愛知工業大学研究報告第11号
ラック型工具による歯車の仕上転造法
(素材の形と製品精度)
久
野
精 市 郎
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Forming Gears by the Rack Die System
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KUNO
転造力は仕上げ転造でも相当大きな{直となり, ζれが製品精度K影響するが,それは主としてその力 を受け持つ素材の形で、変化する. そこで,高圧力角・低歯,
m = 1.5, Z =27の一定要目で材質,転造代,工具の形,速度等の加工条 件を伺ーにし,素材の形を変更してp ラック形の自由駆動で転造した.しかして,実験前後の測定から, それらの誤差の発生状況を考察し,最良の素材の形を示した。 まえがき 歯車の転造に作用する力は,仕上げ転造でも,ホブ切 りなどの切削加工l乙比べて相当大きなものとなる(1)と くにラック型では,その生産性から圧力角は大きい程有 利(2)となるが,また工具の押し込み力も大きくなる. 転造の際に生ずる力は,それを受け持つ素材の形状に より,その製品精度に影響すると思われるが,仕上げ転 造についてのこの種の報告はされてない. 与えられた歯車要自に対しては,素材の形により空ず る誤差の様子を確認し,その影響の少ない範囲与を求めて おくことがまず必要になる.そこで,乙乙ではラック型 に有利な自由駆動方式(3)により,装置・工具・速度等の 転造条件を同一にし,素材の形と精度との関係を実験的 に求め,その好ましい形状を示した.2
条 件 歯部の形状は基準圧力角 250,歯末の丈 0.8m,
歯元 の丈 1mの高圧力角・低歯とした.また,モジューJレ は1.5,歯数は27,歯巾は10問とした. 素材はニッケルクロム鋼21種SNC21とし,これをホ ブ切りにより,仕上げ代0.12仰を残して前加工した. 歯底には約0.4仰の逃げミゾをつけた.乙れら素材の形 状・寸法を表11乙示した. 工具の材質は合金工具鋼Dll
種SKD
l1とし,熱処理 ・歯面研削後の表面硬度を HRC55~58 とした.基準歯 部の長さは約500仰で,この聞の単一ピッチ誤差は5μ, 表1
素 材 の 形 (a)内径・ボス巾の変化 (伽) 1 8 2 0g
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(b)ボス外径の変化 (1/1111)E
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30 ] 30 ] 30D
]33 ] 31 ] 29 (c)歯の位置の変化 (711711)e
1
I 201 15 f2 I 0 1 53
8
久 野 精 市 郎 累積ピッチ誤差は171'である. 転造には切削油を使用し,その線速度は約2
.
5
m/min,
転造時間は約1
5
秒とした.3
実験結果および考察 多くの測定項目のう,ちここでは主要な単一ピッチ誤 差,歯ミゾのフレを取り上げ,その推移を検討した.3
.
1
内径・ボス巾の変化3
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.
1
単一ピッチ誤差 内径別の変化を図u
こ,ボス巾別の変化を図2f乙示し た. (1) 図 1 では,単一ピッチ誤差は内径寸法 18~22 世 にはあまり関係なく,ボス巾がの小さいものがわる い.巾が 30~40 になると,いずれも転造後の方が 良くなっている. (2) 図2ではこれらの傾向がはっきり出ている.ボス 巾10では内径寸法に関係なく,全てわるくなる.巾 20でやや改善され, 30, 40になると安定する. 30 足 ミえ 10j 〆亘ミえ 30 雪 道 ?~ 20 でl却町 10 A A1> A "'A A o e A AAe a e20 e。
10 20 伝 送iliJ(f.1m) (a) 18ct A・
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10 10 20 転 造 liii(11m! (b) 20品 ボスIIJ:.e10mm L>20 .. 30 o 40 図1
単 一 ピ ッ チ 誤 差 ( 内 径 別 ) 30 臣 ) ミ之#
30 ミ 居L 章 生 組 20 i説 ~ 40 道 百 期 j説30 50 ミ E 王国 40 五H ; 亙 30 20 30 ご 昆1 @ e e A圏 直 ) E E aう
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10 10 20 10 20 転 造 前 (μm) 転 造 前 (μm) (c) l甘30 (d) rt40 .20世,園22ct1)~1主 ....18cþ
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単一ピッ A A A.
