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デスクトップファクトリ用ミニチュアロボットの変位計測

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Academic year: 2021

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デスクトップファクトリ用ミニチュアロボットの変位計測

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鳥井昭宏I、道木加絵2、植田明照1、林亮3

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KaeDOKI,

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UEDA,

Akira HAYASHI

Abstract: A rotational displacement of a miniature robot, which is used in a desktop factoryヲisdescribed. The robot is about 3 cm in

diam巴terand about 40 g in w巴ight.The robot consists of thre巴p1ezo巴l巴ctricelem巴ntsand th巴yar巴operat巴dby triangular waveforms.

The robot is so small that small sensors are used. Th巴displacementof the robot is m巴asuredby three position sensitiv巴detectors,

which are mounted on th巴robot.Th巴measurementprinciple is described. Th巴rotationaldisplacement is in the order of mrad.

However, the robot yields linear displacement when the control signals for the rotational displacement are applied to the robot. 1.はじめに 高度に集積化された製品の登場にともなって、微小な機 械部品の加工と組立が多数要求されている。しかし、それ らの行程を担当する工作機械の小形化は進行は遅く、小さ い部品の加工組立はスペースファク夕、消費エネルギ、コ ストの面で棺対的に合理性を欠く結果となっている。小形 部品の製造には小形の製造装置が望ましいとの考えがあ り、デスクトップファクトリーデスクトップマニュファク チュアリングと呼ばれる卓上サイズの生産システムが提 案されている 1,2)。またこれらはマイクロファクトリとも 呼ばれている。これらの生産システムのメリットは、(1 ) 親環境的側面、 (2)経済的側面、(3 )技術的側面、 (4) 作業環境的側面などがあげられている 1)。 これら多数のメリットを有するデスクトップファクト リには多様なアプローチが存在する。自走式のミニチュア ロボットの開発と応用などは、その例である 2,3ベ 電 磁 石 と圧電素子を組み合わせた自走式の機構と、それらに搭載 する精密作業用アクチュエータについて述べている。筆者 らはデスクトップファクトリ用のミニチュアロボットを

1

愛知工業大学工学部電気学科

2

愛知工業大学工学部機械学科

3

附ナノ 研究してきた 5,6)。数センチメートルサイズのミニチュア ロボットがインチワームの原理に従い、あるいはインチワ ームと類似の原理に従いマイクロメートルレベル・ナノメ ートルレベルの微小変位を実現した。また、直線変位だけ でなく回転変位も可能であった。一方で、動作したミニチ ュアロボットの位置と姿勢を精度良く計測する必要があ り、筆者らはミニチュアロボットに位置計測素子 (PSD) を搭載する計測システムの構築を試みた7)。 本論文では、デスクトッフファクトリを目指したミニチ ュアロボットの制御手法と変位の計測結果について述べ る。この制御手法は従来のインチワームと異なり、圧電素 子の印加電圧制御のみによってミニチュアロボットを回 転させることが可能である。次章以降で、デスクトップフ ァクトリ用に開発中のミニチュアロボットの構造と回転 動作用制御信号を述べた上で、ミニチュアロボットの変位 計測方法について述べ、最後に実験結果について述べる。 2.ミニチュアロボット 本章では、筆者らが試作検討しているミニチュアロボッ トの構造および制御信号について述べる。ミニチュアロボ ットは3個の圧電素子により構成される。初期の段階では Y形に接続したタイプとム形に接続したタイプの両者に ついて検討したが、現在ではム形タイプのみを研究対象と

(2)

