このような仕事をしている人たちの生活 が苦しくなり,社会保障費で生活をささえていかなけ ればなりません。これは憲法 25 条で定められていま す。社会保障費は増えると国の財政が苦しくなり,た だでさえ多い日本の借金が増えて,さらに赤字になり ます。これによって消費税を上げなくてはなりません。 「消費税アップ」の基調報告のあと,「消費税アッ プ」をめぐる討論会を実施した。 時間の関係で TPP 参加の論議はできず,基調報告 のみになった。 〈「消費税アップ」討論の流れ〉 (教師のコメント等は省略) ◎賛成 ○反対 ◎ 「消費税をアップすることによって,将来の国の 財源が安定し,少子高齢社会になっても対応でき る」 ○ 「今は時期が悪いと思う。消費税アップにより物 価が上がると,ますます不景気になり,逆に国の 負担が多くなる」 ○ 「やっぱり,僕もそう思う。不景気が回復するま では上げてはいけない」 ○ 「子どもが少なくなることを消費税アップの理由 にしているが,その分,教育費が少なくなるから, その財源でやっていけるのではないか」 ◎ 「・・・・・・・・・・・」 ◎ 「その財源だけでは足らないから上げようとして いる」 ◎ 「生活必需品は上げなければ景気に影響はない。 食料品などは据え置けばいい」 ○ 「消費税アップではなく,所得税や法人税を上げ ればいい」 ◎ 「法人税を上げるとつぶれる会社もでてきていっ そう財源が苦しくなる」 ◎ 「生活必需品にも消費税を平等にかけるべきだ」 ○ 「サイフに細かいお金が増えるのはいや」(笑) ◎ 「日本には膨大な国債があり,この問題も解決し ないといけない」 ○ 「それは国が悪いのではないか」 ◎ 「国が悪いという言い方かおかしい。国会で決め たことは主権者である国会議員が決めたことだか
ら,責任をもたないといけない」 ○ 「今は女性の社会進出の時代だから,女性の所得 税が増え,財源が確保できると思う」 15 分のプレゼンテーション,20 分程度の討論で あったが,かみ合った意見交換が行われた場面もあっ たが,反論もなく,一方通行に終わってしまった感が ある。「基調」で,筆者が下線をひいた個所をみれば, 「消費税アップ」と「TPP 参加」の論点がすべて網羅 されていることがわかる。「基調」である程度の意見 が網羅されたことから,討論はその意見をふまえた上 でおこなわなくてはならないので,かなり難しかった ようだ。しかし,成果もある。それは以下の数点であ る。 ・ 「消費税アップ」とトレードオフの関係で「物価 上昇」「景気後退」などをとらえていること。 ・ 「国会の地位」「女性の社会進出」など,既習知識 を「活用」しながら討論をおこなっていること。 ・ 「消費税アップ」という一つの政策決定にも,プ ラス,マイナスがあること,社会は複雑な要因が 絡み合い成り立っていることが討論の過程で明ら かになった。 ・ 「少子高齢社会」にむけた「財政」確保について, 多面的に考察していること。
Ⅵ.「社会的立場」による意見の形成から意
志決定へ
「消費税アップ」と「TPP 参加」については,「職 業」や「社会的立場」により利害がからむ問題であり, 「立場性」をふまえた意見を理解した上で,各自が意 思決定をしていくことが大切である。そこで下記のよ うな流れで実践した。 ① 政党による「意見相関図」を示し,「消費税 アップ」と「TPP 参加」については,政党や個 人によりさまざまな意見があることを紹介する。 ② 1 班 5 名程度の 6 つの班をつくる。アトランダム に A 〜 F までの「社会的立場」が書かれている, 「役割カード」を配布する。(他の班には秘密裏 にすすめていく) ③ それぞれの立場で,各自が一枚,「消費税アッ プ」と「TPP 参加」への意見を書く。 ④ 班ごとの意見交換を経たうえで,ポストイット に班の意見を書く。 ⑤ 「意見相関図」に班の意見を,該当個所に貼り, なぜ,その位置になるのか説明する ⑥ 全員に〈15 歳縄手中学校中学生〉(全員同じと いうことは生徒は知らない)と書いた紙を配布 し,各自が「消費税アップ」「TPP 参加」につ いての意見を書き,黒板の「意見相関図」に貼 る。 ⑦ 「社会的立場」を踏まえた意見と「個人」の意 見が,かなり異なる生徒の意見を発表する。 〈「社会的立場」を踏まえた意見〉 A 20 歳大学生 アルバイトをしながら学費を払って いる 実家は秋田で米づくりをして生計をたてている 僕は今大学の学費をアルバイトで賄っています。両 親からの仕送りとアルバイト代で生活しています。今 の生活せさえ厳しいのに消費税をアップされると,生 きていけません。TPP については,両親が農業をし ています。実家は,あまり裕福ではないので,豊かな 暮らしをできませんでした。今 TPP に参加すると, 私たち農家はつぶれてしまい生きていけません。 B 25 歳留学生 オーストラリアから日本の大学で勉 強している。祖国で両親は肉牛牧場で大規模経営して いる。 今消費税を上げられると,たちまち生活に困るし, 将来までずっとここにいるわけではないから,年金を はじめ社会保障は関係ないから,上げてほしくない。 TPP については参加してもらって祖国の牛肉が売れ るようになればうれしい。 C 45 歳会社社長 東大阪で車のねじをつくっており, マレーシアに輸出している。従業員は 10 名で業績も いい。子どもは,中学生と小学生の二人だが,いつ工 場の経営が悪化するかわからない不安がある。 ・今のところ仕事も順調で,消費税が 5%あがるのは まあいいかなと思う。今のうちに将来,子どもに負 担をかけないように,年金の財源を確保しておきた い。TPP については,私はねじを作っている。マ レーシアに輸出しているので,自由化になればかな りの利益をあげることができる。 ・私は消費税に反対です。いつ工場経営が悪化するか わからないから将来が不安です。原材料がアップし, 不景気だし,工場がつぶれ失業者がでることが心配 です。TPP については,工場でつくっているねじ をマレーシアに輸出しているのでいいです。 D 36 歳失業者 長く派遣会社に勤めていたが,1 年 前に失業。現在は雇用保険も切れ毎日の生活はその日 暮らし。実家は九州で肉牛の仕事をしているが経営は 苦しい。所得が少なく,雇用保険も切れているから,今,消 費税を上げられると苦しい。実家も TPP 参加になる とオーストラリア産の肉牛が輸入されるので苦しい。 E 88 歳年金生活者 夫婦二人で年金生活をしていて 生活も苦しい。 息子は大手の自動車会社に勤めてい る。 今の消費税でも年金生活で苦しいのに,もっと苦し くなる。息子のことを考えると,TPP に参加して がっぽりもうけてほしい F 45 歳国会議員 日本の国をなんとかしようと理想 に燃え国会議員になった ・これからの少子高齢化社会にむけて良いと思います。 高齢者の年金確保のためにも,増税するべきだと思 います。TPP は,日本の将来のことも考えて,参 加したほうがいいと思います。もし参加しなければ, 外国との経済格差が出てくると思います。そして, 農業支援をきっちりやります。 ・膨大な国債を減らすためにも消費税をアップする。 国民の負担が多くなるが,しかたない。TPP につ いては,日本の農業を守らなければならない。外国 の流れにのみこまれすぎだ。日本の自給率は低いが, 生産高は実質世界 5 位だから自信をもてばいい。 〈個人の意見〉 【意見例】( )は「立場」の意見 〈消費税賛成・TPP 賛成〉(消費税反対・TPP 賛成) ・やはり今楽してたら将来困る。国債も返せるし, 今一番,日本のことを考えてる総理大臣の意見に 任せるべきだ。TPP は,外国とのつきあいは大 事だし,安く買える。もっと日本も新しいことに 挑戦すべき 〈消費税反対・TPP 賛成〉(消費税どちらでも・ TPP 賛成) ・今は不景気だし,今上げると商品を買いにくく なったり,生活が苦しくなる可能性があるから。 TPP は,農家にとっては負担が多いけど,その 他の日本の優秀なメーカーのものをたくさん売れ るから,農家への負担が多い分は,政府が保障す ればいい。 〈消費税賛成・TPP 反対〉(消費税反対・TPP 賛成) ・少子高齢社会への準備。TPP により日本の農業 が壊滅する可能性あり。 