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甘藷の生理的特性に関する研究 VII 生育期間中の地上部並びに地下部における炭水化物消長の相互関係について-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

第9巻第2骨(■1957.) 4フ

甘藷の生理的特性に関する研究

Ⅷ生育期間中の地上部並びに地下部における炭水化物消長の相互関係について

中 潤三郎, 玉 置 秩

Studiesonthe physiologicalnatuleOf sweet potatoplants”ⅤⅠIOntherelatiol〕S

betweenthe variations of cartohydratesin the shoots and roots during the growing period..

JunzabuIONAKA andKiyoshiTAMAKI(LaboratoryofCrop Science)

(ReceivedJuly31,1957)

Ⅰ 緒

臼 甘藷の生育に伴う塊根内野蔵茨水化物の変化に関しては既に幾らかの報告が見られるが(2〉】,て,8,9111,14) ,全作物体 を対象として各部位別に代謝の経過を明かに・した研究は極めて少い(6〃,−3) 先に中。大森・桶谷(11)は生育期間中における新譜内談水イヒ物の消長について報菩したが,新詔内代謝が作物体 の他の部位における変化と.密援な関連を肩することは論をまたない処である.而して今泉。塩島(6),森本・守屋:・ 高橋(10),戸苅・白沢(1$等は全作物体を対象とし,葵身,葉柄,茎,詫田棍,塊根等の各部に分けて,それらの各器 官における1株平均数水化物の分布と生育に・伴う変化を報じている..他方相見・西尾(1)ほ,特町鋏粉の形成と専 横に関して追求するため,葉身,葉柄,茎,塊根等の各部を幾つかの部位に分ち,同一儲官の部位別「相違につき酵 素フォスフォリラーゼを中心とし,アミラーゼその 他の諸舜件との関係から細胞生理的に興味ある報賃を行ってい るい よって笠者等は甘讃の全生育期間を通.じ∴茎の頂部における淡水化物の消長と地下基部のそれらとを比較検討す ると共にり頂部菅生集・身並びに・その葉柄,更には地下の基部につながる細根及び塊根内代謝とも関連させて追求し, 甘藷の生育期間中における地上部と地下部の相互関係に・ついてその一億を競い得たので覇蔦する.. なお本研究の実施忙際し懇鰭な指導を賜わり,報文の校閲を恭うした北海道大学田川隆教掛こ対して深厚なる謝 意を表する.

Ⅰ実鹸材料及び方法

A 供試材料:実験材料としては「諺国語」を開い,昭和こ0年6月24日簡尿に・て菅生せるものの免璃を採取し,展 開葉5枚を附してフ5cmXごOcmの間隔に・水平挿を行った後,閣沫に従って栽培した試料は毎回午前10時に生育中 簡なる5個体を掘取り,茎損部(10節),仝着生薬身並びにその葉柄,茎基部(地下5節),和解,塊根の各部に分 けて分析に供したい B 契験方法:還元糖,非違充糖並びに.澱粉の含盈は前掛12〉に準じて分析したが,粗繊維の定盈は食品及び飼料に 関する一腰分析法に拠った.

Ⅱ 実 験 結 果

■前報(11)に.準じて全生育期間を8月11日頃までの前期,10月6日頃までの中期,11月18日頃までの後期と区分し て記述するい A 生育状況‥免ず前期においては第1図に示す如き気温の上昇に伴い地上部の生育は旺盛で,茎の伸長及び英 数の増加が離著であると共に.(第2因),茎基部の肥大並びに潤棍富の増大が認められたのみならず(第3因),塊 根の形成を見た(第4因)次いで中期に.おいては地上部の生育ほ.極めて旺盛で,茎の伸長は依然として大であり, 英数は激増の後,若干滅少の傾向を示し始めたが(第2図),気温及び地温は未だ可なり高く(第1図),澗棍憲の 増加を見ると共に茎の基部並びに塊根の肥大は朗著であった(第3,4因),更に徽期では茎には未だ伸長が認めら

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香川大学農学部学術報薯 48 丁 ̄●.、−、 . fibr仇IS rのIs / ●一−−・叫O N扉亡m肋如】n加V血 0=・■・一01劇 的 14 11 両 可

