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EU指令2010年64号における通訳及び翻訳に対する権利-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

EU

指令

号における

通訳及び翻訳に対する権利

Ⅰ は じ め に

「刑事手続における通訳と翻訳に対する権利についての EU 指令

号」(DIECTIVE

/

/ EU on the right to interpretation and translation

in the criminal proceedings)(以下,

年 EU 指令と呼称する)は,

年 月に欧州委員会により提案され,所定の手続きを経て,

日に欧州議会と EU 理事会で採択され,

日の OJ L

/

で公布された

!

年 EU 指令については,「捜査段階における弾劾告知と逮捕・勾

留」を検討する際に

"

,「弾劾告知」が通訳・翻訳さるべきものの対象にな

ることとの関連で若干言及したところであるが,通訳・翻訳の問題は,国

際化時代の刑事手続において日々重要性を増している問題であり,本稿で

改めて検討してみることにしたい。また,

年 EU 指令は,

年ロー

ドマップ

#

で課題とされた措置の中でまず最初に具体化された EU 指令であ

り,

年 EU 指令

$

年 EU 指令は

%

,これに続くものである。

年 EU 指令の検討は,

年 EU 指令,

年 EU 指令についての理解を

深めるためにも有益と思われる。

(2)

検討の便宜上,以下では,まず

EU 指令の概要を紹介し,その後

に,

EU 指令の成立の経過や内容につき検討することとする。

なお

EU 指令の通訳と翻訳に対する権利は,後に見るように,

ヨーロッパ人権条約 条とヨーロッパ人権裁判所におけるそれについての

解釈に関わって展開してきたものであるので,ここでその規定を確認して

おくことにしたい

!

ヨーロッパ人権条約(人権及び基本的自由の保護のための条約) " 第 条(公正な裁判を受ける権利) すべての者は,その民事上の権利及び義務の決定又は刑事上の罪の決定のため, 法律で設置された,独立の,かつ,公平な裁判所による妥当な期間内に公正な公開 審理を受ける権利を有する。判決は,公開で言い渡される。ただし,報道機関及 び公衆に対しては,民主社会における道徳,公の秩序もしくは国の安全のため, また,少年の利益若しくは当事者の私生活の保護のため必要な場合において又は その公開が司法の利益を害することなく特別な状況において裁判所が真に必要で あると認められる限度で,裁判の全部又は一部を公開していないことができる。 刑事上の罪に問われているすべての者は,法律に基づいて有罪とされるまで は,無罪と推定される。 刑事上の罪に問われているすべての者は,少なくとも次の権利を有する。 ⒜ 速やかにその理解する言語でかつ詳細にその罪の性質及び理由を告げられる こと。 ⒝ 防御の準備のために充分な時間及び便益を与えられること。 ⒞ 直接に又自ら前出する弁護人を通じて,防御すること。弁護人に対する充分 な支払手段を有しないときは,司法の利益のために必要な場合には無料で弁護 人をふされること。 ⒟ 自己に不利な証人を尋問し又はこれに対し尋問させること並びに自己に不利 な証人と同じ条件で自己のための証人の出席及びこれに対する尋問を求めるこ と。 ⒠ 裁判所において使用される言語を理解し又は話すことができない場合には, 無料で通訳の援助をうけること。

(3)

年 EU 指令の概要

年 EU 指令は,

項の前文と

項の条項からなるもので,重複す

るところもあるが,それぞれ紹介する。

年 EU 指令前文

⑴ 前文 ないし 項は,手続的権利保護の共通最小限基準の必要性,そのための EU 指令及び 年 EU 指令の必要性,立法権限の根拠,制定された経緯等を述べている。 まず前文 ないし 項は,EU が被疑者または被告人の手続的権利保護の共通最小 限基準を必要とする理由を説明する。すなわち,EU はアムステルダム条約により!,自 由・安全・司法の領域(Area of Freedom, security, and Justice)の維持と発展を自らの 目的として定めており, 年タンペレ(フィンランド)欧州理事会議長国総括",特 にその 項によれば,強化された相互承認と立法の接近は権限ある(competent)機関 の間の協力と個人の権利の司法的保護を促進するのであるから,判決その他の決定の 相互承認原則(Principle of mutual recognition)は,EU 域内における『民事刑事におけ る司法協力の礎石(cornerstone of Judicial co-operation)』となるべきであるとされた( 項)。 年 月 日に EU 理事会が,タンペレ決議に従って採択した,刑事におけ る決定の相互承認原則の実施のためのプログラム#の序文は,相互承認は加盟国間の協 力の強化のみならず個人の権利の保護の増強のために策定されると述べている( 項)。刑事における決定の相互承認原則の実施は,加盟国が他の各加盟国の刑事司法シ ステムを信頼することを前提とし,相互承認の範囲は多くのパラメーターに依存する のであるが,それは,被疑者または被告人の権利の保護のメカニズム並びに相互承認 の原則の適用を促進するために必要な共通最小限基準(common minimum standards)を 含む( 項)。 前文 ないし 項は,権利保護の共通最小限基準の確立のための EU 指令,具体的 には通訳と翻訳に対する権利についての 年 EU 指令の立法権限の根拠について説 明する。 刑事における決定の相互承認は相互信頼の精神においてのみ効果的に機能するもの であり,そこでは司法機関のみならずすべての関係者が,他の加盟国の決定を自国の

(4)

決定と等価のものと考えること,他の加盟国のルール(rules)の相当性のみならずそれ が正しく執行されていることを信頼することを意味する( 項)。ヨーロッパ人権条約 (ECHR) 条,EU 基本権憲章(Charter) 条,国際人権(自由権)規約(ICCPR)

条は,公正な裁判(fair trial)の権利を定め,EU 基本権憲章 条 項は防禦の権利の 尊重を保証している。この EU 指令はこれらの権利を尊重するものであり,それに基づ いて実施されねばならない( 項)。 全ての EU 加盟国は欧州人権条約に加盟しているが,それらのみで他の加盟国の刑事 司法についての十分な信頼が常に提供されるものでないことも,その経験が示すとこ ろである( 項)。相互信頼の強化は,欧州人権条約に定められている権利と保証(rights and guarantees)のより一貫した実施を要求するが,それはまた,この EU 指令及びその 他の措置による欧州人権条約,EU 基本権憲章に定められている共通最小限基準の EU 内でのいっそうの発展を要求する( 項)。EU 機能条約(TFEU) 条 項は,判決, 刑事上の決定及び国境をまたがる警察・司法協力を促進するため,加盟国間に適用さ れる最小限規則(minimum rules)の制定を定め,かつ,刑事手続における個人の権利 の保護を,この最小限規則が制定さるべき領域の一つとしている( 項)。この共通最 小限規則は,加盟国の刑事司法システムの信頼性の強化をもたらし,まわりまわって 相互信頼の風土の中でのより効果的な司法協力をもたらすものである。そのような共 通最小限規則が,刑事手続における通訳及び翻訳の分野において制定されなければな らない( 項)。 さらに,前文 ないし 項は, 年 EU 指令の制定の経緯について述べてい る。 EU理事会は 年 月 日に,被疑者または被告人の刑事手続における手続的 権利の強化のための 年ロードマップについての決議を採択した。ステップ・バ イ・ステップ方式をとって,この 年ロードマップは,翻訳と通訳に対する権利 (措置 A),権利及び弾劾(charge)についての情報に対する権利(措置 B),法的助言 と法律援助に対する権利(措置 C),親族,雇用主及び領事機関との連絡に対する権利 (措置 D),傷つきやすい(vulnerable)被疑者・被告人に対する特別な保護措置(措置 E) を採択することを要求している( 項)。欧州理事会は 年 月 日に採択した, 「ストックホルム・プログラム−市民に奉仕し市民を保護する開かれた安全な欧州」!に

