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時間がかかる.DOSS は妥当性が検証されておらず, 更に評価に嚥下造影検査が必要である. FOSS や NOMS は信頼性と妥当性が評価されていない.FOIS は 7 段階からなる観察による評価尺度で, 患者に負担が無く信頼性や妥当性も検証されている. 日本では Food Intake LEVEL

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Academic year: 2021

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学位論文の内容の要旨

論 文 提 出 者 氏 名 國枝 顕二郎

論 文 審 査 担 当 者 主 査 三宅 智

副 査 杉原 泉、角田 篤信

論 文 題 目 Reliability and Validity of a Tool to Measure the Severity of Dysphagia: The Food Intake LEVEL Scale

(論文内容の要旨) <要旨>

背景:緩和ケア患者で,嚥下障害はよくある障害で苦痛を伴う症状の一つであり,その評価尺度 が必要である.

目的:嚥下障害の重症度評価尺度the Food Intake LEVEL Scale(FILS)の信頼性と妥当性を検証 すること.

方法:評価者間・評価者内信頼性を,患者30 人を対象に 3 人の臨床家が重み付けκ係数で評価 した.収束性妥当性はFILS と the Functional Oral Intake Scale (FOIS),及び経口摂取に伴う 満足度との関連を評価した. 結果:重み付けκ係数は評価者間信頼性 0.70-0.90,評価者内信頼性 0.83-0.90 であった.FILS はFOIS と強い関連(ρ=0.96-0.99)を有し,満足度とも相関した(ρ=0.89). 結論:FILS は高い信頼性と妥当性を有する臨床的な嚥下障害の重症度評価尺度である.FOIS と 比較したFILS の信頼性,妥当性,感度における更なる研究が必要である. <導入> 嚥下障害は,緩和の患者において大変多く苦痛を伴う症状の一つであるが,質の高い緩和ケア の為には信頼性と妥当性を有した嚥下障害の重症度評価尺度が必要である.

嚥下障害の重症度評価ツールには,質問紙であるthe Swallowing Quality of Life questionare, the M.D.Anderson Dyphagia Inventry,the Sydney Swallow Questionnaire,嚥下造影検査や 嚥下内視鏡を用いた客観的な評価尺度である the Swallowing Performance Status Scale, Dysphagia Outcome and Severity Scale (DOSS) , National Outcomes Measurement System(NOMS),観察による重症度評価尺度である the Functional Outcome Swallowing Scale (FOSS),Minimal Eating Observation Form-Verrsion Ⅱ,McGill Ingestive Skills Assessment, Functional Oral Intake Scale (FOIS)等がある.質問紙,嚥下造影検査,嚥下内視鏡などは,緩 和の患者にとって負担となるため簡単な評価尺度が必要だが,精神測定的に検証された評価尺度 はほとんどない.

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時間がかかる.DOSS は妥当性が検証されておらず,更に評価に嚥下造影検査が必要である. FOSS や NOMS は信頼性と妥当性が評価されていない.FOIS は 7 段階からなる観察による評価 尺度で,患者に負担が無く信頼性や妥当性も検証されている.

日本ではFood Intake LEVEL Scale(FILS)の前身となる 10 段階の評価尺度が 1993 年に作 られ国内で使用されていた.FILS と FOIS の概念は類似しているが,FOIS は経口摂取と代替栄 養の併用状態を1 段階に集約しているのに対し,FILS はこの状態を 3 段階に分割し,状態を詳細 に把握出来るようにした. 本研究の目的は,日本で広く使用されている嚥下障害の重症度評価尺度(FILS)の信頼性と妥 当性を検証することである. <方法> FILS の精神測定的な分析を行った.聖隷三方原病院倫理委員会の承認を得た. 評価尺度の作成