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vir)eS andleaf numbeIS On the sboots

lね穂

埜 Ⅶ

Fig.3.The variations of fresh weightof the basal parts of the vines and Fig。1‖The variatior)S Of air

and soil temperature

I wight of the fibrous k)r・b】ad郎altached t01he叩・Calpart3

qlthe v‖1eS

Peti。l鰐atlaChedtく〉tlleal)−(alparts(I† th亡Vines

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Fig.6.The var・iations of

moisture contents Fig4.The variations of fresh

Weight of the shoots and fresh weight ofthe root

tube工S 伊 ̄■‥や択‡;】こご血1山…くaplCa一匹b ケーーーやpel両…(hdtoth〔叩iくa一因nSOf け把 \両】ぐヽ ○・−■叫●・川止血l渕HSα「旺亡Vわ持 ○−・一・・−−OBa幻1Iy椚川王Ihぐ=nぐS O−−Of.brous.00lS e 一①R00=uLxrざ か ̄− ̄◎血tothea叩a佃Hs O一…−Op伽一指コtbchedto血apICalpan$Of lh l、>川eS ●−−=●Apl00l脚・bofth。Ⅵ.恥 ︵ヨぜ芝:登巴叫如法d︶雫石零さU ︵芸眉⊆主項羞よh乳︶召βu00 ︵−意思巨上S巴叫餌h鼠︶召望仁OU ●−−−−−−−−−−−−●ml山トー∩さl、」lh、 0−−一一一一−く)ト心,、ヽhl止、こ, (㌻ ①R(氾It山船幅 lり h −1 18 ・ l −こ・

Fig“フ‖ The variations of crude

fiber contents

14 11 川 b 4 18

\t ll l\nlこ.・1 \l\1 碩 Ⅷ 琵Dat。方 面 膏 6 4 1$ Fig‖9.The variations of non−

reducing sugaICOntentS Fig。8..The variations of reduc−

(3)

49 第9巻第2骨(1957) ◎一←一岬◎ kafblaぬaluLhd totheap】Cal匹rh oJthcヽ・Jll(霊 〈ンーーぺ〉 れ由■ち卸m山眈dk=he叩1(∫11part$Or か一一ヰ㌫〔;ち】】琵,【s。fth‥‖Xぺ ⑳“−−一旬=伽閑】p州SO【tlleV】n(S O一一−Ol・し−:叶、い章

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Fig.10.The variations of starch

COntentS

Fig11.Tile Variatior〉S Of total

C鋸bohydrate contents れたが,気温の低下に伴づて地上部の活力は怖凱.,老葵の脱落が著しく(第1,2因),従って葵数には可なりの 減少が見られると共に,茎基部,維択並びに塊根の竃盈にほ若干の低下が認められた(第3,4因)・・ B 葉緑素舎監並びに呼吸盈‥第5図に示す如く,頂都築身の葉緑素含盈ほ初期より相当大なる値を示し,その 後は殆ど変化が見られなかったが,末期においで可なり減少した.他方基頂部の呼吸畳ほ初期に農高を示したが生 育に伴って漸滅し,後期に.おいて最低値檻達した後若干増加した‖ C 水分含盈‥第6因に示す如く,全期間な通じ墳都葉柄の含意が最大で,これに続いては概して茎鳳弧仝英 身,維供,茎基部,塊膳の順に小となり,しかも地下の各部では生育に伴い漸減の傾向を示したのに倒し,茎項部 並びに仝菓身,葉柄では新著な変化が見られなかったが,他力茎の頂部,基部及び塊根においては末期にやや増加 l一たのに対し,損都築身,仝葉柄並びに維棍に.おいてほ末期にそれぞれ低下した・・ D 粗繊維含盈:第7因に見る如く全期間中,茎基部において最大なる傾向を示したが,茎損部及び緒撮がこれに 続き,頂部襲身並びに仝濱柄では可なり低く,塊根は最低の含盈に終始した・而して茎基部と細棍ではそれぞれ後 期及び中期に.おいて最高値に達した後,末期に若干低下したのに対し,茎頂部では中期に減少したが,源部薬身, 仝嘆柄並びに塊棍では中期にやや低下した後,末期に若干増加の傾向を示した・ E =還元塘倉患‥第8図からも明かである如く,還元鰭含儲は部位別に可なり著しい相違を示すが,就中茎演部 の含急が全期間を通じ著明である..これは同化産物が茎伸長のための構成材料として,この部に一時嘗樟されるこ とに.よるものと考えられる‖而して茎偵部に儲いては仝葉柄,茎基部の順位を示し,且つこれらは生長に伴い漸増 の様相を基したが,ただ生育の末期にそれぞれ低下した.また相澤及び損部螢身の合致ほ全期間中概して低く,し かも殆ど一骨である傾向を示したのに対し,塊棍でほ形成の初期には小なるも肥大に伴づて漸増し,後期には全器 官中最大の含盈を示したことほ注目に値する,.後述の非還元糖,澱粉と共に,還元糖は塊根の貯蔵炭水イヒ物の一つ として畳要な役割を担うものと考えられる小 F 非還元糖含盈:第9囲に示す如く,茎損臥仝薬身並びに魔柄でほ儲期に若干高く,中期に一息低下した後 末期に再び高くなるのに対し,茎基部放び純根においては中期まで増加した後,一息低下して末期に再び大となる 様相を呈したが,塊根では肥大に伴って激増し,盈的にも塊根の主要な貯蔵炭水化物の一一つと考えられる・・ G 滅粉合致:全期間を通じ塊根内含盈が最大であるは当然として,茎基部の合致が他の部位に比して多いこ とは,澱粉の動きを示すものとして興味がある更に和解がこれに続くが,澱粉の流入の多少が塊棍と維摂の分化 力向を決定するものと思われる.他方頂潮境身,仝襲柄では常に概して少く,しかも舎監の変化も僅少であるま た茎頂部では比較的少く,且つ中期及び末期陀それぞれ低下することは,茎基部に含盈の掛、ことと相まって,澱 粉の体内移行乃向を示すものである(第10因). H 全炭水化物含鼓‥第11図に示す如く,常に塊根において最大で,茎基部がこれに次ぎ,続いて糸田乱茎損部及 び仝薬身三者間には大差がなく,葵柄の含盈は最低であった.しかも塊根,茎基部,和枝等地下の各部は中期にお

