宅地造成等規制法による
宅地造成の手引き
令和 3 年 2 月
≪目 次≫
第1章 宅地造成等規制法の概要 1 1.宅地造成等規制法の目的(法第1条) 1 2.用語の定義(法第2条、政令第1条~第3条) 1 3.宅地造成工事規制区域(法第3条) 2 4.宅地造成に関する工事の許可(法第8条) 2 5.許可を要しない工事等の届出(法第 15 条、政令第 18 条) 2 6.宅地の保全義務(法第 16 条、法第 17 条) 3 7.造成宅地防災区域(法第 20 条) 3 第2章 宅地造成に関する工事の手続き 5 第1節 許可の手続き 5 1.許可申請から完了検査までの流れ 5 2.許可申請(法第8条) 5 3.関係法令等による必要手続き 7 4.設計者の資格(法第9条第2項) 7 5.許可申請に必要な図書(省令第4条、細則第3条) 8 6.申請手数料 9 第2節 許可後の手続き 10 1.工事の着手の届出(細則第4条) 10 2.標識の掲示(細則第6条) 10 3.擁壁の工程検査(細則第 12 条) 10 4.工事等の変更(法第 12 条) 10 5.工事の廃止の届出(細則第5条第2項) 11 6.工事完了の検査(法第 13 条) 11 第3章 宅地造成に関する工事の技術基準 13 第1節 切土計画 13 1.切土のり面の勾配(政令第6条) 13 2.切土のり面の形状(政令第5条) 13 第2節 盛土計画 14 1.盛土のり面の勾配(政令第6条) 14 2.盛土のり面の形状(政令第5条) 14 3.盛土全体の安定性の検討(政令第 19 条) 14 4.盛土施工上の注意事項(政令第5条) 14 第3節 のり面保護計画 16 1.のり面保護工の基本的な考え方(政令第 12 条) 16 2.のり面保護工の種類 16 3.のり面保護工の選定 164.のり面排水工 16 第4節 排水計画 17 1.排水施設の設置(政令第 13 条) 17 2.排水施設の規模(政令第 13 条、細則第8条第2項) 17 3.排水施設の構造(政令第 13 条) 18 4.排水の流末 18 第5節 擁壁計画 19 1.擁壁の設置(政令第6条第1項第1号) 19 2.擁壁の種類(政令第6条第1項第2号) 19 3.伸縮継目及び隅角部の補強 20 4.擁壁の排水(政令第 10 条) 20 5.擁壁の根入れ 21 6.斜面上の擁壁 21 7.近接した擁壁 22 第6節 擁壁の構造計算 23 1.安全性の照査(政令第7条第1項) 23 2.安全率(政令第7条第2項) 23 3.転倒に対する検討 24 4.滑動に対する検討 24 5.基礎地盤の支持力に対する検討 24 6.部材の応力度に対する検討 25 7.外力の設定(政令第7条第3項第1号、第3号) 25 8.部材の許容応力度(政令第7条第3項第2号) 27 9.地盤の許容応力度(政令第7条第3項第2号) 27 10.擁壁の設計・施工上の留意事項 28 第7節 練積み造擁壁の構造 29 1.標準構造(政令第8条) 29 2.使用材料(政令第8条) 29 3.練積み造擁壁の形状(政令第8条、細則第8条第1項) 30 4.上部に斜面がある場合の擁壁構造 31 5.練積み造擁壁の必要地耐力 31 6.練積み造擁壁の施工上の留意事項 31 第8節 工事中の防災計画 32 1.工事中の防災措置の基本的な考え方 32 2.工事施工中の仮の防災調整池等 32 3.簡易な土砂流出防止工(流土止め工) 32 4.仮排水工 32 5.のり面からの土砂流出等の防止対策 32
6.表土等を仮置きする場合の措置 32 7.工事に伴う騒音・振動等の対策 32
<参考資料>
○宅地造成等規制法 33 ○宅地造成等規制法施行令 39 ○宅地造成等規制法施行規則 45 ○札幌市宅地造成等規制法施行細則 52 ○申請書等の様式集 55 ○申請図面参考例 75 ○擁壁構造計算例 83 ○練積み造擁壁標準構造図 113 凡 例 法 :宅地造成等規制法(昭和 36 年法律第 191 号) 政令 :宅地造成等規制法施行令(昭和 37 年政令第 16 号) 省令 :宅地造成等規制法施行規則(昭和 37 年建設省令第 3 号) 細則 :札幌市宅地造成等規制法施行細則(昭和 47 年規則第 33 号) 建基法: 建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第1章
第1章 宅地造成等規制法の概要 1.宅地造成等規制法の目的(法第1条) 宅地造成等規制法は、宅地造成に伴う崖崩れや土砂の流出による災害を未然に防止するため、「宅地 造成工事規制区域」を指定し、その区域内で行われる宅地造成に関する工事について必要な規制を行 うことにより、市民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的としてい る。 この法律は、昭和 30 年代以降、人口の急増に伴い宅地開発が進められた造成地で、崖崩れ等の災害 が頻発したことを踏まえて昭和 36 年に制定されたもので、一定規模以上の宅地造成工事を許可に係ら しめるとともに、宅地所有者等に対して、災害防止のために必要な措置を勧告し、又は命令する等の 規制を行う制度である。 2.用語の定義(法第2条、政令第1条~第3条) (1)宅地(法第2条第1号、政令第2条、省令第1号) 「宅地」とは、一般的にいわれる宅地(建築物の敷地)だけではなく、農地、採草放牧地及び森 林並びに道路、公園、河川等の公共施設の用地を除いた土地すべてをいう。したがって、建築物を 伴わない駐車場、テニスコート、墓地、資材置場等も宅地に含まれる。 なお、「農地、採草放牧地及び森林」は、不動産登記法の地目による区別ではなく農地法及び森林 法による「農地」、「採草放牧地」及び「森林」をいう。 (2)宅地造成(法第2条第2号、政令第3条) 「宅地造成」とは、「宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更」 をいう。また、土地の形質の変更とは、次のアからエに該当するものをいう。 ア 切土で高さが2mを超える崖ができるもの イ 盛土で高さが1mを超える崖ができるもの ウ 切土・盛土で高さが2mを超える崖ができるもの エ 切土・盛土の面積が 500 ㎡を超えるもの (30 ㎝以内の造成高の範囲は除く) ■Point! 崖高の考え方 500 ㎡を超える整地 切土 2mを超える崖 切土 盛土 θ>30° 2mを超える崖 θ>30° 盛土 1mを超える崖 θ>30° 旧地盤 盛土 切土 崖高 1m以下 新設擁壁
(3)災害(法第2条第3号) 「災害」とは、崖崩れ又は土砂の流出による災害をいう。 (4)崖(政令第1条) 「崖」とは地表面が水平面に対し 30°を超えて傾斜している土地をいい、「崖面」とはその地表面 をいう。 3.宅地造成工事規制区域(法第3条) 市長は、宅地造成に伴い災害の生ずるおそれの著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域 で、宅地造成に関する工事等について災害の防止のため必要な規制を行うべき区域を宅地造成工事規 制区域(以下「規制区域」という。)として指定できる。 札幌市では、昭和 40 年5月 19 日に最初の区域指定が行われ、その後、3回の区域拡大が行われ、 現在では、丘陵地帯の 28,859ha が規制区域に指定されている。 ■宅地造成工事規制区域の指定状況 告示日 面積(ha) 備 考 昭和 40 年5月19日 10,184 当初区域 昭和 41 年3月5日 13,074 第1回区域変更(面積 2,890ha 増) 昭和 42 年10月4日 20,181 第2回区域変更(面積 7,107ha 増) 昭和 48 年6月7日 28,859 第3回区域変更(面積 8,678ha 増) 4.