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地域資源としての大学キャンパス内オープンスペースの 利用状況及び利用者の特徴に関する研究 地域資源としての大学キャンパス内オープンスペースの 東京工業大学の大岡山キャンパスとすずかけ台キャンパスを対象として 利用状況及び利用者の特徴に関する研究 Characteristics of behaviou

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Academic year: 2021

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地域資源としての大学キャンパス内オープンスペースの

利用状況及び利用者の特徴に関する研究

東京工業大学の大岡山キャンパスとすずかけ台キャンパスを対象として

Characteristics of behaviour and usage in the open space of the University campus

A case study in comparison between Ookayama campus and Suzukakedai campus of Tokyo Institute of Technology

韓 昌熹*1・朴 晟源 *2・那須 聖*3

Changhee HAN・Sungwon PARK・Satoshi NASU The aim of this study is users inquired the utilization of the space in the university.In the past, the University in Japan was required just Education yet Research. On the other hand, the University at present is required to open for communities and communicate with local residents.Currently, the university is also required the aspect of local resource. However, the previous studies focused on in-teractive economical system between local community and the university, or effective use of facilities in the university for students. In this study, we focused on the user’s behaviour pattern chronicle of spatial. As a result of analysis, the surrounding environment and campus conditions affect the difference of amount of users. However, the users in both campuses have correlation.

Key words: Regional resources, University campuses, Local residents, Open space, Use patterns

地域資源、大学キャンパス、周辺住民、オープンスペース、利用パターン

1. 研究の背景と目的

 本研究は、大学キャンパスのオープンスペースについ て、地域住民の利用可能な内容を地域資源註1)と考え、 空間的な利用状況から地域資源としての実態を明らかに するとともに、地域の特性の差異を考慮することで地域 資源としての可能性を考察するものである。  本研究で扱う大学キャンパスにおける地域資源は、住 民が利用可能な有形無形の要素のうち、オープンスペー スでの行為を想起するものに限定している。大学の地域 貢献としては、公開講座などの学習面も考えることがで きるが、地域の空間的特性を補完するものとして位置づ け、研究を行う。地域資源に関する研究は、米国の経済 研究所の論文1)、韓国のバクヨウンハンの著書2)など で大学を対象とした研究が確認できる。日本でも、地域 経済の発展と住民生活の質を高めるため、様々な検討が 行われている。昨今の国立大学改革案3)をみると、国公 立大学は、地域住民に対するキャンパス利用活性化マニ ュアルを作成するために、大学のキャンパスの公共性と は何かについて議論している。また、私立大学は、一般 市民に対する教育講座の開設など、ソフトウェア的にキ ャンパス内の施設を活用し、さらに効率的に活用できる 方法について工夫している。これらに加え、大学のキャ ンパスのオープンスペースが地域住民に日常的に利用さ れているを把握すれば、地域資源としての大学がどのよ うな位置にあるか、また、地域の特性に応じた空間的な 資源のあり方を考察することができると考える。現在、 日本国内には770の大学が存在しており、東京都内は137 か所に大学が分布している。多くの大学が複数のキャン パスを保有しているため、それぞれのキャンパスにおい て、多数の大学が、キャンパスの施設や広場を地域住民 に向けて開放している。そこで、本稿では、同一の大学 の東京及び横浜にある二つのキャンパスを対象として、 異なる地域の状況において、オープンスペースにおける日常 的な利用状況を行為の種類と分布によってその特性を明 らかにする。

2. 既往の研究と本研究の位置づけ

 

大学内の施設と地域住民との関係性に関する研究と しては、大学キャンパスの利用者を対象とした施設の利 用満足度を評価した研究4)がある。また、大学が地域経 済の発展にどのような影響を与えているのかに関する研 究5)もあり、これは主に営利を目的として地域の役割を

地域資源としての大学キャンパス内オープンスペースの

利用状況及び利用者の特徴に関する研究

東京工業大学の大岡山キャンパスとすずかけ台キャンパスを対象として

Characteristics of behaviour and usage in the open space of the University campus

A case study in comparison between Ookayama campus and Suzukakedai campus of Tokyo Institute of

Technology

韓 昌熹

* 1

・朴 晟源

* 2

・那須 聖

* 3

Changhee HAN . Sungwon PARK . Satoshi NASU

The aim of this study is users inquired the utilization of the space in the university.In the past, the University in Japan was required just Education yet Research. On the other hand, the University at present is required to open for communities and communicate with local residents.Currently, the university is also required the aspect of local resource. However, the previous studies focused on in-teractive economical system between local community and the university, or effective use of facilities in the university for students. In this study, we focused on the user’s behaviour pattern chronicle of spatial. As a result of analysis, the surrounding environment and campus conditions affect the difference of amount of users. However, the users in both campuses have correlation.