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50 香川大学恩学部学術報告 いてそれぞれ高い値を示し,且つ和掛こおいては末期に可なり高い値が見られたのに対し,茎渡部,仝葉身にはそ れぞれ中期に低下が認められた..而して損部の葉柄においてほ顕著な変化が見られなかったが,これは葬柄の生理 的役割が単に㌧光合成産物の通導器官に過ぎないことを示すものであろう..

Ⅳ 考

察 元来甘藷の挿苗後における作物体の生育は児ず苗の発根汚敷こ始り,統いて根の伸長並びに苗の生育に伴って塊 根の形成肥大を見るものであるが,その際撮潔よりの養,水分の吸収と相まって,葉部に.おける光合成に基ずく同 化建物の転流,苓積の上にも漸次変化が見られる筈である.而してこ.れらの点について既に甘藷に関して報告さj■し た処を見るに,今展・塩島(6)は生育の全期間に亘り澱粉価の時期別調査を行い,生育の初期には謹身,葉柄,遊, 租下茎,細限,塊根等何れの部位においてもその1株平均の値が概しでやや低いが,末期に至るに.従い次掛こ増加 し,それぞれ可なり高い値を点すことを報告している.また戸苅・白沢(13)ほ6月1Eiに挿濁し,生育に伴う1株 平均体内成分の消長を検した処,全糖の含有率には極大が見られないが,葉身,葉柄,茎において7月21日,また 塊掛こおいて8月20日極小があらわれ,澱粉の含肩率ほ塊根において著しく大で,生育に伴い増加し8月30日以降 やや低下するが,しかし全楯岡様に極大が見られないと述べている‥ またへミセルローズの合着率は澗猥と英身に 多く,塊摂に・おいてほ著しく少く,更にセルローズの含有率ほ茎が全般的に大で葉柄,錐限では生育の経過と共に. 増加し,塊摂では最も低いこと恕報告しているい更に廉か守屋・高橋(10)によれば1株平均として見る時,生育 の中期に・おいては特に蕉及び茎の粗脂肪と茎及び地中茎内可浴無窒素物の減少のみならず共,茎並びに地中茎の粗 繊維の増加を認めると共にり後期座ほ菓,茎における粗脂肪並び忙可溶無窒素物の漸減と粗繊維の増加を報じてい る・・他力馬場・島林(3)が臍部の15∼ニ20築における澱粉分解酵素の生育時期別変化を追求した処によれば,生育の初 期にはその惰性度は戯しで掛、が,中期から後期に亘って・一息低下した後,再び可なり高くなることを認めてい るい また岩沢(7)は−・窯薬両横当りの沃素同化作嘱を険し,初期にはその程度が弱いが,生育に伴づて増加した後, 末期に・は相当低下することを発表している. いま凍実験の成掛′こついて論ずるに.当り,前記の如く3期に大別することとする.、 A 前期:第6∼コ.0閻に・示す如く,租下の各部における水分含盈には可なり著しい減少が見られると共に.,茎基 部及び川根の粗繊維含急に増加の傾向が認められた..また茎頂部においては還元糖の含患が概して高く,同時に該 部薬身における非還元糖にもやや高い値が見られたが,これは生育に備えて同化産物が新和胞,組綴の構成材料と L′て,この部に蓄積されているものと解される…他力茎の基部においてほ澱粉の含畠が可なり大であると∴共に,塊 掛こおいても澱粉のみならず非還元糖の専横を認め始めた一.而しで前報(11)によれば本期に.おける塊根は髄部,皮 層部共に還元糖及びヲ薩元糖は可なり存在するが,壷貯蔵物質たる掛扮の含意ほ戯して少く,水分含盈は大であ る. 即ち上述の諸点は第5図に示す如く,損部英身の葉緑素含愚が増加の傾向を呈し且つ可なり高いこと,或ほ甚の 塀部呼吸愚が極めて大であること等より見ても首肯される処であるが,また前報′11)に報告せる如く,生育初期の 塊根ほ極めて旺盛な呼吸を営んでいる事実は,頻筒の発根沼蕾に引続き,鞄」二部の生育が旺盛化すると共に,地下 部においても撮の発育及び塊根の形成に伴う同化産物の転流並び忙蓄積が滴卿こ府われ始めていることを示すもの と解される小 B 中期‥水分含盈は茎頂部,仝葉身及び葉柄でほ大なる変化が見られないのに対し,茎基部並びに潤根では引 続き減少の後,多少の増加を示したが,塊根では漸湛の傾向を続けた而して粗繊維の含盈は茎塀部,仝簗身及び 葉柄,更には塊根でも漸減の様相を呈したが,これらの部位は本期においても旺盛に生育するため,このような相 対的蹴返を示すものと考えられる.