宅地造成に関する工事の許可(法第8条) 規制区域内で宅地造成に関する工事を行う場合には、造成主は、工事に着手する前に市長の許可を 受けなければならない。ただし、都市計画法第 29 条の許可を受けて行われる宅地造成に関する工事に ついては、この限りでない。 また、市長は、許可に際し工事の施行に伴う災害を防止するため、必要な条件を付すことができる。 5.許可を要しない工事等の届出(法第 15 条、政令第 18 条) (1)擁壁等の除去(法第 15 条第2項、政令第 18 条、省令第 29 条) 規制区域内の宅地で次の工事を行おうとするときは、許可を受けなければならない場合を除き、 その工事に着手する 14 日前までに、「様式第六」(P.59)により市長に届け出なければならない。届 出書には、位置図、計画平面図、構造図等を添付すること。 ア 高さが2mを超える擁壁の全部又は一部の除却 イ 雨水その他の地表水を排除するための排水施設の全部又は一部の除却 (2)宅地への転用(法第 15 条第3項、省令第 29 条) 規制区域内において、造成工事をすることなく、宅地以外の土地を宅地に転用したときは、その 転用した日から 14 日以内に、「様式第七」(P.60)により市長に届け出なければならない。 30° 小段 崖の高さ 一体の崖 二つの崖 30° 小段 崖の高さ 崖の高さ
※申し込み窓口は、「住宅金融支援機構業 務取扱店」の金融機関 6.宅地の保全義務(法第 16 条、法第 17 条) 規制区域内の宅地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成が行われた宅地を常に安全な状態に維 持するよう努めなければならない。 市長は、上記の維持保全が行われていない宅地について、災害の恐れがあると認めるときは、当該 宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施行者に対して、その程度に応じて、災害の防止の ため必要な措置をとるよう勧告又は命令することができる。 なお、宅地の防災措置をとるよう勧告又は命令を受けた者に対し、防災工事のために必要な資金を 貸付ける制度が用意されている。 詳細については、宅地課及び住宅金融支援機構に確認すること。 <宅地防災工事資金貸付制度の概要> 区 分 札 幌 市 住宅金融支援機構 制度の名称 札幌市宅地防災工事資金貸付金 宅地防災工事資金融資 貸付(融資) の目的 宅地災害の防止を図るため、擁壁や排水施設の 設置等宅地の改善に必要な工事を行おうとするも のに対して必要な資金を貸し付ける。 地方公共団体から、宅地を土砂の流出などによ る災害から守るための工事を行うよう勧告又は改 善命令を受けた者に必要な資金を融資する。 貸付(融資) の対象者 1 宅地造成等規制法に基づく勧告等により宅地 防災工事を行う者又は市長が災害の生ずる恐れ があると認める宅地について宅地防災工事を行 う者 2 上記の勧告等により、共用施設の宅地防災工 事を行おうとする者を構成員とする団体(市長 が認めたものに限る)又は当該勧告等により共 用施設の宅地防災工事を行う土地区画整理組合 宅地について勧告又は改善命令を受けた者(個 人のみ、任意団体不可) ※その他必要な条件があるので、住宅金融支援機 構に確認すること 貸付(融資) の限度額 1 宅地防災資金(上記対象者の1) 工事費の9割以内(住宅金融支援機構の融資を 併用する者は、工事費からその融資額を差し引い た額の9割以内)で100万円を限度 宅地防災工事に要する費用又は1,190万円のい ずれか少ない方の額(融資額は10万円以上) 2 共用施設防災資金(上記対象者の2) 工事費の5割以内で500万円を限度 貸 付 の 条 件 金 利 年6.5%以内で市長が定める率 (住宅金融支援機構と同率) ※住宅金融支援機構に確認すること (毎月変動) 返済期間 15年以内 20年以内(但し80歳までの期間) 連帯 保証人 必要 不要 担 保 取引金融機関が特に必要と認めた場合に必要 原則第1順位の抵当権の設定が必要 返済方法 元利(元金)均等毎月払(ボーナス払併用可) 元金(元金)均等毎月払(ボーナス払併用可) 7.造成宅地防災区域(法第 20 条) 平成7年阪神淡路大震災や平成 16 年新潟中越地震等の大地震時に、盛土地盤の滑動崩落による被害 が多数発生したことを背景とし、平成 18 年に宅地造成等規制法の改正が行われ、市長は、新たに「造 成宅地防災区域」を指定できるようになった。 造成宅地防災区域は、規制区域外で指定されるものであり、大地震時に盛土地盤の滑動崩落による 災害で、相当数の居住者等に被害が発生する恐れが大きい一団の造成地をいう。 造成宅地防災区域内では、宅地の所有者等に災害の防止のため擁壁の設置等の措置を講ずる責務が 生じるほか、市長は、災害の防止のため宅地の所有者等に勧告や改善命令を行うことができる。 なお、札幌市においては、造成宅地防災区域は指定していない。
第2章
【申請者】 <フロー> 【宅地課】 第2章 宅地造成に関する工事の手続き 第1節 許可の手続き 1.許可申請から完了検査までの流れ 2.許可申請(法第8条) (1)許可申請書の記入方法 宅地造成に関する工事の許可を受けようとするときは、「宅地造成に関する工事の許可申請書」(正 本)及び「宅地造成に関する工事の許可通知書」(副本)に、必要な書類と図面を添付して提出する こと。許可申請書に添付する書類等は、「5.許可申請に必要な図書」(P.8)に示す。 許可申請書の記入方法は、次ページの記載例を参考にすること。 また、以下の点にも留意すること。 「4欄」には、宅地造成を行うすべての地番を記入すること。 「6のハ欄」には、義務設置擁壁を記入し、番号は造成計画平面図と対照できるようにすること。 「7欄」には、他の法令に基づく許可申請等の手続きの状況を記入すること。 (2)標準処理期間 申請を受け付けてから、許可等の処分を行うまでに要する期間は 21 日間を標準とする。ただし、 追加資料等の提出に要する期間や資料等の修正に要する期間は含まない。 21 日間 要 不要 検査済証交付 窓口相談 許可通知書交付 申請受理 現地調査・審査 届出受理 許可標識の掲示 工程検査 完 了 現地立会 現地立会 完了検査 他 法 令 に よ る 必 要手続きへ 宅地造成に関する 工事の許可の要否 完了検査申請書 着手届 許可申請書
<記載例>
様式第二宅地造成に関する工事の許可申請書
宅地造成等規制法第8条第1項本文の規定による許可を申請します。
○○年○○月○○日
札幌市長 ★★★★ 様
申請者 氏名 札幌 太郎
※手数料欄 \ 1 造 成 主 住 所 氏 名 札幌市中央区●●●●● 札幌太郎 ℡○○○-○○○○ 2 設 計 者 住 所 氏 名 札幌市北区▲▲▲▲▲ ▲▲設計㈱ 代表取締役 ▲▲▲▲ ℡○○○-○○○○ 担当者△△ 3 工 事 施 行 者 住 所 氏 名 札幌市東区■■■■■ ㈱■■建設工業 代表取締役 ■■■■ ℡○○○-○○○○ 4 宅 地 の 所 在 及 び 地 番 札幌市厚別区◆◆◆◆丁目◇◇-◇ 5 宅 地 の 面 積 300.00 平方メートル6
工
事
の
概
要
イ 切土又は盛土をする 土地の面積 138.15 平方メートル ロ 切土又は盛土の土量 切 土 15.50 立方メートル 盛 土 38.00 立方メートル ハ 擁 壁 番 号 構 造 高 さ 延 長 ① 鉄筋コンクリート 2.00~2.50 メートル 15.80 メートル ② コンクリートブロック 1.00~2.00 6.50 ニ 排 水 施 設 番 号 種 類 内 法 寸 法 延 長 ① U型トラフ ○○ センチメートル ○○.○○ センチメートル ホ 崖 面 の 保 護 の 方 法 擁壁設置及び法面緑化 へ工事中の危害防止のための措置
必要に応じ仮土留、仮排水路を設置 ト そ の 他 の 措 置 保安施設設置 チ 工事着手予定年月日○○年○○月○○日
