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サリチル酸ナトリウムで誘発される局所麻酔増強効果に及ぼすベタメタゾンの影響に関する基礎的研究

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(1)

194 米子医誌

J

Yonago Med Ass 50, 194-204, 1999

サリチル酸ナトリウムで誘発される局所麻酔増強効果に及ぼす

ベタメタゾンの影響に関する基礎的研究

鳥 取 大 学 医 学 部 生 理 学 第 一 教 室 ( 主 任 渡 進 達 生 教 授 ) 米子病院(院長松本久)1)

三好美智夫,井元敏明, 日地康武

1)

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by N

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ABSTRACT

Michio MIYOSHI

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IMOTO

Yasutake

H

I

J

Jll

The First Department of Physiology, Faculty of Medicine, Tottori目 的Jersity,Yonago 683-8503, Japan.

1)Yo問goHospital, Yonago 683-0015, Japan

Loca1 injections of corticosteroids are frequent1y used in the treatment of regiona1 pain, though the rationa1e for this is not clear.However, corticosteroids have been found to sup -press ectopic discharges from experimenta1 neuromas and to have a short-1asting suppres -sive effect on transmission in norma1 C-fibres. In this study, it was investigated by record -ing the action potentia1 of crayfish nerve that the inf1uence of a corticosteroid, betametha -sone, on the increasing 10ca1 anesthetic action induced by Na-sa1icy1ate added to dibucaine, 1idocaine and bupivacaine, respective1y. The resu1t showed that the action potentia1s disap -peared in 13 minutes after treatment of 0.01% Na-sa1icy1ate added to 0.05% dibucaine which cou1d hard1y give anesthetic action, and were recovered to the norma1 1eve1s by washing 13 minutes after. Whi1e the onset time of anesthetic action was further shortened and recovery time was pro10nged besides, when the above two drugs were used as the combined solution with 0.3% betamethasone. But no a1teration of the action potentia1s was actually found in a mixture of 0.01 % Na-sa1icy1ate and 0.3% betamethasone. These tenden -cies were a1so observed in the case of 2% 1idocaine or 0.3% bupivacaine though 0.05% dibucaine showed the prominent trend. The use of 10ca1 anesthetics combined with Na-sa1icy1ate and betamethasone wou1d be promising in clinica1 practice for 10ca1 anesthesia as a nove1 mixed drug having rapid onset of anesthetic action and 10ng duration.

(Accepted on October 13, 1999)

Key

words :

dibucaine

1idocaine

bupivacaine

sodium sa1icy1ate

betamethasone.

(2)

麻酔増強効果に及ぼすべタメタゾンの影響 195 はじめに 著者らは,各種の局所麻酔薬にサリチル酸ナト リウムのようなモノカルボン酸ナトリウムを添加 して使用すると麻酔効果は格段に増強されること を明らかにしている.例えば,モノカルボン費支ナ トリウムが共存すると,麻酔作用の弱い麻酔薬プ ロカインでは有意な麻酔発現時間の短縮と麻酔持 続 時 間 ( 麻 酔 回 復 時 間 ) の 延 長 が 観 察 さ れ る1-3) 一方,麻酔作用の強い麻酔薬ジブカイン では興奮伝導をブッ口クするのに必要な麻酔薬の 最低濃度を低めに使用可能であること1)を基礎的 な動物実験から報告してきた.最近,ペインクリ ニックの分野において,各種の痔痛治療を行う場 合,局所麻酔薬にステロイド剤を添加して用いる と麻酔効果の増強が見られること5.6)や局所麻酔 薬に抗炎症作用を有する合成副腎皮質ホルモンの 1)ン酸ベタメタゾンナトリウムを添加して使用す ると自発痛ならびに圧痛に対する抑制が有意に高 まる7)との臨床結果が報告されている.しかし, この麻酔増強効果を直接的に神経線離で比較した 基礎的研究は行われていない.さらに,著者らが すでに報告している麻酔増強効果を有するサリチ ル酸ナトリウムにリン酸ベタメタゾンナトリウム を添加すれば,局所麻酔薬,サリチル酸ナトリウ ム, リン酸ベタメタゾンナトリウムの三者混合に おいて,相加的または相乗的に麻酔発現時間の短 縮,麻酔持続時間(麻酔回復時間)の延長および 麻酔薬の低濃度,低容量使用が期待できるため, 臨床的にも有意義な配合になるものと考えられ る.本研究は,アメリカザリガニの腹側神経線維 束を用いて電気生理学的な手法から得られた複合 活動電位を指標に麻酔発現時間,麻酔回復時間 (麻酔持続時間)を鵠定し,局所麻酔薬(ジブカ イン, リドカイン,ブピパカイン)およびサリチ ル離ナトリウムを含む局所麻酔薬に1)ン酸ベタメ タゾンナトリウムを添加したときの麻酔増強効果 を比較検討したものである. 材料および方法 使 用 し た 薬 物 塩 酸 ジ ブ カ イ ン CDolder),塩離 リドカイン (Dolder),塩酸ブピパカイン (Sigma), サリチル酸ナトリウム(吉富製薬), リン酸ベタメ タゾンナトリウム(以下,ベタメタゾン, Poussel Uclaf, France)を用いた. 緩衝液の組成 原法ハラベルト液(以下,ハラベ ルト液)4)は, NaCl 195 m M, KCl 5.4 m M, CaClz 13.5 m M, MgCb 2.6 m M, HEPES 7.5 m M, pH 6.5で使用した.薬物のひとつリン酸ベタメタゾ ンナトリウム(B