46

愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第

6

号,平成

16

No.6

2004

PiezoA

P

i

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o

B

ノち〆 /

PiezoC

E

1

1

Time Fig.2・Schematicdiagram of th巴controlsignals. に

EM2

Fig. 1: Photo of a miniature robot (bottom view). Three electromagnets (EM) and three piezoelectric elements (piezos) are used. している 5)。また、初期段階に製作したミニチュアロボッ トは 3個の圧電素子の接続点に電磁石を取り付けたイン チワームであった。インチワームは電磁石などの吸着力を 発生する素子と圧電素子などの変位を発生する素子を組 み合わせたアクチュヱータであるが、制御素子数が多くな る点が問題である。例えば、直線変位を行うためには 2 個の吸着素子と 1個の変位素子が必要になる。そのため、 現在では電磁石を用いない制御手法を検討している 8,9,10)。 これは被制御素子数を減らすことによる制御信号および 制御回路の簡略化を期待しているためである。 Fig.1はミニチュアロボットの写真である。長さ 10mm の圧電素子を正三角形状に接続しであり、全体の大きさは 直径28mmである。ミニチュアロボットの大きさは、使 用する積層型圧電素子の大きさに依存し、数cm程度の大 きさが適している。ミニチュアロボットの上部は光学素子 や工作ジグなどの搭載を前提とした平坦な円盤ステージ 状になっている。後述のPSDを用いたミニチュアロボッ トの位置姿勢計測では、このステージ上に位置計測用の PSDを搭載する。全体の質量は 40g程度であり、大部分 は円盤ステージの質量である。 ミニチュアロボットの回転動作用制御信号には三角波 を用いる。3個の圧電素子への印加電圧波形を Fig.2に示 す。これまでは圧電素子の急速変形を用いた方形波状の入 力信号を用いていた。圧電素子への印加電圧が急速に変化 するとき、すなわち圧電素子が急速に伸縮するときに慣性 が大きく変化し、ミニチュアロボットが変位する。微小な 変位の繰り返しによってミニチュアロボットは回転動作 を行った。この動作原理は、静止摩擦と動摩擦の聞の移り 変わりを利用しているため、動作が不安定になる傾向があ った。そこで、本論文では三角波信号を制御信号とした。 三角波を用いることによりミニチュアロボットを支える すべての脚は滑っている状態であり、すなわち、すべての 脚が動摩擦の状態であり、動摩擦は静摩擦と比較してばら つきが少ない。方形波を用いる場合も三角波を用いる場合 も、制御波形の位相を入れ替えることにより回転方向を逆 転させることが可能である。圧電素子への制御信号は、パ ーソナルコンビュータで作成し、増幅器を介して圧電素子 に印加される。 3.位置姿勢計測システム ミニチュアロボットの変位計測には様々な方法が提案 されている 11)。本論文では、 3個のPSDを用いたミニチ ュアロボット用計測システムについて述べる 7),PSDは 均一な光抵抗層を持つ光学素子で、一次元変位を計測する PSDは両端が電極となっている。光が照射された地点に 光電流が発生し、発生した電流は両端の電極方向に流れる。 発生する電流は光の強度に比例し、両電極から流出する電 流は抵抗層の長さ、すなわち光の照射点と電極間距離に反 比例する。したがって、両電極から流出する電流量を計測 することにより、光の照射地点が求められる。具体的には、 PSD上の中心をゼロとした場合の光照射点の座標は、両 端の電極からの流出電流11,12 を用いて次式で表される。 x

=

(1H2)/(Il+12) ( ーi 、 、 , ノ ミニチュアロボットの位置と姿勢は、空間的に等角度間 隔におかれた 3個のレーザが定める座標系によって与え

(3)

120 100 80 (a) e-displacement 60 Time (s) 40 20 80 ~ 70 -.s60 ~ 50 ~ 40 ~ 30 0. i :S20 10 0 0 Y , A X χ ﹄ 句 、 、

、、

、 、

、、

1 1 1

a

o

100 80 60 40 20 -D.1 (

e

-D.2 ) 主-D@ .3 E ~ -D.4 ' " E45 0 -D.6 Fig. 3: Coordinates ofthe measurement system. Three lasers determine the origin司 Time (s) 一也7 (b) x-displacement られる。レーザの交点を原点として、 y軸の負の方向に置 1.2 1 ( E -.s0.8 H Z

E

0.6 Q)

"

i

0.4 ω

0.2 そのレーザから 120度の等角度 間隔に遺かれた2個のレーザを用いる。それぞれのレーザ かれた 1個のレーザと、 光線が3個のPSD上に照射され、PSD上のレーザスポッ トの位置をもとに、ミニチュアロボットの中心座標が求め られる。ミニチュアロボットの位置 x,yと姿勢。は、 PSD 上のレーザスポットの位置x1,x2,x3を用いて次の式で表 120 100 80 60 Time (s) 40 20

