第 15 章 基礎工の設計
関連条項〔基準 10、運用 10-4〕15.1 基礎工の形式とその選定
ポンプ場の基礎形式を分類すると、次のとおりである。 (1) 基礎形式による分類 直接基礎(地盤改良は「15.5 地盤改良」参照) 杭基礎 基礎 ケーソン基礎 鋼管矢板基礎※ 地中連続壁基礎※ (2) 基礎スラブの形式による直接基礎の分類 独立(フーチング)基礎 フーチング基礎 複合(フーチング)基礎 連続(フーチング)基礎 直接基礎 二重スラブ べた基礎 マットスラブ 浮き基礎 (3) 杭基礎の主な分類 支持杭 (支持方法) 摩擦杭 機能による分類 締固め杭 単杭 杭基礎 (配 置) 群杭 材料及び施工法別による分類 材 料 施 工 法 木 打撃工法 鉄筋コンクリート(RC) 打込み杭工法 バイブロハンマ工法 既製杭 プレストレスト コンクリート(PHC) 圧入式杭打ち工法※ プレボーリング杭工法 鋼(SP) 中掘り工杭法 鋼・コンクリート合成(SC) 埋込み杭工法 圧入工法等※ 鋼管ソイルセメント杭工法 回転杭工法 その他特殊工法※ オールケーシング工法(ベノト工法) 機械掘削工法 リバース工法 アースドリル工法等 場所打ち杭、場所打ち鉄筋コンクリート杭 人力・機械掘削工法 深礎工法等※ 置 換 工 法 アースオーガ工法※ (PIP、MIP、CIP 工法等) 注) ※印の工法は、ポンプ場での実施例が少ないため、本技術書での説明は省略する。基礎工は地盤の予備調査が終った段階で下記項目等を考慮の上、その形式を選択する。 ① 地盤条件(掘削地盤の状態、支持地盤の傾斜・深さ等) ② 上部構造の特性 ③ 環境条件(騒音、振動及び施工場所等) ④ 基礎の工期と経済性 ⑤ その他 なお、一般的には支持地盤までの深さが 2m 程度までは直接基礎、5m 以上では杭基礎とすることが 多い。 基礎形式の選定は、表-15.1 を参考に行うものとするが、上部構造及び地盤の条件に対して最適な 基礎構造を選定することは容易なことではなく、多分に設計者の豊富な経験と冷静な判断が要求され る。 また、与えられた条件に対して、技術的見地からは最適と思われる支持地盤及び基礎構造の形式が 複数選定される場合には、施工に要する時間と経済性等を考慮して慎重に決定する。 基礎形式が決まれば、図-15.1 及び図-15.2 に示す設計手順等により基礎の設計を進める。
表-15.1 主な基礎形式の選定表* 基 礎 形 式 選 定 条 件 直 接 基 礎 杭 基 礎 深礎基礎 ケーソン基礎 鋼管 矢 板 基 礎 ( 打 込 み 工 法 ) 地 中 連 続 壁 基 礎 打込み杭 工法 中掘り杭工法 鋼 管 ソ イ ル セ メ ン ト 杭 工 法 プ レ ボ ー リ ン グ 杭 工 法 場所打ち 杭工法 回 転 杭 工 法 組 杭 深 礎 柱 状 体 深 礎 ニ ュ ー マ チ ッ ク オ ー プ ン P H C 杭 ・ S C 杭 鋼管杭 PHC・SC 杭 鋼 管 杭 オー ル ケ ー シ ン グ 工 法 リ バ ー ス 工 法 ア ー ス ド リ ル 工 法 打 撃 工 法 バ イ ブ ロ ハ ン マ 工 法 最 終 打 撃 方 式 噴 出 撹 拌 方 式 コ ン クリ ー ト 打設方 式 最 終 打 撃 方 式 噴 出 撹 拌 方 式 コン ク リ ー ト 打設 方式 地 盤 条 件 支持 層 ま で の 状 態 表層近傍又は中間層に極軟 弱層がある ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × × ○ △ ○ ○ 中間層に極硬い層がある △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ × ○ ○ ○ ○ △ △ ○ 中間層に 礫がある 礫径 5cm 以下 △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 礫径 5~10cm △ △ △ △ △ △ △ △ △ ○ ○ △ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ 礫径 10~50cm × × × × × × × × × × × △ × × × ○ ○ ○ △ × △ 液状化する地盤がある ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 支 持 層 の 状 態 深度 5m 未満 ○ × × × × × × × × × × × × × × × ○ × × × × 5~15m △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ 15~25m × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 25~40m × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ △ △ ○ ○ ○ ○ 40~60m × △ ○ ○ △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ × ○ × × △ ○ ○ ○ 60m 以上 × × △ △ × × × × × × △ △ × △ × ○ × × × △ △ △ 土質 砂・砂礫(30≦粘 性 土 ( 20 ≦N) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ N ) ○ ○ ○ ○ ○ △ × ○ △ × △ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ △ △ ○ ○ 軟岩・土丹 ○ × ○ △ ○ △ × ○ △ × △ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 硬 岩 ○ × × × × × × × × × × × △ △ △ × ○ ○ △ × × △ 傾斜が大きい、層面の凹凸が激 しい等、支持層の位置が同一深 度では無い可能性が高い △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ × ○ ○ 地下 水の 状態 地下水位が地表面に近い △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ ○ △ △ ○ ○ ○ △ 湧水量が極めて多い △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ △ △ ○ × × ○ ○ ○ △ 地表より2m 以上の被圧地下水 × ○ ○ ○ × × × × × × × × × × × ○ × × △ △ ○ × 地下水流速 3m/min 以上 × ○ ○ ○ ○ × × ○ × × × × × × × ○ × × ○ △ ○ × 支持形式 支 持 杭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 摩 擦 杭 ○ ○ ○ × × × × × × ○ × ○ ○ ○ × 施 工 条 件 水上 施工 水深 5m 未満 △ ○ ○ ○ △ △ △ △ △ △ × × × × × ○ △ △ ○ × 水深 5m 以上 × △ ○ ○ △ △ △ △ △ △ × × × × × ○ △ △ ○ × 作業空間が狭い ○ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ △ ○ ○ △ △ × △ 斜杭の施工 ○ ○ ○ × × × × × × × × × × × ○ × 有害ガスの影響 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × × ○ ○ ○ 周辺 環境 振動・騒音対策 ○ × × △ △ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ 隣接構造物に対する影響 ○ × △ △ △ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ △ △ ○ 注) ○:適合性が高い △:適合性がある ×:適合性が低い *道路橋示方書・同解説(I・Ⅳ)H24(社)日本道路協会
図-15.1 直接基礎の設計手順 基 本 検 討 基 礎 形 式 仮 定 荷 重 計 算 基礎底面の形状・寸法仮定 地盤許容支持力度決定 接 地 圧 計 算 許容支持力度以下か 沈 下 量 計 算 基礎底面に水平 力が作用するか 許容沈下量以下か NO 水 平 耐 力 計 算 安全か 基礎スラブ等応力計算 基礎スラブ等配筋計算 配筋可能か 設 計 図 作 成 地 中 応 力 圧 密 沈 下 即 時 沈 下 支持力式による計算 載荷試験結果 上部の荷重 ポンプ荷重、土圧、静 水圧、浮力又は揚圧力 、 地震力、版自重 施工性、経済性、地盤 適合、液状化、凍結、 地盤安定、載荷試験、 異種基礎、隣地関係 形状・寸法の 変更でよいか NO NO NO NO YES YES NO YES YES YES YES 基礎底面の摩擦力、 受働土圧
図-15.2 杭基礎の設計手順 基 本 検 討 施工性、騒音振動、経済性 地盤適合性、液状化、隣地関連 腐食性、材料入手、工期 地 盤 安 定 、 異 種 基 礎 杭 工 法 、 材 種 仮 定 断 面 、 長 さ 仮 定 上部の荷重、ポンプ荷重、 土圧、静水圧、浮力又は 揚圧力、地震力、版自重 荷 重 計 算 支持力式による計算、 載荷試験結果、群杭 材料の許容応力計算 許 容 支 持 力 算 定 設 定 支 持 力 の 決 定 杭 本 数 計 算 配置可能か 圧密沈下するか 水平力が作用するか 引抜き力が生ずるか 負の摩擦力が生ずるか 杭ディテールの決定 基礎スラブ等の設計 断面の変更で良いか 圧 密 沈 下 量 計 算 許容沈下量以下か 水 平 耐 力 計 算 安全か 許容引抜き抵抗力計算 安全か 安全か 負 の 摩 擦 力 計 算 NO YES YES YES NO YES YES NO YES NO YES NO NO NO NO YES NO YES NO YES
15.2 直接基礎の設計
直接基礎は、支持形態から見て荷重が基礎版から直接支持地盤に伝えられるものであり、底面の接 地圧は許容支持力に対して安全であり、かつ沈下によって上部構造に障害を与えないものとする必要 がある。底面に水平力が作用するときには滑動に対する安全性の検討も行う。 15.2.1 地盤の許容支持力 地盤の許容支持力は、平板載荷試験を行い決定する方法、土質試験結果を用いて決定する方法等が あるが、基礎の設計に当たっては土質試験結果を用いて算定する。 (1) 許容支持力算定式 地盤の許容支持力度は、次の各式により算定する。 qu=(ic・ ・C・Nc+ i ・ ・ 1・B・ ・N + iq・ 2・Df・Nq) ... (15.1) qa= n 1 ・ qu ... (15.2) ここに、qa:地盤の許容支持力度(kN/m2) n :安全率(常時は n=3、レベル 1 地震時は n=1.5 とする) qu :地盤の極限支持力度(kN/m2) C :支持地盤の粘着力(kN/m2) 1 :支持地盤の単位重量(kN/m3) 2 :根入れ部分の土の平均単位重量(kN/m3) 1、 2には、地下水位下の場合には水中単位重量を用いる。 、 :表-15.2 に示す基礎の形状係数 Nc、N 、Nq:表-15.3 又は図-15.3 から求まる支持力係数で、内部摩擦角 の関数 Df :基礎に近接した最低地盤面から基礎底面までの深さ(m) 隣接地で掘削の行われるおそれのある場合には、その影響を考慮しておくことが 望ましい。 ic 、i 、iq:式(15.3)、式(15.4)に示す荷重傾斜に対する補正係数 B :基礎幅(m) 短辺幅、荷重の偏心がある場合は、式(15.5)に示す有効幅Beを用いる。円形 の場合は直径とする。 :式(15.7)に示す基礎の寸法による補正係数で、②による。 式(15.1)の支持力式は、帯基礎を対象としたテルツァギー(Terzaghi)の支持力重ね合わせの 公式に基づき、基礎の形状、荷重の傾斜・偏心に関して補正係数を適用して算定したものである。 粘着力C 及び内部摩擦角 は、直接せん断試験あるいは三軸圧縮試験によって定めるべきもので あるが、砂地盤に対しては乱さない試料の採取が困難であり、C =0 と仮定し、N 値から を推定す る = 20N +15°(大崎の式)を適用してよい。また、粘土地盤に対しては簡単な一軸圧縮試験を 行い、C=qu/2 式を用いてもよい。quは一軸圧縮強さであり、この場合 =0°と仮定する。表-15.2 形 状 係 数 基礎底面の形状 連続 正方形 長方形 円形 1.0 1.2 1.0+0.2 L B 1.2 0.5 0.3 0.5-0.2 L B 0.3 注) B:長方形の短辺長さ L:長方形の長辺の長さ 表-15.3 支持力係数 図-15.3 設計用支持力係数 ① 荷重の傾斜・偏心に対する補正 荷重に傾斜・偏心があると、一般に地盤の支持力は減少する。図-15.4 に示すように、基礎底 面に鉛直荷重(V)と水平荷重(H)が同時に作用する場合、荷重の合力は =tan-1H/V だけ傾 斜することとなる。この場合は、鉛直成分の最大接地圧が、傾斜しているときの許容支持力度以 内になるように設計する必要がある。 基礎荷重が傾斜を有する場合は、近似的に式(15.3)及び(15.4)に示す補正係数を乗じて、 許容支持力度を求める。 ic =iq=(1- /90)2 ... (15.3) i=(1- / )2 (ただし、 > の場合にはi =0) ... (15.4) ここに、 :土の内部摩擦角(度) :荷重の傾斜角(度) tan =H/V、かつtan ≦ (基礎底面の摩擦係数) H :水平荷重(kN) V :鉛直荷重(kN) Nc Nq N 0° 5° 10° 15° 20° 25° 28° 30° 32° 34° 36° 38° 40°以上 5.1 6.5 8.3 11.0 14.8 20.7 25.8 30.1 35.5 42.2 50.6 61.4 75.3 1.0 1.6 2.5 3.9 6.4 10.7 14.7 18.4 23.2 29.4 37.8 48.9 64.2 0.0 0.1 0.4 1.1 2.9 6.8 11.2 15.7 22.0 31.1 44.4 64.1 93.7