M)

をハラベルト液に加えると沈 殿物が生じたので,薬物を溶解する試験液用に は,カルシウムとマグネシウムを減らした改良型 /¥ラベルト液 (NaCl 195 m M, KC1 5.4 m M, CaClz 0.8 m M, MgClz 0.6 m M, HEPES 7.5 m M, マンニトール15m M, pH 6.5)を作成して使用し た. 実験材料およびチャンバーへのセット 体長 7~ 12cm ,体重 20~60 gのアメリカザリガニ 125匹 を使用した.ザリガニ腹側神経幹の第6胸神経節 から第6腹側神経節までを捕出し,直ちにハラベ ルト液 (Harreve1d'ssolution)に浸し,腹側神経 の分校と血管を除去した神経線維束を実験に供し た.各群の例数はすべて5とした.摘出神経線維 束(以下,神経線維東)を,稿絶された 5つの ブールから成る笠木ら8)の測定府チャンパーに埋 め込み,各プール聞の隔絶部をワセリンでシール して電気的に絶縁し,すべてのプールにハラベル ト液を満たした.頭{閣の 2つのブールは東日激用 ブ'-)レであり,電気刺激は3分または5分にl回の 割合で関値上の矩形波 (6V, 0.1 msec)を与え た.尾側の2つのプールは記録用ブールであり, 神経線維束の活動電{立を導出した.中央プールは 試験液用とした.活動電位のコントロール植は, 神経線維束をセットしてから活動電位が安定した 20分後の活動電位面積組(後述)とした.中央プー ルを各試験液で置き換えた後, 30分間の活動電位 面積値の経時的変化を観察した.さらに,中央 ブールをハラベルト液と入れ替え 60分間活動電位 面積値の回復度を観察した.実験はすべて液温 18 ~240C の条何二下で千子った. 活動電位の測定 神経活動電伎は,直流増幅器 (RB-5, Iこ│本光電K K,東京)を介してオシロス コープ (5520G12,菊水電子工業KK,神奈川)で モニターし,デジタルレコーダ (DR-F-,l TEAC CO,東京)で記録した.ザリガニ腹側神経の神経 線維束には巨大神経線維が

4

本存在し,活動電位 波形に同じ大きさの峰分かれが生じるため,活動 電位の評価には,得られた複合活動電位波形 (O~

(3)

196 三好美智夫-井元敏明・日地康武 表1.各試験液投与後30分およびハラベルト液洗浄後60分における神経線維東の活動電位 面積値 Drugs Drug(%) 羽Tash(%) Harreve1d's solution 104.8土 15.3 91. 3 ::!:: 8.4 0.3% betamethasone 102.6 ::!:: 5.5 99.3 ::!:: 5.2 0.01% Na-sa1icy1ate 104.6 ::!:: 10.8 99.9 ::!:: 14.5 0.3% Na-sa1icy1ate 2.3 ::!:: 2.6* 7.3::!:: 13.3* 0.01 % Na-sa1icy1ate 94.3 ::!:: 4.6 91. 3 ::!:: 6.4 + 0.3% betamethasone Drug(%):神経線維束に各試験液 (Drugs)投与後30分の活動電位面積値, Wash(O/O):ハラベル ト液洗浄後60分の活動電位面積値.表中の数値:各試験液を投与する前の活動電位面積値(コ ントロール催)を100とした持の棺対髄 (mean土 SD).本p

<

0.05: Harreveld's solutionlこ対 して. 10 msec)をデータ解析ソフトウエア (MicroCa1, Origin, M A, USA)により積分した面積値を用い た.実験結果の活動電位面積値(actionpotentia1 area,表中 APareaと略す)は,コントロール値 を100としたときの相対値で示した.麻酔発現碍 間(b1ocktime)とは,神経線維束を試験液に浸し た後,活動電{立商積{直がコントロール値の5%以 下 に 減 少 す る 時 間 , 麻 酔 回 後 時 間 (recovery time)とは,神経線維束をハラベルト液に戻して から活動電位面積債がコントロール値の5%以上 に戻るまでの時間とした. 統計分析得られた実験結果は平均値±標準偏差 で表示した.統計処理は,活動電位面積値がコン トロール値の50% に 減 少 す る の に 要 し た 時 間 (half b10ck time) ,コントロール値の50%に回復 するのに要した時間(ha1frecovery time) ,試験 液投与後30分の活動電位面積値およびハラベルト 液洗浄後60分の活動電位面積値について行った. ANOVAは群全体(各表)の有意差検定に用い, 有意差がある場合にのみ, FisherのPLSD法によ る多重比較を行い,改良型ハラベルト液(表1)ま たは各単独麻酔薬使用群(表

