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民事執行手続

第5章

1. 総論 2. 執行準備 3. 執行総論 4. 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行 5. 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行 6. 執行費用 7. 民事執行に関する不服申立て

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(3)民事執行法の構造 1) スタート(債務名義・担保権)とゴール(金銭・非金銭)   スタート     債務名義  第2章 強制執行           第1節 総則    ゴール     第2節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行       差押  ~  換価  ~  満足      第1款 不動産に対する強制執行       法 43条~111条      第2款 船舶に対する強制執行        法112条~121条      第3款 動産に対する強制執行        法122条~142条      第4款 債権及びその他の財産権に対する強制執行        法143条~167条の14      第5款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例        法167条の15~167条の16     第3節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行          不動産等の引渡し等の強制執行  法168条          動産の引渡しの強制執行     法169条          代替執行      法171条          間接強制      法172条          意思表示の擬制         法174条     担 保 権  第3章 担保権の実行としての競売等 法180条~195条          第4章 財産開示手続 法196条~203条

1.

総論

(以下、民事執行法を「法」、民事執行規則を「規則」といいます。) (1)民事執行の目的  民法や商法等の実体法は、権利そのものの発生・変更・消滅について規定 していますが、その権利が実現されないときに、どのようにすれば実現する ことができるかについては定めていません。  民法414条1項は、債務者が任意に債務の履行をしないときは、債務の性 質がこれを許さない場合を除いて債権者はその強制履行を裁判所に請求する ことができると規定しています。  しかし、裁判所にどのような強制履行をどのように請求するかまでは規定 していません。  この民法や商法等の実体法で認められた権利も、強制的に実現することが 保証されていなければ、いわゆる「絵に描いた餅」になってしまいますので、 民事執行手続が定められています。 (2)民事執行の種類 1) 強制執行  債務名義(判決、和解調書、調停調書、執行証書等)に基づいて行われる 私法上の給付請求権の強制的実現手続をいいます。 2) 担保権の実行としての競売  民法等で認められている担保権(抵当権等)の実行手続をいいます。手続 の開始にあたって債務名義は不要で、担保権の存在を証明する書面が必要と なる点に強制執行との違いがあります。しかし、それ以外については、強制 執行手続と大差はありませんので、強制執行手続の規定の多くが準用されて います。 3) 留置権による競売・形式的競売  共有物分割・限定承認の際の換価方法等に関する手続をいいます。優先弁 済権を実現するための競売ではなく、換価・清算を目的とするものです。

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2.

執行準備

(1)執行手続の開始  民事執行は、申立てに基づいて行われ、職権で開始されることはありませ ん(法2条)。また、判決手続と執行手続とは異なる手続ですので、判決が 確定した後、債務者がその債務を履行しないからといって、裁判所が職権で 強制執行を開始することはなく、債権者が申立てを行う必要があります。 (2)強制執行の開始 1) 一般的開始要件 ① 債務名義の存在  強制執行は私法上の給付請求権が存在していることが前提となります が、執行機関がその請求権の存否を調査した上で、強制執行手続を開始 するとなれば、迅速な執行を期待することができません。  そこで、強制執行によって実現されるべき請求権の存在及び範囲を証 明する公の文書を定め、この文書に基づいて強制執行は行われるものと し、また執行機関はこの文書が提出されれば、自ら執行債務の存在・範 囲を調査する責任を免れ、かつ調査してはならないものと定めました。 この請求権の範囲及び内容を公に証明する文書を「債務名義」といいま す。債務名義には以下のものがあります。(法22条) (2-14)      1号   確定判決      2号   仮執行宣言付判決 (2-15)      3号   抗告によらなければ不服申立てできない裁判      3号の2 仮執行の宣言を付した損害賠償命令      4号   仮執行宣言付支払督促      4号の2 訴訟費用額確定処分・執行費用額確定処分      5号   執行証書      6号   確定した執行判決のある外国裁判所の判決      6号の2 確定した執行決定のある仲裁判断      7号   確定判決と同一の効力を有するもの        和解調書・調停調書 2) 強制執行の分類 ① 金銭債権についての執行  不動産強制競売、強制管理、船舶執行、動産執行、債権及びその他の 財産権の執行があります。金銭執行は、直接強制の方法により行われ、 差押えをした上で、換価・管理をなし、その後金銭の交付、配当という 手続を経ることとなります。 ② 非金銭債権についての執行  不動産の引渡、明渡、物の引渡、意思表示等があります。非金銭執行 は、直接強制・代替執行、間接強制の方法により行われます。この他、 意思表示を求める請求権のように、現実の執行をすることなく、擬制に よって請求権の実現を図るものもあります。 3) 執行機関  執行機関とは、民事執行の実施を担当する国家機関で、現行法上は、執行 裁判所と執行官に限定されています(法2条)。 ① 執行裁判所  執行手続の中でも、不動産や債権に対する金銭執行等のように、その 財産上の権利関係について慎重な法律判断を必要とし、かつ差押や換価 を命ずる等観念的な執行処分によって行われる執行手続を担当します。 原則として地方裁判所に認められていますが、代替執行・間接強制にお いては、簡易裁判所・家庭裁判所・高等裁判所が執行裁判所となる場合 もあります(法171条2項、172条6項)。 ② 執行官  執行手続の中でも、物の引渡・明渡等のように強制力を伴った事実的 行為によって行われる執行手続を担当します。  (1-16-4)  執行官は、その手続において抵抗を受けるときは、抵抗を排除するた めに威力を用い又は警察官に援助を求めることができます(法6条)。 休日・夜間(午後7時から翌朝7時までの間)に執行する場合には、執 行裁判所の許可が必要となります(法8条)。執行官のする執行処分に 対しては、執行異議の申立てをすることができます。そして、執行異議 の申立てがなされた場合の手続は執行裁判所で進められます(法11条)。

