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専門医 とが地域における 糖尿病医療連携パス を構築し これを推進することが求められている 糖尿病連携手帳 は医療連携を円滑に推進するためのツールとして 糖尿病専門医 かかりつけ医と糖尿病患者を結ぶ役割として 現在活用されている また 患者の教育ツールとしても有用である 一方 糖尿病予備群や糖尿病初

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シェア "専門医 とが地域における 糖尿病医療連携パス を構築し これを推進することが求められている 糖尿病連携手帳 は医療連携を円滑に推進するためのツールとして 糖尿病専門医 かかりつけ医と糖尿病患者を結ぶ役割として 現在活用されている また 患者の教育ツールとしても有用である 一方 糖尿病予備群や糖尿病初"

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高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部

医療情報化に関するタスクフォース

「どこでもMY病院」糖尿病記録に関する作業部会報告書

平成24年5月 「どこでもMY病院」糖尿病記録作業部会

1. 糖尿病の現状と作業部会設置の経緯

(1) わが国における糖尿病診療のIT化の現状 わが国の国民医療費は少子高齢化や生活習慣病患者の増加等により8年連続で 増加し、平成 22 年度の概算医療費は過去最高の36.6兆円に達した。食生活の欧 米化や日常の身体活動度の低下によって現代人の疾病構造は変化し、国民医療費に 占める生活習慣病に係る医療費は約3割にまで拡大した。また、死亡原因の約6割 は癌や心血管疾患であり、特に心血管疾患の大きな要因の1つが糖尿病である。 一方、糖尿病の有病者数は増加の一途をたどり、合併症を持つ患者数の増加にも 歯止めがかかっていない。わが国では、「21世紀における国民健康づくり運動(健 康日本21)」をはじめとして様々な取組みがなされてきたが、生活習慣病に関す る課題についてはさらなる対策を講じ、社会全体で推進することが求められている。 糖尿病は多くの場合、自覚症状がないかあっても軽いために、患者が自らの病状 の悪化を認識することが難しい。糖尿病が合併症を引き起こし、「視力の低下 (糖 尿病網膜症)」や「手足の先の痺れ (糖尿病神経障害)」などの症状が起こってから、 患者が初めて自覚症状に気付くことも少なくない。 従って、糖尿病は早い段階で発見し、患者自らが糖尿病に関する正しい知識や疾 病管理の方法(運動療法や食事療法)について理解し、自ら生活習慣改善を行うこと が重要である。 糖尿病性大血管障害(脳卒中や心筋梗塞など)は、境界型の時期から始まってい る。また、糖尿病末期腎症は、10~20年にわたる糖尿病管理不良の帰結である が、ひとたび人工透析が導入されると生涯これが継続する。糖尿病の治療は糖尿病 と診断された後、早い段階から患者と共に医師の管理下におき、チーム医療によっ て適切な疾病管理を行うことが重要である。 現在の糖尿病診療おいては、重症化の防止、すなわち、糖尿病性細小血管障害及 び大血管障害(動脈硬化性疾患)の発症・進展の阻止のために「かかりつけ医」と 参考資料1-1

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2 「専門医」とが地域における「糖尿病医療連携パス」を構築し、これを推進するこ とが求められている。「糖尿病連携手帳」は医療連携を円滑に推進するためのツー ルとして、糖尿病専門医・かかりつけ医と糖尿病患者を結ぶ役割として、現在活用 されている。また、患者の教育ツールとしても有用である。 一方、糖尿病予備群や糖尿病初期の患者については、生活習慣の改善など個人・ 患者自らが行う治療が中心となるが、数か月に一回の医師や医療スタッフによる指 導のみでは十分ではない。個々人が自らの健康状態を把握し疾病管理を行えるよう な仕組みを構築することが求められている。 情報通信技術(IT)は、このような課題を解決する手段として、非常に有効で ある。ITによって、医療従事者の活動を支援でき、また、患者・個人に対して、 より効果的な医療サービスを提供することを可能にする。既に一部では、携帯電話 に血糖値等の検査結果を保管し閲覧できるサービスも開始された。しかし、このよ うな技術やサービスを真に定着させるためには、基盤整備が必須である。 「どこでもMY病院」糖尿病記録に関する作業部会では、有識者による計4回の 検討を行い、その提言を当報告書にまとめた。 (2) 「どこでもMY病院」糖尿病記録に関する作業部会設置まで 平成22年5月11日、第53回高度情報通信ネットワーク社会推進本部(以下 「IT戦略本部」)で決定した「新たな情報通信技術戦略」において、『全国どこで も自らの医療・健康情報を電子的に管理・活用することを可能にする「どこでもM Y病院」構想』が示された。「どこでもMY病院」構想については、IT戦略本部 企画委員会から指示を受けた、有識者により構成される「医療情報化に関するタス クフォース」で検討が行われ、他の具体的な取組である「シームレスな地域連携医 療の実現」、「レセプト情報等の活用による医療の効率化」、「医療情報データベース の活用による医薬品等安全対策の推進」と共に、平成23年5月に「医療情報化に 関するタスクフォース報告書」として取りまとめた。 「どこでもMY病院」構想は、医療機関等から個人へ提供された情報を活用する ことを目標としており、その実現には情報を提供する医療機関等の協力が必要とな る。医療機関等から個人へ情報を提供する際には、機器の設置・改修等の負担や新 しい情報を提供する際には、医師等の医療従事者においても情報の登録作業などの 新しい負担が発生する。このため、この構想では、負担が発生する医療機関等にと ってもメリットが明確な「初診時に有用と考えられる情報」、「地域医療において課 題となっている生活習慣病等の慢性疾患の悪化抑制に対して有用と考えられる情 報」を取り扱うサービスとして想定すべきとし、具体的なサービスとして電子版「お 薬手帳」や「個人参加型疾病管理サービス」が挙げられた。