2

からのに対する個々 の群の有意差(p

<

0.05)を求めた. 結 果 ベタメタゾンあるいはサリチル駿ナトリウムの単 独投与および両者混合投与の場合にみられる活動 電位に与える影響 改良型ハラベルト液および局所麻酔薬以外の薬 物の活動電位面積値に与える影響をみた(表1). 神経線維東を改良型ハラベルト液に浸し, 30分後 に記録した活動電位面積値はハラベルト液に浸し て 測 定 し た コ ン ト ロ ー ル 値 に 対 し て104.8 ::!:: 15.3%であり,さらに 60分間経過した時の値は 91. 3 ::!:: 8.40/0であった.また,改長型ハラベル ト液に溶解した0.3%ベタメタゾン, 0.01%サリ チル酸ナトリウムを30分間,それぞれ単独で使用 しても,あるいは両者を混合して用いても,活動 電位面積値に有意差は認められなかった.これら の試験液では,ハラベルト液の60分間洗浄によっ ても有意な低下は認められなかった.しかし, 0.3%のサリチル酸ナトリウムでは, 30分後の活 動電位面積値は2.3土 2.6%と有意に減少した. この条件では,ハラベルト液の洗浄後60分におい ても田復しなかった.また,表 lには示していな いが,神経線維束をハラベルト液に120分間浸し て得られた活動電位面積値は102.0二と 6.3%で, 改良型ハラベルト液では92.6::!::9.1%で有意差 は認められなかった.すなわち,ハラベルト液と 改良型ハラベルト液でみられるカルシウムおよび マグネシウム濃度の差異は,試験液投与時間中 (30分間)の活動電位に影響を与えないと考えら れた. ジブカインにおけるベタメタゾン添加の麻酔増強 効果 局所麻酔薬ジブカインに各種濃度のベタメタゾ ンを添加した時の活動電位面積舗の経時的変化を 調べた(鴎1).0.05%ジブカイン単独投与すると

(4)

1

9

7

麻酔増強効果に及ぼすべタメタゾンの影響 120 ・目七

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・ D D+ 0.03% BM D+0.1%BM

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一一『・一一 町一ベ〉一一 ーー「合一一 100 80 60 40 20 ( ま ) 一 S C B o a c o p u 悶 ﹄ og ﹄ 問 ω ﹀ 諸 問 一 ω 巴 D+ 0.3% BM 一---;コ一一 90 60 30

Time (min) 図上ジブ力インに各種濃度のベタメタゾン添加の各試験液における活動電位面積値 の経時的変化.

D

:

0

.

0

5

%

ジブカイン,

BM:

ベタメタゾン.縦軸:試験液投与前の活動電位面積値(コン トローlレ値)を

1

0

0

とした時の相対値

(

m

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n

S

D),横軸:試験液の投与時間

(

0

-

3

0

分) とハラベルト液の洗浄による回復時間

(

3

0

-

9

0

分). サリチル酸ナトリウム添加および三者混合の各試験 表

2

.

ジブ力インに各種濃度のベタメタゾン添加, 液における麻酔効果

AP

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0.03% BM

0.1% BM

0.3% BM

+ +

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各試験液投与後に神経 線維束の活動電位面積値が

5%

以下となるまでに要した時間,

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:

活動電位面積備が

50%

に 減少するのに要した時間.

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:

各試験液投与後

3

0

分の活動電位面積値,

AP

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r

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の数値:各試験液 投与前の活動電位面積値(コントロール値)を

1

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とした時の相対値

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e

に対して. + 全消失し,投与後

1

5

分の活動電位面積値は1.

6

:t 1.

4%

であった. 表2の一部は,悶 lの試験液投与の結果をまとめ たもので,麻酔発現時間

(

b

1

o

c

kt

i

m

e

)

あるいは活 動電位語積値がコントロール値の

50%

に減少する のに要した時間

(

h

a

l

fb

1

0

c

k

t

i

m

e

)

および試験液投 与後

3

0

分の活動電位面積値を示したものである. ジブカイン単独投与後の活動電位面積値はコント 活動電位面積値は経時的に徐々に減少したが,投 与 後

3

0

分の活動電位は

5

例中

2

例で消失しなかっ た.このジブカインに

0.03%

ベタメタゾンを添加 した場合,ジブカイン単独投与と同様の経時的変 化を示したが,

0.1%

ベタメタゾン添加では,投 与後

3

0

分以内に

5

例中すべての活動電位が消失し た.さらに,

0.3%

ベタメタゾン添加では,投与 後

1

5

分以内に

5

例中すべてにおいて活動電位は完

(5)

198 三好美智夫・井元敏明・日地康武 表3.ジブ力インに各種濃度のベタメタゾン添加,サリチル酸ナトリウム添加および三者混合の各試験 液からの麻酔回復 Drugs D D + 0.03%

BM

D + 0.1%

BM

D + 0.3%

BM

D + S D + S + 0.3%

BM

Recovery time (min) 7.0::t 4.5 6.0::t 2.2 13.0::t 4.5 20.0::t14.6

Half Recovery time AP area after 30min (min) ( %) 2.8::t 1.3 85.2::t17.5 4.4土 2.4 79.0士 17.6 9.4::t 7.0 76.4::t 8.7 7.7 とこ 5.5 76. 7 とご 20.0 15.3::t 3. 1キ 73.0::t13.7 21. 4土 13.6* 82.0土 24.2 D: 0.05% dibucaine,

