除草剤による果樹園の雑草管理--土壌処理型除草剤の作用性の比較と適用---香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号 89L∼94,1991

除草剤による果樹園の雑草管理

一土壌処理型除草剤の作用性の比較と適用一

兵部 桂,出口秀夫,三木政数,薮木広幸

伊藤桧雄*,小池龍也*

ChemicalControlofWeedsin Orchard

−Comparisonofpreemer・genCeherbicidesinactivityandtheirpracticalapplication− KatsuraMANABE,HideoDEGUCHI,MasakazuMIKI,HiroyukiYABUKI, MatsuoITOH*andTatsuyaKoIKE* Thepreemergenceandpostemergenceactivitiesofthreecommercialpreemer・genCeherbicideswiththe applicationinJanuaryandMarchin1989wereobservedincitrusor■ChardofKagawaUniversity

1.ThemiⅩture Ofdiuron withterbacilpr・0Vided higherpreemergenceand postemer・g6nce activities on

StelhlYiamedia,AIppecuYuSaequalis,Seh2riaviridis,Acab4)haaustlayiS andDigihlYiaadscendensthanbromacil

ordiuron Thismixturehad90dayslongevityontheseweedswiththeapplicationbothinJanuaryandMarch

Itwasconfirmedthatthismixturehadpotentialforthecontrolofwinterweedsincitrusorchardbecauseof

itsgoodsafetyoncitr・uSanditsgoodlongevitybyranyseason Bromacilanddiuronrequiredpostemergence

herbicidesfortheirpracticalapplicationduetotheirlowpostemergenceactivities

2 Themixtureofdiuronwithterbacilpercolated175mmintotheorchar−dsoilat90daysafterapplication

Thelaechingdistanceofbromacilanddiur・Oninorchardwere175and130mm,reSpeCtively 本学附属農場ウンシュウミカン園において,市販されている3種類の土壌処理型除草剤を1989年1月と3月に処理 し,それらの土壌処理結果と茎葉処理効果を比較観察した. 1ダイウロン+ターバシル混剤は,ハコベ,スズメノテッポウ,エノコログサ,エノキグサおよびメヒシバにおい て,プロマシル,ダイウロンに比べて高い土壌処理効果と茎葉処理効果を示した.この混剤は,1月および3月の 両処理において,90日間という長期抑葦効果を示した.果樹に対する安全性および梅雨時期の土壌流亡を考慮する と,この混剤は冬季の柑橘園の雑草防除に有効であることが確認された.プロマシル,ダイウロンは茎葉処理効果 がやや不十分で再生も認められ,茎葉処理型除草剤との混合が必要と考えられた. 2“果樹園における処理後90日の土壌移行性は,ダイウロン+クーパシルとプロマシルで175mm,ダイウロンで130mm であった. 鱒 近年,果樹園の滑耕栽培を達成するために,種々の除草剤が利用されている(1〉.果樹園の除草剤は土壌処理型除草剤 *日本モンサント株式会社(MonsantoJapanLtd)

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90 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号(1991) と茎葉処理型除草剤に大別されるが(2),前報で報告したように,果樹に対する安全性の面から,茎葉処理型除草剤を利 用した雉専管理が多く行われている(4).土壌処理型除草剤は,そのほとんどが柑橘において農薬登録を萌し,主に柑橘 園の冬生一年生雑草の防除に用いられている(2・7).これは冬生雑草を防除することによる初春の地温の上昇を目的とし ている.本報では,市販されている3種類の土壌処理型除草剤の果樹園の雑草に対する効果を調査し,果樹園におけ るそれらの除草剤の適用を考察した. 材料及び方法 香川大学附属農場のウンシュウミカン園において,毎年同−・の雑草種が発生する場所を選び,冬生一年生雑草(ハ コベ)および夏生−・年生雑草(エノキグサ,エノコログサならびにメヒシバ)に対する3種類の土壌処理型除草剤の 除草効果を調査した.これらの除草剤は土壌処理効果と茎葉処理効果の両方を併せ持つため,それぞれ異なる方法で 除草効果を評価した.土壌処理結果の評価にはグリホサー・ト18kgae/haを混合し,既に発生している雑草を枯殺した 後に,新たに発生した雑草に対する効果を調べた.茎葉処理効果の評価には,発生した雑草が20cmに達した時に処理 し,その殺草効果を調査した.各除草剤は標準薬畳で,10a当たり1001の散布水量を用いて処理した.試験は1区面 積4rげ(2mX2m)の3連区制とし,対照区(グリホサート区または無処理区)を設けた.散布は,1989年1月9 日およか3月22日に行い,それぞれ5月23日および7月23日まで目観察による評価を3回行った.また,除草剤の土 壌中の移行性を調べるために,調査区1区に付き2カ所より土壌資料を抜き取り,メヒシバおよびオオイヌタデを指 標植物として,その筈徴の程度から除草剤の土壌中の移行性を推定した.土壌資料は,処理後90日後に,直径5cm, 長さ20cmのステンレス制の円形簡を用いて採取し,長さ20cmの角型ポットに土壌資料を縦移動がないように横方向に 押し上げ,ガラス室に設置した.その土壌資料の上に指標植物の種子をは種し,害徴がおよそ60%の点を移動の先端 として,供試した除草剤の移動距離を測定した.供試した土壌処理型除革剤は表1の通りである. 表1供試除草剤

