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第6回クッキーテスト研究会研究報告集(PDF)

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(1)

2009

第6回クッキーテスト研究会

<研究報告集>

鳥帽子岳(H20.8 撮影/原納 優)

2009 年 5 月 23 日(土)

於:大阪大学中之島センター

7階

セミナー室

(2)

目 次

Ⅰ.ご講演要旨 ………

2

2 型糖尿病患者の食後高血糖が生体内酸化ストレス度及び

抗酸化力に及ぼす影響について

………

3

空腹感の頻度からみた身体状況−クッキーテスト食を活用して−

9

脂質異常症合併の食後高血糖患者に対するボグリボースの

抗動脈硬化作用

………

12

ミグリトールによる

GLP-1 分泌についての臨床的検討

…………

15

Ⅱ.基調講演要旨 ………

17

Cookie Test の新知見と特定指導(メタボ対策)における動機づけと

治療指標としての意義

Ⅲ.特別講演要旨 ………

26

耐糖能異常・糖尿病の予知、そして予後

∼各種臨床化学検査の臨床的意義を含めて

Ⅳ.クッキーテスト概要 ………

32

(3)
(4)

2 型糖尿病患者の食後血糖が生体内酸化ストレス度と抗酸化力に

及ぼす影響について

池渕クリニック 池淵元祥 はじめに 糖尿病(DM)患者において、高血糖に伴う活性酸素種(ROS)とフリーラジカルの産 生が血管内皮障害をきたし、糖尿病性血管障害の発症と進展に関与することが報告され ている。DM 患者の酸化ストレス度と抗酸化力を測定し、耐糖能、血圧、血清脂質、メ タボリック症候群、腎症に関して検討を加えた。 方法 DM 患者 64 名(1 型 7 名、2 型 57名)と健常者(16 名)を対象に、Free Radical Analytical System 4による diacron Reactive Oxygen Metabolites test(d-ROMs テスト)を用いて ROS・フリーラジカルの代謝物であるヒドロペルオキシドを測定し酸 化ストレス度(図1)と、Biological Antioxidant Potential test(BAP テスト)を用いて 抗酸化力を評価した。

結果

1)2 型 DM(平均 HbA1c8.1%)で ROM 値(U.CARR)378±73 は健常対照の ROM 値322±44 比べ有意(p<0.01)に高値であった。一方 BAP 値(μM)2258±359 は対照 のBAP 値 2152±353 と比べ有意差を認めなかった。1 型 DM(平均 HbA1c7.5%)で は、ROM 値(U.CARR)349±81、BAP 値(μM)2365±437 は、健常対照と比べ有 意差を認めなかった(図2)。 2)2 型 DM で血糖コントロールの状態(HbA1c(%) 5.8∼6.4、6.5∼7.9、8.0 ∼9.9、10 以上)で ROM 値(U.CARR)はそれぞれ 372±78*、374±79*、363±58*、 415±61**で対照に比べそれぞれ有意(*p<0・05、**p<0.01)に高値であった(図3)。 3)DM 群で ROM 値と、各因子(血糖値(食後)、HbA1c 値、血圧、TG、HDL-C、 LDL-C、BMI、腹囲)との回帰分析は、血糖値、HbA1c 値、腹囲に関してそれぞれ有 意な正の相関(r=0.27、r=0.28、r=0.32、p<0.05)を認めた(表1)。 4)DM 群でメタボリック症候群の ROM 値は 394±73(U.CARR)であり、非メタ ボリック症候群のROM 値 356±71(U.CARR)と比べ有意(p<0.05)に高値であった(図 4)。

5)DM 群の HbA1c7.0%以下で、微量アルブミン尿群の ROM 値(U.CARR)は 380 ±82 と健常対照と比べ有意(p<0.05)に高値で、一方蛋白尿陰性群の ROM 値は 345±95 と対照と有意差を認めなかった。 6)非糖尿病肥満者5名と健常対照者4名に対してクッキーテストを用いた耐糖能 検査を施行したところ、非糖尿病肥満患者で食後高インスリン血症と食後高TG 血症を 認めた(図5)。健常対照者でクッキーテスト施行120 分後の ROM 値は 15%有意 (p<0.05)な低下を認めたが、非糖尿病肥満者では変化を認めなかった(図6)。一方 BAP 値は両群ともクッキーテスト前後で有意な変化を認めなかった。 7)軽症糖尿病患者に対してミグリトール 150mg を平均3ヶ月間内服投与したとこ ろ、HbA1c6.4%から 6.1%の低下と伴に、ROM 値は 5%有意(p<0.05)に低下し酸化ス トレス度の減少を認めた(図7)。

(5)

まとめ 2 型 DM 患者で血清 ROM は健常対照とくらべ高値であり、その値は HbA1c 値、血 糖値、腹囲と正の相関を認め、またメタボリック症候群や微量アルブミン尿群で高値を 示した。また、軽症糖尿病患者にミグリトールを投与することで、耐糖能の改善と伴に、 酸化ストレス度の減少を認めたことから、高血糖が酸化ストレスを高め、糖尿病性血管 障害の進展に関与するものと考えられた。 1 1

