アモル ファスGd67Ni33合 金 の局所構造
― シ ンクロ トロ ン放射光 による
EXAFS測
定―
鳥取大学教 養部物 理 中 井 生 央
(1991年6月29日受理)
Abstract
ヽ│「e report studies on an amorphous Gd67Ni33 a■ Oy using extended X― ray absorption fine
structure(EXAFS)measurements The foHow″ing results about the local structure around a Gd atom are obtained from analysis for EXAFS spectra of LIH absorption edge of Gd. The Gd atom has 13.6 nearest neighbor atoms which consist of 9。 2(3d atoms and
4.4 Ni neighbors.The number of neighbors is shghtly larger than 12 atoms in the face centered cubic structure.T、 vo sorts of Ni atoms,wltich show different inter‐
atomic distance,are located arOund Gd.
§
1.
は じめに物質 は
,温
度が下が るに従 って,気
体,液
体,固
体 とその相状態 を変化 させ る。 そして通常固体 の状態 にある物質 は ミクロに見 ると,そ
の原子配列 は広い範囲にわたって一定 の周期性 を持 った構 造 を示す。 これを長距離秩序(LRO:Long Range Order)と
い う。 ところが団体 の状態 にあるガ ラスにはLROは
存在 しない。しか し狭 い範囲で見 ると原子間距離 とか配位数 はある程度一定 してい る。 この狭 い範囲での規則性 を短距離秩序 (SRO i Short Range Order)と 呼ぶ。 このLROと
SRO
の観点か らいうと,気体 には
LROも SROも
存在せず,液体 にはLROは
存在 しないがSROは
存在する。 すなわち,ガラスは液体 と同 じ原子配置の状態 にある。このような固体 の状態 をアモルファス(amor_phous)ま
たは)F晶質 とい う。アモル ファス状態のGd67Ni33合 金の磁気的性質 は
,ア
モルファスGdxY68 XCu32合 金 と同様 に,1)その局所構造
,す
なわち配位数,原
子間距離,テ
バイ・ ワーラー因子 と密接 に関係 していると考え られる。 それ故 アモル ファス状態での この合金の磁気的性質 を理解す るためには,そ
の局所構造 に96 に, 央
ついての情報 を得 ることが重要である。
物質の局所構造 を調べ る手段 として,広域
X線
吸収微細構造(EXAFS:Extended X ray absorp‐tion fine structure)がある。
EXAFSと
は物質のX線
吸収 スペ ク トルにおいて,内
殻準位 の電子の 励起 による吸収端 よ り高エネルギー側約30∼1000eVに 見 られ る微細 な振動構造の ことである。この 微細構造 は次のような理 由で現れ る。物質中の原子が内殻電子 の結合エネルギー (吸収端 のエネル ギー)β。よ り大 きいエネルギーβのX線
を吸収す ると,図
1(a)に
示す ように,電
子 は運動エネル ギー△β=β
―E。を持 った光電子 としてその原子か ら飛び出す。この光電子 は周 りの原子 によって 散乱 される。電子 は物質波であるか ら,図
1(b)に
示す ように,X線
を吸収 した原子か ら飛び出 し た光電子波 と周 りの原子 によ り散乱 された電子波 とが干渉す ることによ り微細構造が現れ る。それ 故 この微細構造 はX線
吸収原子 の周 りの局所構造 を反映 してお り,物
質 の構造解析 の手段 として注 目されている。更 にEXAFSは
,結
