症 例
症 例:40歳女性 主 訴/入院目的:蛋白尿・腎機能障害/腎 生検目的 現病歴:2002年(30歳),感冒を契機とした 腎機能障害にて当院で腎生検。IgA腎症による 末期腎不全の診断となっていた方。2003年(31 歳)血液透析導入。2006年(34歳)時,母親 をドナーに他院で生体腎移植が施行された。[血 液型は一致,HLAは1 haplotype identical,ダイ レクトクロスマッチ陰性]0h生検施行され異常 指摘なし。特に拒絶反応もなく良好に経過し, 尿蛋白は陰性,退院時の血清Cr値1.29mg/dlで あった。免疫抑制剤は,バシリキシマブ,プレ ドニゾロン,シクロスポリン,ミゾリビンの4 剤にて導入療法が行われた。 そ の 後 外 来 で は,2009年 頃 よ り 血 清Crが 1.7 2.0㎎ /dlと徐々に上昇,尿蛋白も0.25g/g・ Crと増加傾向となった。しかし腎生検は施行さ れず,上記3剤にて継続治療。(詳細不明) 血 圧はARB製剤内服し120 ∼ 130/70 ∼ 80mmHg 程度,脂質異常症に対してスタチン製剤等が使 用されていた。血糖に関しては,一時高血糖を 認めたもののプレドニンの減量によりHbA1cは 5.8%程度とコントロール良好であった。 2012年7月, 血 清Cr値 は3.2mg/dl, 尿 蛋 白 5.0g/g・Crとさらに増悪,腎生検目的に当院移 植外科紹介,腎生検が施行された。IgA腎症の再発と慢性抗体型関連拒絶反応に
de novo 膜性腎症と思われる所見を呈した移植腎の一例
田 中 寿 絵
1呉 瓊
1小 倉 豪
3中 澤 来 馬
1白 井 博 之
2中 村 道 郎
2遠 藤 正 之
1深 川 雅 史
1 図 1 Cr (mg/dl) (g/g Cr) PSL ( ) CyA ( ) MZ ( ) C A (ng/ml) 2006 12 1.2-1.4 0.1 10 200 100 130-150 2007 9 7.5 2009 1.7-2.0 0.25 175 130 2010 0.6-1.0 70-90 2011 2.0-2.3 1.0-2.3 170 100-120 2012 2.5-3.2 3.5-5.0 70-80 既往歴:高血圧,脂質異常症,ステロイド糖 尿病 家族歴:特記すべきことなし 薬 歴: プレドニゾロン7.5㎎ 1×M ネオーラル170㎎ 2×(9時 21時) プレディニン100㎎ 2×(M・A) ニューロタン25㎎ 1×M リピトール5㎎ 1×A, ゼチーア10㎎ 1×A ユリノーム25㎎ 1×M シナール配合錠3T1×M ウルグートカプセル(200)4C 2× アレルギー:なし【血算】 WBC 6200 /μl RBC 290×104 /μl Hb 9.8 g/dl Ht 29.1 % Plt 21.6×104 /μl 【血液ガス(静脈)】 pH 7.336 PCO2 29.4 mmHg BE -9.2 mmol/L HCO3- 15.3 mEq/L 【生化学】 TP 5.8 g/dl Alb 3.1 g/dl BUN 40 mg/dl Cr 3.17 mg/dl UA 6.0 mg/dl Na 133 mEq/L K 4.1 mEq/lL Cl 101 mEq/L Ca 8.5 mg/dl IP 3.9 mg/dl AST 16 U/l ALT 16 U/l LDH 296 U/l ALP 201 U/l CRP <0.09 mg/dl Glu 125 mg/dl TG 298 mg/dl Tchol 278 mg/dl LDL-C 119 mg/dl 【尿検査】 pH 6.0 比重 1.005 尿蛋白 (3+) 潜血 (1+) 尿糖 (-) ケトン (-) WBC (-) 【尿沈渣】 赤血球 1-4 /HPF 白血球 1-4 /HPF 硝子円柱 (1+) 赤血球形態 糸球体性 24時間蓄尿; 蛋白 3.59 g 【感染症】 HBs Ag (-) HCVAb (-) 梅毒TPAb (-) 【凝固】 APTT 27 sec PT% 138 % INR 0.81 入院時身体所見 図 2
(2002 )
1
図 3 IgA IgG IgA(2006 ,
0h)
2
;
Slight interstitial edema of the kidney 図 4 図 5
(2012
6 )
3
図 6 76 22 (28.9%), 4 (5.3%), 4 (5.3%) 図 7 図 8 Paramesangial deposit Mesangiolysis 2 図 9PTC
PTC 図 10 図 11 図 12 図 13 C4 PTC C3 [ ] 図 14 [ ] IgA IgG IgA 図 15 [ ]PTC 図 16
腎生検所見のまとめ
①IgA腎症再発 H-GradeⅡ(A/C) ②慢性活動性抗体関連型拒絶反応 ③CNI慢性毒性による細動脈硬化症 ④de novo 膜性腎症 stage2Banff 09 score: i2, t1, g1, v0, ci2, ct2, cg0, cv0, ptc2, ptcbm2, mm1, ah3, aah3, C4d3
考 察
1 再発腎炎について 2 de novo 膜性腎症について 図 17Ivanyi B. Nat Clin Pract, Nephrol 4(8); 446-457, 2008 IgA HLA IgA 6 Cr 1g/ 図 18 2%(de novo ) Alport IgA MN 7 PLA2R
De novo
membranous nephropathy
Ponticelli C and Glassock RJ. Transpl Int 25; 1205-1210, 2012 Ivanyi B. Nat Clin Pract, Nephrol 4(8); 446-457, 2008
El Kossi M, et al. Clin Transplant 22; 124-127, 2008
Debiec H, et al. AJT 11; 2144-2152, 2011