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Ⅰ 執行文付与の一般的要件 ⅰ 債務名義が有効に存在すること ⅱ 債務名義の執行力が生じ、存続していること ⅲ 債務名義に表示された請求が執行可能であること Ⅱ 執行文付与の特殊要件 ⅰ 条件成就の執行文(法27条1項)  請求が債権者の証明すべき事実に係わっているときは、債権者は その事実の到来を証する文書を提出しなければなりません。なお、 債務者の不履行があった場合に関する過怠約款や失権約款がついた 請求権については、債務者の不履行の事実は、債権者が証明すべき 事実ではないため、条件成就の執行文は不要とされています。 (2-17-1、2) ⅱ 承継執行文(法27条2項)  当事者の死亡による相続、会社の合併、債権譲渡等当事者に承継 が生じた場合には、承継の事実を証する書面を提出し、承継執行文 の付与を受けなければなりません。 (2-17-3) Ⅲ 執行文が不要な場合  以下の債務名義については、迅速な執行を容易にするため、通常執 行文は不要となっています。但し、条件成就の場合や当事者に承継が 生じた場合には、執行文は必要となります。 ⅰ 仮執行宣言付支払督促(法25条但書) ⅱ 少額訴訟における確定判決(法25条但書) ⅲ 仮執行宣言付少額訴訟判決(法25条但書) ⅳ 金銭の支払、物の引渡、登記義務の履行その他の給付を命じた家 事審判書(家事審判法15条) ⅴ 家事審判法9条1項乙類に該当する事項を記載した家事調停調書 (家事審判法21条但書)  但し、家事調停において乙類事項の合意と一般民事に関する事項 についての調停が成立し、金銭又は物の給付に関する合意をした場 合には、金銭又は物の給付部分については執行文が必要です。子の 養育費の支払と離婚に伴う慰謝料の支払について成立した調書は、  また、これらの債務名義は正本でなければなりません(法25条)。従って、 正本でない場合は、正本交付申請を要します。  原本・謄本・正本・認証ある謄本の違いは下記のとおりです。 Ⅰ 原本とは、文書の作成者が一定の内容をあらわすために確定的なも のとして作成した文書をいいます。 Ⅱ 謄本とは、文書の原本の内容を原本と同一の文字・符号によって全 部完全に転写した書面で、原本の存在及び内容を証明する文書をいい ます。抄本とは、原本の一部のみを抜粋したものです。 Ⅲ 正本とは、広義では、謄本の一種で、特に法律の規定がある場合に 権限のある者により原本に基づいて作成される文書をいいます。原本 が法律上一定の場所(公証役場・裁判所)に保存され、その効力を他 の場所で発揮させる必要がある場合に、原本と同一の効力を有するも のとして付与される文書(公正証書正本・判決正本等)です。 Ⅳ 認証ある謄本とは、謄本のうち、権限ある公務員がその職務上の権 限に基づき原本と同一である旨の証明を付した文書(戸籍謄本・不動 産登記簿謄本等)です。 ② 債務名義に執行文が付与されていること(法25条本文)  執行文とは、その債務名義によって直ちに強制執行をしてもよいとい うことを証明する文言をいいます。債務名義が執行機関に提出されただ けでは、判決等が強制執行に適するものであるかどうかの判断、判決等 が後日取り消されていないかの判断、承継人と称する者が適法な承継人 であるか否かの判断を執行機関において行う必要性が生じ、そうなれば、 迅速に手続を開始することができません。 (1-16-2)  そこで、執行証書については、原本を有する公証人、それ以外の債務 名義については、事件記録が存在する裁判所の裁判所書記官において強 制執行に適するか否か、誰が誰に対して執行をすることができるのかを 調査させ、執行文を付与することになります(法26条1項)。具体的には、 債務名義の正本の末尾に「債権者 甲は、債務者 乙に対し、この債務 名義により強制執行をすることができる」という文言が記載されます(法 26条2項)。

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Ⅳ 執行文の再度付与・数通付与(法28条)  債権者が債権の完全な弁済を得るため、執行文の付された債務名義 の正本が数通必要であるときや執行文の付与された債務名義の正本が 滅失したときは執行文の再度付与等を受けることができます。この場 合、債務名義正本の交付申請も必要になります。また、債務者に対し て、執行文再度付与の通知がなされます(規則19条)。 (2-17-4) ③ 債務名義の送達  債務者に対する不意打ちを防止するため、債務名義の正本又は謄本は 予め、あるいは執行開始と同時に債務者に送達されていなければなりま せん。条件成就執行文・承継執行文が付与されたときは、それらの事実 を証明する文書の謄本も同時に送達する必要があります(法29条)。  従って、これらの送達証明申請を要します。 子の養育費の支払については執行力ある債務名義と同一の効力を有 しますので、執行文は必要ありませんが、慰謝料の支払については 執行文が必要です。しかし、このように条項が分けられていない場 合には、全部について執行文が必要となります。乙類事項の給付義 務と一般調停事項の給付義務とをあわせて記載した調停調書に基づ き強制執行する場合、乙類事項について執行文は不要ですが、一般 調停条項にだけ執行文をつけると、乙類事項については執行を許さ ないような誤解を与えますので、一括して執行文を付与するのが実 務の取扱いです。 ⅵ 意思表示を命じる債務名義 原  則 例  外 執行文付与 法25条本文  通常訴訟・人事訴訟    確定判決    仮執行宣言付判決  和解調書・調停調書  即決和解  抗告によらなければ   不服申立てできない裁判   訴訟費用額確定処分   執行費用額確定処分  執行証書 送達証明書 但書  少額訴訟   確定判決   仮執行宣言付判決  仮執行宣言付支払督促 ○ 家事審判法15条   家事審判書   13条+ 確定証明書 家事審判法21条1項但書  9条乙類事項家事調停調書 執行の種類による例外  意思擬制   判決確定・和解成立で意思擬制されるので、  執行文付与の余地なし       × ※        判決 +  確定証明書        和解調書 ※ 意思擬制の場合、判決確定・和解成立で意思擬制されるので、  送達証明も不要です。   承継執行文・条件成就執行文については、上記全ての場合に必要です。

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(3)執行文付与申立てと送達証明申請 1) 単純執行文付与申立て   裁 判 所        公 証 役 場 ど こ に 何   を い く ら 記録の存する担当部    作成した公証役場 債務名義正本       執行証書正本        委任状・印鑑証明書        資格証明書 300円(収入印紙)     1700円(現金) 正本交付申請       正本交付申請 1枚150円(収入印紙)   1枚250円(現金) 2) 送達証明申請   裁 判 所        公 証 役 場 ど こ に 何   を い く ら 記録の存する担当部    作成した公証役場        委任状・印鑑証明書        資格証明書 150円(収入印紙)     250円(現金) 3) 承継執行文・条件成就執行文付与申立て   裁 判 所        公 証 役 場 ど こ に 何   を い く ら どうやって 記録の存する担当部    作成した公証役場 債務名義正本       執行証書正本        委任状・印鑑証明書        資格証明書     承継・条件成就を証する書面及びその写し 300円(収入印紙)     1700円(現金)+1700円加算 承継・条件成就を証する書面写しの送達用     特別送達用郵券   送達手数料1400円        特別送達用郵便料金 送達証明申請手数料    150円      250円 承継・条件成就を証する書面写しの送達申請     送達証明申請も必要となる 2) 特殊な執行開始要件 ① 確定期限の到来にかかる場合  債務名義に記載された債務が確定期限付債務の場合、確定期限の到来 は執行文付与の要件ではなく、執行開始の要件ですので、期限の到来前 でも執行文の付与を受けることはできます。但し、不確定期限の場合に は期限の到来は執行文付与の要件となります。 ② 立担保を条件とする場合  例えば、次のような判決が出たとします。「主文 1.被告は原告に 対し金100万円を支払え 2.訴訟費用は被告の負担とする 3.本判 決第1項は原告が金100万円の供託の方法による担保を提供したときに 限り、仮に執行することができる」この場合に債権者が100万円の担保 を立てたことを証明する文書を提出したときに限り、強制執行手続を開 始することができます。なお、供託以前に予め執行文の付与を受けるこ とは可能です。 ③ 引換給付を命ずる債務名義  例えば、次のような判決が出たとします。「主文 1.被告は原告に 対し、原告が金100万円を支払うのと引き換えに別紙目録記載不動産を 引渡せ 2.訴訟費用は被告の負担とする」この場合に、原告が100万 円の現金を支払うという反対給付が執行開始要件です。原則として反対 給付の提供をせずとも予め執行文の付与を受けることができます。但し、 登記を命じる判決等意思表示を求める判決の場合には、反対給付の提供 をしたことを立証しなければ、執行文は付与されません。 ④ 代償請求  代償請求とは、例えば、「1.被告は原告に対し、別紙目録記載自動 車を引き渡せ 2.前項の強制執行が不奏効となったときは、被告は原 告に対し金100万円を支払え 3.訴訟費用は被告の負担とする」のよ うな判決をいいます。この場合、1項の自動車の引渡しという主請求に ついての執行で目的を達することができなかったことを証明した場合に (執行不能調書を添付等)、強制執行を開始することができます。

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3.