晶のみな らずLROを
持たないアモル ファス,液
体,気
体 な ど,原
理的にはあ らゆる状態の物質 の局所構造解析 に適用で きるとい う特徴 を持 っている。 ここではシンクロ トロン放射光 を用いてアモルファスGd67Ni33合金 のEXAFSを
測定 し,その局所 構造 を調べたので報告す る。 △E tt β ―ど。鰻
: 図1.EXAFSの
現われ る模式的説明(a)内殻準位 の電子エネルギー
E=カ
フのX線
を吸収 してエネルギー △Eを
持 った光電子 として 原子か ら飛び出す。(b)その光電子の進行波 (実線)は隣の原子で散乱 され る。その散乱波 (破線)と進行波が干渉 して
EXAFSが
観淑!される。§
2.試
料 と実験 方法合 金濃度
67at%Gd 33at%Niの
試料 用母合金 は,純 度99,9%の
Gdと99.99%の
Niをアー ク溶解 し作 製 した。 この母合金 か ら単 ロール法 によ リリボ ン状 のアモル フ ァス試料 Gd67Ni33合金 (以後, a―Gd67Ni33と 表 す)を作製 した。Gd―Ni合金 系 は,Gd濃
度67at%に共 晶点 が あ るた め,良
質 のアモアモル ファスGdc7N433合 金 の局所構造
97
ルファス状態の試料 を得 ることがで きる。得 られた試料 の幅 は約2 null,厚さは20μ
mで
ある。X線
回 折のパ ター ンに特定の結晶方位 を示す ピークが見 られない ことか ら,こ
の リボン状 の試料 はアモル ファスであると確認 された。また このアモル ファス試料 の標準試料 として,結
晶質のGd金
属(以後,x―Gdと 表す
)と GdNi2結
晶質合金 (以後,x一GdNi2と表す)を
作製 した。EXAFS測
定 は高エネルギー物理学研究所(KEK)放
射光実験施設 (PF I Photon Factory)の 実 験ステーシ ョンBL 7Cで
,シ
ンクロ トロン放射光 を用い透過法 によ り行 った。り 図2にPFで
の透 過法の測定装置の概略 を示す。2 5GeVのエネルギーで加速 された陽電子 は楕円状 のス トレイジ リン グの中をほば光速で運動す る。 この楕円軌道か ら放射 され る連続X線
は,図
の細線矢印で示 した経 路 を通 り,ス
リッ トで絞 られ,Si単
結昌のモノクロメーターにより単色化 され,一
定 のエネルギーE=力
ε/九 (こ こで は,
力はプランク定数,
θは光速,え
は波長 を示す)を
持つX線
となる。 このX線
が試料 を透過す ると,図
1で
説明 したように,一
部 は試料 によって吸収 され る。 この入射X線
の強度 (フォ トン数)r。と透過後のX線
の強度 」をイオンチェンバーで同時に測定す る。X線
のエ ネルギー (フォ トンエネルギー)Eは
,Si単
結晶の角度 を変 えることによ り変化 させ る。 シンクロ トロ ン (2 5GeV) イオ ンチェンバー モノクロメー ター 図2.PFの EXAFS測
定 装 置 (透過 法)Niの
K吸
収端(β。=8.332keV)はGdの
LI吸収端(β。=8,386keV)に極めて近 く両吸収端のEXAFS
が重なっているので,NiのK吸
収端 のみのEXAFSを
分離 し解析することはで きない。そ こで本稿では
Gdの
LIⅢ吸収端 についてのみ測定 し,Gd原
子か ら見た局所構造 について議論する。測定温度 は300K
である。イオ ンチェンバーのガス として は, r。測定用 にアルゴン (Ar)を
,」
測定用 にアル ゴン75%と
窒素25%の
混合ガス(75%Ar+25%N2)を
使用 した。 また入射X線
のEは ,Cuの
K吸
収端直前98 Fト §
3.EXAFSの
解析 この節で はx―Gdの
Lm吸収端のデータを例 に とって,EXAFSの
解析方法 を述べ る。9 試料 の厚 さをグとす ると,X線
の吸収係数μは μプ=In[r。
/r] (1)
で与 えられ る。図3に GdのLⅢ吸収端でのフォ トンエネルギーEに
対する全吸収量μプの測定結果 を 示す。β。よ り高エネルギー側 に見 られ る振動がEXAFSで