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3 「個人参加型疾病管理サービス」で対象とする疾病については、平成23年9月 に開催された「第11回医療情報化に関するタスクフォース」において、「患者個 人の関与が疾病の悪化抑制等に効果があること」、「患者のQOL向上が期待できる こと」、「重症化予防による医療費適正化効果が大きいと期待できること」、「情報通 信技術の活用効果が期待できること」といった留意点を考慮し決定すべきとされた。 具体的な検討対象としては、患者数が多く、生活習慣の改善が重要で「糖尿病連携 手帳」など個人が参加した疾病管理に実績がある「糖尿病」をモデル疾病とし作業 部会で検討、その検討結果を踏まえて他の疾病や今後の展開について検討すること とした。

2. 「どこでもMY病院」糖尿病記録の策定

(1) 位置付け 「どこでもMY病院」構想とは、個人が自らの医療・健康情報を医療機関から受 け取り、それを自らが電子的に管理・活用することを可能とするものである。これ により、各個人は、過去の自身の医療・健康情報を医療機関等で提示し、当該情報 を踏まえた医療サービスを受けることができるとともに、この医療・健康情報を通 じて自身の現在の健康状態を把握することによって、自らの健康管理に活用するこ とができる。 また、医療機関等は、個人の過去の医療・健康情報の提示を受けることで、患者の 現状について理解を深めた上で、診療を行うことができる。 「どこでもMY病院」糖尿病記録は、この考え方に基づき、個人が自らの医療・ 健康情報を医療機関等から受け取り自己管理に活用し、また、医療機関等に提示す ることで糖尿病及び糖尿病合併症の発症・進展の阻止に役立たせるものである。 具体的に扱う情報としては、食事量や運動量、日常の血圧等の「自らが登録する 情報」や血液臨床検査データ等の「医療機関から提供される情報」、健診結果等の 「健診センター・医療機関等から提供される情報」が挙げられる。個人がこれらの 情報を受け取ることで、個人が自らの健康状態を把握することや医師に診療の参考 となる情報として提示することで糖尿病の疾病管理に活用することが可能となる。 (2) 対象とする疾病と病期 糖尿病の病型は、その多くが自己免疫により発症しインスリン治療が必須の「1

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4 型糖尿病」、悪い生活習慣等が誘因となって発症する「2型糖尿病」、そして「その 他の糖尿病」に大別できる。糖尿病の発症要因としては、遺伝的要因と環境要因が 重要であるが、特に糖尿病の大部分を占める2型糖尿病では、生活習慣が環境因子 として重要である。 また、糖尿病の疾病管理は、血糖値は健常人よりも高いが糖尿病の診断には至っ ていない「境界型」、糖尿病と診断されたが糖尿病合併症がないかあっても軽度な 病期、進行した合併症がある病期との間で、以下の点について違いがある。 <「境界型~糖尿病の診断~合併症発症時」における疾病管理の特徴> ・ 「食事療法」や「運動療法」等、生活習慣改善に向けての患者教育といった患 者が自ら行うことが求められる疾病管理が中心となる。「食事療法」等は、3 か月程度の間隔で患者が自ら行っている生活習慣改善を通じて医師が間接的 に疾病管理を行う。 ・ 「HbA1c」や「血糖」等、糖尿病に至った多くの患者と共通した項目を指標に、 疾病管理を行うことができる。 <「合併症発症後~重症化」における疾病管理の特徴> ・ 糖尿病の合併症として、例えば腎症の場合では、「薬物療法」、「インスリン療法」 や「人工透析」など医師の管理下において行われる治療が中心となる。「インス リン療法」などは1か月程度の間隔で診療が行われ、医師の管理下において厳 密に実施される。 ・ 合併症の種類、症状、重症度は患者毎に差があるため、病状や病期に応じて疾 病管理を行う際の検査項目に違いがある。 「どこでもMY病院」糖尿病記録は、自らの医療・健康情報を活用することで、 糖尿病及び糖尿病合併症の発症・進展を阻止できる可能性が高い「境界型~糖尿病 の診断~合併症発症時」の個人・患者を主な対象者とする。 一方、医師の管理下において適切な管理が行われている糖尿病重症患者「合併症 発症後~重症化」においても、過去の健診データや検査値等を継続的に記録するこ とで経時変化を把握し、健康管理への意識を高めること等が期待できる。「どこで もMY病院」糖尿病記録では、これら重症患者においても自らの医療・健康情報を 活用可能とするために、合併症等の疾病管理に必要な情報を病期に合わせて追加で きる拡張性を持たせている。 (3) 「どこでもMY病院」糖尿病記録データセットで取り扱う情報の構造とデ

