図を感じる体験が,回答から得られた(表 11)。次に,この調査で 回答された機種全ての開発者に対してインタビューを実施するこ とは不可能であったため,その代替として,Web 上で当該製品の メーカーが公式に発信する情報から,開発者側の意図を抽出する 方法を採った。そして,これらの情報を価値ある体験の各カテゴ リ及び各情報伝達形態に当てはめ,3.2 と同様の手順で疎通度を 求めた。 ここで算出された疎通度と 3.1 で得られた疎通度をχ二乗検定 及び Fisher の直接確率検定を用いて比較検討したところ,66 通 りの{Ai, Bj}の組み合わせのうち,61 通りにおいて,その比率に 統計的有意な差は見られなかった。従って,本研究で算出した疎 通度は,概ね他社製品にも適用可能な普遍性を持って,開発者が 製品を通して提供したいと意図する価値ある体験とそれを伝える 情報伝達形態の組み合わせの有効性を示していると理解すること ができた。 4 4.. 結結論論 本研究では,開発者意図を積極的にユーザに伝えるデザイン手 法への有益な知見を得るため,ユーザ及び開発者を対象とした調 査をもとに,開発者が製品を通して提供したいと意図する価値あ る体験を,ユーザに対して相対的により強く伝え届けることがで きる情報伝達形態を,定量的な指標を用いて導出した。本研究で 示した「疎通度」は,製品デザインのプロセスにおける企画及び 評価を支援する指標としての応用を提案することができる。まず 企画においては,開発者が製品を通してユーザに特定の価値ある 体験を与えたいと考えたとき,それを製品にどう作りこむかを検 討する上で表 10 に示した価値ある体験のカテゴリと情報伝達形 態の組み合わせに対して算出された疎通度の大きさを目安とする ことができる。例えば,開発者が「この製品を通して,ユーザに 対する開発者の「安心してほしい」という思いを伝えたい」とコ ンセプト立てした場合,「安心してほしい」というカテゴリに対し て疎通度の高い情報伝達形態は P→E→U 型や E’→P→U 型であ り,環境を介してユーザに製品の作動や製品が出力するものの質 が分かるような工夫や,環境をセンシングして自動的にユーザ状 態に合った働きをするような工夫を,アイデア創出の観点に含め ることで,コンセプト実現の一助になるものと考えられる。また 評価においても,複数案のアイデアについて比較検討する際,開 発者意図を的確に伝えられる情報伝達形態となっているかという 新たな尺度を加えて,最終案への絞り込みを行うことができる。 本研究は,より大局的な視点から見ると,一つの製品に対して, それが創出する価値を開発者はどう考え,ユーザはどう受け止め ているのかを照合して検討する一つの方法を示唆している。従来 に比して顧客の製品購入後(使用中)のデータを収集し活用する 可能性が広がる今日において,本研究で実施した調査・分析手法 は,ユーザの体験することそのものでありユーザ側にある UX と 開発者のデザイン対象となりうる点で開発者側にある情報伝達形 態を,一つの指標で結びつけて製品デザインに活かすアプローチ を提案するもので,他社,他製品への応用と拡張の可能性を持つ ものと考えられる。 謝辞 本研究の調査にあたり,ユーザ調査でご回答頂いた実ユーザの 皆様,開発者調査でのインタビューに協力して頂いた開発者の方々 に心からの謝意を表したい。 注および参考文献
1) ISO9241-210:2010: Ergonomics of human-system interaction -Part 210: Human-centered design for interactive systems-, 2010
2) All about UX : User experience definitions, http://www.allaboutux.org/, (参照日 2019 年 8 月 10 日) 3) Hassenzahl, M., et al., Hedonic and ergonomic quality aspects determine a software’s appeal, Proceedings of the CHI 2000, 201-208, 2000
4) Hassenzahl, M., The Effect of Perceived Hedonic Quality on Product Appealingness, Proceedings of HCII 2001, 13(4), 481–499, 2001
5) Ryff, C.D., Happiness is everything, or is it? Explorations on the meaning of psychological well-being, Journal of Personality and Social Psychology, 57, 1069-1081, 1989 6) 池本浩幸, 他: UX デザインの潮流と展望, 東芝レビュー, 69(10), 2-6, 2014 7) 濱大毅, 他: カーアクセサリを対象とした UX 抽出手法の 確立とその分析: UX に基づく製品企画への応用をねらいと して, ヒューマンインタフェース学会論文誌, 17 (4), 351-362, 2015 8) 宮原愛, 他: 家電製品のデザインプロセスへの導入をねら いとしたユーザエクスペリエンス評価手法の開発, デザイ ン学研究, 64(3), 61-70, 2017 9) 前田育男, 他: マツダでのブランド戦略におけるデザイン 開発と知的財産権, 特技懇誌, 274, 23–29, 2014
10) Nielsen-Norman Group: Definition of User Experience, https://www.nngroup.com/articles/definition-user-experience/ (参照日 2018 年 10 月 16 日) 表11 他社製品を対象とした調査で回答された製品種別, 機種数
1
要旨 コインパーキングを利用するドライバにとって駐車しやすいフ ラップ板の設置条件を検討するための基礎的実験として,駐車ス ペース内のフラップ板の設置条件の違いがドライバの駐車行動に 与える影響を調査した.フラップ板の種類(従来フラップ,ゼロ フラップ)と設置位置(従来位置,前方位置)の異なる駐車スペ ースへの駐車作業を対象とし,自動車運転の初心者・経験者それ ぞれの駐車にかかる時間(課題達成時間),駐車中の眼球運動特性 (注視回数,注視時間),ハンドル切り返し回数,主観的な駐車し やすさを評価した.その結果,初心者はゼロフラップの条件にお いて従来フラップの条件よりも,課題達成時間が短く,注視回数 が少なく,ハンドル切り返し回数が少なくなり,経験者と同等の 課題達成時間,注視回数,ハンドル切り返し回数での駐車を実現 できることが明らかになった.Summary
The aim of this study was to reveal the effects of the
installed condition of a flap on a parking space on driver’s
backing behavior for enhancing efficiency and ease of
parking. This study investigated the driving performance,
the ocular movement characteristics, and the subjective
rating in the different conditions of a flap installation when
carrying out the backing task into the parking space. The
experimental factors were type of flap (traditional type or
type without projection from parking surface), location of
flap (middle or forward of a parking space), and driving
experience (experienced or novice driver). The results
showed that the novice drivers tended to reduce the task
completion time, the frequency of fixation, and the
frequency of turning a steering when using the flap without
projection from parking surface. In this condition, the
performance of the backing task of the novice drivers was
approximately equal to the experienced drivers.
