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白金耳ご購読者各位

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Academic year: 2021

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Vol.29, No.2(平成 20 年 2 月号)

白 金 耳

平成 20 年度講習会のご案内 “白金耳ご購読のご案内” 今月の定期講習会 ごあんない 坂本 雅子 ばくと姫とばくとおやじの知識箱 −納豆菌− −血液寒天培地の組成− −発熱について− 山下 亘 谷本 理香 戸田 宏文 和泉 多映子 バイキン Quiz (敬称は略させていただきました) 今月の定期講習会は 2月16日(土)あべのメディックス 6 階研修室 で開催いたします。

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あ ん な い

講習会

テ− マ :『外来呼吸器感染症の抗菌薬治療』 −ガイドラインと適正治療を中心に− 講 師 :中浜医院 院長 共 催 :ファイザー株式会社 連絡先 :財団法人阪大微生物病研究会 坂本雅子 E-mail : [email protected] 日 時 :平成 20 年 2 月 16 日(土) 14:45∼16:30 会 場 :あべのメディックス 6階研修室 参加費 :会員 500 円、非会員 3000 円(会員証を御持参下さい) 主 催 :大阪府臨床検査技師会 学術部 微生物検査部門 大阪大学微生物病研究所非常勤講師 中浜 力 先生 この十年ほどの間に、外来感染症における耐性菌の増加に は著しいものがある。ペニシリン耐性肺炎球菌や耐性インフ ルエンザ菌そしてキノロン耐性淋菌の増加に止まらず、今や 小児のとびひの 30%は MRSA 感染であり、さらにはキノロン 耐性肺炎球菌も出現して、臨床上の大きな問題となっていま す。そして多くの研究により、これら耐性菌の増加には抗菌 薬の過剰投与が関与していることは明らかです。しかし今後、 耐性菌に有効な “スーパー抗菌薬”が開発される期待は低 く、よって我々臨床医は現在ある抗菌薬を、今まで以上に上 手く使っていくことが求められています。地球環境を守るた めには、まず自分の “ごみの分別”から始めることが大切 であるように、臨床医も「耐性菌を増やさない」という社会 的責任を自覚し、今にも増して、かぜ症候群や肺炎治療に際 しては各種ガイドラインを遵守して、抗菌薬の適正使用を行 うべきです。当日はこの問題に関する、最近のトピックスに ついてもご紹介いただきます。皆様奮ってご参加ください。

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『白金耳』の送付に関して

春暖の候、読者の皆様にはますますご清栄のこととお慶び 申し上げます。 さて、平成19年度の『白金耳』の年間購読は3月号まで となっております。つきましては、平成20年度以降も 引き続き御購読頂けますよう御願い申し上げますとともに、 下記にお申し込み方法を御案内申し上げます。 なお、お申し込みが無い場合は、3月号をもちまして送付を 中止させていただきます。何卒、宜しく御願い申し上げます。 記

1. 平成20年度 Vol.29 No.4 ∼ Vol.30 No.3

『白金耳』年間購読料(送料込み) 3,000 円 2. 複数冊分の送付を御希望される方は、送料の都合により年間購読料が 異なります。お手続き前に御確認ください。 3. 郵便振込は、郵便局にて下記の必要事項を御記入の上、お振込みを御 願いいたします。郵便振替払込受領証を領収書に替えさせて頂きます。 4. 御購読継続の方で、所属変更、住所変更等がある方はお知らせくださ い。 口座番号:00940−3−141751

