韓国での交換留学を終えて
吉崎 春菜 渡航先:韓国(ソウル)はじめに
韓国・ソウルの建国大学に一年間の交換留学をしました。私が留学先に韓国を選んだ理 由は韓国の財閥企業体制に興味があったことと、第二外国語で学んでいた韓国語を活かし た留学がしたかったからです。なによりも日本から一番距離的にも文化的にも近い国であ るにも関わらず、休戦状態にあるためいまだに徴兵制度があったりと、経済学の観点から の勉強が面白そうだったため、韓国を選びました。その中でも建国大学に留学したのは、 韓国内でも名門の大学であるため教育環境が整っていたことと、また大学外の環境も魅力 的であったためです。留学中は現地の大学生たちと同じように学部の授業に参加しました。 授業は全編韓国語で行われ、日本人留学生もほとんどいない状況でした。課外活動として は 2 セメスターを通して、派遣先大学の主催する、現地の学生たちに日本語を教えるイン ターンシップに参加しました。いずれも非常に貴重な経験でありました。派遣先大学について
派遣先大学は建国大学という大 学です。韓国・ソウルの広津区に 位置する大学で、構内の真ん中に 人工の湖があり、それを囲むよう に校舎棟が立ち並んでいる点が特 徴的です。大学の周りは百貨店や 大型スーパー、映画館、飲食店な どたくさんの施設があり非常に便 利な環境でした。韓国の大学では 五月に学祭が行われ、夜には特設 ステージにアイドルや若者に人気 なアーティストが招待され、ものすごい盛り上がりになります。 留学中の授業は主に専攻である経済学や経営についてのものを履修していました。その 中でも特に印象的だった科目は、日本経済論という授業で日本の経済について韓国の経済 や歴史と絡めて学んでいく内容でした。はじめは韓国側の視点で日本の経済について学べ ることに面白さを感じ、受講に至りました。実際に受講してみると、日本がいかに韓国と いう国の経済や発展に貢献してきたか、また韓国における日本のプレゼンスの高さにも驚きました。日本がとても大きな国で、 韓国をはじめとするアジアを牽引して きた事実を目の当たりにし、日本人で あるにも関わらず日本のことをまった く理解していなかった自分に恥ずかし さを覚えました。また、日本に対する 誇りを感じることもできました。また その他にも、多国籍企業の経営に関す る授業を履修し、この授業ではグルー プワークを通して韓国人学生たちとの 絆を深めました。6 人一組のグループで したが、留学生は私一人で、さらに私が一番年下という状況でした。はじめは遠慮や自信 のなさから発言できないことが多く苦労しましたが、議論を進めるうちにだんだん発言で きるようになり、最終的にはプレゼンターの役目も担いました。序盤は非常につらいこと も多く、悩む日々でしたが、今思えばすべてが貴重で学ぶことが多かった留学生活でした。 先ほども記述したとおり、留学中においては韓国の良さだけでなく、日本の良さをも知る ことができました。またそれと同時に課題も見えてきたので、今後はこの経験を活かし、 社会人として日本人の一員として働くことができればと考えております。 写真1:建国大学のシンボルの湖 2:グループワークのチームメイトと勉強会 3:大学の学食にて
語学インターンシップについて
前述のとおり、派遣先大学の国際センタ ー主催の「交換留学生たちによる母国語を 教えるインターンシップ」に二学期間、参 加しました。このインターンシップは詳し く説明すると、各国から建国大学に来てい る交換留学生たちが建国大学の学生、また は職員たちに母国語を教える、という内容 です。これに参加した理由は、授業だけで はなかなか韓国人の学生たちと交流したり、仲良くなったりする機会が少なく、もっと友 人がほしい、という安易な気持ちからでした。授業は一対一のマンツーマンから、4,5 人 を一斉に教えるグループ授業までさまざまでした。インターンシップが始まる前は、受講 する学生たちも交流程度の気持ちだろうし、日本語を教えるなら特別な予習はいらないと 考えていました。しかし実際には日本への留学や就職を希望する学生たちが大勢来て、鋭 い質問に答えられなかったり、学生たちが満 足のいく教え方が実現できなかったり、かな り四苦八苦しました。しかし、学生たちは授 業のない日にも食事に誘ってくれたり、私の レポートの添削をしてくれるなど、非常に良 い人ばかりで、私もこの人たちに応えたいと、 日本語の勉強を始めました。具体的には動画 サイトにアップロードされている映像授業 やウェブサイトを閲覧し、それを一人ひとり のレベルに合わせてわかりやすいように、パ ワーポイントにまとめました。また、練習問題の作成をし、授業がない日でも学生たちが 日本語に触れ合える機会を用意しました。その甲斐あってか、学生たちの中でも、日本へ の留学や就職が決まったり日本語の検定合格を果た した人多くいて、自分のことのように嬉しかったです。 また、二学期を通して受講してくれた学生は、今でも 連絡を取り合う、たいせつな友人となりました。語学学校について
私は奨学金を利用し、大学付属の語学学校に入 学し韓国語を重点的に勉強しました。もちろん語 学留学ではなく、交換留学として留学したため語 学学校に通いながらも大学の授業は履修していま した。語学学校に通おうと決めたのは、全部韓国 語で行われる授業についていけるか、韓国語力に 自信がなかったことと、大学に留学生用の語学の 授業が用意されていなかったことが原因です。ま た、この奨学金を受給できたことも、語学学校に 通うことを決心した大きな要因です。語学学校は、 約三ヶ月間で一学期となっており、私は二学期分 通いました。一日四時間、週に五日みっちり 学びます。学習内容は日常の会話から、慣用 句、ことわざなどより韓国人らしく韓国語を 使えるようになるようなプログラムが組まれ ていました。また私の在籍していた最上級の 六級では、韓国で大学院進学を目指す生徒が 多く、論文や新聞を読んだり、ニュースを見 てそれについて討論するなど、よりレベルの 高い授業が行われていました。また課外学習 として一学期につき 1 回ずつ、博物館や文化 体験施設などを訪問して、語学だけてはなく、 韓国の文化や成り立ちについて学ぶ機会も設 けられており、非常に貴重な経験となりまし た。クラスメイトは中国人と日本人が主で、 他にはベトナム人、タイ人、ガーナ人、モンゴル人、フランス人などがいました。ここで は国際色豊かなクラスメイトに囲まれ、休み 時間に日本語を教えたり、反対に中国語を教 えてもらったりと自然と国際交流ができま した。留学するまで正直中国人に対する良い 印象を持っていませんでしたが、語学学校で 出会った中国人のクラスメイトたちはみな 優しく、おもしろい人たちばかりで、中国人 に対するイメージが変わったことも、語学学校に行ってよかったと思うことの一つです。