BM:

betamethasone, S: 0.01 % Na-salicy1ate.各試験液からの麻酔回復を示したも ので, Recovery time:ハラベルト液洗浄で活動電位聞積が5%以上となるまでに要した時間, Half recov -ery time:活動電位面積鍍が50%に回復するのに要した時間. AP area:洗浄後60分の活動電面積値, AP areaの数値:各試験液投与前の活動首位面積値(コントロール値)を 100とした時の相対値 (mean::!:SD). 本 p

<

0.05: 0.05% dibucaineに対して. ロール値に対して 13.5土 19.6%であった.ジブ カインに 0.1%ベタメタゾンを添加した場合,麻 酔発現時間は 23.4土 5.4分であり,活動電位面 積値は 2.5とご 3.1%であった.さらに, 0.3%ベ タメタゾン添加では,麻酔発現時間は 12.0::t 2. 1分であり, 0.1%ベタメタゾン添加より短縮し た. Half b10ck timeを比較すると,ジブカイン 単独投与 (21.4::t6.0分)に対して0.1%ベタメタ ゾン添加(18.1::t4.5分)で短縮傾向にあり, 0.3 %ベタメタゾン添加 (6.8::t3.7分)では有意に短 縮した. 表3の一部は,図lのハラベルト液洗浄による回 復 の 結 果 を ま と め た も の で , 麻 酔 田 復 時 間 (recovery time)あるいは活動電位面積値がコン ト口-)レ値の 50% に 回 復 す る の に 要 し た 時 間 (half recovery time)およびハラベルト液洗浄後 60分の活動電位面積値を示したものである. Half recovery timeを比較すると,ジブカイン単独投 与 (2.8こと1.3分)に対して, 0.1%ベタメタゾン 添加 (9.4::t7.0分)および0.3%ベタメタゾン添 加 (7.7土 5.5分)で延長領向にあった.ハラベル ト液洗浄後60分の麻酔回復における活動電位面積 値は,ジブカイン単独投与と各種濃度のベタメタ ゾン添加で有意差はなかった. ジブ力イン,サ1)チjレ酸ナトリウム混合における べタメタゾン添加の麻酔増強効果 ジブカインにサリチル酸ナトリウムあるいはサ リチル酸ナトリウムとベタメタゾンとを混合した 時の活動電位面積値の経時的変化を調べた(図2).

O

.

05%ジブカイン単独投与後30分でも活動電位は 消失しなかったが,ジブカインに 0.01%サリチル 酸ナトリウムを添加すると,投与後 12分で5例中4 例の活動電位が消失し, 18分には5例中すべての 活動電位が消失した.ところが,ジブカイン,サ リチル酸ナトリウム,ベタメタゾン王者混合の場 合には,投与後

9

分で

5

例中

2

例の活動電位が消失 し, 12分には5併すべての活動電位が消失した. 表2の一部は,図2の試験液投与の結果をまとめ たものである.ジブカイン単独投与の活動電位面 積値はコントロール値に対して 13.5::t19.5%で あった.ジブカインにサリチル酸ナトリウムを添 加すると,麻酔発現時間は 13.2::t2.7分であり, 活動電位面積は0.6::t0.2%で有意に減少した. 三者混合の場合,麻酔発現時間は9.6::t3.3分と 短縮し,活動電位面積は 0.6二と 0.2%で有意に減 少した. Half b10ck timeを比較すると,ジブカ イン単独投与 (21.4土 6.0分)に対して,サリチ ル酸ナトリウム添加 (8.7 土1.3分),三者混合 (6.7::t2.5分)ともに有意に短縮したが,サリチ ル酸ナトリウム添加と王者混合の間に有意差はな かった.

(6)

1

9

9

麻酔増強効果に及ぼすべタメタゾンの影響 Harreveld's solution

-

0 - 0 - - D+S 一 台 一 0+BM + S 120寸・・・・・・・・4 七es土・so11.ltェon 100 80 60 40 20 ( ぎ ) 一 S H E E D a c D D U 悶 ﹄

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﹄ 問 。 主 主 由 民 90 図2. ジブ力インにベタメタゾン添加,サリチル酸ナトリウム添加および三者混合の各試 験液における活動電位面積債の経時的変化.

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サリチル酸ナトリウム.縦軸,横 軸:I盟lと河じ. 60 Time (min) 30

ウム添加および三者混合の麻酔発現時間はそれぞ れ

1

2

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4

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分,

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.

8

土1.

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分で短縮し,活動 電位面積値は, リドカイン単独の標準偏差が高値 のために有意差はなかったが,

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.

7

0.2%

0

.

8

と二 O.

7%

で両者ともに大幅に減少した.Half block timeを比較すると, リドカイン単独投与 (1

9

.

5

5

.

5

分)に対して,サリチル酸ナトリウ ム添加

(

8

.

2

土1.

9

分),三者混合

(

7

.

4

:t1.

7

分) ともに有意に短縮した. 表5は,図3のハラベルト液洗浄による田復の結 果をまとめたものである.Half recovery timeを 比較すると,リドカイン単独投与

(

2

.

4

0

.

8

分) に対して,サリチル酸ナトリウム添加

(

2

0

.