リ 工事完了予定年月日○○年○○月○○日
ヌ 工 程 の 概 要 土工事○日間、擁壁及び法面工事○日間、後片付け○日間 7 そ の 他 必 要 な 事 項 排水処理について下水道施設部排水指導課と協議済み(協議書添付) ※ 受 付 欄 ※決裁欄 ※ 許可に当たって 付した条件 ※ 許 可 番 号 欄 年 月 日 年 月 日 第 号 第 号 係員印 係員印正
電 話 番 号 を 記 入 すること 担 当 者 名 を 記 入 すること3.関係法令等による必要手続き 当該造成工事に関して他法令による許可等が必要な場合は、事前に手続きを行い、許可書等の写し 又は協議経過書(参考様式ウ)を宅地課に提出すること。 また、当該造成工事に関して公共施設の管理者や関係権利者との協議等が必要な場合は、事前に協 議を行いその内容を協議経過書(参考様式ウ)にまとめ宅地課に提出すること。 ◆主な関係法令一覧 法令等 行為の内容 適 用 協議先 札幌市緑の保全と創出に関 する条例に基づく許可 宅地の造成を行う場合 風致地区内 建設局みどりの推進 部みどりの管理課 1,000 ㎡以上 森林法に基づく許可又は届 出(地域森林計画対象森林 に指定されている場合) 樹木の伐採後、抜根、整地、 切盛土等を行い、森林以外 の用途に使用する場合 1ha 未満 建設局みどりの推進 部みどりの管理課 1ha 以上 石狩振興局産業振興 部林務課 保安林を伐採する場合 土壌汚染対策法に基づく届 出 土地の形状を変更する行 為を行う場合 3,000 ㎡以上 環境局環境都市推進 部環境対策課 騒音規制法及び振動規制法 に基づく届出 著しい騒音又は振動を発 生する作業を行う場合 環境局環境都市推進 部環境対策課 札幌市生活環境の確保に関 する条例に基づく届出 地表を掘削する工事を行 う場合 1,000 ㎡以上 環境局環境都市推進 部環境対策課 農地法に基づく許可又は届 出 農地を住宅敷地、駐車場、 資材置場等、農地以外のも のにする場合 札幌市農業委員会 河川法に基づく許可 河川放流を行う場合 下水道河川局事業推 進部河川管理課 札幌市下水道条例に基づく 届出 公共下水道に接続する場 合 下水道河川局事業推 進部排水指導課 建設リサイクル法に基づく 届出 建築物の解体、土木工事等 を行う場合 都市局建築指導部建 築安全推進課 文化財保護法に基づく協議 埋蔵文化財包蔵地等で土 木工事等を行う場合 ・埋蔵文化財包蔵地内 ・隣接地又は可能性地 ・大規模開発(1ha 以上) 札幌市埋蔵文化財セ ンター 4.設計者の資格(法第9条第2項) (1)資格が必要な設計(政令第 16 条、細則第9条) 次に掲げる工事の設計をする者は、資格を有する必要があるので、経歴書に当該資格を有するこ とを証する書面の写しを添えて宅地課に提出すること。 ア 高さが5mを超える擁壁の設計 イ 切土又は盛土をする土地の面積が 1,500 ㎡を超える土地における排水施設の設計 (2)設計者の資格(政令第 17 条、省令第 23 条) ア 大学の土木又は建築課程を卒業後、2年以上の実務経験を有する者 イ 短期大学(3年制)の土木又は建築課程を卒業後、3年以上の実務経験を有する者 ウ 短期大学、高等専門学校、旧制専門学校の土木又は建築課程を卒業後、4年以上の実務経験を 有する者 エ 高等学校、旧制中学校の土木又は建築課程を卒業後、7年以上の実務経験を有する者 オ 大学院等で土木又は建築関係を1年以上専攻した後、1年以上の実務経験を有する者 カ 技術士(建設部門)又は一級建築士 キ 土木又は建築の技術に関し、10 年以上の実務経験を有する者で、国土交通大臣の認定する講習 を修了した者
5.許可申請に必要な図書(省令第4条、細則第3条) № 申請書及び添付書類 書類の内容 備 考 1 許可申請書 「宅地造成に関する工事の許可申請書」(正本)及び「宅地 造成に関する工事の許可通知書」(副本)各1部を提出 2 設計者の経歴書 設計者の資格が必要な場合、証明書と併せて提出 ・様式 10 3 土地の登記事項証 明書 工事施工区域内すべての土地の所有者がわかるもの(発行 後3ヶ月以内) ・全部事項証明書 が望ましい 4 土地使用承諾書 造成主と土地所有者が異なる場合、土地使用承諾書に土地 所有者が実印で押印し、印鑑登録証明書(発行後3ケ月以 内)を添えて提出 ・参考様式ア 5 工事計画書 工事の目的や工事の内容を記載して提出 ・参考様式イ 6 他法令の許可書及 び協議経過書 他法令による許可等が必要な場合は許可書等の写し又は協 議経過書を、各関係機関との協議等が必要な場合は、その 協議内容を記載した協議経過書を提出 ・参考様式ウ № 添付図面 縮 尺 明示すべき内容 備 考 1 位置図 1/10,000 以上 ・方位、縮尺及び宅地の境界線 ・道路、河川その他目標となる公共施設 ・宅地の境界線は 赤色で明示 2 地番図 1/500 以上 ・地番 ・公図の写し 3 現況図 1/2,500 以 上 (1/500 以上が 望ましい) ・方位、縮尺及び宅地の境界線 ・道路、河川その他目標となる公共施設 ・標高差2m以内の等高線 ・宅地の境界線は 赤色で明示 4 造成計画平面図 1/2,500 以 上 (1/500 以上が 望ましい) ・方位、縮尺及び宅地の境界線 ・道路、河川その他目標となる公共施設 ・切土又は盛土をする土地の部分 ・崖、擁壁、排水施設及び地滑り抑止ぐい又 はグラウンドアンカーその他の土留の位置 ・計画地盤高 ・横断測線の位置と番号 ・宅地の境界線は 赤色で明示 ・ 切 土 部 分 は 黄 色、盛土部分は 赤色に着色 5 造成計画断面図 1/2,500 以 上 (1/500 以上が 望ましい) ・縮尺、横断測線番号及び宅地の境界線 ・切土又は盛土をする前後の地盤高 ・現地盤高及び計画地盤高 ・ 切 土 部 分 は 黄 色、盛土部分は 赤色に着色 6 求積図 1/500 以上 ・宅地の面積、切土及び盛土をする土地の面 積 ・ 切 土 部 分 は 黄 色、盛土部分は 赤色に着色 7 排水計画平面図 1/500 以上 ・方位、縮尺及び宅地の境界線 ・排水施設の位置、種類、材料、形状、寸法、 勾配及び水の流れの方向並びに吐口の位置 及び放流先の名称 ・宅地の境界線は 赤色で明示 ・水の流れの方向 は矢印で明示 8 擁壁構造図 1/50 以上 ・擁壁の寸法及び勾配、擁壁の材料の種類及 び寸法、裏込めコンクリートの寸法、水抜 穴及び透水層の位置及び寸法 ・擁壁を設置する前後の地盤面 ・基礎地盤の土質並びに基礎杭の位置、材料 及び寸法 9 擁壁展開図 1/50 以上 ・擁壁の高さ及び延長、水抜穴の位置、材料 及び内径並びに伸縮目地の位置 ・擁壁前面の地盤線(根入れ深さ) 10 崖の断面図 1/50 以上 ・崖の高さ、勾配及び土質 ・崖面の保護方法 11 土質調査報告書 ・調査手法、調査年月日、調査責任者 ・地形概要、地質概要、地質構成、地下水位 ・土質試験結果 ・計画内容に応じ て必要な試験を 実施すること 12 その他必要図書 土量計算書、擁壁の構造計算書、崖の安定計算書(高盛土の 場合)、大臣認定擁壁のカタログ、基礎杭の計算書、地盤改 良の計算書、流量計算書、防災計画書など ・計画内容に応じ て必要な図書を 添付すること
