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Academic year: 2021

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改憲を阻止し安倍首相に引導を渡す年に

  

     ―― 2019年の情勢と課題                                  五十嵐   (法政大学名誉教授 ・ 法政大学大原社会問題研究所元所長)                  〔以下の論攷は、 『学習の友』785号、 2019年1月号、        に掲載されたものです。 〕           はじめに   「選挙イヤー」の幕開けです。4月には統一地方選、 7月には参院選が実施される予定で、 沖 縄 で の 衆 院 議 員 の 補 選 な ど も 実 施 さ れ ま す。 こ れ ら の 結 果 次 第 で は、 そ の 後 の 日 本 の 進 路 が 大 きく左右されることになるでしょう。

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改憲を阻止し安倍首相に引導を渡す年に   そ の 前 の 通 常 国 会 で の 審 議 と 与 野 党 対 決 の あ り 方 が、 こ れ ら の 選 挙 に 影 響 す る に ち が い あ り ま せ ん。 与 党 は 国 民 の 反 発 を 避 け よ う と す る で し ょ う し、 野 党 は 対 決 姿 勢 を 強 め る も の と 思 わ れます。そこで争われた政策課題が、その後の選挙での争点の骨格を形作ることになります。   そ の よ う な 争 点 と し て 考 え ら れ る の は、 安 倍 9 条 改 憲 と 消 費 税 の 増 税、 沖 縄 の 辺 野 古 で の 新 基 地 建 設、 経 済 と 外 交 問 題 な ど で す。 こ れ ら の 政 策 課 題 を め ぐ っ て 安 倍 政 権 と 野 党 と の「 ガ チ ン コ 勝 負 」 が 続 き ま す。 そ し て、 こ の よ う な せ め ぎ あ い の 決 着 を つ け る 場 と な る の が 夏 の 参 院 選 で す。 改 憲 発 議 を 阻 止 し、 こ の 参 院 選 で 与 野 党 逆 転 を 実 現 す る こ と に よ っ て、 安 倍 首 相 に 引 導を渡そうではありませんか。     焦点は7月の参院選     国 会 法 は 通 常 国 会 を 1 月 中 に 召 集 し て 会 期 は 1 5 0 日 間 と 定 め て い ま す。 通 常 は 1 月 中 旬 か ら 下 旬 に 召 集 し て 6 月 20日 頃 ま で で す が、 1 月 4 日 召 集 と い う 案 が 浮 上 し て い ま す。 安 倍 首 相 が第2次補正予算の編成を指示し、その審議時間が必要だというのが表向きの理由です。   し か し、 狙 い は 別 に あ り ま す。 1 月 4 日 は「 三 が 日 」 の 翌 日 の 金 曜 日 で す か ら、 普 通 な ら 実 質 的 な 仕 事 始 め と な る 7 日 の 月 曜 日 以 降 が 自 然 だ か ら で す。 そ れ な の に こ の よ う な 案 が 出 て き たのは、 参院選の日程との絡みがあるからです。 公職選挙法の規定から、 1月4日に召集すれば、 6 月 30日、 7 月 7 日、 14日、 21日 の 4 つ の 日 曜 日 の ど れ か を 選 ぶ こ と が で き ま す が、 7 日 以 降 なら投票日は自動的に決まります。   ま た、 参 院 選 の 直 前 の 6 月 28~ 29日 に、 大 阪 で 安 倍 首 相 が 議 長 役 と な る 20カ 国・ 地 域 首 脳 会 合( G 20) が 開 か れ ま す。 こ れ が 17日 間 の 選 挙 期 間 と 重 な ら な い よ う に す る た め に は、 7 月 4 日 公 示、 21日 投 票 と しな け れ ば な り ま せ ん。 し か も、こ の G 20 は ロ シ アの プ ー チ ン 大 統 領 や 中 国 の 習 近 平 主 席 と の 首 脳 外 交 で 成 果 を 上 げ、 そ れ を ア ピ ー ル す る こ と で 参 院 選 を 有 利 に し よ うという思惑もあります。   と り わ け、 プ ー チ ン 大 統 領 と 北 方 領 土 問 題 と 平 和 条 約 の 締 結 で 何 ら か の 合 意 が な さ れ れ ば、 「国民の信を問う」と言って衆院選との同日選に打って出る可能性があります。その場合、 準備 の関係で投票日は7月 28日になると見られています。   実 は、 3 年 前 の 2 0 1 5 年 の 暮 れ に も、 同 じ よ う な こ と が あ り ま し た。 安 倍 首 相 が 2 0 1 6 年 の 通 常 国 会 を 1 月 4 日 に 召 集 す る と 言 っ た た め に 7 月 の 同 日 選 説 が 急 浮 上 し た の で す。 こ の 時 も、 投 票 日 が 自 動 的 に 決 ま る の を 避 け ら れ た の は 1 月 4 日 召 集 だ け で、 6 月 1 日 に 解 散 す れ ば7月 10日の衆参同日選が可能でした。   し か し 実 際 に は、 安 倍 首 相 は 同 日 選 に 踏 み 切 り ま せ ん で し た。 5 月 下 旬 に 伊 勢 志 摩 サ ミ ッ ト (先進国首脳会議)を開催して外交成果を宣伝し、 消費税率の 10%への引き上げを2年半延期す る こ と を 表 明 し た う え で「 国 民 の 審 判 を 仰 ぐ 」 と し て 参 院 選 を 実 施 し て い ま す。 そ の 結 果、 自