図 19 1988 2006 de novo MN 17 (DSA) 5 ( 12 DSA ) 図 20 De novo MN Control MN 17 De novo MN T De novo MN AMR
Pt no. Age/se x ( ) ABO HLA mismach DSA Titer By PRA Class / (%) sCr at Bx Urine protein g/day at Bx Tx DSA Follow -up 1 37/M 12 O O 3 9.9/37.9 2.00 4.0 MP CNI +PE MMF/ARB Not done
2 21/M 15 A A 3 68.2/28.7 1.76 1+ MP CNI Not done 3 33/M 50 O O 2 3.9/24.6 1.74 0.36 MP CNI
+MMF Positive
4 42/M 58 O B 2 Not done 3.80 5.0 MP CNI + PE DSG Pulse Not done 5 47/F 166 A A 2 4.8/81.5 1.00 - MP CNI +DSG Negative Table 2. Graft loss
de novo MN AMR 図 21
まとめ
臨床経過および病理所見から,移植後早期よ り,慢性活動性AMRおよびCNI毒性が出現 し,その後細胞性半月体を伴う,比較的活動 性の高い再発IgA腎症を合併したと考える。 de novo膜性腎症は,上記が基礎となり発症 し,ネフローゼレベルの蛋白尿はこれに伴 い出現した可能性もある。 血清Crの上昇や尿蛋白が増加がみられた段 階で腎生検を施行し,治療内容を変更する必 要があったと考える。結 語
再発IgA腎症と慢性抗体型関連拒絶反応にde novo膜性腎症を合併した 移植腎の一例を経験した。 図 22 De novo MN IgG4 subclass 図 23 De novo MN (n=17) Control (n=17) P-value Age 37.7±3.14yr 37.9±3.13yr nsMale/Female 10/7 10/7 ns Period between Tx and Bx 102±16.6 months 104.3±16.9 months ns Urine protein excretion>(+) 15/17(88%) 11/17(64.7%) ns ABO compatibility Number of mismatch in HLA 1.94±0.28 2.00±0.20 ns 図 24
討 論
田中 よろしくお願いします。 まず,この症例なんですけれども,血液透析 の導入までは当院で行っているのですが,その 後の移植,そしてその移植のフォローは全て 他院で行っておりまして,詳細なデータ等が ちょっと十分でない部分がございます。その点, 初めにおわびさせていただきます。 症例ですけれども,30歳の女性。主訴は蛋 白尿,腎機能障害で,今回,腎生検の目的でご 紹介となりました。 現病歴ですが,2002年に感冒を契機とした 腎機能障害で当院で腎生検を行っています。そ の際,IgA腎症による末期腎不全という診断 となっております。2003年に血液透析を導入。 そして,2006年に母親をドナーに他院で生体 腎移植が施行されました。血液型は一致。HLA は1haplotype identical,クロスマッチは陰性で す。0h生検を施行されまして異常の指摘はご ざいません。その後,特に拒絶反応もなく良好 に経過しまして,尿蛋白は陰性,退院時の血清 クレアチニン値は1.29となっております。免疫 抑制剤は,バシリキシマブ,プレドニゾロン, シクロスポリン,ミゾリビンの4剤で導入を行 われております。 その後,他院の外来ですけれども,2009年 ごろより血清クレアチニンが1.7から2.0と徐々 に上昇傾向となっております。尿蛋白も0.25ぐ らいと増加傾向となっております。 しかし,ここは詳細不明なんですけれども, 腎生検を施行されずに,プレドニゾロン,シ クロスポリン,ミゾリビンの同じ3剤で継続治 療となっております。血圧はARB製剤を内服 されて,120から130,下が70から80です。脂 質異常はスタチンを使用されております。血糖 に関しては,一時高血糖があったようなので すけれども,プレドニゾロンを減量しまして, HbA1cは5.8%程度と,比較的コントロールさ れていたようです。 2012年7月に血清クレアチニンが3.2,尿蛋 白が5g/gCrとさらに増悪したため,腎生検目 的に当院移植外科に紹介となり,腎生検が施行 されました。 ここで,他院外来での経過をまとめます。ク レアチニンは当初1.2から1.4ぐらいだったので すけれども,2009年ごろから上がり始めて1.7 から2。そして,2011年になると2を超えてきて, 2012年では,もう2.5から3を超えてくるよう な状態。 尿蛋白も当初は0.1なんですけれども,2009 年ごろから増えてきて0.25となり,どんどん増 えていきまして,2011年になると,もう1gを 超えて2gまで出てくる。2012年になると,も うnephroticなレンジで出ておりました。 免疫抑制剤はこの3剤,同じものが使われて いて,プレドニンは10mgで開始されまして, その後,恐らく血糖値が高かったこともあっ てか,7.5に減量になって,そのまま継続です。 シクロスポリンは200mgが入って,その後減量 されて170となっています。トラフはこういっ た感じになっています。ミゾリビンは100mgが 最初から導入されて,そのまま同量で継続され ています。 既往ですけれども,高血圧,脂質異常,ステ ロイド糖尿病で,家族歴は特にありません。薬 歴ですが,先ほども言いましたけれども,プレ ドニゾロン7.5,ネオーラル170,プレドニンが 10,血圧はARBニューロタンが入って,脂質 はリピトール,ゼチーア,尿酸はユリノームな どが飲まれていました。 入 院 時 身 体 所 見 で す け れ ど も, 身 長 は 152.4cm,体重は49kg。血圧は110の63と,血 圧コントロールは良好です。