図-15.4 傾斜・偏心荷重 荷重が基礎底面の図心から偏心している場合は、図-15.5 に示すように有効載荷幅のBeの考え 方、すなわち偏心量(e)で基礎幅を低減するとして設計する方法と、偏心荷重と釣合う台形又 は三角形荷重の接地圧分布を考え、基礎底面の最大接地圧が偏心のない場合の許容応力以内にお さまるように設計する方法がある。地盤の許容支持力度の算定は、前者の方法によることを標準 とする(基礎底版の構造設計は後者による方法とする)。 図-15.5 偏心荷重の有効載荷幅 Be=B-2e ... (15.5) ここに、B :基礎幅(m) Be :基礎の有効載荷幅(m) e :偏心量(=M/V )(m) M :荷重による基礎図心位置におけるモーメント(kN・m) さらに荷重が二方向に偏心する場合には、図-15.6 に示す二軸偏心の有効接地面積(Ae)を考 慮する必要がある。ただし、実用的には次に示すような近似の長方形の面積を用いてもよい。 Be=B-2ex 、Le=L-2ey Ae=Be・Le ... (15.6) Ra=Ae・qa Be=B-2e 2e 鉛直荷重V 偏心量e 地盤反力q Df 鉛直荷重V G.L G.L 偏心量e 水平荷重H 荷重の合力
ここに、 B、L :短辺方向及び長辺方向の基礎幅(m) Be、Le :短辺方向及び長辺方向の基礎の有効載荷幅(m) ex、ey :短辺方向及び長辺方向の偏心量(m) Ae :基礎の有効載荷面積(m2) Ra :直接基礎の許容鉛直支持力(kN) qa :地盤の許容応力(kN/m2)、式(15.2)参照 B' 偏心量e Be=B-2e 2e B a.有効載荷幅の考え方 B L L C LC L C C L B'=B-2ex L' = L -2 ey ex ey b.単軸偏心の有効接地面積 L C L C L C B' ey ex ex ey L C c. 二軸偏心の有効接地面積 L C L C B' L' ex d.円の有効接地面積 L' L' 図-15.6 荷重に偏心のある場合の有効幅(Be)、有効載荷幅(Ae) ② 基礎の寸法による補正 砂地盤のN には基礎幅が大きくなると支持力係数が低下する性質がある。このため、傾斜・偏 心を伴わない荷重条件に対しては、基礎の寸法効果を考慮して、補正係数 は、式(15.7)によ り算定する。 また、常時で傾斜・偏心を伴う場合、地震時は =1.0 とする。 =(B/B0)-1/3 ... (15.7) ここに、B :基礎幅(m) B0 :基礎の基準幅で、1m とする
(2) 表層が砂、下部層が粘土であり、下部粘土層の影響が懸念される場合 このような場合、まず上層砂地盤が一様にあるとして上層の支持力を確認した上で、さらに下部 粘土層の支持力を確認する。前者における支持力値は、式(15.1)により算出し、後者においては、 砂層を伝わって下部粘性土に生じる応力を式(15.8)、下部粘性土の支持力値を式(15.9)により 算出し、これらを比較することにより下部粘性土の支持力に対する安全性を確認する。なお、荷重 の傾斜や偏心の影響が下部粘土層には伝わりにくいと考えられる場合には、それらの影響を無視し てよい。 ) - ( ・ + ) - + ( ・ ) - + ( ・ ・ = 1 1 1 Df L H Df H Df H B L B p ' p 1 ... (15.8) qu= ・(5.14C2)+ 1・H1 ... (15.9) 図-15.7 砂層の下に粘性土がある場合の略算法 (3) 層厚が薄い軟弱層を挟む場合 表層近くに軟弱な地盤が飽和粘性土を挟んでいる場合で、基礎幅に対して層厚 H2が小さい場合 には、絞り出し破壊が生じる可能性があるため、それに対する安全性の確認が必要である。絞り出 し破壊が生じる層厚と基礎幅の比は、理論から B/H2>3.64 といわれている。絞り出し破壊の支持 力値quは、粘土層の粘着力をC2、内部摩擦角 =0 とすると、式(15.10)となる。 2 2・4.14+2 ・ = H B C qu ... (15.10) 図-15.8 層厚が薄い軟弱粘性土層をはさむ場合の絞り出し破壊 H2 B y O x 2C2 0 0 cu x CL x x+ x
15.2.2 沈下量 (1) 圧密沈下量 地盤の圧密による沈下は、粘土の微粒子の間隙から水が絞り出されることにより起こるもので、 その圧密沈下の予想は、一般にテルツァギー(Terzaghi)の圧密理論等に基づくことができる。 また、沈下量は e - logp 曲線から次式により算出することができる。 H e e e Sc 1+ ・ - = 0 0 ... (15.11) ここに、Sc :求める圧密沈下量(m) e0:載荷前における原地盤の初期間隙比 e :載荷を受けたあとの間隙比(e - logp 曲線から求める) H:圧密される層の厚さ(m) なお、正規圧密状態にある粘性土層の場合には、次式によることができる。 0 0 0 p p p H e C Sc c + ・ ・ + 1 = log ... (15.12) ここに、Cc :圧縮指数 p0:有効土かぶり荷重(kN/m 2) p:載荷後の応力増分(kN/m2) (2) 即時沈下量 ① 一様な水平地盤上の基礎の即時沈下量 地盤を一様な半無制限弾性体と仮定した即時沈下量(載荷とほぼ同時に起こる)は、一般に地 中応力の理論解に基づく、次の式から求められる。 B q E v I SE G ・ ・ - ・ = 2 1 ... (15.13) ここに、SE :即時沈下量(m) B :基礎の短辺長さ(円の場合は直径)(m) q :基礎の平均荷重度(kN/m2) E :地盤のヤング係数(kN/m2) :地盤のポアソン比 IG :基礎底面の形状と剛性によって決まる沈下係数(表-15.4) L :基礎の長辺長さ(m)