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ー〆-dノaa/, @e -a 。@〆aes A 。av ga/o 20 30 20 30 転 造 前 (μ田) 転 造 前 (μm) (a) 18世 I(b) 20世 ボス巾 '"10mm LI20 • 30 ム。
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. 0 20 30 転 造 前 (μm) イc) 22世 図3
歯 ミ ゾ の フ レ ( 内 径 別 )ラック型工具による歯車の仕上転造法(素材の形と製品精度)
3
9
(3) 単一ピッチ誤差は,内径よりむしろボス巾に影響 される.図 1・
2よりボス巾は 30は必要と恩われ る.巾 40になると 30よりやや良くなる傾向にはあ るが,その値は多少ぱらっし3
.
1.2歯ミゾのフレ 内径別の変化を図 31乙,ボス巾別の変化を図 4に示し た. 50 1言 ミ ミ ぷ 手当.40 40 開 4 ~ とえ 組 ~'I 30 i単.
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30 A .20 A 20 30 転 造 前 (μmj 20 30 転 造 前 μlm) Cb) r甘20 Ca) Ilno&
30 巡 f~ l説20 ハu n U 3 2 ( S 3 刑供出巾単:y
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a a 20 30 20 30 転 造 前 (μm) 転 造 前 哨 間 / (c) 巾30 ,(d) IIJ40 内径:A 18世, .20世,医22世 図4
歯ミゾのフレ(ボス巾別) (1)歯ミゾのフレは,それぞれの内径寸法には関係が なく,ボス巾 10ではすべての内径のものがわるい園 内径 22は と く に わ る し 巾 10はいずれも無理な形 あることがわかる.巾 20では相当改善され, 巾 20 ので内径 18では安定してくる様子がうかがえる. (2) ボス巾 30になると全体に安定してくる.この巾に なると内径の大小はあまり関係なし転造前の歯ミ ゾのフレが改善されないで残る傾向がみえる. 巾 40では,巾 30に比べて改善の傾向はみられない. 乙れは内径に対してボ、ス巾がやや長いため,素材の 精度が出しにくくなり,転造前もあまり良くない が,転造後も改善されていない. (3) 歯ミゾのフレに関しでも,内径よりボス巾寸法l乙 影響され,したがって巾の適切な選定が必要にな る.乙の要目の歯車では,ボス巾 30程度がよい.3
.
1
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3
平均値の変化 単一ピyチ誤差および歯ミゾのフレを試料各5個の平 均値で整理し,図 5・
61乙示した.jjbb?
10 20 30 40 ボス巾(胴) (a) 内径・巾別 ロ ﹄ 立 )仁
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一,~J二] ハ U n L 洲 町 冊 h 言、 三J 卦 10 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 内径 (mm)I (b)巾・内径別 市M宣前一→転造後,を示す。それぞれ誠料各51悶の平均値 図5
単一ピッチ誤差の変化(平均値) 世 40 ,~ミ, 内径18 I ," l)jI}!Z2 ~ 弓3G ij
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フ 18 20 22 径(問〉 18 20 “2 1司 (b)巾・内径別 転 造 前 一 → 転 造 後 , を 示 す 。 そ れ ぞ れ 試 料 各5個の平均(1,'( 図日 歯ミゾのフレの変化(平均値) (1)各値の平均値で比べてみると,それそれの傾向が よく表れている.巾 30,40では巾 10,201乙比べて非 常に良くなる.単一ピッチ誤差は巾 30,40では転造 により改善される傾向にあり,歯ミゾのフレもこの 間で安定してくる. (2) 内径 18~22 範囲では,その値に関係なく,ボス巾 は30または 40とすべきである.総合的には内径 20, ボス巾 30近辺が良いと思われる。精 市 郎 野 久 40
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W M 転 造 前 (μm) 転 造 前 (μ冊) (心単一ピッチ誤差 (b)歯ミゾのフレ ボス外径:.35世, 0 33O, ....31O ,ム 29世 ボス外径の変化と精度 ハ U n U 瓜 4 & η 〆 制 ( E 孔)縁側ベ山掛 内径寸法の変化3
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転造による素材内径寸法の拡大量を図7に示した. n u n U η ' U 噌 ' ム (臣孔)耐神鋼単V
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内 径 寸 法 の 変 化 15日 100 50 官 乱 ) 胡 リ ミ ヰ ( 主 主 図8
平均して約5μ程度増加する.歯ミゾのフレは,歯が 中央より5
m
m
寄っている場合は平均で約1
0
f
t
,
端部 にある場合では1
5
f
t
程度わるくなっている. 50 A図?