若干,眼瞼結膜, 貧血がありまして,その他,特に異常所見はあ りませんでした。 検査所見ですけれども,血算では白血球は 6200。ヘモグロビンが9.8と貧血を認めており ます。血小板は特に問題なし。血液ガス(静脈) ですけれども,代謝性のアシドーシスはあります。生化学はtotal protein5.8,ALB3.1と低下し ておりまして,BUN,Crでは40,3.17と上昇 しております。電解質は特に異常なく,肝機能 の障害もありません。CRPも0.09未満です。こ のとき血糖,中性脂肪,食後の採血になってお りまして,ちょっと評価は難しく,LDLは119 と特に問題は認めません。 尿所見ですけれども,尿蛋白は3(+),潜血 1(+),そして形態で糸球体性となっておりま す。24時間の蓄尿をしまして,尿蛋白は3.59g。 感染症はありません。凝固も特に問題ありませ ん。 ということで,少ない検査データで申し訳な いのですけれども,早速,腎生検の所見に移り たいと思います。 まず,1回目は当院で行われました2002年の ときの所見で,あまりいいスライドが残ってお りませんで,山口先生,重松先生にちょっと お渡しできていないものなんですが,かなり 硬化糸球体が多くて,末期腎不全の様相でし た。一部残った糸球体を見てみますと,IgAが mesangiumについておりまして,これはIgA腎 症と言えます。蛍光抗体をやりますと,ちょっ とつぶれかけた糸球体ですので,ちょっとこ うpatchyみたいな感じについてしまっています けれども,IgAが優位に沈着しておりまして, IgGに関しては,一部linealなようなものも少 しありますけれども,少なくとも顆粒状のもの はありません。 2回目,これは移植腎0hのもので,他院で行っ ておりまして,申し訳ないんですけれども,画 像がありません。リポートがありまして,ほぼ 正常腎だったと。若干,edemaが間質にあった ようです。免疫グロブリンの沈着も特になく, 電子顕微鏡でも異常沈着物はありませんでし た。 これが,今回の生検なんですけれども,移植 後6年たった状態であります。糸球体は全部で 76個ありまして,全節性硬化が22個,28.9% ありました。分節性硬化も4個,半月体も認め ております。尿細管間質につきましては,硬化 糸球体の周りに細胞浸潤などもありますけれど も,比較的保たれている分は多くあります。 糸球体を拡大していきますと,細胞性の半月 体が1個で,細胞線維性の半月体が3個ありま して,それからmesangiumの基質の増加が認め ております。この辺はもう硬化にちょっとなり つつあるんですかね。 それから,この糸球体はかなりmesangiolysis に係蹄が広がってしまっているというのを全体 的に認めます。そして,係蹄内腔にこういう単 核球を中心としていると思うのですけれども, 細胞浸潤があります。係蹄の二重化というのは, あまりはっきりしたものはありませんでした。 そ し て, 一 つ の 糸 球 体 に はparamesangium deposit,IgA腎症の特徴的なdepositを認めまし た。 PAM所見では,ちょっとspike的なものとか, この辺もちょっとあるかな。点刻像など疑われ る所見があるかと思います。 PTCですけれども,こちらは細胞浸潤があり まして,尿細管は基底膜が肥厚して萎縮してお ります。 ここは,真ん中のこの辺とかもかなり浸潤細 胞が入っております。 尿細管炎に関しましては,あまり強いものは なかったかなと,われわれは考えました。ただ, よく見ると一部にこういったところとかには浸 潤細胞がありますし,この辺の尿細管も,多少 尿細管炎はあるんですけれども,あまり強いも のではないと。むしろ,間質の繊維化が結構あっ たと思います。 血管病変につきましては,内腔のかなり著し い内膜の肥厚です。それから,硝子化も強くて, 血管の壁が完全に弛緩されているような,構造 が壊れているような状態でした。動脈の内膜炎 はありません。Elastica-Massonですけれども, 弾性繊維がちょっと多層化がありまして,これ らの所見はcalcineurin inhibitorの毒性,動脈硬 化によるものかなと考えました。
蛍光抗体なんですけれども,今回残念ながら 糸球体はありませんで,間質のほうの評価はし ています。C4dの染色ですと,本当にPTCのと ころに沈着がありまして,これがびまん性に認 めていました。非常にきれいに染まってしまっ ていました。C3のほうは血管のほうに陽性に なっていました。 蛍光抗体で糸球体はありませんでしたので, 酵素抗体を行いました。IgAはmesangiumに沈 着しておりまして,IgA腎症を再発をしたのだ ろうと考えました。IgGに関しては評価不能か なというふうに思っています。 電子顕微鏡所見ですけれども,この糸球体に 関しては,IgA腎症の再発といっている割には, IgAのmesangium領域の沈着はないのですけれ ども,ちょっと浸潤細胞などもあって,ちょっ と係蹄のほうを拡大して,ぼやけてすみません。 基底膜のところにdepositが上皮下に認められ ました。 こちらはPTCの電子顕微鏡です。これは, 先生方にお送りできていないもので,後でやっ ていないことに気付きまして,急いでやったも のなのでお送りできませんでした。すみません。 浸潤細胞がここにありまして,この辺を拡大し ますと,ぐるっとPTCの基底膜が何層かになっ ているのではないかなと思うのですけれど。 ということで,われわれはIgA腎症の再発 でHistological Gradeは Ⅱ でacute and chronic (A/C)。そして慢性の活動性,抗体関連型拒 絶反応があって,血管に関してはcalcineurin inhibitorの細動脈硬化症。そして,de novoの膜 性腎症が出現したのかなというふうに思ってお ります。 考察です。まず再発腎炎に関しましては。 これは『Nature』reviewのtableを持ってきた んですけれども,IgA腎症はちょっと幅があり ますけれども,7から30%ということで,比較 的再発は多いといわれています。