香川生物(KagawaSeibutsu)(35):23−25,2008 屋島湾から得られたシオガマサンゴ仇血吻川混血肌拍抑血
明 石 英 幹・藤 原 宗 弘・吉 松 定 昭
〒761−0111香川県高松市屋島東町75−5 香川県水産試験場高 砂 −・義
〒761−0130 香川県高松市庵治町6371庵治漁業協同組合Occurrenceofthesecondahermatypiccoral,OulanglaStOkesianamiltoni,
atYashimaInlet,KagawaPrefecture
HidekiAkashi,MunehiroF咄iwaraandSadaakiYoshimats11,KagawaP,‘形cturalPi5heries
且坪eJ∼椚eJααJぶJα血〃,7=ね占舶用α−〟∼gα5ゐん7bたα〝∽わ〟,ぷムgαl棚乃ノーOノブJ,J‘卿〝 K誠ⅦyOShiTakas重唱叫Aノげg5ゐe′吏g5Co甲e′α如eA550C血血均d・ヲ刀Aノち乃たα肌α叫肋卵Wα乃ノー〃・叩ノ如馴2)で発見し,同年1月17日に香川県水産試
験場へ持ち込んだものである。2種類めとな
る非造礁性イシサンゴの一・種の標本は,穿孔 性生物の食痕がみられるものの,比較的良好 な状態を保っていた。英の大きさは,径9.9mmX13..4mm,高さ13.8m恥 深さ5。8mmであり,
チョウジガイモドキ属Pα用呼d血5Spり に似た キノコ状の形態を示していたが,同属の日本 産既知種(小川ほか,2000)に一・致するもの はなかった。−・方で,Septa(隔壁)配列にPseudoPourtalesplan(擬Pourtales plan,PP
plan)を有している こ と,pali(杭),
palifbITnlobe(杭状葉)を欠いていること,総 てのseptaが鋸歯状であること,COlurne11a(軸 柱)とseptaの境界が不明瞭であること,等の 点において,小川ほか(1996)に記載された シオガマサンゴ仇Jα〝g∼α.Sわ々e5紘那=舶眈矧の 指標とよく−・致したことから,本種と同定さ れた。 明石ほか(2007)はこれまでに,香川県高 松市屋島東町と同市庵治町の間に位置する屋 島湾から得られた非道礁性イシサンゴの−・ 種,オノミチヰサンゴ伽乃め即妙JノブαCJか05αについての報告を行なっている。その後,香
川県水産試験場で保管して−いる当該標本を精 査していたところ,オノミチキサンゴが着生 していたカキ殻に,別種の非造礁性イシサン ゴ1個体の着生しているのが見出されたこと から,屋島湾における2種類めの確認例とし て報告する。 本稿をまとめるにあたり,今回見出された非造礁性イシサンゴ試料の同定をして頂い
た,中井研究室の小川数也博士に感謝申し上 げる。 今回新たな非造礁性イシサンゴの一・種の骨 格標本(図1)が着生していた試料は,2006 年1月初旬,著者の一・人である高砂が潜水作 業中,屋島湾口に近い高松市庵治町平石(図 − 23 −OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
図1.屋島湾で採取されたシオガマサンゴ仇血閣料地血涙胴Ⅶ故加骨格標本.
A:オノミチキサンゴ伽〃dr呼砂地crめro∫αの根元に着生するシオガマサンゴ,
B・C:シオガマサンゴの拡大像(側面),D:シオガマサンゴの拡大像(上面) シオガマサンゴは,英が浅いこと,骨格が濃 い茶包または茶褐色であること,Septa表面の叛 粒が細かな麻状であること.septa上線が白色を 呈することで,他の単体サンゴと容易に区別で きる(小川ほか,1996)とされるが,今回見出 された試料は,風化によって色の特徴が失われ ていることに加え,実の形が低い円盤状ではな く高さのあることなど,特有な形状を示してい た。このことについて小川(私信)は,今回見 出された試料が葉上部を除いて埋没していた可 能性を指摘し,堆積物の多い特異な生育環境で 生育したことによる変異個体との見方を示している。サンゴ試料の得られた屋島湾が,閉鎖的
な地形のために堆積物の溜まりやすい環境であ ることは,/伸l(私信)の見解を裏付けるもの 図2.オノミチキサンゴ伽J王dr呼ん〆J∫〟Crf♭ro∫〟 と共にシオガマサンゴ仇血′画=顧慮− β朋m′Jfo〃′ 骨格標本が得られた場所 (⑳印). − 2∠i一OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
1996.日本産非造礁性イシサンゴ類の再検 討と同定の手引−ⅠⅠⅠ,タコアシサンゴ属・ ジャワサンゴ属・アサガオサンゴ属・ジュ ズサンゴ属・イボヤギモドキ属・シオガマ サンゴ属い 南紀生物38(1):37−48 小川数也・高橋秋之介・立川浩之・坂井恵 一‥千葉潤,.2000.日本産非造礁性イシサ ンゴ類の再検討と同定の手引−ⅤⅠ,チョウ ジガイモドキ属・ツタチョウジガイ属・ニ セツボサンゴ属・ツツサンゴ属.南紀生物 42(1):55−63.. であり,今後,同海域における生きた個体の 採取と飼育,他海域産骨格標本との比較など を通して,環境要因がシオガマサンゴの形態 発育に与える影響を検証する必要があろう。