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鳥取県における障害児の早期発見・対応の現状と課題(V) : 1歳6か月児健康診査

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(1)

鳥取県 にお ける障害児 の早期発見・ 対応 の現状 と課題

(V)

-1歳

6か

月児健康診査 ―

A Study on Effective Measures of Early Detection,

Diagnosis and]Developmental lntervention for Disabled lnfants

in Tottori Prefecture,Japan(V)

一Health ExaHination for 18 h/1onth―

old lnfants―

障害児教育教室

*

**

1料

1.健

診 の運営

2.健

診状況、結果の協議、追跡状況

3.県

下統一 の「

1歳 6か

月児健診票」 4。

1歳 6か

月児健診 の強化策 障害の早期発見・早期対応 を推進す る上で重要な母子保健 システムに

, 1歳 6か

月児健康診査(以 後, 1・

6健

)が

ある。 1・

6健

診 は

,1977年

の厚生省通知「

1歳 6か

月児健康診査 の実施 につい て」 を受 けて

,そ

れ まで保健所が実施 して きた

3歳

児健診 に力日えて

,市

町村 を実施主体 として全国 レベルで開始 された健診である。そして

,周

知 のように,「幼児初期 の身体発育

,精

神発達の面で歩 行や言語等発達 の標識が容易 に得 られ る

1歳

6か月の時点 において健康診査 を実施することにより, 運動機能

,視

聴覚等の障害

,精

神発達 の遅滞等障害 をもった児童 を早期 に発見 し適切 な指導 を行 い, 心身障害 の進行 を未然 に防止す るとともに

,生

活習慣 の自立

,む

し歯 の予防

,幼

児 の栄養

,そ

の他 育児に関する指導 を行 い

,も

って幼児 の健康 の保持及 び増進 を図 る」(1977年厚生省通知)こ とを目 的 としてお り

,今

, 3歳

児健診 に も増 して

,障

害の早期発見 。早期対応 の役割が期待 されている。 この1・

6健

診 は

,1977年

通知後10年 を経 た1987年には,「身体発育及 び精神発達面での総合的健 康診査 として

,よ

リー層の充実 を図 る」為 に,「

1歳 6か

月児健康診査 の強化 について」とい う厚生 省通知が新 たに出されて

,全

国的にみて も

,そ

のシステムの一層 の充実が図 られ ようとしている。 ところで

,鳥

取県 において も, 1・

6健

診が1977年通知 を受 けて市町村 を実施 主体 として開始 された経緯 は他県 と大差 はな く

,県

下39市町村 の全てにおいて1・

6健

診が実施 され るようになっ たのは1981年以降である。 しか し

,鳥

取県の1・

6健

診が他県 と大 き く異なるのは

,全

県的なシス

* Akio Watanabe:Department Of Special Education,Faculty of Education,I「 ottori University

**Naomi Tamaru:鳥

取大学教育学部非常勤講師

***NorikO Kakumoto:鳥

取県立保育専門学院非常勤講師

(2)

渡部昭男・ 田丸尚美・ 角本典子 :鳥取県における障害児の早期発見・対応の現状 と課題 (V) テム化の努力が払われた点である。すなわち,鳥取県下 の健康・疾病問題 に総合的に対応す るために, 鳥取県医師会

,鳥

取大学医学部

,鳥

取県衛生環境部 の三者が協力 して1971年 に設 けられていた「鳥 取県健康対策協議会」が中心 になって, 1・

6健

診の開始 に際 して市町村任せ にす るので はな く, 鳥取県全体 としてのシステム化 に取 り組 んだのであった。 第1は

,県

下統一 の「

1歳 6か

月児健康診査票」 を1983年度か ら使用開始 し

, 3歳

児健診 との関 連 を図 りつつ

,各

市町村 の行 う1・

6健

診 の水準 を全県的に高め

,確

保 す ることが企図 された。第 2は

,1979∼

1984年度の間 にか けて県下 の

5保

健所 において発達 ク リエ ックを開始 し

,県

と市町村 との連携の下 に,「 1・

6健

診―保健所発達 ク リエ ックー専門機関」 とい う事後措置 システムを確立 することであった (第Ⅲ報)。 本稿 は,「鳥取県における障害児 の早期発見 。対応の現状 と課題」研究の第

V報

けとして

,上

記 の ような意義 と優れた特色 を持つ鳥取県下 の1・

6健

診 に焦点 を当てて

,県

下39市町村 における実態 を把握 し

,そ

の到達点 と課題 について若干の考察 を行 うものである。 実態調査 は,「

1歳 6か

月児健康診査 に関す る実態調査―市町村調査票―」(調査票 は省略

,文

中 に適宜掲載)を

,鳥

取県下39市町村 の各市町村長

,1歳

6か

月児健康診査担当課・ 係長及び同保健婦 の連名宛で

,依

頼状 とともに1989年 6月 5日付 けで郵送 し

, 6月

30日までに回答 を依頼 した (回答 の督促 を

, 7月

5日 付 け及 び 7月19日付 けで葉書 にて

2回

行 った)。 その結果

,39市

町村 の全てか ら 有効 回答 を得 た (有効 回答率100%)。 直接の記入者 の多 く(保健婦名が明記 されていたのは36市町 村

,92.3%)は ,現

場の市町村保健婦であった。 (以上

,渡

部)

1.健

診 の 運 営

1.実

施の時期

,対

象児 (調査項 目

B-1)(表 1-1)

(1)実

施の時期 1・

6健

診 は県下39の全市町村で行われているが,その実施 の時期 と回数 は表

1-1に

示 されてい るように

,各

市町村 によ り多様 な取 り組 み方がなされている。年間の実施月数 を見 ると

, 3か

月毎 実施が28町村

(71.8%)と

大半 を占め

, 2か

月毎実施が

5町 (12.8%),不

定期 に年 に

9回 ,10回

, 11回実施が各

1町

ずつで

,毎

月実施 しているのは倉吉市

,米

子市

,鳥

取市である。実施月の健診 日 数 は鳥取市の3日

,倉

吉市

,米

子市

,気

高町の

3市

町の 2日 以外 は全市町村 1日 だけである。 そこ で

,年

間の健診 の総回数 は

, 4回

行 うところが27町村

(69.2%), 6回

5町 (12.8%), 8回

が気 高町

, 9回

が船 岡町

,10回

が若桜町

,11回

が境港市

,24回

が米子市 と倉吉市

,36回

が鳥取市 になっ ている。 これ を

,第

I報

と比較 してみると

,こ

2年

間に

7市

町村

(17.9%)で

1・

6健

診 の回数 に変化 がみ られた。気高町 は健診 日を月 1日 か ら2日 に増やして

4回

か ら

8回

に,船岡町 は

4回

か ら

9回

に, 若桜町 は

4回

か ら10回に,ノ\東町

,西

イ白町 は

4回

か ら

6回

,境

港市 は

6回

か ら11回に増加 してお り

,大

栄町だけは

5回

か ら

4回

に減少 している。表

1-1か

らはこの経緯 は読み取れないので

,そ

れ らの市町村 それぞれに増加 あるい は減少 した理由 と

,そ

の時期 について

,改

めて電話で確認 して みた ところ

,以

下 のような回答 を得た。 境港市で は

,市

内に歯科医が増 え

,健

診 に協力 を得やす くなった こと

,ま

,1987年

の厚生省通 知「

1歳 6か

月児健康診査 の強化 について」 を受 けて

,1988年

度 には年12回行 う予定 にしたが結局 11回しかやれなかった という。年

6回

だった健診 の折 には

,毎

, 8人

の保健婦が70∼80人 の児の

(3)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 31巻 第

2号 (1989) 391

表 ユー

1

健診実施の時期、対象児 注 *は「呼び出す対象児の月齢の基準」の表記か ら考 えると「健診時点での実際の月齢の幅Jに別の可能性が あると思われ る もの (1988年度) 保     健     所 児 童 相 談 所 福 祉 事 務 所

健 診 日 対 象 児 蝶 醜 妍 数 笑 細 融 の 総   回   数 健診日の定例化 呼び出す対象児の月齢(満月齢)の基準 分     類 健診時点での 実際の月齢の幅 し て い る し て い な い 鳥 取 R2 鳥 取 鳥 取 市 O 健診月の前の月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ③ 1:6∼1:7 東     部 国府町 4 1 4 O 健診月に満116∼ 1:8か月の誕生 日を迎 えた児 ① 1:6-1:8 岩美町 ] 6 ○ 健診月で

116∼ 1:7か

月になる児 ① 1 5∼1 7 福部村 4 1 4 ○ 健診月の2か月前 に116か月の誕生 日を迎 えた児 ① 1:6学^vl:8 気高町 4 8 O 健診月に1:6、 1:7、