そのほかは FSGSとか,MPGNなどは非常に再発が多いか なといわれていて,その再発のリスクもHLA の良好な一致とか,IgAの高値とか,いろいろ いわれてはいるようです。 今回合併したde novoの新規発症の膜性腎症 に関して,ちょっとまとめたんですけれども, 発症頻度は移植腎の約2%といわれておりまし て,de novoの腎炎としては最多ということで す。われわれの施設ではあまり移植腎を見るこ とがないので,非常に珍しいのかなと思ったん ですが,恐らくたくさん見られている施設では, 時々見られるものなのかもしれません。そして de novoの膜性腎症の蛋白尿の程度とか,移植 腎機能の予後というのは,さまざまだといわれ ています。 発症機序なのですけれども,今のところ不 明となっているのですが,これはケースリ ポートなのですけれども,2008年の『Clinical Transplantation』などでは,慢性の抗体関連拒 絶反応との関連がいわれていると。 そのほか,肝炎ウイルスとか,Alport症候群, 尿管閉塞,いろいろ再発IgA腎症なども伴って 発症するなどもいわれているのですけれども, これらは二次的に膜性腎症が起こっているのか もしれないし,それらの関連というのも正直分 からない。 ただ,ちょっと面白かったのは,原発性膜 性腎症の約7割で認めるとされるphospholipase A2 receptorの抗体が,de novoの膜性腎症です と陰性だったという報告も最近出ておりまし て,9例という少ない症例数でありましたが, また違う機序で起こっているのではないかとい うようなこともいわれています。 そこで今回の山口先生のグループで,とても 勉強になる論文が出されていたので,ちょっ と 話 さ せ て い た だ き た い ん で す け れ ど も, 『Clinical Transplantation』の2011年のものです が,1988年から2006年の間に移植後de novo膜 性腎症と診断された17例について検討されて います。生検時,donor specific antibodyを5例 で検索して,5例全例で陽性だったということ です。ほかの12例は残念ながら施行されてい
ないようなのですけれども。
その論文で,de novoの膜性腎症とcontrol群 として,膜性腎症ではない17例と比較されて いるんですが,de novoの膜性腎症では,こう いったtubulitis,interstitial cell infiltrationみたい な,細胞性免疫に関する,細胞性拒絶に関連す るものというのは有意差はなかったということ なんです。しかしながら,glomerulonephritisと か,transplant glomerulopathy,PTC病 変,PTC の基底膜の肥厚などAMRと関連する所見とは 優位に差が出て,de novo膜性腎炎を認めると 報告されています。
さらにdonor specific antibodyが陽性だった5 例について臨床経過も発表されているんですけ れど,年齢は大体30代か40代で,移植後の期 間はいろいろのようです。ABOは一致か,こ こ はminor mismatchで,HLA mismatchも こ れ ぐらいの症例で,この2例がgraft lossになった ということなんですけれども,1例の人は,4g ぐらいのかなりの蛋白尿が出て,腎生検中はク レアチニンが2だったのですが,メチルプレド ニゾロン,カルシニューリン,そして血漿交換 など積極的な治療を行って,graft lossに至らな かった。 一方,この2番の人は,尿蛋白はほとんど出 ていなくて,クレアチニンもさっきの1番より も1.76で低い状態なんですけれども,graft loss になってしまった。この方は,あまり症状がな かったためだと思うのですけれども,積極的な 治療はあまり行っていないのです。決定的な違 いとしては,DSA Titerがかなり高かったとい うことがあります。 その他,3番目の人は,あまり蛋白尿も出て いないですし,クレアチニンもこれぐらい。こ の方はplasma exchangeをやっていないのです けれども,特に問題はなく経過したと。こちら の方は,腎生検時にかなりクレアチニンが上 がっていますので,かなり強い治療をやっても 難しかったのかなというようなこともありまし て,de novoの膜性腎症はさまざまな程度の尿 蛋白を呈していまして,現在のところ,これが いいという治療は一定したものがない現状なの かもしれないです。 そして,このグループではde novo膜性腎症 によってのみ,腎予後が決まるというよりは, この5例の検討ではありますけれども,もしか したら,例えば,蛋白があまり出ていなくて, ですけれども,DSAが高くて,graft lossに至っ てしまうようなものなどもあるということか ら,やはりAMRの程度も関係しているのでは ないかというようなことも書かれておりまし た。 ということで,今回の症例を振り返ってみま すと,臨床経過および病理所見から,本例で は移植後早期より,慢性活動性のAMRおよび calcineurinの毒性が出現し,その後細胞性半月 体を伴う比較的活動性の高い再発IgA腎症を合 併したというふうに考えております。 de novoの膜性腎症は,それら,慢性活動 性AMRな ど が あ っ て 発 症 し ま し て, 現 在, nephrotic rangeで出ているのは,これが一つは 可能性かなと思っております。 反省点としましては,血清クレアチニンの上 昇や,尿蛋白の増加が見られた段階で,もっと 早期で腎生検を行って,原因を究明し,そのと きに治療内容を変更するということが必要だっ たのではないかと考えております。 ということで,今回,再発のIgA腎症と,慢 性抗体型関連拒絶反応にde novoの膜性腎症を 合併した移植腎を経験しましたので発表させて いただきました。ありがとうございました。 座長 どうもありがとうございました。とても 詳しい解説をしていただいて分かりやすかった です。 何か本症例について,質問はございますか。 今回この症例の腎機能障害の原因として,最 も考えたのはどの病態ですか。 田中 ベースにやはりAMRがかなり進んでい るということと,あとはやはりIgA腎症は比較 的活動性が高いものなので,それらが一番影響