これに反し茎の基部及び細摂でほ可なり掛\粗繊維含邁を窮していたことは興 味蓄凱、処である また茎頂邪並びに仝葉柄の還元糖に増加が見られるに対し,茎演部の非還元糖並びに澱粉含盈に は低下が認められたが,前者は生長のための待機的苓積であり,後者は塊棍への等程のための移動と解される他 力茎の基部及び細析に・おいては非還元糖,澱粉の嘗積を見るのみでなく,塊根においても還元糖,非還元糖並びに. 澱粉の蓄積を認めたことは,塊根が漸く本期より主賓貯蔵器官としての役割を持ち,炭水化物の蓄積が本格化した ことを示すものである(療6∼10図参照). 而しで上記の諸点は本実験における他の成騎とも関連するものであるが,第4囲にも見る如く,木期において地

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第9巻第2替(1957) 51 上部笠が最高に.達し,また第5因に見られる如く,塀部菓身の葉緑素含急が可なり大であるとと共に・,遊損部の呼 吸が前期より低下したことほ興味深い“他方塊根においてほ前朝(11)に.よれば隋部,炭層部を通じ還元糖,非還元 糖並びに水分含意ほ小なるも澱粉含盈ほ大であった. 即ら本期に.おいては地上部の生育が最上点に達し,同化生産物ほ地上部の生長に同いられると共に,地下部への 物質転流も旺盛となり,以て塊根ほ朗著な肥大を示す時期に入るものと思考される C 後期:第6′−10因に示す如く,水分含盈は何れの部位においても可なり低く,しかも末期では演都築身,仝 莫柄並びに押掛こおいては著干減少が見られるに反し,茎の瞬部,基部並びに塊摂においてはやや増加が認められ た..而して粗繊維の含盛は茎及び紙衝こおいては可なり大であったが,末期にやや減少したのに対し,演部薬身, 仝奨柄並びに塊根でほ相当に低いが,末期には若干の増加を示した‖ また茎損部の還元糖,非還元糖含盈に概して 高い値が見られると共に,損部葉柄の還元糟も可なり高い舎監に達した= なおまた茎基部の非違元始並びに澱粉含 盈が中期に比しやや低い値を示したのに対し,細緻の還元糖,非還元糖並びに澱粉含急に増加を認めたが,同時に 塊根に.おいては澱粉含盈の低下と還元糖及び非還元糖に相当大なる値が見られた点等ほ誠に興趣深い処である 而して第5図の如く,損都築身の葉緑素含盈に守こは末期に可なりの減少が見られると共に,遊頂部の呼吸盈は最 低値に・達した後,若干増加する傾向を示した 他力塊根に・おいては前報(11坤こ述べた如く,その呼吸は微弱でありし かも澱粉含盈の低下と水分含意の増大を認めると共にり非還元糖の増加を見たこと等ほ,.上記の諸点と共に凍実験 の成績匿.対して示唆する処が多い 而して全期間を通じて一見るに,玖上の如き諸点は前記相見。西尾(1)の成統と対照する時極めて興味深いものがあ る小即ち仝氏等によれば,アミラーゼの甘藷体内分布の態勢は茎の光源部,中央甜では強く,基部,地中茎部,塊 根部は極めて弱く,しかもこの傾向は還元糖の分布と略々一・致している.これに反し,■7オ・ス■7カーリラーゼの傾向は アミラーーゼの傾向とは大体逆で,先端に強く,中央部ほ弱く,基部,塊根部に・おいてほ強くなり,澱粉蓄樟の傾向 と」略々劇致しているそれ故概略的に見て体内でほ茎より棍に至るに従\、アミラーヤノブオスフォソテーゼの油性 比ほ小さくなる傾向を持ち,従って棍部に・おいてほ糖欠乏的であり,茎部は糖過剰的傾向があって,このような成 分上の傾斜は当然糖の基部から紋部への転流を促進し,綴都における澱粉の形成を促す結果を招来するものと解し ている事実本契験にLおける茎の頂部及び基部の炭水化物含盈は菓身,葉柄或ほ細根,塊撮等それぞれの着生部位−