,このEXAFSの
振動 よ り高エネルギー側 の ピー クはGdの
LⅡ吸収端である。図4の太 い実線 は図3のL皿収端近 くを拡大 した もので,細
い実 線 はβに対す る微分係数 を表 している。Gdな
どの希土類金属の吸収端で は,図
3,図
4に示す よう に,鋭
い ピーク (white line)が 現れるのが特徴である。 図3.x一 Gdの Gdの Lm吸 収端 のX線
吸収 スペ ク ト ル。点線 はバ ックグラウ ン ド吸収 を示す。 図4.図
3の吸収端 付近 の拡大図(太い実線)。 細 い実 線 は微 分 係 数 を表 す。 72 45 72 55 ど/10kev 央 〇 〇 ‘O ω ∞ 恩 ミ ︵ ヽ ミ ︶ ヽ ︵い HZ D 四 α く ︶ ヽ く 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 H ︲︲ 〇 〇 〇 引 淵 ︲︲ 質υ ︵仲 ︻ Z D m ∝ く ︶ ヽ \ 7 30 7アモルファスGd67N433合金の局所構造
99
この実測 したμは,次
の式で表 され る。 μ=μvttμo(1+χ
) (2)
ここでμvは他の吸収端や共存原子 によるバ ックグラウンド吸収である。Slで
説明 したように,EXAFS
はX線
吸収原子の周 りの他 の原子 による光電子の散乱 によって起 こるので,周
りに他 の原子がない 場合,す
なわちX線
を吸収 したのが狐立原子の場合,EXAFSは
現れない。 この ときの吸収係数が μ。である。 この式でχがEXAFSの
振動部分 を表す。 図5,実
測 したμか らバ ックグラウン ド吸収 μvを 差 し引いた残 り。細 い実 線がEXAFSの
振動部分, 太 い実線 がμ。を示す。 μvは吸収端 より低エネルギー側 の吉[分をVictoreenの 多項式 (Cλ3+Dぇ
4)に より外挿 し求める。 それが図3の点線である。μか らμvを差 し引いた残 りを図5に示す。この図の細 い実線がEXAFSの
振動部分であ り,太
い実線がCubic Spline法で決めたμ。である。 これ までχはEの
関数 と考 えて き たが,波
数ベ ク トル カ=[2η
△E/h2]I″ (ここで,例
は陽電子 の質量,h=力
/2πである)を
用い て 々の関数χ(乃)に書 き換 える。このようにして求 め られたχ(々)を図6に示す。この図で見 ると, 力の小 さい部分 の振幅 は大 き く,
力が大 き くなるほど振幅 は小 さ くなっている。 そ こで 々の大 きな 部分の振幅 を強調す るために,図 7のように縦座標 を 々3χ (々)で表 し,これ をEXAFSス
ペ ク トル と して以後の解析 を行 う。 蒋 令 ミ ー ミ ︶ E/keV100 中 央 常 大 ミ ︶ k 図
6,波
数ベクトルカの 関数 として描いたx―Gdの Gd LⅢ 吸収端のEXAFS
振動χ(拷)。 図7,x,Gdの
Gd LⅢ吸収 端 のEXAFSス
ペ ク トル ヵ3π (々)。 ︵ じ く 聰とのがχ
(々)を次の式に従ってフーリエ変換し
,動径構造関数
(RSF:Radial Structure Function)φ
(買)を求める。
φ
僚
)■
哺
IXЩ
か
が
ぇ
∽
exp[■
筋
剰
dカ=井
喧
1杉
∽が
ぷか
臨
2々F isin2々
州
dカ=Re
φ
(R)十ilmφ
(父) . 0 ⇔ 0 , 瀾 〇 〇 . 〇 ︲ 0 0 ﹁ = ︱ ⇔ ∞ ・ 々/A―│アモル ファスGd67N433合 金の局所構造 101 ここで″(々)は Hannillg窓関数で
,有
限の 々の範囲(力mm∼
力m ax)でフー リエ変換 を打 ち切 る効果 を少な くす るために用いられ る。このようにして求め られた図7の 力3χ(々)のRSFφ
(■)を図 8に 示す。図中の太い実線がφ(R)の絶対値 (lφ (■)│)で
,細
い実線がφ(■)の虚部 (Im φ(■)) である。 このIm
φ(R)が
極大 となる矢印の位置買=3.51Åが,吸
収原子であるGdの