(5)

おいて, 年ロードマップをその一部としたが(point ., Stockholm Programme, − ),併せて 年ロードマップの非網羅的な性格を強調し,被疑者・被告人 の最小限手続的権利の他の要素として,無罪の推定等の保護等について検討すること を,欧州委員会に要請している( 項)。この EU 指令は 年ロードマップの措置 A に関連して,加盟国間の相互信頼の強化を目的に,刑事手続における通訳及び翻訳の 分野に適用される共通最小限規則を定めるものである( 項)。この EU 指令は, 年 月 日の刑事手続における通訳及び翻訳に対する権利についての EU 理事会枠組決 定に対する欧州委員会の提案及び 年 月 日の通訳及び翻訳に対する権利につい ての EU 指令に対する欧州委員会の提案を利用している( 項)。 ⑵ 前文 ないし 項は, 年 EU 指令の主題,適用範囲等につき述べている。 前文 項は, 年 EU 指令の主題について述べている。 手続の言語を話さずもしくは理解しない人々に対する通訳及び翻訳に対する権利 は,ヨーロッパ人権条約 条により定められ,ヨーロッパ人権裁判所の判例法の中で 解釈されている。この EU 指令は,この権利の実際の適用を推進するものであり,その ために,この EU 指令の狙いは,公正な裁判を受ける権利を確保することを目的とし て,被疑者・被告人の刑事手続における通訳及び翻訳に対する権利を確保することで ある( 項)。 前文 ないし 項は, 年 EU 指令の適用範囲等につき述べている。 この EU 指令に定められた権利は必要な付随的措置によって,この EU 指令の範囲内 でヨーロッパ逮捕令状(EU 理事会枠組み決定 / /JHA)!の執行に適用されるべ きである。執行国は手続の言語を話さずもしくは理解しない被請求者のために,通訳 及び翻訳を提供し,かつその費用を負担すべきである( 項)。加盟国において,刑事 事犯(criminal matters)に管轄を持つ裁判所以外の機関により,交通事犯等の,相対的に 軽微な事犯に対し制裁を課する権限を持つ場合があるが,その場合はこの EU 指令は, その制裁への不服申立による裁判所の前での手続に対してのみ適用される( 項)。 ⑶ 前文 ないし 項は,通訳に対する権利及び翻訳に対する権利の,保障される べき場合や,保障される内容について説明する。

(6)

前文 ないし 項は,通訳に対する権利が保障されるべき場合について説明す る。 この EU 指令は,手続の言語を話さずもしくは理解しない被疑者または被告人に対 し,防禦及び手続の公正の保護(safeguard)の権利を十分に行使するために,無料で適 切な言語的援助が存することを確保するべきである( 項)。被疑者または被告人の利 益のための通訳は,遅滞なく提供されなければならない( 項)。被疑者または被告人 と弁護人(legal counsel)との間の接見(communication)は,この EU 指令に従って通 訳されなければならず,被疑者または被告人は,彼らの事件に対する見解をとりわ け,弁護人に対し説明し,彼らが不同意の陳述を指摘し,彼らの弁護人に彼らの防禦 において提出さるべき事実に気付かせることができるべきである( 項)。防禦の準備 の目的のために,手続の間の質問もしくは聴聞,あるいは上訴または保釈のような他 の手続的な申立に直接に関連する接見は,手続の公正を保護するために必要な場合 は,通訳されるべきである( 項)。 加盟国は,被疑者または被告人が手続の言語を話しかつ理解するか,彼らが通訳人 の援助を必要としているかを確認するための手続もしくは仕組みを確保すべきであ り,そのような手続もしくは仕組みは,権限ある機関が適切な方法で,被疑者または 被告人が手続の言語を話しかつ理解するか,彼らが通訳人の援助を必要としているか を検証することを意味する( 項)。 前文 ないし 項は,通訳に対する権利及び翻訳に対する権利の,実施のあり かたについて述べている。 この EU 指令の下での通訳と翻訳は,被疑者または被告人のネイティブ言語,もしく は,防禦の権利の行使が十分に認められ,手続の公正さが保護されるために彼らが話 しもしくは理解する言語によって提供されなければならない( 項)。この EU 規定に おける通訳及び翻訳に対する権利の尊重は,国内法の下で提供される他の手続的権利 を損なってはならない( 項)。加盟国は,権限ある機関が当該ケースについて通告し たときは,提供された通訳と翻訳の適切性について審査できることを確保すべきであ る( 項)。被疑者または被告人,またはヨーロッパ逮捕令状の執行手続に服する者は, 通訳の必要はないとの認定を,国内法の手続に従って,争う権利を有する( 項)。通 訳の質が公正な裁判の権利を確保するためには不十分と考えられる場合は,権限ある

(7)

機関は任命された通訳を変更できる場合である( 項)。潜在的に,特に効果的な接見 を行う能力に影響する身体的な障害によるため,弱い立場にある被疑者または被告人 に注意を払うべき義務は,司法の公正な執行を支えるものである。それゆえ,訴追, 法執行,司法の機関は,そのような人がこのEU 指令の中で提供されている権利を効果 的に行使できることを確保すべきである( 項)。遠隔通訳のためビデオ会議が用いら れる場合は,権限ある機関はヨーロッパ電子司法(European e-Justice)に関わって発達 している手段(tool)に依るべきである( 項)。この EU 指令は,獲得された実際的 経験に照らして評価されるべきで,もし適当な場合は,それが策定する保護を改善す るために修正されるべきである( 項)。 ⑷ 前文 項は,文書の翻訳について説明している。 手続の公正の保護は,必須的(essential)文書,または少なくともその文書の関連部 分が,被疑者または被告人の利益のために,このEU 指令にしたがって翻訳されること を要求する。一定の文書はその目的のために常に必須的と考えられ,翻訳されるべき であり,そのようなものとして,人の自由を奪う決定,弾劾または起訴,そして判決 がある。どのような他の文書が手続の公正さの保全のために必須的であり,同じく翻 訳されるべきかを,職権または被疑者または被告人もしくはそれらの弁護人の申立に 基づいて決定するのは,加盟国の権限ある機関である( 項)。 ⑸ 前文 ないし 項は, 年EU 指令の実施等に関わって述べられている。 加盟国は,それがあるときは,国立の法的翻訳及び法的通訳のデータベースへのア クセスを促進すべきである( 項)。 この指令は最小限規則を定めるものであるから,加盟国はより高い保護を提供する ためにこのEU 指令に定められている権利や明示的に取り扱われていない権利を拡張す ることができるべきであるが,保護の水準は,ヨーロッパ人権裁判所またはヨーロッ パ司法裁判所の判例法によって解釈された,ヨーロッパ人権条約またはEU 基本権憲章 によって提供される水準を決して下回ってはならない( 項)。このEU 指令の,ヨー ロッパ人権条約またはEU 基本権憲章によって保障されている権利に対応する条項は, ヨーロッパ人権裁判所またはヨーロッパ司法裁判所の関連する判例法に解釈されたよ

(8)