成 分 名

商 品 名

標準成分薬慮 標準製品薬盈 ダイウロン グイウロン +タ・−バシル ブロマシル カーメックス 157 kg ai/ha 2 kg/ha ゾ・−バ・− 117十12 ハイバ−Ⅹ 24 結 果 1土壌処理結果 図1は,処理後発生した一年生雑草4草種に対する市販の土壌処理型除草剤の処理後およそ90日後の除草効果を示 している.ダイウロン十タ・−バシル混剤は3薬剤の中で最も効果が高く,処理後90日後でも広葉一年生雑草(ハコベ およびエノキグサ)をほぼ完全に防除した.イネ科−・年生雑草(エノコログサおよびメヒシバ)に対しては,ある程 度の抑制を示したが,その発生を完全には抑制できなかった.ダイウロンおよびブロマシルの防草効果は,ダイウロ ン+ターバシルのそれに比べ低かったが,この混剤と同様に,イネ科雑草よりも広葉雑草に対して高い効果を示した. 1月および3月に処理した除草剤の土壌処理効果は図2に経時的に示されている.最も効果の高いダイウロン+ ターバシル混剤は,1月に処理されると,冬生−・年生雑草のハコベを5月末まで抑えるが,4月以降に発生するユノ コログサを抑制できなかった.1月処理のダイウロンおよびプロマシルは4月までハコベの発生を抑制したが,5月

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真部 桂,出口秀夫,三木枚数,薮木広幸,伊藤松雄,小池龍也:除草剤による果樹園の雑草管理 91 にはハコベの生育を抑制できなかった.3月に処理したダイウロン+タ、−バシル混剤は,エノキグサおよびメヒシバ の発生を6月まで抑えたが,梅雨明けの7月にはその効果は著しく減退した.3月処理のダイウロンおよびブロマシ ルは,60日後には既に,それぞれメヒシバおよびエノキグサに対する除草効果を失った.以上のことから,ダイウロ ン+タ1−バシル混剤は一年生雑草に対し,およそ90日の残効性を有する.また,ダイウロンおよびブロマシルの残効 性は草種によって臭ったが,いずれも90日以下である. 2茎葉処理効果 図3に示されるように,供試した3種類の薬剤は共に,広葉雑草であるサコベに対し高い茎葉処理効琴を示した. イネ科雑草のスズメノテッポウでは,ダイウロン+ターバシル混剤が最も高い効果を示し,次いでブロマシルが高い 効果を示した.ダイウロンはスズメノチッポウに対して害徴を与えるものの,著しい再生が認められた. 3土壌移行性 図4に果樹園における処理後およそ90日後の土壌移行性を示した.ダイウロン+タ、−バシル混剤はプロマシルと共 に最も土壌中を移行し,175mmの土壌移行性を示した.ダイウロンはそれら2剤よりもやや移行性が小さく,130mmの 土壌移行性を示した.広葉雑草のオオイヌタデは,いずれの除草剤に対してもメヒシバよりも敏感に反応し,これら の薬剤の好ましい指標植物であった. 考 察 タイウロン+タ・−バシル混剤は,供試した3種類の除草剤の中で,土壌処理効果および茎葉処理効果ともに最も高 抑草率︵対昭区に対する比率︶ ブロマシル ダイウロン +ターバシル ダイウロン 図1処理後90日における3種類の土壌処理型除草剤の土壌処理効果 辺:ハコベ,園;エノキグサ,日;ユノコログサ,□:メヒシバ