1:8か

月を迎 えた児 ① 1:5幸^▼118 中     央 鹿野町 4 4 O 健診 日までに

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ② 1:6∼1:8 青谷町 4 4 ○ 健診当日に

1:6∼ 1:8か

月を迎 えた児 ② 1:6-1:8 郡 家 L5 郡家町 4 4 ○ 健診月 日にあわせて

116∼ 1:8か

月児 ② 1:6∼1:8 船岡町 9 O 健診 日に

1:6∼ 118か

月になっている児 ② 1:6∼1:8 河原町 4 4 ○ 健診月の前の月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ③ 1:6∼1:8専 八東町 6 ○ 満

1:6∼ 1:8か

月児 ② 1:6∼1:8 若桜町 O 健診 日の前 日までに1:6か月の誕生 日を迎 えた児 ② 1:6-1:7 用瀬町 4 4 ○ 健診 日までに

1:6∼ 1:8か

月になった児 ② 1:6∼1:8 佐治村 4 4 ○ 健診月の前の月に1:6∼ ●8か月の誕生日を迎えた児 ③ 1:6-118ネ 智頭町 4 4 O 健診月の前の月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ③ 1:6-1:8 倉 R4 倉 吉 倉 吉 市 2 O 健診月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた(迎える)児 ① 1:6ユVl:8キ 中 部 羽合町 4 4 ○ 健診月の前の月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ③ 1 : 6-1 :8* 倉 泊 村 4 4 ○ 実施日を基準として1:6∼ 1:8か月児を対象とする ② 1:5*∼1:8 東郷町 4 4 ○

1:6∼ 1:8か

月に到達する月 ② 1:64_1:8 三朝町 6 O 健診月の健診 日に

1:6か

月の誕生 日を迎 える児 ② 116-1:7 関金町 4 O 健診月の前の月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ③ 1:6-1:9 北条町 4 O 1:6、 1:7、 1:8か月 ② 1:6∼1:9 大栄町 4 ○ 健診月に

1:6∼ 1:8か

月になる児 ① 1:5∼1:8 東伯町 6 ○ 健診月と前の月に1:6か 月の誕生日を迎えた(る)児 ① 1:5-1:7孝 赤碕町 4 4 ○ 健診月に

1:6∼ 1:8か

月の誕生 日を迎 えた児 ① 1:5-1:8 米     子         ︵ U R 2 ︶ 米 米 子 米 子 市 2 ○

1:6か

月になった次の月 ③ 1:6-1:7 境 港 境 港 市 11 1 O 健診月の前の月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 1:6∼1:7 西 部 西伯町 1 6 O 健診月の前月に

1:6∼ 1:7か

月に達する児 ③ 1:6∼118 会見町 4 l 4 O 健診月に

1:6∼ 1:8か

月に連する児 1:5∼1:8 岸本町 4 1 4 O 健診月の前月に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 1:6-1:8蓄 日吉津村 4 1 4 ○ 健診前 日までに

116か

月の誕生 日を迎 えた児 ② 1:6∼1:8 淀江町 4 l O 健診月の前月末で

1:6∼ 1:8か

月になった児 1:6∼119 子 大山町 4 1 ○ 健診月に

1:6∼ 1:8か

月児 を対象 ① 1 1 6HI^▼1:8 名和町 4 1 ○ 健診月に

1:6∼ 1:8か

月 ① 1:6ネ∼1:8 中山町 4 1 4 O 健診 日の前 に

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ② 1:6∼1:9春 根   雨 ︵S ︶ 日南町 4 1 4 ○ 健診当日までに

1:6か

月の誕生 日を迎 えた児 ② 1:6-1:9* 日野町 4 1 4 O 健診月の前の月に116∼ ■8か月の誕生日を迎えた児 ③ 1:6-1:9 江府町 4 1 4 ○ 健診月に

1:6∼ 1:8か

月の誕生 日を迎 える児 ① 1:64_1:8 溝 口町 4 1 4 O 満1:6∼ 1:8か月、月の誕生 日が来ない児は次回ヘ 1:6∼1:8

(4)

渡部昭男 。日丸尚美・角本典子 :鳥取県における障害児の早期発見 。対応の現状 と課題 (V) 健診 にあた り,「ただ

,流

して終わる実状」だったが

,そ

れが改善 された。1989年度以降 は年12回や る予定であるとい う。 今回の調査で は1・

6健

診 の回数が増 えた ことになっているが

,実

際 は以前 と変更がない との回 答 を気高

,船

,八

東町か ら受 けため。大栄町 は

,1986年

5回

やったが

,そ

れ は

,そ

の年 の出生児 数が多 く

,健

診対象児が30人以上 になる月がでたので応急的 に1回増や した。が

,あ

くまでその年 だけで

,原

則 は以前か ら

4回

だ とい う。 西伯,若 桜町か らは,1・

6健

診 の回数 を一旦 は増力日させたが,また以前通 りの年間

4回

に戻 した と の回答 を得た。西伯町 はこの調査の年 (1988年

)に

は確かに

, 2歳

児健診 とセ ッ トで回数 を

4回

か ら

6回

に増や したが

,医

師や保健婦か ら

1歳 6か

月児 と

2歳

児 を同一時 には判定

,指

導 しに くい と の声があ り

,1989年

度か ら以前通 りの

4回

に戻 したそうである。若桜町では1988年度 には母子担当 の保健婦 も増 え

,乳

児健診や

3歳

児健診 と抱 き合わせにして1・

6健

診 を10回やった。 しか し

,他

の健診 と一緒で は健診のポイン トが増 えて児 の発達 を正確 にお さえることが難 し く

,ま

とめた方が いい との意見が出た結果

,1989年

度か らまた年間

4回

に戻 したのだ とい う。 こうしてみて くると

,健

診回数が実質的に増 えたのは境港市だけである。 そ して健診 回数 を増加 で きた直接的な要因 は

,歯

科医師の確保であ り

,そ

の結果

,一

回当た りの対象児数 を減 らす ことが で き

,ゆ

とりと実質 のある健診 も手 にしている。 一旦

,健

診回数 を増や しなが ら再び もとの年間

4回

に戻 した西伯

,若

桜 の

2町

の回答か らは

,た

,回

数 を増やす ことを中心 に1・

6健

診 と他健診 を同時 に実施すると

,そ

れぞれの児 の発達 のポ イン トを見極 めることの困難性が訴 え られて

,結

, 1回

の健診 においては対象児 の年 (月

)齢

幅 を狭 めることの重要性が浮かび上がって くる。 各市町村 において

,健

診回数 を変 えてみた り

,他

健診 との組 み合わせ を考慮 してみた りと

,色

々 な工夫が重ね られているが

,充

分なスタ ッフの もとで

,児

の発達 を正確 に把握 し障害 を早期 に発見 で きうる年 (月

)齢

幅 をもった健診態勢 を整備す ることが望 まれ る。 健診 日を定例化 しているのは39市町村 中14市町村 (35。

9%)で

,し

ていないほうが25市 町村 (64. 1%)と多 く

, 3分

の2を占めている。概 して

,健

診 の回数が多い ところで定例化 してい る傾向がみ られ るが

,健

診回数

8回

の気高町

,11回

の境港市

,12回

の米子市では定例 となっていない。境港市 は歯科検診の都合か ら木曜 日にはきまってい るが

, 3歳

児健診 を中心 に考 えるので第何週 になるか はわか らない とい う。定例化 している割合 は東部圏域で

7市

町村

(46.7%)と

高 く

,特

に郡家保健 所管内で は

8町

村 中

6町

(75.0%)が

健診 日を定例化 させている。中部圏域 は10市町村 中

3市

(30.0%),西

部圏域 は14市町村 中

4町 (28.6%)が

定例化 し

,東

部圏域 に比べ る と低 い。

(2)対

象児 呼び出す対象児 の月齢 (満月齢

)の

基準 については表

1-1に

見 られ るように

,多

彩 な表現 を用 いてその基準が示 された。1・

6健

診 とい うか らには

,で

きるだけ月齢 の幅 を狡 くして

,満

1歳

6 か月に健診 を受 けられ ることが望 まれ る。厚生省 は1977年の「

1歳 6か

月児健康診査 の実施 につい て」の通知で,「診査の性質上満

1歳 6か

月に達 し

, 1歳 8か

月 を越 えない範囲で行われ ることが望 ましい」 としているが

,そ

れに合わせての各市町村 の配慮が読 み とれる。一 日に

1歳 6か

月児 とい って も

,健

診 日を月の上 。中・ 下旬 のいつ頃

,何

日に設定す るか ということと

,健

診 の実施 回数の 幅

(2か

月毎

, 3か

月毎等

)と

で月齢 にズレが出て くる。 そこで

,こ

こでは重ねて

,健

診 当 日時点 での実際の月齢 の幅 もたずねてみた。 健診対象児の設定 の基準の表記 は大 きく3つに分 けられ るようである。

3か

月毎

,年

4回

の健診

(5)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 31巻 第

2号 (1989) 393

を行 う場合の呼び出し対象児の月齢の基準表記 と

,健

診時点の実際の月齢幅をあげて見ると以下の ようになる。 ① 健診月に

1歳 6か

月∼

1歳 8か

月になる児………実際の月齢幅

1:5∼ 1:8

② 健診 日までに

1歳 6か

月∼

1歳

8か 月の誕生 を迎 えた児………・

1:6∼

1:8

③ 健診の前月に

1歳 6か

月∼

1歳

8か 月の誕生を迎 えた児………・

1:6∼

1:9

各市町村の設定基準の表記 は

,①

と③が12市町村 ずつで

,②

は15町村であってほぼ

3分

化 してお り

,強

いて傾向を見ると

,東

部圏域では②が15町村中

7町

(46.7%),西

部圏域では③が14市町村 中

6市

(42.6%)と

比較的多かった。 表

1-1で

は「呼び出す対象児の月齢の基準」 と「健診時点での実際の月齢の幅」を回答通 りに 記載 し,健診 日と生年月日間のズレから,健診時点での実際の月齢幅に,回答 とは別の可能性がある のではないか と考 えられる場合に