表-15.4 沈 下 係 数 IG 底面形状 基礎の剛性 底面上の位置 IG 円 (直径B) 0 中 央 1 辺 0.64 ∞ 全 体 0.79 正 方 形 (B×B) 0 中 央 隅 角 辺 の 中 央 1.12 0.56 0.77 ∞ 全 体 0.88 長 方 形 (B×L) 0 隅 角 L/B=1 1.5 2.0 2.5 3.0 4.0 5.0 0.56 0.68 0.76 0.84 0.89 0.98 1.05 ② 有限厚さの地盤上の基礎の即時沈下量 有限厚さの地盤上の基礎の即時沈下量を求める場合は、「建築基礎構造設計指針」(日本建築学 会)で記載しているシュタインブレンナー(Steinbrenner)の近似解を応用した式を用いる。 E A q SE= H・ ... (15.14) ここに、SE :即時沈下量(m) A :基礎の底面積(m2) q :基礎の平均荷重度(kN/m2) E :地盤のヤング係数(kN/m2) H:地盤のポアソン比、厚さ及び基礎底面の形状によって決まる沈下係数(表-15.5) :地盤のポアソン比 B:基礎の短辺長さ(m) L :基礎の長辺長さ(m) A:基礎の底面積(m2) H :地層の厚さ(m) 表-15.5 沈 下 係 数 H H/ A L/B 0.5 1 2 3 5 ∞ 備 考 0.5 1 2 5 0.125 0.125 0.122 0.267 0.257 0.223 0.413 0.395 0.331 0.479 0.458 0.385 0.537 0.516 0.438 0.631 0.609 0.529 飽和した粘性土 0.3 1 2 5 0.214 0.210 0.195 0.379 0.364 0.313 0.537 0.514 0.433 0.607 0.582 0.491 0.668 0.642 0.547 0.766 0.739 0.642 砂 質 土 関 東 ロ ー ム 0.15 1 2 5 0.259 0.254 0.231 0.433 0.416 0.357 0.594 0.569 0.480 0.664 0.637 0.539 0.716 0.688 0.595 0.823 0.794 0.690 間隙比の大きい 関 東 ロ ー ム
③ 地盤のポアソン比とヤング係数 ポアソン比 飽和性粘土 0.5 砂 0.25~0.35 不飽和性粘土 0.15 ヤング係数 飽和性粘土 乱さない試料の一軸圧縮試験で求めた変形係数Es 不飽和性粘土 飽和性粘土と同様 正規圧密された砂 1,400N(kN/m2) 過圧密された砂 2,800N(kN/m2) (過圧密された砂には洪積層、砂丘切土及び振動ローラで締固めた砂を含む) (3) 許容沈下量 構造物の基礎は、上載荷重によって破壊を起こさないとともに、地盤が過大な変形を起こし、構 造物及び機械設備が有害な不同沈下を生じないように前項に述べた基礎の沈下量等を算定し、その 値が過大であるならば沈下に対する対策を図る等、適切な設計を行う必要がある。 なお、許容沈下量をどの程度に考えたらよいかは、地盤の条件、構造物の重要性、基礎の形式、 上部構造の特性、周囲の状況等を考慮し決定する必要がある。許容沈下量を決定する際の目安とし て「建築基礎構造設計指針」(日本建築学会)では、相対沈下量及び総沈下量の限界値について、 表-15.6、表-15.7 のとおり示しており、「これらの数値は、使用限界状態における目安と言えるが、 表中には損傷限界に極めて近いと思われる値も含まれている。すなわち、これらの限界値を超える と、建物には沈下による何らかの障害が発生する確率が高い。」としている。 ポンプ場の許容沈下量は、建物の構造・用途等を考慮し、この値を厳しくする等、適正に補正し て使う必要がある。 また、沈下に対する対策としては、次のようなものがある。 ① 建物を軽量化し、沈下量の軽減を図る。 ② 建物の長さを短くする。建物が長いと剛性が相対的に小さくなり、また建物荷重による地 中応力が深部にまで及び沈下を起こす。 ③ 建物の水平部材の剛性を高め不同沈下を軽減する。 ④ 適当な場所を選びエキスパンションジョイントを設け構造の障害を避ける。 ⑤ 建物の重量配分を考える。長い建物では中央部が荷重が大きく、沈下しやすいので、中央 部を軽くし、端部を重くすれば沈下量を平均化することができる。 ⑥ 基礎形式を変更する。杭基礎とし、良質地盤に支持させる。 ⑦ 地下室を設け建物の有効重量を減少させ、沈下量の軽減を図る。 ⑧ 地盤を改良する。
表-15.6 相対沈下量の限界値の例 支持地盤 構造種別 コンクリート ブロック構造 鉄筋コンクリート造 圧密層 基礎形式 布基礎 独立基礎 布基礎 べた基礎 標準値 最大値 1.0 2.0 1.5 3.0 2.0 4.0 2.0~3.0 4.0~6.0 風化花崗岩 (まさ土) 標準値 最大値 - 1.0 2.0 1.2 2.4 - 砂 層 標準値 最大値 0.5 1.0 0.8 1.5 - - 洪積粘性土 標準値 最大値 - 0.7 1.5 - - 表-15.7 総沈下量の限界値の例 支持地盤 構造種別 コンクリート ブロック構造 鉄筋コンクリート造 圧密層 基礎形式 布基礎 独立基礎 布基礎 べた基礎 標準値 最大値 2 4 5 10 10 20 10~(15) 20~(30) 風化花崗岩 (まさ土) 標準値 最大値 - 1.5 2.5 2.5 4.0 - 砂 層 標準値 最大値 1.0 2.0 2.0 3.5 - - 洪積粘性土 標準値 最大値 - 1.5~2.5 2.0~4.0 - - 注 1) 圧密層については圧密終了時の沈下量(建物の剛性無視の計算)、そのほかについては即時沈下量。 2) ( )内は、二重スラブなど十分剛性の大きい場合。 (単位:cm) (単位:cm)
15.2.3 基礎底版の構造設計用地盤反力 基礎底版の弾性変形量は設計上無視できるため、直接基礎形式の構造物の構造設計に用いる地盤反 力度は、底版を剛体として荷重を底面地盤のみで支持させるものとした式(15.15)及び式(15.16) により算出してよい。 (1) 荷重の作用位置が底面の核内にある場合(台形分布 e< 6 B ) qmax、qmin= B e B L V 6 1 ・ ・ ... (15.15) ここに、V :基礎底面に作用する鉛直荷重(kN) e :荷重の偏心距離(m) qmax:基礎底面における最大地盤反力度(kN/m2) qmin :基礎底面における最小地盤反力度(kN/m2) B :基礎幅(m) L :基礎の奥行き(m) 図-15.9 基礎底面の地盤反力度分布 (2) 荷重の作用位置が底面の核外にある場合(三角形分布 e≧ 6 B ) qmax= x L V ・ 2 ... (15.16) ここに、V :基礎底面に作用する鉛直荷重(kN) x :底面反力の作用幅(m) x B -e 2 3 = e :荷重の偏心距離(m) qmax :基礎底面における最大地盤反力度(kN/m2) B :基礎幅(m) L :基礎の奥行き(m) ± B/2 B/2 鉛直荷重V B/2 B/2 B x qmax qmin qmax e e B 鉛直荷重V