1.はじめに 自動車のドライバにとってバック駐車は,不安を感じやすく, 難しい運転作業の一つである.特に,免許を取って間もない,運 転に慣れていないドライバの中にはバック駐車に対して苦手意識 を持っている人も多い.バック駐車中の事故だけではないが,自 動車事故のうち約4分の1が駐車場内で発生しているとする事故 調査結果もあり[注1],このことからも駐車場内の運転は難しい 運転作業であると考えられる.また業務中の自動車運転において 発生する事故の中で一番多く発生する事故はバック時の事故であ り,これは全体の 35%を占め,そのうちの 72%が駐車場内で発生 しているという調査結果もあることから[注2],日ごろ自動車に よく乗るドライバであってもバック駐車時の事故は無視できない 問題である. ドライバが安全かつ容易にバック駐車を行うためには,バック 駐車時の行動を把握し,それに基づいた対策を検討する必要があ る.バック駐車時のドライバの行動については,これまでの研究 において駐車中のドライバの視線や車の挙動について調査されて いる[注3-6].例えば,Takahashi[注3]は視線計測によってバ ック駐車中にドライバがどのように駐車位置を確認しているのか を分析している.この研究によると,経験が豊富なドライバと経 験が少ないドライバでは駐車位置を確認するために注意を払って いる箇所に違いがあり,経験が豊富なドライバはこれから自車が バックで進んでいく先を注視している時間の割合が大きいのに対 し,経験が少ないドライバは自車周辺(主に自車前方)を注視し 前方の障害物への衝突を避けようと注意を払っている時間の割合 が長いことが示されている.またバック駐車の安全性向上のため に,駐車支援システムの検討も行われている[注7-10].これらの 研究では,駐車支援システムとしてバックモニタや警報システム の有効性を検証したり,その設計条件の検討が行われたりしてい る. 上述のように,バック駐車に着目した自動車の安全性向上を図 る研究は行われているが,駐車スペースの改善を図るアプローチ は行われていない.駐車スペース自体の改善によって,駐車しや すさや安全性の向上が実現できるのであれば,駐車支援システム
駐車場に設置されたフラップ板の種類と設置位置がドライバのバック
駐車行動に与える影響
Effects of Type and Location of Flap Installed on Parking Space on Driver’s Backward Parking Behavior
● 土井俊央 ● 村田厚生
岡山大学大学院 岡山大学大学院
DOI, Toshihisa MURATA, Atsuo
Graduate School of Okayama University
Graduate School of Okayama University
● Keywords : Flap, Parking, Backing Behavior, Driving Performance, Ocular Movement Characteristics
研究論文:論文 ORIGINAL ARTICLES
Summary
要旨
研究論文: 論文
ORIGINAL ARTICLES
Received June 26, 2019; Accepted December 25,2019
駐車場に設置されたフラップ板の種類と設置位置がドライバのバッ
ク駐車行動に与える影響
Effects of Type and Location of Flap Installed on Parking Space on Driver’
s Backward
Parking Behavior
● 土井俊央 ● 村田厚生
岡山大学大学院 岡山大学大学院
DOI, Toshihisa MURATA, Atsuo
Graduate School of Okayama University Graduate School of Okayama University
を搭載していない自動車を利用しているドライバにとっても有益 である.特に,駐車スペース中に機器が設置されているコインパ ーキング等では,通常の何の障害物もない駐車スペースに比べて 駐車が困難になることが想定されるため,駐車スペースやそこに 設置される機器の観点から駐車しやすさや安全性向上を図ること は有意義である. また我が国においてコインパーキングの設置数は,ここ数年増 加傾向にある[注 11].コインパーキングの中でも近年増加してい るのは,狭い土地に設置される小規模なコインパーキングであり [注 11-12],これに伴って小規模なコインパーキングで良く用い られるフラップ板(図1に示すような駐車車両の乗り逃げ防止用 の機器)の販売件数が増加している[注 11].このようにフラップ 板が設置された駐車スペースは増加しており,ドライバが利用す る機会は多くなっているものの,駐車スペース内にフラップ板が あると特に運転に不慣れなドライバにとっては何の障害物もない 通常の駐車スペースに比べて駐車が困難になることが懸念される. そのため,駐車しやすいフラップ板を駐車スペースに設置するこ とは重要であるが,前述の通りこうした観点の研究は十分に行わ れておらず,駐車しやすいフラップ板の設置条件は明らかでない. こうしたことから,本研究ではドライバがバック駐車しやすい フラップ板の設置条件の導出に貢献することを目的とし,駐車ス ペース内のフラップ板の設置条件の違いがドライバのバック駐車 時の駐車行動に与える影響を明らかにすることを試みた.特に, フラップ板の種類と駐車スペース内の設置位置に着目し,これら の違いが運転経験が豊富なドライバ(経験者)とあまり運転経験 のないドライバ(初心者)のバック駐車時の自動車操作パフォー マンスや眼球運動特性にどのような影響を与えるかを調査した. 2.方法 2. 1. 被験者 被験者は,自動車の駐車経験が豊富で日頃車に乗っている男性12 名(平 均34.0 才,SD:7.98)(経験者)と,自動車の駐車経験が少なく普段車に ほとんど乗らない男性 14 名(平均20.7 才,SD:0.88)(初心者)とした. 経験者群の自動車利用頻度はほぼ毎日であり,初心者群の自動車利用頻度 は数か月に 1 回以下であった.被験者には,実験目的・内容を十分に説明 し,書面でインフォームド・コンセントを得た. 2. 2. 実験装置・環境 コインパーキングに用いられるフラップ板として,以下の2種類を想定 した.一つは,現状比較的普及している一般的なフラップ板として,駐車 車両の出入りを防ぐための跳ね上げ式の板が駐車スペースの路面上に設置 されているタイプであり(英田エンジニアリング株式会社,AEFR-15(図2). 以下,従来フラップと呼称.),実験にあたっては実物を用いた.もう一つ は,ロック時以外はフラップ板が地面に埋め込まれて駐車スペース内の段 差をなくすことができるタイプであり(英田エンジニアリング株式会社, AEZF-3.以下,ゼロフラップと呼称.),実験にあたってはこれを原寸大に 印刷したシールを用いた(図3).ゼロフラップの条件では,このシールを 駐車スペース内の路面上に固定した.これはゼロフラップの設置にあたっ ては,機器を路面に埋め込むための大掛かりな工事が必要となるためであ る.また実験車両として,経験者群はワゴンR(スズキ, LA-MC22S),初心 者群は EK ワゴン(三菱自動車, DBA-H82W)を使用した.実験準備の都合 上,同一の車種を用意することができなかったため車体寸法等の仕様が類 フラップ板 図1 コインパーキングで利用されるフラップ板[注13]
136
59
単位:
mm
図2 従来フラップ(英田エンジニアリング株式会社,AEFR-15)単位:
mm
図3 ゼロフラップ(英田エンジニアリング株式会社,AEZF-3)実験車両
1500
1500
単位:
mm
バック駐車