活性酸素、活性酸素代謝物及び遷移金属はすべて

細胞の構造と機能の損傷に関与

外因性 2. 有機基質が攻撃される (脂質、アミノ酸、核酸など) 3. ヒドロペルオキシドの産生 R-OOH 5.細胞構造、細胞機能の損傷(アポトーシス、壊死)) 酸化>抗酸化機構 4. アルコキシルラジカルR-O•/ ヒドロペルオキシルラジカルR-OO•の産生 O2 Fe/Cu 1. 活性酸素の産生 (O2 •, HO•, 1O 2*, H2O2) 代謝 図1

(6)

0 100 200 300 400 500 健常者 1型糖尿病 2型糖尿病 d − ROM (C A RR U ) 0 1000 2000 3000 健常者 1型糖尿病 2型糖尿病 BAP (μM) (n=16) (n=7) (n=57) (n=16) (n=7) (n=57) p<0.01 n.s. n.s. n.s. 糖尿病患者の酸化ストレス(d−ROM)と抗酸化力(BAP)について d−ROM BAP 図2 *p<0.05、**p<0.01 VS 健常者 0 100 200 300 400 500 健常者 5.8−6.4 6.5−7.9 8.0−9.9 10以上 糖尿病 HbA1c(%) d−R O M ( C A RR U ) * ** (n=16) (n=10) (n=24) (n=13) (n=10) 2型糖尿病患者の酸化ストレス度と耐糖能障害との関係 図3

(7)

n.s. -0.14 HDL−C n.s. 0.1 TG n.s. 0.19 LDL−C <0.05 0.28 HbA1c <0.05 0.25 血糖 n.s. 0.16 DBP n.s. 0.1 SBP <0.05 0.32 腹囲 n.s. 0.14 BMI n.s. 0.16 年令 p r (n=64) 糖尿病患者におけるd−ROM値と各関連因子との相関関係 表1 0 100 200 300 400 500 健常者 MS(-) MS(+) d − RO M ( U.C A RR ) * * DM MS合併DM患者の酸化ストレスについて (n=16) (n=34) (n=30) *p<0.05 図4

(8)

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 30 60 90 120 時間(分) 血糖 値 ( mg /d l) 0 20 40 60 80 100 0 30 60 90 120 時間(分) インス リ ン(μ U / m l) クッキーテストでの非糖尿病肥満患者と健常対照者における 血糖値とインスリン値の変動 健常対照者(n=4) 非糖尿病肥満患者(n=5) * * * (*p<0.05 vs 健常対照) 図5 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 d− R O M( U .CA R R ) 0h 120h 健常対照者 (n=4) 0h 120h 非糖尿病肥満 (n=5) *p<0.05 n.s. n.s. クッキーテストでの非糖尿病肥満患者と健常対照者に おける酸化ストレス度(d-ROM)の変動 図6

(9)

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 d-ROM (U.CRR ) *P<0.053ヵ月後 HbA1c (%) 6.4 6.1 体重 (kg) 62 61 (n=5) 軽症糖尿病患者においてミグリトール(150mg)が酸化ストレス (d-ROM値)に及ぼす影響 図7

(10)

空腹感の頻度からみた身体状況 −クッキーテスト食を活用して−

仲森隆子1)、都島基夫2) 1) 名古屋女子大学、家政学部 食物栄養学科 2) 医療法人積仁会旭ヶ丘病院 【目的】 ヒトは空腹時に生理的に視床下部の食欲中枢が刺激されて、空腹感を感じ摂取行為を はじめるが、飽食時代の現在、栄養不足による空腹感を多くの日本人は感じなくなった。 その一方で、肥満によるインスリン分泌過多による過反応に伴う食前の低血糖時や糖尿 病高血糖時の細胞レベルの栄養失調状態において空腹感を感じることが多い。したがっ て、食後高血糖や食後脂質異常なども含めた、食後の代謝動態を知ることが、飽食時代 の疾病病態の解明に必要となってきた。 今回、我々は資料食として原納らが開発した糖尿病と食後高脂血症を同時に診断でき る、クッキーテスト食1、2)(炭水化物食)(表1)を用いて、「食事前の空腹感」の有無 と食生活や代謝動態との関連につき検討した。 【対象および方法】 対象は三重県尾鷲市の食生活改善推進員の女性、30∼76歳の無作為に抽出した18人(平 均年齢65歳)である。身体計測、座位にて2回の血圧測定を行い、血圧は低い値を用い た。空腹時とその後10分以内に資料食を摂取させた後120分、240分に採血し、血糖、血 清脂質、遊離脂肪酸、インスリン濃度、レムナントを測定した。