うに,それらの権利に一致するよう解釈され,実施されなければならない( 項)。 ⑹ 前文 項以降は,EU と加盟国との関係に関わる説明である。 このEU 指令の目的,すなわち最小限規則を定めることは,加盟国では十分に達成で きず,それ故にその規模と効果の理由によってEU レベルでより達成可能なものである から,EU は,EU 条約 条が定める補完性の原理に従い,この EU 指令を採択するこ とが可能であり,また,同条項が定める相当性の原理に従って,このEU 指令はその目 的を達成するために必要な範囲を越えるものでない( 項)。 自由,安全,司法の領域に関する連合王国及びアイルランドの地位についての,EU 条約及びEU 機能条約に附属する第 議定書第 条により,これらの加盟国はこのEU 指令の採択及び適用に参加する意思を通知した( 項)。デンマークの地位についての, EU 条約及び EU 機能条約に附属する第 議定書 条及び第 条により,デンマークは このEU 指令の採択に参加せず,それに拘束されずまたはその適用に服さない( 項)。

年 EU 指令の条文

⑴ 第 条は,このEU 指令の主題と範囲についての規定である。 第 条 このEU 指令は,刑事手続及びヨーロッパ逮捕令状に対する手続における通訳及び翻 訳に対する権利に関する規則を定める( 項)。 項で述べられた権利(通訳及び翻訳に対する権利)は,犯罪を犯したとの嫌疑を 受けもしくは訴追されていることを,加盟国の権限ある機関により公式の通知または その他により気付かされた時から,手続の終結まで,それらの者に対して適用され, 手続の終結とは(第 条 項),執行可能な場合の刑の言い渡しや上訴に対する決定を 含む,彼らが犯罪を犯したか否かの疑問の終局的な決定を意味すると理解される( 項)。 加盟国の法が,裁判所以外の刑事事犯(criminal matters)に管轄を持つ機関により, 軽微な法違反に関する制裁が課されることを定められ,その制裁の賦課に対して裁判 所に不服申立が許されている場合は,このEU 指令はそのような不服申立に続く裁判所 の前での手続に対してのみ適用されるべきである( 項)。

(9)

この EU 指令は,刑事手続の如何なる段階での弁護人の立会(presence)に関する国 内法にも影響を与えるものではなく,また刑事手続における文書に対する被疑者また は被告人のアクセスに関する国内法に影響を与えるものでもない( 項)。 ⑵ 第 条は,通訳に対する権利についての規定である。 第 条 加盟国は,当該刑事手続における言語を話さず理解しない被疑者または被告人が, 警察での取調(questioning),全ての裁判所での聴聞または必要な中間的な聴聞(any necessary interim hearings)を含めて,捜査機関または司法機関の前での刑事手続の間, 遅滞なく,通訳を提供されることを確保するべきである( 項)。 加盟国は,手続の公正の保護のために必要な場合は,手続の間の質問もしくは聴 聞,あるいは上訴または保釈のような他の手続的な申立との直接の関連において,被 疑者または被告人と弁護人との間の接見に通訳が利用できることを確保するべきであ る( 項)。 項及び 項のもとでの通訳に対する権利は,聴取と発言に障害がある人への援助 を含む( 項)。 加盟国は,被疑者または被告人が手続の言語を話しかつ理解するか,彼らが通訳人 の援助を必要としているかを確認するための手続もしくは仕組みを確保すべきである ( 項)。 加盟国は,国内法の手続に従って,被疑者または被告人が通訳の必要はないとの認 定を争う権利を有することを確保すべきであり,かつ,通訳が提供されているときは, 通訳の質が,手続の公正さを保全するために十分でないと不服申立をする可能性を確 保するべきである( 項)。 適切な場合は,手続の公正さを保全するために通訳人の身体的立会(physical presence) が要求されない場合に,ビデオ会議,電話,インターネット等の接見技術が用いられ てよい( 項)。 ヨーロッパ逮捕令状の執行のための手続において,それを執行する加盟国は,その 手続に服し,手続の言語を話さずもしくは理解しない人に対して,執行加盟国の権限 ある機関が,本条に従って通訳を提供することを確保するべきである( 項)。

(10)

本条の下で提供される通訳は,手続の公正さを保全するために十分なほどに,特に 被疑者または被告人が彼らに対する事件についての知識を持ち,彼らの防禦の権利を 行使できるほどに,質が高くなければならない( 項)。 ⑶ 第 条は,必須的な文書の翻訳に対する権利についての規定である。 第 条 加盟国は,当該手続の言語を理解しない被疑者または被告人が,防禦の権利を行使 することができ,手続の公正さを保全することができることを確保するために必須的 な全ての文書の書面による翻訳を,合理的な期間内に提供されることを確保すべきで ある( 項)。 必須的な文書は,人の自由を奪う決定,弾劾または公訴提起(charge or indictment), そして判決を含むべきである( 項)。 権限ある機関が,与えられた事件において,如何なる他の文書が必須的であるかを 決定すべきであり,被疑者または被告人もしくはそれらの弁護人は,理由を附したそ の旨の要求を提出可能である( 項)。 文書の,被疑者または被告人が彼らに対する事件についての知識を持つことを可能 にするためには関連がない部分(passages)は,翻訳することを要しない( 項)。 加盟国は,国内法の手続に従って,被疑者または被告人が文書またはその部分の翻 訳の必要はないとの認定を争う権利を有することを確保すべきであり,かつ,翻訳が 提供されているときは,翻訳の質が,手続の公正さを保全するために十分でないと不 服申立をする可能性を確保するべきである( 項)。 ヨーロッパ逮捕令状の執行のための手続において,それを執行する加盟国は,その 手続に服し,ヨーロッパ逮捕令状が作成された言語または発行した加盟国によって翻 訳された言語を理解しない人に対して,執行加盟国の権限ある機関が,その文書の書 面による翻訳を提供することを確保するべきである( 項)。 , , 及び 項によって定められた一般的な規則に対する例外として,そのよ うな口頭による翻訳または口頭による要約が手続の公正を害しない場合には,必須的 な書面の口頭による翻訳または口頭による要約が,書面による翻訳の代わりに提供さ れることが可能である( 項)。

(11)

本条で言及されている翻訳の権利の如何なる権利放棄も,被疑者または被告人がそ れ以前に法的助言を受けているか,他の方法でそのような権利放棄の結果についての 十分な知識を獲得していること,及びその権利放棄が明確で自発的に与えられたもの であることの要求に基づかなければならない( 項)。 本条の下で提供される翻訳は,手続の公正さを保全するために十分なほどに,特に 被疑者または被告人が彼らに対する事件についての知識を持ち,彼らの防禦の権利を 行使できるほどに,高い質であるべきである( 項)。 ⑷ 第 条は,通訳及び翻訳の費用についての規定である。 第 条 加盟国は,手続の結果に関わりなく,第 条及び第 条の適用の結果として生ずる 通訳,翻訳の費用を負担(meet cost)するべきである。 ⑸ 第 条は,通訳及び翻訳の質についての規定である。 第 条 加盟国は,提供された通訳及び翻訳が第 条 項及び第 条 項のもとで要求され ている質を満たすことを確保するための具体的措置をとるべきである( 項)。 通訳及び翻訳の適切性,それへの効果的なアクセスを促進させるために,加盟国は 適切な資格を有する独立の翻訳者,通訳者の登録簿が開設されるよう努めるべきであ り,そのような登録簿は弁護人及び関連ある機関に利用可能であるべきである( 項)。 加盟国は,通訳者及び翻訳者が,この EU 指令の下で提供される通訳及び翻訳につき 秘密を遵守するよう求められることを確保するべきである。 ⑹ 第 条は,研修(training)についての規定である。 第 条 司法の独立性と司法に関わる組織の多様性を損なうことなく,加盟国は,裁判官, 検察官,及び刑事手続に関わる司法職員の研修に責任ある人々に,効率的かつ効果的 な接見を確保するために通訳者の援助による接見の特殊性に注意を払うよう要求すべ きである。