6.申請手数料 宅地造成に関する工事の許可及び変更許可申請を行う際には、切土又は盛土をする土地の面積に応 じた手数料が必要となるので、納付書により納付すること。 なお、手数料については、改定が行われる場合があるので、許可申請時に確認すること。 ◆許可申請手数料(札幌市証明等手数料条例 別表) 切土又は盛土をする土地の面積 手数料の額 500 ㎡以内 13,300 円 500 ㎡をこえ 1,000 ㎡以内 24,100 円 1,000 ㎡をこえ 2,000 ㎡以内 34,900 円 2,000 ㎡をこえ 5,000 ㎡以内 53,200 円 5,000 ㎡をこえ 10,000 ㎡以内 76,100 円 10,000 ㎡をこえ 20,000 ㎡以内 126,800 円 20,000 ㎡をこえ 40,000 ㎡以内 190,200 円 40,000 ㎡をこえ 70,000 ㎡以内 285,300 円 70,000 ㎡をこえ 100,000 ㎡以内 380,300 円 100,000 ㎡をこえるもの 475,400 円 ◆変更許可申請手数料 次の(1)から(2)までの合計額 ※限度額 475,400 円 (1)宅地造成工事に関する設計の変更((2)のみに 該当するものを除く。) 切土又は盛土する土地の面積に応じた 許可手数料×0.1 ※ (2)切土又は盛土する土地の面積を拡大する場合 拡大する面積に応じた許可申請手数料 (3)その他の変更 15,400 円 ※ 切土又は盛土をする土地の面積(以下「面積」という。)の変更を伴う場合の考え方 ① 面積の拡大を伴う場合は、変更前の面積に応じた許可手数料×0.1 に(2)に規定する手 数料を加えた額 ② 面積の縮小を伴う場合は、縮小後の面積に応じた許可手数料×0.1
第2節 許可後の手続き 1 工事の着手の届出(細則第4条) 造成主は、許可を受けた工事に着手したときは、速やかに「宅地造成工事着手届出書」(様式4)に、 「工事現場管理者等に関する届出書」(様式 4 の 2)及び「工程表」を添付して宅地課に提出すること。 2 標識の掲示(細則第6条) 造成主は、工事期間中、工事施工区域の見やすい場所に「宅地造成工事許可標識」(様式9)を掲げ ること。また、変更許可を受けた場合は、変更箇所を速やかに修正すること。 3 擁壁の工程検査(細則第 12 条) 許可を受けた工事が次の工程に達したときは、工程検査を行うので、工事施行者は事前に宅地課に 連絡し工程検査の日程を調整すること。 (1)鉄筋コンクリ-ト造の擁壁の場合 底版配筋及び竪壁配筋工事が完了したとき(型枠の設置前) (2)無筋コンクリ-ト造の擁壁の場合 基礎工事及び躯体型枠の設置が完了したとき(コンクリ-トの打設前) (3)練積み造の擁壁の場合 ア 床堀及び基礎工事が完了したとき イ 当該擁壁築造の高さが前面埋戻し高さに達したとき ウ 当該擁壁築造の高さが全体のおよそ2分の1に達したとき 4 工事等の変更(法第 12 条) (1)工事の計画の変更(法第 12 条第1項、省令第 25 条、細則第 11 条の2) 造成主は、許可を受けた工事の計画を変更しようとするときは、その変更が軽微な場合を除き、 変更部分の工事をする前に変更の許可を受けること。 変更許可を受ける場合は、「宅地造成工事計画変更許可申請書」(正本)及び「宅地造成工事計画 変更許可通知書」(副本)に、変更に必要な図書を添付して申請すること。 (2)軽微な変更の届出(法第 12 条第2項、省令第 26 条、細則第 11 条の3) 造成主は、次に掲げる軽微な変更をしようとするときは、遅滞なく、「宅地造成工事軽微変更届出 書」(様式 14)を宅地課に提出すること。 ア 造成主、設計者又は工事施行者の変更 イ 工事の着手予定年月日又は工事の完了予定年月日の変更 注 1)新たな造成主が土地所有者以外の場合は、「土地の登記事項証明書」(土地所有者がわかるも の)、「土地使用承諾書」及び承諾書に押印した「印鑑登録証明書」を提出すること。 注 2)土地所有者に変更が生じる場合は、「(4) 土地所有者に変更が生じた場合の届出」(P.11)を 参照すること。 (3)名義変更等の届出(細則第5条第1項) 造成主は、次に掲げる名義等の変更があったときは、遅滞なく、「宅地造成工事名義等変更届」(様 式7)を宅地課に提出すること。 ア 造成主、設計者、工事施行者、工事現場管理者又は下請負業者に転居等による住所の変更又は 婚姻等による氏名の変更 イ 工事現場管理者又は下請負業者の変更 注)土地所有者に変更が生じる場合は、次の(4)を参照すること。
(4)土地所有者に変更が生じた場合の届出 造成主は、申請地の土地所有者に変更が生じた場合は、新たな土地所有者の「土地の登記事項証 明書」(土地所有者がわかるもの)、「土地使用承諾書」及び承諾書に押印した「印鑑登録証明書」を 提出すること。ただし、造成主と土地所有者が同じ場合は、「土地使用承諾書」及び「印鑑登録証明 書」は不要とする。 また、上記の(1)~(3)に該当する場合は、当該届出等と一緒に提出すること。 5 工事の廃止の届出(細則第5条第2項) 造成主は、許可を受けた工事を廃止しようとするときは、遅滞なく、「宅地造成工事廃止届出書」(様 式8)に、現地の写真を添付して宅地課に提出すること。 工事の廃止は、原則として工事の着手前に限る。ただし、防災上支障がないと認められるとき、又 は新たに許可を取り直すときは、工事の着手後であっても、廃止することができる。 6 工事完了の検査(法第 13 条) (1)完了検査(法第 13 条第1項、省令第 27 条) 造成主は、許可を受けた工事が完了したときは、その工事が法第9条第1項に規定する技術基準 に適合しているかどうかについて、検査を受けなければならない。 検査を受けようとするときは、造成主は、「宅地造成に関する工事の完了検査申請書」(様式三)に 工事写真、使用材料の規格を確認できる資料、その他検査に必要な書類を添えて宅地課に提出する こと。 (2)検査済証の交付(法第 13 条第2項、省令第 28 条) 検査の結果、工事が法第9条第1項に規定する技術基準に適合していると認めた場合には、市長 は検査済証を造成主に交付する。 (3)注意事項(法第 14 条第3項) 検査を受けない宅地や検査に合格しない宅地については、その使用を制限したり禁止したりする 場合がある。 ※ 様式は、「参考資料.申請書等の様式集」を参照のこと。
第3章
第3章 宅地造成に関する工事の技術基準 第1節 切土計画 1.切土のり面の勾配(政令第6条) 切土のり面の勾配は、のり高、のり面の土質等に応じて適切に設定するものとし、その崖面は、原 則として擁壁で覆わなければならない。ただし、下表に示すのり面は、擁壁の設置を要しない。 なお、次のような場合には、切土のり面の安定性の検討を十分に行った上で勾配を決定する必要が ある。 (1)のり高が特に大きい場合 (2)のり面が、割れ目の多い岩、流れ盤、風化の速い岩、侵食に弱い土質、崩積土等である場合 (3)のり面に湧水等が多い場合 (4)のり面又は崖の上端面に雨水が浸透しやすい場合 ■擁壁の設置を要しない切土のり面の勾配 のり高 のり面の土質 H≦5m (崖の上端からの垂直距離) 高さに関係なし 構造物による法面保護工が必要 軟岩(風化の著しいものは除く) 80 度(約1:0.2)以下 60 度(約1:0.6)以下 風化の著しい岩 50 度(約1:0.9)以下 40 度(約1:1.2)以下 砂利、硬質粘土、火山灰、砂質土、 その他これらに類するもの 45 度(約1:1.0)以下 35 度(約1:1.5)以下 上記以外の土質(岩屑、腐植土、埋 土、その他これらに類するもの) 30 度(約1:1.8)以下 30 度(約1:1.8)以下 2.切土のり面の形状(政令第5条) 切土のり面の高さ、形状については、次の基準による。 (1)崖の上端に続く地盤面は、特別の事情がない限り、その崖の反対方向に雨水その他の地表水が流 れるように勾配を付けること。 (2)切土をした後の地盤に滑りやすい土質の層があるときは、その地盤に滑りが生じないように、地 滑り抑止ぐい又はグラウンドアンカーその他の土留の設置、土の置換えその他の措置を講ずること。 (3)切土のり面は、のり高5m程度ごとに幅1~2mの小段を設けることを標準とする。小段は下段 ののりと反対方向に下り勾配を付け、排水溝を設けて表面水を排水すること。 (4)のり高が特に大きい場合には、点検・補修用の小段として、幅3m程度の通常より広い小段の設 置を検討すること。 [土質が砂利、硬質粘土、火山灰、砂質土、その他これらに類するものの場合] ◆切土の施行例 1~2m 3m程度 1~2m 水勾配 水勾配 水勾配 水勾配 現況地盤 5m 5m 5m 5m 35° 35° 35° 35°