FILS の前身は 1993 年に作られ,Level 1-3 は非経口摂取,Level 4-6 は経口摂取と代替栄養と の併用,Level 7-9 は経口摂取のみ,Level 10 は正常とした. 専門家の意見交換や文献のレビューを行い FILS の表現の修正などを行った.専門家間のコン センサスを得る方法としてデルファイ法を用いた.3 年以上の嚥下障害の診療経験を有する臨床 家24 人(医師 10 名、歯科医師 5 名、言語聴覚士 8 名、理学療法士 1 名)が 9 段階の Likert 尺 度を用いてFILS の妥当性を評価した.1 回目は 1 名が 6、23 名が 7,8 と評価した.e-mail で の議論を経て表現の修正などを行い,2 回目のデルファイ法では 5 名が 7,14 名が 8,5 名が 9 と評価,更に修正を加えて FILS の最終版とした.FILS の英語版は,double-back translation を行って作成した. 信頼性と妥当性の評価 Study 1 では患者 30 名で評価者間信頼性と評価者内信頼性,FOIS との収束性妥当性を評価し た.Study 2 では患者 25 名で満足度との収束性妥当性を評価した. Study 1 患者選択 リハ科が介入した入院患者を対象とし,κ係数0.6-1.0 に対応する 95%信頼区間から,期待す るκ係数を0.8 としてサンプルサイズを 26 人と見積もった. 評価者間信頼性 3 年以上の嚥下障害の診療経験を有する臨床家 3 人(医師、看護師、言語聴覚士)が患者の食 事摂取場面を観察し,診療録の記録も参考にしてFILS で評価した.評価者間で互いの評価は分 からないようにした。 評価者内信頼性 同一患者を2 日間で 2 回評価した(初回評価の翌日に 24 時間あけて再評価).それ以上あくと 患者の状態や食事の摂取状況が変化する可能性があり,思い出しバイアスを避けるためにも間隔 は24 時間とした.

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FOIS との収束性妥当性 FOIS は 7 段階の順序尺度で嚥下障害患者の経口摂取の機能を評価するもので,FILS と収束性 妥当性において強い相関があると判断した.臨床家3 人が FILS と FOIS を用いて同時に評価し た. Study2 患者選択 Study1 とは別の患者連続 25 名を評価した.選択基準は,1)嚥下障害がある,2)質問に回答可 能な認知力がある,3)同意が得られている.とした. 患者の満足度との収束性妥当性

100mm visual analogue scale (VAS)と FILS との関連をみた.VAS は 0(不満)から 100(満足) からなるが,緩和では主観的な満足度が重要であるとしてVAS を選択した.評価者は FILS で評 価を行ったが,患者の満足度は分からないようにした. 統計の分析 評価者間および評価者内信頼性は重み付けκを計算し,信頼性は0.6 以上を good,0.8 以上を excellent とした.収束性妥当性は,スピアマン順位相関係数を計算し,0.6 以上で十分な収束性 妥当性があるとした.統計分析はSPSS statistics 18.0 を使用した. 結果 Study 1 では合計 90 の評価を行った.FILS のスコアは 1(10 人)、2(7 人)、3(11 人)、4(8 人)、5(6 人)、6(8 人)、7(11 人)、8(11 人)、9(8 人)、10(10 人)であった。 信頼性 評価者内信頼性は,重み付けκ係数は医師-看護師 0.73,医師-言語聴覚士 0.90,言語聴覚士-看護士0.70 であった.評価者間信頼性は excellent で重み付けκ係数は 0.83(医師),0.90(看 護師),0.97(言語聴覚士)であった. 妥当性

Study 1 で FILS と FOIS との相関は,ρ=0.96(医師:P<0.001),0.96(看護師:P<0.001), 0.99(言語聴覚士:P<0.001)と強かった. Study 2 で FILS は満足度と強い関連があった(ρ=0.89; P<0.001). <考察> この研究で重要な点は,FILS は高い信頼性と妥当性を有していることと,満足度と有意な相 関を有していることである. 評価者間信頼性は高く(good),重み付けκ係数は 0.7-0.9 の間にある.FOSS は評価されていな いが,DOSS は 90%,FOIS は重み付けκ係数 0.86-0.91 と高い.FILS は DOSS や FOIS より 評価者間信頼性は若干低いのは,7 段階の DOSS と FOIS に対し,FILS は 10 段階である為であ ろう.しかしFILS のκ統計量は高く十分な評価者間信頼性を有している.