(12)

⑺ 第 条は,記録保持についての規定である。 第 条 記録保持(Record-keeping) 加盟国は, 条に従って被疑者または被告人が通訳人の援助による捜査機関または 司法機関の取調または聴聞の対象になっているとき, 条 項に従って必須的文書の 口頭による翻訳または要約がそのような機関の面前で提供されているとき,または 条 項に従って翻訳に対する権利の放棄がなされたときは,これらの出来ごとが生じ たことを,当該加盟国の国内法による記録手続を用いて書き留められることを確保す るべきである。 ⑻ 第 条ないし第 条は,この EU 指令の発効に関わるその他の事項,不切り下げ (Non-regression),国内執行(Transposition),報告(Report),発効(Entry into force),

名宛て人(Addressers)について定めている。 第 条 不切り下げ(Non-regression) この EU 指令のなかのいかなるものも,ヨーロッパ人権条約,EU 基本権憲章,及び国際 法またはより高度の保護を定めている加盟国法の他の関連する規定のもとで認められ ている権利や手続的保障(procedural safeguards)の制限や,それからの離脱(derogating) として解釈されるべきでない。 第 条 国内執行(Transposition) .加盟国は 年 月 日までに,この EU 指令を遵守するために必要な法律, 規程,執行規定(administrative provisions)を発効させなければならない。 .加盟国は,それらの措置のテキストを欧州委員会に送らなければならない。 .加盟国がそれらの措置を採択するときは,それらはこの EU 指令への言及を含む か,もしくはその正式の公表の機会にそのような言及を伴わなければならない。こ れらの言及を行う方法は加盟国により定められるべきである。 第 条 報告(Report) 欧州委員会は, 年 月 日までに,加盟国が取ったこの EU 指令を遵守する ためにとった必要な措置の程度を評価する報告を,必要なら立法的提案を伴って,欧

(13)

州議会と EU 理事会に提出すべきである。

第 条 発効(Entry into force)

この EU 指令は EU 官報に公布後 日で効力が発生する。 第 条 名宛て人(Addressers) この EU 指令は条約により加盟国を名宛て人とする。

Ⅲ 若干の検討−EU における刑事司法協力と手続的権利保護

.アムステルダム条約と EU 指令

EU

域内において刑事手続における手続的権利保護についての EU 域内

共通最小限基準が追及された理由についてはいろいろな考察が可能である

が,EU それ自体からは,EU 域内における刑事司法協力と,EU がアムス

テルダム条約により,司法の領域(An Area of Justice)の維持と発展を自

由の領域(An Area of Freedom)及び安全の領域(An Area of Security)と

並んで,その目的として設定していることとの関係が大きい。

まず,EU 域内加盟国家間の刑事司法協力の方式は,当初は基本的

に は 一 般 的 な 主 権 国 家 間 の 刑 事 司 法 協 力 と 同 様 で,国 家 間 の 条 約

(intergovernmental convention)と請求原則(principle of request)による個

別事件ごとの国家間協力の方式によるものであった

!

。しかし人の自由移動

を前提とする EU の発展は,それに対応して刑事司法の EU 域内他国での

執行すなわち刑事司法協力を要請することになった。すなわち,大量の判

決の執行や,逮捕状の執行,証拠収集命令の執行等が課題となってきたの

である。しかも,元来,EU 域内加盟国の刑事司法のあり方には,英米法

系と大陸法系の違いにまでさかのぼって,各国ごとに多様性があり,個別

事件ごとの国家間協力の方式による刑事諸法協力には多大の時間を要する

ことになる。従って,この様な状況の中で,刑事司法協力の課題に対応す

(14)

るためには,伝統的な国家間の条約(intergovernmental convention)と請求

原則(principle of request)による方式には限界が見えてきて,より効果的

な新しい刑事司法協力の方式が追及された。

他方,マーストリヒト条約(

月 日発効)で発足した EU

は,

年 EU 指令の前文 項が指摘するように,ニース条約を経て,

その改正条約たるアムステルダム条約(

年 月 日発効)に至って,

その 条により,人の自由移動が保障された自由・安全・司法の領域(An

Area of Justice, Freedom and Security)の維持と発展がその目的であること

を明らかにした。そして欧州理事会は,その発効を控えて,その準備をす

べく,

年のカーディフ(英国)欧州理事会議長国総括(Presidency

conclusion)

!

項において,EU 理事会と欧州委員会に対し,ウイーン

での協議の結果,自由・安全・司法の領域についてのアムステルダム条約

の諸条項の実施のための行動計画を提出することを要請した。

欧州委員会は,このカーディフ欧州理事会の要請に応え,この行動計画

の策定のために,

年 月に「自由・安全・司法の領域を目指し て

(Towards an Area of Freedom, Security and Justice)」と題するコミュニケを

発表し

"

,自由・安全・司法の領域の意味について検討した。このコミュニ

ケによれば,「司法の領域(An Area of Justice)の目標は,市民に EU を通

した司法の共通の意味を与えることであり」,これは司法へのアクセスと

加盟国間の十分な司法協力の両者を含んでいる。

かくして,EU 理事会は欧州委員会と協議の上,

月に,「自

由・安全・司法の領域についてのアムステルダム条約の諸条項実施のため

の EU 理事会と欧州委員 会 の 行 動 計 画」,す な わ ち ウ イ ー ン 行 動 計 画

(Vienna Action Plan)を明らかにした

#

。この行動計画は,その序文の司法

の領域(An Area of Justice)について説明の中で,「手続(Procedures)」

について,次のように述べている。そこでは,適切で同等な手続的保障が

求められるとともに,通訳(interpretation)につき具体的な言及があること

が注目される。

(15)

「c 手続(Procedures) .手続的な規則は,広く同一の保障に対応すべきであり,それにより人々が彼ら の事件を取り扱う裁判権(jurisdiction)によって不規則に(unevenly)に取り扱われな いことが確保されるべきである。原理的には,適切で同等な手続的保障の機能は,ヨ ーロッパ人権条約による保障(safeguards)とヨーロッパ人権裁判所による動的な解釈 により,特に刑事手続における防禦の権利に関しては,既に達成されている。しかし ながら,国境を越えた関連があり,共通の関心事である領域(例えば通訳)では,そ れら基本的な原理を,優れた実践の基準と規範によって補充することが有益であるよ うに見える。そして,それは,資産の没収を含む刑事に関わる決定の執行,犯罪者の 社会再統合及び被害者支援の見地へと拡大可能であろう。」

また,このウイーン行動計画では,刑事事件における司法協力の中で,

アムステルダム条約発効後の 年以内に取られるべき措置として,

⒝の「刑事事件における相互援助(Mutual Assistance)についての条約を

仕上げること」と並んで,

項⒡で「刑事事件における決定と判決執行

の相互承認の促進のためのプロセスの開始」が掲げられている。

ウイーン行動計画(Vienna Action Plan)