における成統との関連より見ても,上記の都鳥と.その傾向が額似し,略々同様な推察を下し得るものと考えられ

る しかも戸苅。白沢(13)によれば,英身の1陳平均澱粉含葡率は7月11日以降殆ど・一骨であるので,他の作物の 如く同化澱粉は一・時地上部に.蓄積されることなしに,直に塊徽に移行する細く推察されているが,この点もまた本 実験の成置より見ても略々同様に考察される更に前述せる粗繊維の含意より見るも,塊根でほ全淡水化物の変 化と相反する経過を辿ったのに・対し,その他の部位においてほ大略類似の傾向にて増減したことは,同化轟物の苔 椅と関連して理解される処が多く,上記の諸点と共に甘藷における生理的特性の一瀞を示唆するものと解される

† 摘

要 凍研究においては督詔の「護国藷」を供試材料と.し,全生育期聞を通じて茎の頂部(】0節)における炭水化物の 消長と,地下基部(5節)のそれらとを比較検討すると共に,損部潜生韓身並びにその薬柄,更には地下の基部に つながる和撮及び塊根内代謝とも関連させて考究せんとしたいま契験結兇の概要を示すと次の如ぐである 1小 ご生育の前期では茎の]賀部において還元糖含意が概して高く,同時に損部薬身における非還元糖にもやや高い 値が見られたが,茎の基部では澱粉の含意が可なり大であると共に,塊根においても澱粉のみならず非還元糖の嘗 横を認め始めたい 2中期においては茎風邪並びに仝葉柄の還元糖に増加が見られるに.反し,茎頂部の非還元糖並びに澱粉含盈に. 低下が認められたが,他力茎の基部及び和解に・おいては非還元糖,澱粉の蓄税を見るのみ.でなく,塊根においても 還元糖,非還元糖並びに澱粉の蓄積を認めた.即ち地上部より地下部への洪水化物の転流が凍期より明確に認めら れる 3後期には茎損部の還元粘,非還元糠含鼠に概して高い砥が見られると共に,頂都塵柄の還元糖にも可なり高 い含故が認められた.また茎基部の非還元枇〕享びに澱粉倉並は中期に比しややイ尉、値を嘉したのに現し∴細沢の還 元糖,非.還元糖並びに滅㈲含盟に増加を認めたが,同時に塊脚こおいては波粉含慮の低下と還元糖及び非還元糖に

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52 香川大学農学部学術報告 相当大なる値が見られた 而してこれらの点ほ,水期において塊根の炭水化物蓄稼が略々飽和度に達したことを示 す 4小 二生育期間を通じ全炭水化物の含盈は塊揖において最大で,茎基部がこれに次ぎ,続いて維棍,茎損部及び仝 集身≡著聞には大差がなく,頂部葉柄の含盈ほ最低であった しかも塊根,茎基部,珊摂等地下の各部ほ中期にお いてそれぞれ高い値を示し,且つ経線でほ末期に旬なり大なる値が見られたのに対して,茎頂部,仝菓身にはそれ ぞれ中期に・低下が認められたが,損部葉柄においては顕著な変化が見られなかった (本研究の要旨は昭和31年4月8日,日本作勧学会第111回講演会において発表した)