したのではないかなと思っています。 座長 たまたまこういうふうに膜性腎症が見つ かった場合に,やはり先ほどの間質性腎炎と同 じように,いろいろな二次的な要因があって, こういうように抗体関連型の拒絶反応がある と,de novoとしていいのかなと思ったときに, 悪性腫瘍など二次性の疾患を,どの程度,検索 に行けばいいのだろうと悩んでしまうと思うの ですけど,どのようにお考えでしょうか。 田中 やはり,二次的にウイルス感染も含め, もう一度,全身検索をするべきだとは思いまし て,この症例でそこまでされたかというと,し ていないので,その点はちょっと反省しないと いけないと思います。 座長 はい。どうもありがとうございます。 そのほかに何かございますか。よろしいです か。では病理の先生のご意見を伺いたいと思い ます。 重松 じゃあ結論的なことは山口先生にまとめ ていただくとして,私の所見を述べたいと思い ます。 【スライド01】65 ヶ糸球体があって,segmental lesionというかたちで,病変が進展しているの が14個。意外とglobal sclerosisになっているの が3分の1あります。このsegmental lesionとい うのは,やはりIgA腎症の再発だろうと思うわ けです。 【スライド02】こういうふうに,global sclerosis になったところに,これも硬化になりつつあり ますけれども,その外側にちょっとcellularな glomerulus,少し肥大気味の糸球体があって, そして,ある程度の間質の病変も含まれている という所見です。 【スライド03】segmentalの表現は,こういうか たちで,ここにcellular lesionが加わって,そし てこれが少しsclerosisに陥っているようなとこ ろがあります。ここもボーマン嚢のcapsuleに 癒着をしている。そういうふうなsegmentalの 病変の進展が見られる。それから,血管の硬化 も強いということです。 【スライド04】peritubular capillaritisです。かな り多く見られます。tubulitis自体はあまり強い という印象はありませんでした。血管病変が結 構あります。 【 ス ラ イ ド05】 内 膜 の 強 い 肥 厚 が あ っ て, ischemicになってしまった糸球体がある。一方 で,部分的にかなりまだフレッシュな炎症を示 しているところもあるし,mesangiumの硬化が 少し出ているところもある。管内増生もありま す。 【スライド06】pseudo-tubular formationというよ うなかたちの管外性の変化を示す硬化型の糸球 体があります。 【スライド07】これもsegmental sclerosis的な変 化を交えた管外性の増生性の病変があるという ことです。 【スライド08】動脈硬化症が合併しています。 【スライド09】これは酵素抗体法によるIgA染 色なんですけれども,確かに係蹄が保たれて いるところは,こういうmesangiumの位置に denseなdepositがありますけれども,急性活 性があるballooningというか,mesangiolyticな 変化が基質に起こっているようなところでは, IgAのdepositionは非常に見にくくなっていま す。消えているところもある。 【スライド10】ある程度,糸球体構造が保たれ ているところは,立派なIgAのdepositionがあ る。 【スライド11】けれども,やはりこういうふう にsegmentalに管内増殖があったり,炎症性変 化の強い,活性の強いところではdepositionが 薄くなっているということです。これはIgA 腎症の活性によって,炎症の強いところでは, IgAのdepositionがむしろはっきり見えなくな るというふうなことがいわれていますので,こ れはIgA腎症の再発,かなり高い急性活性度を 持ったIgA腎症の再発があるということが言え ると思います。 【スライド12】それから,C4dは,慢性の病 変だともうちょっと薄いんだろうと思うので
すが,えらい急性の変化を思わせるような非 常に強いパターンが見られます。peritubular capillaritisの現象とよく合うと思います。 【スライド13】これもそうです。C4d。 【 ス ラ イ ド14】 そ れ で, こ れ はperitubular capillaritisです。山口先生が後で話してくれる と思いますけれども,これにgradingを付けて, どれぐらいのperitubular capillaritisかというこ とが問題です。確かに細胞がだんごみたいに くっついているところがありますので,単なる 流れている細胞よりは,意味があるのではない かと思いますけれども。これは山口先生にお願 いしたいと思います。 【スライド15】それから,やはり演者は動脈硬 化を,calcineurinによるその後の変化というふ うにまとめられましたけれども,ちょっとそれ にしては,この内腔の変化が強すぎると思うの です。これはfoamyになっていますね。脂質が ものすごく付いているということです。 【スライド16】ここなんかも,一つ一つ見ると, 核がありますから,foam cellがえらい大きな foam cellになって,肥厚した部分にくっついて いるわけです。ここなんかもfoam cellですね。 これもfoam cell。それで,二次的に内腔が狭く なっているわけです。カルシニューリンだと平 滑筋が消失して起こってくる変化がメーンなの ですけれども,これなんかは動脈硬化がものす ごくaccelerateされているという感じを受けま す。 【スライド17】foam cellがいっぱい増えて,内 腔をふさいでしまう。ここもfoam cellですね。 