統計学的検討にはAvacus Concepts StatView J4.5を活用し、空腹感の有無別と各種 検査データとの比較には対応のないt-testを用いて統計処理を行い、統計的有意水準を 5%とした。 【結果】 日常的に食事前に空腹を感じるかどうかの設問では、空腹感「時々有群」では 39%(7 人)、空腹感「いつも有群」61%(11 人)であった。空腹感「いつも無群」0%であっ た。背景を表 2 に示した。 1. 肥満との関係では、BMI、腹囲で「時々有群」より「いつも有群」の方が有意では ないが高値、すなわち、肥満であった。血圧でも同様に「いつも有群」の方が高 値であった。しかし、有意差を示さなかった。 2. 脂質異常症関連データでは、「いつも有群」で食後 120 分、240 分で、トリグリセ ライド値は適正値 150mg/dL 以上、レムナント 7.7mg/dL 以上であった。(表 3) 3. 耐糖能関連データでは、「いつも有群」より「時々有群」の方が食後 120 分、240 分で有意に高値(p=0.04、0.02)であった。これは「時々有群」に糖尿病を罹 患している者がいたためであった(表 3)。 【考察】 食後脂質異常症、食後高血糖を予防することが重要で、今村らの報告3)によると空腹時 のTGが正常であっても高脂肪食負荷により、4 時間後もTGが 150mg/dL以上あり、 150mg/dL以上者でインスリン濃度、HOMA-Rが高値を示し、逆にLDL-C/apoB、HDL-Cが低 値であった。本研究で使用したクッキーテスト食は日常の食事内容に近似していること から食事前の検査値が正常であっても 4 時間後にも高いことを認識し、予防することが 大切で、その指標として空腹感の有無を認識することが重要である。

(11)

表1)クッキーテスト食の組成

 ・エネルギー     592kcal

 ・蛋白質       8.0g

 ・脂 質       28.5g

 ・糖 質       75.0g

 ・食物繊維     0.9−2.3g

 ・ナトリウム     125mg

 ・脂肪/エネルギー  43.3%

  栄養成分1食(115g)当たり  

表2)クッキー(炭水化物食)摂取群の背景とP値 

時々有群

いつも有群

人数

7

11

年令(歳)

66.6±5.4

64.7±7.3

n.s.

BMI(kg/m2)

23.7±7.7

24.5±3.5

n.s.

現体重(kg)

55.5±3.2

57.3±7.2

n.s.

20歳時体重(kg)

47.7±7.1

45.7±6.2

n.s.

腹囲(cm)

89.1±6.4

92.1±10.3

n.s.

体脂肪率(%)

33.1±10.5

30.8±6.0

n.s.

収縮期血圧(mmHg)

142.3±12.8

144.6±21.0

n.s.

拡張期血圧(mmHg)

75.3±10.3

81.4±9.9

n.s.

P値

空腹感の有無

(12)

表3)クッキー摂取群の負荷前後の変動とP値 

時々有群

いつも有群

人数

7

11

空腹時TG(mg/dL)

83.3±37.7

116.0±47.3

n.s.

食後120分後(mg/dL)

136.3±60.0

175.6±54.3

n.s.

食後240分後(mg/dL)

122.6±65.7

164.1±97.2

n.s.

T-CHO(mg/dL)

225.7±39.1

225.1±31.4

n.s.

食後120分後(mg/dL)

208.7±33.8

207.4±27.5

n.s.

食後240分後(mg/dL)

212.0±29.4

208.5±29.4

n.s.

HDL-C(mg/dL)

74.6±19.5

72.1±14.5

n.s.

食後120分(mg/dL)

70.0±18.0

66.3±13.3

n.s.

食後240分(mg/dL)

71.0±18.8

67±14.4

n.s.

LDL-C(mg/dL)

134.4±32.2

129.7±22.6

n.s.

食後120分(mg/dL)

111.3±31.1

105.8±21.2

n.s.

食後240分(mg/dL)

116.3±19.8

108.6±22.6

n.s.

レムナント(mg/dL)

4.7±2.7

6.4±4.1

n.s.

食後120分(mg/dL)

6.3±3.3

7.9±3.8

n.s.

食後240分(mg/dL)

6.4±3.7

8.6±5.7

n.s.

FFA(μEq/L)空腹時

1.05±0.45

1.07±0.25

n.s.

食後120分(μEq/L)

0.67±0.47

0.53±0.18

n.s.

食後240分(μEq/L)

0.65±0.35

0.58±0.14

n.s.

FBS(mg/dL)空腹時

157.7±92.5

109.7±14.7

n.s.

食後120分(mg/dL)

262.9±168.6

176.1±63.9

0.04

食後240分(mg/dL)

186.1±122.0

117.4±42.8

0.02

IRI(μU/mL)空腹時

7.9±2.9

8.4±3.3

n.s.

食後120分(μU/mL)

40.2±28.7

44.3±16.0

n.s.

食後240分(μU/mL)

15.4±7.4

**

13.3±5.6

n.s.

HOMA-R 空腹時

3.2±2.6

2.3±0.9

n.s.