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改憲を阻止し安倍首相に引導を渡す年に 民党は 56議席を獲得し、 公明党と合わせて与党は3分の2となって 「一強体制」 が確立しました。   今 回 も 同 じ よ う な こ と を 狙 っ て い る か も し れ ま せ ん。 衆 参 同 日 選 を ち ら つ か せ て 野 党 を 牽 制 し つ つ、 G 20で の 外 交 成 果 を 宣 伝 し て 突 然 消 費 増 税 の 再 々 延 期 を 表 明 し、 参 院 選 で の 圧 勝 の 再 現を狙うという選挙戦術を充分警戒する必要があります。     「選挙イヤー」の前半が勝負   こ の よ う な 狙 い を 阻 む た め に は、 通 常 国 会 で の 論 戦 と 選 挙 準 備 の 取 り 組 み が 決 定 的 に 重 要 に な り ま す。 通 常 国 会 で は、 安 倍 9 条 改 憲 と 消 費 税 の 増 税、 沖 縄 の 辺 野 古 で の 新 基 地 建 設、 経 済 と外交問題などが焦点になるでしょう。   も ち ろ ん、 臨 時 国 会 で 追 及 さ れ て い る 閣 僚 の 資 質 や 政 治 と カ ネ の 問 題 な ど に つ い て も、 閣 僚 が 代 わ ら な い か ぎ り、 引 き 続 き 追 及 の 的 に な り ま す。 外 国 人 労 働 者 の 受 け 入 れ 体 制 の 整 備 や 技 能実習生の処遇改善の問題についても、継続して具体化が図られなければなりません。   改 憲 問 題 で は 臨 時 国 会 で の 発 議 が 狙 わ れ て い ま し た。 そ れ が で き な け れ ば、 参 院 選 前 で 残 さ れ た チ ャ ン ス は 通 常 国 会 だ け と い う こ と に な り ま す。 参 院 選 で 改 憲 勢 力 が 3 分 の 2 を 確 保 で き な け れ ば 発 議 は 不 可 能 に な り、 安 倍 首 相 の 9 条 改 憲 の 野 望 を 実 現 す る こ と が で き な く な る か ら です。   10月 1 日 か ら の 消 費 税 の 10% へ の 増 税 に 向 け て の 準 備 や 複 数 税 率 へ の 対 応 な ど も 進 め ら れ る で し ょ う。 低 所 得 者 の 方 が 負 担 増 と な る 逆 進 性、 個 人 消 費 の 減 少 に よ る 景 気 へ の 悪 影 響、 複 数 税 率 や 負 担 緩 和 策 に よ る 混 乱 な ど に つ い て 問 題 点 を 明 ら か に し、 消 費 増 税 を 中 止 に 追 い 込 ま な ければなりません。   沖 縄 の 辺 野 古 で の 新 基 地 建 設 問 題 も、 大 き な ヤ マ 場 を 迎 え ま す。 基 地 建 設 の 是 非 を め ぐ っ て 2 月 24日 に 県 民 投 票 が 実 施 さ れ る か ら で す。 基 地 を な く し て ほ し い と い う 県 民 の 願 い は、 す で に 県 知 事 選 で の デ ニ ー 当 選 や 豊 見 城・ 沖 縄 市 長 選 で の 野 党 共 同 候 補 の 当 選 な ど で は っ き り と 示 さ れ て い ま す。 再 度、 県 民 投 票 で 基 地 反 対 の 民 意 を 突 き つ け、 辺 野 古 で の 新 基 地 建 設 阻 止 に 向 けての展望を切り開いていく必要があります。   安 倍 首 相 の 強 み と さ れ て き た 経 済 と 外 交 の 両 面 で は 暗 雲 が 垂 れ 込 め て き て い ま す。 ア メ リ カ と の 2 国 間 交 渉 が 始 ま り、 米 中 貿 易 戦 争 の 悪 影 響 だ け で な く 日 米 間 で も 貿 易 摩 擦 が 強 ま る で し ょ う。 突 如 と し て 表 面 化 し た 日 産 の ゴ ー ン 会 長 の 逮 捕 に 始 ま る 混 乱 も、 日 本 経 済 へ の マ イ ナ ス の影響が懸念されます。   安 倍 政 権 は 朝 鮮 半 島 で の 非 核・ 平 和 体 制 構 築 の 動 き か ら 取 り 残 さ れ、 北 朝 鮮 の 金 正 恩 委 員 長 か ら は 相 手 に さ れ ず、 拉 致 問 題 な ど で 仲 介 を 期 待 し て い た 韓 国 と の 関 係 は 悪 化 し、 北 方 領 土 を めぐるロシアとの交渉も予断を許しません。   窮 地 に 陥 っ た 安 倍 首 相 は 中 国 と の 関 係 改 善 に よ っ て 国 際 的 孤 立 を 避 け よ う と し て い ま す。 し