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平成 20 年度微生物検査部門定期講習会予定

院内感染対策の必要性に後押しされてか、微生物検査の重要性、特殊性、 専門性が見直されるようになってきました。しかし一方で DPC の導入、保険 点数の改正などの影響で、検査室の体制のみならず、内容、質、コストがこ れからも問われる時代です。微生物検査部門では、本年度も正確な技術の伝 承と、時代に適し臨床のニーズに答えられる微生物検査室、微生物担当技師 を目標とするべく、各種講習会を企画しています。皆様、奮ってご参加くだ さい。 《定期講習会予定》 今年度は臨床の先生方から、それぞれの専門領域での感染症の話をご講演 頂き、改めてそのニーズに答えられているかを皆さんとともに考えていく機 会を増やしたいと思います。 ●呼吸器感染症 日時:平成20年4月22日(火) 18:30∼20:00 ●腸管感染症 日時:平成20年5月27日(火) 18:30∼20:00 ●泌尿生殖器感染症 日時:平成20年6月24日(火) 18:30∼20:00 ●血流感染症 日時:平成20年9月25日(木) 18:30∼20:00 《基礎講座》 どちらも初心者必修です。 (講義編) Ⅰ.ゼロからの塗抹鏡検 日時:平成20年6月5日(木) 18:30∼20:00 Ⅱ.ゼロからの培養同定検査 日時:平成20年6月12日(木) 18:30∼20:00 Ⅲ.ゼロからの薬剤感受性検査 日時:平成20年6月19日(木) 18:30∼20:00 《実習編》 細菌を中心とした微生物検査の基礎実習を行います。 日時:平成20年7月19日(土)∼7月21日(月・祝日)

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納豆菌

Bacillus subtilis var natto、Bacillus natto

済生会茨木病院 谷本 理香 納豆菌とは? 納豆菌と細菌学的に性質が変わらない菌に枯草菌があります。納豆菌も枯 草菌も毒性のないグラム陽性、胞子形成菌です。1997 年に枯草菌の全ゲノ配 列が解明されました。納豆菌は枯草菌と非常に似た性質を持っていますが違 いあります。ナットウキナーゼを産生するのは納豆菌だけで、納豆菌は納豆 菌ファージというウイルスに冒されます。 枯草菌も納豆菌も、胞子を形成するという性質があり、納豆菌の胞子は適 当な温度と水分と栄養がある環境下では発芽し増殖します。ところが増殖に 適した環境が失われると子孫を残すために胞子を形成します。この胞子には ナットウキナーゼもビタミン K も含まれていません。 納豆の起源は? 納豆の誕生にはさまざまな説がありますが、いずれにしても「煮豆」と「藁」 の出会いがきっかけだったと考えられています。 弥生時代から、日本には大豆も藁もあったことから(藁は竪穴式住居に敷 き詰められていた)、この時代はすでに納豆が食べられていた可能性があり ます。記録に出てくるものとしては、藤原明衡の『新猿楽記』(1286 年)が 最初のようです。その話の主人公の女性は食べることと酒を飲むことが大好 きで、さらには今で言うゲテモノ喰いでした。そのゲテモノを列挙し箇所に 塩辛納豆が出てくるそうです。 納豆の名前の由来? 納豆という名前は、寺の納所(台所)で作られてことに由来するといわれ ています。肉食が禁じられていたお坊さんたちにとって、納豆は非常に重要 なタンパク源でした。納所で大豆を原料に作るから[納豆]。その他、「煮豆

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を神棚に供えたところ、しめ縄に付着していた納豆菌の働きで納豆になった。 神に納めた豆で納豆」という説もあります。 納豆の種類は? 日本の納豆には大別して 2 種類あり、糸を引く納豆と、塩辛納豆(寺納豆) と呼ばれる糸を引かない納豆があります。糸引き納豆は納豆菌による無塩発 酵であり、塩辛納豆は麹菌で発酵させ、塩を加えます。それぞれ風味も違い、 消化の良いのは糸引き納豆、味噌の原型調味料として使われるのが塩辛納豆 です。 ねばる納豆「糸引き納豆」 ・ 丸大豆納豆…原料の大豆の大きさにより分類される 大粒納豆…大豆の風味とコクがしっかり生きて、納豆独特の味わいを 楽しめる 小粒納豆…粒が小さいほど食べやすく、味も香りもマイルドに 極小粒納豆…納豆粒がご飯になじみやすく、喉越しの良さが魅力。風 味も際立つ 黒豆納豆…黒大豆(黒豆)の風味と歯ごたえを生かした、ひと味違っ た納豆 ・ ひき割り納豆…大豆をくずした状態で煮て発酵させるクセのない味わい ・ 五斗納豆…主に山形県の特産物で、ひき割り納豆に麹と塩を加えて熟成 させた、なめ味噌風 ・ 干し納豆…糸引き納豆を干してネバネバ感を消した保存・携帯食。塩や 削り節を加えることも ねばらない納豆「塩辛納豆」 ・ 大徳寺納豆…京都特産の塩辛納豆(寺納豆)。大豆を麹や塩を使い発酵さ せ天日でパラリと仕上げる ・ 浜納豆…静岡県・浜名湖名物の塩辛納豆。徳川家康が浜名の大福寺に命 じて作らせたのが由来とも その他(アジアに広がる納豆)