*印

をつけ

,ま

,上

記の分類 に従って

,各

市町村の表記を①・ ②・③ に分けたものを併記 した。 健診を実施する月の回数を多 くするほど

,対

象児の月齢幅 を狭 く指定で き

,健

診に携わるスタッ フが軽度の発達の遅れや障害でも洩れな くチェックで きる利点がある。 しかし

,各

市町村の対象児 の人数の問題やスタッフの陣容 によってそれは必ずしも可能でな く

,現

実的な対応が とられること になる。結局

,国

基準の

3か

月幅に合致するように1・

6健

診 を

3か

月毎実施 しているところが39 市町村中28町村

(71.8%)に

のばる。その対象児の呼び出 し基準 は

,ひ

とまず

1歳 6か

月∼

1歳

8 か月におさえていることになっているが

,健

診時点での実際の月齢幅は一町村でも

3か

月∼

4か

月 の幅があ り全体 を見 ると表

1-1に

みられるように

1歳 5か

月∼

1歳 9か

月までにまたがることに なる。さらに健診当日

,未

受診で

,再

呼び出しをすることになった り

,他

の月齢の健診 とセットに すると

,も

っと月齢幅が広がる心配 も生 じてしまい

,こ

のあた りに現在の実施の状況の問題がある と思われる。

2.健

診の方法 (調査項 目

B-2)(表

1-2)(図

1-1)

(1)健

診のセッ ト形態

,受

診児数 1・

6健

診の当日

,そ

の日や時間が1・

6健

診のためだけに設定されているのは39市町村中19市 町村

(48.7%)と

約半数である。 この単独に1・

6健

診 を行 うのは中部圏域では10市町村中

7町

(70

,0%)と

高 く

,つ

いで西部圏域は14市町村中

7市

(50.0%)で

あり

,東

部圏域では14市町村のう ち

5町 (35.7%)に

すぎない。 1・

6健

診の際に

,そ

の他の年 (月

)齢

の健診 。本目談等 も同時に行っている所 は15市町村あるが, 流れを別にしているのは倉吉市の「す くす く相談 (精神発達

,し

つけ面で問題があるものを対象に 心理判定員が助言 。子旨導)」 だけで

,そ

の他の14町村 は1・

6健

診 と区分 しないで受付や問診 も同じ 流れで実施 している。 この並行実施 は東部圏域で

9町

村(60.0%)と 多 く

,中

,西

部圏域では

3市

町村ずつ と少ない。同時に行われる健診は

,乳

児健診か ら

2歳

児健診

, 3歳

児健診 までにわたる広 い年齢層を対象 としている。なかでも

3歳

児健診および

3歳

児健診未受診者 を対象 としたものが比 較的多い。 1・

6健

診当日に時間帯を分 けてその他の健診を行っているのは用瀬

,岸

,淀

,大

,名

和 の

5町

,う

4町

は西部圏域である。 これ らの町では午前 と午後に時間帯 を分 け

,乳

児健診 と組 み合わせている

4町

は午前に乳児健診を

,午

後に1・

6健

診 を設定 してお り

,淀

江町では1・

6健

診を午前に

,年

後には

3歳

児健診 をセットして

,そ

れぞれ児の年齢 を考慮 した工夫がみられる。

(6)

渡部昭男 。田丸尚美・角本典子:鳥取県における障害児の早期発見・対応の現状 と課題 (V) 1・

6健

診 とその他 の健診 の

1回

当た りの受診児数 を見 ると(表

1-2), 1・

6健

診で は

5人

59 人 の広が りがあ り

,受

診児10∼ 19人が17町村

(43.6%)と

一番多 く

,次

が20∼ 29人の12市町 (30.8

%),10人

未満 は船岡

,若

,佐

治の

3町

(7.7%),30人

以上 は鳥取

,青

,河

,八

,智

頭, 米子

,境

港の

7市

(17.9%)で

ある。 健診 のセ ッ ト形態 と受診児数 との関連 を見 ると

,単

独実施 で は11∼ 59人

,並

行実施 は

5∼

33人, 分離実施 は13∼21人 の幅があった。受診児数

9人

まで は他健診 を並行実施 しているが

,10人

を少 し 越 えただけて単独実施 をしているのが

3町

(関金

,会

,江

)あ

る。時間帯 を分離 して実施 して いる

5町

(用瀬

,岸

,淀

,大

,名

)は

比較的

,対

象受診児数や分離健診 の対象児数が多い。 しか し

,並

行実施 の場合

,同

時 に行 うその他の健診 は

2∼

30人 の幅でやってお り, 1・

6健

診 と合 わせ ると16∼48人 に及んでいる。 これ らのことか ら健診のセ ッ ト形態 は受診児数 による所 も大 きい

,単

に受診児数 だけの問題で はない と推測 される。 健診 にあたる保健婦数 (市町村保健婦および保健所保健婦

)は

大半の市町村が

3, 4人

であるが 15人の受診児 に

4人

の保健婦 の日南町か ら

,40人

の児 に

2∼ 3人

の保健婦が対応す る日吉津村 まで 開 きが大 きい。 1・

6健

診 にその他 の年 (月

)齢

児の健診 を組 み合わせて集 中的に実施 す ることには長短両要素 があると思われ る。長所 としては

,一

回の健診で兄弟姉妹が同時 に受 けられ ること

,ま

,多

忙 な スタッフを短時間の拘束で有効 に活用で きるとい う全体的な業務配慮 も考 えられ る。一方

,同

じ日 の同 じ健診の流れに乳児か ら

3歳

児 まで幅広 く包含する となると

,健

診 にあたる者 にとって

,月

の近い児の発達の微妙 な差異 を正確 に見極めることは困難 を増すであろうし

,忙

しい流れの中で, 障害や発達の遅れを見過 ごす危険 もない とはいえない。手近で簡単な対応 として

,複

数の保健婦が いれば

,た

とえ同 じ時間帯であって も

, 1歳 6か

月児の健診 にあたる人

,乳

児 を受 け持つ人 とい う ように流れを区分す ることは可能であ り

,そ

れだけ健診 の質 も幾分か高 まるので はなか ろうか。

(2)健

診業務時間 1・

6健

診 の健診時間の主流 は年後型で31市町村

(79.5%)で

実施 されているが

,そ

の中で も , 午前 に準備 を行い

,年

後健診 をするタイプが25市町村

(64.1%)と

多い。年前型 は

4町

,東

部圏 域の佐治村

,智

頭町

,西

部圏域 の日南

,溝

口町である。 また

,午

前 と午後 にかけて健診 の行われ る 一 日型 は中部圏域の倉吉市 と西部圏域の日吉津村

,淀

,中

山町の

4市

町村 で行われている。1・

6健

診が乳児健診 と組 まれている時 には乳児健診 は午前 に, 1・

6健

診が午後 に廻 るのはやむを得 ない と思われ る。 しか し

, 1歳 6か

月児 の生活 リズムを考 えると

,ま

だ昼寝 も必要であろうし

,午

前の健診のほうが望 ましいはずだが

,準

備やスタッフの都合 もあってか

,現

状 の健診時間 は年後型 に傾 いている。年前型

,年

後型

,一

日型 の典型的なモデル を図

1-1に

示 してみた。 保健婦の健診場面での業務時間の割 りふ りを見てみ ると(表

1-2),総

業務時間(これには昼休 憩や中断時間等 も含 まれ る場合 も多いが)は

6時

間台が一番多 く15市町村

(38.5%),次

4時

間台 の

8町

(20.5%),3番

目が

5時

間台の

6町 (15.4%),長

い所 で は

7時

間台が

4市

(10.3%),8時

間台が郡家,八東,淀江,大 山の

4町

であり,平均す ると5.7時 間 を1回の健診 にかけている。細かい業 務の内わけを見 ると

,準

備 には0.5時間か ら

3時

間 までの幅が あ り

, 1時

間が22市 町村

(56.4%)で

最 も多いが

,前

日か らかかっている所 もある。受付 は0.5∼2.5時間の幅で

,最

も多いのが

1時

間で 22市町村 (56.4%)。 問診 は0.5∼2.5時間の幅で

,1.5時

間14町村

(35,9%), 2時

間 も14市町。指導 は

1∼ 3時

間の幅で

2時

間15市町村

(38.5%),1.5時

間13町村

(33.3%)で

ある。問診 と指導 は同 じ時間 をか けるか指導の方がやや長い傾 向があるが

,し

か し

,指

導のほうが短 い市町村 も5つある

(7)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第31巻 第

2号

(1989) 395

1-2

健診の方法 (1988年度) 保     健     所 児 童 相 談 所 福 祉 事 務 所 項 目 市呼付 同 時 に 行 う 健 診 1回 当たりの受 診児、保健婦数 健 診 業 務 時 間 な     し 並行 実 締 分 離 実 施 そ の 名 称