周 りの最近接 のGd原
子の位置である。ただ しここに示 した3.51Aと い う値 は,位
相 シフ トによる補正 を行 つてい ないので,後
で述べ る最小二乗法 によ り得 られ る実際の最近接Gd Gd原
子間距離 よ りも小 さい値で ある。 図8.図 7のEXAFSス
ペ ク トル カ3χ(々)をフー リ エ変換 して得 られ る動径 構 造 関 数(RSF)φ (■)。 太い実線がその絶対値 を, 細 い実線 が その虚部 を示 す。虚部 が極 大 を示 す矢 印の位置 に最近接 のGd原 子が ある。 次 にRSFの
絶対値 のピークを含 む父mmから資maxまで を(図8のx―Gdの場 合,買mm=2.25A,Rmax=
3.95Å),フー リエ フィル ター法で逆 フー リエ変換 す る。そ うして得 られた 乃3χ(々)を,図 9の丸 印 で示す。 図9.フ
ー リエ フ ィルタ ー法で図8のRSFを逆 フ ー リエ 変 換 して 求 め た 々3χ (ヵ)(丸 印)。太 い実 線 はEXAFSの
式 は)に最 小二乗法 を適 用 した計 算 値 を,細
い実線 は実測値 (丸印)と計 算値 との差 を 示す。 ミ ︶ ミ 聰 〇 〇 , 〇 ︲, ヵ/Aコ102 中
EXAFSか
ら配位数,原
子間距離 な どの局所構造パ ラメータを求めるために,次
に示すEXAFSの
式 を用いて,40
図9に丸印で示す実測値 々3χ(ヵ)を最小二乗法 により解析す る。々
3χ (ヵ)=B4す
(力)Sin[2滝賀ブ
十δメカ
)]
“
) また振幅4す(々)は次のように表 され る。4メ
D=¥Fメ
D Slble郡
卜 獄 加 刺 αp卜 2恥
勾⑤ これ らの式は
,X線
を吸収 した原子か ら飛び出した光電子が周 りの原子によって1回
だけ散乱され ると仮定することにより得 られる。ここで資プはX線
吸収原子 とノ番目の近接原子 との原子間距離, 舟(々)は位相 シフ ト,NJは 配位数,舟2はデバィ.ワーラー因子(あるいはMSRDと
いう :mean square relat e displacement),Fす(々)は後方散乱振幅,S(ん )は振幅の減衰因子,λプ(力)=々
/7(7は
定 数)は電子の平均 自由行程である。最小二乗法を用いて解析 した結果が図 9に 示す太い実線である。 またこの図には,
この計算値 と実測値 (丸印)と
の差 を細い実線で示 している。 このようにして, 式(4ら 低)の局所構造パラメータが求められる。 §4.結
果 と考察 この節で はx GdNi2と a Gd67Ni33を 比較 しなが ら議論 を進 める。図10にx―
GdNi2の
,図
11にa―Gd67Ni33のEXAFSス
ペ ク トル カ3χ(ヵ)を示す。図10。 x―GdNi2の
Gdの
LⅢ吸収端 で のEXAFSス
ペ ク トル カ3χ(ヵ )。 8 00 カ/AI
央 ︵ ミ ︶ ミ o ミアモルファスGd67N433合金の局所構造 103
図■.a―Gd67Ni33のGdの LⅢ吸収端 での
EXAFSス
ペ ク トル カ3χ(力)。
図10,図 11の
EXAFSス
ペクトル 乃3χ(々)をフーリエ変換 して得 られるx―GdNi2とa Gd67Ni33のRSF
φ(資)を各々図12,図
13に示す。x―GdNi2の場合,図
12のRSFの
虚部 (細い実線)の
第1のピーク の位置 (矢印)が
Gd原
子 の周 りの最近接Ni原 子の位置であ り,第
2のピー クの位置 (矢印)が
最近 接Gd原
子の位置である。 またa Gd67Ni33の場合,図
13のRSFの
虚部 (太い実線)の
第1,第 2,第
3のピーク位置 (矢印)力S,各
々Gd原
子の周 りの最近接Ni原子,第
2近
接 のNi原子,最
近接 のGd
原子の位置 を表 している。ただし両図 とも位相 の補正 は行 っていないので,買
の値 は実際の ものよ り小 さ くなってい る。 図 12.x―GdN12のGdの Lm吸収端 で のEXAFSス
ペ ク トル (図10)をフー リエ 変 換 して得 られ る RSFφ(■)。 太 い実線 は 絶対値,細
