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コウモリガ幼虫の加害植物について-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

コウモリガ幼虫の加害植物について*

於 沢

寛,農 村 啓 輔**,小 浜 礼 孝***

l 緒 口 近年コウ・モリガ併用αざざ〝・ゞによる果樹,林木その他の萄用植物の広渕にわたる被害が,ようやく問題視されよう としていることは事実であるが,しかし退憾ながら現在の段階でほ,これらの生態ほきわめで曖昧な点多く,防除対 策上大きな支障を来たしている“ことに本邦西南暖地でほ,コウモリガ」門ねSSα・SβズCγβSCβ〝一ざBuI†ER,キマダラコ ウモリj瑚肌S〝S房g乃卓々γWALXER に・よる落葉果樹餅の暴害が目立ち,また,キリ,オサーブなどの有用樹の被害 が大きいが,最近長野県下でほ,ムギ,†ウ・モロコシなとの集団的な大被賓も見られると伝えられており(1n),はな ほだ深刻な問題となっている.ところで現実の問題として,コウモリカの被害ほ,今でも一種の不明の奮虫の仕業と して,とくに問題を追及せずにほうむっている場合も少なからず存し,また不合理な処置がとられていることもある ようで,コウモリガ旗の生態究明は,ほなほだ急を要することのように思われる 筆者らほ,昭和36年(1961)以来,これらの生態に関する研究を開始し,その叫環として−,今回コウ・モリガ幼虫の加 害植物についての調査を行なったので,以下にそれらの調査結果をのべることにするが,不備の点ほ・なお,今後の調 査に.よって補っていきたいと思う 本文に先だって,この調査研究に熱しな助力をいただいた徳島県中村中学校教諭梅岡倣朗氏,同県木頭中学校教諭 坪内勝氏ならびに本学応用昆虫学研究室専攻学生諸君に対し,厚く御礼申上げる 丑 調 査 方 法 今回の加零植物の調査は,林地,餌場,果樹園,庭園などの意図的な踏査を主とし,時に筆者らおよび協力惑らに よる野外における偶然の発見をそれに加え.たノノ果樹園などの被害実態調査は,植栽見取図をもとに・して果樹の種研ご とに.2人組を作り,1本ごとに見落Lのないように注意して一笑施した Ⅲ 諏 査 成 績 1.加害植物 コウ・モリガ類幼虫の加害の対象となる植物ほ,はなほだ広沙Lにわたっているようであるが,とくにコウ乍リガ,キマ ダラコウ・モリの加害をうける植物の数が多いnコウモリガの加害植物に関する従来の断片的な記録を綜合すると(1−10), 今日ではかなりの多きに達してほいるが,それでもなお不十分なもので,かねてよりそれらの再調査の要が存した 筆者らがこれまでに調査して知りえた加害植物と従来より知られたものを綜合すると,第1表のように,43科, 103種となるが,これらの中にほ,同時にキマダラコウモリの加害をうけるものも若干存するようである ところで,こうし た各種の植物に幼 虫が食入する時期 であるが,この点 は現在のところつ まびらかではな い〃 ただ,5月上 旬ないし下旬頃, 第1図のように春 新らしく伸長をは (A) (B) 第1図 春季若令のコウモリガの食入をうける用水路わきのヤナギの若枝(A・B) *香川大学農学部応用昆虫学研究室業鼠No.62 **徳島県立板野高等学校 粕*囁島原立徳島畏光電等学枚勝浦園芸分校

