(1)執行準備手続に対する不服申立て(強制執行に特有の不服申立)
執行文付与等に対する異議申立て(法32条)や執行文付与の訴え(法33条)、
執行文付与に対する異議の訴え(法34条)等があります。執行文付与に対す る異議申立てと執行文付与に対する異議の訴えは、その目的と異議事由は重 なり合っています。ただ、執行文付与に対する異議申立ては既判力をもって 特別要件の存否を確定するものではありませんので、仮にこれが認められな かった場合でも、債務者は改めて執行文付与に対する異議の訴えを提起して 争うことができます。一方、執行文付与に対する異議の訴えに対する判決が 確定した場合には、既判力が生じますので、事実審の口頭弁論終結前の事由 をもって後日争うことはできなくなります。
1) 執行文付与等に対する異議申立て(法32条)
① 誰が 付与する処分がされたときは債務者 付与を拒絶する処分がされたときは債権者
② どこに(管轄)
Ⅰ 裁判所書記官の処分の場合 裁判所書記官の所属する裁判所
Ⅱ 公証人の処分の場合 公証役場の所在地を管轄する地方裁判所
③ 何を(必要的添付書類)
Ⅰ 委任状
Ⅱ 当事者の特定に必要な書類
④ いくら(費用)
申立手数料 500円
執行文付与の処分に対して異議の申立てがあっても、当然には執行は停止 されませんので、裁判所は職権で異議についての裁判をするまでの間、担保 を立てさせ若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じることができます。
この場合当事者に申立権はありません。従って、当事者が申立てをした場合 であってもその申立ては、職権発動を促す効力を有するにとどまり、裁判所 がこれに対して応える必要はありません。
2) 執行文付与の訴え(法33条)
条件成就の執行文や承継執行文を付与してもらうために必要な文書の提出 ができない場合に、債権者が訴訟によってこのような執行文を付与してもら うことを求めるために提起されるものです。
① 誰が 債権者
② どこに(管轄)
Ⅰ 上級裁判所で成立した和解・調停を除く和解又は調停 当該和解又は調停が成立した裁判所
Ⅱ 執行証書(公正証書)
債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所
Ⅲ 仮執行宣言付支払督促
仮執行宣言付支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所 又はその管轄の地方裁判所
Ⅳ それ以外の債務名義 第一審裁判所
③ 何を(必要的添付書類)
Ⅰ 委任状
Ⅱ 当事者の特定に必要な書類
④ いくら(費用)
申立手数料 500円
3) 執行文付与に対する異議の訴え(法34条)
債務者が執行文が付与された原因たる事実を争って、その執行文の付され た債務名義に基づく強制執行の不許を求めるために提起されるものです。
執行文付与に対する異議の訴えが提起されても、当然には執行は停止しま せんので、申立てにより終局判決において、執行停止等の処分、その取り消 し、変更、認可等の裁判をするまでの間、担保を立てさせ若しくは立てさせ ないで強制執行停止等の仮の処分を命ずることができます。
① 誰が 債務者
② どこに(管轄)
Ⅰ 上級裁判所で成立した和解・調停を除く和解又は調停 当該和解又は調停が成立した裁判所
Ⅱ 執行証書(公正証書)
債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所
Ⅲ 仮執行宣言付支払督促
仮執行宣言付支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所 又はその管轄の地方裁判所
Ⅳ それ以外の債務名義 第一審裁判所
③ 何を(必要的添付書類)
Ⅰ 委任状
Ⅱ 当事者の特定に必要な書類
④ いくら(費用)
申立手数料 500円
(2)不当執行(実体法違背)に対する不服申立て 1) 請求異議の訴え(法35条)
債務名義にかかる請求権の存在又は内容についての異議のある債務者が、
その債務名義による強制執行の不許を求めるために提起する訴えのことをい います。原則として全ての債務名義が対象となります。但し、確定前の仮執 行宣言付判決又は仮執行宣言付支払督促については、不服申立方法が別に定 められていますので、請求異議の訴えの対象にはなりません。債務名義が既 判力を有する場合には、その基準時である事実審における最終の口頭弁論終 結後に生じた事由に限られます。裁判所以外の債務名義については、上訴・
異議・再審等の不服申立て方法がないため、その成立過程における瑕疵も請 求異議の事由とすることができます。
① 誰が 債務者
② どこに(管轄)
Ⅰ 上級裁判所で成立した和解・調停を除く和解又は調停 当該和解又は調停が成立した裁判所
Ⅱ 執行証書(公正証書)
債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所
Ⅲ 仮執行宣言付支払督促
仮執行宣言付支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所 又はその管轄の地方裁判所
Ⅳ それ以外の債務名義 第一審裁判所
③ 何を(必要的添付書類)
Ⅰ 委任状
Ⅱ 当事者の特定に必要な書類
④ いくら(費用)
申立手数料 500円
2) 第三者異議の訴え(法38条)
強制執行の目的物について、実体法上の権利を有する第三者がその執行に より権利を侵害される場合に、債権者に対してその目的物に対する強制執行 の不許を求めるために提起する訴えのことをいいます。例えば、甲が乙に対 して動産差押えをした場合に乙が占有していた丙の所有不動産をも差押えた 場合には、丙は甲に対して第三者異議の訴えを提起することができます。第 三者が強制執行の目的物について、所有権、用益権、占有を伴う担保物権、
譲渡担保権、占有権、物的支配を伴う債権等の目的物の譲渡又は引渡を妨げ る権利を有することが要件です。
(3)違法執行(手続法違背)に対する不服申立て 1) 執行抗告(法10条)
特別の定めがある場合における執行裁判所の裁判に対する不服申立てをい います。執行抗告は民事執行の手続に関する執行裁判所の裁判に対し、手続 違反を主張してその取り消し、変更を求める不服申立です。即時抗告と異な り執行抗告には執行停止の効力は認められていません。そこで、一定の要件 のもとに執行停止のための仮の処分を求めることができるとされており(法 10条6項)、この仮の処分に対して不服申立てはできないことになっていま す(法10条9項)。
執行抗告が許される裁判には、確定しなければ効力が生じないとされてい るものと、告知によって直ちに効力が生じるものとがあります。執行抗告は 裁判の告知を受けた日から1週間以内に抗告状を原裁判所に提出して行いま す(法10条2項)。抗告状への理由の記述は必要事項ではありませんが、理 由を記載しなかった場合には、抗告状を提出した日から更に1週間以内に抗 告理由書を提出する必要があります。
執行抗告は上訴の一種で、上級審で審理されますので、執行抗告の審理は 抗告裁判所が行います(法10条7項)。
2) 執行異議(法11条)
執行機関が行う違法な執行行為に対する不服申立てをいいます。異議申立 期間に制限はありません。異議の利益がある間はいつでも申立てをすること ができます。売却決定期日や配当期日等の期日において口頭ですることもで