P値

空腹感の有無

文献 1)原納優、足立友美、名引順子、辻 直樹、竹谷耕太、佐々木文伸、山口福美、芝地 昌子、宮脇武志、植田福裕、森 那由多:生活習慣病代謝諸因子の早期検出と病態解析 のためのクッキーテストの開発とその意義、日本臨床検査医学会 52(1):55-60(2004) 2)原納優:クッキーテストによる予備軍を含めた糖尿病の早期診断と対策、Schneller、 55.Summer,186-194 (2005) 医療トレンドー2 3)今村佳代子、丸山千寿子、都島基夫、京谷晋吾、中野里美、仲森隆子、丸山太郎: 日常朝食型高脂肪負荷食 Kisei-meal による食後高脂血症の評価と食後 TG-rich3 リポ蛋 白代謝に及ぼす影響、動脈硬化 28(12):205-213(2001)

(13)

脂質異常症合併の食後高血糖患者に対するボグリボースの

抗動脈硬化作用

九州大学病院 総合診療科(感染環境医学) 澤山泰典,前田晋至,大西八朗,古庄憲浩,林 純 目的: 脂質異常症合併の食後高血糖(75gOGTT にて2時間値 140mg/dl 以上 200mg/dl 未満) を対象として,ボグリボースの頚動脈硬化進展抑制効果について,ボグリボース 0.6mg/ 日及びプラセボの2群を用いた二重盲検群間比較により検討した. 対象及び方法: 2004 年 4 月から 2006年7月までに WHO 判定基準(1998 年)による IGT(Impared Glucose Tolerance) (患者 46 例のうち,選択基準を満たした 28 例(男性 18 例,女性 10 例)を対象とし,無作為にボグリボース 0.6mg/日(15 例)及びプラセボ(13例)の 2群 2.5 年経過観察した.主要評価項目は総頚動脈 IMT(Intima-mediathickness) の進 展抑制効果,副次評価項目は IGT から2型糖尿病への移行,IGT からの正常型への移行, 食後 2 時間血糖値及び HbA1c 変化量及び有害事象の発現とする. 結 果: 対象患者 28 例中,ボグリボース群は 15 例で,プラセボ群は 13 例であった. 試験開始時のIMT値は,ボグリボース群が 1.6+0.7mmでプラセボ群が 1.5+0.5mmと両群で 有意差は認めなかった.試験終了時のIMT値はボグリボース群が 1.5+0.6mmでプラセボ 群が 1.8+1.0mmとボグリボース群はIMTの進展抑制を認めたが,プラセボ群は有意にIMT の進展を認めた(p<0.05)(図1).またIMT値の年間変化率は,ボグリボース群がプラ セボ群と比較して有意にIMT進展抑制を認めた(p<0.05). IGTから2型糖尿病への 移行例は,ボグリボース群では認められず,プラセボ群で 2 例であった.IGTからの正 常型への移行例は,ボグリボース群で 13 例,プラセボ群で 7 例であった(図2).さら に試験前後においてHbA1c変化量は両群で有意差はみられなかったが(図3),食後 2 時 間血糖値においてはボグリボース群がプラセボ群よりも有意に改善効果を示した(図 4). 結 論: ボグリボースは食後血糖の改善により糖尿病発症抑制効果だけでなく,抗動脈硬化作用 を有する可能性が示唆された.

(14)

.5 .7 .9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 M-IMT前 M-IMT後 -10 0 10 20 30 40 ⊿M-IMT(%) ボグリボース コントロール mean±SE

図1.試験開始時と終了時のIMT値

(mm) (%) *p<0.05(対 試験開始時)

ITT: intention to treat

* #p<0.05(ボグリボース 対 コントロール時) #

ボグリボース

13例(87%)

2例(13%) 0

(n=15)

コントロール

7例(54%)

4例(31%)

2例(15%)

(n=13)

図2.治療終了時の耐糖能

*p<0.05(対 コントロール) 正常 IGT 糖尿病2型 ITT

(15)

図3.試験開始時と終了時のHbA1c値

-.4 -.35 -.3 -.25 -.2 -.15 -.1 -.05 0 ⊿HbA1C ボグリボース コントロール 80 110 140 170 200 FBS(前) Glu-60(前) Glu-120(前) 80 100 120 140 160 180 200 FBS(後) Glu-60(後) Glu-120(後) ボグリボース コントロール

図4.試験開始時と終了時の血糖値

ITT: intention to treat #p<0.05(ボグリボース 対 コントロール時)

#

(16)