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香川大学農学部学術報告 第1表 コウモリガの加害植物 トクサ科 執成sβ′〃Cβα♂ ス ギ ナ 動画・Sβf〝沼αγぴβ乃.SβL.* マ ツ 科烈睨肌燭 ク ロマ ツ」円抑甚・S rゐび舛みg′gf PARL.* ス ギ 科 r椚制が此βαβ ス ギ qγク如仰7査α声ゆβ〃わαDりDON.* メ.タセコイヤ 掘如明関南動座蝕血血繭ぎ Hu et CHENG ヒ ノ キ科 C〝♪γβS。ざα・βα♂ ヒ ノ キ・C如槻鱒炒励S∂如〝ざαENDL小 ドクダミ科 5ααγ〝γ〝β〃g 一丁クダミ ガ摘抽仰威=∂γ♂αfαTKUNBれ* ヤナ・ギ科 ぶβgゐαC♂〃♂ ポ プ ラ 月抄録J〝ぷ〃言g′〃 Lい Var∴ 如g如 Du,RoI ドロ ノキ 動画血ざ肋如甜≠とg言古H】;NRY.. カワヤナギ 5初動1㌢仇瀦ね秒血MIQ.. シダレヤナギ 如才£.ガみα∂γわ〝言おL. コリヤナギ ぶ〃助血ゆα搾αg言KIMURA アカメヤナギ.勤撤=血脚拗㈲賊励ゞKIMURA ウソリュり ふ頭玩」相加.㍑め抑α Ⅸ0IDZ.var・.. れ冴‘〝〃.SαⅤILMORIN クルミ科.ルgJα搾dαβα♂ クルミ /〝gJα舛ぶク,昭〝d.sゐ〟タ如MAXIM* シナノダルミ ルgJ〃那7♂g‘αLり Ⅹ.†.タβgfαL. var\.〃′g♂〝めKITAMlTRA* カバノキ科 β¢f〝Jα♂αク ヤマノ、ソノキ A如が」め.s以gβTuRCZ ヤ・ンヤプシ A加齢極刑αSIEB.et ZIJCC. ブ ナ 科鞄gαCg〃β

ク リ Casianea crenaia SIEB.et Zucc. ナ ラ ¢〝β′C〝ざ.Sβ7′αねTHUNB小 アラカシl釦脚翔音感血肌 TxuNB. ウバメガ・ン(銅材伽=臓勒湘ぬ肋ざA…GRAY ク ヌ ギ ¢〝〝ぐ〝.SαC〟鮎ゞ如紹CARRUTII ク ワ 科 肋′αC♂彪 コ ウ ゾ 伽〝5∫〃〝β鮎励g如0良書SIEB.* カラハナソウ肋桝〝J〝ざエ〟ク〝J〃S L.var\ (ホップ) c鍬相浦如MAXIM..* ア サ C卯沼d娘;鋸南加 Lh* イ ヌ ビワ ダ払〟ゞβγβCねTIIUNB小 タ デ 科.拘布部槻椚鳩 ギシギシ 尺〝ク,仰れ物坤戚購HouTTUYN イ タドリ fわFygonum cusbidaium SIEB.,et