(1)仕上げ転造では,その転造力は少いが,素材の内 径寸法は相当拡大し,これを無視することはできな い. ボス巾10の各内径,および巾 20の内径 22の はとくに大きくなり,転造歯車としては使用不可で ものある. .a .4..:4 .... A A .0. n U ハU 4 4 & n ぺ U ( 臣 ろ 謝 枠 制 閉 山 叫 ハ H ν ハ H v η、 υ n 〆 ( 宮 E 孔 3 ) 刷 縦 叩 制 沼 巾 山 単 叫 (2) 一般に内径寸法は小さいほど拡大量は小さく注 る.しかし,全体の形に対して相対的に内径を小さ くするζとは,その精度が出しにくくなる.また転 造事由も細くなり,転造中の変形も生じやすく,結果 としては好ましくない. ・ノ•
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転 造 前 (μm) 転 造 前 (μm) 鵠の位置:.中央,企 5mm寄り,ム端部 図9
歯の位置の変化と精度 4・
20 10 (3)歯ミゾのフレの内径・ボス巾別の転造による平均 値の変化(図6) と,この図 7とはその傾向が非常 に類似している.拡大量の小さいものは転造後の歯 ミゾのフレも良く,大きいものは悪い.すなわち, 歯ミゾのフレの悪化には,内径す法の拡大が原因し ていると思われる.したがってζの拡大量の少い範 囲の形を選定するζとが重要になる. (2) したがって,当然ながら転造する場合の歯部はボ スの中央に付けるべきであり,中央部にないとき は,中央に付けて転造後片方のボスを切り取るよう にするとよいであろう. ボス外径・歯の位置の変化 素材の内径を20,ボス巾を 30と一定にし,他の転 造条件は3.1項と同一にした.3
.
2
(1)与えられた各要因に対しての転造前の素材のボス 巾,内径はそれぞれ3
0m
m
,
2
0
仰が適当である. (2)素材の形による製品精度の低下は,その内径寸法 よりボス巾寸法に左右される, (3)製品精度の低下は転造後の内径寸法の拡大により 左右される.その拡大は主にボス巾寸法i乙左右され る.またその債は転造後の歯ミゾのフレの値と非常 に関連する. (4) ボス外径は 33~35 程度は必要で・ある差支えない. 限り与えられた要目での最大値35とすべきである. (5) ボス巾に対し,歯部はその中央に付けるべきであ 筈.... 白岡 結4
ボス外径 ボスの外径寸法を変化させた場合の結果を図8K示 した.外径33では標準形の 35K比べて殆ど差がな い. 31, 29になるにしたがって単一ピッチ誤差はや や多くなる傾向にある.歯ミゾのフレは 31, 29にな るにしたがって明らかにわるくなる.したがって,乙 の形ではボス外径は 33~35 程度とすべきで,差支え ない限り35とすべきである.3
.
2
.
1
3
.
2
.
2
歯がボスの中央部にない場合の結果を図9K示した. (1) 単一ピッチ誤差は歯が中央にある場合に比べて, 歯 の 位 置ラック型ヱ具による歯車の仕上転造法(素材の形と製品精度) る. 参考文献 (1)久野精市郎,ラック型歯車転造装置に作用する力1[. ついて,精機学会秋期大会前刷 (1972)104 (2)久野精市郎,転造歯車の歯形寸法について 愛工大 研究報告8(1973) 161 (3)久野精市民~,ラック型工具による歯車の仕上転造法 (駆動方式と位相誤差) ,精機学会秋期大会前刷 (1973) 197 (昭和51年l月10日受付)