い実線 は虚部 を示 す。矢 印で示 す虚部 の第1のピー クの位置 に Ni原子 が,第2のピー ク 位 置 にGd原子が あ る。 Φ O ⇔ . 〇 〇 ¨ ︱ 頁 ∝ ︶‘ 一 ぃ倉 ︶ s E H 削 ぶ 3 F 〇 ヾ 〇 〇 W O I O ¨ F l o o . ¨ ︱ ミ ︶ ミ 聰104 中 図13.a―Gd67Ni33のGdの
Lm
吸収端でのEXAFSス
ペク ト ル (図11)をフー リエ変換 して得 られるRSFφ(■)。 細 い実線 は絶対値,太
い実 線 は虚部 を示す。矢 印で示 す虚部 の第1,第
2ピー ク の位置 にNi原 子 が,第3の ピーク位置にGd原子がある。 3 00P/A
このRSFを
フー リエフィルター法で逆 フー リエ変換 して得 られ る 々3χ (乃)を,x―GdNi2について は図14に,a一Gd67Ni33に ついては図15に,丸
印で示す。 図14.図12に示 すx―GdN12 のRSFを逆 フー リエ変換 し て 得 られ る 力9χ(力)(丸
E「 )。太 い実線 は最小二乗法 に よる計算値 を,細
い実線 は計算値 と実測値 (丸印) との差 を示す。 央 一 ︵区 ︶蒋 一 ズ 館 ︶4 日 ︼ ︵ さ く ヽアモルファスGd67N499合金の局所構造 105 図15。 図13に示 すa― Gd。7 Ni38のRSFを逆 フー リエ変 換 して得 られ る 力3χ(ヵ) (丸印)。 実線 は最小二乗法 に よる計算値 を示す。
EXAFSの
式(4),(5)を用いて,図
14,図15に丸印で示すEXAFSス
ペ ク トル 々3χ(々)に対 して最小 二乗法 を適用す ると,表
1に示す局所構造パ ラメー タが得 られ る。 この表 に は,前
節 で得 られ た x―Gdの
値 もあわせて示す。これ らの局所構造パ ラメータを式 (4),G)に 代入 して求 めた計算値が図14,図
15の太い実線である。x―
Gdは
hcp構造で (hexagonal close packed structure),Gd原 子 は12個の最近接Gd原
子 に囲 ま れている。X線
回折か ら決 められた格子定数 は,=3.6360A,θ
=5,7826Åである。つ これか ら最近 接のGd―Gdの
原子間距離 を求 めると買=3.573Aと
なる。一方EXAFSか
らは,表
1に示す ように, 資=3.57±0.01Åが得 られ る。この値 はX線
回折の値 と良い一致 を示す。この ことか らEXAFSで
は 約0.01Åの精度で原子間距離が決 まることになる。 x―GdN12の
結晶構造 はCu2Mg型
のC15Laves構
造であ り,X線
回折か ら決 め られた格子定数 は α=7.2056±0.0009Åである。め これか らGd原
子 の周 りには,■=2.987Aの
位置 に12個の最近接Ni
原子,賀
=3.120Aの
位置 に4個
の最近接Gd原
子があることが分かる。 力/AJ
106 中
表
1.EXAFSか
ら決 め られ る局所構造パ ラメー タここに は最小二乗法で決 め られた吸収端 のエネルギーβ。も示 してあ る。 括弧 内の数字 は最小桁 での誤差 を表 す。
試 料 A一Bω E。/keV 資
/A
σ2/A央 x―
Gd
x―GdN12 a―Gd。7Ni33 Gd―Gd
Gd―Ni Gd―Gd
Gd―Ni Gd―Ni Gd―Gd
7.241 7.241 7 241 35質1) 0.01以
1) 2,9質動o.02Ж
動 3.1質りo.01駅
D
2.8且動0.01項
り 3.4Ⅸ0 0 01Ⅸ
l) 36Ⅸ4) 0.02α
0
2.Д0
2.ズリ 9.29rDla)Aは
X線
吸収原子を,Bは
散乱原子を示づ。b)最
小二乗法による解析のとき固定されていた,結
晶での値を示す。一方
EXAFSの
解析では,12個
の最近接Ni原子がR=2.97± 0.02Aの
位置 に,4個
の最近接Gd原
子 が 資三3.17±0.01Aの
位置 にある。最近接Gd NIの
距離 はX線
回折 の結果 と一致す るが,最