ZtJCC. アカザ科 C彪傲坤如‰肌職 ア カ ザ αお叫地物鯛α肋柳L小Var・… (β乃わりγ〟∂7〝ク好MAXINO* ホウキギ」机祓血5殉匝ぬScERAD.* ヤマゴボウ料理γわgαCα♂膨 ヤマゴボウ邦γわgαCα郎C〟g¢柁ねVANHOUTT…* モクレン科 肋g,∽J加・gα♂ ハンテンボク ム鋸加ね枇れ財巨細々両角靴 L. キソポウゲ科R似㍑恍湖ね甜伐 シャクヤク fbg♂乃ねα塀〃〃招PALl・.for・ma ゐ〃7′¢搾∫ど.s MAI(INO アキカラマツアゐαJお′γ〟∽7Ⅶ〟〝みβ7g古壷Dc〃* アブ■ラナ科 C′弼材邑7α♂ ナ タ ネ、βタ〃Sざ菖cαCα〝ゆ♂・S′′よ・S L.subsp N(ゆusHooI【.filいet ANDERS。Var・. 幻妙♪〃・祓癖犯MAXINO* ダイ コ ン 凡ゆゐα〝〟S.細瀬川.ゞLvar αβ〃才力的〃〝£s MAXINO* スズカケノキ科アJα′〃枇gαβ スズカケノキ (プラタナス) 」印αね乃αg 〃′言β紹′αJfs L. ェ・キノ・=ンタ科動画板柳狛兢 アジサイ 月■γdγα乃gβα,,此捉押♪砂7Jα SERINGE var・..0血血相MAEINO バ ラ 科 メわ.ゞα♂αβ ハ ラ jむ一ざαゐγ∂γ言dαHoRT.. モ モ 乃〟〃〟。S貝汐.ざ言cαBATSC軋 シ シ ョ︶ナ ソノ ヨ PTttltlLS yedoEtllSEs MATSUM(?l* クリ物∫C例朝川加押ね L.vaT・.餌粛掴 DC..* ヤ・マナシ ルね励朋∵rざゐβ邦〃.S鳥£ScHNEID.* クマイチゴ 勉∂〝ゞCγαね♂g彿J払gBtJがGE* キイチゴ 勉∂αSクαg肌αねS TIIUNB..for・ma のクわj埴〆JαゞMAXINO コデ・マリご浄如伽㍑例血液微衷10tJR● タチソミナモ ドキ ア舛棚融飢明研解版ScHNEID マ メ 科 エβg鋸研言抑ざαβ ネム ノ キ A抽抜庖㌧海沼屑!g如DuRAZZい フ ジI掩わ′ねル面貌助加DC.. ダ イ ズ GJy(7言紹♂肋ガMERRILL* ク ズ 助♂γαγゐγゐ〝〝ろ♂7g言α〝αBENTH.* ハリエソジュ.メわあダ〝払Pざ♂〝(わ・d瓜打ねL イタチハギ A仰坤ゐαカ〝≠お∂SαL一. ナウダイグサ科 助タゐ〝タろ言(打♂αg アカメガシワ 肋〃の物一=吻励磁がMtJELL−ARGい ユ・ズリーハ 皿妨触掛軸撒抑川棚肌ゆ痛卿 MIQ, ウルシ科 Aガαα′d言〝♂αβ ハゼノ キ 皮ゐ〟.ゞわ免ゐ〃√αゆαMIQ. ニシキギ料 C♂Jαざ≠7α♂〃♂ マ サ キ 励¢鱒γ∽%ぎ.タ(ゆ∂〝わd THUNBり ブドウ科 γ封α泌郎 ブ ド ウ m肋=加納湘L. ヤブカラシ C‘軍γ†α′ねブ‘ゆβ〝;cαGAG軋 ホルトノキ科風物抑叫脚弛 ホルトノキ ぷ朗狛呵加=払ゆ如g HEMSL フトモモ科卜 月の別物婚〝 ブラシノキ Cd服S細〝.Sクαわざ〝ざD..C小 アカバナ科=(ね縦勅細川00蛾 ツキミソウ 0β,紳′ゐα〃〃(わ′αお.JACQh* セ リ 料 打椚∂β研々γα♂ ニ ソジン か助C祝ぶCαγ〃ねL。.VaT・∴開館昭DC.* カキノキ料 点∂g柁αCβαg カキノ キ 助5♪.γ㌢∂・S励烏g TI王UNB.

(3)