執行総論

(1)どこに(管轄)  専属管轄になります(法19条)。 (2)何を(必要的添付書類) 1) 委任状 2) 当事者の特定に必要な書類 ① 自然人  未成年者   法定代理権を証する書面(戸籍 民事訴訟法31条)   成年被後見人  法定代理権を証する書面(成年後見登記事項証明書  民事訴訟法31条) ② 法 人     代表権を証する書面(商業・法人登記事項証明書・代 表者事項証明書 法37条) ③ 法人でない社団・財団  代表権を証する書面(規約・代表者選任議事 民事訴訟法29条、37条) 3)その他、各執行に必要な書類 (3)いくら(費用) 1) 申立手数料   4,000円(申立事項1件につき)但し、執行官室申立の 場合は予納金を納めます。 2) 予納郵券   送達費用分 3) 本執行として嘱託登記を予定している場合、登録免許税 4) 本執行として執行官室申立てを予定している場合、予納金・執行実費 (4)どうやって(申立要領)  各地方裁判所により、提出方法に違いがありますので、管轄を確認後、各 地方裁判所のホームページ等で確認、又は担当部に問い合わせます。 4) 数通付与・再度付与申立て   裁 判 所        公 証 役 場 ど こ に 何   を い く ら 記録の存する担当部    作成した公証役場        委任状・印鑑証明書        資格証明書    債務名義使用中証明書等 正本交付申請分    1枚150円(収入印紙)   1枚250円(現金)    再度付与・数通付与の通知用    郵券       郵便料金 執行文付与申立分    300円(収入印紙)     1700円(現金) (4)強制執行開始後の当事者の承継 1) 債務者の承継  強制執行手続が開始した後に、債務者が死亡した場合には、従前の執行正 本に基づいて強制執行を続行することができますので、相続人に対する承継 執行文の付与を受ける必要はありません。この場合、債務者の相続人に対し て送達や通知を行う必要がありますが、相続人の存在が不明である等の場合 には、手続が遅延する場合もありますので、相続財産のため又は所在不明の 相続人のために特別代理人を選任することができます。 (2-18-3)  なお、執行手続は現に進行中である必要があります。つまり、不動産強制 競売開始決定又は債権差押命令が効力を生じ、動産差押、有体物の引渡や明 渡執行が着手されていずれも終了していないことが必要です。 2) 債権者の承継  執行開始後に申立て債権者に承継があった場合で承継人が強制執行の続行 を求める場合には、承継執行文の付された債務名義の正本を提出する必要が あります。

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となりますが、執行手続が取下げられた場合や、取り消しにより差押えの 効力が消滅すれば、処分行為も完全に有効なものとなります。 2) 金銭債権を差押えた場合以外においては、差押財産はこれを金銭化する 必要があります。民事執行法における換価は、差押財産を差押えた上で、 その財産について国家が行います。換価の方法には様々な方法があります が、一般的には売却の方法がとられます(法64条、134条、161条)。強制 管理における収益の収取や換価、債権執行における債権者の取立(法155 条)、債権転付、譲渡、債権管理等(法160条、161条)も換価の一種です。 3) 金銭執行において債権者の債権の満足は弁済金の交付・配当手続の実施 による配当によって行われるのが一般的です。民事執行法は債権者間にお いてその債権額に応じて債権者を平等に取り扱うという平等主義を維持す る立場をとりつつ、他の一般債権者の配当加入を制限している結果、差押 債権者が優先的に配当を受け得ることとなります。

4.

金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

(1)意義  金銭執行は、執行機関が債務者の財産を強制的に換価して、その代金をも って債権の満足に充てる強制執行のことをいいます。この強制執行は最も頻 繁に行われ、執行目的物も多種多様ですので、手続は複雑です。ただ、基本 を理解すればかなりの応用が効く手続でもあります。  金銭執行の手続は、対象となる財産の種類によって方法が異なりますので、 民事執行法は不動産・船舶・動産・債権・その他の財産権に対する執行に区 別して規定を置いています。  金銭執行は不動産の強制管理の場合を除いて、いずれも債権者の申立て、 債務者の財産の差押え、その財産の強制換価、弁済金の交付又は換価金の債 権者への配当(満足)という流れで手続が進みます。 1) 金銭執行における差押えとは、金銭執行の最初の段階の執行処分とし て、特定の財産を換価・回収の目的物として確保するために目的物を裁判 所が拘束状態におく行為をいいます。すなわち、執行裁判所が特定の財産 に対する債務者の事実上・法律上の処分を禁止することをいいます。金銭 執行の対象となる財産は債務者の責任財産ですが、法律上差押えが禁止さ れている財産があります。家財道具や一定範囲の金銭債権等がその主たる ものです。差押えに当たっては、請求債権額を超える超過差押え(128条、 46条2項、73条)や、差押財産の評価額が手続費用や先順位債権者の債権 額を超えないため、差押債権者の請求債権に対する配当がなされない場合 には、差押手続を進めることができないとする無剰余差押えの禁止(129 条、63条)の定めがあります。   債務者は差押えられた財産に対する処分権限を失い、国家が処分権限を 取得します。但し、その禁止の範囲は差押えに低触する範囲に限られます ので、差押えに低触する処分でも絶対的に無効となるのではなく、債権者 との関係で無効となるに過ぎません。   従って、処分禁止に反して債務者が処分行為をしても、執行手続はその 処分行為を無視して進められ、換価が終了すれば債務者の処分行為は無効