項⒡の「刑事事件における

決定と判決執行の相互承認の促進のためのプロセスの開始」の課題は,タ

ンペレ(フィンランド)欧州理事会で議論され,

年タンペレ欧州理

事会議長国総括(Presidency conclusion)における,刑事司法における相

互承認原則(Principle of mutual recognition)の採用となった。すなわち,

「司法的決定と判決の強化された相互承認及び必要な立法の接近は,当局

間の協力と個人の権利の司法的保護(the judicial protection of individual

rights)を促進する。欧州理事会は,それ故に相互承認原則は EU におけ

る『民事刑事における司法協力の礎石(cornerstone of judicial co-operation)』

たるべきものと承認する」(タンペレ欧州理事会議長国総括第

項),「欧

州理事会は,EU 理事会および欧州委員会に対し,

月までに相

互承認原則を実施する措置の計画を採択することを要請する」(タンペレ

欧州理事会議長国総括第

項)としたのである。そして,この欧州理事

(16)

会議長国総括第

項は,前示の部分に引き続いて,この相互承認原則実

施措置計画においては「欧州執行命令(European Enforcement Order)の見

地,および加盟国の基本的法原理を尊重しつつ,相互承認原則の執行を促

進するために必要と考えられる共通の必要最小限度基準が満たされている

と考えられる手続法の見地から,検討が行われるべきである」,と述べて

いる。

この

年欧州理事会のタンペレ欧州理事会議長国総括により,いわ

ば,「より効果的な新しい刑事司法協力の方式」の追及と「適切で同等な

手続き的保障の機能」は,一体的に追及されることになったのである。

欧州委員会は,

年 月に EU 理事会及び欧州議会に対しコミュ

ニケ「刑事における最終的決定の相互承認」を発した

!

。このコミュニケの

「第

項 個人の権利の保護( .Protection on Individual Rights)」では,

刑事における相互承認の様々な側面が検討されているが,その検討に当

たっての留意事項の一つとして,「決定が執行国により相互承認されうる

た め に,決 定 を す る 国 が 備 え て お く べ き 手 続 的 条 件(the procedural

condition)」が挙げられている。

また,タンペレ欧州理事会議長国総括第

項が求めた相互承認原則実

施措置計画に対応する,

年の「刑事における相互承認原則実施のた

めの措置のプログラム」

"

は,刑事における判決の相互承認を含む

の相

互承認原則実施のための措置を列挙しているが,その序文において,「相

互承認は加盟国間の協力の強化のためのみならず,また個人の権利の保護

の増強のためにも策定されなければならない」と述べるとともに(第 段

落),「刑事における判決の相互承認原則の実施は,加盟国が相互の刑事司

法システムについての信頼を有することを前提とする。この信頼は,特に,

加盟国の自由と民主主義の原理,および人権,基本的自由および法の支配

への尊重の共有に根拠を有する。」(第 段落)と述べ,さらにまた同プロ

グラムの序文の後半で,相互承認の実行の程度を決める要因(parameter)

の第 として,

「第三者,被害者,被疑者の権利の保護の仕組み(mechanisms

(17)

for safeguarding of the rights of third parties, victims and suspects)」を挙げて

いる。

以上のような経過を踏まえて,欧州委員会は,被疑者・被告人等の手

続的保護の共通最小限基準を,EU 立法において実現することを目指すこ

とになった。

そのため,欧州委員会は,まず

年に,被疑者・被告人等の手続的

保護の共通最小限基準の実現の協議プロセス(consultation process)とし

て,「欧州の刑事手続における被疑者・被告人の手続的権利の保護につい

てのグリーン・ペーパー」を明らかにした

!

。このグリーン・ペーパーは,

欧州委員会コミュニケ「自由,安全,司法の領域を目指して」(

年)

を踏まえて,「個人の権利の保護の最小限度基準は,検察官,裁判所,捜

査官の権限を増強する司法協力措置に対する必須の平衡錘(necessary

counterbalance)であった」と述べている。グリーン・ペーパーで,①法

的援助と代理に対する権利,②被疑者・被告人がその者に対する告発

(charge)を知り手続を理解するための,能力と資格(または免許のある)

通訳者及びもしくは翻訳者に対する権利,③特別な弱者の範疇にある者の

ための適切な保護,④領事の援助,⑤権利の存在についての知識/権利告

知書の,五つの基本的権利が提起された。

欧州委員会は,

年に,

年のグリーン・ペーパーが提起した五

つの基本的権利を法典化の手法により包括的に立法することを目指す,

「EU の刑事手続における手続的権利理事会枠組決定の提案」

"

を EU 理事会

に対して行った。すなわち,①法的援助の権利(第 ないし第 条),②

通訳及び翻訳の権利(第 ないし第 条),③手続の意味を理解しまたは

対応できない者に対する特別な配慮の権利(第

条及び第

条),④拘

禁されている者が家族等との連絡を持つ権利(第

条)及び領事との連

絡を持つ権利(第

条),⑤全ての被疑者にその権利を書面すなわち権利

告知書で告知する加盟国の義務である。また,付属文書として権利の告知

書のモデルが附されており,加盟国共通の,①法的助言,②通訳人の権利,

(18)

③関連文書の翻訳の権利,④特別な配慮,⑤拘禁されている者が外部との

連絡を持つことの権利と,加盟国の国内法で保障される「その他の権利」

が記されることになっていた。

しかしながら,

年枠組決定提案は,EU 理事会で一致を得ることが

できず,

年 月に採択に失敗した。消極論の論拠としては,EU にお

ける立法の原理である「補完性の原理」や「相当性の原理」があり

!

,また,

当時の EU 条約(アムステルダム条約・ニース条約改正後)によれば,こ

の刑事司法協力の問題には,当時,まだ,当初の EU の第三の柱的性格が

残されており,枠組決定の採択には EU 理事会における全員一致が要求さ

れていたのである。

しかし EU 理事会は,

年のリスボン条約発効直前の

日に,欧州理事会議長国スウェーデンの提起を受けて,前示の EU

理事会決議「被疑者・被告人の刑事手続における手続的権利の強化のため

のロードマップ EU 理事会決議」において, 項目の措置(Measure)か

らなる「被疑者・被告人の刑事手続における手続的権利の強化のためのロ

ードマップ」を,被疑者・被告人の手続的権利の強化のための EU レベル

での将来の行動の基礎として承認した。

年ロードマップは,

の枠組決定提案で追求された法典化ではなく,それに至る議論の中で明ら

かになった 項目の権利を,実現さるべき措置として列挙し,ステップ・

バイ・ステップ方式により順次に実施しようというものであった。

年ロードマップによる 項目の措置は,「措置 A:翻訳と通訳」,

「措置 B:権利及び弾劾(charge)についての情報」,「措置 C:法的助言と

法律援助」,「措置 D:親族,雇用主及び領事当局との連絡」,「措置 E:弱

者たる被疑者・被告人に対する特別な保護措置」,「措置 F:未決拘禁につ

いてのグリーン・ペーパー」である。

年ロードマップは,枠組決定ではなく EU 理事会決議に止まって

いるが,欧州理事会が

年に採択した,EU の立法及び運用計画のた

めの戦略的指針たる,「ストックホルム・プログラム−市民に奉仕し市民

(19)