評価者内信頼性は0.83-0.97 と大変高い(excellent).DOSS は 93%で,FOSS と FOIS は評価 者内信頼性が評価されていない.FILS が偶然の一致による統計学的な調整のもとに評価者間信

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- 4 - 頼性を有しているのは精神測定的な強みの1 つである。

緩和医療では症状の緩和やQOL の維持は重要で,FILS は VAS と強い相関があり,主観的な 満足度と関連がある.DOSS と FOIS は満足度との関連は評価されていない.緩和も含めて,介 入研究において患者の自覚症状と強い相関があることは意義がある.

使用が簡便なこともFILS の強みで,DOSS は評価に嚥下造影検査が必要だが,施行できる施 設は限られる.FILS は食事場面の観察だけで評価できる.

更にFILS は 10 段階なので,経口摂取の状況の変化に対する感度が高い.7 段階の FOIS の 3 は経口摂取と経管栄養の併用状態だがFILS ではレベル 4-6 に分割した.FILS は FOIS より詳細 に摂食・嚥下状況の変化を反映できる可能性がある. この研究の限界として,第一には患者のサンプルサイズが比較的小さく,単一施設で行われた 研究である点があり,多施設での妥当性の評価を要する.第二には同じ臨床家が FILS と FOIS を用いて評価しており,FILS と FOIS の間にある関連性が影響している可能性が否定できない. <結論> FILS は高い信頼性と妥当性を有する嚥下障害の重症度評価尺度である.FOIS と比較して FILS の信頼性,妥当性,感度において更なる研究が必要である.

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論文審査の要旨および担当者

報 告 番 号 甲 第 号 國枝 顕二郎 論文審査担当者 主 査 三宅 智 副 査 杉原 泉、角田 篤信 【論文審査の要旨】 1.論文内容 本論文は嚥下障害の新たな評価法の有用性についての論文である。 2.論文審査 1)研究目的の先駆性・独創性 嚥下困難の評価法は従来から様々な報告がされていたが、煩雑であったり患者の負担が大き いなどの問題があった。申請者はその問題を解決すべく、従来広く用いられていたわが国オリ ジナルの嚥下評価法を一歩押し進めたFood intake level scale (FILS)を提唱し、その有用性 を検討・報告した。本論文は本評価法の価値を国内外に発信した初めての報告であり、臨床的 な価値の高い論文である。 2)社会的意義 本研究で得られた主な結果は以下の通りである。 1. 申請者は従来我が国で汎用されてきた嚥下障害の重症度スケールを基に、専門家の意見を参 考にして、可能な限り客観的な修正を施したFILSを作成した。 2. 患者自身が感じる嚥下困難の程度をVASにて評価し、それとFILSの値とを比較し、高い相関 があることを見出した。 本論文は、これまでわが国で頻用されてきた 10 段階の嚥下障害評価法を諸外国でも使える様 に、改良を加えた上でその妥当性と有用性について証明したものである。今後嚥下障害の臨床 において大いに役立つものと考えられる。 3)研究方法・倫理観 研究手法として、評価者間・評価者内信頼性を患者30人を対象に3人の臨床家が重み付けκ係 数で評価した。収束性妥当性はFILSとthe Functional Oral Intake Scale (FOIS)、及び経口摂 取に伴う満足度との関連を評価した。本手法は十分な倫理的配慮のもとに遂行されており、申 請者の研究方法に対する知識と技術力が十分に高いことが示されると同時に、本研究が極めて 周到な準備の上に行われてきたことが窺われる。 4)考察・今後の発展性 さらに申請者は、本研究結果について FILS は高い信頼性と妥当性を有する臨床的な嚥下障害 の重症度評価尺度であるが、FOIS と比較した FILS の信頼性、妥当性、感度における更なる研 究が必要であると考察している。これは先行研究と照らし合わせても極めて妥当な考察であり、

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( 2 ) 今後の研究にてさらに発展することが期待される。

3.審査結果

以上を踏まえ、本論文は博士(医学)の学位を申請するのに十分な価値があるものと認められ た。

参照

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