初 嘘 膨 保 健 婦 数 プ 総 業 務 時 間 準 備 受 付 問 診 指 導 カ ン フ ア レ ン フ か た ず け 備   考 別 の 流 れ 同 じ 流 れ 午 前 型 年 後 型 鳥     取   ︵ R2 ︶ 中     央 鳥 取鳥 取fF 7 O 6 1 時間 東     部 国府町 3 ○ 6 1 1 1 岩 美 町 4 1 5 1 福部村 ○ 3歳児健診 3 6 1 ユ 1 2 1 台帳記入05 気高町 ○ 前回の1:6健診 に欠席 した児 2^ヤ3 4 1 1 15 鹿 野 町 O 3歳児健診 3 O 5 1 2 15 青谷町 〇 3健の未受診者 3 ○ 6 1 2 8 郡 家 L5 郡家町 ○ 3健の未受診者 3 O 8 2 l ユ 船 岡町 ○ 乳児健診 (4, 7,10か月) 5 3 ○ 6 1 2 2 1 河 原 町 3 1 2 2 八東町 ○ 3歳児健診 3-4 8 3 1 2 若 桜 町 ○ 3∼4か月,6∼7か月,9∼10か月児健診 7 ③ 4 15 1 用瀬町 乳児 (2,4,7,10か 月児)健診,疱 畳観察児 6 1 1 L5 1 1 1 佐治村 O 乳児(4, 10,12か 月児)健診 8奉 8 4 5 1 1 準備 は前 日 に殆 ど 智頭町O 4 4 1 1 2 2 倉 R4 倉 倉 吉 倉 吉 市 ○ す くす く相談 (心理判定員の政 言指導) 2 4-5 1 2 2 事前カンファレンス05 中     部 羽 合ml 3 ◎ 1 1 2 1 受付06ず つ2日 泊 村 ○ 3歳児健 診, 2歳児歯科検診 3 ③ 4 2 東郷町 2 O 1 1 1 計 測1 三朝 町 O 3歳児健診 5 1 1 1 1 関金町○ 3 ◎ 4 1 1 ユ 1 北条町O 3 7 2 1 15 大栄町O ユ 1 2 1 5 東伯町 4 5 1 15 1 1 参察介助15 赤碕町 3 ○ 6 2 1 2 1 1 米     子           ︵ UR 2 ︶ 米 子 米 子 米 子 市 lhu ○ 15 ユ 2 診察介助2 境 港 境 港 寸 5 6 1 2 2 1 西 部 西伯町 ○ 2歳児健診 3 O 7 1 1 2 2 1 会 見 町 11 2 ○ l 15 岸 本Bl 乳幼児 (4,6,11,13か 月児)健 診 4 ◎ 4 5 日吉津村 ○ 乳 児 (2∼ ■ か 月 児)健診 2-3 O O 6 1 ユ と 淀 江 町 3歳児健診 3 ○ 1 1 l 受付 は臨時 雇上 げ 大 山町 1∼24か 月児健診 倒朔 3 ユ 1 2 2 1 名和 町 乳児(4,6,10か月児)健診 C 5 ユ 1 2 l 1 中山町 ○ 3健未受診者 2

Э

I C 7 1 1 2 1 台振記入15 準備前日も1 根   雨 ︵ S ︶ 日南町 4

Э

I 1 ユ 1 台レンスかたずサ雑損記決1カンファ 日野 町 │ 5 3 ◎│ 3 1 1 〕5 江 府 町 2-3 1 1 1 1 15 濤 口町│Э 3健 , 2健の未受診者 3 ① 3 5 1 1 5 注1.( )は分離実施の人数 2,キ は表2-2とズンのあるもの 3.午後型のうち,◎は完全な年後型,他は午前準備,年後健診型

(8)

午 前 型 時 8 9 10 11 12 1 2 3 49 10 11 12 1 2 3 智 頭 町 準 備 受 付 問 診 指 導 カンファレンス かたずけ 溝 口 町 準 備 受 付 問 診 指 導 カンファレンス かたずけ

%

一 日 型 時 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 時 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 中 山 町 準 備 受 付 問 診 指 導 カンファレンス かたずけ 台帳記入 前 日準備

&

物′

倉 吉 市 準 備 受 付 間 診 指 導 カンファレンス かたずけ 事前カンファレンス 4/////2 厖 午 後 型 時 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 時 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 関 金 町 準 備 受 付 問 診 指 導 カンファレンス かたずけ 米 子 市 準 備 受 付 関 診 指 導 カンファレンス かたずけ 診察介助 F/////2 渡部昭男・ 田丸尚美・ 角本典子 :鳥取県における障害児の早期発見・対応の現状 と課題 (V) 図

1-1

健診業務のタイプ (鹿野

,泊 ,三

,赤

,米

子)。 カンファレンスには22市町村

(56.4%)が

0.5時 間か け

,か

たず けも27市町村

(69.2%)が

0.5時間あてている。台帳記入 は殆 どの所が健診 日でな く

,後

日に廻 して いる。倉吉市で は

,事

後 のカンファレンス とは別 に

,事

前カンファレンスに0.5時 間 を割 いている。

3

健診の構成 (調査項 目

B-3)(表 1-3∼

5)(図

1-2)

(1)健

診の流れ 表

1-3は

健診会場での

,児

とその同伴者 の流れお よび児一人当た りの健診 の総所要時間 を示 し たものである。児 は各市町村が きめている流れの順番 に従 って健診の各行程 を進むのであるが

