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早生温州の着色に及ぼすリン酸カリ液肥の葉面施用の影響 III. 着色始期及び着色期の散布施用について-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第38巻 第2号 55∼61,1987

早生温州の着色に及ぼすリソ酸カリ液肥の葉面施用の影響

Ⅲい 着色始期及び着色期の散布施用について

樽 谷 勝,出 口 秀 夫,三 木 政 教

RIND COLOR OF WASE SATSUMA MANDARIN AS AFFECTED

BY FOLIAR APPLICATION OF POTASSIUM

PHOSPHATE LIQUID FERTILIZERS

Ⅲ ApplicationinAutumnColor−Breakeand/orColoringPeriod

Masaru KuRETANI,Hideo DEGUCHIand Masakazu MIKI

Ef董ectsolfoliarapplicationof potassium phosphateliquid fertilizersincolor−breakeand/orcoloringperiod on rind color development and fruit qualityof20year−01d wase satsumamandarin we∫e Studied

1Rind color development o董individualh・uit treatedwith the spray was mo∫e uni董orm and deeper than that oi contr01

2 The treatment tend toincrease sugar content and acidity,but juice EC was not affected constantly 3 The treatment advanced coloring andincreased the ratio of good−COlored huit to the totalyield

前報に続いて1985年に,香川大学農学部附属農場の20年生温州ミカンの「三保早生」を供して,E月末期の着色始 期及び10月中旬の着色期におけるリン酸カリ液肥剤の菓面施用が,果皮の着色状態並びに果汁の糖度,酸鼻等に及 ぼす影響を調魔した。 1収穫前樹上果(11月8日)及び全樹収穫果の各5日後における果実の部位別着色状態ほ,着色始期散布(1回 処理)並びに着色始期・着色期散布(2回処理)ともに,無施用対照区に較べて着色程度判定値が高く,果皮全面 の着色状態が優れた。 2前項調査果の果汁調査によると,糖度については供試のリン酸カリ液肥剤のうち,リソ酸ニカリウム剤におい て高い値を示した。酸鼻はリン酸カリ液肥剤散布施用の各区において,無施用対照区に較べて高い含鼠を示す傾向 がみらわた。果汁ECについては散布時期,回数別及び各相互間に,一定の傾向は見られなかった。 3収穫果の着色程度別果遥の割合ほ,供試のリン酸カリ液肥剤散布施用の各区でほ,着色不良果(緑色の多い果 実)が少なく,着色良好果の割合が無施用対照区に較べて約8%高かった。 緒 口 前々報1)の盛夏季散布及び初秋季散布施用の場合に較べて,前報(2)の着色始期(蛍尻期)のリン酸カリ液肥剤の散布 施用が,より効果的・合理的であることを報賃した。 本報では前報2切実験結果を反復して確かめるとともに,リン酸カリ液肥剤の散布施用が,早生温州の着色状態及 び果汁中の増糖,減酸に及ぼす実用的効果を期待して,1985年に果皮の着色始期(9月末期)及び着色期(10月中 旬)における薬面散布施用の実験を行った結果について報告する。 材料及び方法 1試験区分及び散布施用の時期・方法 本学附属農場で前報と同様の早生温州「≡保早生」の20年生樹を,各区5樹ずつを供した。試験区として無施用対