前 後 図4 実験開始時の実験車両位置(左側から駐車する場合)を搭載していない自動車を利用しているドライバにとっても有益 である.特に,駐車スペース中に機器が設置されているコインパ ーキング等では,通常の何の障害物もない駐車スペースに比べて 駐車が困難になることが想定されるため,駐車スペースやそこに 設置される機器の観点から駐車しやすさや安全性向上を図ること は有意義である. また我が国においてコインパーキングの設置数は,ここ数年増 加傾向にある[注 11].コインパーキングの中でも近年増加してい るのは,狭い土地に設置される小規模なコインパーキングであり [注 11-12],これに伴って小規模なコインパーキングで良く用い られるフラップ板(図1に示すような駐車車両の乗り逃げ防止用 の機器)の販売件数が増加している[注 11].このようにフラップ 板が設置された駐車スペースは増加しており,ドライバが利用す る機会は多くなっているものの,駐車スペース内にフラップ板が あると特に運転に不慣れなドライバにとっては何の障害物もない 通常の駐車スペースに比べて駐車が困難になることが懸念される. そのため,駐車しやすいフラップ板を駐車スペースに設置するこ とは重要であるが,前述の通りこうした観点の研究は十分に行わ れておらず,駐車しやすいフラップ板の設置条件は明らかでない. こうしたことから,本研究ではドライバがバック駐車しやすい フラップ板の設置条件の導出に貢献することを目的とし,駐車ス ペース内のフラップ板の設置条件の違いがドライバのバック駐車 時の駐車行動に与える影響を明らかにすることを試みた.特に, フラップ板の種類と駐車スペース内の設置位置に着目し,これら の違いが運転経験が豊富なドライバ(経験者)とあまり運転経験 のないドライバ(初心者)のバック駐車時の自動車操作パフォー マンスや眼球運動特性にどのような影響を与えるかを調査した. 2.方法 2. 1. 被験者 被験者は,自動車の駐車経験が豊富で日頃車に乗っている男性12 名(平 均34.0 才,SD:7.98)(経験者)と,自動車の駐車経験が少なく普段車に ほとんど乗らない男性 14 名(平均20.7 才,SD:0.88)(初心者)とした. 経験者群の自動車利用頻度はほぼ毎日であり,初心者群の自動車利用頻度 は数か月に 1 回以下であった.被験者には,実験目的・内容を十分に説明 し,書面でインフォームド・コンセントを得た. 2. 2. 実験装置・環境 コインパーキングに用いられるフラップ板として,以下の2種類を想定 した.一つは,現状比較的普及している一般的なフラップ板として,駐車 車両の出入りを防ぐための跳ね上げ式の板が駐車スペースの路面上に設置 されているタイプであり(英田エンジニアリング株式会社,AEFR-15(図2). 以下,従来フラップと呼称.),実験にあたっては実物を用いた.もう一つ は,ロック時以外はフラップ板が地面に埋め込まれて駐車スペース内の段 差をなくすことができるタイプであり(英田エンジニアリング株式会社, AEZF-3.以下,ゼロフラップと呼称.),実験にあたってはこれを原寸大に 印刷したシールを用いた(図3).ゼロフラップの条件では,このシールを 駐車スペース内の路面上に固定した.これはゼロフラップの設置にあたっ ては,機器を路面に埋め込むための大掛かりな工事が必要となるためであ る.また実験車両として,経験者群はワゴンR(スズキ, LA-MC22S),初心 者群は EK ワゴン(三菱自動車, DBA-H82W)を使用した.実験準備の都合 上,同一の車種を用意することができなかったため車体寸法等の仕様が類 フラップ板 図1 コインパーキングで利用されるフラップ板[注13]
136
59
単位:
mm
図2 従来フラップ(英田エンジニアリング株式会社,AEFR-15)単位:
mm
図3 ゼロフラップ(英田エンジニアリング株式会社,AEZF-3)実験車両
1500
1500
単位:
mm
バック駐車
前 後 図4 実験開始時の実験車両位置(左側から駐車する場合) 似する 2 つの車両を選定した.いずれの車両も右ハンドルの AT 車であっ た.また実験中のドライバの眼球運動特性(注視回数,注視時間)の計測 のために,頭部装着型の視線計測装置を用いた(ナック,EMR-9).本装置 は,暗瞳孔法を用いた視線計測装置であり,検出周波数は約30 Hz である. 事前に被験者の利目を調査し,各被験者の利目に対して計測を行った.実 験は,施設の駐車場の一部を使って実施された.また天候が晴れまたは曇 りの時に限って実験を実施した. 2. 3. 実験課題 被験者には,後退による駐車作業を課した.被験者が運転する車と,駐 車スペースの初期配置は図4に示すとおりとした.図4は駐車スペースの 左側から駐車する状況であるが,実験では一つのフラップ板設置条件につ き左右両側からの駐車を 1 回ずつ実施した.右側からの駐車の場合は図4 の左右対称の配置とした.図4に示す初期配置において,ギアをパーキン グ(P)の状態から動かした時点を課題開始とし,所定の駐車スペースに車 を収めてギアを再度 P に戻した時点で課題終了とした.駐車操作中のハン ドルの切り返し,ギアチェンジの回数に制限は設けず,被験者に自由に操 作させた. 2. 4. 実験要因・条件 実験要因は,被験者の経験度合(経験者,初心者の2水準),フラップ板 の設置位置(従来位置,前方位置の2水準),設置した機器の種類(従来フ ラップ,ゼロフラップの2水準)の3要因とした.経験度合は被験者間要 因,フラップ板の設置位置(以下,設置位置)と設置した機器の種類(以 下,設置機器)は被験者内要因とした. フラップ板の設置位置および駐車スペースの寸法は図5に示す通りとし た.フラップ板の設置位置が従来位置の場合は駐車スペースの先端からフ ラップ板先端までの距離を 2000 mm とし,前方位置の場合はフラップ板の 位置は駐車スペースの先端に揃えた(図5).これに加えて,統制条件とし てフラップ板を設置しない条件での作業を行った. 2. 5. 実験手順 まず自動車のシートに被験者を着座させ,運転操作を行いやすいように シート,サイドミラー,バックミラーの位置を調整させた.次に,運転席 に着座した状態で視線計測装置を装着し,キャリブレーションを行った. 被験者が実験内容を十分に理解し,視線計測が問題なくできていることが 確認できた時点で,実験作業を開始した.作業実施中は,振り向いての後 部の確認やドアを開けての後部の確認は行わないこととし,被験者にはサ イドミラーおよびバックミラーを見て駐車するように教示した.これは被 験者の体勢が大きく変わったり,頭部が大きく動いたりした際に,視線計 測装置がずれたり,視線を追いきれなかったりする場合があったためであ る. 実験作業は,被験者内要因である2要因(設置位置,設置機器)の組み 合わせ4条件に統制条件を加えた5条件を左右両方において行ったので, 経験者,初心者それぞれ 10 条件ずつ実施した.また被験者には,安全を十 分に確保することを前提としたうえで,できるだけ早く,正確に実験車両 を駐車スペース内に収めるように求めた. 2. 6. 評価指標 (1)課題達成時間 作業の開始(初期配置においてギアを P から動かした 時点)から完了(駐車スペース内に実験車両を収め,再びギアを P に動か す時点)までの時間とした. (2)注視回数 作業実施中の注視点の総数を注視回数とした.なお,注視点 については下記の手順に従って算出をした.まず始点となるアイマーク(各 フレームで検出された座標)を中心とした半径2度の視野角の円を注視判 定の領域とし,次のアイマークが注視判定の領域内にあるかどうかを判定 する.アイマークが領域内にある場合は,注視中のアイマーク候補として 追加し,領域内にあるすべての注視中のアイマーク候補の座標の重心を算 出する.この重心を中心として注視判定領域を更新し,さらに次のアイマ ークを確認する.次のフレームのアイマークが領域外になった時点で上述 の注視判定処理を終了し,この時間が 0.1 秒以上であったなら注視点と見4000
2500
2000
駐車スペースと
フラップ板先端を揃える
前方位置の条件
従来位置の条件
フラップ板
車止め
単位:
mm
