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Microsoft PowerPoint - エンドfin2.pptx[読み取り専用]

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Academic year: 2021

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緒 言 子宮内膜症(内膜症)の悪性化は .∼ .% の頻度で発生するといわれている〔 〕.その多 くは卵巣の内膜症性囊胞から発生する腺癌で, 本邦における疫学的調査では約 .%の頻度で 発生することが報告されている〔 〕.一方,卵 巣以外,とくに稀少部位の内膜症に発生する悪 性腫瘍の頻度は非常に低いと考えられ,術前診 断を含めた臨床的対応の難しさが問題となる. 今回われわれは,右側鼠径部の内膜症に由来 した類内膜腺癌の症例を経験した.本症例では 集学的治療の後に子宮内膜癌と卵巣癌の発生が みられ,特異な臨床経過をたどったことに加え, 興味深い組織学的所見が得られたので,その病 態に関して考察を加えて報告する. 症 例 症例は 歳の 回経妊 回経産女性で,主訴 は恥骨右側の腫瘤からの出血および疼痛であ る.初経は 歳で,月経周期は 日型で整順で あった.既往歴に特記事項はない.家族歴とし て父方伯父に胃癌,父方叔母に肺癌,母方祖母 に関節リウマチがある.数年前に近医産婦人科 で内膜症と診断され,ノルエスチロン・エチニ ルエストラジオール製剤が処方されたが,頭痛 のために約 ヵ月の内服で中止されている. 今回,恥骨右側に腫瘤を自覚し,疼痛と出血 を伴うようになったために前医を受診した.同 医における診察で悪性腫瘍の可能性が疑われた ため,当科を紹介され受診した. 初診時,恥骨右側に cm 大の表面不整な腫 瘤が認められたが,骨盤腔内の腟鏡診,双合診, 直腸診では異常所見はみられなかった(図 ). 骨盤造影 MRI では,恥骨右側に右側円靭帯と 連続する cm 大の造影効果を有する充実性腫 瘤が認められ,右側の恥骨筋,腹直筋および腹 斜筋への浸潤が疑われた(図 A∼E).PET/CT スキャンでは,同腫瘤とともに,腫大した右側 鼠径リンパ節に FDG の異常集積がみられた (図 F).腫瘤の生検では腺癌が認められ,類 内膜腺癌,アポクリン腺癌,乳癌が鑑別診断と して挙げられた.腫瘍マーカーは,CA が . U/mL(基 準 値≦ . U/ml),CA ― 〔病理症例検討会/セッション /子宮内膜症と悪性腫瘍〕

右側鼠径部子宮内膜症から発生した類内膜腺癌に対する治療後に

子宮内膜と卵巣に類内膜腺癌を発症した 例

)熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学 )同・母子看護学 本岡 大社) ,齋藤 文誉) ,本原 剛志) ,岡村 佳則) ,橋本 友美) 大場 隆) ,田代 浩徳) ,片渕 秀隆) 図 恥骨右側の腫瘤の肉眼像 恥骨右側に cm 大の表 面不整で出血を伴う腫 瘍が認められる.

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ᕥഃୗ⫥ ྑഃୗ⫥ ⭡┤➽⓶ᘚ 㢌ഃ ᜝㦵 が . U/ml(基準値≦ . U/ml)と高値で, CEA は . ng/ml(基 準 値≦ . ng/ml),SCC 抗原は . ng/ml で正常範囲であった.以上よ り,右側円靭帯から発生した癌腫と判断し,皮 膚科・形成再建科と合同で腫瘍切除術を行っ た. 手術では,腫瘍の浸潤がみられた右側の恥骨 筋,腹直筋,腹斜筋,鼠径靭帯,円靭帯を合併 切除し,外陰部では右側大陰唇と小陰唇のすべ てを,左側大陰唇と小陰唇の腹側三分の二を切 除し,陰核も切除した.両側の鼠径リンパ節も これらと一塊として切除した(図 ).術中迅 速病理診断で左側の深鼠径リンパ節に転移が認 められたため,開腹し両側の骨盤リンパ節郭清 術を追加した.開腹所見では,子宮および両側 付属器に異常は認められず,ダグラス窩と膀胱 子宮窩にも異常はみられなかった.再建術とし て,右側の鼠径部は腹直筋の筋皮弁を用いて, 図 骨盤造影 MRI および PET/CT スキャン 骨盤造影 MRI で,恥骨右側前面に cm 大の腫瘤影が認められる(A).腫瘤は T 強調像,T 強調像でともに 軽度高信号を呈する(A,B).腫瘤に淡い造影効果がみられ(C),拡散制限が認められる(D).腫瘤には右側 円靭帯との連続性がみられる(E).PET/CT スキャンでは,腫瘤に一致して SUVmax . .の FDG の異常 集積がみられる. A:矢状断 T 強調像,B:横断像 T 強調像,C:横断像造影後 T 強調像,D:横断像拡散強調画像,E:横 断像造影後 T 強調像,F : PET/CT スキャン水平断 図 摘出組織の肉眼所見 腫瘍の浸潤が疑われた周囲の筋肉,鼠径靭帯, 右側円靭帯,そして両側鼠径リンパ節を腫瘍と ともに一塊として郭清した. 図 手術終了時の鼠径∼恥骨部の肉眼所見 右側鼠径部の皮膚,皮下組織,および鼠径靭帯 の欠損に対し,腹直筋皮弁を用いた再建術を行 った.