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2) どこに(管轄) ① 原則 債務者の普通裁判籍所在地の地方裁判所(法144条1項) ② 例外 差し押さえるべき債権の所在地(第三債務者の普通裁判籍所在 地)の地方裁判所(法144条2項) 3) 何を(必要的添付書類) ① 委任状 ② 当事者の特定に必要な書類+第三債務者の特定に必要な書類  債務名義作成後に氏名(商号)や住所(本店所在地)に変更が生じた 場合は、変更証明書として、住民票・戸籍・商業登記事項証明書が必要 になり、申立書に現在の住所・氏名、本店所在地、商号等と債務名義上 の住所・氏名、本店所在地、商号等を併記します。 ③ 執行力のある債務名義正本、送達証明書 4) いくら(費用) ① 申立手数料 一請求権 一債権者 一債務者 4,000円 ② 送達費用・通知費用 当事者+第三債務者 5) どうやって(申立要領)  当事者・請求債権・差押債権各目録を申立書に合綴の他必要部数、また、 当事者・第三債務者の送達・通知・回答用封筒の準備を求められる場合があ ります。執行申立てについては郵送申立てが多いので、各頁に捨印を押印し ておきます。  なお、差押命令の発送前に第三債務者に対する陳述催告申立ての必要があ ります(法147条1項)。この申立ては差押命令申立書に付記すれば足ります。  陳述催告申立てがあった場合、裁判所書記官は、次の事項を陳述するよう に催告します(規則135条)。 ① 差押えにかかる債権の存否、種類、金額 ② 弁済の意思の有無及び弁済する範囲並びに弁済しない理由 ③ 差押債権者に優先する権利を有する者があるときは、その表示並びに 権利の種類及び優先範囲 ④ 他の債権者による差押え又は仮差押えの有無及び関連事項 ⑤ 滞納処分による差押えの有無及び関連事項 (2)債権及びその他の財産権に対する強制執行(法143条~167条の14) 1) 債権は有体物ではないため、執行機関による外形的な手段を用いること ができません。そこで、差押命令という裁判の形式で債務者に債権の処分 を禁止するという方法がとられます。また、換価についても原則的には、 債権そのものを売却するのではなく、取立てにより換価に代えられていま す。債権執行の特徴は次の通りです。 ① 当事者以外の債権者・債務者の争いごとに巻き込まれる第三債務者の 存在があります(法144条2項)。 ② 差押債権の特定が必要となります。 ③ 執行費用は安価で、回収が早いです。 債権差押命令申立書         年 月 日    地方裁判所 債権執行係  御 中       代理人弁護士     印     当事者    請求債権   別紙目録のとおり    差押債権  債権者は、債務者に対し、別紙請求債権目録記載の執行力ある 債務名義の正本に記載された請求権を有しているが、債務者がそ の支払いをしないので、債務者が第三債務者に対して有する別紙 差押債権目録記載の債権の差押命令を求める。  第三債務者に対し、陳述催告の申立て(民事執行法147条1項) をする。 添 付 書 類 1 執行力ある債務名義の正本 2 同送達証明書 3 資格証明書 4 委任状

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7) 転付命令  差し押さえた金銭債権を支払いに代えて券面額で差押債権者に転付する執 行裁判所の裁判をいいます(法159条1項)。転付命令に係る金銭債権は券面 額を有し、将来の金銭債権・条件債権・金額未確定の債権ではなく、譲渡性 を有することを要します。また、転付命令が第三債務者に送達される時まで に、他の債権者が差押え、仮差押え、配当要求をしていないことを要します (法159条3項)。  転付命令に対しては執行抗告が可能です(法159条4項)。従って、確定し なければ効力は生じません。  転付命令が確定すれば、転付命令に係る金銭債権が存在する限り、その債 権及び従たる債権は転付された券面額の限度で差押債権者の債権及び執行費 用が弁済されたのと同様の効果をもって差押債権者に移転します(法160条)。 つまり、被差押債権により代物弁済されたこととなります。 (2-18-4) 6) 執行裁判所は、申立てを適法と認めるときは差押命令を発令します。こ の場合債務者及び第三債務者の審尋はされません(法145条2項)。   執行裁判所の判断基準は次のとおりです。 ① 申立てが適式であるか ② 差し押えるべき債権が差押禁止債権ではないか  社会保障制度としての受給権については、それぞれの特別法において 差押えが禁止されています。 ③ 超過差押、無益な差押でないか  差押命令においては、執行裁判所は債務者に対し債権の取立てその他 の処分を禁止し、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止します(法 145条1項)。  差押命令は、債務者及び第三債務者へ送達されます(法145条3項)。  差押命令の効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生じます (法145条4項)。 (2-16-1) 債権者 申 立 差押決定原本 奥書に目録 通知費用 封筒 陳述書(書留) 陳  述   書    (普      通) 差押決定正本・陳述催告書(送達) 差押決定 正本 (送達) 差押決定正本 ︵通知︶ 債務者 裁判所 第三債務者 ※送達:特別送達  通知:普通郵便     書留郵便

発令

通知費用 封筒 目録 送達費用・封筒 目録 通知費用 封筒 目録 送達費用・封筒 債権者 債務者 請求債権 取  立 第三債務者 債権差押(執行法第155条2項) 転付命令(執行法第160条) 差押債権 債権者 債務者 移転 請求債権 第三債務者 差押債権

×

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8) 申立後の手続の流れ ① 差押債権者は、債務者に差押命令が送達されて1週間を経過したとき は、第三債務者から取り立てることができます(法155条1項)。 (2-16-2)  なお、給料・賃料等継続的給付債権に対する差押えの効力は、債権者 の債権及び執行費用の額を限度として、差押後に債務者が受けるべき給 付にも及びます(法151条)。  差押債権者は、支払いを受けたときは、取立届を執行裁判所に提出す る必要があります(法155条3項、規則137条)。 ② 差押禁止範囲の変更(法153条)  債務者又は債権者の申立てによって、差押命令の全部若しくは一部を 取消、又は差押禁止債権の部分について差押命令を発することができま す。但し、特別法による差押禁止については差押禁止の範囲を減縮する ことはできません。その後の事情の変更によって、差押禁止の変更をさ らに変更することもできます。 ③ 債権の一部が差し押さえられ又は仮差押えの執行を受けた場合におい て、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたとき、債権の全部が 差し押さえられ又は仮差押えの執行を受けた場合において、その一部に ついて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えはその債権 の全部に及びます(法149条)。この場合、第三債務者は供託しなけれ ば、その債務を免れることはできません(法156条2項)。 (2-16-3) ④ 第三債務者は、権利として差押えにかかる金銭債権の全額を供託して 自己の債務を免れることもできます(法156条1項)。供託できる範囲は 差押さえられた部分のみではなく、自己の債務全部の供託も可能です。 第三債務者が供託した場合は、その事情を執行裁判所に届け出る必要が あります(法156条3項、規則138条)。 (2-16-4)  第三債務者による供託と事情の届出があったときは、執行裁判所は差 押債権者に弁済金を交付し、残余を債務者に交付します。また、差押え の競合の場合は供託の時までに差押え、仮差押え、配当要求をした債権 者に対して配当手続を行い、剰余金は債務者に交付します。 債権差押及び転付命令申立書         年 月 日    地方裁判所 債権執行係  御 中       代理人弁護士     印     当事者    請求債権   別紙目録のとおり    差押債権  債権者は、債務者に対し、別紙請求債権目録記載の執行力ある 債務名義の正本に記載された請求権を有しているが、債務者がそ の支払いをしないので、債務者が第三債務者に対して有する別紙 差押債権目録記載の債権の差押命令並びに差押えにかかる債権を 支払に代えて券面額にて債権者に転付する旨の命令を求める。  第三債務者に対し、陳述催告の申立て(民事執行法147条1項) をする。 添 付 書 類 1 執行力ある債務名義の正本 2 同送達証明書 3 資格証明書 4 委任状