図5 実験を行った駐車スペースおよびフラップ板設置位置なす.これらの処理を実験作業中のデータすべてに対して実施し,注視点 を検出する.図6に注視点検出の手順を図示する. (3)注視時間 1回の注視点あたりの平均継続時間を注視時間とした. (4)ハンドル切り返し回数 駐車作業中にハンドルを逆側に切り返した回数 とした.このとき,課題開始から最初に動かすハンドル操作はカウントせ ず,そこから逆方向に切り返すたびにその回数を計測した. (5)主観評価(駐車しやすさ) 駐車のしやすさについて,「1:駐車しにく い」~「5:駐車しやすい」の5段階での主観評価を行った. 2. 7. 統計処理 本実験で得られたデータに対して統計解析を行い,条件間の違いを把握 した.課題達成時間,注視回数,注視時間,ハンドル切り返し回数につい ては,左右別に三元配置分散分析(経験度合(2水準)×設置位置(2水 準)×設置機器(2水準))を行った.1次の交互作用が有意であった場合 は,単純主効果検定としてt検定を行った.また2次の交互作用が有意で あった場合は,まず単純交互作用の検定として二元配置分散分析を行い, 単純交互作用が有意であった場合には関連する要因について単純・単純主 効果検定としてt検定を行った.主観評価については,ノンパラメトリッ ク検定としてKuraskal-Wallis 検定と事後検定としてSteel-Dwass による 多重比較を行った.なお,いずれの分析においても危険率5%未満で有意と した. 3.実験結果 3. 1. 課題達成時間 図7に各条件における課題達成時間の平均を示す.課題達成時間につい て左右別に三元配置分散分析(経験度合×設置位置×設置機器)を実施し た.左側では,設置機器の主効果(F(1,24)=9.84, p<0.01)と設置機器× 経験度合の交互作用(F(1,24)=13.62, p<0.01)が有意であった.設置機器 ×経験度合の交互作用について,単純主効果検定を行ったところ,従来フ ラップにおいて経験者の課題達成時間が初心者よりも有意に短かった (p<0.05).また初心者では,ゼロフラップの条件の課題達成時間が従来フ ラップの条件よりも有意に短かった(p<0.01). また右側では,設置機器の主効果(F(1,24)=17.65, p<0.01),設置機器 ×経験度合の交互作用(F(1,24)=10.84, p<0.01)および設置位置×設置 機器の交互作用(F(1,24)=4.34, p<0.05)が有意であった.設置機器×経 験度合の交互作用について単純主効果検定を行ったところ,初心者におい てゼロフラップの条件の課題達成時間が従来フラップの条件よりも有意に 短かった(p<0.01).また設置位置×設置機器の交互作用について単純主効 果検定を行ったところ,前方位置ではゼロフラップの条件の課題達成時間 図6 注視点検出アルゴリズム 図7 各条件の課題達成時間 (エラーバーは標準偏差を示す.**: p<0.01, *: p<0.05) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左側からの駐車 右側からの駐車 課題達成時間 s 初心者 経験者 ** * 初心者vs経験者ゼロフラップvs従来フラップ ** ** ゼロフラップvs従来フラップ 図8 各条件の注視回数 (エラーバーは標準偏差を示す.**: p<0.01, *: p<0.05) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左側からの駐車 右側からの駐車 注視回数 初心者 経験者 ** 初心者vs経験者 ゼロフラップvs従来フラップ ** ***
なす.これらの処理を実験作業中のデータすべてに対して実施し,注視点 を検出する.図6に注視点検出の手順を図示する. (3)注視時間 1回の注視点あたりの平均継続時間を注視時間とした. (4)ハンドル切り返し回数 駐車作業中にハンドルを逆側に切り返した回数 とした.このとき,課題開始から最初に動かすハンドル操作はカウントせ ず,そこから逆方向に切り返すたびにその回数を計測した. (5)主観評価(駐車しやすさ) 駐車のしやすさについて,「1:駐車しにく い」~「5:駐車しやすい」の5段階での主観評価を行った. 2. 7. 統計処理 本実験で得られたデータに対して統計解析を行い,条件間の違いを把握 した.課題達成時間,注視回数,注視時間,ハンドル切り返し回数につい ては,左右別に三元配置分散分析(経験度合(2水準)×設置位置(2水 準)×設置機器(2水準))を行った.1次の交互作用が有意であった場合 は,単純主効果検定としてt検定を行った.また2次の交互作用が有意で あった場合は,まず単純交互作用の検定として二元配置分散分析を行い, 単純交互作用が有意であった場合には関連する要因について単純・単純主 効果検定としてt検定を行った.主観評価については,ノンパラメトリッ ク検定としてKuraskal-Wallis 検定と事後検定としてSteel-Dwass による 多重比較を行った.なお,いずれの分析においても危険率5%未満で有意と した. 3.実験結果 3. 1. 課題達成時間 図7に各条件における課題達成時間の平均を示す.課題達成時間につい て左右別に三元配置分散分析(経験度合×設置位置×設置機器)を実施し た.左側では,設置機器の主効果(F(1,24)=9.84, p<0.01)と設置機器× 経験度合の交互作用(F(1,24)=13.62, p<0.01)が有意であった.設置機器 ×経験度合の交互作用について,単純主効果検定を行ったところ,従来フ ラップにおいて経験者の課題達成時間が初心者よりも有意に短かった (p<0.05).また初心者では,ゼロフラップの条件の課題達成時間が従来フ ラップの条件よりも有意に短かった(p<0.01). また右側では,設置機器の主効果(F(1,24)=17.65, p<0.01),設置機器 ×経験度合の交互作用(F(1,24)=10.84, p<0.01)および設置位置×設置 機器の交互作用(F(1,24)=4.34, p<0.05)が有意であった.設置機器×経 験度合の交互作用について単純主効果検定を行ったところ,初心者におい てゼロフラップの条件の課題達成時間が従来フラップの条件よりも有意に 短かった(p<0.01).また設置位置×設置機器の交互作用について単純主効 果検定を行ったところ,前方位置ではゼロフラップの条件の課題達成時間 図6 注視点検出アルゴリズム 図7 各条件の課題達成時間 (エラーバーは標準偏差を示す.**: p<0.01, *: p<0.05) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左側からの駐車 右側からの駐車 課題達成時間 s 初心者 経験者 ** * 初心者vs経験者ゼロフラップvs従来フラップ ** ** ゼロフラップvs従来フラップ 図8 各条件の注視回数 (エラーバーは標準偏差を示す.**: p<0.01, *: p<0.05) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左側からの駐車 右側からの駐車 注視回数 初心者 経験者 ** 初心者vs経験者 ゼロフラップvs従来フラップ ** *** が従来フラップの条件よりも有意に短かった(p<0.01). 3. 2. 注視回数 図8に各条件における注視回数の平均を示す.注視回数について左右別 に三元配置分散分析(経験度合×設置位置×設置機器)を実施した.左側 では,設置機器の主効果(F(1,24)=8.77, p<0.01)と設置機器×経験度合 の交互作用(F(1,24)=11.23, p<0.01)が有意であった.設置機器×経験度 合の交互作用について,単純主効果検定を行ったところ,従来フラップに おいて経験者の注視回数が初心者よりも有意に少なかった(p<0.01).