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香川大学農学部学術報告 第38巻 欝2号(1987) 56 照区のほかに,次の各区を設けた。 含PK液肥300倍区:神協産業株式会社製のSMF−1液肥(水溶性リソ酸4”0%,水溶性カリ60%,他に海藻エキス 含有)の容盛300倍液散布。 リン酸−カリウム500倍区:和光純薬工業株式会社儀,KH2PO。=1360,1級の重盈500倍液散札 リソ酸ニカリウム500倍区:半井化学薬品株式会社製,K2HPO4=17418の重義500倍液敬礼 供試液肥剤の散布施用時期及び回数は,着色始期散布施用ほ9月30日に1回,着色始期及び着色期散布施用は9月 30日及び10月14日の2回とした。それぞれ所定の調製液を1樹当たり約3ゼ畠を菓面散布に・よる全樹処理とLた。 なお,本試験にかかわる液肥剤?散布施用以外の肥培管理ほ,当農場果樹部における慣行法によった◇ 2気象状態の概要 本試験を実施した1985年の夏季から秋季にわたる気象状態の概要は,実際の梅雨明けの7月14日以降9月11日まで の間は,ほとんど降雨がなく霧雨・多照の状態が続いた。その後ほ時々降雨もあり晴天もあって,比較的順調な天候 状態で経過した。しかし,例年にくらべて全体的には果実の着色遅延と,それに伴って収橙時期も遅れた。 3調査項目及び方法 (1)果皮の着色状態 1)11月8日樹上採取果の5日後の着色状態 各区の供試樹中より着果状態のよく似た3樹を選び,それぞれより任意に1区当たり15果を採取し,採取後常温下 で5日間置き,11月13日における果実の果頂部,果赤道部,果梗部の果皮の着色状態を調査した。調査は前報(2)と同様 に,農林省果樹試験場(・1977年)作成の『果実の成熟度判定のためのカラーチャート』のオ■レンジ用を使用した。 2)11月18日収穫果の5日後の着色状態 前項の各区選定の調査用3樹について,11月18日に全樹一斉収槙を行い,通常の選果を行ったM級果を任意に30果 とり,常温下における5日後(11月23日)果実の,部位別果皮の着色状態を,前項と同様の方法によって調査した。 (2)果汁の糖度,酸畳,糖/酸比及びEC l)11月8日樹上採取果の5日後の調査 前記,着色状態の調査に供した各区の果実について,さらに任意抽出した6果を−括搾汁しその果汁中の糖度 (屈折糖度討),酸盈(N/10NaOH滴定,クエン酸換算)及び糖/酸比を調査した。同時に果汁のECを竹村電機製作所 製,電気伝導度計CM−53型で測定した。 2)11月18日収穫果の5日後の調査 前記同様に,着色状態の調査に供した果実中より任意抽出6果の−・括搾汁による果汁について調査した。 (3)収穫果の着色程度別果重とその割合 11月18日の一斉収穫の全果について,肉眼選別による着色程度を着色不良果(緑色の多いもの),着色中位果(黄緑 色のもの),着色良好果(黄紅色のもの)に3区分し,それぞれの果実を秤鼓し着色程度別の果重と,その収穫果全藍 に対する割合㈲を調査した。 結 果 (1)果皮の着色状態 1)11月8日樹上採取果の5日後の着色状態 11月8日に採取した果実の5日後(11月13日)における果実の部位別果皮の着色状態を調査した結果ほ,義一1の とおりである。 すなわち,着色始期散布施用(1回)並びに着色始期・着色期散布施用(2回)ともに,無施用対照区に較べて, 各供試液肥剤の散布施用区ほ,いずれも果実の部位別果皮の着色程度を示す判定値が高い。その状態を平均値で比較 した場合,着色始期の1回散布施用に較べて,着色始期い着色期の2回散布施用のほうが,やや着色判定値が高いこ とがみられる。これを供試液肥剤別の各区周差として比較した場合,着色始期の1回散布施用においてほ,各区間に ほほとんど差はみられないが,着色始期・着色期の2回散布施用においては,リソ酸−・カリウム500倍区が叔も高い

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樽谷 勝,出口秀夫,≡木政教:早生ミカンの着色とリン酸カリ液肥の菓面施用

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値を示し,リン酸ニカリウム500倍区がこれに次くイ直を示している。 表−111月8日樹上採取果の5日後の着色状態(任意果) (1)着色始期(9月30日)散布施用 1回処理 果 頂 部 呆 赤 道 部 果 梗 部 平 均 無 施 用 対 照 区 740 5小60 430 5て7 含P・・K液肥300倍区 8..25 6り69 575 690 リン酸−カリウム500倍区 8.28 657 5.86 6小90 リン酸ニカリウム 500倍区 837 6,87 556 6.93 (2)着色始期(9月30日)・着色期(10月14日)散布施用 2回処理 果 頂 部 果 赤 道 部 果 梗 部 平 均 無 施 用 対照 区 7.40 5.60 4。30 577 含 P・K液肥300倍区 809 682 5.73 688 リン酸…カリウム500倍区 856 7小11 611 7.26 リン酸ニカリケム500倍区 8…45 682 5,82 703 2)11月18日収穫果の5日後の着色状態 11月18日…斉収穫のM級果について,5日後(11月23日)における果皮の着色状態を調査した結薫ほ,義一2のと おりである。 表−211月18日収穫果の5日後の着色状態(M級果) (1)着色始期(9月30日)散布施用 1回処理 果 頂 部 果 赤 道 部 果 梗 部 平 均 無 施 用 対 照 区 8小54 745 6“91 765 含 P 小 K液肥300倍区 8.57 786 7。43 795 リン酸…カリウム 500倍区 844 7“78 7.22 781 リン酸ニカリウム 500倍区 8.89 7.67 678 778 (2)着色始期(9月30日)・着色期(10月14日)散布施用 2回処理 果 頂 部 果 赤 道 部 果 梗 部 平 均 無 施 用 対 照 区 854 7.45 691 7小65 含 P 巾 K液肥300倍区 900 786 7,43 810 リン酸一カリウム 500倍区 9小00 789 7小44 811 リン酸ニカリウケ500倍区 887 8“13 7.21 807 義一1の場合に較べて,全体的にはかなり高い着色判定値を示し,着色が進み濃色となっていることがみられる。 これを散布施用時期別,回数別において各区間を比較した場合,表−1の場合とほぼ同じような傾向を示しているこ とがみられる。