,い

で 囲んだ ものは全児の流れで はな くて

,医

師や保健婦が必要 と認 めた り

,同

伴者 のalJから訴 えがあっ た りした ときに受 けることので きる相談や指導である。 最 も一般的な流れ は図

1-2の

ようになっている。

:1栄

養 指 導

│ !‐ 1‐

│し

つ け相談

│ 注

1)→

全児の流れ

2)診

察 と歯科検診, 図

1-2

健診の流れ

,i:茎

魏 勇輔

=と 歯科指導 と保健指導 は前後 に入れかわ ることも多い

(9)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 31巻 第

2号

(1989) 39市町村中21市町村

(53.8%)で

この流れに沿 っている。東部圏域15市町村中12市町村 (80.0%), 西部圏域14市町村中

8市

町村 (57.1%)と東・西部 で この流れが主流であるが

,中

部圏域で はこの流 れ どお りなのは1つもない。 県下統一のアンケー ト票への記入 は鳥取市 を除いて

,前

もって家で記入 され る。 日南町で は受付 のあ と

,集

団指導で健診 の流れ と一般的事項 の説明が行われ る。 一般的な流れ とは違 う流れ をもつ18市呼付での流れの構成方法 を見 てみると

,問

診→身体計測 と は逆 に

,身

体計測 をやってか ら問診 にはいるのが■町村 (全体 の

28.2%)で

あ り

,中

部圏域10市 町 村中

5町

村 (羽合

,泊 ,三

,北

,大

)が

このシステム をとってお り

,西

部圏域で は西伯

,江

,溝

,日

野 の

4町

,東

部圏域では河原

,佐

治の

2町

村である。このや り方で は身体計測 の結果, 身長や体重の平均値か らの逸脱 を問診 のなかです ぐ生かせ るとい う利点がある。 これ を裏づ けるよ うに

,中

部圏域 の羽合

,北

,大

栄の

3町

で は

,問

診 の時点で保健指導 も含 めて行 ってお り

,医

師 の診察や歯科検診 の終わったあ とは,特に必要 のある児 だけが保健指導 を受 けることになっている。 中部圏域 の東郷

,赤

碕町 も間診 と保健指導 を同時 に行 っているが

,こ

こで は身体計測 はそのあ とに 行い

,や

はり

,必

要児のみに限って保健指導 をしている。 歯科検診 も市町村 によって

,特

徴的な配置がな されている。受付 のあ とす ぐ歯科検診が行われ る のは東郷

,三

,会

見 の

3町

,流

れの

3番

目に歯科検診 の来 るのは国府

,東

,赤

,淀

,日

野 と

5町

ある。健診 の流れの中で歯科検診 を時間的 に早い配置 をす ることによって

,歯

科医師の拘 束時間 を短 くし

,そ

の協力 を得やすい配慮が はか られているようである。実際

,東

部圏域 の船 岡, 若桜

,智

頭の

3町

で は1988年度現在

,歯

科医師の参加 は得 られず

, 3歳

児健診 の日に再度呼び出 し て歯科検診 を行 っている。1989年度か ら智頭町で は歯科医師が1・

6健

診 に加わ ることになった と いう。歯科衛生士 による歯科指導は西部圏域で は全市町村で行われているが

,中

部圏域で は

7市

町 村

(70,0%,う

,大

栄町 は必要児のみ

),東

部圏域 で は

7市

町村 だけ

(46.7%)で

,な

いほうが多 く

,や

っている場合 も

,青

谷町 は毎回でな く歯科衛生士の参加 を得 た時 にや り

,郡

家町 は必要児 に だけ行 い

,用

瀬町 は保健婦が歯科指導 を行 っている状態である。 また

,泊

村で は

,フ

ッ素塗布が保 健婦 により行われている。 米子市で は医師

2人

が発達診査 を行 っている。 そ して保健指導の ことを「結果 のお知 らせ」 とや わ らかい表現 を用いて保護者が相談 しやすい雰囲気作 りを試みている。 「必要児のみの流れ」には

,今

までに述べた保健指導

,歯

科指導以外 に栄養指導

,日

常生活指導, しつけ相談

,フ

ッ素塗布等がある。鳥取市

,米

子市

,境

港市ではスタッフに家庭児童相談員がいて しつけ相談 を担当 してい る。 また

,鳥

取市で は心理相談員が発達相談 にあたっている。 流れの数

,つ

まり

,健

診 の各行程の数 を概観 してみると

, 8つ

以上が14市町村

(35,9%)あ

るが, その内訳 は

,東

部圏域 は

3市

町村 (鳥取

,福

,鹿

),中

部圏域 は

2市

町 (倉吉

,赤

)だ

けで, 西部圏域が

9市

町村 と高い。 それは米子

,境

,日

吉津

,淀

,中

山の

5市

町村 と根雨保健所管 内 の日南

,日

,江

,溝

日の

4町

全部である。

(2)健

診の所要時間 待 ち時間 を含 めた健診 の所要時間 は

,対

象児 の人数, 1・

6健

診が独立 しているか

,そ

れ とも他 健診 と並行実施か とい うこと

,さ

らにスタッフの配置等の条件 によって影響 を受 ける。簡単 には割 り出 しに くいだろうし

,時

間的な幅 もあることであるし

,正

確 に掴 む ことは困難であるが

,敢

えて たずねてみた。全児が通 る保健指導 まで は60∼89分 が18市町村 (46.2%)と 最 も多 く

,次

が90∼119 分の11町村

(28.2%)で

,長

いのは八東町の150分

,米

子市 は幅があるが120∼ 180分である。 さ らに

(10)

398

渡部昭男・ 田丸尚美・角本典子:鳥取県における障害児の早期発見・ 対応の現状 と課題 (V)

1-3

健診の流れ と総所要時間 (1988年度) 係   健   所 九 童 相 談 所 僧 祉 事 務 所 項 市町 付 健 康 診 査 の 流 れ 健 診 所 要 時 間 → 4 5 7 8 9 備 考 導 ま で 保 健 婦 指 の指 他尊 のま 相 で 2 3 景     珈   ︵ R   ︶ 島あ 鳥 取 市 受伺 間 診 身体 計 測 診 察 栄 養 指 導 保 健 指 導 氣庭児孟網 受付 の前 に会場 でアンケー ト記入 5 扮 70 (分) 指導 東 部 国 府lfJ 髭付 問 診 弩牟的籍診身体 計 測 診 察 保 健 指 導 岩美H 受付 問 診 身体 計 演 診 察 歯科 検 診保健指導 福部ヽ 受t 問 診 身体 計 浸 診 察 歯科検診歯 科 指 導 保健指導 傑 養 指 ロ 気高ヒ受 付 間 診 孝体 計 濃 保健指導 中 鹿野氏受 付 関 診 身体 計 濃 診 察 1歯凋 螢科 指 当 呆健 指 導 傑 養 指∋ 青 谷 斑 受 何 問 診 身体 計 韻 診 察

保健指導6歯科指: *養,歯科指導 は常時でな く,時に 郡       家   ︵ H ︶ 央 郡 家 町受 付 間 診 身 体 計 誤 彗科 険診 診 察 船 岡町 髭付 問 診 身体計韻 診 寮 保 健 指 譜 雪科 は3健時にあわせて 河 原Hl 髭付 身体計渕 問 診 歯科検診 診 察 果健 指 導 八 東Hl 藍伺 問 診 身体計潤 歯科検診 診 察 保健 指 増 菌舜 若 桜ml 髭伺 問 診 野体 計 湖 診 察 保 健 指 導 歯科 診 療 は別 の 日呼 出 用 瀬 町 髭何 問 診 身体 計 洟 診 察 歯科検診保 健 指 導 菌科指導 歯科指導,しつけ,栄養指 導 は保健婦担当 佐 治1 身 体 計 潤 間 診 歯科指導 診 察 保健指導 智頭 町 受伺 問 診 身体 計 測 診 察 保健指導 1988年 まで歯科 検診 は, 3 歳児 とあわせて 倉 と 口       ︵   巨 ︶ 倉 會宿 g吉 市受t 問 診 身体 計 測 歯科検診 │歯 科 指 増 俳 養 指 導) 中   部 羽 合H3 受t 身体 計 測 診 案 倶俸 指 餓 60-90 泊 村 受代 身 体 計 測 問 診 歯 科 検診 │ (フ ッ素塗市令診察】保健指導 栄養指増 保健婦指導 は時に必要児の み,栄養士の派遣 ある時 は 栄養指導 は栄養士担当 50-60 604‐80 東 郷 町 髭豹 甍科 検 諺 開診及び指導 身体 計 測│ 診 察 歯 科 指 増 三 朝 町 受付 髯科 検診 身体 計 削 問 診 診 察 保健指導(栄養指増 関 金 ■受 付 問 診 身 為科 検 診歯科指増 診 察 県健指弩 北条■受 付 身体 計 測 岡診及び指導 題科 検診 歯科指 増 診 察 大 栄L 受 付 問 診 及 び 指 導 歯 科 検 診 診 察 60^990 90-120 東 伯 町 髭付 問 診 歯 科 検 診 身体計測 診 察 栄養 指 導I 赤 碕Hl 藍伺 鳳診及び指導歯科検診身体 計 測 診 察 雪科 指 増 栄 養 指 導 保 健 指 導) 米 子       一 ︵   U︲ 2 ︶ 米 子 米 了 米 子 市 受 付 問 診 身体 計測 発達診 査 診 察 歯科指導

おし

発 達 診 査 は医 師2,しつ け 相 談 は家 庭 児 当 相談員1が 行 う 120∼ 180 120^フ180 境湾 境 港 市 受 付 聞 診 身体計測 診 察 歯科検診 保健 指 導 笑庭児童相談員2 西 部 西伯 町 髭 付 身体 計 漫 間 診 診 察 歯科指導 会 見 町 髭何 歯 科 検 診 問 診 指 導 岸本町髭何 問 診 身体 計 測 60-120 日吉津河 受付 問 診 歯 科 検診 診 察 科指導 栄養け相談 は保健婦担当,日常生活指導,しつ 淀 江 【受 付 問 診 歯科検影身体 計測 診 察 科指導 保健指導 流れの順序 は前後することあ り,フッ素塗布 は保健所 衛生士 60-120 大 山r 受 伺 問診 身体 計 濃 歯科検診 診 察 名 和 鹿 髭伺 問 診 身体計潤 診 察 菌科鱚 ζ科指導 30-40 中 山 脇 髭伺 問 診 身体 計 潤 歯科検診 診 察 ″ッ素跡 素 塗 布 は希 望者 の み 根   雨   ︵ S ︶ 日南 町 そ伺 項の 流 れ の,健診 問 診 科検 診 診 察 密科指導 栄養指導 保健 指 消 日野 町 髭何 身体計濃 歯科検診 科 保 健 指 導 江府 町 驚付 身体計浪 問 診 謝 保 健 指 導 溝 日町 身体 計 測 問 診 診 察 髯科筒刻 科 指 導 養指導 保 健 指 導 保健指導 は心理指導 も含む 注1.Oで囲んでいるのは必要児のみ受 ける相談や指導 2.B“AはA,B両者が入れかわって行 われ ることのあることを示す 3.泊村,三朝町では歯科指導 について表1-4とズンがある