引 用

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(3)鷹場明,島杯事英:緑集中に・おける同イヒ澱粉の 分解機構(第3朝),甘藷菓に於ける澱粉分解酵素 惰性度の変化,農化,26(11),561−564(−1952) (4)HASSELB王ミING,H:Behavior of sweet pota−

toesin班egrOund..′β〟れ』gデ′′忍βざ.,12(1一), 9−17(1918) (5)池官憲行,山田潤:層諮の生イヒ学的研究(第1報 ),生育期間中の諸変化,硬酵工学,28(7),265 −267(19ご0) (h6)今泉膏郎,填島角次郎:甘藷の生育並に養分吸 収利用に関する時期別調査研究,静岡菌試創立50周 年記念論文集,49肝70(1950) (7)岩沢正美:甘藷の炭素剛ヒ作用と収量に関する 研究,〔第1報柑讃晶踵の茨粟同化作用の比較,農 及園,22(6),311叫【312(1947)

文 献

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Inthepresentpaperarede三Crlbedtherelations between thevariationsof carbohydrate contents atthe apicalandlコaSalpartsof tIユe Vinesof sweet poてニatOeS血ringthegrowing period。Moreover,t■he relations betweenthe behaviorsof carbohyd工ate COntentSintheleaf・・blades and petioles attaci二elio the apical

PartSOf thevines,inthefibrous roots andinthe root tut〉erSattaCl;edtothe basalparts ofthe vines, weTealsotraced“Sweet potato o壬the vaてiety“Gokokuimo”wasused as rnaterial”The p工incipalresults

obtained were as follows:

1いAttheearlystageofgrowth,thereducing sugarand starch contentsintheapicalpartsofthevines, togetherwith the non−reducing sugar contentsin theleaf−blade3attaChed to them,Were general1y high

At tI〕e Same time珪e starcl】COntentSinthe ba二alpaTtS Of tI】e Vines werealso considerably high and

theaccumulationsof star・Ch andnon−1・educingsugarintheTOOttul⊃erSⅥerealsoleCOgnizedatthisearly

Stage Of g工OW抽

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第9巻第2尊(1957) 53

CreaSeSOfreducingsugarcontentswereIeSultedintheapicalpartsofthevinesandinthe petiolesat−

tachedtothem,Whilethe decreasesofnon−reducingsugar・andstarchcontentsinthe apicalpaTtSOf the vines werealsorecognized。Atthe sametime,theaccumula七ions of non−r・educingsugarandstarchinthe

basalpaTtS Of the vines andinthe fibrous roots,aS We11as the accun]ulations of reducing,nOn−γeiucing SugarSand starchinthe root tubers,WereaSCertained.Themiddle etageof gr・OWth may be assumedas

theturning pointofthe directionof thetranslocationofassimila七esfromthetopstothebasalpartsof

the vhes

3.With the terminationof growing season,the contents of reducing and non・reducing Edgarsin the apicalpartsof thevines showedrather high,tOgetherwith the considerable high contents of reducing

sugarinthe petiole3attaChedto the?picalpaItSOf the vines”Besides the comparativelylow contents ofnon−reducing sugarand starchin七he basalpartsof thevines weてe reニOgnized at the middle stage,

whiletheincrease30f reducing,nOn−reducing sugarsand starch contentsinthefibIOuS rOOtS,aS Wellas the decreasesof starch and the considerable high contentsof reducing an(ヨ non−r・eごucing sugar$inthe root tubers were asce士tained at this stage

4Throughoutan entiregrowing period,thetotalamountSOf carbohydrates wel・emOSt abundantin theroottubers,followinginorderarethebasalpartsofthevines,then the fibrous TOO七S,the apical parts ofthe vines,theleaf−blades,andfinallythe petioles‖Moreover,thetotalamountsofcarbohydrates inthe工00ttuber・S,thebasalpaTtSOfthevinesandth占fibrous=00tSShowed highⅤaluesattheTr)iddle StageOf growing period,Whilethosein the apicalpaItSOfthe vines and theleaf−blades attachedto

ヽ′

them decreasedat the EameStageOf growing Feriod。At the finalstageofgrowingpe=iod,aCOnSideIat〉le high amountOf totalcarbohydIate WaS reCOgnizedinthe fibrous roots,butin the petioles attached td

theapicalpartsofthevines no remarkable changes wereascertained throughout the whole stages of grOWtIl.

参照

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