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香川大学農学部学術報台 欝38巻 第2号(1987) 58 (2)果汁の糖度,酸鼻,糖/酸比及びEC l)11月8日樹上採取果の5日後の果汁調査 調査結果は,表−3のとおりである。 表−311月8日樹上採取果の5日後の果汁調査(任意果) (1)着色始期(9月30日)散布施用 1匝1処理 糖、 度 酸 盈 糖/酸 比 果 汁 E C 無 施 用 対 照 区 11小0 % 1224 % 8..98 2小20 含P・K液肥300倍区 112 1.468 7,63 218 リン酸−カリウム500倍区 11小4 1434 795 2.20 リン酸ニカリウム500倍区 116 1.452 7小99 2,30 (2)着色始期(9月30日)・・着色期(10月14日)散布施用 2回処理 糖 度 酸 畳 糖/酸 比 果 汁 E C 無 施 用 対 照 区 11.0 % 1224 % 8り98 2..20 含P?K液肥300倍区 114 1477 7,72 240 リソ酸一カリウム508倍区 118 1503 785 220 リン酸ニカリウム500倍区 11小8 1457 8小09 2“22 糖度及び酸鼻についてみると,無施用対照区に較べて供試のリソ酸カリ液肥散布施用の各区において,糖度はやや 高い値を示し,酸量においてほかなり高い含品を示した。したがって糖/酸比でほ酸含鼻の関係から,無施用対照区が 高く,リン酸カリ液肥散布施用の各区は,それより低い値となっている。 果汁ECについては,各区間に一定の傾向はみられない。 2)11月18日収穫果の5日後の果汁調査 ‖月18日−斉収穫具申のM級果の5日後における調査結果は,表−4のとおりである。 表−4 11月18日収穫果の5日後の果汁調査(M級果) (1)着色始期(9月30日)散布施用 1回処理 糖 度 酸 鼻 糖/酸 比 果 汁 E C 無 施 用 対 照 区 116 % 1,177 % 9..86 260 含P・・Ⅹ 液肥300倍区 114 1“242 9小18 2′′60 リン酸−カリウム 500倍区 11小4 1207 9,44 280 リソ酸ニカリウム 500倍区 12,2 1209 1009 2小58 (2)着色始期(9月30日)り着色期(10月14日)散布施用 2回処理 糖 度 酸 鼻 糖/酸 比 果 汁 E C 無 施 用 対 照 区 11“6 % 1177 % 9.86 2.60 含P・− K液肥300倍区 114 1146 995 2.79 リン酸一カリウム 500倍区 12.4 1.184 10.47 2小70 リン酸ニカリウム 500倍区 12小0 1180 1017 2小65

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樽谷 臥出口秀夫,三木政数:早生ミカンの着色とリン酸カリ液肥の菓面施用

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まず,着色始期の1回散布施用についてみると,各調査項目における調査結果の傾向としては,表−3の場合とほ ぼ同様である。しかし,糖度においてリソ酸ニカリウム500倍区が目立って高く,糖/酸比も他の各区よりも高い値を 示している。 次に着色始期・着色期散布施用の2回処理についてみると,糖度に卜おいてこほリソ酸−カリウム500倍区及びリン酸 ニカリウム500倍区が,ともに優れてこいて高い値がみられ,酸含盛についてほ各区間の差が小さくなっておるが,とく に目立った値ほみられない。したがって糖/酸比は,リン酸−カリウム500倍区及びリン酸ニカリウム500倍区におい て高い値となっている。 果汁ECは,散布施用の時期別・・回数別及び各区間の値には,いずれも十定の傾向はみられない。 (3)収穫果の着色程度別果垂とその割合 11月18日の全樹収穫果の着色程度別の果蛋と,その割合を調査した結果ほ,表−5のとおりである。 表−5 収穫果の着色程度別果重とその割合 (11月18 (1)着色始期(9月30日)散布施用 1回処理 着色不良果 着色中位果 着色良好果 収穫果全盈 (線色の多い果) (黄緑色果) (黄紅色呆)