第2節 盛土計画 1.盛土のり面の勾配(政令第6条) 盛土のり面の勾配は、のり高、盛土材料の種類等に応じて適切に設定し、原則として 30 度(約1: 1.8)以下とする。 また、次のような場合には、盛土のり面の安定計算を行った上で勾配を決定すること。なお、盛土 の安定計算は、円弧すべりのり法のうち簡便式(スウェーデン式)によることを標準とする。 (1)のり高が 15m以上の場合 (2)盛土が地山からの湧水の影響を受けやすい場合 (3)盛土箇所の原地盤が不安定な場合(軟弱地盤や地すべり地に盛土する場合) (4)盛土が崩壊すると隣接する住宅等に重大な影響を与えるおそれがある場合 (5)腹付け盛土となる場合 2.盛土のり面の形状(政令第5条) 盛土のり面の高さ、形状については、次の基準による。 (1)崖の上端に続く地盤面は、特別の事情がない限り、その崖の反対方向に雨水その他の地表水が流 れるように勾配を付けること。 (2)のり高が大きい場合には、のり高5m程度ごとに幅1~2mの小段を設けることを標準とする。 小段は下段ののりと反対方向に下り勾配を付け、排水溝を設けて表面水を排水すること。 (3)盛土の最高高さが 15mを超える場合は、高さ 15mごとに3~5m以上の小段を設けることを標準 とする。 3.盛土全体の安定性の検討(政令第 19 条) 造成する盛土の規模等が、次のいずれかに該当する場合は、盛土全体の安定性を検討すること。 この場合の安定計算は、谷埋め型大規模盛土造成地については、二次元の分割法を用いることを標 準とし、腹付け型大規模盛土造成地については、二次元の分割法のうち簡便法によることを標準とす る。ただし、安定計算結果のみを重視せず、近隣又は類似土質条件の施工実績、災害事例等も十分考 慮すること。 また、盛土全体の滑り破壊に対する最小安全率は、大地震時で 1.0 以上となることを標準とする。 なお、大地震時の安定計算に必要な水平震度は、0.25(標準設計震度)に建基法施行令第 88 条第 1 項 に規定するZの数値(札幌市 0.9)を乗じた数値とする。 (1)谷埋め型大規模盛土造成地 盛土をする土地の面積が 3,000 ㎡以上であり、かつ、盛土をすることにより、当該盛土をする土 地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土の内部に侵入することが想定されるもの (2)腹付け型大規模盛土造成地 盛土をする前の地盤面が水平面に対し 20 度以上の角度をなし、かつ、盛土の高さが5m以上とな るもの 4.盛土施工上の注意事項(政令第5条) (1)原地盤の処理 盛土を行う場合には、盛土完成後の有害な沈下を防ぎ、盛土と基礎地盤のなじみをよくしたり、 初期の盛土作業を円滑にするために次のような原地盤の処理を行うこと。 ア 伐開除根 イ 排水溝及びサンドマット 盛土のり面の勾配は、30 度(約1:1.8)以下が原則
(2)傾斜地盤上の盛土 勾配が 15 度(約1:4.0)程度以上の傾斜地盤上に盛土を行う場合には、盛土の滑動及び沈下が 生じないように原地盤の表土を十分に除去するとともに、原則として段切りを行うこと。 段切りの寸法は、高さ 0.5m以上、幅 1.0m以上を標準とし、段切り面には排水のために勾配を設 け地下水排除工を設けることが望ましい。 また、谷地形等で地下水位が高くなる箇所における傾斜地盤上の盛土では、勾配にかかわらず段 切りを行うことが望ましい。 (3)敷均し 盛土の施工に当たっては、一回の敷均し厚さ(まき出し厚さ)をおおむね 30cm 以下に設定し、均 等かつ所定の厚さ以内に敷均すこと。 (4)締固め 盛土の締固めに当たっては、所定の品質の盛土を仕上げるために、盛土材料、工法等に応じた適 切な締固めを行うこと。 特に切土と盛土の接合部は、地盤支持力が不連続になったり、盛土部に湧水、浸透水等が集まり 盛土が軟化して完成後仕上げ面に段違いを生じたり、地震時には滑り面になるおそれもあることか ら、十分な締固めを行うこと。 ◆盛土の施行例(小段) ◆盛土の施行例(段切り) 1~2m 1~2m 3~5m以上 水勾配 水勾配 水勾配 30° 30° 30° 30° 水勾配 5m 5m 5m 5m 現況地盤 水勾配 水勾配 水勾配 0.5m以上 段切り 現況地盤 1m以上 1m以上 1m以上 0.5m以上 0.5m以上 透水性の材料 (ふとんかご) 段切り
第3節 のり面保護計画 1.のり面保護工の基本的な考え方(政令第 12 条) 切土又は盛土に伴って生じるのり面については、のり面が風化、侵食等により不安定化するのを抑 制するために、のり面緑化工又は構造物によるのり面保護工を行うこと。 2.のり面保護工の種類 のり面保護工の種類としては、のり面緑化工、構造物によるのり面保護工及びのり面排水工がある。 主なのり面保護工の種類と特徴を下表に示す。 ■のり面保護工の種類と特徴 分類 工 法 目的・特徴 の り 面 緑 化 工 種子吹付工 客土吹付工 植生マット工 張芝工 ・雨水浸食防止、凍上崩落抑制 ・のり面を全体的に植生するもの 筋芝工 ・盛土の浸食防止 ・のり面を部分的に植生するもの 土のう工 ・不良土、硬質土のり面の浸食防止 樹木植栽工 ・樹木及びその幼苗を用いて、のり面の浸食防止、 早期樹林化を図るもの 構 造 物 に よ る の り 面 保 護 工 モルタル吹付工 ブロック張工 ・風化、浸食防止 プレキャスト枠工 ・中詰めが土砂等の場合は浸食防止 現場打コンクリート枠工 コンクリート張工 ・のり面表層部の崩落防止、岩盤はく落防止 編柵工 のり面蛇かご工 ・のり面表層部の浸食や湧水による流失の抑制 落石防止網工 ・比較的小規模な落石対策 の り 面 排 水 工 のり肩排水溝 縦排水溝 小段排水溝 ・のり面の表面排水 ・のり面の浸食防止 地下排水溝 水平排水孔 水平排水層 ・のり面の地下排水 ・のり面の崩壊防止 3.のり面保護工の選定 のり面保護工は、のり面の勾配、土質、気象条件、保護工の特性、将来の維持管理等について総合 的に検討し、経済性・施工性にすぐれた工法を選定すること。 工法の選定に当たっては、次の各事項に留意すること。 (1)植生可能なのり面では、のり面緑化工を選定し、植生に適さないのり面又はのり面緑化工では安 定性が確保できないのり面では、構造物によるのり面保護工を選定することを標準とする。 (2)のり面緑化工及び構造物によるのり面保護工では、のり面排水工を併設することが望ましい。 (3)同一のり面においても、土質及び地下水の状態は必ずしも一様でない場合が多いので、それぞれ の条件に適した工法を選定すること。 4.のり面排水工 のり面排水工の設計・施工に当たっては、次の各事項に留意すること。 (1)地下水及び湧水の状況を把握するために、事前に十分な調査を行うこと。 (2)のり面を流下する地表水は、のり肩及び小段に排水溝を設けて排除すること。 (3)浸透水は、地下の排水施設により速やかに地表の排水溝に導き排除すること。 (4)のり面排水工の流末は、十分な排水能力のある排水施設に接続すること。