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5 ータ項目 「どこでもMY病院」糖尿病記録では、個人に関する基本情報である「共通基本 情報」、医療機関等から提供される「臨床データ」と「追加データ・コメント」、健 診センター等から提供される「健診データ」、個人が自ら登録する「自己管理デー タ」から構成される「どこでもMY病院」糖尿病記録データセットを扱う。薬剤等 の情報については、電子版「お薬手帳」が併用されることが想定されているため、 「どこでもMY病院」糖尿病記録としては取り扱わない。以下に各データに関して、 詳述する。 ① 共通基本情報 「共通基本情報」とは、氏名、性別、生年月日等の個人を識別するための情報 とする。なお、患者の ID など電子的連携に必要となる情報等については「どこで も MY 病院」構想の具体化において検討が必要である。 「共通基本情報」項目 項番 データ項目名 1 氏名 2 性別 3 生年月日 ② 「臨床データ」 「臨床データ」とは、医療機関から提供される情報のうち、糖尿病の治療全般に必 須な情報(日本糖尿病学会及び日本医療情報学会による「糖尿病医療の情報化に関 する合同委員会」で決定された「ミニマム項目」)を基本とし、合併症の早期発見 のために必要な検査値(「AST」、「HDLコレステロール」、「尿中アルブミン」 等)など、個人が自らの健康状態を把握することや、糖尿病の治療時に医師へ参考 情報として提示して、疾病管理に活用するための項目が含まれる。具体的データ項 目については、以下の点について留意して策定した。 (「臨床データ」の留意事項) ・ 糖尿病の治療だけでなく、汎用的に利用できること及びなるべく多くの個人・ 患者が全ての情報を持っていること(情報の網羅性)を考慮し、特殊な検査を必 要とせずに測定可能な項目とする。 ・ 新たに情報を提供する医療機関側の作業や費用の負担を考慮し、必要最低限か つ十分な項目とする。 ・ 本項目は、医療機関から一次的に提供される情報項目として策定した。例えば、 腎症の悪化状況が把握できる「eGFR」は「血清クレアチニン」から二次的に算

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6 出できるため本項目から除外した。しかし、患者が自身の健康状態を把握する 際に必要となることもあるため、患者が情報を閲覧する際には、「臨床データ」 で提供される項目だけでなく、必要に応じて算出した結果も表示することとす る。 「臨床データ」項目 項番 データ項目名 実施情報 検査日、受診した医療機関 ① 身長 ② 体重(検査時) ③ 診断年齢(年代別:10 歳未満、10 歳代、20 歳代と 10 歳ごとに選択) ④ 血糖 ⑤ HbA1c ⑥ 血圧(収縮期/拡張期) ⑦ 血清クレアチニン ⑧ 尿蛋白(-、±~+、++以上) 9 尿中アルブミン ⑩ LDL コレステロール 11 HDL コレステロール 12 中性脂肪 ⑬ ALT 14 AST ⑮ 網膜症(あり、なし、不明) 16 神経障害(あり、なし、不明) 17 歯科受診(あり、なし、不明) ※1 年以内の定期的 ⑱ 喫煙(あり、なし、過去にあり) ※番号に丸を記載した項目は、日本糖尿病学会・日本医療情報学会の合同委員会で ある、「糖尿病医療の情報化に関する合同委員会」が策定した「ミニマム項目」 ③ 「追加データ・コメント」 「追加データ・コメント」とは、医療機関等から提供される情報で必要に応じて 追加される項目である。具体的には、(ア)合併症の発症後に患者が必要とする情 報(医科歯科連携の情報や糖尿病網膜症の情報、超音波検査/CT/MRI等の画像 データ等)、(イ)治療時の医師やコメディカル等によるコメントが挙げられる。 「どこでもMY病院」糖尿病記録は「境界型~糖尿病発症~合併症発症時」の個 人・患者を主な対象としているが、蓄積した情報は、病状が悪化した患者や合併症

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7 が進行した患者でも活用できることが想定される。このような糖尿病重症患者にお いても必要な情報を適宜追加でき、患者や医師が診療等(状態の把握や医療連携な ど)に役立てられるようにすることで、「どこでもMY病院」糖尿病記録を活用する ことが可能となる。また、追加する情報は、医療連携等にも使われることが想定さ れるため、検査値などのデータだけでなく、医師等が治療や疾病管理等に必要なコ メント等、テキストベースの情報等を記載する項目も含まれる。具体的な項目等に ついては、今後該当する情報を扱う学会等の検討を通じて決められていくことが期 待される。以下に「追加データ・コメント」の例を記載する。 「追加データ・コメント」 例:医科歯科連携 項番 データ項目名 実施状況 検査日、受診した歯科名 1 歯肉炎(G)・歯周炎(軽度(P1)・中等度(P2)・重度(P3)) 例:糖尿病網膜症 項番 データ項目名 実施状況 検査日、受診した医療機関 1 網膜症ステージ 2 光凝固術有無 3 硝子体手術有無 ④ 「健診データ」 「健診データ」とは、健診センターや医療機関等から提供される特定健康診査や 人間ドックのデータ等であり、個人・患者が自らの健康状態を把握するための情報 である。医師へ提示する際には、医師が診療中に参考情報として利用できる情報と する。 例:「健診データ(特定健康診査)」 項番 データ項目名 実施情報 検査日、検査機関 1 身長 2 体重 3 腹囲 4 尿糖 5 尿蛋白