15.3 杭基礎の設計
杭基礎は、鉛直力、水平力及び引抜き力等に対し、十分安全であるとともに、施工、環境条件にも 適合する必要がある。 15.3.1 設計の基本 (1) 技術書の適用範囲 ポンプ場の構造物は、「13.1 一般」に示すとおり、土木構造物(吸込・吐出し水槽等)と建築 構造物(建屋)から成り、ポンプ形式によっては吸込水槽を下部工として建屋と一体構造となる場 合がある。 ポンプ場の土木・建築構造物の杭基礎設計における本技術書の適用範囲は、表-15.8 に示すとお りとする。したがって、吸込・吐出し水槽等土木構造物の杭基礎設計は、本技術書を適用するもの とする。また、土木構造物と分離する建屋の杭基礎設計は、「建築基礎構造設計指針」(日本建築学 会)等の建築基準を適用する。なお、土木構造物と一体構造となる建屋の杭基礎設計は、本技術書 及び建築基準の両者の適用が必要になる。 ここで、本技術書では、常時、レベル1地震時に対する杭基礎の照査について適用するものであ り、レベル2地震時に対する杭基礎の設計は、土地改良事業設計指針「 耐震設計 」によるものと する。 (2) 構造設計における杭反力 基礎形式が杭基礎の場合は、構造設計において杭反力の影響を考慮する必要がある。ポンプ場の 吸込・吐出し水槽では、杭反力を底版に作用する集中荷重として構造解析を行うことを標準とする。 なお、杭の中心間隔は、原則として杭径の 2.5 倍以上とする。杭径の 10 倍、又は 4m 程度を超える 場合、又は底版等の剛性が小さい場合には底版の変形が無視できないため、縦断方向の検討が必要 となる。 ここで、杭の中心間隔は、杭径の 2.5 倍以上であると群杭の影響は比較的小さく、また、施工性 についても一般には大きな問題はないと考えてよい。施工場所の制約条件よりフーチングを小さく せざるを得ないような場合は杭中心間隔を 2.5 倍より小さくしてもよいが、この場合には群杭の影 響について十分検討する必要がある。 また、杭の最小配列は、特別な場合を除いて横断方向、縦断方向とも各 2 列とし、最小配置本数 は 4 本とする。ここで、特別な場合とは、基礎の平面形状が三角形の場合及び建屋の独立フーチン グ等をいう。 図-15.10 杭の最小中心間隔及びフーチング縁端距離構造設計に用いる杭反力は、以下のとおり算定する。 ① 検討断面が一様な場合(取付水路の事例) 取付水路のように、縦断方向に一様な断面となる場合は、縦断方向の伸縮継目の間隔(通常 1 スパン 9~12m)内の各列ごとの杭作用荷重の総和をスパン長で除した値を杭反力(縦断方向に 均等な線荷重)としてよい(図-15.11)。 図-15.11 縦断方向に一様な断面の杭反力算定方法 ② 検討断面が一様でない場合(吸込水槽の一部を下部工とし、建屋と一体構造となる事例) 吸込水槽の一部を下部工とし、建屋と一体構造となる吸込水槽の場合は、自重、建屋荷重及び ポンプ荷重等、縦断方向鉛直荷重の合力の図心と杭群の図心との離隔が大きく、縦断方向の杭作 用荷重が上下流で大きく異なる場合がある。この場合の杭反力は、ポンプ場全体の横断方向及び 縦断方向の安定計算により得られた杭反力とすることが原則である。ただし、吸込水槽の検討断 面(横断方向)の杭反力は、①と同様にして算出した全スパンの平均値を、吸込水槽の全スパン を建屋部分とその他の部分に区分するなどし、縦断方向の安定計算により算出された杭作用荷重 をもとに各区分スパンの平均反力強度の比によって増減した値としてよい(図-15.12)。 検討断面(横断方向) 構造設計時 PN1 PN2 PN1 PH1 PH2 PH3 PN1=4本×N1/9.00、 PH1=4本×H1/9.00 PN2=4 ×N2/9.00、 PH2=4 ×H2/9.00 PN3=4 ×N3/9.00、 PH3=4 ×H3/9.00 構造計算時 集中荷重 (kN/m) 平面図 L=9.00m (縦方向 4 本配置) 鉛直方向(kN/本) N1 N2 N3 鉛直方向(kN/本) H1 H2 H3 杭 1 本当たり 作用荷重 V M H
図-15.12 縦断方向に一様でない断面の杭反力算定方法 〔参 考〕杭の影響を考慮した構造解析手法 構造設計において杭反力の影響を考慮する方法として、杭反力を底版の作用荷重として解析する 方法と、杭を弾性支承として解析する方法がある。後者による杭反力は、構造解析時に入力した荷 重の反力として算定されるため、吸込水槽のように構造及び上載荷重が一様でない場合、解析断面 によっては「過小又は過大な反力」を与えることとなる。 このため、本技術書では、構造物全体の安定計算結果から算定される反力を作用荷重とする前者の 方法を標準としている。なお、上記①に示す水路のフリュームのように、構造及び上載荷重が一様な 場合等、構造設計時の杭反力が適切に評価できる場合は、後者の方法によっても差し支えない。 注) 構造設計用反力は、検討断面方向において①と同様、全スパンの平均反力(kN/m)を算出し、検討区間 ごとに、f1 又は f2 の倍率を乗じた反力を用いる。 建 屋 吸込水槽 V0 M0 H0 L2 L1 全スパン長 L 縦断方向 Nx1 Nx2 Nx3 Nx4 Nx5 Nx6 (kN/本) L1 区間での構造設計時の倍率 f1= (V0,H0,M0 は常時の値とする) L2 区間での構造設計時の倍率 f2 = 検討断面(横断方向) (V,H,M は検討条件 における値とする) V M H N1 N2 N3 (kN/本) 縦断方向 x x
表-15.8 ポンプ場の杭基礎設計における技術書の適用範囲 適用範囲の概要図 土木 構 造 物と 建 屋 が 一 体 構 造 土木構 造 物と建 屋 が分 離構 造 注) 土木構造物と建屋が一体構 造の場合,建屋部分の杭基礎 は建築基準によるほか,本技 術書も適用する。 建 屋 建 屋 「本技術書」による 「本技術書」による 「建築基準」による 「建築基準」による Exp. jt 建 屋 「本技術書」による