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配当期日       事件番号平成 年(リ)第   号外  件 担当書記官      債務者       債権計算書 地方裁判所 債権執行係  御 中       年 月 日       住所       氏名・商号      印       電話     担当者 債権額の計算は下記のとおりです。 債権額合計 金         円 元金 番号 債権の発生年月日及びその原因 元金現在額 債務名義・仮差押命令または担保権の表示 合 計 円 元金 番号 期間 日数 利率 利息・損害金の別 利息・損害金現在額 合 計 利息  □ 年365日の特約あり 円 利息  □ 年365日の特約あり 円 執行費用合計 金         円 備 考 □ 前回の配当または差押命令発令以後入金なし (注)配当金受領者が代理人の場合は、代理人自身の印鑑登録(弁護士会発行の ものではなく、区役所等発行のもの)上の住所を必ず備考欄に記載して下さい。 債権者 ④弁済金交付・配当の実施 ③支払委託 ①供 ②事情届 民事執行法166条1項1号 民事執行法156条3項 民事執行規則138条2項、3項 債務者 債権者A 差押えの競合 第三債務者による供託があった場合 債務者 50万円 50万円 50万円 競合なし 50万円 C銀行 債権者B 裁判所 法務局 (供託所) 第三債務者 債権者A 債務者 60万円 60万円 50万円 競合!! 50万円 C銀行 債権者B 金銭請求

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⑤ 第三債務者の陳述催告に対する回答により、差押債権がなかった場 合、あったとしても取立に要する費用との関係で少額な場合、満額回収 できなかった場合には、取り下げて、債務名義還付申請の上、債務者の 他の財産に対して執行することができます。 (2-18-1、2、4) 平成 年(ル)第    号債権差押命令申立事件 取 立(完了)届         年 月 日    地方裁判所 債権執行係  御 中 代理人弁護士     印        債 権 者   横  恵       債 務 者   横  修       第三債務者   株式会社パラリ銀行  上記当事者間の債権差押命令に基づき、債権者は第三債務者か ら、下記のとおり、取り立て(取立を完了し)たので届けます。 取 立 日  平成  年  月  日 取立金額  金         円  取下 債務名義  還付 債権なし なし 供託あり 配当 弁済金交付 第三債務者 供託金 払渡請求 取立 払渡請求供託金 供託なし 差押命令 差押命令申立て 取立権発生 陳述催促の回答 債務者・第三債務者に送達、債権者に通知 債務者へ送達後1週間 送達後2週間以内 第三債務者に送達 転付命令 転付命令申立て 陳述催告命令 陳述催告申立て 転付命令確定 供託あり 第三債務者 供託なし 債権あり 弁済意思  あり 権利行使

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平成 年(ル)第    号債権差押命令申立事件 債務名義還付申請書 年 月 日    地方裁判所 債権執行係  御 中 代理人弁護士     印        債 権 者   横  恵       債 務 者   横  修       第三債務者   株式会社パラリ銀行  上記当事者間の債権差押命令事件について  ① 取下げにより  ② 転付確定により 事件が終了したので、債務名義・送達証明書を還付してください。  受 書 下記書類を受領しました。 1 執行力ある債務名義正本 2 同送達証明書 年 月 日    地方裁判所 債権執行係 御中 代理人弁護士     印  9) 要保護性の高い扶養義務等に係る定期金債権についての特則 ① 請求が確定期限の到来に係る場合、その期限が到来しない限り、ま た、期限の利益が喪失しない限り、強制執行は開始できません(法30条 1項)。  しかしながら、要保護性の高い扶養義務等に係る定期金債権について は、その一部に不履行があれば、確定期限が到来していないものについ ても、強制執行を開始することができます(法151条の2第1項)。これ らの定期金債権は破産手続上も非免責債権であり(破産法253条1項)、 民事再生手続上も再生計画で変動を受けない債権です(民事再生法229 条3項)。但し、差押債権は各定期金債権について、その確定期限到来 後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみになります (法151条の2第1項)。 ② 差押禁止範囲  給料、退職金等については、その給付の4分の3に相当する部分につ いては、差し押さえすることができません(法152条1項、2項)。  しかしながら、要保護性の高い扶養義務等に係る定期金債権について は、その給付の2分の1に相当する部分については、差し押さえするこ とができます(法152条3項)。 支払いがなければ、 残り150万円一括執行!! 債権者 分割 確定期限の到来 子どもが20歳に なるまで続く… (例)養育費 毎月発生!! 1月 2月 3月 4月… 50万円

50

万円 50万円 50万円 50万円

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(3)不動産に対する強制執行  (法43条~111条)   担保権の実行としての競売 (法180条~188条) 1) 不動産に対する執行とは、執行裁判所が債務者・所有者の不動産を売却 し、その代金をもって債務者の債務の弁済に充てる執行手続のことをいい ます。    強制執行には、強制競売と強制管理の方法があり、両者は併用して申し 立てることができます。債権者は、強制管理を行った上で強制競売の申し 立てをすることもできますし、両者を同時に申し立てることもできます(法 43条)。    不動産を目的とする担保権の実行には、担保不動産競売と担保不動産収 益執行の方法があります。    担保権の実行による競売に関する手続については、強制競売に関する手 続の規定が多く準用されています(法188条)。これは、いずれの手続も金 銭的請求権の強制的実現という点で共通する目的を有しているためです。 ただ、担保権に基づくものであり、債務名義に基づくものではないため、 下記のとおり担保権の実行としての競売に特有の特則が設けられています。 ① 債務名義を必要としません。 (1-16-1) ② 競売開始の要件として、担保権の存在を証明する法定の証明文書が必 要です(法181条)。 ③ 債務者の債務を担保するために、自己の所有物件に担保権を設定した 所有者(法182条)の存在がある場合があります(物上保証人)。 ④ 担保権の不存在・消滅を不動産競売等の開始決定・動産競売に係る差 押え又は債権等の担保権実行の差押命令に対する執行異議によって主張 することができます。つまり、形式的な手続上の瑕疵のみならず、実体 上の理由をも執行異議によって主張することができます。 ⑤ 担保権の実行を妨げる事由が存在することを証する法定の文書の提出 があったときは、執行機関は担保権の実行手続を停止し、かつ、担保権 の不存在を証明する文書が提出されたときは、既にした執行処分を取り 消します(法183条)。 債権者 スタート 債務名義 スタート 担保権 債務者 裁判所 決定 法務局 登記所 不動産差押 不動産に差押登記を入れる 抵当権 根抵当権 貸金請求権 申立 債権者 債務者 物上保証人 裁判所 決定 法務局 登記所 不動産差押 不動産に差押登記を入れる 被担保債権 貸金請求権 申立 債権者 債務者 物上保証人 裁判所 決定 法務局 登記所 不動産差押 不動産に差押登記を入れる 貸金請求権 被担保債権 求償請求権 担保権設定 申立 保証会社 担保権設定

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担保不動産競売申立書         年 月 日    地方裁判所 不動産執行係  御 中       代理人弁護士     印     当 事 者    別紙目録のとおり    担 保 権    被担保債権   別紙目録のとおり    請求債権    目的不動産   別紙目録のとおり  債権者は、債務者(兼所有者)に対し、別紙請求債権目録記載 の請求権を有しているが、債務者がその弁済をしないので、別紙 担保権目録記載の抵当権に基づき、別紙物件目録記載の不動産に 対する担保不動産競売手続の開始を求める。 添 付 書 類 1 不動産登記事項証明書 2 公課証明書 3 資格証明書 4 住民票 5 委任状  不動産執行の特徴は次のとおりです。 ① 執行対象の特定は不動産の特定ですから容易です。 ② 申立費用が多額で、回収までに時間がかかります。   不動産に差押登記を入れます。   不動産の調査・評価が必要になります。   不動産の買手側に情報提供が必要になります。 したがって、申立て準備は大変です。 ③ 回収は大きいですが、担保権がついている場合、優先して回収されて しまいます。 不動産強制競売申立書 年 月 日    地方裁判所 不動産執行係  御 中       代理人弁護士     印     当 事 者    請求債権   別紙目録のとおり    目的不動産  債権者は、債務者に対し、別紙請求債権目録記載の執行力ある 債務名義の正本に記載された請求権を有しているが、債務者がそ の弁済をしないので、債務者所有の上記不動産に対する強制競売 の手続の開始を求める。 添 付 書 類 1 執行力ある債務名義の正本 2 同送達証明書 3 不動産登記事項証明書 4 公課証明書 5 資格証明書 6 住民票 7 委任状