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改憲を阻止し安倍首相に引導を渡す年に かし、 「アジア ・ 太平洋構想」を掲げながら中国を「仮想敵」とした軍事大国化を進め、右手で 握手をしながら左手で殴るようなチグハグな対応を取っています。     野 党 と し て は、 こ れ ら の 政 策 課 題 で 与 党 を 追 い 込 み な が ら、 統 一 地 方 選 と 参 院 選 で の 市 民 と 野 党 と の 共 闘 の 具 体 化 を 図 り 選 挙 準 備 を 進 め て い か な け れ ば な り ま せ ん。 通 常 国 会 で の 追 及 を 通じて「選挙の顔」としての信頼感を低下させれば、 安倍首相の「レームダック(死に体)化」 が強まります。参院選前に政権の体力を弱めることが決定的に重要です。     市民と野党の本気の共闘こそ   選 挙 で 勝 つ た め に は、 力 を 合 わ せ る こ と で す。 す で に 選 挙 で の 共 闘 に は 実 績 が あ り ま す。 通 常国会では野党共闘が積み重ねられてきました。合同ヒアリングが118回、 院内集会が8回、 共同提出法案が原発ゼロ基本法案など 20 本という形で、 立憲野党間の共同行動が拡大してきま し た。 臨 時 国 会 で も、 こ の よ う な 共 闘 の 流 れ に 国 民 民 主 党 が 加 わ り、 参 院 選 に 向 け て の 意 見 交 換も始まっています。   「活路は共闘にあり」 ということです。 共闘すれば勝てます。 参院選や総選挙の結果を見れば、 自 民 党 の 選 挙 区 で の 得 票 率 は 有 権 者 全 体 の 約 4 分 の 1 に す ぎ ま せ ん。 比 例 代 表 は 16% か ら 17% く ら い で す。 他 の 4 分 の 1 は 野 党 に 入 っ て い ま す が、 バ ラ バ ラ で す か ら 自 民 党 は 漁 夫 の 利 を 得 ることになります。   残りの半分は投票に行っていません。 投票率は 50%強で有権者の半分弱はあきらめています。 こ の 人 た ち が 投 票 所 に 足 を 運 ん で 野 党 に 入 れ れ ば、 そ し て 野 党 が 一 つ に ま と ま っ て 受 け 皿 に な れば、自民党に勝つことができます。   こ れ は 3 年 前 の 参 院 選 の 1 人 区 や 2 0 1 7 年 の 総 選 挙 で 実 証 さ れ ま し た。 参 院 選 の 32の 1 人 区 で 1 対 1 の 構 図 を つ く ら な け れ ば な り ま せ ん。 改 選 議 員 で 自 民 党 の 現 職 は 31人、 野 党 の 議 員 は1人だけです。現職が少ないということは統一しやすい条件でもあります。   し か も、 2 0 1 9 年 は 亥 年 の 選 挙 で す。 12年 に 1 回、 統 一 地 方 選 と 同 じ 年 に 実 施 さ れ る 参 院 選で自民党は苦戦するという 「亥年のジンクス」 があります。 グラフを見ると 59年は例外ですが、 71年、 83年、 95年の結果はそうなっています。   前 回 の 亥 年 は 2 0 0 7 年 で、 第 1 次 安 倍 内 閣 の 時 で し た。 7 月 の 参 院 選 で 自 民 党 は 37議 席 と 歴 史 的 な 惨 敗 を 喫 し、 民 主 党 が 参 院 第 1 党 に な っ て い ま す。 公 明 党 も 現 職 を 3 人、 落 選 さ せ ま した。   この大敗後、 安倍首相は9月の臨時国会で辞任しています。健康問題が理由とされましたが、 参院選での大敗が本当の原因だったのではないでしょうか。   し か し、 自 動 的 に 大 敗 す る と い う わ け で は あ り ま せ ん。 私 た ち の 力 で 追 い 込 ん で い く こ と に よ っ て 具 体 化 し ま す。 市 民 と 野 党 と の 本 気 の 共 闘 が 実 現 し、 相 互 推 薦・ 相 互 支 援 の 態 勢 を 組 む