ミグリトールによる GLP-1 分泌についての臨床的検討

和歌山県立医科大学医学部臨床検査医学講座 (現 翔南病院) 島尻 佳典 【目的】α-グルコシダーゼ阻害薬のミグリトールは、欧米人 2 型糖尿病患者において GLP-1 の分泌を促すことが報告されている。今回我々は、日本人でもミグリトールが GLP-1 分泌に関与するか否かについて検討した。また、GLP-1 分泌細胞を用いた in vitro でのミグリトールによる GLP-1 分泌作用についても検討した。 【方法】健常者 14 人(年齢 37±10 歳、BMI24.8±4.4 kg/m2、Mean±SD)を対象にクッ キー負荷(アビメディカル社、592kcal)を施行し、ミグリトール(50mg)単回投与前後 で活性型GLP-1 の経時変化を測定した。また、ラット下部消化管GLP-1 分泌初代培養細 胞(ReproCELL社)を用いて、グルコース、脂肪酸、およびミグリトール粉末によるGLP-1 分泌効果について検討した。活性型GLP-1 の測定には活性型GLP-1[GLP-1(7-36 amide), GLP-1 (7-37)]測定キット(LINCO Research社、ELISA法)を用いた。統計は繰り返しのあ る 2 元間比較(two-way ANOVA)とpaired-t testを用いた。

【成績】ミグリトールの投与によりクッキー負荷後の血糖上昇は抑制され、それに伴い インスリン分泌反応は有意(P<0.005)に抑制された(図 1)。また、GLP-1 の分泌はミグ リトール投与後に亢進 (投与前 AUC :4.5±2.5 pM/120 min VS 投与後 AUC :9.4±7.3 pM/120 min, P<0.02)することが確認された(図 2)。細胞培養の結果では、ミグリトー ルによる直接的 GLP-1 分泌促進作用は確認できなかった。

【結論】日本人健常者においてもミグリトールは GLP-1 分泌を促す。その機序としては、 間接作用が示唆された。

(17)

0 40 80 120 160 0 10 30 50 70 PG (mg/dl) IRI (μU/ml) 0 30 60 90 120 min 0 30 60 90 120 min

Figure 1. Plasma glucose and Insulin secretion after cookie overload with or without miglitol (50) in 14 non-diabetic subjects. Data: Mean ±SD. Two-factor analysis of variance (anova).

◆ indicates plasma glucose (PG) and insulin (IRI) without miglitol administration. ■ indicates PG and IRI with miglitol administration.

NS P < 0.005 P < 0.05 P < 0.02 0 2 4 6 8 10 12 0 10 20 GLP-1 (Active) (pM) 0 30 60 90 120 min AUC (pM/0∼120 min)

Figure 2. Serum GLP-1 secretion after cookie overload with or without miglitol (50) in 14 non-diabetic subjects. Data: Mean ±SD. Two-factor analysis of variance (anova).

Area under the curve (AUC) of GLP-1 secretion during 120 min is analyzed by paired-t test. ◆ indicates GLP-1 secretion without miglitol administration.

■ indicates GLP-1 secretion with miglitol administration.

without miglitol with miglitol

(18)
(19)

Cookie Test の新知見と特定指導(メタボ対策)における動機づけと

治療指標としての意義

児成会生活習慣病センター所長、済生会千里病院糖尿病代謝内科、 株式会社ニチダン栄養研究所所長、国立循環器病センター客員研究員 原納 優 1.cookie meal test の背景と意義 我が国の食事試験の起源は、坂口食である。糖質98gと十分量を含み、蛋白は9.5g からなる(表1)。糖尿病,IGTの判定には75g以上の糖質を必要とし、現在使用し ても可能と考えられる。学会ミールは、糖質が75gに不足しており、上記判定にはやや 不適と考えられる。 cookie meal test は小麦粉澱粉を主体にマルト ース15%、総糖質として75g、脂肪28.5g、蛋白8g、総エネルギー592kc alである。 これまで200例近く施行しているが、液状ブドウ糖で見られる消化器系 の愁訴(冷汗、嘔気、反応性低血糖他)がほとんど見られない。 高齢の方で1名、食し きれなかった方がおられたが50g負荷試験として実施した。 1、2hの血糖値は、ト レーランGと比較すると、ややcookie meal testの方が高値傾向である が、有意差はない。インスリン反応も両者に差は見られなかった。 脂肪を含むため、食 後高脂血症の判定が可能である(ΔTG 66mg/dl以上、ΔRLPchol 3. 3mg/dl)。頂値は3hであるが、1hに頂値をとる例もあり、2hでのΔTGで判 定が妥当であろう。 2.食後高脂血症の指標と肥満における頻度 食後高脂血症の有無別にRLPの変動を解析した。 図2に示すように、食後高脂血症あり群では血中RLPが1,2hで無し群に比し、高値 であり、上昇度も有意に大であった。RLPは食後高脂血症の指標として有用であり、Δ RLP3.3以上が該当する。アポB−48も同様であり(図3)、食後高脂血症例では、 1、2hで高値かつ上昇度が大であり、腸管でのカイロミクロンの過剰産生か、利用障害 が機序に関与する。 メタボでコントロール不良の食後高脂血症例を紹介する(表2)。 血糖は200より367mg/dlへ、インスリン前値は、高値であり、分泌は71、8 1μU/ml と分泌されているが、インスリン抵抗性のため作用不全でHbA1cも9. 6%である。 TGは、223より2h606mg/dlへと上昇、インスリン作用不全のため、LPL 活性化不足を介する利用障害が食後高脂血症の機序と考えられる。RLPは2hで14増 加し、アポB−48は、6.6より19へmg/dlへと増加した。 一方メタボで、著明な高インスリン血症を示す例(1h、2hIRI:269、151μ U/ml)では、血糖は正常であるが、TGは171より、95へと全く増加せず、むしろ 半減した(表3)。 カイロミクロンの利用にLPLを介してインスリン作用が関与する ことが想定され、事実2hRLPは、5.1と正常範囲であった。 肥満87例では、約半数に食後高脂血症が見られ、メタボ頻度も、この項目とIGT,2 h糖尿病を加えると43%より56%に検出頻度が増加した(図4)。 3.特定検診、特定指導における動機づけと治療指針におけるcookie meal t estの意義 肥満のみでは筋肉が多い場合もあり、代謝指標の異常の検出が、食事・生活習慣指導 の根拠に必要である。 肥満やメタボ疑い16例にcookie meal tes