無 施 用 対 照 区 175Okg(100) 37“Okg(211) 12Okg(6..9) 126,.Okg(720) 含 P・Ⅹ液肥300倍区 158.0 (100) 130 (82) 170 (108) 1280 (810) リン酸−カリウム500倍区 1725 (100) 12ノノ5 (72) 19小0 (11小0) 141。0 (81.7) リソ酸ニカリウム 500倍区 148,5 (100) 12小0 (81) 195 (131) 117“0 (788) (2)着色始期(9月30日)・着色期(10月14日)散布施用 2回処理 収穫果全重 着色不良果 着色中位果 着色良好果 (緑色の多い果) (黄緑色果) (責紅色果)

無 施 用 対 照 区 175…Okg(100) 37Okg(21小1) 12小Okg(69) 126Okg(72小0) 含 P・Ⅹ液肥300倍区 1995 (ユ00) 19.5 (98) 130 (65) 167.0 (837) リン酸一カリウム500倍区 184小0 (100) 19..0 (10。3) 180 (99) 1470 (79.9) リン酸ニカリウム 500倍区 1695 (100) 110 (65) 22小5 (133) 136小0 (80..2) 注:()は収穫果全藍を100とした各々の割合(%)を示す。 すなわち,表中旧及び(2)の散布施用の時期別・回数別において,無施用対照区に較べて供試のリン酸カリ液肥の散 布施用の各区は,(1),(2)の場合ともに相互間に多少の差異はあるが,総じて∴着色不良果とみなされる緑色の多い果実 が少なく,着色良好果の割合が約8%層度高いことがみられる。 この場合,リン酸カリ液肥剤の散布施用によって着色良好果の割合は高くなっているが,供試の素刹及びその濃度 による明確な差異ほ見られない。 考 察 植物栄掛こおける各元素の生理的機能や動態についてほ,植物栄養学の興味ある問題として,詳細なる究明がなさ れているところであり,作物栽培において肥培管理,収鼻及び品質に関与する事項として,重要な要件と考えられる ところである。 本研究における軸・連の早生温州iこ対するリン酸カリ液肥剤の散布施用試験の結果,果実の着色を早め,またその着 色濃度を高め,あるいは果汁の糖度及び酸鼻に対して影響を及ぼすことがうかがわれたことは,植物栄養としてのリ

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香川大学農学部学術報告 第38巻 算2号(1987) 60 ン酸及びカリの菓面施用が,果実の着色作用をはじめ,果汁中の糖,酸盈の生成,体内栄養の代謝作用等に関与して いることの事実的現象とみるべきことであろう。 尾崎(3)∴態沢(4)らによれば,一般にリン酸は核タンパク質の重要な構成成分であって,生化学反応に重要な位置を占 め,カリほ光合成能力に影響するものとされている。また両元素とも,とくにチッ素代謝及び炭水化物代謝との関係 が大きく,これらの欠乏あるいほ過剰は,タンパク質の合成または分解に対して重要な影響を及ぼすことを述べてい る。 また,鈴木(5)は果樹の無枚栄養の生理的役割と果実の品質との関係について述べ,チッ素は細胞核や原形質のタン パク成分であるとともに,葉緑素の主要構成元素であり,果実の生産に対しその欠乏は隔年結果,果実の大きさ,着 色不良に影響し,チッ素の過剰ほ果実の収盈,体内の炭水化物とチッ素との関係の不均衡を招き,生理的落果を多く し,果実の着色不良や成熟遅延,さらに甘味不足や品質の劣化をきたすとしている。リソ酸ほATP,ADPの構成成分 として.=ネルギ一代謝に対し,またDNA,RNAの構成成分としてタンパク賀の合成や退伝の場において重要な役割を 演じ仁炭水化物の合成・移動に関係するとしている。リン酸が欠乏すると−般に果汁中の酸が増し,とくにミカンで ほ小果で,果皮が厚くなるなど品質不良となる。柑橘のリン酸過剰では,果実の着色不良,糖,酸,ビタミンC含盛 ほともに減少する,としている。カリほ細胞内での物質代謝が正常に行われるための原形質構造の維持や,PH,浸透 圧等の生理的状態の調節に,K+として作用していると考えられ,カリ欠乏によってタンパク代謝が乱れ,光合成能の 低下やデンプソ合成の阻害が認められ,有機酸代謝との関係も論議されていると述べている。そして、カリが欠乏す ると,柑橘でほ果皮薄く,酸が少なく糖が高くなり,腐敗しやすく貯蔵性が低下する。カリ過剰でほ,とくに柑橘で ほ着色が遅れ,果皮厚く,糖が減り,酸が多く,品質ほ低下する,としている。