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8 6 中性脂肪 7 HDL コレステロール 8 LDL コレステロール 9 空腹時血糖 and/or HbA1c 10 ALT 11 AST 12 γ-GTP ⑤ 「自己管理データ」 「自己管理データ」は、体重や血圧など日常生活の情報を個人・患者自らが登録 するデータである。医師へ提示する際には、数字の羅列としてデータを見せるので はなく、経時変化などがわかるようにグラフ化して表示する等、医師が参考情報と して扱うことができる情報とする。 例:「自己管理データ」 項番 データ項目名 実施情報 測定日時 1 体重 2 血圧 3 運動量 4 食事量(カロリー) (4) 複数の情報提供元からのデータの取扱い 「どこでもMY病院」糖尿病記録では、自らが登録する情報や医療機関等様々な 情報提供元からの情報を個人・患者が管理・活用することとなる。そのため、検査 値の計測方式、計測条件や表示値の種類(例えば HbA1c の場合 JDS 値と NGSP 値等)、 誤差範囲等が一定でない事が考えられる。例えば、医療機関等で測定した血圧は、 平常時に近い状態での測定値であることが想定されるが、家庭で測定した際には、 入浴直後や運動後等の理由により平常時の数値でないことも考えられる。そのため、 「どこでもMY病院」糖尿病記録に情報を登録する際には、提供元を明確にするこ とが必要である。一方で、複数の主体から提供されるデータ、例えば家庭や医療機 関のどちらでも測定が可能な体重や血圧、血糖値等については提供元にかかわらず、 あわせてグラフ化し経時変化を見ることができるような標準的なフォーマットを 用いることや、表示する際には提供元が判別できる形でグラフ化する等の仕組みが 必要である。

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9 (5) データの仕様やフォーマット 平成22年度「医療情報化に関するタスクフォース」において「どこでもMY病 院」構想で扱う情報の電子化の検討に際し、データフォーマット等が検討された。 具体的には、以下の4点の留意事項を示した。 (ア)個人への情報提供のためのシステム整備を、既存のシステムの改修により行 うことを可能とする等、提供者の負担を軽減する既存のデータフォーマット を参考とすること。 (イ)提供側のデータ作成と個人によるデータの蓄積を容易かつ安価に実現する ため、汎用的なフォーマットへの変換を担保するデータ互換性を確保するこ と。 (ウ)提供者により記載が異なり、個人のデータ管理が困難とならないよう、記録 される情報の記載項目を標準化するとともに、項目の内容の記述に使用する コード体系などを明確にすること。 (エ)(ア)~(ウ)の実現に当たり、バージョン管理を行う等の将来的なバージョ ンアップに対応できる方策について考慮すること。 「どこでもMY病院」糖尿病記録においても、上記の点について留意すべきであ り、具体的には、「臨床データ」においては電子化を所管する学会等で定められて いる仕様を活用することや「健診データ」においては特定健康診査等の既に標準化 されている仕様(フォーマットや記載項目)を活用すること、個人・患者が自ら登録 する「自己管理データ」についても標準化団体等が策定している標準仕様やガイド ラインを活用することが有用である。 また、既存の仕様等を活用するだけでなく、情報の提供形態を考慮し、例えば携 帯電話を使って QR コードを取り込むことが可能なようにデータ項目の順番を固定 することでデータの情報量を少なくする等の検討も必要である。

3. 「どこでもMY病院」糖尿病記録のユースケース

(1) 具体的なユースケース 「どこでもMY病院」糖尿病記録のユースケースとしては、「個人による健康管 理等への活用」、「専門家による治療や疾病管理等への活用」が挙げられた。本作業 部会で示された具体的なユースケース及びメリットは以下の通りである。 ① 個人による健康管理等への活用

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10 ・ 医療機関での検査の結果を携帯電話等を使って迅速に把握することができる。 ・ 医療機関での検査の結果、健診結果や自己測定の健康データを横断的に活用し て自身の健康状態を把握できる。 ・ 電子データをグラフ化することで経時変化を把握しやすくなる。検査値が許容 範囲外になっている場合や未検査の場合にアラートを出す等、リスクマネージ メントができる。 ・ 継続的に活用することを通じて、自身の健康管理意識が高まる可能性がある。 ・ 測定結果を自動的に取り込む等の省力化により、手書きするより楽に入力でき、 記入率の向上、より多くの患者の利用が期待できる。 ・ 定期的な受診のリマインドなど、治療を継続するための仕組み構築が期待でき る。 ② 専門家による治療や疾病管理等への活用 ・ 医師が患者の管理している情報(健康情報/健診情報)を治療の参考にできる。 ・ 他の医療機関で行っていた過去の診療情報を閲覧することで継続性のある治療 ができる。 ・ 健診後の保健指導において、医療機関での検査結果や自己測定の健康データを 参考にでき、受診を促す等、悪化防止に役立てることができる。 具体的な事例としては、以下が挙げられる。 (ア) 産業医による地域医療との連携における活用の例 産業医が、事業主健診の結果に加え、患者から提示された医療機関等での検 査結果等を参照することで、より的確な指導を行うための参考情報として利用 できる。 (イ) 歯科医師、薬剤師、介護従事者、コメディカル等による活用の例 (歯科医師による活用) 患者の健康状態を把握でき、歯周病等の歯科治療の参考にできる。 (薬剤師による活用) 薬局に勤務する薬剤師も患者の健康状態を把握でき、服薬指導等の際の参考 にできる。 (介護従事者による活用) 検査結果などを通して、個人の健康状態を把握でき日常の介護に活かすこと ができる。 (コメディカルによる活用) 検査結果や個人が管理している情報(健康情報/健診情報)を食事指導、運動