(20)

tを施行し、動機づけと危険因子の検出を目ざした。 平均年令42歳と中年層であ る。耐糖能異常としては、IGT1名、 第1期糖尿病(血糖正常・インスリン抵抗 性又は高インスリン血症)25%、 低インスリン血症44%、 食後高脂血症56%、 正常例は皆無であった。 空腹時採血項目も含めて検出された異常所見を図5に示す。 これらの多項目危険因子を動機づけ及び治療指針として、食事・運動療法を2名の管 理栄養士とともに指導した。 総エネルギー(−637kcal/日)、脂肪(−2 4g)、糖質 (−79g)及び塩分(−2.8g)が3−4ケ月に見られ、6kg、 ウエスト6cm 以上の減量が81%に見られ、有効であった項目としては、coo kie meal testによる動機づけ、管理栄養士との1回/週のメール交換、 糖質制限などがアンケート調査で評価された。12名の減量成功者にcookie meal testを繰り返したが、インスリン抵抗性(AUCI)が87より49 μU/mlxhrへと明らかに改善し、ΔTGも、114より46へ有意に改善した。 特定指導への提言としては、表5に示したが、食前後の代謝異常をcookie m eal test で明らかにし、動機づけ、と治療指針とし、医師と管理栄養士と の共同作業により食事・運動療法の実効ある実践が意義深い。

(21)

[重量] エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 コレステロール

(g)

kcal

g

g

g

mg

めし・精白米

270

454

9.5

0.8

97.5

0

鶏卵・全卵-生

50

76

6.2

5.2

0.2

210

合計

320

529

15.6

6.0

97.6

210

 [ 食品名 ]

表1 坂口食(米飯270g、卵1個)の栄養

成分

図1 食後高脂血症におけるRLPの関与

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

0h

1h

2h

mg / d l

RLPの変動

⊿TG≧66(n=7)

⊿TG<66(n=6)

★★

☆☆

☆☆ p<0.01 vs 空腹時TG

★★ p<0.01vs⊿TG<66

M±SE

(22)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

0h

1h

2h

μg / m l

ApoB-48の変動

⊿TG≧66(n=9)

⊿TG<66(n=6)

★★ p<0.01 vs ⊿TG < 66

☆☆

M±SE

図2 食後高脂血症におけるApoB‐48の関与

表2 クッキーテストの1例

(23)

表3 クッキーテストの1例

食後高脂血症

(‐)

49%

食後高脂血症

(+)

51%

食後高脂血症 のみ その他 空腹時脂質異常(*)

52

空腹時T G≧150

37%

11%

(*)空腹時LDL≧120or空腹時HDL<40

図3 肥満例の脂質異常合併率 (n=53)

(*)食後高脂血症(⊿TG≧66); 空腹時→1,2時間値の上昇度が健常人の2SDであるTG≧66を指標

(24)

Met 

(+)

56%

Met 

(‐)

44%

Met 

(+)

69%

Met (‐)

31%

追加基準 ・脂質代謝異常として食後高脂血症(※)、2h血糖値≧140(但し、空腹時 血糖<110)を追加

★★MS

図 4 Met S合併率と初回クッキーテスト時の

追加基準を加えたMet S合併率 (n=16)

(*)食後高脂血症;空腹時→1,2時間値の上昇度が健常人の2SDであるTG≧66を指標 従来基準でのMet S頻度 (56%) 56 6 25 31 63 50 6 25 81 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

%

図5

初回時Cookie testにおける代謝性危険

因子の異常頻度(n=16)

(25)

☆☆p<0.01 Paired‐tteat vs. 指導前 (M±SE) 2454 1817 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 2600 2800 介入前 3‐4ヶ月後 kcal ★★ 81.8 67.5 333.7 59.3 43.8 254.8 0 50 100 150 200 250 300 350 400 たんぱく質 脂質 炭水化物 介入前 3‐4ヶ月後 g ★ ★★ 11.9 10 12.3 7.2 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 食物繊維 塩分 g