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4) いくら(費用) ① 申立手数料 一請求権 一担保権 4,000円 ② 送達費用・通知費用 ③ 予納金 ④ 登録免許税      確定請求額 × 4/1000 但し、根抵当権の場合は、極度額を超え たときは極度額を基準とします。 5) どうやって(申立要領)  添付書類について、申立後の現況調査・評価のために、執行官・評価人用 写しを求められます。また、特別売却に関する意見書の提出も求められます (規則51条1項2項、173条)。 6) 申立後の手続の流れ 申立て 費用の予納 開始決定 法45条1項・2項 差押登記嘱託 法48条 差押登記 法46条             開始決定告知 現況調査命令 評価命令 法57条 法58条 現況調査 評価 配当要求終期の公告、 債権届出の催告     法49条 2) どこに(管轄)  不動産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄裁判所となります(法44条1 項、法188条)。 3) 何を(必要的添付書類) (1-17) ① 委任状 ② 当事者の特定に必要な書類  債務名義作成後に氏名(商号)や住所(本店所在地)に変更が生じた 場合は、変更証明書として、住民票・戸籍・商業登記事項証明書が必要 になり、申立書に現在の住所・氏名、本店所在地、商号等と債務名義上 の住所・氏名、本店所在地、商号等を併記します。 ③ 不動産に対する強制執行の場合  執行力のある債務名義正本、送達証明書 ④ 物件の特定に必要な書類  不動産登記事項証明書(規則23条1~4号、173条) ⑤ 公課証明書(規則23条5号、173条) ⑥ 手続の進行に資する書類 Ⅰ 不動産登記法14条地図ないし地図に準ずる公図、建物所在図(規則 23条の2第1号、173条) Ⅱ 住所証明書(規則23条の2第2号、173条) Ⅲ 物件案内図(規則23条の2第3号、173条) Ⅳ 不動産の現況調査や評価をしている場合、現況調査書・評価書(規 則23条の2第4号、173条)

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① 競売開始決定  執行裁判所は債権者の申立てを審査し、適法と認めた場合には、競売 開始決定をなし、同時に目的不動産を差し押さえる旨を宣言します(法 45条1項)。裁判所書記官は配当要求の終期を定め(法49条1項)、開始 決定及び配当要求の終期を公告し、債権届出の催告をします(法49条2 項)。開始決定は債務者へも送達されます(法45条2項)。また、直ちに 開始決定に係る差押えの登記を嘱託します(法48条1項)。 ② 二重開始決定  強制競売又は担保権の実行としての競売の開始決定がなされた不動産 に対して、他の債権者による新たな強制競売申立てがあった場合、執行 裁判所は重ねて強制競売開始決定をし(法47条)、また、裁判所書記官 は直ちに開始決定に係る差押えの登記を嘱託します(法48条1項)。  しかし、差押登記以外の手続(つまり、債権届出の催告、現況調査、 評価、入札、配当手続等)は、先行事件(既に同一不動産について係属 している事件)の手続によることとなります。 ③ 差押の効力は競売開始決定が債務者に送達された時、又は差押えの登 記がなされた時のいずれか早い時期に生じます(法46条1項)。  差押えがされた場合でも債務者は使用収益権を失いません(法46条2 項)。但し、債務者又は占有者が不動産の価格を著しく減少する行為又 はそのおそれのある行為をした場合には、執行裁判所は売却のための保 全処分として一定行為を禁止することができます(法55条)。 ④ 地代等の代払許可  借地上の建物に対して競売開始決定がなされた場合において、債務者 が地代又は借賃を支払わないときは、差押債権者は執行裁判所に対して、 不払いの地代又は借賃を債務者に代わって弁済することの許可を申し立 てることができます(法56条)。これは、地代等の不払いを理由として、 賃貸人が借地契約等を法定解除することを防止する他、建物価額の下落 を防ぐ目的もあります。 ⑤ 現況調査  執行裁判所は執行官に対し、差押不動産の現況調査を命じ(法57条)、 執行官は現況調査報告書を作成します。 現況調査報告書 評価書                       物件明細書作成 法62条 売却基準価額の決定 法60条1項・3項 無剰余取消      法63条 売却実施処分 法64条 規則37条 物件明細書・現況調査報告書・評価書の備え置き (1-18) 規則31条 入札期間   開札期日 法66条 規則38条・39条 売却許可決定 法69条 代金納付 法78条・79条 権利移転登記等嘱託 法82条  計算書提出の催告 規則62条 配当期日等の実施 法84条・85条

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64条2項)。入札又は競り売りの方法により売却するときは、売却の日 時及び場所を定め、執行官に売却を実施させます(法64条3項)。 ⑫ 買受の申出  買受の申出をしようとする者は、原則として売却基準価額の2割の保 証を立てて買受の申出をする必要があります(法66条、規則39条)。なお、 債権者は買受の申出をすることはできますが、債務者は買受の申出をす ることができません(法68条)。債務者に買受の申出をする資力がある ならば、自己の負担する債務を弁済すべきだからです。 ⑬ 次順位買受の申出  入札又は競り売りのいずれの方法によったとしても、買受申出人のう ち、最高価買受申出人に次いで高額の買受申出をした者の申出額が買受 可能価額を超え、最高価買受申出人の申出の額から買受申出の保証額を 控除した額を超える場合、最高価買受申出人に係る売却許可決定が効力 を失うときは、次順位買受の申出をすることができます(法67条)。 ⑭ 売却許可決定  執行裁判所は売却決定期日において最高価買受申出人に対する売却の 許否を審査し、売却の許可・不許可を言い渡します(法69条)。売却許 可決定・不許可決定に対しては執行抗告をすることができますので、確 定しなければ効力は生じません。 ⑮ 買受申出後の取下げ  買受申出前であれば、自由に取下げることができます。実務では開札 期日の前日までであれば自由に取下げることができるとされています。 買受申出後は、最高価買受申出人及び順位買受申出人の同意がなければ、 取下げることはできません(法76条)。買受人が代金を納付した後は、 取下げは許されません。 ⑯ 代金納付  売却許可決定が確定したときは、買受人は裁判所書記官の定める期限 までに代金を納付しなければなりません(法78条1項)。代金納付時に 所有権は買受人に移転します(法79条)。買受人が代金を納付したときは、 裁判所書記官は次の登記を嘱託します。 Ⅰ 買受人への所有権移転登記 ⑥ 評価  執行裁判所は評価人を選任し、差押不動産の評価を命じ(法58条)、 評価人は評価書を作成します。 ⑦ 売却基準価額の決定  執行裁判所は評価人の評価に基づいて売却基準価額を決定します(法 60条1項)。買受申出額は売却基準価額からその10分の2に相当する額 を控除した価額(買受可能価額)以上であることを要します(法60条2 項)。 ⑧ 物件明細書の作成  裁判所書記官は現況調査と評価の結果を踏まえて、物件明細書を作成 し(法62条1項)、買受希望者のために、現況調査報告書、評価書と共 に閲覧に供します(法62条2項)。物件明細書には、不動産の表示、不 動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わな いもの、売却により設定されたものとみなされる地上権の概要が記載さ れます。 ⑨ 競売不動産の内覧  執行裁判所は、差押債権者の申立てがあるときは、執行官に対して内 覧の実施を命じます(法64条の2)。内覧実施命令に基づき内覧が実施 される場合、執行官は自ら不動産に立ち入ると共に、内覧参加者を不動 産に立ち入らせることができます。また、内覧の円滑な実施を妨げる参 加者に対しては立入を制限したり退去させたりすることも可能です。 ⑩ 剰余を生ずる見込みがない場合の措置  不動産の買受可能価額で執行費用及び差押債権者に優先する債権を弁 済して剰余を生ずる見込みがないと認められるときは、執行裁判所は、 その旨を差押債権者に通知します(法63条1項)。差押債権者が上記の 通知を受けた日から1週間以内に一定の申出額を定めて保証を提供する か、差押債権者に優先する債権を有する者の同意を得たことを証明しな い限り、手続は取り消されます(法63条2項)。 ⑪ 売却手続  裁判所書記官は、売却の方法を定めます(法64条1項)。売却方法に は入札、競り売り又は最高裁判所規則で定めた特別売却があります(法