近接Gd一
Gdの
距離 は幾分EXAFSの
結果が大 きくなっている。a―Gd67Ni33の
EXAFS測
定か ら得 られた主な結果 は次の3つである。その第1は,Gd原
子が4.4個の近接Ni原子 と9.2個の近接
Gd原
子合わせて13.6個の最近接原子 を持つ ことである。 この個数 は,結晶 において最密構造であるfcc構造 (face centered cubic structure)の 場合 の12個よ りわずかに 多い値である。第2の結果 は
,表
1に示す ように,最
近接Ni原子の位置 に2種
類 あることである。 しか し,す べてのGd原
子の周 りに距離の異なる2種
類 のNi原子が存在す るのか,Ni原
子 に2種
類す なわちGd原
子 との原子間距離R=2.83Å
を持つものとR=3.40Aを
持つものがあるのかは,このEXAFS
の結果のみか らは判断で きない。同様 のことはa―Ni67Y33の
EXAFSに
おいて も観測 されている。9
第 3の結果 はデバイ・ ワーラー因子 σ2についてである。 σ2はσ2=σD2+σT2
のように,構造 の乱れに起因す る項 σD2と熱振動 による項 σT2から成 る。表1のGd―
Gdの
σ2を見 ると, 300Kでの測定なので熱振動 によるσT2の寄与で,x―Gdとx―GdNi2でもある程度大 きな値0.012Å2と0.013A2と なっているが,a―Gd67Ni38で は0・026Å2と更 に大 きな値 を示す。これ は,a―Gd67Ni33に お
いて は熱振動 によるσT2の他 に,ア モル ファス とい う構造の乱れによるσD2がヵ口ゎっているためであ る。
アモルファスGd67N499合金の局所構造 107 §
5.結
論 a Gd67Ni33合 金 の局所構造 を調べ るために,Gdの
Lm吸
収端のEXAFSを
測定 した。比較 のために x―Gdとx―GdNi2について も,Gdの
LⅢ吸収端 の測定 を行 った。 その結果,a Gd67Ni33合金 の局所構 造について,次
の3点
が明 らかになった。(1)最
近接 のNi原子 とGd原
子 をあわせた個数 は,結晶の最密構造の場合 に比べて多 くなっている。 鬱)Gd原
子 とNi原子 との距離 には, 2種
類 の異なる値がある。0)ア
モルファス とい う構造の乱れのために,デ
バ イ 。ワーラー因子 は結晶の場合 よ りも大 きな 値 を示す。 謝辞 本稿 は,岡
山大学理学部前田裕宣氏 (現在米国Washington大
学 に留学中)との共同研究 の一部で ある。アモル ファス試料 は英国Southampton大
学B.D.Rainford教 授 と共同で作製 されたものである。 標準試料であるGdとGdN12結
晶の作製 とEXAFSの
測定のときは鳥取大学教育学部安藤 由和氏の協力を得たので,ここに謝意 を表する。
EXAFS実
験 はPF Program Advisory Committeeの 承認 (PrOposalNo.88141)の
下 に行われた。参 考 文献
1)I.Nakai,C A Cornelius,S,H.Kilcoyne,Eヽ V Lee and B D Rainford:」 Phys Soc Jpn 57(1988)2506.
2)H,Oyanagi,T,MatsuShita,M Ito and H Kuroda:KEK Report 83-30(1984) 3)H h/1aeda:」 Phys SOC Jpn 56(1987)2777
4)E A Stern:Phys.Rev B10(1974)3027
5)CA,Ashley and S Doniach:Phys Rev Bll(1975)1279
6)P A Lee and」B Pendry:Phys Rev Bll(1975)2795
7)F H Spedding,A H Daane and KヽV.Herrmannt Acta Cryst 9(1956)599 8)N C Baenziger and」 L MOriarty,Jr.:Acta Cry載 14(1961)948