また 初心者では,ゼロフラップの条件の注視回数が従来フラップの条件よりも 有意に少なかった(p<0.01). また右側では,設置機器の主効果(F(1,24)=23.28, p<0.01),設置機器 ×経験度合の交互作用(F(1,24)=9.84, p<0.01)および設置位置×設置機 器×経験度合の交互作用(F(1,24)=5.59, p<0.05)が有意であった.2次 の交互作用が有意であったため,単純交互作用の検定を行ったところ前方 にフラップ板を設置した条件における設置機器×経験度合の交互作用のみ が有意であった(F(1,24)=8.10, p<0.01).これについて単純・単純主効果 検定を行ったところ,初心者・経験者ともに前方位置に設置したゼロフラ ップの条件では前方位置に設置した従来フラップの条件よりも有意に少な い注視回数であった(初心者:p<0.01,経験者:p<0.05). 3. 3. 注視時間 図9に各条件における注視時間の平均を示す.注視時間について三元配 置分散分析(経験度合×設置位置×設置機器)を実施した.左側では,い ずれの主効果,交互作用も有意でなかった.右側では,設置位置×設置機 器の交互作用のみが有意であった(F(1,24)=4.97, p<0.05).単純主効果検 定を実施したところ,従来フラップの条件では前方の設置位置の方が従来 の設置位置よりも有意に注視時間が短かった(p<0.05).また前方にフラッ プ板を設置した条件では,従来フラップの条件の注視時間はゼロフラップ の条件よりも有意に短かった(p<0.01). 3. 4. ハンドル切り返し回数 図 10 に各条件におけるハンドル切り返し回数の平均を示す.ハンドル 切り返し回数について左右別に三元配置分散分析(経験度合×設置位置× 設置機器)を実施した.左側では,設置機器の主効果(F(1,24)=7.35, p<0.05),設置機器×経験度合の交互作用(F(1,24)=13.70, p<0.01)およ び設置位置×設置機器の交互作用(F(1,24)=5.00, p<0.05)が有意であっ た.設置機器×経験度合の交互作用について,単純主効果検定を行ったと ころ,従来フラップにおいて経験者のハンドル切り返し回数が初心者より も有意に少なかった(p<0.01).また初心者では,ゼロフラップの条件のハ ンドル切り返し回数が従来フラップの条件よりも有意に少なかった(p<0.01). つぎに設置位置×設置機器の交互作用について,単純主効果検定を行った ところ,前方に設置されたゼロフラップの条件のハンドル切り返し回数は 前方に設置された従来フラップの条件よりも有意に少なかった(p<0.01). また右側では,設置機器の主効果(F(1,24)=7.26, p<0.05)と設置機器 ×経験度合の交互作用(F(1,24)=9.14, p<0.01)が有意であった.設置機 器×経験度合の交互作用について単純主効果検定を行ったところ,従来フ ラップにおいて経験者のハンドル切り返し回数が初心者よりも有意に少な かった(p<0.05).また初心者では,ゼロフラップの条件のハンドル切り返 し回数が従来フラップの条件よりも有意に少なかった(p<0.01). 3. 5. 主観評価(駐車しやすさ) 図 11 に各条件における駐車しやすさについての評点の平均を示す.左 右別にKuraskal-Wallis 検定を実施したところ,左右ともに条件間に有意 図9 各条件の注視時間 (エラーバーは標準偏差を示す.**: p<0.01, *: p<0.05) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左側からの駐車 右側からの駐車 注視時間 s 初心者 経験者 ** * 従来位置vs前方位置 ゼロフラップvs従来フラップ 図10 各条件のハンドル切り返し回数 (エラーバーは標準偏差を示す.**: p<0.01, *: p<0.05) 0 2 4 6 8 10 12 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左側からの駐車 右側からの駐車 ハン ド ル切り 返し 回数 初心者 経験者 ** 初心者vs経験者 ** ** ゼロフラップvs従来フラップ * 初心者vs経験者 ** ゼロフラップvs従来フラップ 図11 各条件の主観評価の評点(エラーバーは標準偏差を示す) 1 2 3 4 5 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ 従来 フラップ ゼロ フラップ フラップ なし 従来位置 前方位置 フラップ なし 従来位置 前方位置 左 右 駐車し やす さ (1 : 駐車し に く い ,5 : 駐車し やす い ) 初心者 経験者
差が認められたので(左:χ2(9)=40.16, p<0.01, 右:χ2(9)=36.77, p<0.01),Steel-Dwass による多重比較を行った.多重比較結果は,表1お よび表2に示す.経験者では,左側からの駐車の際に前方に設置された従 来フラップとゼロフラップの条件間で有意差が見られた(p<0.05).また初 心者では,左側からの駐車の際に前方に設置された従来フラップの条件が, フラップ板なしの条件やゼロフラップ(従来位置,前方位置とも)の条件 よりも有意に評点が低かった(p<0.01). また今回の実験では,駐車の際の後方確認方法をサイドミラーおよびバ ックミラーのみに限定し,振り向いての後部の確認やドアを開けての後部 の確認は行わせなかった.普段の駐車操作と大きく異なると被験者が感じ る「駐車しやすさ」に影響を及ぼす可能性があるため被験者に内省報告を 求めたところ,今回の駐車操作に違和感があったという報告はなく,また 多くの被験者が普段から主にサイドミラーを利用して駐車していたことが わかった.このことから,今回の実験手順は被験者の主観評価へは影響を 及ぼしていないと考えた. 4. 考察 図7に示す課題達成時間では,左右いずれにおいても初心者は従来フラ ップの条件に比べてゼロフラップの条件の時に有意に課題達成時間が短く なっていた.また左側からの駐車の場合,ゼロフラップの条件では初心者 と経験者の課題達成時間に有意差はなかったが,従来フラップの条件では 初心者に比べて経験者の課題達成時間は有意に短くなっていた.これらの ことから,初心者にとっては従来フラップよりもゼロフラップの方が素早 く駐車ができ,ゼロフラップの場合は経験者と同等の時間で駐車ができる と考えられる.また右側からの駐車の場合,前方にフラップ板を設置した 条件では,ゼロフラップに比べて従来フラップの条件の課題達成時間が有 意に長くなっていた.この原因としては,従来フラップを駐車スペース前 方に設置すると,後輪と前輪で2回フラップ板を乗り越える必要があるこ と,駐車スペースへの進入時のフラップ板と衝突しないかを気にする必要 があること,などが考えられる.これらの原因によって駐車が困難になり, 課題達成時間が長くなった可能性がある.実験車両の運転席はいずれも右 側であったため,特に右側からの駐車の場合に大きく目立つ従来フラップ が目につき,ドライバが注意を払う必要があったものと推測される. 次に図8に示す注視回数について考察する.各実験条件の注視回数の違 いは概ね前述の課題達成時間と同様の傾向が見られた.まず,左右いずれ においても初心者は従来フラップの条件に比べてゼロフラップの条件の時 に有意に注視回数が少なくなっていた.また左側からの駐車の場合,ゼロ フラップの条件では初心者と経験者の注視回数に有意差はなかったが,従 来フラップの条件では初心者に比べて経験者の注視回数は有意に少なくな っていた.これらのことから,初心者にとっては従来フラップよりもゼロ フラップの方がより少ない注視回数で駐車することができ,ゼロフラップ の場合は経験者と同等の注視回数で駐車位置の確認を行えていると考えら れる.また右側からの駐車の場合,前方にフラップ板を設置した条件では, ゼロフラップに比べて従来フラップの条件の注視回数が有意に多くなって いた.このことから従来フラップを前方に設置した条件では,注視回数が 多く,駐車位置の確認が困難であったと考えられる.課題達成時間につい 表2 駐車しやすさの評点についての多重比較結果(右側からの駐車)