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・ テンペ…インドネシアの伝統食品。大豆をテンペ菌で発酵させる。軽い チーズ風 ・ 豆鼓…中国伝統の発酵調味料。日本の塩辛納豆のルーツ。味噌のような コクのある風味 納豆の栄養 1、 栄養価が高い 2、 消化率が高く栄養量が多い 3、 米飯と同時に摂取するとタンパク価が向上する 4、 豊富なビタミンが含まれている 5、 循環器への作用→コレステロール低下作用(リノール酸)、血栓溶 解作用(ナットウキナーゼ) 6、 消化管系への作用 納豆 50g の中には腸内の乳酸菌を増やす納豆菌が 500 億個、ビタミン K2 が栄養所要量の 3∼5 倍、食物繊維 3g など、様々な有効成分が詰まっている。 便通の改善にも効果が期待できる。血栓予防効果のあるナットウキナーゼや 骨を強くするビタミン K2 の含有量は発酵が進むにつれて大きくなる。納豆 の賞味期限は一般に製造日から 8∼10 日だが、効果をより高めたいならば、 賞味期限ぎりぎりくらいに食べるのがよい。 ナットウキナーゼとは? 納豆は蒸し煮にした大豆に納豆菌を加えて発酵させたもので、ナットウキ ナーゼはこのナットウ菌が産生するネバネバ成分の中にある酵素。倉敷芸術 科学大学教授の須見洋行氏が 1987 年に発見した。 血栓は血管に詰まると心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす。血栓を溶かす ナットウキナーゼの働きは桁外れで例えば医薬品であるウロキナーゼと比べ ると、納豆 1 パック(約 100g)には約 20 万円ものウロキナーゼに匹敵する 効果があるという。また、ウロキナーゼは注射薬だが、ナットウキナーゼは 納豆を食べることでも効果を発揮する。効果の持続時間が長いものが特徴で、 血栓溶解薬の注射は 4∼20 分ほどあるのに対し、ナットウキナーゼは 4 時間 後に効果が最大となり、その後 6∼8 時間は効果が持続し、特に夜食べるこ とによってその効果を最大限に生かすことができるといわれています。

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納豆がワーファリンに与える影響? ワーファリンは肝臓において凝固因子の一つであるプロトロンビンの生成 に必要なビタミン K の働きを阻害することによって抗凝固作用をしめします。 したがってビタミン K を多く含む食品を摂取することによりワーファリンの 作用を減弱させる可能性がでてきます。納豆には 100gあたり約 345μg のビ タミン K が含まれます。また納豆菌が腸内でビタミン K を産生します。(一 般に腸内細菌はビタミン K を産生しますが、納豆菌は細菌の中でも特にビタ ミン K 産生能力の高いBacillus subtilisに属しています)したがって納豆 を 1 回摂取しただけでトロンボテストの値を変動させる可能性があります。 凝集 デスカルボキシン プロトロンビン プロトロンビン フィブリノーゲン トロンビン フィブリン 血栓 ビタミン K ワーファリン なぜ西日本では納豆を食べない人が多かったのか? 納豆を好んで食べるのは、東京・茨城・福島・宮城などの関東以北であり、 西日本ではあまり食べられていませんでした。納豆は煮豆を藁(ワラ)に包 んで、糸が引くまで適度に保温して作ります。こうした作業は雪の深い米作 地帯で多く行われ、魚・野菜などに代わるタンパク源となっていました。 納豆は低コストでできる上、身体に必要な栄養が豊富にあることが体験的 に知られていたため、広い地域で製造され好んで食べられてきたのです。 一方、気候が温暖で、瀬戸内海などから魚がいつでも手に入る西日本では 納豆を作る習慣がなく、それが「納豆を食べない」要因になっていたと考え られます。 参考文献 全国納豆協同組合連合会 納豆 PR センター 納豆料理で元気百倍 著:坂本廣子 坂本佳奈 創森社