モクセイ科 0ねα伽β オリ−プ 0ねα顔抑叫愉グL ライラック 阜yγfガg(コア〝Jg〃タ言」S L. トネリ コ β柏.扇均が榊0形言c〃虫LtJME ネズミ・モチ エfg〝・Sわ・脚〝/‘ゆ0〃言伽那THVNB. ヒルガオ科 C即納痛腸ねα郁 サツマイ・モ ノ如醗㈲J加地S LAM.var\. β♂〝J吉ざMAXINO* クマツズラ科 yβ1S∂β〃αβαβ ク サ ギ CJβ′〃dの‡d′∂〃f7わゐ¢わ桝柳 TIIUNB. ナ ス 科 5〃7〃ガαβα♂ ナ ス jわJβ〝〝桝夕形βわ〝gβ〝αLい ジャガイモ.馳血糊研ね加抑鋤椚L・ ト・マ†わ購ゆ肌勅仰=邪祝Jβ押払椚MILし・ タ バ コ 〃飯浦釧協γ混嘲伽弼L・・* ゴマノハグサ科 Sc叩が血物庖那明 タイワンギリ 勉わ抑〝gα助弼血桝宣言け0 キ. り 劫〟わ紺”去■αわ押桝ねSαSTEVDEL アカネ科 尺〝みf耽飢好 クチナシ(完動加肺ね一夕〃川功仰揖毎ELLIS f‖ gグ〃批材わγαMAXINO スイカズラ科 C砂相浦の雛 ニワト コ ふ附加蛸が5加わは紘伽BLtJME キ ク 科 C甜噸別府戯 キ ク Cゐ1y抑如仰W椚仰相浦加 RAMAT..var.Sinense MAKINO アレチノギク 励卸仰臥吻ゆ胞・ざWm」いD. ・7 キ釣勉励如.両坤戚〝S MIQ叫 イヌ≡トモギ Aグfβ綱吉・Sね如言・Sゑβα〃αMIQ.. オオヨ・かヂ ノ軸物ぬ鹿γ局部雨S L..var■. 物Jgα如ぶ〝沼BESS* ヒメジ㍉工オン′」動夷押弼昭(椚循肺S L ヒメアザミ C加商研画細政綱MAI【INO* ダ リ ヤ 血塊独り励制由CAVり り 一打√Jf(川〃〃lS〃J川川バL .モ ガ融通励払s払毎州馳S L. ワ イ マ ク ヒ キネ コ イ 科 Gγα∽古乃♂α ギ rγ眈〝研αぎ励跡研L.* ム オ・オ・ムギ 肋γdβ〟明細ggαγβL.var■. ゐβガαS如ノわ〝AscHERSn* ライ ムギ 5♂CαJβCβ′¢αgβL…* トウ・モロコシ Zβα肋γS L.* ・モロ コシ ごわ7gゐ〟桝∂加ゎグMOECⅡ* 苓妄言芸 ̄肋砂gわ畑γβねL* ・ア シ 剖如都政如α糊間戚ざTRINIけS* −こ −ミ キ ^1iscmlEJl汀S SilZeltSis ANDERSS.* かモジグサ Ag′噌ツγ∂乃烏αク㈲.グ吉0‡IWI* サトイモ科 Aγαβββ シ′ヨ ウブ Ac〃γ〝S C(才gα乃紹・S L.var\ αざ由′ゐ〟∫PERS..* ツエクサ科 C肋間形拍∽甜舶 ソユクサ Cの川仰〆加協(職椚彿加抽S Lい軍 ユ・り 科 力賑就郎β エリー・種 上古Jfα椚Sp..* ミaウガ科Z如蛮伽邦肌瑚 ミ ョ ウガ Z古刀g査∂βγ〟わg‘才ROSC.. ・シ・ヨ ウガ Z古刀g£あβγq〝お古抑αJβRosC..* カ ンナ科 C‘J乃乃αβα ノ、サカンナ C(Z押刀αgβ習βダαJ夏S BAILEY タケ炉も加琶するという碩あり小