(11)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 31巻 第

2号

(1989) 表 1‐― 1歳6か 月児健診のスタッフこう (1988年度) 項 目 市 町 村 受 付 問 診 計 韻」 一般診察 歯 科 診 察 科 導 歯 指 養 導 栄 指 健 導 保 指 その他 の指導 鳥 取 市 事Э 保① 仰 ③ 医② 鳳② 歯① 御③ ω 栄① 保 ⑥ 家児欄9心理( 岩 美 郡 国府町 事 猟3→1 看① 医① 看① 歯①衛① 猟 1, 岩美町 事 留 写 二2 推進員① 医① 保① 歯① 衛① ′保∝―⊃ 福部村 夢 臓 推進員② 因 υ ― 歯① 気 「 下 飯0‐ 猟 1→ 気 高 郡 気 高 町 莉 R2∼3 医① 事 歯① 事Э k2→3 鹿 野 町

保③ 推進員② 医① 看① 閣

0

衛① 衛 ① 栄 ① 保 ③ 青谷町 事 Э 保 ③ 看 ① 因0事

0

歯① 御③ 衛rO‐1 業嗣 保 ③ 八 頭 郡

郡家町 事 Э

Ю

維 畳(1∼2瀾a 臨 a解。→I 萬∩続∩Mo‐ 衛① 保 ③

船 岡 町 雇 ① 雇② 医① 保① / 保② 河 原 町 助産婦③ 留■爾 因ЭttЭ保① 歯① 保① 椒多 ざ 八東 町 事 ③ fイ3∼4 看① 医① 看① 歯① 御

0

衛① 寓3∼ 若桜 町 藝 仰 ③ 看 ① 医① 看① / 仰9弛 用瀬 町 事 猟9∼4 推進員② 医① 保① 伽0推進員① 年3∼4 佐 治村 莉 医① 事③ 歯① 御Э ∞ 留 3→ 智 頭 町 推進員① 医0保 0又は強0 / 寓 2‐ 倉 吉 市 事③ 栄I 推進員①事 医① 保① 歯①

御Э 衛 ① 栄① イ烈冤R 東 伯 郡 羽 合 町 愛育員① 愛育 員① 医① 看I 歯① 衛① 御0仰Э 保② 泊 村 瓢 勾 保 ③ 事 医 歯① 御 衛 ① 栄τ面 保③ 東郷町 仰O 保 ② 保 医① 看( 歯① 御F 衛① 保② 三朝町 推C腺角 →o イi!イ ′ i「:Eξ「i 愛育員② 医① 看( 曲 ④ 衛 御 ③ 栄 ① kl‐ 関 金 町 事 Э 憮 年 覇 事 Э 医① 保( 歯① 衛 御 Э 猟 1→ 北条町 事Э 衛① 保③ 事① 衛① 庚 ① κl∼ 歯 ① 箱 ② 噂 保 ( 大栄町 保Э又は衛① 1黒ち→ 看 ① 医① 看① 歯① 衛① 衛 ① 栄( 保 東伯町 看① 襴 亀写 看① 医① 操① 歯① 欲 「 ブ 栄 保 赤碕町 栄① κ 3→ 推進員② 医① 保① 歯① 衛② Ю 栄( イ身 R I 米子市こり事fIWl→ /rl仄 冷 看又は保① 医②Э保① 歯①保又は罰Э 鶴π諏 栄 ① 耐 家 児 相( 境港市注" 莉 保⑤ 看① 事Э 医① 看① 御③ 衛① 衛② 栄① 囮 家児相① 西 伯 郡 西伯 町 看① 繭 保 ① 医① 看① 歯① 衛① 鱒 保 ③ 会見 町 事 保 ② 剰 因

0 -

歯① 御3∼ガ年 1ヽ2 保② 岸 本 町 事 猟4‐3 保① 医① ― 白

0

衛① 衝riモラ 猛3→4 日吉津村 事 医① 看① 歯① 衛① 年1て 留 1∼3 淀 江 町 1勇礁 │ 雇 `ェ →2 医① 看① 歯①衛①保Э 窪イ2∼ 保 ③ 大 山 町 " 保│ 看① 事③ 医① 雇① 歯①衛①雇① 年 1∼ 保 ③ 名和町 範 保 因0保又は郵Э 曲① 衛① 衛 1∼ 伴I→3 中 山町 鞄 雇 医① 操

O

歯① 衛② 砲 保② 日 野 郡 日南町 Ю Rr3■ 保 ① 医① 保 ① 歯① 看① Ю 栄① 保④ 日野 町 事0 保③ Ю 医① 一 歯① 衛① 御 ② 栄 ① 保③ 江府町 保C 憮 阿 看① 医① 看① 曲 Э 衛( 衛② 烈D 猟2 溝口町 保①栄又は衛① Ю 保 ① 庚f13 - 歯① 衛│ 衛② 栄① 保 ③ 注1)各職種 を以下の略字で示す。保健婦(保),医師(医),歯科医(歯),歯科衛生士(衛),栄養士(栄),事務職(事), 注4)(歯科)は歯科ア 看護婦(看),母子保健推進員(推進員),母 子愛育員(愛育員),家庭児童相談員(家児相),雇 上げ臨時職(雇)。 ンケー トを歯科 表中Oで囲んだ数字は人数を示し,∈⊃は時により人数の変更があることを

,⑭

は途中からスタッフの

指導の際にとる 移動があることを示す。

る所を示す。 注2)米子市では発達診査と小児科診査を医師が分担して行っている。 注3)境港市では健診回数を増やし1回の受診児数が減ったため,1989年度より診察介助者をはずしている。 表

1-5仕

事内容

(12)

渡部昭男・ 田丸尚美・角本典子 :鳥取県における障害児の早期発見・ 対応の現状 と課題 (V) その他 の相談指導 を必要児 に用意 しているのは17市町村

(43.6%)で

あるが

,そ

の所要時間 は40分 か ら180分までの広が りがある。一般 に「保健指導 まで」 よりはやや長 くなっているが

,120分

とい う記載が

7市

町村 と一番多 く, 1・

6健

診 の受診 には

1時

間半か ら

2時

間かか ることになるようで ある。 1・

6健

診の役割 として は

,ま

ず発達の遅れや障害のスク リーエ ング

,次

に保護者が専門スタッ フか ら育児や家庭教育 に関す る指導 を受 ける場 とい う2つが考 えられ る。 この意味か ら専門職腫 を 多 く配置 して

,必

要児 には専門的な相談や指導 を保障することが望 まれ る。 しか し

,健

診 の総所要 時間が長 くな りす ぎると

,児

も保護者 も疲れ果てた り

,帰

宅 を急いだ りす るのをどう解決す るかが 今後 の検討課題 となろう。 (以上

,角

本)

(3)ス

タッフとその仕事 当日の健診の流れについての自由記述により

,①

「スタッフの配置」②「スタッフの具体的な仕 事内容」③「各場面において保護者に求められる対応」を,「受付」「問診」「診察」「t旨導」などの 各場面毎にまとめる(以下

,①

②⑥ と略記)。 スタッフの仕事内容 は

,各

市町村 に共通 して見 られる 基本的内容を整理 した上で

,独

自の工夫・配慮にふれる。表

1-4は

,健

診の流れに沿って各場面 に関わるスタッフの職種 と人数及びスタッフの動 きを示したものである。

a.受

①39市町村中26市町村

(66.7%)で

事務職が担当している。鳥取・米子市の都市部で保健婦が加わ り

,根

雨保健所管内 。中部圏域では保健帰が担当する町が

5町

見 られる。倉吉市

,鹿

野・北条 。大 栄 。赤碕町では健診の流れの後半に指導にあたる栄養士や歯科衛生士が担当するかカロわる。 ②基本的な仕事内容 として以下の点が とり出された。

1)保

護者 より母子健康手帳

, 1歳 6か

月児健康診査票 (以下,「手帳」「健診票」 と略記

)の

提出をうけ

,必

要事項 を組む。

2)受

付順の番号をつける。

3)健

診 日の日付

,児

の月齢

,医

師名など必要事項 を手帳

,健

診票に記入する。 その際

,市

町村で行われてきた乳児期の健診・相談の記録 を用意 して組む所が

4市

,郡

家保健所 管内の

4町

,青

谷・西伯。中山町に見 られる(表

1-5参

照)。 米子市では受付終了後乳児台帳に1・

6健

診受診の手入れを行っている。その他に

,鳥

取市では予防注射の通知ハガキを手帳にはさんで 渡 している。 また

,健

診の運営をスムーズに展開し保護者に行動の見通 しを示すために

,受

付の順 番を明確にする工夫が払われている。大部分の市町村で健診票に番号を記入 しているが(表

1-5),

保護者 自身に知 らせるために番号札 を渡す (気高町・倉吉・米子市

),受

付名簿への記入 を求める (三朝 。西伯・溝口町

)例

が見 られた。米子市では親子別々に札を用意 し身につけるようになって いる。 後 の指導に活用するために各種 アンケー トを市町村独 自で とっている所 もあ り