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血液寒天培地の組成について

近畿大学医学部附属病院 戸田 宏文 はじめに 血液寒天培地は最も使用頻度の多い培地の一つです。各社から数種類の血 液寒天培地が発売されており、それぞれ特徴的な集落を形成します。今回、 国内で発売されている 6 社の改良が加えられた血液寒天培地の組成について 調べてみました。 ① 日本ベクトン・ディッキンソン(株):ヒツジ血液寒天培地(K) ② 栄研化学(株):ポアメディア®羊血液寒天培地 M58 ③ 極東製薬(株)バイタルメディア NHM‐Ⅱ血液寒天培地(ヒツジ) ④ コージンバイオ(株):“KBM”ヒツジ血液寒天培地 ⑤ 日水製薬(株):ニッスイプレート羊血液寒天培地 EX ⑥ 日本ビオメリュー(株):BM ヒツジ血液寒天培地 (/1000ml) ①社 ②社 ③社 ④社 ⑤社 ⑥社 カゼイン‐スイ消化ペプトン(g) 14.5 ― ― 15.0 ― 12.5 大豆‐パパイン消化ペプトン(g) 5.0 ― ― 5.0 5.0 2.5 ミートペプトン(g) ― ― ― ― ― 5.0 ペプトン(g) ― 10.0 15.0 ― 13.0 ― 塩化ナトリウム(g) 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 硫酸マグネシウム(g) ― ― 4.0 ― ― ― トリスヒドロキシメチルアミノメタン(g) ― ― 3.0 ― ― ― ニコチン酸アミド(g) ― ― 0.8 ― 1.0 ― リン酸水素カリウム(g) ― ― 0.8 ― ― ― 発育因子(g) 2.5 ― ― ― ― 3.0 ウシ心臓浸出物(g) ― 0.5 ― ― ― ― 消化肝臓末(g) ― ― 2.5 ― ― ― 酵母エキス(g) ― ― 5.0 ― ― ― β‐NAD(g) ― ― ― ― 0.1 ― ビタミン K1(g) ― ― ― ― 0.005 ― 脱繊維ヒツジ血液(ml) 50 50 50 50 50 50 寒天(g) 14.0 15.0 15.0 15.0 15.0 15.0 pH 7.3 7.4 7.3 7.3 7.3 7.3

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あるメーカーでは血液寒天培地でありながらヘモフィルスや淋菌が発育可能 な培地もあります。では、スタンダードな血液寒天培地の条件とは? ① いわゆる血液寒天培地に発育しなければいけない菌は発育する。発育し てはいけない菌は発育しない ② 正しい溶血反応(α・β・γ)を示す ③ A、B、C、G 群の溶血レンサ球菌がコロニー形態、溶血の強さから区別 できる ④ オプトヒン、バイトラシン感受性検査に使用できる ⑤ 黄色ブドウ球菌はβ溶血を示す