〈消費税反対・TPP 反対〉(消費税はどちらでも。 TPP 賛成) ・消費税をアップすると,失業者も増えるし,今も 不景気なのにもっと不景気なり商品が購入しにく くなる。TPP 参加すると,農家がつぶれるし, 日本の農作物がなくなり,外国の農作物ばかりに なり,自然破壊もすすむ。 〈各グループと個人の消費税アップと TPP 参加につい ての意見分布〉 3 分の 2 の生徒が,「社会的立場」から考えたときの 意見とは異なった意見を書いている。「消費税アップ」 と「TPP 参加」の是非を,最初は「社会的立場」か ら考え「価値判断」し,多様な意見をふまえたうえで 「意志決定」していることがわかる。
Ⅶ.各政党への手紙
学習のまとめは,「参画」「発信」型授業である。今 回,論議した消費税アップと TPP については,国政 でも論議されており,各政党がどのような考えをもっ ているかを知ることは重要なことである。また,主権 者である中学生に模擬体験ではなく,直接,政治家や 政党との接点をもち,豊かな政治教育をすることも大 切である。「各政党への手紙」は,「民主党」「自民党」 「公明党」「共産党」「社民党」の本部へ送付した。内 容は,討論での自分達の主張を 400 字程度にまとめた ものである。「公明党」をのぞく 4 党から返信があっ た。「社民党」は“政策文書”の送付のみであった。 中でも,「自民党」は,「消費税」「TPP」とも,それ ぞれの生徒の名前をあげ,一つ一つの意見への賛否両 論を併記した手紙が返信されてきた。「民主党」から は,政策文書とともに,中学生への激励の手紙が添え られていた。「共産党」からは,生徒の主張の論点に 沿った,意見が述べられていた。もちろん,その手紙が随時,子どもたちに返し紹介はしたが,時期が卒業 式前ということもあり,十分論議できなかったことが 残念である。しかし,現在,国政レベルで政策を提言 し実行している政党と,手紙とはいえ接点をもったこ との意義は大きい。 〈各政党からの返信の一部〉 ●民主党から I 君への返答(A4 ニ枚)〜消費税につい て〜 (略)日本が借金をしなければいけない理由は三つ ある。第一に過去の借金の金利負担が膨大なものに なってること,第二に,少子高齢化が進んでいること, 第三に世界同時不況により税収が落ち込んでいるがそ れ以前に税負担率が低いことです。(略)所得税の最 高税率を上げればというご提案ですが,日本の所得税 の最高税率は住民税との合計でみれば他の先進国と変 わりません。(略)消費税は低所得者の負担が重いの でダメという主張ですが,ヨーロッパ,特に北欧諸国 は,所得に低い人でも多い人でもほぼ一律で税率を課 しています。(略) ●自由民主党から N,K さんのへ返答〜 TPP につい て〜 (略)本来は,縄手中学校のみなさんのように, 様々な立場から意見を出し合って議論し,メリットと デメリットを明確にして,それを説明する必要があっ たのです。(略)そもそも,この問題の一番の難点は 「TPP とは何か」を誰も正確にわかっていないという ことです。(略)したがって,議論は「農業 vs 製造 業」の話に収れんされがちです。しかし,TPP は, 「農業には厳しいけれど,製造業は輸出がふえて儲か る」と言った単純なものではありません。(略)N さ んの言われる通り,自由貿易は重要です。しかし,自 由貿易とは供給を拡大しるために政策であり,需要が 少なくて困っている,今の日本において,果たして, 優先すべき課題なのかという議論は必要です。K さん の言われる通り,商品が安くなることは良い面もあり ますが,その分だけ,働いている人たちの給料も下が ります。(略) ◆日本共産党から M 君への返答〜消費税〜 (略)第一に,消費税は弱いものいじめの税金だか らです(略)第二に,消費税の増税を計画する人たち は「日本の財政が大変」とか「社会保障をよくするた め」と言っていますが,これにはたいへんなごまかし があるからです。(略)日本はお金の流れがさかさま です。消費税増税計画を中止させ,今こそ,国民の暮 らしと営業を守る公平な税制を国民みんなの声でつく るために努力しています。