保護する開かれた安全な欧州」(Stockholm Programme,

)自体

において,「ストックホルム・プログラムを構成する」ものとされた。他

方,

年ロードマップの採択直後に発効したリスボン条約は,EU 基本

権憲章にリスボン条約と同等の法的効力を与え基本権尊重の姿勢を明らか

にするとともに,警察・司法協力の事項も通常の立法手続によることとさ

れ,

年の枠組決定のような全員一致が要求されることとは廃され

た。また,リスボン条約の一部をなす EU 機能条約(TFEU)の

条⑵項

は,判決,刑事上の決定及び国境をまたがる警察・司法協力を促進するた

め,加盟国間に適用される最小限規則(minimum rules)の制定を EU の権

能と定め,かつ,刑事手続における個人の権利の保護を,この最小限規則

が制定さるべき領域の一つとしている(

年 EU 指令 項)。刑事手続

き上の人権保護につき,EU が EU 指令の立法を行う権限が確認されてい

る。これらにより,

年ロードマップの措置の立法の実現性は格段に

高まっている。

通訳及び翻訳に対する権利についてみれば,

年の理事会枠組決

定提案の不採択後,

年ロードマップの採択努力とは別に,単独に,

リスボン条約発足前の枠組決定の提案,それを受けたリスボン条約発足後

の EU 指令の提案をまとめる努力も行われている。通訳及び翻訳に対する

権利は,ヨーロッパ人権裁判所の判例もあって議論が相対的に少ない分野

であるとともに,他方では,ヨーロッパ逮捕令状についての枠組決定の実

施もあってその必要性が具体化していたのである。

年 EU 指令の前

項の,「この EU 指令は,

年 月 日の刑事手続における通訳

及び翻訳に対する権利についての EU 理事会枠組決定に対する欧州委員会

の提案及び

年 月 日の通訳及び翻訳に対する権利についての EU

指令に対する欧州委員会の提案を利用している(

項)」との説明は,こ

れらのことを指している。

そして,

年 EU 指令は,

年ロードマップで要請された通訳・

翻訳に対する権利についての措置の具体化であるが,これらの併行する枠

(20)

組決定と指令の提案をまとめる努力の中での交渉,合意形成も利用して,

年に,

年ロードマップで要請された諸措置の最初の具体化とし

て,所定の立法手続を得て,EU 理事会及び欧州議会により,EU 指定とし

て採択されたのである。

年 EU 指令の基礎…人権規定とヨーロッパ人権裁判所の判例

EU 指令の基礎には,その前文

項よりわかるように,ヨー

ロッパ人権条約及び

EU 基本権憲章の規定並びにヨーロッパ人権裁判所の

判例法がある。

EU 指令の前示の前文

項は次のように述べる。

「手続の言語を話さずもしくは理解しない人々に対する通訳及び翻訳に

対する権利は,ヨーロッパ人権条約 条により定められ,ヨーロッパ人権

裁判所の判例法の中で解釈されている。この

EU 指令は,この権利の実際

の適用を推進するものであり,そのために,この

EU 指令の狙いは,公正

な裁判を受ける権利を確保することを目的として,被疑者・被告人の刑事

手続における通訳及び翻訳に対する権利を確保することである(

項)。」

すなわち,この

EU 指令は,公正な裁判を受ける権利を確保するため,

ヨーロッパ人権条約 条等の規定,ヨーロッパ人権裁判所の判例法の中で

既に形成されていた通訳及び翻訳に対する権利を,この

EU 指令の採択に

より推進・確保することをねらいとしているのである。欧州委員会が

EU

理事会と欧州議会へ行った提案文書

!

で引用されている規定と判例を確認す

ることとする。

⑴ 人権規定

ヨーロッパ人権条約 条 項は,「逮捕される者は,速やかに,自己の

理解する言語で,逮捕の理由及び自己に対する被疑事実を告げられる。」

と定めている。

ヨーロッパ人権条約 条 項は,前示(注⑺)のように「

刑事上の

(21)

罪に問われているすべての者は,少なくとも次に権利を有する。」,「⒜

速やかに,その理解する言語でかつ詳細にその罪の性質及び理由を告げら

れる」,「⒠ 裁判所において使用される言語を理解し又は話すことができ

ない場合には,無料で通訳の援助をうけること。」と定めている。

また,EU 基本権憲章は,これらの権利をその 条及び

条ないし

条で定めている。特にその

条は,法的助言と代理に対する権利を含む

公正な裁判に対する権利を保障し,その

条は無罪の推定及び防禦の権

利の尊重を保障している。

⑵ ヨーロッパ人権裁判所の判例

この EU 指令の背景には,上記のヨーロッパ人権条約についての多くの

ヨーロッパ人権裁判所の判例があるが,欧州委員会が EU 理事会と欧州議

会へ行った前示の提案文書では,次の つのヨーロッパ人権裁判所の判例

が挙げられている

!

リューディック・ベルカセム及びコス事件判決(Case of Leudicke,

Belkacem and Koc v. Germany)

"

本件はドイツ国内で別個の事件で有罪判決を受け,当時のドイツの刑事

裁判の通例に従い,通訳料の支払いを命じられた 人の申立人の事件であ

る。リューディック氏は英国市民で,英国陸軍の一員としてドイツに駐在

しており,

年に交通犯罪で罰金刑の言い渡しと,通訳費用の支払い

を命ぜられた。ベルカセム氏はアルジェリア市民で,ドイツに居住してい

た父親に合流し,そこで職業についていたが,ナイトクラブでのコートの

紛失の事案で,

年に身体傷害の結果を伴う暴行で有罪となり, 週

間の懲役(未決拘禁で通算)と罰金刑及び通訳料を含む訴訟費用の支払い

を命ぜられた。コス氏はトルコ市民で,ドイツ国内で鉱山,建設等の企業

で働いていたが,

年に重大な身体障害の惹起で有罪とされ通訳料を

含む訴訟費用の支払いを命じられた。

人はそれぞれドイツ国内裁判所で上訴し,通訳料の負担が,「無料で

(22)

通訳の援助を受けること(to have the free assistance of an interpreter)」を

保障しているヨーロッパ人権条約 条 項⒠に違反していると主張したが

認められず,同じ頃にヨーロッパ人権委員会に救済を申し立て,そこで併

合されヨーロッパ人権裁判所の判決となった。

ヨーロッパ人権裁判所に申し立てられたヨーロッパ人権条約違反の中

で, 条 項⒠違反の主張に対する,同裁判所の判断は以下のようなもの

であった。

裁判所は以下のように認める。ヨーロッパ人権条約 条 項⒠の『Free』

という語の意味は, 条 項⒜,⒞及び⒟と矛盾せず, 条 項の対象と

目的によって確認される。裁判所は,ヨーロッパ人権条約 条 項⒠に

よって保護される権利は,裁判所で用いられる言語を理解せず,話さない

人にとって,後にその際生じた費用の支払いを請求されることなしに,通

訳人の無料の援助を受ける権利を伴う(

項)。

ヨーロッパ人権条約 条で保障されている公平な裁判を受ける権利の文

脈で解釈するとき,ヨーロッパ人権条約 条 項⒠が定める無料で通訳を

受ける権利は,ヨーロッパ人権条約 条 項⒠は,裁判所で話される言語

を理解することまたは話すことができない,刑事上の犯罪で弾劾(charge)

された者は,公正な裁判(fair trial)の利益を持つために,彼が理解する

ために,または裁判所の言語に翻訳してもらうために必要な,彼に対して

提起された手続における文書と陳述の翻訳もしくは通訳を無料で受ける権

利を有する(

項)。

カマシンスキイ事件(Case of Kamasinski v. Austria)

!