だから,平滑筋も確かに減っているわけですけ れども,動脈硬化がものすごくそれに追い打ち を掛けているというか,そういう変化が特徴だ と思いました。 【スライド18】染み込み病変もあります。 【スライド19】この血管は平滑筋もよく保たれ ておりますから,それほど強い変化ではないと 思います。 【スライド20】それから,糸球体に膜性パター ンが出るかなと思って,PAM染色を一生懸命 観察したのですけれども,ちょっと光顕では無 理でありました。 【 ス ラ イ ド21】 電 顕 で 見 ま す と,mesangium の増生性の変化がIgA腎症というためには, ちょっとこの電顕像はdepositが不足してはっ きり言えません。 【スライド22】ぽつぽつと確かに上皮下沈着は あるから,膜性病変がちょっと加わっていると いうことが言えるけど,あまりこれは腎障害と 直接強い関係のある変化とは見られないと思い ます。 【スライド23】ここにもあります。細かい沈着 があります。ここはかなり多い。 【 ス ラ イ ド24】 こ れ はmesangium cellで, interpositionになりかかりというんでしょうか ね。内皮下に少し伸びていっている。それから, subepithelial deposit。膜性病変はあることは確 かだと思います。 De novo ということで,まずIgA腎症の再発がある。そ して,かなり活性の強い変化である。そして, 抗体関連の拒絶反応は尿細管炎の存在で言える と思います。 今,慢性の拒絶反応の扱いに入れられていま せんけれども,細動脈の高度の脂質沈着を伴っ た硬化性変化は,実はこれは心臓移植のとき に,冠状動脈硬化症だと,心外膜下の血管に硬 化は限定されるのですけれども,移植のときに は冠状動脈から心筋内に入る細動脈に猛烈な脂
質沈着を伴う硬化性変化があると報告がありま す。それに似た変化が,今回の腎生検の所見に もあったということが言えると思います。 de novoの腎炎については,軽いけれどもあ ると思います。以上です。山口先生お願いしま す。 山口 移植腎で5年とか10年たつといろいろな 病態が複合的に,同じグラフトに,もちろん時 間は違うのでしょうけれども,起きてきます。 ですから,それを一つ一つ見極めて,今グラフ トの機能に関与しているのかということをちゃ んと見てあげないといけないです。 ですから,この症例は,もちろんIgAとde novoの膜性腎症があるのですが,その上に carnitine inhibitorによる動脈病変が非常に強い わけです。そうすると,同じ糸球体でも全部 違って見えている。ですから,IgAらしいとこ ろと,全くIgAの証拠がなくなるような糸球体 が混在してきてしまうのです。ですから,普通 のnativeな腎臓だとまずそういうのは見ること はないと思います。 【スライド12】弱拡で,われわれは,tubular interstitialな間質の線維化とか,尿細管の萎縮 の程度を見るわけですが,今,creatinineが3ぐ らいで,そうするとcreatinineの3と,このよう にだいぶ線維化がありますけれども,つぶれ た糸球体もありますので,interstitial fibrosisと tubular atrophyの程度を取るのですが,これだ とどうでしょうか,まだ25%以下ぐらいなの で,可能性はあると思います。 ですから,必ずしもcreatinineのレベルと, われわれが採られてきた材料の中で,腎機能, グラフトの機能を推し量るのが必ずしも一致し ないことはよくあります。 【スライド13】もう少し切片があって,髄質に 近いところがだいぶ採られてきているのです。 動脈病変があるかないかがすごく重要なので, われわれはこういうところは丁寧に見なくては いけないということです。 【スライド14】まず,IgA腎症で,確かにこう いうcrescenticになってきて,mesangiumの拡大 があって,crescenticな腎炎を形成しています。 この辺は,尿細管が比較的保持されて,やや嚢 胞化しているところもありますし,上皮の剥離 像も見られます。 細動脈は全周性にhyalinosisが出てきてし まっています。 【スライド15】それで徐々に硬化して,global につぶれてきて,crescenticにつぶれてきてい るやつ。虚脱しているやつ。細動脈病変が非常 に強いです。 そうすると,こういう糸球体は血管腔がい やに拡張して,mesangiumのところが溶けてし まって癒合して変なaneurismaみたいになって しまっているのです。そうするとこれは,もし かしたら細動脈病変に付随した病変だろうとい う可能性があります。 【 ス ラ イ ド16】 や は り こ う い う よ う に adenomatoidなcrescentができて,これはIgAで やられてきているのだけれども,こういう血管 腔,mesangiumの拡大があまり目立たない細動 脈病変があるということです。 【スライド17】糸球体はだいぶ大きくはなって きています。ですから,どんどんnephron mass が減ってきますと,残ったnephronに負荷が掛 かってきますと,こういうように径が非常に大 きくなります。その中に,少し細胞が滞ってい るというようなことです。 ですから,糸球体はよく径を測るように言っ ているのですが,徐々に年数がたつと,明らか に負荷で大きくなる傾向はあります。 【スライド18】こちらは,今度はmesangiumの 拡大はあまり目立たないです。こういうような 滞った単核多核球が少し滞るような,いわゆる transplant glomerulitis様の病変が出てきていま す。それから何か変な,内腔が異常に拡張して しまったようなものとcollapseとが混在してく る,perfusionが異常な状態を示唆するような所 見です。係蹄壁の肥厚が出てきている。 【スライド19】それから,先ほど重松先生がず