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7) 競売申立手続の前提として代位による相続登記を要する場合 ① 目的不動産について所有者が死亡しているにもかかわらず相続登記が なされていない場合において、不動産競売・強制競売を申し立てるとき は、申立債権者は債権者代位権(民法423条)を行使して、目的不動産 に対し債権者代位による相続登記をする必要があります。 ② 相続人の確定  申立債権者において相続人確定のための資料を揃える必要があります。  まず、法定相続人の調査を行います。つまり、被相続人の出生から死 亡までの全ての戸籍・除籍・原戸籍の謄本を取り寄せ、相続関係を把握 します。次に、相続が開始した場所、つまり、被相続人の最後の住所地 を管轄する家庭裁判所に対し、被相続人についての相続放棄等の申述の 有無の照会をします。この照会は相続開始後3ヶ月を待って行う必要が あります。  被相続人に相続人が1人もいない場合は、相続人不存在として家庭裁 判所に相続財産管理人選任の申立をする必要があります。なお、この場 合には、相続登記ではなく、相続財産法人への登記名義人表示変更登記 を行う必要があります。 ③ 強制執行の場合、債務名義の債務者名と不動産登記簿上の所有者名と を一致させなければなりません。 Ⅰ 債務名義取得後相続が発生した場合、被相続人に対する債務名義に 承継執行文を付与して、それを代位原因証書とし、まず相続を原因と する所有権移転登記を申請し、その後、競売申立てします。        相続登記申請        ↓         競売申立 Ⅱ 相続人に対する債務名義に基づいて被相続人名義の不動産に競売を 申し立てする場合、東京地方裁判所の取扱ではⅠと同じく、債務名義 を代位原因証書として、まず相続を原因とする所有権移転登記を申請 し、その後、競売申立てをしますが、地方によっては、以下Ⅲと同じ 取扱をする裁判所もあります。 Ⅱ 売却により消滅した権利等の抹消登記 Ⅲ 差押・仮差押の抹消  なお、通常の不動産売買の場合と同様に、第1順位の抵当権設定を保 証するために、買受人等の指定する者による登記嘱託書の提出ができま す(法82条2項)。  買受人が裁判所が定めた期限までに代金を納付しないときは、売却許 可決定は効力を失い、買受人は保証金の返還を請求できません(法80条 1項)。 ⑰ 配当等 (1-19)  債権者が2人以上で、かつ売却代金によって債権者全員の各債権及び 執行手続費用を弁済できない場合は、配当手続、債権者が1人の場合、 又は売却代金によって債権者全員の各債権及び執行手続費用の全部を弁 済できる場合は、弁済金交付手続がなされます(法84条1項、2項)。  執行裁判所は配当期日又は弁済金交付期日を定め、配当等を受けるべ き債権者及び債務者を呼び出す(法85条2項)他、呼出を受ける各債権 者に対し、債権元本・利息・損害金その他附帯する債権及び執行費用の 額の計算書の提出を催告します。  配当期日においては、配当表を作成し、配当期日において債権者及び 債務者から配当表に対する異議がない場合には、配当が実施されます。 配当表に記載された債権者の債権又は債権額について、不服のある債権 者・債務者は配当期日に出頭して執行裁判所に配当異議の申出をするこ とができます(法89条1項)。配当異議の申出をした債権者及び執行力 ある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務 者は、執行裁判所に対し、配当期日から1週間以内に配当異議の訴えを 提起したことを証明しなければなりません(法90条)。

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8)強制管理・担保不動産収益執行  金銭債権に基づいて執行裁判所が債務者の所有する不動産を差し押さえて、 債務者からその管理権・収益収取権を取り上げ、管理人にその不動産の収益 を収取・換価させて、これを債権者に分配して債権者の満足を図る執行方法 をいいます(法93条、188条)。  強制管理手続は、売却は困難であるが高収益が見込まれる場合に適した執 行方法といえます。  担保権の実行としての強制管理は認められていませんが、これに代わるも のとして、担保不動産収益執行が認められています(法180条2号)。  執行裁判所は申立てを適法と認めるときには、開始決定において債権者の ために不動産を差し押さえる旨を宣言し、債務者に対し収益の処分を禁止し、 収益の給付義務を負う第三者に対して収益を管理人に給付すべきことを命じ ます。この第三者に対する給付禁止効は第三者に開始決定が送達した時に発 生します(法93条、188条)。  裁判所書記官は、給付義務者に開始決定を送達するに際して、給付義務者 に対し給付義務の内容についての陳述を催告しなければなりません(法93条 の3、188条)。  開始決定の効力が給付義務者に対して生じたときは、給付請求権に対する 差押命令、仮差押命令で、既に効力が生じていたものはその効力を停止しま す。この場合、差押債権者、仮差押債権者は、強制管理の手続において配当 手続を受けることができます(法93条の4、188条)。  強制管理に関する特則以外は、強制競売に関する規定の多くが強制管理に 準用されています(法111条、188条)。但し、強制管理は換価を目的としま せんので、売却に関する規定は準用されません。 Ⅲ 担保権設定後所有者に相続が発生した場合、相続人確定に必要な戸 籍謄本等を添付のうえ、当事者目録に亡○○○○相続人と表示して競 売申立てをします。申立後遅帯なく代位登記申請をなすとの上申書を 提出し、不動産競売申立事件の受理証明申請をします。その上でこの 受理証明書を代位原因証書として相続を原因とする所有権移転登記申 請をします。登記完了後、登記済みの登記簿謄本を裁判所に提出しま す。   競売申立   +  上申書提出  +  受理証明申請 ↓ 相続登記申請 ↓ 相続登記完了後、登記簿謄本を裁判所に提出 ④ このように強制競売の場合と担保権の実行による競売の場合とで取扱 いが異なるのは、登記実務上の先例変更があったからのようです。  そもそも、代位原因証書は代位登記できる権利があるということを証 する書面で足り、金銭消費貸借契約証書などでもよく、不動産登記事項 証明書上担保権の設定登記の記載があれば代位原因証書の添付を省略し てもよいはずなのですが、受理証明書を代位原因証書としてなされた代 位登記を受理して差し支えないとする先例が出され、担保権の実行によ る競売の場合はこれが原則形態になったようです。  さらに、なお書きで、強制競売の場合にも受理証明を代位原因証書と して「添付するのが相当」とした先例もあるために、相続人に対する債 務名義に基づいて被相続人名義の不動産に競売申立てする場合について も、地方によっては、同じ取扱をする裁判所もありますので、申立前に 管轄登記所で確認した方が無難です。