第4節 排水計画 1.排水施設の設置(政令第 13 条) 切土又は盛土をする場合で、雨水その他の地表水又は地下水(以下「地表水等」という。)により、 崖崩れ又は土砂の流出が生じるおそれがあるときは、地表水等を排除することができるように、必要 な排水施設を設置すること。 また、次に掲げる箇所においては、排水施設の設置を検討すること。 (1)切土のり面及び盛土のり面(擁壁で覆われたものを含む。)の下端 (2)のり面周辺からの流入及びのり面を流下する地表水等を処理するために必要な箇所 (3)湧水又は湧水のおそれのある箇所 (4)盛土が施工される箇所の地盤で地表水の集中する流路又は湧水箇所 (5)排水施設が集水した地表水等を支障なく排水するために必要な箇所 (6)その他、地表水等をすみやかに排除する必要のある箇所 2.排水施設の規模(政令第 13 条、細則第8条第2項) (1)流出量の算定 流出量は次式により算定することを標準とする。ただし、公共下水道に接続する場合は、下水道 が定める基準による。 Q=1/360×C×I×A (2)断面の算定 排水施設の勾配及び断面積は、流速が 0.8m/sec~3.0m/sec の範囲内で、かつ、下流側管渠内の 流速以下となるように定めること。 流下断面の算定にあたっては、マニングの式を用いることを標準とする。また、土砂の堆積等を 考慮して十分に余裕を見込むとともに、開水路の場合は2割の余裕高(8割水深)、管路の場合は余 裕なしの満流状態とするのが一般的である。 V=1/n×R2/3×i1/2 (マニングの式) Q=A×V ■マニングの粗度係数 水路の種類 nの値 陶 管 0.013 コンクリート管渠などの工場製品 0.013 現場打ち鉄筋コンクリート管渠 0.013 硬質塩化ビニール管 0.010 強化プラスチック複合管 0.010 Q:流出量( /sec) C:流出係数(0.7) I:降雨強度(50mm/hr) A:排水区域面積(ha) V:流速(m/sec) n:マニングの粗度係数 R:径深(m)(=A/P) i:勾配 P:潤辺長(m)(=2H+B) Q:流量( /sec) A:断面積(㎡) B H
3.排水施設の構造(政令第 13 条) 排水施設の構造は次のとおりとする。 (1)堅固で耐久性を有する構造であること。 (2)コンクリート、その他の耐水性の材料で造られ、かつ、漏水を最小限度とする措置が講ぜられて いること。ただし、崖崩れ又は土砂の流出の防止上支障がない場合で、雨水その他の地表水のみを 排除する排水施設は、多孔管その他雨水を地下に浸透させる機能を有するものとすることができる。 (3)排水施設の勾配及び断面積は、雨水その他の地表水を支障なく流下させることができるように、 流速が 0.8m/sec~3.0m/sec の範囲内で、かつ、下流側管渠内の流速以下となるように定めること。 (4)雨水その他の地表水のみを排除する排水施設は、その暗渠である構造の部分の次に掲げる箇所に、 ます又はマンホールを設けること。 ア 管渠の始まる箇所 イ 排水の流路の方向又は勾配が著しく変化する箇所(管渠の清掃上支障がない箇所を除く。) ウ 管渠の内径又は内法幅の 120 倍を超えない範囲内で清掃上適当な箇所 (5)ます又はマンホールには、ふたを設けること。 (6)ますの底には、深さ 15cm 以上の泥溜めを設けること。 4.排水の流末 区域内の排水は、河川、公共下水道又は水路に放流することが一般的である。この場合、放流先の 管理者又は所有者の許可又は承諾を得ること。 また、放流先の排水能力を超過する場合には、流出抑制施設の設置が必要となるので、事前に放流 先の管理者と協議すること。
◆大臣認定擁壁 次に掲げる特殊な材料又は構法による擁壁を使用する場合は、施行令第 14 条の規 定により、「義務設置の擁壁」と同等以上の効力があると国土交通大臣が認めたもの (「大臣認定擁壁」という。)を使用しなければならない。 ① コンクリートブロック空積み造擁壁 ② コンクリートブロック練積み造擁壁(ただし、施行令第8条に規定する構造基 準を満たすもの、および建設省告示第 1485 号(昭和 40 年 6 月 14 日)に基づく認 定擁壁を除く。) ③ 補強鉄筋を用いたコンクリートブロック造擁壁 ④ プレキャスト製品による鉄筋コンクリート造擁壁 ⑤ 壁面に植栽を施す擁壁(緑化擁壁) ⑥ 補強土擁壁 また、大臣認定擁壁を使用する場合は、認定条件が現地の設計条件と合致してい なければ使用することができない。 第5節 擁壁計画 1.擁壁の設置(政令第6条第1項第1号) 宅地造成に関する工事において、次のような「崖」が生じた場合には、崖面の崩壊を防ぐために、 原則としてその崖面を擁壁で覆わなければならない。 (1)切土した土地の部分に生ずる高さが、2mを超える「崖」 (2)盛土した土地の部分に生ずる高さが、1mを超える「崖」 (3)切土と盛土を同時にした土地の部分に生ずる高さが、2mを超える「崖」 ただし、切土によって生ずる「崖」であっても、「第1節 1.切土のり面の勾配」の表に該当する 崖面については、擁壁を設置しなくてもよい。 ※「崖」とは、地表面が水平に対して 30 度を超える角度をなす土地をいう。 2.擁壁の種類(政令第6条第1項第2号) 擁壁は、材料、形状等により、練積み造、無筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造等に分類され る。 コンクリートブロック造 練積み造 間知石造等 重力式 無筋コンクリート造 もたれ式 擁壁 半重力式 もたれ式 L型 鉄筋コンクリート造 片持ちばり式 逆L型 控え壁式 逆T型 補強土壁(大臣認定擁壁) 擁壁の選定に当たっては、設置箇所の自然条件、施工条件、周辺の状況等を十分に調査するととも に、関係する技術基準等を考慮し、擁壁に求められる安全性を確保できるものを選定しなければなら ない。 L型擁壁については、札幌市のL型擁壁標準設計図を使用することができる。この場合、土質調査 などで標準設計図の諸条件に適合することが確認できれば、構造計算を行う必要はない。
3.伸縮継目及び隅角部の補強 (1)伸縮継目 伸縮継目は、原則として擁壁長さ 20m以内ごとに1箇所設けること。特に地盤の変化する箇所(切 土盛土の境等)や、擁壁高さが著しく異なる箇所、擁壁の材料・構造を異にする箇所は、有効に伸 縮継目を設け、基礎部分まで切断すること。また、擁壁の屈曲部においては、伸縮継目の位置を隅 角部から擁壁の高さの分だけ避けて設置すること。 (2)隅角部の補強 擁壁の屈曲する箇所は、隅角をはさむ二等辺三角形の部分を鉄筋及びコンクリートで補強するこ と。二等辺の一辺の長さは、擁壁の高さが3m以下の場合は 50cm、3mを超える場合は 60cm とする。 4.擁壁の排水(政令第 10 条) 擁壁の背面に雨水や地下水が浸透すると、擁壁に加わる土圧と水圧が増加し、融雪期や集中豪雨時 に擁壁倒壊事故が起こる場合がある。このような事故が起きないようにするためには、裏込め土の排 水を確保するように設計・施工することが重要である。 (1)水抜穴 擁壁の水抜穴の設置、構造については、次のとおりとする。 ア 水抜穴は、擁壁の下部地表近く及び湧水等のある場所に特に重点的に設けること。 イ 水抜穴は、内径 7.5 ㎝以上とし、その配置は3㎡に1箇所以上の割で千鳥配置とすること。 ウ 水抜穴は、排水方向に適当な勾配をとること。 エ 水抜穴の入口には、背面の土砂が流出しないように、吸出し防止材等を設置すること。 オ 地下水の水みちがある場合には、有効に水抜穴を設けて地下水を排出すること。 カ 水抜穴に使用する材料は、硬質塩化ビニール管など、コンクリートの圧力でつぶれないものを 使用すること。 ※ プレキャスト製品のL型擁壁(大臣認定擁壁)を使用する場合は、水抜穴がふさがれること がないように、工場製作時に設置個所の地盤面に合わせて水抜穴の位置を決めること。 a a L H ○H≦3mの場合 a=50cm ○H>3mの場合 a=60cm L=2mを超え、かつ擁壁の高さ程度 水抜きパイプ (吸出し防止材付) (千鳥配置) (厚さ5~10cm 程度) 止水コンクリート (背面全面) 透水層(裏込め材) a a L 伸縮目地 伸縮目地