(a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) (h) (i) (j) (a) フラップなし (b) 従来フラップ n.s. (c) ゼロフラップ n.s. n.s. (d) 従来フラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. (e) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. (f) フラップなし n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (g) 従来フラップ n.s. n.s. * n.s. * n.s. (h) ゼロフラップ n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (i) 従来フラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (j) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. **: p <0.01, *: p <0.05, n.s.: not significant 経験者 初心者 表3 重回帰分析結果
説明変数
t 値
注視回数
0.980
51.991**
注視時間
0.144
7.646**
**: p <0.01
標準偏回帰係数(
β )
表1 駐車しやすさの評点についての多重比較結果(左側からの駐車)(a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) (h) (i) (j) (a) フラップなし (b) 従来フラップ n.s. (c) ゼロフラップ n.s. n.s. (d) 従来フラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. (e) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. * (f) フラップなし n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (g) 従来フラップ n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (h) ゼロフラップ n.s. n.s. n.s. * n.s. n.s. n.s. (i) 従来フラップ・前方位置 * n.s. * n.s. ** ** n.s. ** (j) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. * **: p <0.01, *: p <0.05, n.s.: not significant 経験者 初心者
差が認められたので(左:χ2(9)=40.16, p<0.01, 右:χ2(9)=36.77, p<0.01),Steel-Dwass による多重比較を行った.多重比較結果は,表1お よび表2に示す.経験者では,左側からの駐車の際に前方に設置された従 来フラップとゼロフラップの条件間で有意差が見られた(p<0.05).また初 心者では,左側からの駐車の際に前方に設置された従来フラップの条件が, フラップ板なしの条件やゼロフラップ(従来位置,前方位置とも)の条件 よりも有意に評点が低かった(p<0.01). また今回の実験では,駐車の際の後方確認方法をサイドミラーおよびバ ックミラーのみに限定し,振り向いての後部の確認やドアを開けての後部 の確認は行わせなかった.普段の駐車操作と大きく異なると被験者が感じ る「駐車しやすさ」に影響を及ぼす可能性があるため被験者に内省報告を 求めたところ,今回の駐車操作に違和感があったという報告はなく,また 多くの被験者が普段から主にサイドミラーを利用して駐車していたことが わかった.このことから,今回の実験手順は被験者の主観評価へは影響を 及ぼしていないと考えた. 4. 考察 図7に示す課題達成時間では,左右いずれにおいても初心者は従来フラ ップの条件に比べてゼロフラップの条件の時に有意に課題達成時間が短く なっていた.また左側からの駐車の場合,ゼロフラップの条件では初心者 と経験者の課題達成時間に有意差はなかったが,従来フラップの条件では 初心者に比べて経験者の課題達成時間は有意に短くなっていた.これらの ことから,初心者にとっては従来フラップよりもゼロフラップの方が素早 く駐車ができ,ゼロフラップの場合は経験者と同等の時間で駐車ができる と考えられる.また右側からの駐車の場合,前方にフラップ板を設置した 条件では,ゼロフラップに比べて従来フラップの条件の課題達成時間が有 意に長くなっていた.この原因としては,従来フラップを駐車スペース前 方に設置すると,後輪と前輪で2回フラップ板を乗り越える必要があるこ と,駐車スペースへの進入時のフラップ板と衝突しないかを気にする必要 があること,などが考えられる.これらの原因によって駐車が困難になり, 課題達成時間が長くなった可能性がある.実験車両の運転席はいずれも右 側であったため,特に右側からの駐車の場合に大きく目立つ従来フラップ が目につき,ドライバが注意を払う必要があったものと推測される. 次に図8に示す注視回数について考察する.各実験条件の注視回数の違 いは概ね前述の課題達成時間と同様の傾向が見られた.まず,左右いずれ においても初心者は従来フラップの条件に比べてゼロフラップの条件の時 に有意に注視回数が少なくなっていた.また左側からの駐車の場合,ゼロ フラップの条件では初心者と経験者の注視回数に有意差はなかったが,従 来フラップの条件では初心者に比べて経験者の注視回数は有意に少なくな っていた.これらのことから,初心者にとっては従来フラップよりもゼロ フラップの方がより少ない注視回数で駐車することができ,ゼロフラップ の場合は経験者と同等の注視回数で駐車位置の確認を行えていると考えら れる.また右側からの駐車の場合,前方にフラップ板を設置した条件では, ゼロフラップに比べて従来フラップの条件の注視回数が有意に多くなって いた.このことから従来フラップを前方に設置した条件では,注視回数が 多く,駐車位置の確認が困難であったと考えられる.課題達成時間につい 表2 駐車しやすさの評点についての多重比較結果(右側からの駐車)
(a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) (h) (i) (j) (a) フラップなし (b) 従来フラップ n.s. (c) ゼロフラップ n.s. n.s. (d) 従来フラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. (e) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. (f) フラップなし n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (g) 従来フラップ n.s. n.s. * n.s. * n.s. (h) ゼロフラップ n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (i) 従来フラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (j) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. **: p <0.01, *: p <0.05, n.s.: not significant 経験者 初心者 表3 重回帰分析結果
説明変数
t 値
注視回数
0.980
51.991**
注視時間
0.144
7.646**
**: p <0.01
標準偏回帰係数(
β )