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京都目黒区(大岡山キャンパス)、神奈川県横浜市緑区 (すずかけ台キャンパス)に位置している。大岡山キャ ンパスは大正12(1923)年に計画されたが、その後昭和 50(1975)年にキャンパスが拡張されている。キャンパス の面積は大岡山キャンパスがすずかけ台キャンパスよ り、約10%程度大きく、学生数は3倍程度である。(表 3)に示すようにそれぞれのキャンパス内のオープンスペ ースは、主要な門からの距離、視覚的な広がり、空間形 態、動線、広場といった観点から複数の領域として考え られ、大岡山キャンパスでは3段階の領域に、すずかけ 台キャンパスでは4段階の領域にそれぞれ分けて考える ことができる。以降の行動に関する分析では、この領域 毎の傾向も分析対象とする。  表2.各キャンパスの基本情報6) 大岡山キャンパス すずかけ台キャンパス 航空写真 面積 244,643 m² 225,244m² 学生数 約7,767名 約2,107 名 住所 〒152-8550 東京都目黒 区大岡山2-12-1 東京急行大井町線・目黒 線(大岡山駅下車徒歩 1分) 〒226-8503 神奈川県横浜 市緑区長津田町 4259 東京急行田園都市線 (すずかけ台駅下車徒歩 5分) 計画年度 大正12(1923)年 昭和50(1975)年 土地利用 の現状 独立住宅区域、集合住 宅区域 すずかけ台駅前(住宅区 域)、農用地区域、樹林 地区域 周辺の 公園 (約1km以内) 洗足池公園、中根公園、 奥沢二丁目公園 つくし野セントラルパー ク、鶴間2号緑地公園、鶴 間ツツジミ2緑地公園、玄 海田公園 表3.調査対象地の指定および各空間の特徴 大岡山キャンパス すずかけ台キャンパス 1:正門から繋がっている通路。歩 車分離 2:両側に桜とベンチが並べられ ている。ウッドデッキが設置され ている 3:緩やかな斜面になっている芝生 がある広場。 1:正門から繋がっている通路。主 な用途は歩行者や自転車の通路,車両 の進入不可 2:メイン通路。両側に高層の建物 が建てられている 3:食堂を中心に広がっているオー プンスペース。芝生が植えられてい る緩やかな斜面地 4:ウッドデッキが設置されてい る、影がない 改めて考察した研究である。他にも大学キャンパスに関 する研究はあり、利用者の満足度や大学の経済性に関す る研究、地域住民に対する大学のプログラム運用実態に ついての研究が多く見られた。しかし、実際に利用者が キャンパス内のどこに長く滞在しているのか、そこでど んな行動をするのかに関する研究は少ない。これらに対 し、本研究ではキャンパスのフィールド調査により、時 間経過により変わる施設やオープンスペースの利用者の 属性を把握し、その特徴を分析する。また、キャンパス の配置計画や周辺環境から地域住民の接近性を考察し、 周辺から大学へのアクセス環境についても分析する。

3. 研究方法

 東京工業大学の「大岡山キャンパス」および「すずか け台キャンパス」を対象とし、以下の順に分析を行っ た。  ① キャンパスの基本計画(マスタープラン)と地域 の基本的情報から地域との関係性を分析する。  ② キャンパス内に存在するオープンスペースと施設 を把握し、調査対象地を選定する。また、外部からのア クセスや空間構成について比較分析する。  ③ 調査の概要 調査者:韓昌熹(統一した基準でデータを集まるため に、同一な調査者が複数のキャンパス調査する。) 外部活動が活動的にできる季節5,6月中晴れで良い天気 の日を選択し、平日4日と休日1日ずつ調査 表1.各キャンパスの調査の概要 大岡山 すずかけ台 調査日 5/27 火 5/27 土 5/29 木 6/10 火 5/22 木 5/20 火 6/1 日 6/3 火 調査日 の気温 18 /25 (℃) 18 /23 (℃) 18 /26 (℃) 18 /26 (℃) 13 /23 (℃) 16 /24 (℃) 17 /27 (℃) 19 /31 (℃)  ④ 平日と週末の利用実態を比較・分析し、利用実態 を把握する。  フィールド観察調査は(表3)に示すように門からの距 離と空間の分節により調査領域を分類し、以下のような 同じ項目により、調査を行った。   利用者属性:学生、地域住民(子供連れの人等註2))   行動パターン:食事、会話、休憩、電話、昼寝、読 書、活動註3)、パソコン、絵画、散歩