じめたカワヤナぜその他の若枝やキク類,ヨモギ類などの茎に,劇時に

多数コウ・モリカ1の君命幼虫が食入すること,前年から食入して小る老熟

前の幼虫の加害部における木屑塊の中に・,多数の若令幼虫が棲息してい

ることなどを考えると,ふ化後の幼虫ほ次第にこのような処に食入棲息

し,その後さらに寄主の転換,移動を行なって,いろいろな樹木に本格

的に食入するのではないかと考えられる,事実コウモリガによる被害の

多いポプラやキリなどでほ,第2表のようにり夏以後にわかに加啓虫

数が増加することも明らかである

なお,最近,筆者らの1人小浜は,前年秋産卵されたコウ・モリガ卵

が,4月下旬に.一斉に靡化し,1令幼虫がきわめて雑多な雑草類の茎を

かじって育つことを観察しているが,あるいはこれらは,第1次食入の

前段階といえるかも知れないしかしてそれらの雑草炉までも加害植物

に倣えるとなると,コウモリガ幼虫の加零植物はずいぶん多くの種数に

達するであろう 2.被害のとくに多い環境,樹種

コウモリガによる被害のとくに多い場所ほ,やはり山地寄りの地方や

農村地力に.多いが,傾斜地ブドウ園,学校などのポプラ並木,農村地方

のキリ圃,路傍のクヌギ林,潅漑用水路わきのヤナギ頬,人家周辺の■マ

サキ生垣などのほか,カキ園,クリ園,オ・リー・ブ園などは−脚こ被苔が

*文献のみ.による.以上のほか,なおウリ炉, 第2表 同一俄に∴おけるコウ・モリガの 食入幼虫数の変動 (香川大学農学部構内ポプラ並木,1962) B畳 鸞烈A呈農笑責裟

9︵0542 87456 76447▲

l l l

3467▲6 45243 52234

670090 1つ︼345 1 1111﹁⊥ 計(平均)t 60(4)】116(7・7) (1)Aは年内に.羽化する故に大体相当.. (2)A.Bの蓑ほ春以後新たに増えた数で, その年越冬する数に大体相当い

(4)

香川大学農学部学術報告 大きい・場所によっては,治山治水あるいほ荒廃将悪林地復旧事業の関係で植栽せられたヤシャブシ林,人家周辺の ウバメガシやブラシノキなどの生垣なども大害をこうむることがあるもちろんこのようなところは,もともと彼等 のもっとも嗜好する植物が,多数そこに存在する形をとっているからであろう.しかして・そ・のような場合には,1樹 に多数のコウtモリガ幼虫が樹幹に食入Lて生活することも多く,この間の事情をうら雷きするいくつかの調査成紆を 示せば,籍3−6表および第2図のようであるまったく本種の暴害には警戒をおこたってはならないと思う 第3表 香川大学幾学部付属果樹園に・おけるコウモリガ類による被害実態(1962) A 大富果樹園(面積110α) B 井戸果樹園(面積140‘プ) 第4表 香川大学農学部構内におけるイタチハギ,ポ プラのコウモリガ顆に・よる被害(1962) 第5表 香川児三木町大宮タイワンギリ園におけるコ ウモリガ類に・よる被害(1962) 前年の 被害本 数 (1961) 本年の 被害本 数 (1962) 被害本 前年の 数 (1961)

贋彗雲

樹 種 植栽本数 植栽本数 イタチハギ 34 ポ プ ラ 52

(5)