申立人は,コネチカット在住の米国市民であったが,オーストリアにお

いて

年に,請求書,家賃等の不払いから詐欺と背任で逮捕され,有

罪となったので,

年にヨーロッパ人権委員会に救済を申し立て,ヨ

ーロッパ人権裁判所の判決となった。ヨーロッパ人権裁判所は,その判決

の中で,無料で通訳を受ける権利につき,次のような見解を示している

項)。

(23)

ヨーロッパ人権条約 条 項⒠が定める無料で通訳を受ける権利は,公

判審理における公開の陳述のみならず,文書による資料にも,公判前の手続

にも適用される。ヨーロッパ人権条約 条 項⒠は,裁判所で話される言

語を理解することも話すことも出来なくて,刑事上の犯罪で弾劾(charge)

された者は,公正な裁判(fair trial)の利益を持つために,彼が理解する

ために,または裁判所の言語に翻訳してもらうために必要な,彼に対して

提起された手続における文書と陳述の翻訳もしくは通訳を無料で受ける権

利を有する(リューディック・ベルカセム及びコス事件判決

項)。

但し, 条 項⒠はすべての書証,手続の公式書面の翻訳を要求するも

のではない。提供される通訳の援助は,被告人が彼に対する事件の知識を

得て,自らを防禦できる範囲,ことに裁判所に対して事件についての自己

の説明を提示できるほどのもので足りる。

ブロズィシック事件(Case of Brozicek v. Italy)

!

申立人は,チェコスロバキア生まれのドイツ市民であったが,

月イタリアのサヴォナで,政党が組織した祝い関連の小旗を壊し,逮捕

される際に警察官に傷害を負わせた。

年 月にドイツのニュールン

ベルグに帰っていた申立人に対し,サヴォナの検察官事務所から「司法上

の告知(judicial notification)」が送られてきた。それはイタリア語で書か

れたもので,申立人に,申立人に対し,公務執行妨害と傷害で手続が提起

されたことと,弁護人もしくは国選弁護人が選任可能であることを知らせ

るものであった。申立人は,その書類を,

年 月,理解が困難なの

で書類を送り返すことと,誤解の危険を避けるため母語もしくは国連公用

語が用いられることを要求してきたことを記載したドイツ語による手紙を

添えて送り返した。その後,結局,申立人欠席のまま国選弁護人が附され

て裁判が進められ,申立人は

年 月に, ヶ月の懲役に処し,訴訟

費用の負担を命じる有罪判決が下された。そして申立人は,

年 月

日,ドイツ連邦裁判所の検事局からの書状で,この有罪判決がドイツの

犯罪記録に登録されたことを知らされた。

(24)

申立人は,

年 月 日,ヨーロッパ人権委員会に救済を申し立て,

ヨーロッパ人権裁判所の判決となった。ヨーロッパ人権裁判所は,ヨー

ロッパ人権条約 条 項⒠の違反を認めたが,その理由はつぎのようなも

のであった。

申立人はイタリア出身でもなく居住もしていない。申立人は司法当局に

対し,イタリア語の知識の不足のため司法当局との接見を理解できないと

告知し,また,母語か国連の公用語でそれを送るよう求めた。司法当局は,

その告知からその書類が彼に対する弾劾(charge)を意味することを理解

できるほどのイタリア語の知識を事実上は持っていることを立証しない限

り,この要求に応じるべきである。しかし,そのような証拠はない。この

点において,ヨーロッパ人権条約 条 項⒠の違反がある(

項)。

年 EU 指令の特徴

⑴ 捜査段階への適用

年 EU 指令の通訳に対する権利は,警察での取調を含め捜査機関の

前での手続に適用され( 条 項),また翻訳に対する権利も権利主体と

して被疑者を明言しており( 条 項),

年 EU 指令の通訳に対する

権利,翻訳に対する権利は,捜査段階に適用されるものとなっている。

この点は,

年 EU 指令以前から,ヨーロッパ人権条約 条 項⒠

の適用につき,前示のカマシンスキイ事件(Case of Kamsinski v. Austria)

など,判決中で言及されていたもので,

年 EU 指令の立案に当たっ

ても,

年グリーンペーパー以来,当然とされていた。

なお,近時でも,捜査段階の取調における通訳人の不存在を理由に,ヨ

ーロッパ人権条約 条 項⒠が認められたヨーロッパ人権裁判所の判例も

現れており

!

,この点は確立している。

⑵ 文書の翻訳

年 EU 指令は,その 条で文書の翻訳に対する権利を規定してい

(25)

る。この点は,ヨーロッパ人権条約には規定がなかったもので,前示のリュ

ーディック・ベルカセム及びコス事件判決や(Case of Leudicke, Belkacem

and Koc v. Germany)や カ マ シ ン ス キ イ 事 件 判 決(Case of Kamsinski v.

Austria)のヨーロッパ人権裁判所の判例法が,

年 EU 指令に取り入れ

られたものである。

翻訳されるべき文書は,

年 EU 指令では必須的(essential)文書と

されているが,その範囲については,より広い表現が好ましい意見もある

ようである

!

但し,必須的(essential)文書の例示には,人の自由を奪う決定,弾劾

または公訴提起(charge or indictment),そして判決が含まれており,わが

国の運用から見れば広いものである。

⑶ 通訳料・翻訳料の被疑者・被告人の不負担

年 EU 指令は,その第 条で,通訳料・翻訳料は加盟国により負

担されるべきものとし,被疑者・被告人が負担すべきものでないことを明

記している。前示のリューディック・ベルカセム及びコス事件判決(Case

of Leudicke, Belkacem and Koc v. Germany)等の,ヨーロッパ人権裁判所

の判例法が,

年 EU 指令に取り入れられたものである。

⑷ 被疑者・被告人と弁護人間の接見と通訳を受ける権利

年 EU 指令は,その第 条 項で,被疑者または被告人と弁護人

との間の接見に通訳が利用できることを保障するよう加盟国に求めてい

る。論議のあった点であるが,

年 EU 指令の採択に際し,被疑者・

被告人の手続的権利の保護が強化されたものというべきであろう。

年 EU 指令の前文

項は,その趣旨を,通訳により,被疑者または

被告人が,事件にする彼らの見解を弁護人に対し説明し,彼らが不同意の

陳述を指摘し,彼らの弁護人に彼らの防禦において提出さるべき事実に気

付かせることができるべきであると説明している。ここで被疑者または被

(26)

告人の防禦準備として措定されているものは,広範かつ高度のものである。

また,

年 EU 指令の前文

項は,被疑者・被告人と弁護人間の接

見で通訳を受ける権利が認められる範囲について説明している。通訳の権

利の保障が手続の公正の前提・要件になっていることが注目される。

Ⅳ 今後の検討のために

.通訳・翻訳に対する権利

年 EU 指令とその基礎をなすヨーロッパ人権裁判所の判例を見る

とき,そこでの通訳に対する権利,翻訳に対する権利の議論は,被疑者・

被告人の防御権保障の視点から行われ,その防御権の中心にあるのは,自

己に対する弾劾の性質と理由(the nature and cause of the accusation against

him)を知らせてもらう,ヨーロッパ人権規約 条 項⒜の権利である。

この保障がなければ,公正な裁判そのものも危うくなると考えられ,公正

な裁判の保障その他権利の保障の限界を判断する指標となっている。わが

国の批准する国際人権(自由権)規約

条 項⒜ではヨーロッパ人権規

約 条 項⒜と同様の表現の権利が保障されている。またわが国の判例で

は,告知・弁解・防禦の機会が憲法

条に保障されることが,最高裁大

法廷判決で早くに確立している

!