2

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6

.

9

分)と三者混合

(

2

5

.

6

1

1

.

1

分)ともに有意に 延長した.活動首位面積は,三者混合で回復延長 傾向がみられたが,すべての試験液で有意差はな かった. 表3の一部は,図2のハラベルト液洗浄による回 復の結果をまとめたものである.Half recovery timeを比較すると,ジブカイン単独投与

(

2

.

8

とご 1.

3

分)に対して,サリチル融ナトリウム添加 (1

5

.

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.

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分),三者混合

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2

1.

4

とご

1

3

.

6

分)と もに有意に延長した.ハラベルト液洗浄後

6

0

分の 活動電位面積値は,ジブカイン単独投与に対して サリチjレ酸ナトリウム添加,三者混合ともに有意 差はなかった. ブゼバカイン,サ1)チル酸ナトりウム混合におけ るベタメタゾン添加の麻酔増強効果 ブピパカインにベタメタゾンあるいはサリチル 酸ナトリウムの単独添加および両者混合添加した 時の活動電位面積値の経時的変化を調べた(図4).

0.3%

ブピパカイン単独投与では,投与後

3

0

分の 活動電位は消失しなかったが,

0.3%

ベタメタゾ ン添加すると,投与後

2

1

分には活動電位が消失し 1)ド力イン,サリチル酸ナトリウム混合における べタメタゾン添加の麻酔増強効果 リドカインにベタメタゾンあるいはサリチル酸 ナトリウムの単独添加および両者混合添加した時 の活動電位面積値の経時的変化を調べた(図

3

)

. 2

%リドカイン単独投与および

0.3%

ベタメタゾン 添加でも,投与後

3

0

分の活動電位は消失しなかっ た.ところが,

0

.

0

1

%

サリチル酸ナトリウム添加 およびリドカイン,サリチル酸ナトリウム,ベタ メタゾン三者混合の場合には,投与後

1

8

分,

1

2

分 にそれぞれの活動電位が消失した. 表4は,図3の試験液投与の結果をまとめたもの である.リドカイン単独投与後の活動電位面積値 はコントロール値に対して

1

8

.

7

:t

2

0

.

5

%

であっ たが,

0.3%

ベタメタソ+ン添加の活動電位面積値 は

6

.

7

:t

12.1%

に減少した.サリチル酸ナトリ

(7)

三好美智夫・井元敏明・日地康武 Harreveld's solution

し ーーベ〉一一 L+ BM ー す ー し+5 120 100 80 60 40 20 (渓)一同 P E S D a E Q H U 伺 ち 伺 ω ﹂ 開 ω 主制同一国匡 200 L+ BM + 5

-

D

90 図

3

.

リド力インにベタメタゾン添加,サリチル酸ナトリウム添加および三者混合の各試 験液における活動電位面積億の経時的変化. L: 2%リドカイン, BM: 0.3%ベタメタゾン, S:O.OI%サリチル酸ナトリウム.縦軸, '横軸. 図1と同じ. 60 Time (min) 30

サリチル酸ナトリウム添加および王者混合の各試験液に 表

4

.

1)ド力インにベタメタゾン添加, おける麻酔効果 AP area after 30min (%) Half block time (min) Block time (min) Drugs 18.7::t20.5 6.7土 12.1 0.7土 0.2 0.8::t 0.7 19.5::t5.5 14.6ごと 5.7 8. 2 ::t1. 9* 7.4::t1. 7* L L + B M 12.0::t4.2 9.8::t1.5

L

+

S

L

+ B M +

S

L: 2% lidocaine, BM: 0.3% betamethasone, S: 0.01 % Na-salicylate.表中の表示:表2と同じ. キ p

<

0.05: 2% lidocaineに対して. サリチル酸ナトリウム添加および三者混合の各試 表

5

.

リド力インにベタメタゾン添加, 験液からの蘇酔田復 AP area after 30min (%) 白 ﹂

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Drugs 15.5 6.1 84.6::t 90.3ごと 73. 7 ::t 0.8 2.4とこ L L十 B M 6.5 17.4 1.0 6.9* 11. 1キ 3.2::t 20.2土 11.2 ::t4.8 10.0こと 4. 1

L

+

S

L

+ B M +

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25.6土 65.9土 L: 2% lidocaine, BM: 0.3% betamethasone, S: 0.01 % Na-sa!icy!ate.表中の表示:表3と│可じ. * p

<

0.05: 2% lidocaineに対して.

(8)

201 麻酔増強効果に及ぼすべタメタゾンの影響 120 B+ BM B+S Harreveld's solution B 一ーベ〉一一 一一「企一一 ーー・一一 :-:-i:.白t..s.oJ.ロd6ri': 100 80 60 40 20 ( 渓 ) 一 四 p c B o a c D D U 問 ち 問 。 ﹄ 問 ω E U F 四 一 。 z B + BM + S ー-1コー一 90 図4.ブピバ力インにベタメタゾン添加,サリチル駿ナトリウム添加および三者混合の各 試験液における活動電位面積値の経時的変化. B: 0.3%ブピパカイン, BM: 0.30/<ベタメタゾン, S: 0.01%サリチル敵ナトリウム.縦軸,横 60 Time (min) 30

サリチル酸ナトリウム添加および三者混合の各試験液 軸:閤lと問じ. 表6.ブゼバ力インにベタメタゾン添加, における麻酔効果

AP

area after 30min (%) Half block time (min) Block time (min) Drugs 17.9 0.3* 22.3とご 0.8::t 15.6ごと ::t2.6 ゴ 二 4.4* ::t2.8* 17. 1 11.4 12.0 4.4 15.8::t4.5 + B M +

s

B

B

B

B

16.8 0.4* + 宅 s a & • 噌 E E & 土 0.7* 1.