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11 指導等の際の参考にできる。 (ウ) 治療中断者や未受診者への対応策、及び地域連携/他科連携(歯科等)ツー ルとしての活用の例 現在の糖尿病患者のうち、治療を行っている者(30歳以上)は男性62. 6%、女性66.6%と推計されている(出典:平成 22 年国民健康・栄養調査)。 糖尿病治療が必要な患者の約4割強(約500万人)は、治療を中断している か若しくは未受診の状態となっており、何らかの対応が望まれる。その解決方 法の一つとして「どこでもMY病院」糖尿病記録を地域連携/他科連携のツール として活用することが考えられる。活用例として、以下の事例が挙げられる。 - 重度歯周炎を持つ患者の4割が糖尿病を発症しているという事例がある (出典:愛媛 Dental Diabetes 研究会資料)。歯周病を治療している歯科医 師が、診療時に「どこでもMY病院」糖尿病記録にある過去の検査データ(血 糖値等)を参照することによって、歯周病の症状から糖尿病の病状を推測し、 患者へ受診を促すことができる。 - 勤労者が事業主健診等の際に糖尿病予備群と診断されて産業医から受診勧 奨を受けることがあるが、産業医が対象者の居住地域の専門医等を把握し ていないため効率的な医療連携の実現が難しいことがある。そのような場 合に「どこでもMY病院」糖尿病記録を活用することで、健診等の医療・ 健康情報を地域の専門医等と共有することができ、治療中断者へのサポー トとなる。 また、「どこでも MY 病院」糖尿病記録を活用することにより、施設や職種を 越えた連携が可能となり、地域の医療に従事している潜在的な人材を活用した 地域一体となった糖尿病に対する医療を実現することが可能となる。 (2) 電子化によるメリットについて 「どこでもMY病院」糖尿病記録は、電子的に管理されている検査データ等の情 報をグラフ化し経時変化を把握しやすくする、必要に応じて検査結果から推定値を 算出する等の電子的な管理の特徴を活かした活用ができる。 また、「どこでもMY病院」糖尿病記録をより有効に活用する手段として、検査 項目ごとに管理目標値を設定・提示することが挙げられる。「どこでもMY病院」 糖尿病記録により蓄積された情報を表示する画面では、医療機関等から提供された 検査値等がグラフ化され、検査値ごとに定められた管理目標値(例えば、HbA1c であ れば8.0%等)との比較をビジュアルに把握できることや管理目標値を超えた場

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12 合にアラートを表示し受診につなげることも可能である。異常値でない場合でも、 患者への教育ツールとしての効果が期待できる。例えば、HbA1c(NGSP)について は、8.4%以上が異常値(コントロール不可)であるが、7.4~8.4%(可/不良) の患者や6.9~7.4%(可/コントロール不十分)の患者についても経過観察が必 要である旨を表示し、教育効果を期待できる。 専門医と地域の一般医との間においても管理目標値を設定することで、多数の患 者を診ている糖尿病専門医も重症化患者の取りこぼしが無くなることや、患者を安 心して一般医に任せることができる等、連携の実現が期待される。 電子的な管理の特徴としては、以下が挙げられる。 ・ 検査データ等をグラフ化することで時系列の変化を一目で把握することができ る。 ・ 検査結果から推算値を自動的に算出しBMIや eGFR など理解しやすく表示す ることで、患者や医師が病状等を容易に把握することができる。 ・ 管理目標値を設定することで、異常時にアラートを出すことができる。 ・ 患者が入力した検査値に対して説明等のコメントを返すなど双方向のやりとり 取り入れることで患者教育ツールとしても活用できる。 ・ 携帯電話等を常時携行することで常にアクセスできる。 ・ 扱う情報は電子化が可能な情報に限られるが多くの患者・個人が利用できる。 一方、携帯電話を持っていない等 IT を使いこなすことが困難な個人であっても「ど こでも MY 病院」糖尿病記録を活用することができるよう、紙で提供するなどの対 応も検討することが必要である。 (3) 既存の疾病管理ツール(各種手帳等)との関係 現在、糖尿病の疾病管理においては、「糖尿病連携手帳」を中心に患者の病状に あわせて「自己管理ノート」、「糖尿病眼手帳」等が活用されている。これらは、糖 尿病の病期に関わらず、「かかりつけ医」と「専門医」の連携を緊密にし、よりよ い糖尿病診療を円滑に行うために広く利用されている。記載されている内容は、医 療機関にて実施した検査の結果だけでなくコメディカルが記載した注意事項等が 含まれる。「どこでもMY病院」糖尿病記録は、前項に記載した通り経時変化を把 握可能な検査データ等、電子化によるメリットが明確な情報を扱う。一方、「糖尿 病連携手帳」等の紙による管理の場合は、数値化や指標化によるデータ化が難しい 医師やコメディカル等のコメント等を扱うことができ、またパソコンや携帯電話等 を必要としないためITツールが不得手な方でも利用できる。電子的な管理を行う 「どこでもMY病院」糖尿病記録と紙による管理が行なわれている「糖尿病連携手