(2)透水層(裏込材) 擁壁の背面には、裏面の排水を良くするため、擁壁の裏面全体に砂利等の透水層(裏込め材)を 設けること。 透水層に用いる裏込め材は、施工性に優れ、浸透性が高く、安定性の高い材料を用いることとし、 一般に砂利、砕石、粒度の粗い砂などが多く用いられている。 透水層(裏込め材)の厚さは、30cm を標準とする。ただし、練積み擁壁の場合は、札幌市の標準 構造図によること。 また、透水マットは、凍結・凍上の恐れが少ない地域に限って使用が認められているものであり、 札幌市の場合は、寒冷地であることから透水マットを使用することはできない(擁壁用透水マット 技術マニュアル)。 5.擁壁の根入れ 擁壁の根入れ深さは、地盤面から擁壁底面までの深さ とし、原則として、60cm 以上確保すること。 また、逆T型擁壁や逆L型擁壁のように擁壁の前面に 底版が張り出ている擁壁については、原則として、底版 厚さに 50cm 以上を加えた根入れ深さを確保すること。 なお、練積み造擁壁の根入れ深さは、「第7節 4.練積 み造擁壁の形状」(P.30)を参照のこと。 6.斜面上の擁壁 斜面上に擁壁を設置する場合には、下部の崖に有害な影響を与えないように、擁壁基礎前端より擁 壁の高さの 0.4 倍以上で、かつ 1.5m以上だけ土質に応じた勾配線(θ)より後退し、その部分はコン クリート等で覆い、風化侵食のおそれのない状態にすること。 ■土質別角度(θ) 背面土質 軟岩(風化の著しい ものを除く。) 風化の著しい岩 砂利、硬質粘土、火山 灰、砂質土その他これ らに類するもの 盛土又は腐植土 角 度 (θ) 60° 40° 35° 25° H h H h h:根入れ 重力式擁壁 L型擁壁 逆T型擁壁 H θ 0.4H以上 かつ 1.5m以上 必要な根入れ コンクリート等 厚さ5~10cm 自然崖 必要な根入れ 0.15H 以上かつ 35cm 以上 または 0.2H 以上かつ 45cm 以上 (基礎地盤が軟弱な場合) 【練積み擁壁の場合】 H h ◆ 鉄筋コンクリート造又は無筋コンク リート造擁壁の根入れ深さは、洗掘や凍 上による影響を考慮して決める必要が あり、札幌市においては、凍結深度※を 考慮して 60cm 以上としている。 ※ 北海道立寒地住宅都市研究所の調 査報告による。
7.近接した擁壁 (1)擁壁に近接して擁壁を設置する場合は、下段の擁壁に設計以上の積載荷重がかからないように、 影響線の外側に上段の擁壁を配置すること(下図参照)。 ※影響線は下段擁壁の基礎底面の後端が始点 やむを得ず、影響線の内側に擁壁を配 置する場合は、上段擁壁の根入れを深く する、又は杭基礎にするなど、下段擁壁 が崩壊しても上段擁壁が自立するように 設計すること。 (2)既存擁壁の上段に擁壁を新設する場合で、下段の既存擁壁の構造が確認できないときは、斜面上 の擁壁と同様に考え、影響線から必要な水平距離を確保して上段の擁壁を配置すること(下図参照)。 この場合の影響線の角度は、盛土の 25°とする。 (3)既存擁壁の前面を切土する場合は、擁壁の 前端から必要な水平距離を確保すること。 θ 0.4H以上かつ 1.5m以上 H θ 0.4H以上かつ 1.5m以上 H θ:土質別角度 θ 0.4H以上かつ 1.5m以上 H θ 0.4H以上かつ 1.5m以上 H 25° 0.4H以上かつ 1.5m以上 H ・影響線は下段擁壁前面の地盤と壁面 との交点が始点 ・影響線の角度は、擁壁背面が地山であ っても既存擁壁の根切り範囲が不明 なため盛土を想定して 25° 【根入れを深くする方法】 H:擁壁の高さ h:必要根入れ θ H h 35° 0.4H以上かつ 1.5m以上 H 旧地盤
第6節 擁壁の構造計算 1.安全性の照査(政令第7条第1項) 鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造擁壁(以下、この節において「擁壁」という。)の設計 に当たっては、土質条件、荷重条件等の設計条件を的確に設定した上で、次の各項目について、擁壁 の安全性を検討すること。 また、擁壁の高さが5mを超える場合には、地震時の荷重に対しても、擁壁の安全性を検討するこ と。 (1)土圧、水圧、自重等(以下「土圧等」という。)によって擁壁が破壊されないこと (2)土圧等によって擁壁が転倒しないこと (3)土圧等によって擁壁の基礎が滑らないこと (4)土圧等によって擁壁が沈下しないこと 2.安全率(政令第7条第2項) (1)常時における検討 ア 土圧等によって擁壁の各部に生ずる応力度が、擁壁の材料である鋼材又はコンクリートの長期 許容応力度を超えないこと。 イ 土圧等による擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメントの 2/3 以下であること。 ∴安全率=安定モーメント/転倒モーメント≧1.5 また、土圧等の合力の作用点は、底版幅Bの中央からの偏心距離eがe≦B/6 を満足することが 望ましい。 ウ 土圧等による擁壁の基礎の滑動力が擁壁の基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力の 2/3 以下であ ること。 ∴安全率=滑動に対する抵抗力/滑動力≧1.5 エ 土圧等によって擁壁の地盤に生ずる応力度が当該地盤の長期許容応力度を超えないこと。 (2)地震時における検討 ア 土圧等によって擁壁の各部に生ずる応力度が、擁壁の材料である鋼材又はコンクリートの設計 基準強度又は基準強度を超えないこと。 イ 土圧等による擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメント以下であること。 ∴安全率=安定モーメント/転倒モーメント≧1.0 また、土圧等の合力の作用点は、底版幅Bの中央からの偏心距離eがe≦B/2 を満足することが 望ましい。 ウ 土圧等による擁壁の基礎の滑動力が擁壁の基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力以下であること。 ∴安全率=滑動に対する抵抗力/滑動力≧1.0 エ 土圧等によって擁壁の地盤に生ずる応力度が当該地盤の極限支持力度を超えないこと。なお、 極限支持力度は長期許容応力度の3倍の数値である。 ■安全率等のまとめ 検討項目 常時 地震時 部材応力 長期許容応力度 設計基準強度及び 基準強度 転倒 1.5 1.0 偏心距離 e≦B/6 e≦B/2 滑動 1.5 1.0 沈下 長期許容応力度 極限支持力度
3.転倒に対する検討 擁壁の転倒に対する安全率 Fs は、次式により評価する。 Fs=Mr/Mo また、土圧等の合力の作用点の底版中央からの偏心距離eは、 次式により求める。 e=B/2-d 4.滑動に対する検討 擁壁の滑動に対する安全率 Fs は、次式により評価する。 Fs= 粘着力は、その長期変動も含めた適正な値の評価が一般的には困難であるから、CB=0kN/mと考 え、μ(摩擦係数)にその影響を含めたものとして取扱う場合が多い。 5.基礎地盤の支持力に対する検討 地盤反力度は次式により求める。 ◆合力作用点が底版中央の底版幅 1/3 の中にある場合 (q1,q2) = RV 1± 6×e B B ◆合力作用点が底版中央の底版幅 1/3 の外にあり、かつ底版中央の底版幅 2/3 の中にある場合 ◆合力作用点が底版中央の底版幅 2/3 の外にあり、かつ底版中にある場合 q1 = 4×RV B d e B/2 B RV×μ+CB×B RH q1 = 2×RV 3×d Fs:転倒安全率 Mr:抵抗モーメント Mo:転倒モーメント e:偏心距離 B:擁壁底版幅(m) d: 底版つま先から合力作用点まで の距離(m) d=(Mr-Mo)/V V:擁壁に作用する力及び自重の 鉛直成分 R Fs:滑動安全率 RV:底版下面における全鉛直荷重(kN/m) RH:底版下面における全水平荷重(kN/m) μ:擁壁底版と基礎地盤の間の摩擦係数 CB:擁壁底版と基礎地盤の間の粘着力(kN/m) B:擁壁底版幅(m) q1:擁壁の底面前部で生じる地盤反力度(kN/㎡) q2:擁壁の底面後部で生じる地盤反力度(kN/㎡) RV:底版下面における全鉛直荷重(kN) e:偏心距離 B:擁壁底版幅(m) (三角形分布)