⑥ Streptococcus milleri group はカラメル臭のあるコロニーを形成する ⑦ 腸球菌は溶血(α・β)反応を示さない ⑧ 肺炎球菌が 3 つのタイプのコロニーに形成する(S 型、R 型、ムコイド 型) ⑨ CAMP テストで B 群レンサ球菌の推定同定ができる ⑩ 発育のために NAD を必要とする菌種は発育しない ⑪ 酵素活性による同定試験に使用できる ⑫ マックファーランドの濁度と生菌数が相関する ⑬ 炭酸ガス培養しても赤血球が溶血しない ⑭ 培養菌を冷蔵保存、72 時間培養しても菌は死滅しない ⑮ 肺炎球菌とブランハメラの混合菌で両菌がバランスよく発育する 自施設で使用している血液寒天培地にはどのような菌は発育して、どのよう なコロニーを形成するか把握していると思います。今一度、自施設で使用し ている血液寒天培地の基本的な性能評価をしてみてはいかがでしょうか。き っと新たな発見があると思います。 参考文献 1. 各メーカー製品要覧 2. 日本ベクトン・ディキンソン(株)ホームページ

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「発熱」について

市立堺病院 和泉多映子 感染症の原因検索に際して、基礎疾患や症状でよく記載されるものに、「発 熱」があります。今回はこの発熱について、学んでみたいと思います。 <発熱とは> 発熱(fever)とは、何らかの原因で体温調節中枢が障害され、体温が正 常よりも高いレベルに維持される状態を言う。 <体温の調節機構> 体温は、視床下部の前部にあり、熱の放散を増加させる“温熱中枢”と、 後部にあり熱の産生を増加させる“寒冷中枢”とのバランスによって、一定 の温度に設定されている。後述のような外因性あるいは内因性の発熱物質が 作用すると、“寒冷中枢”が熱の産生に働く。熱の産生には、必要最小限度 の新陳代謝による基礎代謝に加えて、筋肉の緊張・収縮が加わって体温の上 昇に働く。急激な体温の上昇に先行する悪寒戦慄は、骨格筋が不随意に収縮 と弛緩を繰り返してふるえが起こるもので、激しい熱産生を伴う。甲状腺ホ ルモンは、末梢組織の新陳代謝を高め、アドレナリンはグリコーゲンの分解 を介して熱産生に促進的に働く。 一方、体温が発熱中枢のセットしたレベルを超えると、温熱中枢が働い て輻射、伝導、対流、蒸発などの物理的作用を介して放熱が起こる。具体的 には発汗が亢進し、皮膚表面から汗が蒸発することで熱が体から奪われるも ので、1g の水分の蒸発で約 0.5kcal の熱が奪われることになる。 <発熱の病態生理> “外因性発熱物質”である細菌、ウイルスなどが体内に入ると、好中球 や単球-マクロファージなどが反応してその排除に働くが、そのときインタ ーロイキン 1(IL-1)や IL-6、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン-γな どの“内因性発熱物質”が産生・放出される。これらが視床下部のプロスタ