される。 (c) y-displacement

(

2

)

ハ U PJ o p し ¥ t B E E -J 3 目 X 一 + 一 X 2

3 十 一 J -X 一 3 x , J I l l -¥ = X Fig. 4:Rotational and linear displacement atf=10 kHz. y=i=(ZIー刈cosθ .J3 ットの位置と姿勢に変換すると、 Fig.4が得られる。 60 秒間、反時計方向に回転し、その後の60秒間、時計方向 に回転させた。初めの60秒間で反時計方向に 80mrad回 4. 実験結果 転し、続く 60秒間で時計方向に 60mrad回転した。同時 に直線変位 (x軸方向に最大-0.6mm程度、 y軸方向に最 実験では圧電素子への印加電圧の最大値を 50Vとした。 大1.0mm程度)が生じていることがわかる。同様に制御 使用した圧電素子の特性より、最大で0.25μm伸びる。制 周波数を1kHz, 100 Hzとした場合の結果を Fig.5とFig. 御周波数は10kHzとした。制御入力は右左回転用の入力 6に示す。制御信号に従った回転を行っていること、制御 信号を1秒間与えた後に、制御信号の位相を変更し、逆方 信号の回転方向を逆転することにより、回転方向も逆にな ることがわかる。回転動作の制御信号を逆転させるこ 3個の PSDの出力である PSD 表面上のスポット位置を、式(2)を用いてミニチュアロボ 向に 1秒間回転させた。

(4)

4

8

愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第

6

号,平成

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No.6

2004

12 ~ 10 r o L E 8 ) +' C E 6 ω 亙c.4 ~ G 20 40 60 120 Time(s) 80 100 (a) e-displacement 1 2 3 4 5 6 nunununununU 4 4 4 4 4 4 ( E E ) H C ω E ω 0 2 a ω

一 。

--{).07 --{).08 Time(s) (b) x-displacement

14 0.12 (

EO1

) 3008 E ~ 0.06 m 晋0.04 0 0.02 20 40 60 80 Time (s) 100 120 (c)

y

-

displacement Fig. 5・Rotationaland linear displacement at f=l kHz とにより逆になること、変位量も概ね等しいことがわかる。 しかしながら、回転と同時に直線変位が生じていることが わかる。 Fig.5のx軸方向の変位は最大 0.07mm、y軸方 向の変位は最大0.12mm、Fig.6においては、ノイズの多 い波形であるが、前者がー0.008mm、後者が0.008mm程 度である。回転変位と直線変位の変位量は概ね制御周波数 に比例しているが、今後はより多数のデータを収集し、制 御周波数と変位量に関する詳細な検討を行う必要がある。 入力制御波形を三角波とした制御は、従来行われてき た方形波を用いた制御と比較して良好な動作が行われる。 ~ 1 吋 コ 伺 L -E0.8 +' C

E

0.6 ω 主c.0.4 ω 0 0,2 2 4 6 8 1 2 0 0 0 0 0 1 引 叩 引 引 4 引 ( E E ) H Z O E ω o m 一 色 E O 4 2 1 8 6 4 2 0 2 4 1 1 0 0 0 0 0 0 0 nMnununununυnunMnu O 0 0 0 0 0 4 4 ( E E ) パ 主 ∞ E

。 。 伺 一

a E O 1.2 20 60 Time (s) 80 100 120 40 (a) e・displacement 0,002 Time(s) (b) x-displacement Time(s) (c) y-displacement Fig. 6: Rotational and linear displacem巴ntat f=100 Hz. これは、方形波を用いた場合には静摩擦と動摩擦の両者が 影響するが、三角波を用いた場合には静摩擦の影響を受け ず動摩擦のみに支配されるためと考えている。動摩擦は速 度の影響を受けにくい一定値と考えられるが、静摩擦は微 視的な速度の影響を受け方形波状の入力に対しては試行 毎の差が大きいためと予想、される。 ミニチュアロボットの中心座標の例を Fig.7に示す。 制御開始時の座標を原点とし、 Fig,4の場合の中心座標を 示した。 Fig.4と Fig.7より、ミニチュアロボットは直線 上を往復していることがわかる。原点より出発し、最大で