5

6.8::t S +

+

B M B: 0.3%以lpivacaine,BM: 0.3% betamethasone, S: 0.01 % Na-salicylate.表中の表示:表2と同 じ.ホ p

<

0.05: 0.3% bupivacainefこ;対して. ::t1. 5分であり,活動電位面積は1.1::t0.4%で 有意に減少した. Half b10ck timeを比較すると, ブピパカイン単独投与(17.6::t2.6分)に対して, ベタメタゾン添加(11.4土4.4分),サリチル酸ナ トリウム添加(12.0::t2.8分)および三者混合 (4.4 ::t0.7分)で有意に短縮した. 表7は,図4のハラベルト液洗浄による回復の結 果をまとめたものである. Half recovery timeを 比較すると,ブピパカイン単独投与 (2.3土 0.5 分)に対して,サリチル酸ナトリウム添加 (8.0土 2.6分),王者混合(14.4::t4.0分)ともに有意に 延長した.活動電位面積値は,ブピパカイン単独 投与に対してサリチル酸ナトリウム添加,王者混 た. 0.01%サリチル酸ナトリウムを添加しでも, 投与後30分の活動電位は消失しなかった.ブピパ カイン,サリチル酸ナトリウム,ベタメタゾン三 者混合の場合には,投与後9分で活動首位が消失 した. 表6は,図4の試験液投与の結果をまとめたもの である.ブピパカイン単独投与後30分の活動電位 面積値はコントロール値に対して22.3::t17.9% であったが,ベタメタゾン添加では,麻酔発現時 間は 15.8::t4.5分であり,活動電位面積値は0.8 ::t0.3%で有意に減少した.サリチル酸ナトリウ ムを添加すると,活動電位面積は 15.6::t16.8% であった.三者混合の場合,麻酔発現時間は 6.8

(9)

202 三好美智夫・井元敏明・日地康武

表7. ブピバ力インにベタメタゾン添加,サ1)チル酸ナトリウム添加および三者混合の名試験液 からの麻酔回復

Recovery time Half Recovery time AP area after 30min Drugs (min) (min) ( %)

B

2.3::t0.5 81. 0 ::t19.3

B

+

BM

5.0 3.8土 0.6 77.9土 6.4

B

+

S

8.0::t2.6* 56.6::t 3.6キ

B

+

BM

+

S

11.2とご 4.8 14.4土 4.

O

'

61. 4土 14.3*

B

:

0.3% bupivacaine,

BM:

0.3% betamethasone,

S

:

0.01% Na-salicy1ate. 表中の表示:表3と同 じ.権 p

<

0.05: 0.3% bupivacaineに対して. 合で有意に小さく,回復は延長した. 考 察 本研究は,アメリカザリガニの膜側神経線維束 を用いて電気生理学的な手法から得られた活動電 位を指標に麻酔発現時間,麻酔回復時間(麻酔持 続時間)を測定し,局所麻酔薬(ジブカイン,リ ドカイン,ブピパカイン)およびサリチル酸ナト リウムを含む局所麻酔薬にベタメタゾンを添加し たときの麻酔増強効果を比較検討したものであ る. 以前,われわれは局所麻酔薬にサリチル酸ナト リウムを添加すると,サリチル酸ナトリウム濃度 に依存して麻酔効果を強めることを示したl叫 . 今田,単独投与では麻酔効果を全く赤さない低濃 度の0.01%サリチル離ナトリウム(表1)を添加し て,各種の局所麻酔薬(ジブカイン, リドカイ ン,ブヒ。パカイン)における蘇酔増強効果を調べ た.ジブカインの場合は, 0.05%ジブカイン単独 投与後30分経過しても活動電位面積値はコント ロール舗の5%以下になることはなく,その値は 30分値で 13.5::t19.6%に留まった.ところが, これに0.01%サリチル離ナトリウムを添加する と,投与後30分の活動電位面積値はコントロール 値の5%以下の 0.6土

O

.