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グランジン E2(PGE2)産生を増加させ、体温調節中枢のレベルを高温側にセッ トすることによって、熱産生が高まり発熱することになる。アスピリンなど の解熱薬は、PGE2 産生を抑制して体温セットレベルを下降させ解熱に働く。 また脳出血などでは、物理的刺激によって体温調節中枢が障害されて著明な 高熱をきたすことがある。 <体温の測定と平熱> 最近、体温の測定には電子体温計や鼓膜式体温計も用いられているが、 従来の水銀体温計による計測が標準法である。腋窩の体温が最も低く、口腔 ではそれより 0.1∼0.2℃高く、直腸温でも 0.2∼0.5℃高い。通常、体温は 早朝が最も低く、午後2∼5時ごろが最大となると考えられている。また平 熱は小児では高く(37℃くらい)、高齢者では低い(35∼36℃)。 日本人の腋窩体温の正常平均値については、36.89±0.342℃との報告が あり、一般に 37℃以上が発熱と考えられている。しかし健常成人でも平熱が 高い人もおり、女性では月経周期に伴って高い人がいることから、特に病的 でなくとも 37.5℃程度の上昇がみられることもあることに注意すべきである。 一般に 37℃以上 38℃未満を微熱、38℃以上 39℃未満を中等度発熱、39 度以 上を高熱とよぶ。 <熱型> 熱発の推移を経時的に追って熱型をとらえることによって、診断に役立て ることができる。(図1) ・ 稽留熱…熱が持続的に上昇し、日差変動が 1℃を超えないもので、大葉 性肺炎、腸チフス、発疹チフス、脳炎の極期でみられる。 ・ 弛張熱…日差変動が 1℃を超え、しかも最低でも正常体温に戻らない発 熱で、敗血症、化膿性疾患、血液疾患、膠原病、腸チフス解熱期、薬物ア レルギーなどでみられる。 ・ 間欠熱…日差が 1℃以上で、発作時に急激に発熱し、短時間で急激に正 常体温まで解熱する発熱で、敗血症、粟粒結核、悪性リンパ腫などでみ られる。 ・ 周期熱…マラリアで典型的にみられる周期的な発熱である。 ・ 波状熱…無熱期と有熱期が交替して不規則で波状的な発熱を繰り返すも ので、ブルセラ症や回帰熱でみられる。ホジキン病では 6 日間持続する発熱 と同じくらいの解熱期を繰り返し、ペル・エプスタイン熱とよばれる。 ・ 二峰熱…発熱が一度下がり、再び上昇するもので、デング熱、麻疹、泉 熱でみられる。

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・ 分利性解熱…発熱が数時間で急激に下がる解熱パターンをいい、大葉性 肺炎などでみられる。 ・ 渙散性解熱…発熱が 2∼3 日で徐々に平熱に下がる解熱パターンで、猩 紅熱などでみられる。 図1 熱型 稽留熱 37 38 39 40 41 ℃ 36 0 1 2 3 4 5 6 7 8 病日 弛張熱 37 38 39 40 41 ℃ 36 0 1 2 3 4 5 6 7 8 病日 間欠熱 37 38 39 40 41 ℃ 36 0 1 2 3 4 5 6 7 8 病日 周期熱 37 38 39 40 41 ℃ 36 1 2 3 4 5 6 7 病日 波状熱 36 37 38 39 40 41 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 病日 ℃

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分利性解熱 36 37 38 39 40 0 1 2 3 4 5 病日 ℃ 渙散性解熱 0 1 2 3 4 5 病日 36 37 38 39 40 ℃ <発熱原因の探索> 臨床的には、感染症などの炎症性の発熱か非炎症性の発熱かの鑑別が重要である。 典型的な炎症であればその部位に発赤、腫脹、疼痛、圧痛などの所見を認めるこ とが多いが、症状がはっきりしないこともある。病歴、熱型とともに、咽頭腫脹、 リンパ節腫脹、発疹、項部硬直、呼吸音、心雑音の有無などの身体所見が重要で、 白血球数、CRP、および赤血球沈降速度(赤沈)などの検査所見、胸部 X 線写真 などが診断に役立つ。 非炎症性の発熱としては、膠原病、白血病、悪性リンパ腫、その他の固形腫瘍、 甲状腺機能亢進症、貧血などで微熱から中等度の発熱がみられ、脳出血で高熱が みられることがある。また、ヒステリーなどの精神的要因によって発熱がみられ ることもある。 38℃以上の発熱が 3 週間以上つづき、医療機関での適切な検査によっても診断が つかないものを“不明熱(FUO)”という。入院しての精密検査によって隠れた感 染症がみつかったり、膠原病や肉芽腫性疾患、悪性リンパ腫が潜んでいたり、薬 物アレルギーであったりする。 (資料:メディカル・サイエンス・インターナショナル 『一目でわかる 病態生理』)