食事指導前後の摂取エネルギー量と各種栄養素の変化

(3‐4ヶ月後、n=16)

摂取エネルギー

表4 食事指導上有効であった点

①クッキーテストによる検査値異常を説明しての動機付け

②初回面接時における食習慣、食事摂取状況、日常生活

スケジュールの聴取による

食事リスクの把握

③②に基づいて

個々人のライフスタイルを尊重しながら、

一週間に一度のメールによる指導

④クッキーテスト時における腹八分目の実体験とその後の

日常生活での空腹感への耐性

⑤検査異常改善に向けての食事、運動療法への取り組み

に興味を示すようになり、それに対する迅速な対応。

(26)

75 0 33 25 67 33 0 17 83 25 25 17 8 8 25 17 0 0 50 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 介入前 介入後

%

目標達成例における介入前後の代謝性危険因子の

異常頻度(n=12)

特定指導への提言としては、食前食後の代謝異常を

Cookie testにより明らかにし

、不適切な摂食内容と

生活習慣の是正、活動・運動量の増加、

対象者の意

を反映した計画と

医師

管理栄養士の協調した工

夫、サポートと熱意

が極めて重要である。

結語

結語

(27)
(28)

耐糖能異常・糖尿病の予知、そして予後

∼各種臨床化学検査の臨床的意義を含めて

埼玉医科大学健康管理センター (現、朝日生命成人病研究所丸の内病院) 河津 捷二 1. はじめに 糖尿病、特に2型糖尿病(T2DM)の激増が報告されて久しいが、その治療の目的は、 第一には生命を脅かす大血管障害(脳卒中、心筋梗塞など)の、第2には QOL を大 きく損なう細小血管障害(腎症、網膜症、そして神経障害も)の発症予防にある。 すなわち、的確な早期からの診断・治療に大きく負うことは自明である。一方で、 一昨年(2008年)より特定健診・特定保健指導による対策が国をあげて実施さ れている現在、これらの第3の目的(予知・予防)への具体的方策の確立が望まれ る。というのは、新しい治療薬(インクレチン関連薬)の出現を考慮すると、早期 からの対応による糖尿病からの脱却・治癒も夢ではないと思われるからである。 以下、最近の T2DM 発症についての進歩をふまえて、主として、効率のよい早期 からの T2DM のスクリーニング、予知、そして、予防のあり方につき考察して見た い。 2. T2DM 成立機序の新しい考え方 T2DM の成因論として、近年、遺伝的・体質的背景に基礎を持つ膵β細胞の脆弱性な いしは不全の存在・進行が一義的なものとして強調されてきている(これには人種 差・加齢なども含まれる)(図1)。さらに、このような病態に対抗し得るものとし て、最近の糖尿病治療における進歩、特にインクレチン関連薬物の有効性に注目が 集まっている(かつて T2DM が、インスリンとグルカゴンの両者に起因するとする 二元成因論 Bihormonal theory を想起させる)。日本では、まさにこれから新しい T2DM 治療の展開が始まろうとしている。すなわち、消化管ホルモンであるインクレ チンを介したインスリン・グルカゴン分泌異常の是正・回復(正常化?)が大いに 期待されるところである。今後、T2DM の発症後の治療ばかりでなく、その寛解、あ るいは治癒を目指して行くことになると思われる。そして、その先には、当然なが ら T2DM の予知・予防(このためには適切な診断技術も求められよう)がある(図 2)。 3. 効率のよい早期からの T2DM のスクリーニング、予知、診断そして予防の戦略 さて、T2DM の予知・予防そして予後(一次、二次そして三次予防を含めて)を考え る際、まずは第一にそのスクリーニングあるいは診断について考察する必要があろ う。日本では、糖尿病が1000万人弱、予備群を含めると2000万人強になる と推定されており、このような膨大な対象者を取り扱うとなれば、より効率的な対 応が求められよう。米国糖尿病学会(ADA)では、2003年に空腹時血糖値(FPG) の基準を110から100mg/dl へと引き下げ、日本糖尿病学会(JDS)でも200 8年、FPG100∼109mg/dl を「正常高値」と位置付け、これらの対象者には、 75g 経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行うことが勧められている。HbA1c の活用 についても、JDS と同様に、ADA でも診断基準としての採用が決定された(6.5%

(29)