15.3.2 杭基礎設計の手順 ポンプ場の杭基礎の設計は、各荷重の組合せごとに常時・地震時の安定計算時(滑動、転倒)にお いて計算される水平力H、鉛直力 V、モーメント M により検討する。その手順は、以下のとおりであ る。 START ↓ 各荷重組合せごとの安定計算(常時・地震時) 滑動、転倒 ↓ 水平力H、鉛直力 V、モーメント M ↓ 杭の設計 ①杭反力の計算(杭本数の決定) ②杭体応力の計算(杭種の決定) ↓ 杭頭の設計 ↓ END 図-15.13 安定計算と杭基礎の設計手順 15.3.3 杭基礎の設計方針 杭基礎の設計方針は、次のとおりとする。 ① 杭基礎は地盤条件、上部構造の特性、環境条件及び施工条件を考慮し、その種類を選定する。 ② 杭基礎に作用する荷重は杭の許容耐力以下とする。 ③ 杭基礎の鉛直方向許容支持力は、杭の支持力のみによると考え、基礎底面の地盤の支持力を 杭の支持力に加えない。 ④ 偏心力、水平力、引抜き力等を受ける基礎杭は、地盤の抵抗力、並びに杭材に発生する応力 について安全性を検討する必要がある。また、施工上考えられる衝撃力に対しても、杭材の安 全性を検討する必要がある。 ⑤ 地震時に液状化のおそれのある地盤については、この影響を考慮して杭基礎の耐震設計を行 う必要がある。 ⑥ 一体構造物の杭基礎設計に当たっては、支持杭と摩擦杭の混用、摩擦杭でも長さの極端に異 なる杭の同時使用は、有害な不同沈下を発生するおそれがあるので注意を要する。 ⑦ 杭基礎の許容変位量は、各杭基礎間で変位量が大きく異なり、構造物に支障を及ぼす場合や 機械設備などの機能を保持する必要がある場合においては、それぞれ設計者が制限値を定める こととする。一般的なポンプ場での杭頭許容変位量は、上部工の相対変位に対する機能確保を 目的として、常時、地震時(レベル 1)とも 50mm を目安とする。 注) 杭基礎の許容変位量は、機場上部工の相対変位に対する機能確保を目的とした値である。このため、水平荷重に対し ては、杭体応力が許容値以下、かつ、設計地盤面での変位量が 50mm 程度以下になるよう設計する。
15.3.4 杭の許容支持力 本技術書においては、吸込・吐出し水槽等土木構造物を対象に「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構 造編」(日本道路協会)に基づいた杭の許容支持力算定方法を解説する。なお、建築構造物(建屋) の杭の許容支持力算定方法については、別途「建築基礎構造設計指針」(日本建築学会)を参考に設 計するとよい。 (1) 杭の軸方向許容押込み支持力 1 本の杭の軸方向押込み力に対する許容支持力は、杭の自重を考慮する場合は式(15.17)、打込 み杭のように自重が小さく考慮しない場合は式(15.18)により計算する。 W W W R n Ra= ・( u- s)+ s- ... (15.17) u a R n R= ・ ... (15.18) ここに、Ra :杭頭における杭の軸方向許容押し込み支持力(kN) n :安全率 表-15.9 安全率 支持杭 摩擦杭 常 時 3.0 4.0 地震時(レベル 1) 2.0 3.0 :安全率の補正係数(支持力推定式: =1.0、鉛直載荷試験: =1.2) Ru :地盤から決まる極限支持力(kN) Ws :杭で置き換えられる部分の土の有効重量(kN) W :杭及び杭内部の土砂の有効重量(kN) 地盤から決まる杭の極限支持力は、適切な地盤調査を行った上で支持力推定式によるか、あるい は載荷試験を行って求める。 ① 支持力推定式による場合の極限支持力Ru Ru=qd・A+U・ i・fi ... (15.19) ここに、Ru :地盤から決まる杭の極限支持力(kN) A :杭先端面積(m2) qd:杭先端で支持する単位面積当たりの極限支持力度(kN/m2) U :杭の周長(m) i :周面摩擦力を考慮する層の層厚(m) fi :周面摩擦力を考慮する層の最大周面摩擦力度(kN/m2) (i) 杭先端での極限支持力度qdの推定 a.打込み杭 打込み杭(打撃工法及びバイブロハンマ工法)の場合、杭先端の極限支持力度qdは図-15.14 による。杭先端地盤の設計N 値及び支持層への根入れ深さは、図-15.15 によって求める。 なお、図-15.16 は、杭先端地盤が、礫・砂・粘性土地盤に適用されるもので、岩・軟岩注) の場合は対象外である。また、杭先端の設計N 値は、支持力算定上 40 を上限とする。 注) 杭先端地盤が岩・軟岩の場合は、「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」(日本道路協会)の参考資料 10 を参照のこと。
図-15.14 杭先端地盤の極限支持力度qdの算定図 図-15.15 支持層への換算根入れ深さの決定法 b.場所打ち杭 場所打ち杭の場合は、一般に施工による地盤の乱れの影響が大きいと考えられるが、杭先 端の極限支持力度qdは、表-15.10 に示す値とする。 表-15.10 場所打ち杭工法による杭先端の極限支持力度qd 地 盤 種 類 杭先端の極限支持力度(kN/m2) 砂礫層及び砂層(N≧30) 3,000 良 質 な 砂 礫 層 (N≧50) 5,000 硬 質 粘 性 土 層 3qu ただし、quは一軸圧縮強度(kN/m2)、Nは標準貫入試験のN値 ただし、これらの値は、場所打ち杭の載荷試験結果を考慮したうえで定められたものであ り、適用上の注意事項を次に示す。
・杭先端は良好な支持地盤中に、杭径程度貫入されている。 ・杭の施工中はボイリングの発生に注意し、かつスライム処理を十分に行う。 ・これらの値は機械掘削による場所打ち杭についてのみ適用されるもので、深礎杭につい ては別途検討の必要がある。 c.中掘り杭工法 杭材をPHC、SC 及び鋼管とし、その先端処理法に最終打撃方式、セメントミルク噴射撹 拌方式(ただし、砂質系地盤のみに適用)、コンクリート打設方式のいずれかを採用するも のとして、表-15.11 に示す算定法によって杭先端の極限支持力度を求める。なお、杭径の 適用範囲は、PHC、SC 杭の場合、通常、外径 450mm から 800mm、鋼管杭の場合、外径 400mm から 1,000mm のものが一般に使用されている。コンクリート系杭は肉厚が大きいため、小 径の杭では中掘部が細くなりスパイラルオーガを挿入して中掘施工をすることができない。 また、先に示す外径の範囲を超えるような大径の既製杭の使用に当たっては、支持力、沈下 特性などを別途検討する必要がある。 表-15.11 中掘り杭工法による杭先端の極限支持力度qd 先 端 処 理 方 法 杭先端の極限支持力度の算定法 最 終 打 撃 方 式 打込み杭の算定法を適用する。 セメントミルク噴射撹拌方式注 1) (砂 質 地 盤 の み に 適 用) 極限支持力度(kN/m2) 150N(≦7,500)砂層 200N(≦10,000)砂礫層 ここに、N:杭先端地盤のN値 コ ン ク リ ー ト 打 設 方 式注 2) 場所打ち杭の極限支持力度を適用する。 注1) 支持層には杭径程度以上根入れさせるものとし、設計径は杭径とする。 2) コンクリート打設方式は、杭外径以上を支持層に貫入させ、杭内径の4 倍以上の先端部分をコンク リートで閉塞させる方法である。 d.プレボーリング杭工法 プレボーリング杭工法による杭先端の極限支持力度は、載荷試験結果に基づき表-15.12 に示す値とする。 表-15.12 プレボーリング杭工法による杭先端の極限支持力度qd 地 盤 種 類 杭先端の極限支持力度(kN/m2) 砂 層 150N(≦7,500) 砂 礫 層 200N(≦10,000) ただし、Nは杭先地盤における標準貫入試験のN値 ここに規定するプレボーリング杭工法は、その外径が 300mm から 1,000mm 程度の範囲の RC 杭、PHC 杭あるいは SC 杭を使用する工法に限定するものとする。このとき、支持層に は杭径程度以上根入れさせるものとし、設計径は杭径とする。なお、先に示す外径の範囲を 超えるような大径の杭の適用に当たっては、支持力、沈下特性などを別途検討する必要があ る。 qd=