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大阪市立大学医学部附属病院 山下 亘 【問題】私の名前はシアノバクテリア(藍色細 菌)です。私の特徴を下の中から選んでくださ い、どーれだ? 1.わたしは、発酵によって乳酸を産生する嫌気性の細菌の総称で、学名に基づいたも のではない。ヨーグルト、乳酸菌飲料、漬け物などの発酵食品の製造に利用される。 病原性はほとんどなく、一部の乳酸菌は腸などの消化管(腸内細菌)や膣内に常在 して、他の病原微生物から生体を守り、恒常性維持に役立っていると考えられてい る 2.わたしは、真正細菌の一種であり、光合成によって酸素を生み出すという特徴を持 つ。単細胞で浮遊するもの、少数細胞の集団を作るもの、糸状に細胞が並んだ構造 を持つものなどがある。水中に広く分布し、一部は湿った地上に発生する。 夏場 に発生するアオコのなかにはシアノバクテリアが大量に発生した結果引き起こされ るものもある。この中には毒性を持つ種も含まれる。ネンジュモ属のイシクラゲな どは湿った地上に、キクラゲのような姿で発生する。食用にすることもできる。ア クアリウムではその独特のにおいやベタベタした外見で水槽内を蔽い尽くすことな どから忌み嫌われる「コケ」の一つであり、硝酸が多すぎると大量発生するとされ る。対策としてメダカ目の魚に食べさせることがある。しかし他のコケ類とは違い 草食魚が興味を示さない場合も多い。 3.わたしは、カニガラやエビガラ等の甲殻類に含まれるキチン質と呼ばれる物質を好 むものもある。このキチンはキチナーゼという酵素によって分解され、糸状菌等の 病原菌の活性を抑制する効果があり、農業や園芸において EM ぼかし等の肥料に大 量に用いられている。特に冬など寒い季節や落ち葉の下の寒い場所を好む。竹林な ど多くの場所に生息している。わたしは、特に抗生物質を生産する菌が多いので重 要である。抗生物質生産菌の大部分が放線菌に属し、特に Streptomyces 属(スト レプトマイシンの名の由来)に多い

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【答え】2 観光と自然破壊は現代社会のかかえる問題の一つです。 ある世界遺産にも登録されている所で、コウモリの住む洞 窟が観光化と生態系維持が問題となっています。 コウモ リは、一般的に人家に住み着くコウモリが人の家に入って くるようになってから非常に長い歴史と伝統があるにもか かわらず、日本では病気の元になったという事例はないようです。コウモリの寄生 虫を研究している人には「コウモリそのものを見ても何だか見分けがつかないが、 寄生虫を見ると何コウモリだかわかる」そうで、コウモリをめぐる他の生物の流れ がそんなに広くないことを示しているのかもしれません。つまり、コウモリには特 有な病気や寄生虫の世界があり、日本では人とコウモリの共通の病気が見つかって おらず、人との接触の無い生活環では問題になってこなかったということなのかも しれません。 しかし、自然や野生生物観察がブームになる中で、様々な自然観察会、エコツア ーがおこなわれ、自然の、例えば洞窟に住むようなコウモリがいる環境の中へ人が 入っていくことは、過去になかった未知の病気に接触することになります。観光誘 致を進めつつ、生態系を傷つけない自然観察ツアーが企画されたらいいですね。 鳥と同じようにはばたいて、自由に空を飛ぶことができる哺乳動物はコウモリだ けです。暗い不気味なイメージのコウモリですが、まんまるの目がかわいいと手を 出すと、その獰猛さに驚かされます。コウモリが安心して飛べる自然がいいですね。 坂本雅子 2008.2.13. 【白金耳】 Vol.29. No.2. 2008.(平成 20 年 2 月号) 発行日:平成 20 年 2 月 13 日発行 発 行:大阪府臨床検査技師会 学術部 微生物検査部門 表 紙:井邊 幸子 発行者・編集:坂本 雅子(財団法人 阪大微生物病研究会) 〒565-0871 吹田市山田丘 3-1 TEL: 06-6877-4801 e-mail: [email protected] 許可なく転載および複写はご遠慮下さい

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