なお,鈴木(5)及び鈴木ら(6)の記述及び報告において,柑橘果実の品質とリン酸施肥の関係に、ついてlま,数多くの報告

がなされていることを挙げている。しかし,多くの実験例が土壌施用あるいは砂耕試験によるものであり,必ずしも リン酸の多晶施用が,果実の着色及び品質向上にプラスしたという結果ほ何−つ見当たらないのも事実であるし,依 然としてリン酸の多用が高品質につながるものと確信され,その重要性が強調されている場合が多いのも事実である とし,これに関連してリン酸と果実の着色との関係でほ,温州ミカンにおいて着色間際の果実に,第一リン酸カリま たは第一リン酸石灰を硫黄合剤に混ぜて散布すると,着色を促進することが認められているが,この効果を否定する 成績もある,と加えている。 さらに同記述の中において,このよ、うなことからすれば湯田(7)の言うように,果樹に対するリン酸の肥効を,土壌施 用に求めることは困難であろうと思われるので,葉面散布によるリソ酸の施用を再検討すべきである,と指摘してい る。この指摘の並びに別に湯田ら(8)の行った実験成績の示すリン酸の菓面散布における報賃は,筆者らの研究との関 連において興味あるものとして共鳴するところである。 上記,やや冗長にわたる引用を・行ったが,リン酸及びカリをり含む肥料または菓面散布剤の施用と,果実の品質との 関係に、ついての考察,所見等の観点からすれば,既報の筆者ら(12)が行った早生温州こ対するリン酸カリ液肥剤の共面 施用が示した着色促進及び着色濃化への影響は,リン酸及びカリの菓面散布によるプラスの効果とみることができよ う。 しかし,筆者らが着目するところは,当地方における早生温州の着色促進及び品質向上を目指すものである。前報 く2)及び本報における着色始期または着色期のリン酸カリ液肥剤の菓面施用試験の結果が示す成掛ま,土壌施用による 場合とほ異なるものであって、むしろ着色始期及び着色期におけるリソ酸カリの菓面施用による事前予測的着色促進 のコントロー・ル法であると考えられるものである。 このような視点からすれは本研究における試験結果は,供試の栽培地の立地条件,品種等の差異のほかに,散布施 用を行う時点における樹体内栄養の均衡性,あるいはいわゆる欠乏,過剰の程度差に基づく栄義調節の作用性と,施 用効果の現れカの相違による影響と見るべきが妥当な見解であると考える。したがって,当地方の早生温州栽培にお いて着色促進によって収穫時期を早め,さらに少しでも着色の外観,品質及び食味の向上をほかるための対策技術と して,9月下旬∼10月上旬−ヰ旬におけるリン酸カリ液肥剤の適当な濃度の菓面施用ほ,ほほ安定的に有効な方策で あると言えよう。なお一層この方法が確実に安定的効果を挙げるためには,種々の栽培にかかわる条件要因との関 連,とくに着色始期ごろにおける菓面施用効果の現れるメカニズムについての解明が必要なことであると考える。本 研究が大方に資するところがあれば幸甚なことである。

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樽谷 勝,出口秀夫,三木政数:早生ミカンの着色とリン酸カリ液肥の菓面施用 61 引 用 文 献 (1)樽谷 勝,寺尾 勇:早生湿州の着色に及ぼすリ ソ酸カリ液肥の菓面施用の影響,Ⅰ盛夏季散布 ・初秋季散布について,香川大学農学部学術報 告,38(1),37−44(1986)… (2)−,出口秀夫,≡木政教:早生温州の着色に及 ぼすリン酸カリ液肥の菓面施用の影響,Ⅱ.着色 始期の散布施用について,香川大学農学部学術報 告,38(1),45−49(1986). (3)尾崎 清:植物の栄養と診断,93−122,170−17 4,東京,高陽書院(1962)‖ (4)熊沢喜久雄:植物栄養学大要,53−55,107−11 8,東京,養賢堂(1977) (5)鈴木鉄男:果樹の無機栄義と果実品質ならびに施 肥をめく√る二三の問題点,農業および園芸,54 (5), 637−642(1979) (6)−,金原敏治,榊原正義,深井尚也:リン酸お よび石灰の施用が温州ミカンの生育と結実に及ぼ す影響,園芸学会雑誌,41(2),157−164(1972). (ア)湯田英二:果樹に対するリン酸施用法と効果,果 実日本,2引4),98−103(1973) (8)−,平尾佳史,櫻井大樹,中川昌一:温州ミカ ンの果実品質に及ぼサリン酸ならびに植物ホルモ ンの効果,園芸学会昭和59年度秋季大会研究発表 要旨,54−55(1984), (1986年10月31日 受理)

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