表-15.12 の適用に当たっては、次に示す根固部の仕様を満たす必要がある。 ・支持層への杭先端部の根入れ深さは、杭径D 程度以上とする。 ・根固部への杭の貫入深さは杭径D の 1.5 倍程度以上とする。杭の先端位置から根固部の 底面までの深さは、杭径D の 1.5 倍程度以上とする。 ・杭周固定部及び根固部の径は杭径D に 100mm を加えたもの、杭外周のソイルセメント 柱の片側かぶりは 50mm を標準とする。 図-15.16 プレボーリング杭の根固部 e.鋼管ソイルセメント杭 鋼管ソイルセメント杭工法による杭先端の極限支持力度は、載荷試験の結果に基づき表 -15.13 に示す値とする。なお、式(15.19)における杭先端面積Aは、ソイルセメント柱の 断面積とする。 表-15.13 鋼管ソイルセメント杭工法による杭先端の極限支持力度qd 地 盤 種 類 杭先端の極限支持力度(kN/m2) 砂 層 150N(≦7,500) 砂 礫 層 200N(≦10,000) ただし、Nは杭先地盤における標準貫入試験のN値 ここに規定する鋼管ソイルセメント杭工法により築造される杭は、ソイルセメント柱径が 1,000mm から 1,500mm 程度、鋼管径が 800mm から 1,300mm 程度、ソイルセメントの片側 のかぶりが 100mm から 200mm 程度が一般的な範囲である。表-15.13 の適用に当たっては、 過去の鉛直載荷試験結果からその支持力特性が明らかにされ、式(15.19)により求まる極 限支持力と同等以上の杭頭支持力が確認されているとともに、その施工管理手法が確立して いる工法に限定するものとする。なお、先に示す範囲を超えるような仕様の鋼管ソイルセメ ント杭については、支持力、沈下特性などを別途検討する必要がある。 ただし、これらの値は、鋼管ソイルセメント杭の載荷試験結果を考慮したうえで定められ たものであり、適用上の注意事項を次に示す。
・支持層への杭先端部の根入れ深さは、ソイルセメント杭径Dsc程度以上とする。 ・杭先端部への鋼管の貫入深さは鋼管径Dspの 1.5 倍程度以上とする。なお、鋼管先端から は鋼管径Dspの 1.25 倍程度以上の範囲の鋼管内面には、リブ又は付着金物を必要とする。 ・鋼管先端からソイルセメント柱先端までの深さ(余裕深さ)は、ソイルセメント柱径 Dsc の 0.5 倍程度以上とする。 図-15.17 鋼管ソイルセメント杭の杭先端固化部 f.回転杭工法 回転杭工法による杭先端の極限支持力度は、載荷試験の結果に基づき設定された表-15.14 に示す値とする。なお、式(15.19)における杭先端面積は、図-15.18 における先端羽根の 投影面積Awとする。 表-15.14 回転杭工法による杭先端の極限支持力度qd 地盤種類 羽根外径/杭径 杭先端の極限支持力度(kN/m2) 砂 層 1.5 倍 120N(≦6,000) 2.0 倍 100N(≦5,000) 砂 礫 層 1.5 倍 130N(≦6,500) 2.0 倍 115N(≦5,750) ただし、Nは杭先端地盤における標準貫入試験のN値 表-15.14 に示す値は、羽根外径が杭径の 1.5 倍又は 2.0 倍、先端閉鎖タイプ又は羽根内径 /杭径比(Dwi/Dp)≦1/2 の開口タイプ、羽根外周の切欠き長さの合計が全周の 1/8 以下の羽 根形状を有する回転杭工法を対象としており、鋼管径が 400mm から 1,200mm の場合で適用 性が検証されている。この際、支持層への杭先端の根入れ深さは杭径Dp程度以上とする。 なお、支持層が砂層及び砂礫層以外で回転杭を適用しようとする場合については、引抜き 抵抗を含め十分な知見がないので、施工性の確認等も含めて別途載荷試験による検討を行う 必要がある。
Aw :羽根投影面積(m) Aw=πDw2/4 Dw :羽根外径(m) Dp :杭径(m) Dwi :羽根内径(m) 図-15.18 回転杭の先端投影面積と周面摩擦を考慮する範囲 (ii) 杭周面に働く最大周面摩擦力度 fiの算定 杭周面に働く最大周面摩擦力度は表-15.15 による。ただし、N 値が 5 未満の軟弱層では、粘 着力を N 値により推定することは困難なため、別途土質試験により粘着力を求め、最大周面摩 擦力を推定するのがよい。 表-15.15 最大周面摩擦力度(kN/m2) 地盤の種類 施工方法 砂質土 粘性土 打込み杭工法 (打撃工法、バイブロハンマ工法) 2N(≦100) C 又は 10N(≦150) 場所打ち杭工法 5N(≦200) C 又は 10N(≦150) 中掘り杭工法 2N(≦100) 0.8C 又は 8N(≦100) プレボーリング杭工法 5N(≦150) C 又は 10N(≦100) 鋼管ソイルセメント杭工法 10N(≦200) C 又は 10N(≦200) 回転杭工法 3N(≦150) C 又は 10N(≦100) 注) ただし、C は地盤の粘着力(kN/m2)、N は標準貫入試験の N 値
(iii) 摩擦杭の取扱い 摩擦杭であっても短期の支持力は、支持杭と同程度の値となることが確認されている。しか し、長期の支持力特性に不明な点があるため、摩擦杭の場合は支持杭に比較して大きな安全率 を適用するものとする。 なお、摩擦杭の場合、杭先端の支持力は原則として考慮しないものとする。また、中掘杭工 法、プレボーリング杭工法や回転杭工法の摩擦杭形式にはこれまでの実績がほとんどないため、 その採用に当たっては支持力特性を十分に検討する必要がある。 注) 「道路橋示方書」では、支持杭と同等の安全性を有する摩擦杭は支持杭の安全率を適用するものとしている。この 場合の適用条件は、以下のとおりである。 ① 著しい地盤沈下が生じないこと、及び将来とも予想されないこと。 ② 杭の根入れ長が杭径の 25 倍(杭径 1m 以上の杭については 25m)程度以上あること。 ③ 粘性土地盤においては、杭の根入れ長の1/3 以上が過圧密地盤に根入れされていること。 ② 鉛直載荷試験による極限支持力 鉛直載荷試験による杭の極限支持力の判定は、荷重-沈下量曲線が沈下量の軸にほぼ平行とみ なしうるときの荷重とする。ただし、沈下量が杭径の 10%を超える場合は、杭径の 10%のとき の荷重をもって極限支持力とする(図-15.19 参照)。 図-15.19 荷重-沈下量曲線の例 ③ 打込み杭の杭打ち試験による支持力算定方法 杭打ち試験の結果から支持力を算定する式は、いずれも杭の静的耐力を動的な貫入抵抗によっ て推定しようとするもので、原理的にこれから静的耐力を推定しようとすることに無理があると いわれている。しかし、支持杭の支持力の推定にある程度の適用性を認められ、また、試験法も 簡単でかつ 1 本ごとに試験ができる利点もある。 現在、わが国の土木・建築分野でよく使用されている杭打ち式を、表-15.16 に示す。 なお、杭打ち式は、杭の支持力を決定するというよりも、施工の確実性を確かめる目的で誘導 されたものであり、各現場ごとに地盤調査を行った地点付近での杭打ち試験を最初に実施して、 設計条件、とくに支持層への根入れ長を満たすために必要な打撃条件を定め、以後の管理に応用 するというように使うのがよい。