表1 駐車しやすさの評点についての多重比較結果(左側からの駐車)(a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) (h) (i) (j) (a) フラップなし (b) 従来フラップ n.s. (c) ゼロフラップ n.s. n.s. (d) 従来フラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. (e) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. * (f) フラップなし n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (g) 従来フラップ n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (h) ゼロフラップ n.s. n.s. n.s. * n.s. n.s. n.s. (i) 従来フラップ・前方位置 * n.s. * n.s. ** ** n.s. ** (j) ゼロフラップ・前方位置 n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. * **: p <0.01, *: p <0.05, n.s.: not significant 経験者 初心者 ての考察と同様に,特に右側からの駐車の際に大きく目立つ従来フラップ に衝突しないように注意を払う必要があったことで注視回数が増加したも のと考えられる. 図9に示す注視時間では,左側からの駐車の場合は条件間の違いは見ら れなかった.また右側からの駐車の場合は,「設置位置×設置機器の交互作 用」のみが有意であり,前方に従来フラップを設置した条件が他の条件よ りも30~40 ms程度短い注視時間であった.これは右側からの駐車の場合, ドライバの座席位置からフラップ板が見易く,かつ大きく目立つ従来フラ ップがドライバに近い前方位置に設置されていたことから,短い注視時間 で容易に視認できたものと考えられる.ただし,全体的に条件間の差異は 非常に小さかったことから,注視時間が課題達成時間(駐車にかかる時間) に与える影響は小さいと推測される. ここまでの考察を見ると,フラップ板の設置条件が異なるとドライバの 眼球運動特性が異なっており,駐車位置の確認行動に違いが生じていると 推察される.そしてこの駐車位置の確認行動の違いが,課題達成時間の違 いに繋がっていると考えられる.特に,注視時間は各条件間での差異が小 さかったのに対し,注視回数は課題達成時間と同様の傾向が見られたこと から,注視回数が課題達成時間に大きな影響を与えていると想定される. この点を検証するために,課題達成時間を目的変数,注視回数と注視時間 の眼球運動特性に関する指標を説明変数とする重回帰分析を行った(表3). この結果,自由度調整済決定係数R2は 0.96 となり(F(2,257)=1363.00,
p<0.01),VIF(variance inflation factors)については1.06 と低い値で あったことから,説明変数間の多重共線性は認められず,妥当なモデルを 得られたといえる.表3に示す各説明変数の標準偏回帰係数βを見ると, いずれもp<0.01 で有意であった.このことから,注視回数・注視時間とも に課題達成時間に影響を与えており,注視回数・注視時間が増えるにした がって課題達成時間も増加すると考えられる.ただし,注視時間の標準偏 回帰係数に比べて注視回数の標準偏回帰係数が極めて大きいことから,課 題達成時間には注視回数が大きく影響しているといえる. これまでの視覚探索に関する研究では,視覚探索課題において人間は注 視回数重視の variable number model による情報探索を行っていると述べ られている[注14-15].このvariable number model とは,情報探索作業 の作業時間は注視回数で予測ができると考えるモデルであり[注16],注視 箇所1か所あたりの注視時間の増加よりも注視箇所の増加によって情報探 索を行うという探索方略を表す.これに対し,1か所あたりの注視時間の 増加によって情報探索を行うという探索方略が variable duration model である.本実験での作業は特定の刺激を検索する情報探索作業ではなかっ たが,注視回数が課題達成時間に与える影響が大きく,駐車中の駐車位置 確認のための眼球運動も variable number model に基づいていると考えら れる.つまり駐車位置の確認のためには,注視回数がより重要な役割を果 たしており,短時間での駐車を実現するためには,注視回数を少なくする ような駐車スペースの設計が有効であると考えられる. つぎに図10 に示すハンドル切り返し回数について考察する.まず左右い ずれにおいてもゼロフラップの条件では,初心者と経験者のハンドル切り 返し回数に有意差はなかったが,従来フラップの条件では経験者のハンド ル切り返し回数は初心者よりも有意に少なかった.また初心者は,従来フ ラップの条件よりもゼロフラップの条件の時に有意に少ないハンドル切り 返し回数であった.これらのことから,初心者にとってはゼロフラップの 条件の方がより少ないハンドルの切り返しでスムーズに駐車できると考え られる.さらにゼロフラップの条件では,初心者は経験者と同等のハンド ル切り返し回数での駐車を実現できているといえる.また左側からの駐車 の場合は,上記の点に加えて「設置位置×設置機器の交互作用」も有意で あり,前方にフラップ板を設置した条件ではゼロフラップの条件は従来フ ラップの条件よりも有意にハンドル切り返し回数が少なかった.このこと から従来フラップは,前方位置に設置することで駐車が困難になり,スム ーズな切り返しができていなかったと考えられる. 図11 および表1に示す主観評価結果について述べる.経験者では,左側 からの駐車の場合において前方に設置された従来フラップとゼロフラップ の間に有意差が見られたが,他の条件間で有意差は見られなかった.この ことから前方に設置したゼロフラップが最も駐車しやすく感じたと考えら れる.また初心者では,左側からの駐車の場合において前方に従来フラッ プを設置した条件の評点が,フラップなし,ゼロフラップ(従来位置・前 方位置とも)より有意に低かった.初心者にとっては,フラップなしおよ びゼロフラップの条件が最も駐車しやすく,前方位置の従来フラップが最 も駐車しにくいと感じたと考えられる. ここまでの結果・考察をまとめ,駐車スペース設計への応用について言 及する.まずゼロフラップの条件は,課題達成時間,注視回数,ハンドル 切り返し回数,主観評価のいずれの観点から見ても,設置位置に関わらず 初心者にとって駐車しやすいフラップ板であると考えられる.経験者にと っては,従来位置にフラップ板を設置する場合は,従来フラップとゼロフ ラップの間に課題達成時間,注視回数,ハンドル切り返し回数の有意な違 いは見られなかったが,主観評価ではゼロフラップの評点が従来フラップ に比べてやや高かった.これらのことから,駐車スペースにフラップ板を 設置する場合は,ゼロフラップのような駐車スペースの路面との段差がな い機器を採用することが好ましいと考えられる.また従来フラップを前方 に設置した条件は,課題達成時間,注視回数,ハンドル切り返し回数,主 観評価のいずれの観点から見てもドライバの経験度合に関わらず評価が低 く,駐車しづらい条件であると考えられる.このことから従来フラップの 設置位置として駐車スペース前方の位置は好ましくないといえる. 最後に今後検討すべき課題について述べる.本研究では,フラ ップ板の設置条件として機器の種類(従来フラップ,ゼロフラッ プ)と設置位置(従来位置,前方位置)を取り上げたが,あくま で2×2の4条件のみであった.他の形状のフラップ板や他の設 置位置についての検討,フラップ板の色など駐車位置の視認に影 響すると思われる他の要因についての検討などを行うことで,よ り詳細な知見を得ることができると考えられる.