4. 各キャンパスの基本情報及び周辺環境

(1)キャンパスの基本情報および調査対象地の選定  対象としたキャンパスは、(表2)に示すように、東 出所:東京工業大学施設科 1 2 3 4 門 1 2 3 門

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(2)周辺地域の環境からみた接近性および地域住民の 属性  表4.調査対象地の指定および各空間の特徴 大岡山キャンパス すずかけ台キャンパス   航空写真から、大岡山キャンパスは市街地内に位置して おり、住宅に囲まれていることが確認できる(表4)。一 方、すずかけ台キャンパスの周辺は、西には住宅地が広 がっているが、東の方は山に囲まれている様子が確認で きる。さらに、二つの幹線道路により目視やアクセスの しにくい環境になっているのが分かる(大和バイパス、 厚木ハイウェイと東名高速道路)。周辺地域の土地利用 の現状では、大岡山キャンパスが集合住宅や独立住宅区 域にあり、古くからの住宅地や商店が存在し、キャンパ スの東側には洗足池公園がある。一方、すずかけ台キャ ンパスは周辺が農用地や樹林地であり、すずかけ台駅の 西に住宅区域があるものの、鉄道線路の両側で土地利用 状況が大きく異なるのが特徴的である。また、住宅地内 の街区公園の整備状況は、大岡山キャンパスに比べてす ずかけ台キャンパスの方がより多くの公園があると言え る。また、キャンパス入口は大岡山キャンパスには7個 所あり人通りの多い地域へ接続しているが、すずかけ台 キャンパスには3個所があるものの住宅地への接続は一 方であり、住民の通り抜けにはおおきな差があると考え られる。

5. 各キャンパスの空間利用の比較分析

(1)時間帯による学生と地域住民の属性分析  キャンパス内のオープンスペースの利用状況に関す る調査結果を、利用者の属性に注目註2)して時間ごとに 合計してみると、大岡山キャンパスの平日は午前11:30-12:00の間に地域住民の利用者数は学生の利用者数より 多かった(表5)。しかし、12:00~13:00間には学生の利 用者数が急激に増加し、地域住民の利用者数が減少する 傾向が見られた。週末は学生の利用者数よりも地域住民 の利用者数が常に上回っていることが確認でき、平日よ り多くの地域住民が利用していることが分かった。 表5.各キャンパスの時間帯の利用者数グラプ 平日 週末 大 岡 山 す ず か け 台  すずかけ台キャンパスの平日は、12:00-13:00の間に は学生の利用者が急激に増加する傾向が見られたが、地 域住民の利用者数は多くなかった。13:20に地域住民の 利用者数が増加したのは、特定の日に行われた、大学キ ャンパスツアーイベントの影響だったということが分か った。週末の場合は10分単位当たり(表5)10人未満の利 用者が観察され、学生よりも地域住民の利用者が多いこ とが確認できたが、これも地域住民を含めたBBQイベン トによる増加であることが分かった。 表6.名キャンパスにおける2時間単位の利用者数 平日 週末 大岡山キャンパス すずかけ台キャンパス 大岡山キャンパス すずかけ台キャンパス 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 1 2 3 4 出所: Google Earth N N 0 50 100 150 200 250 300 10 :0 0 10 :3 0 11 :0 0 11 :3 0 12 :0 0 12 :3 0 13 :0 0 13 :3 0 14 :0 0 14 :3 0 15 :0 0 15 :3 0 16 :0 0 10 :0 0 10 :3 0 11 :0 0 11 :3 0 12 :0 0 12 :3 0 13 :0 0 13 :3 0 14 :0 0 14 :3 0 15 :0 0 15 :3 0 16 :0 0 地域住民 学生 0 50 100 150 200 250 300 10 :0 0 10 :3 0 11 :0 0 11 :3 0 12 :0 0 12 :3 0 13 :0 0 13 :3 0 14 :0 0 14 :3 0 15 :0 0 15 :3 0 16 :0 0 10 :0 0 10 :3 0 11 :0 0 11 :3 0 12 :0 0 12 :3 0 13 :0 0 13 :3 0 14 :0 0 14 :3 0 15 :0 0 15 :3 0 16 :0 0 地域住民 学生 0 200 400 600 800 1000 0 200 400 600 800 1000 0 200 400 600 800 1000 0 200 400 600 800 1000