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担保権の物上代位による債権差押命令申立 債権差押命令申立書 年 月 日    地方裁判所 債権執行係  御 中       代理人弁護士     印     当事者    別紙目録のとおり    担保権    被担保債権  別紙目録のとおり    請求債権     差押債権   別紙目録のとおり  債権者は、債務者に対し、別紙請求債権目録記載の請求権を有 しているが、債務者がその支払をしないので、別紙担保権目録記 載の抵当権の物上代位に基づき、所有者が第三債務者に対して有 する別紙差押債権目録記載の債権の差押命令を求める。 添 付 書 類 1 不動産登記事項証明書 2 資格証明書 3 委任状 担保不動産収益執行申立書         年 月 日    地方裁判所 不動産執行係  御 中       代理人弁護士     印     当 事 者       別紙目録のとおり    担 保 権    被担保債権      別紙目録のとおり    請求債権    目的不動産      別紙目録のとおり    給付義務者       別紙目録のとおり    給付請求権の内容     債権者は、債務者(兼所有者)に対し、別紙請求債権目録記載 の請求権を有しているが、債務者がその弁済をしないので、別紙 担保権目録記載の抵当権に基づき、別紙物件目録記載の不動産に ついて担保不動産収益執行手続の開始を求める。 添 付 書 類 1 不動産登記事項証明書 2 公課証明書 3 資格証明書 4 住民票 5 委任状

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 債権者が1人である場合、又は配当財源で全債権者の債権及び執行手続費 用の全額を弁済できる場合には、執行官は、債権者に弁済金を交付し(法 139条1項)、全債権者間において配当協議が成立したときは、執行官が配当 します(法139条2項)。  執行官から配当協議が調わない旨の届出があったとき、配当留保供託がな され、その供託事由が消滅したときは、執行裁判所が配当します。 (4)動産に対する強制執行(法122条~142条)  動産を対象として執行官が目的物の差押えを行う方法によって行われる強 制執行をいいます。執行官が執行機関となります。  動産執行の申立書には目的動産の所在場所を記載する必要がありますが、 対象動産を特定する必要はありません。  執行官は強制的に占有することができます。従って、必要であれば債務者 の住居その他の場所への立入り・金庫その他の容器についての目的物の捜索・ 閉鎖した戸及び金庫を開くため必要な処分をすることができます。抵抗を受 けるときは威力を用い、又は警察の援助を求めることもできます。  執行官は相当と認める場合には差押物を従前の占有者である債務者、債権 者又は第三者に保管させることもできます。執行官は差押物を債務者、差押 債権者、第三者に保管させたときは、点検執行をすることができます。  債務者の生活に欠くことができない動産、標準的な世帯1月間の必要生計 費を勘案して政令で定める額(法131条)等については、差押えは禁止され ています。売却見込みのない物についても、差押えは禁止されます(法130条)。  売却方法としては、入札、競り売り、特別売却、その他執行官の広い裁量 で売却することが認められています。  競り売り期日及び場合を定めて債権者及び債務者に通知するとともに一定 事項は公告されます。期日は差押えの日から1週間以上1ヶ月以内でなけれ ばなりません。競り売り場所は執行官が裁量で定めますが、通常は差押物の 所在地で行われます。最低売却価額は定められませんが、買受申出額が不相 応であれば、買受は許されません。代金は原則として直ちに支払う必要があ りますが、高額である場合には、予め1週間以内の日を代金支払いの日と定 めて、買受申出人は差押物の評価額の10分の2に相当する保証を提供する必 要があります。買受人が執行官に代金を支払ったときは、執行官は買受人に 売却した動産を引き渡します。  入札期日の指定・公告・動産の見分・代金の支払等については競り売りと 同様です。入札は期日入札の方法で行われ、期間入札の方法はとられません。 執行官は差押債権者の意見を聴いて、執行裁判所の許可を受ければ、競り売 り・入札以外の方法で売却することも可能です。

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⑤ 債務者の調査票 3) いくら(費用) ① 申立手数料・通知費用 ② 執行補助者費用 4) どうやって(申立要領)  申立て後、執行官と打ち合わせをし、催告期日を決めます。  執行官は、目的不動産等に立ち入ることができる他、必要に応じて閉鎖し た戸を開くために開錠等必要な処分をすることができます(法168条4項)。 また、債務者が不在で目的不動産等に立ち入る場合、執行立会人が必要にな ります(法7条)。 5) 申立後の手続の流れ 申立て 事情聴取・催 告日指定 面  接 2週間以内 規則154条の3 公示 催告期日 開錠技術者・立会人の手配 明渡の催告 引渡期限 占有移転禁止 法168条の2 断行費用の見積 強制執行調書 1ヶ月経過 任意の明渡 取 下 断行期日 立会人・開錠技術者・運送業者の手配 法168条5項、 規則154条の2 即日売却

5.

金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行

(1)執行の種類  民法414条は1項で債務者が任意に債務の履行をしない場合には直接強制 ができる旨を定め、2項本文では直接強制を許さない代替債務について、3 項では不作為債務について代替執行ができることを定めています。金銭執行 は直接強制になじむものですが、非金銭執行には直接強制になじむものとな じまないものとがあります。  非金銭執行のうち直接強制によることができる債務は以下のとおりです。 ① 不動産の引渡等の債務 ② 動産の引渡債務 ③ 目的物を第三者が占有する場合の引渡債務  代替執行は直接強制が許されない場合でなければなりません。執行方法は、 授権決定によることとなります。 (2)不動産等の引渡の強制執行(法168条)  不動産の引渡し・明渡しの執行は執行官が目的物に対する債務者の占有を 解いて債権者にその占有を取得させる方法によって行われます。 不動産の引渡し・明渡しの執行の特徴は次のとおりです。 ① 執行機関は執行官になります。 ② 費用は現金で納めます。 ③ 執行補助者が必要になります。 1) どこに(管轄)  目的不動産所在地を管轄する地方裁判所の執行官(法168条1項、裁判所 法62条1項、執行官法4条) 2) 何を(必要的添付書類) ① 委任状 ② 当事者の特定に必要な書類 ③ 執行力のある債務名義正本、送達証明書 ④ 物件案内図

参照

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