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改憲を阻止し安倍首相に引導を渡す年に ことができて初めて、その可能性を現実のものとすることができるのです。     むすび     安 倍 首 相 は「 悪 夢 」 の よ う な 12年 前 の「 亥 年 の ジ ン ク ス 」 を 何 と し て も 避 け た い と 考 え て い る に ち が い あ り ま せ ん。 そ の た め に、 直 前 の G 20で 外 交 成 果 を 上 げ、 北 方 領 土 の 返 還 や 消 費 税 の 再 々 延 期 な ど の「 サ プ ラ イ ズ 」 を 狙 い、 あ わ よ く ば 衆 参 同 日 選 で 与 党 3 分 の 2 以 上 の 改 憲 勢 力の維持を図ろうとしているのではないでしょうか。   し か し、 そ れ は 危 険 な 賭 け と な る 可 能 性 が あ り ま す。 A P E C で 共 同 声 明 が 採 択 さ れ な か っ た よ う に、 米 中 貿 易 摩 擦 が 再 燃 し て G 20で の 協 議 が 不 調 に 終 わ る か も し れ な い か ら で す。 日 ロ 首 脳 会 談 で 北 方 領 土 返 還 に つ い て の 明 確 な 合 意 が な け れ ば、 有 権 者 の 反 発 は 避 け ら れ ま せ ん。 消 費 税 再 々 延 期 も 公 約 違 反 と な る こ と は 明 ら か で す。 こ れ ら が 裏 目 に 出 れ ば、 参 院 選 は も と よ り、衆参同日選でも大敗は免れません。   「 三 段 跳 び 戦 略 」 が こ れ か ら の 目 標 で す。 通 常 国 会 で の 改 憲 発 議 を 阻 止 し、 参 院 選 で 与 野 党 逆 転 を 生 み、 解 散・ 総 選 挙 で 野 党 の 連 立 政 権 を 実 現 す る こ と で す。 そ し て 新 し い 日 本 の 未 来 を 切り開いていく、 憲法が尊重され、 その理念が政治と生活に活かされるような 「活憲」 の時代を、 この日本で実現していくこと。これがこれからの私たちの課題になります。   安 倍 首 相 が 夏 の 参 院 選 で 衆 参 同 日 選 を 狙 っ て い て も 恐 れ る こ と は あ り ま せ ん。 同 日 選、 結 構 じ ゃ あ り ま せ ん か。 同 時 に や っ た ら 手 間 が 省 け ま す。 返 り 討 ち に す れ ば い い ん で す。 そ し て、 一緒にこう言おうじゃ、ありませんか。 「アベよ、アバヨ!」

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