第6表 香川大学農学部構内ポプラにお けるコウモリガ幼虫の食入部位 分布(19β2) 3: 頻 20 10 度 0 0 ! 2 3 4 5 階 訝 (り封当り虫数) 以上のような植物のほか,自然の山野 では,クヌギ,ネムノキ,イタチハギ, クサギなどが食入される頻度高く,こと にクサギほ,キリ類,ヤデギ規,ポプラ などとともに,彼等のもっとも嗜好する 植物のように思われる 本邦西南暖地の傾斜地果樹園では,こ とにブドウにおける被害が大きいことは 前にもふれたが,この場合,周囲の山林 中にクサギの生育頻度の非常に高いとこ ろもたびたび見受けられる,一般にはお __ノL 0 lさ 6 7 8 9 】 そらく,このような環境におかれた果樹 歩負6 園ほど,コウ・モリガ(あるいはキマダラ コウモリ)の被害もいっそう大きいもの なのであろう ムギ,トウモロコシに串ける大被害は, 近年長野県伊那谷地方において見られて いるが,このようなケー・スは,従来ほほ 度 4 とんど知られなかったことである.おそ c らくこれは,樹木煩に本格的に食入する 以前の,若令幼虫による被害と見られる が,一般的にいうと,若令の幼虫が各種 の草本頬やキクなどに食入する時期甚あ 2 4 6 0 】 2 3 4 階 級 し同 上こ 第2因 数種の樹種におけるコウモリガ食入数の頻度分布 糾タイワンギリ ㈱ポプラ のブドウ(実線)・クリ(点線)00ブドウ たるのではないかと思われる.しかし, いずれにしてこも,長野県の場合のようなコウ1モリカに・よる作物畑の集団的な大被害というのにはおどろくほかはない 3,被 害 様 相 コウモリガの各 郁の樹木における 被害には,いち じるしい特長があ り,カミキリムシ Cβγの乃卑γC揖彪やポ クトウガCo.s.s揖(誕 などの被害とも容 易に区別できる 弟3−4図のよう (B) 第3図 タイワソギリのコウ・モリガによる被害(A・B)

(6)

香川大学農学部学術報告 に,被膏部から出る木原が団子に なってかたまっており(牛糞を思 わせる),そのまま被害ロに付着 しているからである.しかしでそ れを取り除くと,上向きもしくほ  ̄F向きの坑道を作って内部を食害 する様相がわかるが(坑道ほほと んど分岐しない),時に㌧比較的小 さな幹,枚の場合には,皮部,形 成層部を帯状にかじって,その後 崩部に食入もしくは脱出した形跡 を残すこともあり,それらの状況 は第5図に示したごとくである ・\・ !こ 第4図 ポプラにおけるコウ・モリガの加害状況(Bほ捕蛾の た捌こサラン網袋を装着したもの) けれども,キクその他の草本類や コウモリガによ ヤナギ新柄などに食入している場 る帯状食害痕 合の・若令幼虫による被害は,時に他の害虫,たとえば,各種の植物の枝茎に食入する小蛾類ある いほトゥモロコ・:ンなどに食入す・るダイメイチュウ(イネヨトウ,5♂・摘戚αれ毎朝SWALXER)などのそれに類似す るしたがって,ややもするとそれらの被害と見あやまることがあるのではないかと思われる Ⅳ 考 察 以上のべたように,コウモリガ幼虫の加奮植物の種類は,かなり広汎にわたっており,43科103種笹も及んでいる が,とくに甚大なる被害をこうむる植物としては,ポプラ,ヤナギ類,ヤシャブシ,クリ,ナラ,クヌギ,ウバメガ ・=ン,ネムノキ,イタチハギ,でサキ,ブドウ,ブラシノキ,カキ,オリーブ,クサギ,キリ,タイワンギリなどがあ げられる..しかして,このような彼等のとくに噂好する植物では,1樹に教頭あるいほ10教頭も食入加零することが あり,果樹類やその他の有用植物では,強即こよる枝折れ損傷なども加わって,ずいぶん大きな打撃をうけることが ある