5.結論 本研究では,コインパーキングを利用するドライバにとって駐 車しやすいフラップ板の設置条件を検討するための基礎的実験と して,駐車スペース内のフラップ板の設置条件の違いがドライバ の駐車行動に与える影響を調査した.フラップ板の種類(従来フ ラップ,ゼロフラップ)と設置位置(従来位置,前方位置)の異 なる駐車スペースへの駐車作業を対象とし,自動車運転の初心者・ 経験者それぞれの駐車にかかる時間(課題達成時間),駐車中の眼 球運動特性(注視特性,注視時間),ハンドル切り返し回数,主観 的な駐車しやすさを計測し,分析した.その結果,下記の知見を 明らかにした. (1)初心者にとっては設置位置に関わらず従来フラップよりも ゼロフラップの方が,課題達成時間が短く,注視回数が少なく, ハンドル切り返し回数が少なく駐車することができる.またゼロ フラップは,初心者でも経験者と同等の課題達成時間,注視回数, ハンドル切り返し回数での駐車を実現できる. (2)経験者・初心者に関わらず,従来フラップを前方に設置し た条件では注視回数,課題達成時間,ハンドル切り返し回数が増 加する. (3)課題達成時間は,注視回数の影響を大きく受け,注視回数 によって予測可能である. (4)主観評価では,初心者・経験者に関わらずゼロフラップの 評価が高く,ゼロフラップは主観的にも駐車しやすい機器である といえる.また初心者・経験者いずれにおいても従来フラップを 前方に設置した条件の評価が最も低く,主観評価の観点でも従来 フラップの前方設置は好ましくないといえる. 謝辞 実験の実施およびデータ整理にご協力いただいた英田エンジニ アリング株式会社の万殿貴志氏,石原靖之氏,小野力氏および岡 山大学工学部機械システム系学科(当時)の藤原由幸氏に感謝い たします. 注および参考文献 1) 一般社団法人日本損害保険協会東北支部: 駐車場事故の実 態, http://www.sonpo.or.jp/news/publish/safety/trtrtr a/pdf/0016/parking.pdf(参照日 2019 年 6 月 7 日) 2) 企業開発センター交通問題研究室: バック事故防止の重要 点!車両感覚と安全確認, 月刊自動車管理, 45, 3, 2, 2018 3) A. Takahashi: Sequence of visual behavior during park ing, HCI International 2013 Poster’s Extended Abstrac ts Part 2, 342-346, 2013
4) J. Harpster, et al.: Field measurement of naturalistic backing behavior, Proc. of the Human Factors and
Ergonomics Society 40th Annual Meeting, 891-895, 1996 5) S. Gadgil and P. Green: How much clearance drivers want
while parking: Data to guide the design of parking assistance systems, Proc. of the Human Factors and Ergonomics Society 49th Annual Meeting, 1935-1939, 2005 6) G.M. Heckman, et al.: Drivers’ visual behavior during backing tasks: Factors affecting the use of rearview camera displays, Proc. of the Human Factors and Ergonomics Society 56th Annual Meeting, 2236-2240, 2012 7) S. McLaughlin, et al.: Driver performance evaluation of two rear parking aids, Proc. of the 18th International Technical Conference on the Enhanced Safety of Vehicles, 2003
8) B. Reimer, et al.: An evaluation of driver reactions to new vehicle parking assist technologies developed to reduce driver stress, MIT AgeLab White paper, 2010 9) D.S. Kochhar, et al.: Driver response to unexpected
automatic braking/haptic warning while backing, Proc. of the Human Factors and Ergonomics Society 56th Annual Meeting, 2211-2215, 2012
10)J.W. Muttart, et al.: Developing an adaptive warning system for backing crashes in different types of backing scenarios, Journal of Transportation Safety & Security, 3, 38-58, 2011 11)国土交通省都市局街路交通施設課: 駐車施策の最近の動向, 第 31 回全国駐車場政策担当者会議, http://www.mlit.go. jp/common/001225523.pdf(参照日 2019 年 6 月 7 日) 12)一般社団法人日本パーキングビジネス協会: コイン式自動車 駐車場市場に関する実態分析調査 2015 版, 第 30 回全国駐車 場制作担当者会議, https://www.mlit.go.jp/common/00117 3421.pdf(参照日 2019 年 6 月 7 日) 13)英田エンジニアリング株式会社ホームページの写真を使用し た(http://www.aida-eng.co.jp/parking/park/). 14)A. Murata and N. Furukawa: Relationships among display
features, eye movement characteristics, and reaction time in visual search, Human Factors, 47, 3, 598-612, 2005
15)土井俊央, 村田厚生: GUI での情報探索における画面の複雑 さが反応時間・眼球運動特性に与える影響, 人間工学, 54, 6, 236-247, 2018
16)G.J. Zelinsky and D.L. Sheinberg: Eye movements during parallel-serial visual search, Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 23, 1, 244-262, 1997