(5)

1報 )J、精密工学会誌、 Vo1.59,No. 6, pp. 1007-1012, 1993 0.8 ( E E ) U C ω E ω 0 2 a ω 一 方 ﹀ 淵脇大海、庄司裕一、T.Chomchana、青山尚之、「顕 3. 0.6 微作業用 xyθ小型自走機械の開発(第 1報)J、精密 0.4 工学会誌、 Vol.63, No. 3, pp. 403-408, 2002 0.2 青山尚之、新野弘司、「小形自走機械群による超精密 4 生産システム(第3報)J、精密工学会誌、 Vol.67, No. 11,pp. 1792-1796,2001 -0.1 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 X displacement (mm) -0.6 -0.7 加藤治奈、早川和明、鳥井昭宏、植田明照、「圧電素 5.

Fig.

T

Center ofthe robot at f=

1

0

kHz.

子と電磁石を用いた XY8アクチュエータj、電気学 Xニー0.8mm,y=1.0mm程度の地点まで移動していること Vo. 1l19-C, No. 1, pp. 57-62ラ1999 会論文誌C、 がわかる。ただし、原点より出発したミニチュアロボット 鳥井昭宏、加藤治奈、植田明照、「電磁石を用いた小 6. は原点に戻ることができない。この点に関しでも、より詳 VoJ 形自走アクチュエータ」、電気学会論文誌 C、 細な検討が課題として残る。 120-C, No. 1, pp. 40-45フ2000 川根祐輔、鳥井昭宏、道木加絵、植田明照、 IPSDを 7 まとめ 5. 搭載したミニチュアロボットの位置姿勢計測」、電気 学会論文誌C、EIS、VoJ.123, No司 12,pp. 2152-2159, 本論文では、デスクトップファクトリ用に開発中のミニ 2003 チュアロボットの動作について述べた。ミニチュアロボッ A. ToriiフR.Fukui, A司 Ueda,“A miniature robot for a 8 トの構造と計測方法を述べた上で、ミニチュアロボットの rotary stage driven by on/off controlled pi巴zoelectric 回転動作の計測を繰り返し、計測結果について述べた。ミ international eusp巴H 3rd the of Proc 己Jements", ニチュアロボットは3個の積層型圧電素子を正三角形状 conferenceフ Eindhoven,the NetherJands, pp. 159-162, に接続した簡単な構造である。ミニチュアロボットには3 May, 2002 個の位置計測用 PSDを搭載した。各 PSDにはレーザ光 Ueda,“Linear A. Doki, K Fukaya,

y

.

Torii, A. 9 線を照射し、光線のスポット位置に基づいてミニチュアロ displacement of a miniature robot using on/off controlled ボットの位置と姿勢を求めた。実験条件の下では、 1秒間 eusp巴H th巴 of Proce巴d 巴lements"ラ pl巴zoeJectric の変位量は1mradから 80mrad程度であった。回転変位 mt巴rnationaltopicaJ conference, Aachen, Germany, pp と同時に直線変位が生じた。直線変位の変位量は、 8μm 105-106ラMay,2003 から 1mm程度であった。今後は回転中心保持用の案内の

A. Torii, Y.Fukaya, K. Doki, A.Ueda,“Motion of a 10.

導入や、視覚情報を用いた回転中心保持用の制御アルゴリ

miniature robot using three piezoelectric elements ズムなどを検討し、導入する予定である。 controlled by r巴ctangularvoltage

J.of robotics 本研究は、愛知工業大学総合技術研究所プロジェクト共 and m巴chatronics,Vol. 15, No. 6, pp. 602-608, 2003 同研究の一環として実施しました。関係各位にお礼を申し 上げます。 ILED 岩田宗之、高橋英男、佐々木健、高野正晴、 11. 灯台を用いた移動ロボット用位置姿勢検出システ 文 献 ム」、精密工学会誌、 Vol.61, No.ll, pp. 1579-1583, 平 成 16年4

30

日)

(受理

1995 岡崎祐一、「マイクロファクトリ」、精密工学会誌、 Vol. 68, No. 4, pp. 491-494, 2002 1.

参照

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