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13 帳」等のツールはそれぞれの特性に応じて併用されることが望ましい。また、併用 する際にはデータを印刷して貼り付けるなど二重負担を避ける工夫が必要である。 また、個人が自らの調剤情報を管理している電子版「お薬手帳」についても、患 者が「どこでもMY病院」糖尿病記録を医師に提示する際に、電子版「お薬手帳」 をあわせて提示することで、より的確に医師が患者の状態を把握しやすくなる。こ のような電子版「お薬手帳」の併用が有効である。 (4) 地域におけるこれまでの取組との連携 従来より、①かかりつけ医機能の充実と病診連携の推進、②受診勧奨と事後指導 の充実、③糖尿病治療成績の向上を目標として「日本糖尿病対策推進会議」が組織 され、各種の糖尿病対策に関する活動を行っている。「日本糖尿病対策推進会議」 は、平成 24 年 4 月現在、日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会、日本歯 科医師会、健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、日本腎臓学会、日本眼科医 会で構成されている。また、各都道府県等の地域レベルでも糖尿病対策推進会議が 設けられ、地域の実情に応じて他の関係団体の参画を得て活動している。地域にお ける疾病管理等の糖尿病対策においては、各都道府県等の糖尿病対策推進会議を活 用することが有用である。

4. 「どこでもMY病院」糖尿病記録のワークフロー

(1) ワークフローの概要 「どこでもMY病院」糖尿病記録のワークフローは、①情報提供者(医療機関や 健診センター等)から個人に情報提供を行うフロー及び②個人が①により取得した 情報を管理・活用するフローから構成される。当章後段に述べるように、①及び② のフローにおいては、様々な情報提供ツール(2次元バーコード、ICカード搭載 携帯電話、ICカード、オンライン、タブレット端末、スマートフォン等)の活用 が考えられる。 実現にあたっては、大きな投資を行わずに電子化を行う等の目的で「既存のワー クフローを活用する場合」と、電子化のメリットをより活かすために「ワークフロ ーを発展させる場合」が考えられるが、それぞれの場合でより適切なツールを組み 合わせて活用することが考えられる。 (2) 医療機関から個人に情報提供を実現するにあたっての留意点 医療機関等から個人への情報提供は、平成22年度の「どこでもMY病院」構想

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14 の検討結果に従い、情報提供形態を必ずしも一つに限定する必要はなく、今後の普 及や将来の発展可能性を考慮し、複数の選択肢を準備し、自らの判断で1つ以上の 提供形態を選択できることする。情報提供側の導入コスト等を考慮すると、現在利 用可能な媒体の中での提供形態の選択肢は、当面は「2次元バーコード」、「ICカ ード搭載携帯電話」、「ICカード」、「オンライン」の4つが想定される。なお、将 来の技術の進展等に伴い、4つ以外に選択肢が増えることも念頭におくこととする。 また、導入に当たっては、現在、病院等で紙による検査値の提供が行われている 既存のワークフローを活用することで、比較的容易に電子的な情報提供を実現でき る。 ① 病院や診療所で行われている既存のワークフローを活用する例 病院等の自施設内に検査室のある医療機関では、患者の検体(血液等)を当日中 に検査し結果を患者へ伝える仕組みが構築されている。具体的には、診察室の医師 から出された検査オーダーは、オーダリングシステムを経由して即時に院内にある 検査室へ届く。検査室では、別途配送された検体の検査を実施し、その結果を診察 室へ返す。診察室で検査結果を受けた医師は、その場で検査結果を紙に印刷し、患 者へ結果を説明する。 このような既存のワークフローの中では、例えば以下の改修を行うことで実現す ることができる。 ・ QRコードを活用する場合 診察室にて医師が利用しているオーダリングシステム(クライアント側アプリ ケーション)において患者提供用検査結果の印刷機能に、検査結果が印字され た紙面の一部に検査結果をQRコード化したものを合わせて印刷する機能を追 加する。 ・ ICチップを活用する場合 診察室にて医師が利用しているパソコンにICカードリーダライタを接続し、 オーダリングシステム(クライアント側アプリケーション)の機能の一つとし て検査結果をICカードリーダライタへ出力する機能を追加する。 また、自施設内に検査室を持たない診療所等においても、検査を外注した検査機 関から医療機関への検査結果送付の際に、患者への情報提供を想定した形式にする ことで、比較的容易に電子的な情報提供を実現できる。 ② ワークフローを発展させる例(検査結果を電子的に通知する例)