2%となり,麻酔発現時 間は13.2::t2.7分であった(表2). つまり,サリ チル酸ナトリウムは局所麻酔薬ジブカインの本来 持っている麻酔作用を増強したことになる. 同様に,リドカインおよびブピパカインにサリ チル酸ナトリウムをそれぞれ添加して麻酔効果を 調べると,リドカイン単独投与に対しては,投与 後30分以内の活動首位消失ならびに活動電位面積 値が50%に減少するのに要した時間(百alfblock time)の有意な短縮がみられたが(表4),ブピパカ イン単独投与に対しては,投与後30分の活動電位 面積値の減少が認められたものの有意差はなく Half block timeにおいて有意差がみられた(表 6). これらのサリチル酸ナトリウムの麻酔増強効 果は,以前に報告した結果と一致している)-4) 各局所麻酔薬に対する麻酔増強効果の違いについ ては,今後検討する必要がある. また,香月らは, pH感受性微小電極を用いて 細胞内pHを測定し,サリチル酸ナトリウムによ る麻酔増強効果の発生機序は,神経線維内のpH を酸性側に傾けることにより,麻酔薬分子の細胞 膜透過性を高め,神経線維内の麻酔薬分子を増加 させるためと報告している9) 今思使用した局所 麻酔薬においても,サリチル酸ナトリウムによる 麻酔増強効果の発生機序は神経線維内のpHを酸 性側に傾けることによるものと考えられる. 局所麻酔薬にベタメタゾンを添加して麻酔増強 効果を検討したところ,ジブカインにおいては, 前述した様に, 0.01%ジブカイン単独投与では投 与後30分経過しても活動電位が消失しなかったの に対して, 0.3%ベタメタゾンを添加すると,投 与後30分以内に活動電位はほとんど消失した(表 2). また,試験液投与後30分の活動電位面積鑑は 有意に低下し, Half block timeも有意に短縮し た(表2). 開様に, リドカインおよびブピパカイ ンにそれぞれベタメタゾンを添加して麻酔効果を 調べると, リドカイン単独投与に対して,投与後 30分の活動電位面積値の減少,ブピパカイン単独 投与に対しては,投与後30分以内の活動電位の消 失と狂alfblock timeの有意な短縮が認められた

(10)

麻酔増強効果に及ぼすべタメタゾンの影響

2

0

3

(表4,6).これらのことより,ベタメタゾンにも サリチル酸ナトリウムと同様に麻酔増強効果があ るものと思われた. 次に,サリチル酸ナトリウムを含む局所麻酔薬 にベタメタゾンを添加したとき(王者混合)の麻 酔増強効果を検討した.ジブカインの場合におけ る麻酔発現時間を比較すると,サリチル酸ナトリ ウム添加は

1

3

.

2

:!::

2

.

7

分であるのに対して,三 者混合では

9

.

6

:!::

3

.

3

分であった(表

2

)

.

一方, 麻酔由復時闘を比較すると,サリチlレ酸ナトリウ ム添加は各々

1

3

.

0

:!::4.5分であるのに対して, 三者混合では回復時間はやや遅く

2

0

.

0

:!::14.6分 であった(表3). これらのことは,ジブカイン, サリチル酸ナトリウム,ベタメタゾンの三者混合 を用いると,麻酔発現時間は短縮し,麻酔田複時 間は延長することになる.言い換えれば,有効な 麻酔持続時間が延長されることとなる.すなわ ち,ジブカインにサリチル酸ナトリウム添加した 場合の有効麻酔持続時間は

3

0

分のものが,三者混 合によって40分に延長される. 同様に,サリチル酸ナトリウムを含む1)ドカイ ンおよびブピパカインにベタメタゾンを添加して 麻酔効果を調べると,リドカインの場合,サリチ ル酸ナトリウム添加と比較して,三者混合の麻酔 発現時間は短縮したが,麻酔回復時間は同程度で あり,有効麻酔持続時間の延長は小さい.ブピパ カインにおいては,サリチル酸ナトリウム添加と 比較して,三者混合の麻酔発現時間は大幅に短縮 するとともに昧酔回復時間は延長し,有効麻酔持 続時間の延長は大きかった.これらのベタメタゾ ンの麻酔増強効果は,局所麻酔薬にステロイド剤 を混入して用いると麻酔効果が増強されることを 示した最近の臨床報告の結果5,6)と一致している. 神経線維に対するステロイド剤の影響について は,ステロイ

F

剤自身においても弱いながら麻酔 効果のあることが知られており,例えば,メチル プレドニゾロンは末梢神経のC線維に対して麻酔 効果がみられるが他の有髄神経線維ではみられな いと報告されている10) 今回使用した薄い濃度の ベタメタゾン単独投与では神経線維に影響は与え なかったが(表1),高濃度のベタメタゾンではメ チルプレドニゾロンのような弱い麻酔作用を示す 可能性もあり,この潜在的な麻酔作用が局所麻酔 薬に対する麻酔増強の原因かもしれない. また,コルチコステロイドの抗炎症作用につい ては,炎症により神経線維が興奮して自然発火を しているような状態ではコルチコステロイドは敏 速に長時間に宣って神経線維の興奮を抑制するこ とが知られている11) この興奮抑制の理由とし て,コルチコステロイドの膜安定化作用あるいは

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a

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の活性化に伴う静止膜電位の過分 極などが報告されている12) ベタメタゾンもコル チコステロイドであり,細胞膜の静止膜電位,流 動性などに影響を与えることにより,麻酔を増強 させる可能性も考えられる.本研究からは,ベタ メタゾンによる麻酔増強効果の発生機序は説明で きない.今後の検討課題としては,ベタメタゾン に対する麻酔増強効果の発生機序の解明が必要で あると考えられる. 現在,局所麻酔薬の効果を高めるために臨床的 に頻用されているステロイド剤は, 1)ン酸デキサ メタゾンナトリウム,酢酸メチルプレゾニゾロ ン,それにリン酸ベタメタゾンナトリウム等があ る.この中で作用時間の長いものはメチルプレド ニゾロンと言われているが,下垂体一副腎皮質系 への影響が懸念されている.本研究で使用した