,泊

,大

栄 。東 伯・ 赤碕町で食事 アンケー トを

,米

子・倉吉市

,会

見・濤 口町で歯科 アンケー トを回収 している (表

1-5)。

これ らの作業 の後

,受

付順 に次の場面 (大部分が問診

)に

保護者 を招 き案内す る。 ③保護者 は手帳・ 健診票等 を受付 に提出 し

,順

番が くるまで待つ ことが求 め られ る。健診 日までに 郵送で健診票 を受 けとり自宅でアンケー ト記入 を済 ませて くる所がほ とん どであるが

,鳥

取市のみ 健診当 日に受付前

,会

場で保護者が記入するようになっている。大栄町で は食事 アンケー トヘの記 入 を求 め られ る。 日南町では保護者や児の待合 いに20畳の和室 をあて

,セ

ンターのオモチャを用意 して子 どもを遊

(13)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 31巻 第

2号

(1989) 40ユ

ばせ

,親

にとっては「世間話 に花が さ く」時間 となっている。 ここで

,一

般的な事項

,健

診 の流れ について集団に説明が され る。保護者 は

,各

場面で何が行われ どんな相談がで きそうか について知 ることがで きる。

b.問

診 ① 全市町村で保健婦が担当し

,途

中よ り適宜診察介助・ 指導 にまわ る。個別 の面接方式ですすめ ら れる。 ②基本的な仕事内容 として以下の

4点

が とり出された。

1)各

種記録 より健診票へ情報 を転記す る

2)聴

き取 りによってアンケ.― 卜の記入 を確認す る

3)主

訴 。心配 ごと等 を聴 く

4)対

象児 を観察す る 転記 の際の情報源 として

,前

項で乳児期 の健診 。相談 の記録 を添付 した市町村で は手帳 の情報 に 加 えてその記録が活用 されている。淀江町で は事前 にカルテよ り情報 を転記 している。児 に対 して 一貫 した健診 を保障す る前提 といえよう。西伯町で は健診票か ら乳児票へ計測値等 の転記 を行 って いる。 また

,保

護者か らの聴 き取 りの際に「気 になる情報 を詳 し く聞 く」(泊村),「書 ききれない主 訴の有無 を確認す る」(日吉津村

)等

の留意が見 られ る。児 の顔色・行動の観察 に加 え

,絵

本 や積木 等 を用いた発達チェックを行 っている市町村が14か所 ある(表

3-1に

詳述)。 問診 の時点で各種指 導の必要な児 をチェックしてお く例 も見 られた (例

,三

朝町の栄養指導のチェック)。 その他 に

,問

診 の際 に一般的な保健指導 も含 んで行い

,必

要 な児 にのみ診察の後保健指導 を個別 に案内する方法が中部

5町

(羽合・ 東郷・ 北条・ 大栄 。赤碕町

)で

とられていた。用瀬 町で は

,一

人の保健婦が

5, 6人

の親子 を担当 し

,計

測か ら診察 に付 き添 って児の様子 を観察 した り医師の意 見 をきいた りして

,そ

のグループ毎 に指導す るとい う独 自の形式 を とっていた。保護者 との安定 し た関係 を保障 しようとす る工夫がみ られる。 ③保護者 は児 を抱いて個別の面接 をうける。 アンケー ト項 目の確認 をうけ

,心

配 ごと 。相談 したい こと等 を訴 えることがで きる。

C,計

測 ①看護婦・事務職・母子保健推進員等職種 は一定 しない。保健婦が計測にあたる所 は

,東

郷・岸本・ 名和町及び根雨保健所管内の

4町

のうちの

3町

である。鳥取市

,気

高 。河原町は計測のためのスタ ッフは配置されていない。保護者 自身が身長・体重を測って記入 し

,困

難な児には随時保健婦が介 助する。保護者の児への接し方を観察する機会 とも位置づけられているが

,場

所見知 りが強 く計器 に乗 るのを拒む児には

,正

確な計測値 を得 るためにも介助が必要になろう。 ②基本的な仕事内容 としては以下の点が挙 げられる。

1)身

長・体重を計測する

2)計

測値 を健診票等に記入する 江府町では計測 は保護者が行い

,ス

タッフは記入を主 とする。米子市他で必要児のみ頭囲を測っ ている。また

,健

診票に加えてこの時点で手帳に計測値 を記入 してお く所が

7市

町村 (倉吉市

,鹿

野・羽合・東伯・江府町

,福

部・佐治村

)あ

つた。計測後 は次の流れを指示する。米子市では子 ど もに番号札 をつけるよう指示レ

,保

護者が児のオムツカバーに札 をつける。

③保護者は児の衣服の着脱と

,あ

やす 。抱 くなどして計測に協力することが求められる。

d,一

般診察

(14)

渡部昭男・ 田丸尚美・角本典子 :鳥取県における障害児の早期発見 。対応の現状 と課題 (V) ①鳥取市では医師が

2名

,米

子市では3名 が参加 し

,他

の市町村では 1名 が関わっている。米子市 では

3名

のうち

2名

が発達診査 を担当し

, 1名

が内科的診察にあたるという専門性 を生かした方式 がとられている。介助役 は主 として保健婦・看護婦が 1名 あたる。事務職・推進員などがあたる所 が

8市

町村見 られる。福部村

,会

見・岸本 。日野・濤口町には介助役 は特に配置されていないが, 乳児期からの追跡児等に適宜保健婦がつ くという。 ②基本的な仕事内容 としては

,医

師・介助役それぞれに以下の点が とり出された。 医師

介助役 健診票の項 目に基づいた診察 を行 う

1)順

番 に児 と保護者 を呼び入れ る 健診票 に結果 を記入す る

2)適

宜診察 の介助 をす る

3)次

の流れ を指示する

,手

帳等 を次場面 に回す 青谷・ 郡家・ 用瀬・ 赤碕町の診察及 び米子市 の発達診査場面で は

, 5, 6人

ずつのグループが じ ゅうたんの上で ボール

,積

,絵

本等で遊 んでい る場面 を作 り

,医

師が観察 して診察 を行 っている。 また

,会

見町で は診察用の個室 を用意 し

,ゆ

った りとした雰囲気で話せ るように配慮 してい る。 保健婦が介助 にあたっている市町村で は

,医

師 との連携が特 に留意 されていた。「医師 に必要資料 をわた し問題 ある部分 について簡単 に説明す る」(倉吉市),「健診票 をチェックし保護者 の不安等必 要な点 は医師に知 らせ る」(東伯町

)ほ

,保

健婦が「診察結果 を確認する」(倉吉市),「保護者へ 診察結果 を説明 し母子手帳 に記入す る」(泊村)等の動 きが見 られ る。診察場面 における保健婦 によ る児の行動観察 も留意 されている (岩美町)。 ③保護者 の対応 として は

,児

の着脱衣等の準備 と

,抱

いて受診 し診察 に協力する他

,医

師の質問 に 答 えることが期待 されている。心配があれば相談 し

,医

師か ら注意事項 についての助言 をき くこと がで きる。前述 した子 どもの遊 び場面 を通 して診察す る所で は

,干

渉せずに遊 び相手 となる ことが 求め られている。

e.歯

科診察

①各市町村で歯科医が

1名

関わり

,歯

科衛生士が主 として介助 している。介助に看護婦か保健婦が

加 わるか担当する町村 も見 られる。

②歯科医は健診票の項目に基づいて診察し

,介

助役は以下の仕事内容を基本的に行う。

1)順

に呼び入れ る

2)適

宜診察の介助 をする

3)健

診票や手帳 に結果 を記入す る 大山町で は「歯科医の都合で短時間なので

,問

診・計測 を中止 し一時歯科診察 に集中す る」

,江

府 町で は「問診が済んでいない人 も歯科診察優先で実施す る」。尚

,船

岡 。若桜・智頭町で は前述 した ように1・

6健

診 日には歯科診察 は行われず

, 3歳

児健診児 に合流 して別 日程で行 われ る。 いずれ も歯科医確保 の困難 を示 している。 ③保護者 は児を寝かせて受診に協力することが求められる。むし歯の箇所を確認 し児の回腔内の状 況をきくことがで きる。郡家町では歯科診察の終了後待合室でスライ ドを見て保健婦の集団健康教 育をきく場が設けられている。

f.歯

科指導・栄養指導 ここでは歯科衛生士による歯科指導 と栄養士による栄養指導をとりあげる。 ①歯科衛生士の配置が薄かった東部圏域でも配置がすすみ

,第

Ⅲ報によれば15市町村中

7か

所であ ったのが, 1・

6健

診で歯科診察の行われている12市町村中9カ所 (う ち2カ所 は診察介助 のみ)