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 二つのキャンパスで12:00-13:00間に昼休みの学生に より利用者が急激に増加し、両キャンパスに共通する傾 向が見られること、すずかけ台キャンパスよりも大岡山 キャンパスの方が多くの地域住民に利用されていること が分かった。 表7.各キャンパスの行動パターン 表8.各キャンパスの週末別の利用者数 大 岡 山 キ ャ ン パ ス 1 週 末 平 日 2 週 末 平 日 3 週 末 平 日 す ず か け 台 キ ャ ン パ ス 1 週 末 平 日 2 週 末 平 日 3 週 末 平 日 4 週 末 平 日 (2)行動パターンから見たキャンパス利用状況と頻度  各キャンパスの利用者行動パターンを分析した結果( 表6,7)、食事、会話、休憩、電話、昼寝、活動、パソコ ン、絵画、散歩等の行動パターンが見出され、活動の部 分で顕著(P:0.0000)な差が見られた。これは、大岡山キ ャンパスの全利用者数はすずかけ台キャンパスの2倍以 上であることを考慮しても有意な差であることがわか る。一方、食事や移動を含む散策の場合は、全体の利用 者数は差が見られたが、時間による利用パターンは同様 だった。 (3) 単位時間ごとの利用者の行動パターン  (表5)の結果を2時間単位で分けてみると(表6)、平日 と週末の各キャンパスのオープンスペースの利用状況が 確認できる。特に最も多くの利用者が観察できた大岡 山キャンパスの領域2の場合、12:00~13:50の間は食事 の利用者が、14:00以降には、活動利用者が多く見られ た。すずかけ台キャンパスの領域3の食事の利用者は大 岡山キャンパスの利用者よりも多かった。しかし、すず かけ台キャンパスの場合、大岡山キャンパスで見られた 14:00以降の活動者の増加は見られなかった。 (4)平日と週末の利用者属性の比較  各キャンパスで別に週末と平日の利用者行動パターン を見る(表8)と、大岡山キャンパスでは領域2,3の方が 領域1より活動的な利用者が多く観察された。特に領域 2は、領域1,3より2倍以上の利用者がいるが、正門 から1段階入った並木のある広場が動線であると同時に 滞留も促していると考えられる。また、領域2の平日と 週末の行動パターンの利用者数を比較してみると、各行 動パターンは週末より平日が多いという傾向は類似して いるが、活動のみ週末が平日より多かった。すずかけ台 キャンパスの場合は、平日の場合、領域3,4を利用す る人が領域1,2より圧倒的に多かった。 (5)一方のキャンパスのみにしか存在しなかった行為  大岡山キャンパスの領域2では、行動パターンの10種 類の行動がすべて観察され、多様な行動が見られた。一 方、すずかけ台キャンパスは観察されなかった行動パタ ーンが多かった。 表9.領域別の存在しない行動パターン 大 岡 山 1 食事、昼寝、読書、パソコン、絵画 2 -3 パソコン、絵画 す ず か け 台 1 食事、昼寝、読書、活動、パソコン、絵画 2 食事、休憩、電話、昼寝、読書、活動、パソコン、絵画 3 読書、パソコン、絵画 4 絵画

6. 空間性格による利用者行動パターンの特徴

(1)通路として計画された空間の利用実態  大岡山キャンパスは正門からの進入部分として多くの 歩行者が見られた。これに加え、立って話すなどの行為 も観察されており、子供は車止めなどを利用して遊ぶな どの行為が見られた。すずかけ台キャンパスの通路空間 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 0 50 100 150 200 250 300 0 100 200 300 400 500 600 700 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 散歩 散歩 散歩 散歩 食事 食事 食事 食事 食事 食事 食事 会話 会話 会話 会話 会話 会話 会話 会話 会話 散歩 散歩 散歩 散歩 活動 活動 活動 活動 休憩 休憩 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 大岡山 すずかけ台 食事 会話 休憩 電話 昼寝 読書 活動 パソコン 絵画 散歩

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である領域2は、歩行だけで利用されていた。また、正 門から進入広場が含まれている領域1は、掲示板を確認 することなどの行為が観察されたが、ほとんど歩行に使 われている。 (2)オープンスペースとして計画された空間の利用実態  大岡山キャンパスのオープンスペースである領域3は 一カ所にとどまらない活動的な利用者(活動、散歩)が 多く、利用年齢も様々であることが観察できた。本館前 の通路である領域2は、オープンスペースとして構成て おり、様々な行為や様々な年齢層の利用者の利用が観察 された。  すずかけ台キャンパスのオープンスペースである領域 3,4の場合、限られた部分が限られた年齢層に利用さ れていた。 表10.領域別の年齢層ごとの行動 大岡山キャンパス すずかけ台キャンパス 1 2 3 4