2

1

位の水素基をリン酸エステルのナトリウム塩とし て水溶化をはかったリン酸ベタメタゾンナトリウ ムは,下垂体一副腎皮質系への影響は少なく,局 所麻酔薬に添加して使用すると自発痛ならびに圧 痛に対する抑制が有意に高まり,局所麻酔薬にリ ン酸ベタメタゾンナトリウムを配合する意義は大 きいとの臨床結果が報告されている7) また,局所麻酔薬はアルカリ諮液で麻酔効果が 強いとされているにもかかわらず,短時間のうち に沈殿するため,臨床では酸性溶液で使用されて いる13) 最近,著者らはシクロデキストリン(包 接化合物)を局所麻酔薬に添加すると,生体に近 い弱アルカリ溶液でも局所麻酔薬は沈殿せず,使 用可能であることを報告した14) 将来的に,局所 麻酔薬にサリチル酸ナトリウム, リン酸ベタメタ ゾンナトリウムおよびシクロデキストリンを混合 して,アルカリ搭液で使用した場合,麻酔効果は さらに高く,下垂体一部腎皮質系への影響はもっ と少なくなる可能性も出てきたため,本研究の意 義は大きいものと思われる.何れにしても,局所 麻酔薬を単独投与するのではなく,複数の薬剤を 少量添加することよって麻酔効果を高める努力 は,これからも必要であろうと考えられる.

(11)

204 三三好美智夫・井元敏明-臼地康武 結 圭五 回口 アメリカザリガニ腹側神経から得られた描出神 経線維束に,ジブカイン(0.05%)を単独投与する と複合活動電位面積値は経時的に徐々に減少する が,投与後30分経過しても活動電位は消えること なく残った. ところが,ジブカインにベタメタゾ ン(0.3%)あるいはサリチル酸ナトリウム(0.01 %)を添加すると投与後30分以内に活動電位は完 全に消失した.麻酔発現時間は両者(12.0分と 13.2分)で間程度であった.ジブカイン,ベタメ タゾン,サリチル酸ナトリウムの三者を混合した 場合の麻酔発現時間は9.6分と短縮した.麻酔田 復時間(麻酔持続時間)はベタメタゾン添加(6 分),サリチル酸ナトリウム添加(13分),三者混 合(20分)の!般に延長した.これらより,ジブカイ ンに対するベタメタゾンとサリチル酸ナトリウム のニ者混合添加の麻酔増強作用は,ベタメタゾン あるいはサリチル酸ナトリウム単独添加のものよ り強いことがわかる. リドカイン(2%)およびブ ピパカイン(0.3%)においても,ジブカインと同 様に,三者浪合の麻酔効果が高かった.以上の結 果から,局所麻酔薬,ベタメタゾン,サリチル酸 ナトリウムの三者混合を局所麻酔剤として用いる ことは,臨床的にも有意義な配合だと思われる. 文 献 1 ) 三 好 美 智 夫 , 市 川 修 , 日 地 康 武 , 笠 木 健 (1982)局所麻酔効果を増強させるための新 しい調剤法に関する基礎的研究.医学のあゆ み 122,113-115. 2)

H

i

ji, Y., Miyoshi, M., Ichikawa,

0

.

, Kasagi, T., Imoto, T.(1986) Enhancement of 10ca1 anaesthesia action by organic acid sa1ts(I): possib1e change of excitabi1ity in nerve fibre membrane. Arch Int Physio1 Biochim 95, 113-120. 3)山崎純一(1984)ザリガニ腹側巨大神経線維 における各種有機酸塩の局所麻酔増強作用一 細胞内電位記録法による研究一.米子医学雑 誌 35

157-170. 4)三好美智夫,井元敏明,日地康武(1996)サリ チlレ酸によるジブカインの局所麻酔増強効 果.米子涯学雑誌 47,228-235. 5)兵頭正義(1993)ベインクリニック入門は局 所注射法から.臨床麻酔 17,1153-1159 6) 森本昌宏,森本悦司,森本員美,大中仁彦, 中 野 弘 行 , 河 内 明 , 遠 藤 宏 , 兵 頭 正 義 (1994)ペインクリニッグ疾患とその治療 XN.一局所浸潤注射法の実際一.東匿とペ イン 24,83-93. 7)森本昌宏,森本悦司,古賀義久(1997)トリ ガー・ポイント注射施行時のステロイド薬配 合 の 意 義 に つ い て . 新 薬 と 臨 床 46, 159-163. 8) Kasagi, T., Ichikawa,

0

.

, Miyoshi, M., Hiji, Y.

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J

I

I

添太郎(1995)各種局所麻酔薬と重炭酸ナ トリウムとの配合変化.麻酔 44,15-20 14) Miyoshi, M., Imoto, T., Hiji, Y.(1998) A1ka1inizing water-so1ub1e 10ca1 anesthetic solutions by addition of cyclodextrin. Reg Anesth and Pain Med 23, 176-181.

参照

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