いぶん丁寧に説明していただいたのですが,糖 尿病などでももちろん細動脈にこういう脂質成 分がたまってくることがあります。そうする と,ほとんど平滑筋がなくなって,hyalinosis になって,それでさらにaneurisma様になって, atroscleroticな病変というふうにわれわれは考 えています。 例えば,肝臓でこういう病変が出てきたら, vascular rejectionの証拠になってしまうのです が,腎臓の場合は拒絶反応とはちょっと違うの ではないかと。壁構造が非常に軟弱になって, 二次的に内皮細胞がさらに壊れて,atrosclerotic な病変が出てきたのだろうと考えています。 【スライド20】それから,こういう虚脱と, peritubular capillary,この症例はあまりC4dが あんなにきれいに染まってしまったので,本 当なのかなと思っているのですが,確かに capillaryの中に細胞が滞っているのは間違いな いようです。 【スライド21】もう一つ僕がちょっと気になっ たのは,これは小葉間動脈なのですが,elastica がこのぐらいまであるのです。そうすると内膜 が,後で武田先生のご意見も聞きたいと思う のですが,浮腫状に肥厚しているのです。昔, carnitine inhibitorのmucoid intimal thickeningと いうのが小葉間動脈などにも際立ってくること があるので,細動脈病変の硝子化は非常に顕著 なのですが,それが小葉間動脈に広がっている のではないかなと思っています。 【スライド22】ここも,ちょっと浮腫状なの です。線維性に肥厚しているわけでないの で,mucoid intimal thickeningなので,chronicな
TMAを示唆する所見かなと。後で武田先生に 聞きたいと思っています。 【スライド23】こういうように浮腫状に。普通 はこういう硝子物染み込み病変が進展するので すが,小葉間動脈だと,必ずしも染み込み病変 ではなくて,このように浮腫状に内膜の肥厚が 起きてくるということです。 【スライド24】こういうようにcrescenticで硝子 化が強いです。 【 ス ラ イ ド25】 だ い ぶaneurismaみ た い な, mesangiumが溶けてしまっているような状態で す。 【スライド26】先ほど,われわれのperitubular capillaritisで5個以上あればPTCitisがグレード 2,基底膜が厚くなってきますと,尿細管の基 底膜と同じぐらいに厚くなることがあります。 そうすると,同じぐらいになったらグレード1 から2ぐらいだろうということです。 【 ス ラ イ ド27】 こ こ も 厚 く な っ て い ま す。 mesangial IgA depositと。
【スライド28】こういうように。それから虚脱 したり何かしますと,付いてこなくなります。 【スライド29】それで,IgGが少し出ているの かなと。ちょっとよく分かりません。de novo の場合は,ほとんどPAMを見ても,spikeがはっ きりしないということがあります。IFとか,酵 素抗体法でややはっきりしてくるかなというも の。非常にdepositの小さいのが特徴でありま す。 【スライド30】これはperitubular capillaryに陽 性ということです。 【スライド31】上皮下に非常に細かいdepositが ある。それから,このように内皮下の拡大が比 較的びまん性にあって,ここに新生基底膜が できてくるのが,transplant glomerulopathyの特 徴です。ですから,二重化に見えてくるのは, mesangial inter positionではなくて,新生基底膜 が内皮下にできてくる。それで二重化様に見え てくる場合もあります。 ですからこれは,transplant glomerulopathyの 一つの証拠になります。macrophageが出てき て。この糸球体は,mesangial depositはありま せん。ないからといってIgAではないというこ とは言えません。たまたま採られてものには, こちらの病変が主体であるということになりま す。 【スライド32】こういうようにepithelial deposit が非常に細かくて,すぐ吸収されてざらざらし
た感じだけが残っております。内皮下の拡大が ほぼびまん性に見えて,新生基底膜が内皮側に できてくるというわけです。
【スライド33】そういうようなことで,診断 名がこんなにたくさんになってしまいます chronic thrombotic microangiopathyと い う こ と で,alternative arteriolar hyalinosis と,mucoid intimal thickening of inter (★02:11:49 /一語不 明)。それから,AMRのchronicleなやつとし て,transplant glomerulopathy で,glomerulitis とperitubular capillaropacyと わ れ わ れ は 呼 ん で,PTCBAも1ぐ ら い で す か。moderateな capillaritisと, そ れ か らrecurrentのIgA,de novoのmembranous。 これだけ,移植腎ですと診断名がたくさんに なって臨床の先生が嫌がるのですが,われわれ は,必要なことは全部書くということにしてお ります。以上です。 座長 どうもありがとうございました。武田先 生,わざわざ名古屋からいらしていただいて, 逆質問が出ていたのですが,よろしいですか。 武田 名古屋第二赤十字病院の武田です。あり がとうございます。 まず臨床的な質問をいいですか。 田中 はい。 武田 この方は,DSAは調べていらっしゃる のでしょうか。 田中 調べていないです。すみません。 武田 そうですね。この方で一番問題になるの は,何が一番この人の移植腎機能障害に悪さを しているかということだと思うのです。DSA が陽性の所見が来ているとすれば,治療をされ たほうがいいと思うのですけれど。先生が言わ れるように,かなり蛋白尿が出た時点でDSA を調べて,腎生検をしていらっしゃれば,もっ ときちんと治療ができるかなと思うのです。 田中 それは,今からでもやって,もしかして 改善があるかもしれないですか。 