7. まとめ

 各キャンパスの位置と周辺環境面からみると、大岡山 キャンパスは住宅地に囲まれ、7個所と入口が多面から 様々な年齢の人々が出入していることが確認できた。す ずかけ台キャンパスは周辺環境の大部分が自然環境でキ ャンパス内の環境は良いが周辺住宅地と離れており、多 数の人々は領域1の入り口のみを利用し他面からの出入 量は少なかった。これらから大岡山キャンパスは住民の 居住するエリアの中心に存在し、アクセスが用意である ことが考えられ、それに対してすずかけ台キャンパス は、住民の居住するエリアとキャンパスが幹線交通によ って区分され異なるエリアと認識されている可能性があ る。これらをふまえ、それぞれのキャンパスにおける行 動パターンを概観すると、大岡山キャンパスは平日より 週末が数多くの地域住民に利用され、空間が活用されて いるのが確認できた。週末に最も多く周辺住民に利用さ れたが、平日も一定以上の利用者があった。一方、すず かけ台キャンパスの場合は平日も12:00-13:30だけ多 くの利用者がいた。その利用者の大部分が食事だったこ とをみると学生食堂で利用者を収容できていないことが 確認できる。また、利用パターンが限定されていること が確認できた。また、大岡山キャンパスのオープンスペ ースは幅広い年齢から利用されており、年齢ごとにゾー ニングされることが確認できた。すずかけ台キャンパス では学生食堂と連携して利用する場合が多かった。また は、オープンスペースの中で陰がある部分に利用者が集 中した。大岡山キャンパスは計画された空間の目的以上 に、他の用途によって活性化されているが、すずかけ台 キャンパスでは必要最低限の活動のみによって利用され ていることが分かった。各キャンパスの周辺環境や条件 が異なるため一般性は担保されないが、利用者のパター ンを分析した結果、食事や特定の活動のように、利用者 が目的を持って訪問をする場合は、両方のキャンパスの 利用者数が類似し傾向にあることがわかる。これは、キ ャンパスの規模と学生数、周辺地域の地域住民数の差が 明確にも関わらず観察された。つまり空間のみに起因す るのではなく、明瞭な目的がある場合に起こる行為もあ ることがわかる。 以上をまとめると、大岡山キャンパスは多様な時間帯に 多様な行動が発生するオープンスペースとなっているの に対し、すずかけ台キャンパスでは、限定的な行動が行 われるオープンスペースであると考えることができる。 子 大 老

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すなわち大岡山キャンパスにおいては地域の住民が日常 的に利用可能な空間資源として考えられるのに対し、す ずかけ台キャンパスのオープンスペースは、特定の目的 に応じて利用されうる空間的な資源であり、限定的な状 況にあることがわかった。このように、地域の特性とキ ャンパスの配置によって大学大のオープンスペースの利 用は大きく異なっている。 表11.食事後の各キャンパス 大岡山キャンパス(2区画) すずかけ台キャンパス(3区画)    今後の課題としては、行動パターンに応じた利用頻度 を考えることで、それぞれのキャンパスの利用の可能 性、それぞれのキャンパスの特性と地域住民の具体的な 属性に応じた利用の可能性についてそれぞれ調査・分析 を行うことが考えられるとともに、空間以外の要因によ る地域資源のあり方について考察する必要があると考え る。 註釈 註1)本研究での地域資源は地域で利用可能な空間資源を指している。 広範囲な意味では、「防災」の機能も地域資源に含まれるが、本研究 では日常の行動として観察可能な資源性に着目している。 註2)地域住民は年齢、服装、子やペットを連れているかで判断する。 註3)本稿では能動的にからだを動かすこととする。 参考文献

1)KENT HILL,L.WILLIAM SEIDMAN RESEARCH INSTITUTE,UNIVERSITY RE-SEARCH AND LOCAL ECONOMIC DEVELOPMENT,2006

2)バクヨウンハン、大学と地域の発展、ハンウルアカデミー出版 社、2005 3)文部科学省 生涯学習政策局政策課:文部科学白書、2008 4)岡橋 秀典、番匠谷 省吾:大学周辺住民によるキャンパスの利用と 評価:広島大学東広島キャンパスを事例として、広島大学総合博物館 研究報告、pp.53~62、2009.12 5)ソン ギョンミ、アン ヨンフン:大学と地域社会との発展戦略 に関する研究、学術大会資料集、韓国地方政府学会、pp.1~24、2011 6) 東京工業大学:東京工業大学 Web サイト 出所:調査者の撮影

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