通訳に対する権利,翻訳に対する権利を含め,告知・弁解・防禦の機会

の保障が,刑事手続の各段階において,より具体的に考えられなければな

らない

"

.EU における権利保障

通訳・翻訳に対する権利は,EU の刑事手続における手続的権利保護の

中では,最も基本的な権利である。前示のように,タンペレ欧州理事会議

長国総括に先行する,ウイーン行動計画(Vienna Action Plan)でも既に

例示されている。また,

年に

年の枠組み決定提案の採択が断念

(27)

されたときも,前示のように,

年ロードマップとは別に,通訳に対

する権利についての個別の立法が枠組決定もしくは EU 指令の採択として

努力されていた。また,

年ロードマップが掲げた課題たる措置の第

(A)であり,現に

年ロードマップの具体化として採択された EU

指令の第 号である。また,その範囲も,文書の翻訳,被疑者・被告人と

弁護人間の接見など,広がってきている。

通訳に対する権利,翻訳に対する権利が,被疑者・被告人の防禦を準備

するために重要であり,それなくしては自己に対する弾劾の性質と理由

(the nature and cause of the accusation against him)を知ることができず,

公正な裁判の保障もかなわない場合があるのである。

先に述べたように,弾劾の性質と理由を知ることは,わが国で言えば憲

条の適正手続保障,具体的には告知弁解防禦の機会の保障に相当す

るものである。わが国でも,通訳に対する権利,翻訳に対する権利の重要

性,基本的性格が十分に認識されねばならない。

.わが国における保障

わが国における通訳に対する権利,翻訳に対する権利の保障の状況と比

較するとき,わが国における保障について考えられるべき幾つかの点があ

る。

⑴ まず,通訳の「権利性」の問題がある。わが国の場合は,明文の関連

規定としては,「裁判所では日本語を用いる」と定める裁判所法

条と,

通訳および翻訳に関する刑事訴訟法

条ないし

条しかなく,訴訟主

体として自己の訴訟行為を行っていくための通訳については,直接の根拠

規定もないままである

!

。運用上の努力が行われていることは事実である

が,根拠規定の不整備,したがって「権利性」の弱さは否定できない。

⑵ このことは,通訳料の負担の問題に具体的に現れている。この問題に

ついては,よく知られているように,通訳料を訴訟費用として被告人に負

(28)

担させることは,国際人権(自由権)規約

条 項⒡に規定する「無料

で通訳の援助を受けること」の保障は無条件かつ絶対的のものであって,

裁判の結果被告人が有罪とされ,刑の言い渡しを受けた場合であっても,

刑事事件訴訟法

条 項本文により被告人に通訳に要した費用の負担を

命じることは許されないとして,原判決を破棄した東京高裁判決がある

%

そうして,この判決の後には訴訟費用の被告人負担は行われていないと

いう理解も語られることもあるようであるが

&

,訴訟費用の被告人負担は行

われていないと言う状況にはなっていない

'

。訴訟費用の被告人負担に問題

があるのみならず,最高最判例がない分野で前示の高裁判決がありなが

ら,裁量の問題になっていると言う状況にも問題がある。

⑶ 通訳の正確性,公平性もしくは中立性の問題も,また通訳者・翻訳者

の適格性と資格制度,研修なども,法制度のない中で,事実上は手続の主

催者の運用に任されているのではないかと思われる

(

。「権利性」すなわち

被疑者・被告人の主体として訴訟行為を行っていくことを保障する視点か

らの,これらについての議論も必要なのではなかろうか

)

! DIRECTIVE / /EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of October on the right to interpretation and translation in criminal proceedings, . . OJ L / .

" 久岡康成「捜査段階における弾劾告知と逮捕・勾留−EU 指令 / /EU, / /EU, / /EUを参考に−」立命 館 法 学 ・ 号 ( )∼ 頁, 年。

# RESOLUTION OF THE COUNCIL of November on a Roadmap for strengthening procedural rights of suspected or accused persons in criminal proceedings ( OJ C / ). なお,これについて参照,久岡康成「起訴状の役割及び訴因の

機能と防禦 ―― Accusation の性質と理由の告知を受ける権利(ECHR § ⒜)と 年 EU 指令を参考に ――」立命館法学 ・ 号 頁, 年。

$ DIRECTIVE / /EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of May on the right to information in criminal proceedings, . . OJ L / . なお,これについて参照,久岡・前掲注⑶論文。

(29)

! DIRECTIVE / /EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of October on the right of access to a lawyer in criminal proceedings and in European arrest warrant proceedings, and on the right to have a third party informed upon deprivation of liberty and to communicate with third persons and with consular authorities while deprived of liberty, . . OJ L / . なお,これについて参照, 久岡康成「EU 指令 年 号における弁護人に対するアクセス権並びに第三者及 び領事との連絡権」(香川法学 巻 ・ 号 頁, 年)。 " 年 EU 指令については,北村泰三「ヨーロッパ諸国間における犯罪人引渡法 制の現代的変容⑵−効率性と人権原則との調和・両立を目指して−」中央ロー・ジャ ーナル 巻 号 − 頁, 年で紹介がある。 # 松井芳郎・薬師寺公夫・坂元茂樹・小畑郁・徳川信治編集『国際人権条約・宣言 集(第 版)』( 年,東信堂)によっている。なお,私は前掲注⑵論文など, 条③項⒜の「accusation」については,その罪でなく「弾劾」という語を用いている。 $ アムステルダム条約の条文については,参照,鷲江義勝編著『リスボン条約によ る欧州統合の新展開−EU の新基本条約−』( 年,ミネルヴァ書房)。

% TAMPERE EUROPEAN COUNCIL AND OCTOBER , PRESIDENCY CONCLUSIONS, http://www.europarl.europa.eu/summits/tam_en.htm.

& Programme of measures to implement the principle of mutual recognition of decisions in criminal matters( /C / ).

' EUROPEAN COUNCIL THE STOCKHOLM PROGRAMME−AN OPEN AND SECURE EUROPE SERVING AND PROTECTING CITIZENS(OJ /C / ) ( Framework Decision / /JHA of June on the European arrest warrant and

the surrender procedures between Member States, OJ No. L / of − − . ) Maria Fletcher, Robin Lööf & Bill Gilmore, EU Criminal Law and Justice, Edward

Elgar Publishing Ltd( Feb. ), p .

* CARDIFF EUROPEAN COUNCIL AND JUNE PRESIDENCY CONCLUSIONS, http://www.europarl.europa.eu/summits/carl_en.htm.

+ Towards An Area of Freedom, Security and Justice, COM( ) final.

, The Action Plan of December the Council and Commission on how best to implement the provisions of the Treaty of Amsterdam on an area of freedom, security and Justice( OJ C / ).

もちろん,アムステルダム条約の実施,すなわち 年 月の「自由・安全・司 法の領域を目指して(Towards an Area of Freedom, Security and Justice)」と題するコ ミュニケ(注+)及び 年 月のウイーン行動計画(Vienna Action Plan)(注,) においては,刑事司法の領域のみならず,民事司法の領域における(EU 域内)司法 協力も視野に入れられている(前者の 頁,後者の Part Ⅰ, C. ⒜及び Part Ⅱ, B. Ⅱな

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