しかしなから,これら。ウモリガの幼虫時代の動きを見ると,ふ化後間もない問の,主として草本類に対する芳命

幼虫食入期と,その後に起ると考えられる本格的な樹木食入期とが存するように思われる・したがって,これらの害 虫の食入防止といった乳地からの防除ほ,一応この両時期をねらって,2段階を考える必要があるように思われる・ この点に関してほ,今後なお十分な調査を行なってみたい なお,近年の報告によれば,窓外にもケ−・ブル鉛被(架空ケー・ブルをふくむ)にもコウモリガ類による被零が発生す ることがあるとのことで,本邦でも数例が知られているようである(78)・森林害虫であるウノミクマムシCカα如タカ〃′〃 .ブゆ〃如GORYやクロカミキリ 即叫γ′£1S∂ゆβSわ孟dgS(LINN畠)(両種とも幼虫はマツその他を食害する)がケ ー・ブル鉛被を加害することはよく知られていたが,コウモリガ類もー・方で同様な加害者であるとすれば,これまた大 いに注目すべきことである Ⅴ 摘 要 コウモリガの加害の対象となる植物を調査し,その大要をのべた成於はおおむね次のごとくである・・ (1)コウ・モリガの加害の対象となる植物は,43科103種に上ったが,その中とくにはなほ・だしい被害をこうむるの は,ポプラ,ヤナギ類,ヤシャブシ,クリ,ナラ,クヌギ,ウバメガ・ン,ネムノキ,イタチハギ,マサキ,ブドウ, ブラ、ンノキ,カキノキ,オリ・−ブ,クサギ,キリなどであった (2)コウモリガの若令の幼虫ほ,各種の樹木に食入する前に,キクその他の草本植物に食入することもまれでな く,花井園芸的な見地からも注意すべきものであることがわかった1 (3)とくに.コウモリガの嗜好する樹木においては,被害率が高いばかりでなく,彼等の1樹あたりの食入数もいち じるしく大で,強風などによる枝折れ損傷を招く事態が非常に多く見受けられた・

(7)

参 考 文 献 (1)江崎悌三,掘浩,安松涼三:原色日本昆虫図説,157 −1乳東京,.三省堂(1939) (2)−▲−,外5氏:原色日本蛾類図鑑(上),7−8, 大阪,保育社(1957) (3)福田仁郎:果樹害虫篇,20ト202,東京,須賀堂 (1961). 匪)井上寛,白水隆:原色昆虫園鑑(蝶蛾筋),東京, 北隆館(1959) (5)石原保:農業昆虫大要,143十144,:東京,養賢堂 (1963) (6)石井賢三,保坂徳五郎:植物防疫,15(4),17− 19(1961) (7)石井悌,外フ■氏:日本昆虫図鑑,436,東京,北隆 館(1953). (8)小山長雄,滝沢達夫,北見俊男:信州大織研報, (10),140−155(1960). (9)宮水秀雄:電気通信所経過資料,(763),ト67 (1959) (畑 斉藤孝蔵:森林昆虫学,159−161,凍京,朝倉番 J苫(1957) ㈹ 高橋保雄:植物防疫,17(3),25−30(1963)

On the focdplants ofthelarva oftheswiftmoth,PhassusexcrescensBtJJrLER HiroshiMATSUZAWA,Kdsuke ToYOMURA and Yukitaka KoxAMA

Summary The descr・iption of the r・eSearCh on theiood plants of thelarva of the swift moth WaS madein the pr・eSent paper.The results of the resear・Ch are summarized as follows:

(1)The damage of the plants such asβ坤ulus,Salix,Alnus,Casianea,Queycus,Albi2Zia,AmoTPha, 伽ナV,muS,Viiis,CalLislemon.DiospγrOS,Olea,CleYOdendYOn,n2ulou,nia was especially great,although the number of species of the food plants of the swift mothlarva。Phassus excYeSCenS BuTLER. reached43families andlO3species.

(2)It was observed that the younglarva of the swift moth,eatSinto the stem of variou herb−plarltS SuCh as Ch7:ySanihemum,Can7W,etC… Very OLten,Previous to the reaユ boringinto the various woods.Therefore,it must be recognized that the fact mentioned aboveis very n6ticeable from the flor・iculturalpoint of view

(剖 Not only the r・ate Of damage of the trees but also the numberof bor・ingsirltO the woodper

tree was gr・eat When the swift mothlar・Va attaCks their favorite trees,and,aCCOrIdingly,thecases Of the brIeak down of the branches or the trunks by the str・Ong Wind were observed very often.

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