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15 上記の方法は、情報提供者側の改修等の負担を軽減するため最低限の改修で対応 可能な例として示したが、情報提供者側の要望に合わせて、例えば診察室にて患者 が検査結果を紙で受け取った後に、患者の自宅でインターネットを介して検査結果 を取得する等、より利便性の高いワークフローも提供可能である。 自施設内に検査室のない診療所においては、検査日当日に患者へ検査結果を通知 することができない場合が多い。検査の迅速性は患者にとって有益であり、このよ うな問題に対処する方法として、医師と患者双方の同意のもと、診療所が検査を依 頼した検査機関から患者へ検査結果を迅速に送られる仕組みが検討され、実現され ることが望まれる。 (3) 健診機関等から個人への情報提供にあたっての留意点 健診情報については、既に特定健康診査が全国的に実施され、個人への紙ベース での情報提供も行われている。項目等については標準化され、標準的なフォーマッ トが定められていることを考慮し、既存の仕組みを活用することを検討すべきであ る。 (4) 個人による情報登録を促進するための留意点 標準化団体等により、自宅での測定結果を簡便に登録可能な標準化・ガイドライ ン策定が行われており、これらの既存の標準の活用を検討すべきである。 (5) 個人の情報の蓄積、管理を行う運営主体の留意点 情報の蓄積、管理を行う運営主体(「どこでもMY病院」の運営主体は、サービ スを提供する者ではなく、個人から提供を受けた個人情報を保管・管理する者を指 す。以下、同じ。)については平成22年度の「どこでもMY病院」構想の検討結 果に従い、個人情報取扱事業者であるとし、機微な医療情報を扱う場合については、 (ア) 医療機関等・保険者 (イ) 上記(ア)の機関から個人情報保護ガイドラインの規定に沿って委託を受 けた情報処理事業者及び ASP・SaaS 事業者 に限定すべきである。 (6) 個人から医療機関等への提示方法の留意点 蓄積した情報の個人から医療機関等への提示方法については、平成22年度の 「どこでもMY病院」構想の検討結果に従い、以下の3つの提示方法が例示された。 ・ 個人が自宅のパソコンで「どこでもMY病院」糖尿病記録のデータを自ら印刷 し、その紙を医師へ提示する。 ・ タブレット端末やスマートフォン等、持ち運び可能な情報端末を使って個人が

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16 診療時に、その場で医師へ提示する。 ・ 診療時に医師が医療機関の診察室に設置してある情報端末から個人の情報を閲 覧する。

5. 他疾病への展開

(1) 対象となりうる疾病 個人参加型疾病管理サービスの対象となりうる疾病は、患者数が多く、個人の自 助努力が重症化予防に大きく影響し、その効果がはっきりとしている慢性疾患であ ること、そして病状の管理のための臨床的パラメータ(検査値等)が明確であるこ とが考えられる。 (2) 取り扱うべき情報 ・ 「どこでもMY病院」糖尿病記録のデータセットとして挙げられている情報 は、グラフ化が可能であるなど電子化によるメリットが明確な項目等が中心と なる。他疾病へ展開する際に対象とすべき情報は、ある一定の期間での経時変 化を把握することが望ましい検査項目や、慢性疾患の悪化抑制に効果があると 思われる自己測定項目(例えば患者が日常的に自己測定した体重等)が望まし い。具体的には、次のような情報が想定される。 ・ 病状の把握(合併症の早期発見等)と重症化予防に必要な情報 - 自ら疾病管理をすることが有用な病期において自らの病状の把握に必要な 情報 - 患者が自らの健康管理(生活改善等)に活用可能な情報 - 上記情報は当該疾病に有意なデータ項目であることがエビデンスとして明 確であるもの ・ 測定が容易な情報 ・ 検査値などデータ登録の負荷が少ない情報 ・ 電子化によるメリット(グラフ化等)がある情報(経時変化を把握しやすい情 報:体重等の自己測定データ等) また、留意点としては、患者への情報提供に際しては患者が理解しやすいものに することや、情報提供側の負担を考慮して必要最低限の情報とするべきである。例 えば、シンプルな指標を用いること、グラフ化して経時変化が把握しやすい形にす ること、管理目標値との乖離状況をわかりやすく表示し、目標値を超えた時はアラ ートを出すこと等が考えられる。

(17)