表-15.16 わが国の土木・建築分野でよく使用されている杭打ち式 出 典 杭打ちによる許容鉛直支持力推定式Ra(kN) 備 考 公共建築工事標準仕様書 0.1 + 5 = S F Ra 建築分野で既製 コンクリート杭 の場合によく使 用される 宇都・冬木の式 0 2 1 0 ・ ・ + ・ ・ ・ ・ 3 1 = f a e U Ν e K E A R 土木分野でよく 使用される Ra :杭の長期許容鉛直支持力(kN) S :杭の貫入量(m) K :リバウンド量(m) F :打撃エネルギ(kJ)で、ドロップハンマの場合 F=WH・g・H、ディーゼルハンマ及び油 圧ハンマの場合F=2WH・g・H とする。(WHはハンマ質量(t)、g は重力の加速度(m/s2)、 H は落下高さ(m)) A :杭の純断面積(m2) E :杭のヤング係数(kN/m2) 1 :補正係数e0の値により変化し、表-15.17、図-15.18 による。 2 :杭の根入れ長さ(m) U :杭の周長(m) N :杭の周面の平均 N 値 e0、ef0 :補正係数(表-15.18 による) WH/WP:ハンマと杭の重量比 WP :やっとこ使用の場合は、杭とやっとこの重量を加算した値 表-15.17 杭長の補正係数 e0の値 1の値 e0≧1 m 1>e0≧ m / m/e0 e0≦ m / 注) :杭の先端からハンマ打撃位置までの長さ(m) m :杭の先端からリバンウンド測定位置までの長さ(m) 図-15.20 杭長の補正 表-15.18 補正係数 杭 種 施 工 方 法 e0 ef0 備 考 鋼 管 杭 打 込 み 杭 工 法 1.5WH/WP 0.25 中 掘 り 最 終 打 撃 PHC 杭、RC 杭、SC 杭 打 込 み 杭 工 法 2.0WH/WP 0.25 中 掘 り 最 終 打 撃 4.0WH/WP 1.00 鋼 管 杭 PHC 杭、RC 杭、SC 杭 打 込 み 杭 工 法 (1.5WH /WP)1/3 0.25 油圧ハンマに適用 ハンマ m 2 リ バ ウ ン ド 測定位置 杭 杭先端
(2) 杭の軸方向許容引抜き力 ① 1 本の杭の軸方向許容引抜き力は、式(15.20)により算出する。 W P n Pa ・ u+ 1 = ... (15.20) ここに、Pa :杭頭における杭の軸方向許容引抜き力(kN) n :表-15.19 に示す安全率 Pu :地盤から決まる杭の極限引抜き力(kN) W:杭の有効重量(kN) ② 地盤から決まる杭の極限引抜き力は、地盤調査結果に基づいて推定した各層の最大周面摩擦 力の和として計算するか、あるいは引抜き試験を行って求める。 ③ 地盤から決まる杭の極限引抜き抵抗力を支持力推定式から算出する場合は式(15.21)によ る。 Pu=U Li fi ... (15.21) ここに、Pu :地盤から決まる杭の極限引抜き抵抗力(kN) U:杭の周長(m)。ただし、鋼管ソイルセメント杭の場合においてはソイルセメ ント柱の周長とする。 Li :周面摩擦力を考慮する層の層厚(m) fi :周面摩擦力を考慮する層の最大周面摩擦力度(kN/m2) ただし、回転杭の場合においては、式(15.22)で求めてよい。 Pu=U Li fi +Pw ... (15.22) ここに、Pw :杭先端羽根の極限引抜き抵抗力(kN) (3) 負の周面摩擦力 圧密沈下を生じるおそれのある地盤中に杭を打設する場合には、杭体の損傷を防ぎ、構造物の機 能を確保するために、杭の鉛直支持力、杭体応力及び杭頭沈下量について、負の周面摩擦力による 影響を考慮して検討を行う必要がある。 なお、負の周面摩擦力の検討に用いる荷重は死荷重とし、地震時には負の周面摩擦力を考慮する 必要はない。 ① 中立点の位置 負の周面摩擦力が作用する部分としては、中立点より上を考えればよい(図-15.21 参照)が、 その位置は先端支持地盤の硬さによって変化し、一律に与えることはできない。これまでの測定 結果によると、中立点の深さは圧密層の深さの 75~95%程度となっている。特にデータがない場 合は、中立点の位置は、圧密層の下端と仮定してよい。 表-15.19 安全率 常 時 地 震 時(レベル 1) 6 3
図-15.21 負の周面摩擦力と中立点 ② 鉛直支持力の検討 負の周面摩擦力を考慮した許容支持力は、式(15.23)により求める。 Ra= 1.5 1 ・(Ru-Ws)+Ws-(Rnf + W ) ... (15.23) ここに、Ra :負の周面摩擦力を考慮した許容支持力(kN) Ru :中立点より下にある地盤による杭の極限支持力(kN)。すなわち、中立点の 下層から杭先端までの最大周面摩擦力と杭先端の極限支持力(摩擦杭の場合 は無視)の和であり、式(15.19)に準じて計算する。 Rnf :負の周面摩擦力(kN)。すなわち、中立点より上のある層の最大周面摩擦力 の和。最大周面摩擦力は表-15.15 に準じて計算するが、この場合はN≦2 の 軟弱層であっても無視してはならない。 WS :中立点より下方の杭で置き換えられる部分の土の有効重量(kN) W :杭及び杭内部の土砂の有効重量(kN) ③ 杭体応力の検討 負の周面摩擦力により生じる杭体応力の安全性は、式(15.24)により照査する。 1.2・(P0+Rnf +W )≦ y・Ap ... (15.24) ここに、P0 :杭頭に加えられた死荷重による杭頭荷重(kN) Rnf :負の周面摩擦力(kN) W :中立点より上方の部分の杭の有効重量(kN) y :杭材料の降伏応力(kN/m2) Ap :照査断面での杭の純断面積(m2) 杭材料の降伏応力は、以下のとおりとしてよい。 鋼 管 杭 : y=235N/mm2(235,000kN/m2)(SKK400) 既製コンクリート杭 :設計基準強度を 1.3 で除した値 y=30N/mm2(30,000kN/m2)(RC 杭) y=61N/mm2(61,000kN/m2)(PHC 杭)