武田 そうですね。糸球体病変とか,PTCの病 変を見ていると,山口先生もおっしゃいました けれども,かなりまだearlyな,早い,chronic な抗体関連型だとしてもearlyなものだと思い ます。PTCにC4dがあれだけきれいに染まって いて,蛋白尿がたぶん多いのは膜性腎症の影響 が強いとは思うのですけれども,creatinineが3.5 というのは,組織を見るとなかなか信じられな いような気がします。 田中 すみません,話の途中で質問してしまっ て。2009年ごろからcreatinineが徐々に上がり 始めたのは,われわれはchronicleなAMRのせ いだろうと考えたのですけれども,今のお話で すと,chronicleだけれども,比較的activeなも のと伺うと,最初のcreatinineの上がりという のは,何が原因だと推測できますか。 武田 さあ。ただ,IgA腎症がかなり慢性の変 化を取っていらっしゃるところを見ますと,そ の影響があるかと思うのですが,いかがでしょ うか。あと,細動脈病変がとても強いですので, 本当に複合的に来ていると思うのです。山口先 生が,この細小動脈の病変は何だと聞かれてい ましたけれども,私もよく分かりません。山口 先生がおっしゃるように,calcineurin inhibitor がベースにある内皮障害,TMAの病変だろう とは思うのです。それが高度になっているのが ベースにありますし,本当にIgA腎症の再発の 所見もたぶん,移植腎機能を悪くする元にも なっていますし,そこに,chronic activeな抗体 関連型の拒絶反応も起こしてきていらっしゃる でしょうし,さらに膜性腎症も起こしてきてい らっしゃるということで,とても大変な症例だ とは思います。 すみません,何をもって治療をしていくか迷 うところだと思います。臨床の先生方と相談し ながらということになると思うのですけれど も。 座長 ありがとうございました。 乳原 虎の門病院の乳原です。de novoの膜性 腎症というのは,知識はほとんどないのですけ れども,過去に2例ほどあったときに,結構移 植後の早い時期に出てきたような気がするので
すけれど,こんな遅い時期に出てきても,また そういうのもあってもいいのですか。どうなの でしょうか。 武田 早期に出てくのは,たぶん再発だと思い ます。再発してくるのはかなり早く起こってく ると思います。 乳原 私たちの症例は,嚢胞腎で,嚢胞腎と膜 性腎症があったのかもしれませんけれども,移 植後に出てきたのが膜性腎症で,あれ,何でこ んなことが起こったのだろうかと。でも,その 症例もいつの間にか忘れ去られるように蛋白尿 が消えてしまったので,そのまま通常通りの移 植の治療をして。 武田 そうですね。後は,急性拒絶反応に合併 して,一過性に出てくる膜性腎症も経験してい ます。 座長 そのほかに何かございますか。先生の方 から病理の先生とかに訪ねたいことはあります か。 田中 たくさん伺ったので,十分です。 座長 それでは,とてもよい症例と,病理の先 生方の頭の中が分かるような考え方が分かる解 説を伺うことのできた,とてもぜいたくな時間 を過ごせたと思います。皆さんのご協力に感謝 します。
重松先生 _04 重松先生 _01 65 Glomeruli Segmental lesions 14 Global sclerosis 21 重松先生 _05 重松先生 _02 重松先生 _06 重松先生 _03
重松先生 _10 重松先生 _07 重松先生 _11 重松先生 _08 重松先生 _12 C4d 重松先生 _09
重松先生 _16 重松先生 _13 C4d 重松先生 _17 重松先生 _14 重松先生 _18 重松先生 _15
重松先生 _22 重松先生 _19 重松先生 _23 重松先生 _20 重松先生 _24 重松先生 _21
山口先生 _04 山口先生 _01 山口先生 _05 山口先生 _02 山口先生 _06 山口先生 _03
山口先生 _10 山口先生 _07 山口先生 _11 山口先生 _08 山口先生 _12 山口先生 _09
山口先生 _16 IgA 山口先生 _13 山口先生 _17 IgA 山口先生 _14 山口先生 _18 IgG 山口先生 _15
山口先生 _22
1. Chronic thrombotic microangiopathy, most-likely a. Alternative arteriolar hyalinosis, severe b. Mucoid intimal thickening of interlobular arteries 2. Chronic antibody-mediated rejection, most-likely a. Transplant glomerulopathy with mild glomerulitis, mild b. Peritubular capillaropathy with moderate capillaritis, mild 3. Recurrent IgA nephritis with crescents
4. De novo membranous glomerulonephritis
(Banff:IF/TA;III, i1, t1, g1, v0, ci3, ct3, cg1, cv0, ptc2, ptcbm1, ah3, aah3) cortex/medulla=9/1, global sclerosis/collapse/glomeruli= 22/12/76
spikes TMA
Peritubular capillaritis
C4d(+: ptc) IgA(+: mesangial), IgG(+: peripheral) GBM GBM GBM 山口先生 _19 C4d 山口先生 _23 山口先生 _20 山口先生 _24 山口先生 _21
山口先生 _28 山口先生 _25 山口先生 _29 山口先生 _29 , , . de novo , , . , GVHD . . 山口先生 _26 山口先生 _27