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92 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1弓(1991) エノキグサ ノ\コベ 0 2 抑革率︵対昭区に対する比率︶ メヒシバ ユノコログサ 1/9 5/23 6/2L7 7/23 3/22 5/23 6/27 7/23 図2 一年生雑草4種における3種類の土壌処理型除草剤の土壌処理効果の経睡的変化 ○;ダイウロン,△;ダイウロン十ターバジル,口;プロマシル い効果を示した(図1,2および3)・この混如ま,1月または3月の両処理において90日の残効性を有し,果樹園の 一年生雑草に対して長期抑草効果を示した.また,ダイウロン+ターバシル混剤は冬生の広葉およびイネ科雑草に安 定した茎葉処理効果を萌する.実際に,この混剤を冬季に処理すると,既に発生している冬生雑草を枯疲し,4月に エノコログサが発生する寧でほぼ裸地を維持することができた.3月の処理ではその後に発生する夏生雑草をおよそ 3カ月間防除したが,発生期間の長いメヒシバまたはエノキグサは梅雨明け後の7月には生育し,盛夏期には茎葉処 理剤による雑草防除が必要となった.これらの結果と梅雨時期における土壌流亡防止の点を考察すると,ダイウロン十 ターバシル混剤は冬生雑草防除に効果的であると思われる. プロマシルおよびダイウロンはイネ科雑草に効果が不安定で,残効性も60日程度とそれほど高くない.プロマシル

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真部 桂,出口秀夫,三木政数,薮木広幸,伊藤松雄,小池龍也:除草剤による果樹園の椎茸管理

93 スズメノテソポウ ′ヽコベ 2/17 3/16 2/2

2/23

3/23

4/28

図3 一年生雑草2種における3種類の土壌処理型除草剤の茎葉処理効果の経時的変化 ○;ダイウロン,△;ダイウロン+ターバジル,□;プロマシル 1/23 ブロマシル ダイウロン+ターバシル ダイウロン 図4 果樹園における3種類の土壌処理型除草剤の処理後90日の土中移動距離 田;メヒシバ,ロ:オオイヌタデ

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94 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号(1991) は柑橘に対して極めて安全で(5,6),また茎葉処理効果もある程度召するので以前は柑橘園でよく用いられたが,残効性 がやや短いこととグリホサートの出現によって,現在はあまり使われていない.ダイウロンは種々の果樹に対して安 全性が確認されており,ほとんどの果樹について登録をしている(7).効果の面では,ダイウロン+ターバシル混剤より も劣るので,この混剤の登録のない落葉果樹で,プリグロツタス+ダイウロンの混剤として仙部利用されている. 土壌処理型除草剤の残効性の減退は,薬剤が土壌表面から消失するために起こると考えられる.その1例として, 図4に示されるように,ダイウロン+ターバシル混剤およびプロマシルは処理後90日で17cmの土壌移行性を,ダイウ ロンでも13cmの移行性を示し,比較的短期間に土中を移行すると考えられる.このことから,これらの除草剤の残効 性の減退はこの移行性に関係していると推察される.また,土中の移行性は果樹に対する安全性についても影響を及 ぼす.供試した3種類の除草剤は柑橘に対する安全性が高いことが証明されており,実際に利用されているが,根の 浅いブドウでは,農薬登録を持つダイウロンでも,特に砂質土において薬害が心配されている.従って,土壌処理型 除草剤の果樹に対する安全性は,薬剤の土壌中の移行性に加えて,果樹の種類と.士頗の種類を考慮して明らかにされ ねばならない. 土壌処理型除草剤は,果樹に対する安全性の面で,茎葉処理型除草剤と比べて好まれない場合が多しゝ.これは,安 全性が果樹の種類や土壌の種類によって変動し,安全性の証明が困雄であることに起因する.しかし,本研究でも明 らかなように,土壌処理型除草剤の長期抑畢効果は,労力軽減の観点から望ましい特性である.従って,より適切な 除草剤利用を行うためには,安全性の高い除草剤の開発を待つと同時に,薬害発生の原因を究明して,これらの土壌 処理型除草剤の利用可能な場面を明確にする必要があると思われる. 文 (1)高橋健ニ:雑草研究,33(4),24ト246(1988). (2)鈴木邦彦:農業技術,44(9),415−419(1989). (3)広瀬和栄:雑草研究,17,ト7(1974). (4)真部 桂,出口秀夫,・三木政数,薮木広幸,伊藤 松雄:香川大農学報,42(1),123−130(1990). (5)高橋健ニ,坂井義春,原田 豊,広瀬和栄:雑草 献 研究,23(1),28−32(1978). (6)高橋健二ほか:雑草研究,23(2),85鴻0(1978). (7)植木邦和,松中昭一L:雑草防除大要,養賢堂,東 京(1978) (1990年10月31日受理)

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参照

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