6.部材の応力度に対する検討 擁壁に作用する土圧等によって擁壁の各部に生ずる応力度が、擁壁の材料である鋼材又はコンクリ ートの長期許容応力度を超えないように、擁壁の断面を設計すること。 なお、計算方法は、「参考資料 擁壁構造計算例」(P.83)を参照のこと。 7.外力の設定(政令第7条第3項第1号、第3号) (1)土質条件 擁壁の設計に用いる土質定数は、原則として土質試験結果に基づき算出すること。ただし、ボー リング調査、サウンデイング試験、試験掘削等により土質が判断できる場合は、下表(政令別表第 二)の数値を用いることができる。 ■単位体積重量と土圧係数 (政令別表第二) 土 質 単位体積重量 土圧係数 砂利又は砂 18 kN/ 0.35 砂質土 17 kN/ 0.40 シルト、粘土又はそれらを 多量に含む土 16 kN/ 0.50 注)上表の土圧係数を使用できる条件は、背面土の勾配が 90 度以下、かつ、余盛等の勾配及び高さがそれぞれ 30 度以下及び1m以下の場合に限る。 なお、土圧係数により求めた土圧には、5kN/㎡程度 の積載荷重を見込んでいるので、留意すること。詳細は、 「参考資料 擁壁構造計算例」(P.83)を参照のこと。 また、擁壁底版と基礎地盤との摩擦係数μの値は、三軸圧縮試験等の土質試験の結果に基づき、 次式により求めた数値を用いること。ただし、ボーリング調査、サウンデイング試験、試験掘削等 により土質が判断できる場合は、下表(政令別表第三)の数値を用いることができる。 μ=tanφ(φ:基礎地盤の内部摩擦角) ※ただし、基礎地盤が土の場合は、 0.6 を超えないものとする。 ■基礎地盤の土質と摩擦係数 (政令別表第三) 基礎地盤の土質 摩擦係数 岩、岩屑、砂利又は砂 0.5 砂質土 0.4 シルト、粘土又はそれらを多量 に含む土 0.3 基礎底面から少なくとも 15 ㎝の土を 砂利又は砂に置き換えた場合に限る。 ◆基礎地盤の内部摩擦角φと粘着力Cは次の方法により求めることができる。 ≪砂質土の場合、粘着力C=0≫ φ= 20N+15 ≪粘性土の場合、内部摩擦角φ=0≫ C=qu/2 qu=40+5N ※ この場合、スウェーデン式サウンデイングから求められる Nsw から推定されたN値 は、推定を重ねることになるため使用しないこと。 φ:砂質土の内部摩擦角(°) N:標準貫入試験により得られたN値 C: 粘性土の粘着力(kN/㎡) qu:一軸圧縮強さ(kN/㎡) h a a≦90° b≦30° h≦1m b
(2)荷重条件 擁壁の設計に用いる荷重は、擁壁の設置箇所の状況等に応じて必要な荷重を適切に設定しなけれ ばならない。一般には、次の荷重について検討すること。 ア 土圧 擁壁に作用する土圧は、裏込め土の土質や擁壁の形状等に応じて、実状にあわせて算出するこ とを原則とする。ただし、盛土部の場合でこれによることが困難な場合や、小規模な開発事業な どについては、「政令別表第二」(P.25)の数値を用いることができる。 なお、土圧算定式は、クーロンの土圧公式もしくは、試行くさび法が一般的である。 イ 水圧 水圧は、擁壁の設置箇所の地下水位を想定して擁壁背面に静水圧として作用させるものとする が、水抜き穴等の排水処理を規定通りに行い、地下水位の上昇が想定されない場合は、考慮しな くてもよい。 ウ 自重 擁壁の設計に用いる自重は、躯体重量のほか、逆T型やL型擁壁等の場合には、底版上の土の 重量を見込むこと。 ■コンクリートの単位体積重量 鉄筋コンクリート 24kN/ 無筋コンクリート 23kN/ エ 積載荷重 擁壁に作用する積載荷重は、一般的な戸建て住宅が想定される場合は、10kN/㎡の均等荷重をか けることを標準とする。ただし、これによることが適切でない場合には、設置箇所の実状に応じ て、建築物、工作物、積雪等による積載荷重を考慮すること。 オ フェンス荷重 擁壁の天端にフェンスを直接設ける場合は、実状に応じて適切なフェンス荷重を考慮すること。 なお、宅地擁壁の場合は、擁壁天端より高さ 1.1mの位置に Pf=1kN/m程度の水平荷重を作用さ せるのが一般的である。 カ 地震荷重 地震時土圧は、試行くさび法を用いる場合においては、土くさびに水平方向の地震時慣性力を 作用させる方法を用い、土圧公式を用いる場合においては、岡部・物部式によることを標準とする。 設計に用いる地震時荷重は、上記の地震時土圧による荷重、又は擁壁自重に起因する地震時慣 性力に常時の土圧を加えた荷重のうちいずれか大きい方とする。 また、設計水平震度は、大地震時を想定して 0.23 とする。 kh=cZ×k0=0.9×0.25=0.23 kh:設計水平震度 cZ:地域別補正係数(建基法施行令第 88 条第1項に規定するZの数値) k0:標準設計水平震度(大規模地震動で 0.25)
8.部材の許容応力度(政令第7条第3項第2号) (1)鋼材の許容応力度は建基法施行令第 90 条の規定を準用し、下表のとおりとする。 ■鉄筋の許容応力度 鉄筋の種類 (基準強度 N/ ) 長期許容引張応力度 (N/ ) 短期許容引張応力度 (N/ ) SD295A 及び B 195 295 SD345 215 ※鉄筋径 29mm 以上の場合は 195 345 (2)コンクリートの許容応力度は建基法施行令第 91 条の規定を準用し、下表のとおりとする。 ■コンクリートの許容応力度 設計基準強度 Fc (N/ ) 長期許容応力度(N/ ) 短期許容応力度(N/ ) 圧縮 せん断 圧縮 せん断 18 6.0 0.6 12 1.2 21 7.0 0.7 14 1.4 24 8.0 0.73 16 1.46 9.地盤の許容応力度(政令第7条第3項第2号) 基礎地盤の許容応力度は、以下に示す方法により求めること。 (1)支持力式による方法【建基法施行令第 93 条、H13 国土交通省告示第 1113 号】 長期 qa=1/3(ic×α×C×Nc+iγ×β×γ1×B×Nγ+iq×γ2×Df×Nq) 短期 qa=2/3(ic×α×C×Nc+iγ×β×γ1×B×Nγ+iq×γ2×Df×Nq) qa:地盤の許容応力度(kN/㎡) ic、iγ、iq:基礎に作用する荷重の傾斜に応じた補正係数、次式による。 ic=iq=(1-θ/90)2 iγ=(1-θ/φ)2 θ:基礎に作用する荷重の鉛直方向に対する傾斜角(度) ただし、θがφを超える場合はφとする。 θ=tan-1(H/V) (H:水平荷重、V:鉛直荷重) φ:地盤の特性によって求めた内部摩擦角(度) α、β:基礎荷重面の形状に応じた係数 基礎底面の形状 円形以外(長方形) 円 形 α 1.0+0.2×B/L 1.2 β 0.5-0.2×B/L 0.3 B:基礎荷重面の短辺幅(m) L:基礎荷重面の長辺幅(m) C:基礎荷重面下にある地盤の粘着力(kN/㎡) Nc、Nγ、Nq:地盤の内部摩擦角に応じた支持力係数 内部 支持力 摩擦角 係数 0° 5° 10° 15° 20° 25° 28° 32° 36° 40° 以上 Nc 5.1 6.5 8.3 11.0 14.8 20.7 25.8 35.5 50.6 75.3 Nγ 0 0.1 0.4 1.1 2.9 6.8 11.2 22.0 44.4 93.7 Nq 1.0 1.6 2.5 3.9 6.4 10.7 14.7 23.2 37.8 64.2 γ1:基礎荷重面下の地盤の単位体積重量(kN/m3) γ2:基礎荷重面より上の根入れ部分の土の平均単位体積重量(kN/m3) (γ1、γ2とも地下水位以下の場合は水中単位体積重量)