(15)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 31巻 第

2号

(1989) となった。中部圏域 で は東イ白町 を除 く

9市

町村

,西

部圏域で は全市町村で配置が達成 されている。 栄養士の参加 も 3カ 所 (鳥取・境港市

,青

谷町

)で

増 えた。

4市

と根雨保健所管内の

4町

,倉

吉 保健所管内の

9町

村 中

5町

,東

部圏域 の

2町

(青谷・ 鹿野町

)に

配置 され

,町

村 によってばらつ き が見 られる。 ②歯科指導の基本的な仕事内容 は以下の

4点

にまとめ られ る。

1)レ

ッ ドコー ト液 による染出 し

,プ

ラークスコアの算定

2)歯

みが き 。ブラッシング指導

3)む

し歯予防の話

,お

やつの与 え方

,生

活面 の指導

4)指

導内容 の健診票への記入 歯科医の診察結果 に基づいて個別 に指導が行われ る。西伯 。日南町で は歯科 アンケー トの聴 き取 りを行 ってお り

,受

付 にて歯科 アンケー トを回収す る西部圏域

4市

町村 とも

,指

導 に活用 している。 中部圏域

5町

,西

部圏域

4町

で フッ素塗布が行われている(表

1-5参

照)。 岸本町で は保護者 に 歯科手帳 を渡 し

,こ

こに就学前 までの歯科健診の記録 をつ けてい く。同時 に町 には歯科カルテが作 成 され記録の保管 に用い られ る。 栄養指導 は栄養士の配置 されている15市町村のうち

, 3市

(倉吉 。米子・ 境港市

)3町

(鹿野・ 東郷 。大栄町

)必

要児 のみ受相 とい う方式 をとっている。鳥取市で は5・

6人

のグループ指導 を行 っている。食事 アンケー トを行 ってい る中部圏域

4町

で は

,そ

の結果 を指導 に活用 している。 ③保護者は

,歯

科指導では児の回腔内の汚れを目で確認で き

,ブ

ラッシングの実技指導をうけるこ とができる。 また栄養指導では

,お

やつのとり方 。バランスのとれた幼児食 について聞き

,児

の食 事上の悩みについて相談で きる。

g.保

健指導 ①全市町村で保健婦が個別に担当している。聞診の中に一般的な保健指導を含んで行っている中部 圏域の

5町

では

,問

題のある児のみ保健指導を行っている。 また用瀬町ではグループを担当した保 健婦が集団指導を行い

,必

要児にのみ個別に指導する。 ②基本的な仕事内容 として以下の点が とり出された。

1)健

診・診察結果の確認

2)保

護者の悩み・相談に応 じる

3)結

果に基づいた生活面の指導

4)母

子手帳への記入

5)パ

ンフレット等の配布

6)要

指導・ 要相談児の案内

, 2次

機関の紹介 米子市では

,保

健指導に「結果のお知 らせ」 という命名 をして

,健

診結果や医師他の指示を確認 する場であることを示 している。栄養士が配置されていない町村では

,栄

養面の指導 も重要な内容 となる。栄養相談 。しつけ相談・心理相談などヘー部の児を送る案内をし

,医

療機関への受診勧奨, 発達クリニックの紹介等を行 っている。 ③保護者は健診結果を聞 き

,わ

か らない点を尋ねることがで きる。健診後の対応 (医療 。相談機関 の紹介

,子

どもの生活改善の方向性など

)に

ついて話 し合うことができる。 h。 しつけ相談 。心理相談 ①鳥取 。米子・境港市で家庭児童相談員によるしつけ相談が

,鳥

取市で必理相談員による心理相談 が行われている。いずれ も相談が必要 と認められた児に行われてお り

,医

師の診察結果や保護者の

(16)

渡部昭男 。田丸尚美・ 角本典子 :鳥取県における障害児の早期発見・対応の現状 と課題 (V) 希望によリケースが送 られ

,個

別の面接方式で行われる。 ②時間をかけて児 を観察 した り保護者の訴えをうけとめ整理 した りする。鳥取市ではこれらの相談 のために仕切 られた空間を用意 し

,じ

ゅうたんに座 って話 しやすい雰囲気を作っている。鳥取市・ 境港市ではこれ らの相談員が健診後のケースカンフテレンスに出席 し

,児

の状況 を確認 し以後の対 応について話 し合つている。 ③保護者は

,日

頃気がか りなこと

,健

診の場で気になったこと等を最後 に時間をかけて話 し合 うこ とがで きる。 以上 に述べた健診 の流れの各場面 の基本的内容 と保護者 の対応 の全体 を通 して

,運

営上 の留意点 と工夫 について考察 を加 える。 第一 に

,健

診 の運営 をスムーズに行 うために

,受

診児 と保護者が全行程 を着実 に通 ること及び健 診の記録 を流れに沿 って移動 させ ることが必要である。受付 において到着順 の番号 をつ け

,手

帳・健 診票な どの必要書類 を組 む とい う手続 きをふみ

,保

健婦や介助者が次の流れ を指示 した り呼び こん だ りという役割 を果 している。 流れ図を掲示す る所 もあるが

,日

南町に見 られ る受診者へのオ リエ ンテー シ ョン とい う試みは注 目で きる。1・

6健

診 のね らい

,

どんなスタッフにどんな相談がで きるか を知 ることは

,保

護者 に 単なる受診者 とい うよ り積極的 に健診 スタッフを活用 し育児 の援助 を得 る参加者 という態度 を形成 すると思われ る。 また

,健

診前 にアンケー トが送付 され る方法 は

,そ

の内容か らどんな相談がで き そうかを知 ることがで きる。オ リエ ンテーション同様 の導入 の役割 を果 している と評価で きよう。 会場 に来てか ら健診が始 まるのでな く

,案

内の時点でオ リエ ンテーシ ョンの糸 日がつけられる。 また

,番

号札 を渡 して待 ち時間や次の行動の見通 しを与 える工夫 も注 目され よう。待 ち時間の過 ごし方 として

,じ

ゅうたん。和室 を用意 してす ごしやすい雰囲気 を作 る

,ア

ンケー ト記入 に費やす, スライ ド視聴や集団指導 にあてる等の配慮 も特筆で きる。 第二 に

,発

達 につ°まず きのある児 を正確 にスク リーニ ングす るために

,児

の状況や保護者の生活 背景等 を適確 に把握す ることが必要である。県下で統一 されている健診票 は

,関

診 における聴 き取 りや診察の内容 で一定 の基準 を示 し

,大

きな役割 を果 している。 これが事前 に郵送配布 されること で

,児

をよ く知 っている人が回答で き

,わ

か らない点 は観察す る余裕が保障 され る。アンケー ト方 式による児の状況把握 の正確 さを増す効果が期待で きる。市町村で管理 されている乳児期か らの健 診 。相談の記録 を1・

6健

診場面の間診・ 指導で活用す ることは

,一

貫 した対応 を保障 し児の状況 把握 を正確 にす る上で注 目で きる。 健診票 に加 えて14市町村で独 自の発達チェックが行 われていた ことも注 目で きる。保健婦 自身が 児の問題 を確かめる手段 とな ろう。 また

,診

察の介助 に保健婦があたる場合

,問

診か ら得 られた情 報 を医師 に正確 に伝達 し医師の指示 を確認で きる。特 にカ ンファレ ンスに医師が参加 しない所で は スタッフ間の連携 をはか る上で も検討 してほしい点である。用瀬町で は一人 の保健婦が担当して5, 6人のグループの間診・ 診察 。指導 にあたる。人見知 りの強い

1歳

6か月児 との関係づ くりに寄与 し

,保

健婦 による観察・ 状況把握 を正確 にす る上で貴重な例 と考 えられ る。 第二 に

,健

診 の意義 を明確 にするために保護者が健診 をどんな体験 として うけ とめているかを考 慮す ることである。児 の健康

,発

達 の状態 を専門的な目で確かめ

,日

頃気 になっていることや心配 を相談 し

,健

診後育児や生活 をすすめる上で何か得 るものをもって帰 ってほしい と期待す る。 診察や指導場面での助言・ 注意事項が保護者 によ く理解 され ることが求 め られ る。 その点で診察 の後 に行われる保健婦 による結果の確認 の役割 は大 きい。指導 に活かす別種 アンケー トをとるとり

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