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500μm 250μm 50μm 50μm 左側鼠径部は左側縫工筋を用いて形成を行った (図 ). 摘出組織の病理組織学的検査では,右側鼠径 管内の円靭帯を中心に内膜症および異型内膜症 が認められ,後者と連続して高分化型類内膜腺 癌が確認され,右側鼠径管内の内膜症に由来し た類内膜腺癌と診断した(図 A∼D).また両 側鼠径リンパ節および左側外腸骨リンパ節への 転移がみられたことから,追加治療としてパク リタキセルとカルボプラチンの 剤併用による 抗がん化学療法を施行し,外来管理とした. 化学療法終了後 ヵ月目の定期受診時に,経 腟超音波断層法で子宮内膜の mm への肥厚 がみられたため,子宮内膜細胞診を行ったとこ ろ偽陽性であった.子宮内膜掻把による子宮内 膜組織診を行った結果,子宮内膜上皮内腫瘍が 認められた.骨盤造影 MRI では,明らかな異 常所見は指摘されず,腫瘍マーカーは,CA , CA ― および CEA はいずれも正常範囲内で あった.子宮摘出術の適応と判断し,開腹術を 行った. 術中所見では,左側卵巣に線維腫様の小結節 とダグラス窩腹膜に内膜症を疑う小結節が認め られた以外に異常はみられなかった(図 A). 右側卵巣は温存する方針とし,単純子宮全摘出 術,左側付属器切除術,右側卵管切除術,ダグ ラス窩腹膜の小結節の切除を行った(図 B). 摘出組織の病理組織学的検査では,子宮内膜に 子宮内膜上皮内腫瘍と筋層浸潤を伴わない高分 化型の類内膜腺癌がみられ(図 A∼C),右側 卵管采とダグラス窩腹膜には異型内膜症が認め られた(図 D∼F). 温存した右側卵巣に病巣が残存している可能 性が否定できなかったため, 回目の開腹術か ら 日目に右側卵巣切除術と大網切除術を施 行した.術中所見では右側卵巣を含め悪性を示 唆する所見は認められず,腹水細胞診は陰性で あった. 図 恥骨右側腫瘍の病理組織学的所見 右側鼠径管内の円靭帯を中心に,内膜症(B)および異型内膜症が(C)認められ,これと連続して高分化型類 内膜腺癌がみられる(D).

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250μm 50μm 500μm 50μm 50μm

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摘出組織の病理組織学的検査では,右側卵巣 に内膜症から異型内膜症,さらに高分化型類内 膜癌への移行が確認された(図 A∼F). その後の術後化学療法への同意は得られず, 現在, 回目の手術から ヵ月が経過し,再発 を示唆する所見はみられていない. 考 察 年に Sampson が卵巣チョコレート囊胞 の悪性化を初めて報告して以来〔 〕,内膜症の 悪性化に関する報告が多くなされている.Irvin らによる 例の解析報告では,内膜症に由来 する悪性腫瘍の %は卵巣で, %はその他の 部位で発生している.このなかで,本症例のよ うに鼠径管内の円靭帯に発生した症例も含め て,外陰に発生するものは .%とされている 〔 〕.鼠径部の内膜症の約 %は右側にみられ, 内膜症に関連した鼠径部の悪性腫瘍も右側に多 いことが知られている〔 ,〕.鼠径部に内膜症 図 子宮,右側卵管采およびダグラス窩腹膜の病理組織学的所見 子宮内膜は子宮内膜上皮内腫瘍が広範囲にみられ(A,B)高分化型の類内膜癌も観察されるが(C),子宮体部 筋層浸潤はみられない.右側卵管采(D,E)とダグラス窩腹膜(F)に異型内膜症が認められる.