17 (3) 情報の共通利用 他疾病への展開時には、「共通基本情報」の他、健診データや臨床データ等の一 部についても、複数の疾病で共通利用できるものがあり、患者自身の医療・健康情 報を効率的に活用できる。「共通基本情報」には、震災等の緊急時や救急時の利用 を想定し、既往歴やアレルギー情報を入れるべきとの意見があった。 また、調剤に関する情報は、患者が複数の疾病を持っている場合があることや当 該処方薬が複数の疾病に影響を及ぼす場合もあることから、電子版「お薬手帳」も 複数の疾病において横断的に利用されることが望ましい。 (4) システム構築のイメージ これまで、患者は「お薬手帳」だけでなく、疾病や病期に合わせて「糖尿病連携 手帳」、「血圧手帳」等を活用し、自身の医療・健康情報を治療に役立てていた。「個 人参加型疾病管理サービス」は、治療に有用な様々な情報のうち電子化することが 容易で意味があるものを疾病横断的に一括して管理することで自身の医療・健康情 報を活用する手段として発展していくと考えられる。 また、データベースの構築と利用に関しては、(3)で示したように同一の項目 のデータが複数の疾病で共通利用されることも考慮すれば、各疾病単独でのデータ ベースが構築され利用されるのではなく、複数の疾病用のデータベースが統合的に 構築され利用されることが望ましい。 データの利活用の面のほか、患者の動機づけを高めることを図り、サービスを普 及させるための取組が重要である。いかに患者にわかりやすく、使いやすく、興味 を持って活用してもらえるものにできるかについて、次の観点からの取組が考えら れる。 ① 理解しやすさの向上 個人参加型疾病管理サービスにおける患者への情報提供にあたっては、前述のよ うに患者が理解しやすい形で行われることが必要である。 例えば、患者に対する情報提供をパソコンの画面を通じて行うことを想定すると、 トップページの総合管理画面では健康状態を一覧で把握できる。そこでは、総合評 価と共に、疾病毎の主要指標の一覧を患者が理解しやすい形で表示することが考え られる。総合評価欄では、管理目標値を超えた項目についてのアラートを表示し、 受診等を勧めるメッセージ等を併せて表示することが考えられる。また、疾病毎の 主要指標の一覧では、単なる数値の表示だけではなく、患者が理解しやすい表現で のコメント(例えば、要精密検査や要注意等)も表示することが考えられる。 そして、トップページに続く疾病毎のページでは、検査数値の経時変化を表した グラフや疾病毎の検査結果の詳しい説明等を表示することが考えられる。

(18)

18 また、提示された医師が迷うことなく迅速にかつ情報を正確に把握することがで きるような仕組みであることが望ましい。 ② アプリケーションの充実 「個人参加型疾病管理サービス」では、「目標となる基準値はいくつか」や「実 施しなければならない検査は何か」等を通知する機能が搭載され、個人が疾病管理 を理解しやすくなることが期待される。現在、糖尿病等の慢性疾患患者向け紙媒体 等の様々な教育ツールと同様に「個人参加型疾病管理サービス」は教育ツールとし ての一面も持つ。サービスの継続的な利用を推進するためには管理するだけのツー ルではなく、教育ツールとしての要素を取り入れるなどアプリケーションの充実が 必要となる。このようなアプリケーションを充実していくことにより、「個人参加 型疾病管理サービス」を多くの方が継続的に利用していくことが期待される。 (5) 多様な連携のツールとしての発展 「個人参加型疾病管理サービス」は、「(3)情報の共通利用」で示した通り、ひ とつの疾病にとどまらず、患者の病状に応じて複数の慢性疾患を横断的に管理する ことで個人の健康状態を疾病横断的に管理できるよう発展することが期待される。 疾病横断的に管理された個人の医療・健康情報は、診療科間の連携に加え、保健指 導等を行うコメディカルや歯科医師・薬剤師・介護従事者との連携を含む地域の連 携や災害時等の緊急事態に、患者への継続的な医療を実現するためのツールとして も活用が可能である。このように「個人参加型疾病管理サービス」は今後個人が自 らの健康状態を把握するだけでなく、様々な連携のツールとしても今後発展してい くものと考えられる。

6. 検討の結果と今後の対応

本作業部会では、「どこでもMY病院」糖尿病記録として取り扱う具体的な情報 (データセット)及び具体的利用イメージ(ユースケース、ワークフロー)を検討 した。 取り扱う具体的な情報については、電子化のメリットが明確でかつ取り扱いが容 易なデータ項目であることを考慮し、データセットの構造とともに必要なものにつ いて具体的なデータ項目を取りまとめた。利用イメージについても具体的なユース ケースとワークフローの具体例を示したほか、他の疾病への展開についても留意点 を示した。 「どこでもMY病院」糖尿病記録データセットについては、今回の検討結果を踏 まえ、電子化や標準フォーマットの整備などについて実証事業等を通して引き続き

(19)

19 検討されることが望ましい。その際、継続的な利用を実現するため、ユースケース を明確にした上で、これまでの取り組みや連携の仕組みを活用し、「使いやすい」、 「分かりやすい」など電子化のメリットを最大限活かす方策を検討するべきである。 「どこでもMY病院」構想の実現には、今後とも関連府省庁の協力のもと、具体 化に向けた取組が必要である。

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20 「どこでもMY病院」糖尿病記録に関する作業部会 構成員 今村 聡 社団法人日本医師会 常任理事 小田 利郎 社団法人日本薬剤師会 常務理事 高本 誠介 社団法人日本糖尿病協会 専務理事 事務局長 古賀 龍彦 特定医療法人原土井病院 武田 純 社団法人日本糖尿病協会理事、 岐阜大学大学院 医学研究科 内分泌代謝病態学 教授 ○田嶼 尚子 社団法人日本糖尿病学会 常務理事、 東京慈恵会医科大学 名誉教授 冨山 雅史 社団法人日本歯科医師会 常務理事 中島 直樹 九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター 准教授 中野 智紀 社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 東埼玉総合病院 代謝内分泌科・地域糖尿病センター 林 道夫 NTT関東病院 糖尿病・内分泌内科部長 平井 愛山 千葉県立東金病院 院長 ○は、座長 (平成24年3月時点)

参照

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