A:子宮内膜 H.E.染色 倍,B:子宮内膜 H.E.染色 倍,C:子宮内膜 H.E.染色 倍,D:右側卵 管采 H.E.染色 倍,E:右側卵管采 H.E.染色 倍,F:ダグラス窩腹膜 H.E.染色 倍

図 子宮摘出術時の開腹所見および摘出組織の肉眼所見

左側卵巣に線維腫様の結節がみられる(矢印).右側卵巣は拇指頭大である(A).摘出子宮に子宮内膜を含め肉 眼的に異常はみられない(B).

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500μm 50μm

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が形成される病態として,左右の頻度が異なる ことから化生の関与は否定的とされ,円靭帯を 介した子宮内膜組織の移植が第一に考えられて いる.しかし,その移植経路が直接浸潤か,リ ンパ行性や血行性であるかはいまだに明らかに なっていない.また鼠径部の内膜症が右側に好 発する理由も明らかではないが,その理由の つとして,腹腔内の腹水動態が時計回りであり 右側円靭帯が腹水中の子宮内膜細胞に暴露され やすいためとする考えがみられる〔 〕. 内膜症からの発癌機序に関してはいまだに完 全には明らかになっていない.そのなかで,卵 巣に内膜症由来の類内膜腺癌がみられる症例で は子宮内膜にも類内膜腺癌を合併する症例が多 いことが報告されている.このことから,内膜 症からの類内膜腺癌の発癌に関する仮説とし て,異型を伴った子宮内膜組織が移植されて病 巣が形成されている可能性が考えられている 〔 〕.実際に,内膜症症例の子宮内膜では,非 内膜症症例の子宮内膜と比較して,RAS/RAF/ MAPK 経路や PI K 経路をはじめとして多様な 遺伝子の発現に差異がみられることが知られて おり〔 ― 〕,上記の仮説を支持するものと考 えられる.本症例では,右側の円靭帯,卵管采, 卵巣,ダグラス窩腹膜に異型内膜症の所見が観 察された.いずれの部位も月経血の逆流による 移植が起こりうる範囲であり,複数の組織で同 様の病巣を形成した病態として,異型内膜症の 形成に関与する分子レベルの異常をすでにきた していた内膜組織が子宮内から移植され形成さ れた病態が可能性の つとして考えられる. 結 語 右側鼠径管内の内膜症から発生した類内膜腺 癌の症例を経験した.本症例では複数の臓器に わたり認められた異型内膜症に加え子宮内膜上 皮内腫瘍が確認され,約 年の経過のなかで子 宮内膜癌と卵巣癌の発生がみられた. 内膜症に関連した類内膜腺癌で異型を伴う内 膜様組織が複数の臓器でみられる場合には,そ れぞれの内膜様組織から同種の癌腫が形成され る可能性も考慮し,慎重な臨床的対応を行う必 要がある. 図 右側卵巣の肉眼所見および病理組織学的所見 右側卵巣の表面は平滑であるが,囊胞性腫瘤が認められる. 回目の開腹術時と比較して腫大し,小鶏卵大で ある(A).囊胞部分に割を入れると暗赤色の液を容れた囊胞が つ認められる(矢印)(B).病理組織学的には 内膜症性囊胞が認められ(C),内膜症(D),異型内膜症(E)から連続して類内膜腺癌(F)が認められる.癌 腫による被膜への浸潤や被膜の破綻はみられない.

A:右側卵巣の肉眼像,B:右側卵巣の割面,C:右側卵巣 H.E.染色 倍,D:右側卵巣 H.E.染色 倍, E:右側卵巣 H.E.染色 倍,F:右側卵巣 H.E.染色 倍

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文 献

〔 〕Matter M et al. Cystadenocarcinoma of the ab-dominal wall following caesarean section : case report and review of the literature. Gynecol On-col ; : −

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〔 〕Candiani GB et al. Inguinal endometriosis : pathogenetic and clinical implications. Obstet Gy-necol ; : −

〔 〕Bergamini A et al. Endometriosis-associated

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〔 〕Mangili G et al. Unraveling the two entities of endometrioid ovarian cancer : A single center clinical experience. Gynecol Oncol ; :

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〔 〕Matsuzaki S et al. DNA microarray analysis of gene expression in eutopic endometrium from patients with deep endometriosis using laser cap-ture microdissection. Fertil Steril ; : −

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図 子宮摘出術時の開腹所見および摘出組織の肉眼所見

参照

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