以上:ただし、測定上の問題もあり、日本での6.5%と同一とはいえない)。い ずれにせよ、早期診断後の早期治療によるその後への好影響(遺産効果 Legacy effect: Metabolic memory 説)から考えると、できるだけ早期(初期)から の対策が必須とおもわれる。この点についても、新しいインクレチン療法について は、早くも大きな期待(膵臓β細胞への保護・再生効果、そして体重減量効果)が 寄せられている。 このような背景から、糖尿病あるいは耐糖能異常者の簡便かつ経済効率的な検出の ために、75gOGTT の代替としてテストミール(「クッキーテスト」など)が考案され、 また、我々が開発した尿中ミオイノシトール測定によるスクリーニングの効率化 (二次スクリーニング)などが提案されているといえよう。例えば、75gOGTT 時や クッキーテストにおける尿中ミオイノシトールの測定により、どの程度の効率よい 耐糖能異常者のスクリーニングが達成できるのか?など、検討もなされつつある (図3、4,5)。すなわち、これらの技術を駆使して、診断上、個人的にも社会 的にも経済効果を上げることが期待できると考える。 4.まとめ T2DM への対策として 早期発見・早期治療 が極めて重要であり、境界型も含め ての早期介入としては、生活習慣改善介入とともに、早期薬物介入もその視野に入 れてよいであろう。 さて、いわゆる境界領域に入るものとして取り扱われる範疇には、75gOGTT による 「境界型」や「正常型」中の1時間血糖値180mg/dl 以上のもの、あるいは、そ の他に人間ドックなどで HbA1c5.5∼6.4%のもの、特定健診にて高腹囲(あ るいは高 BMI)値で FPG100mg/dl 以上あるいは HbA1c5.2%以上のもの、等など、多彩 かつ広範囲に及ぶ。これらの非常に多くの対象者(糖尿病候補者)すべてに毎年ま たは2年毎にでも 75gOGTT を実施することは不可能であり、また有用でもなかろう。 ここに、クッキーテストに代表されるようなテストミールや尿中ミオイノシトール 測定の意義が存在すると考える。今後、耐糖能異常・糖尿病のスクリーニング・診 断の効率化、そしてそれへの介入・治療の有効性の検証が可及的速やかに実施され ることを望みたい。

(30)

<図1>

2型糖尿病の自然歴

(年) 350 300 250 200 150 100 50 250 200 150 100 50 0 −10 −5 0 5 10 15 20 25 30

Int. Textbook of Diabetes Mellitus, third edition: John Wiley & Sons; 2004;995-1015より改変 (mg/dL) インスリン値 インスリン抵抗性 相対的 β細胞機能 空腹時血糖値 食後血糖値 血糖値 診断 コントロール不良の高血糖 糖尿病合併症のリスク 肥満 IGT 2型糖尿病 (%) β細胞機能不全 罹病期間

<図2>

サンケイスポーツ 平成18年(2006年)9月7日〔河津)

(31)

<図3>

0 20 40 60 80 100 120 140 NGT (1時間値>180mg/dlPre-Borderlin のNGT) IFG IGT DM P<0.001 P<0.00 1 P<0.001 P<0.001 N.S. N.S. n=179 n=41 n=22 n=61 n=59 ⊿UMI(mg/gCr) WHO分類(75gGTT)による尿中ミオイノシトール排泄 (ΔUMI:ブドウ糖負荷2時間前後の差、尿中クレアチニン補正)

<図4>

結果(クッキーテスト実施時)

1)尿中ミオイノシトール(ΔUMI)及び2時間尿糖で

耐糖能異常の一部が検出可能であった。

2)NGTに尿中CPR高値群が認められた。

8

0

3

30

NGT

1

2

2

3

糖尿病型

1

2

2

4

IGT

1

1

1

3

準境界型

2h尿中CPR

75μg/gCr

2h尿糖

100mg/dl

ΔUMI

10mg/gCr

人数

型分類*

* クッキーテスト時の血糖を日本糖尿病学会の75gOGTT時の

血糖判定基準に当てはめて分類した。

(32)

<図5>

1次健診:100mg/dL≦空腹時血糖(≦125mg/dL)

または5.2% ≦HbA1c(≦6.0%)、など

検査の流れ(試案)

検査の流れ(試案)

2次健診:尿中ミオイノシトール測定検査

(75gブドウ糖負荷、クッキーテストなどのテストミール負荷による)

精密検査:75g経口ブドウ糖負荷試験

陽性者

(Δ

UMI≧10mg/gCr)

(2007年総合健診学会発表より引用)

(33)
(34)

1)クッキーテストについて 肥満に代表される生活習慣病の主要代謝性因子として、耐糖能異常、高脂血症、高 血圧そしてインスリン抵抗性が注目されています。高血圧以外の因子を同時にかつ 簡易に検出することを目的としてクッキーテストが開発されました。早期に上記要 因を検出し、これを指標に食事、運動習慣などの改善により、生活習慣病予防と対 策に役立つことを目指しています。 クッキーテストは経口糖負荷試験での負荷糖として、75gブドウ糖に相当するクッ キーを使用するものです。このクッキーには、小麦粉澱粉を主とする糖質 75g(マ ルトースを含む)とバターを主とする脂質 28.5gが含まれています。 澱粉は膵外分泌障害(慢性膵炎など)がない場合は良く消化吸収されるため、摂取後 2時間の血糖には液状ブドウ糖(トレーランG)との差がありません。またクッキー テストの特徴は、液状ブドウ糖と異なり日常の食品であり、反応性低血糖やそれに 伴う胃部不快感などが少なく、糖質と脂質に対するインスリンの処理能を同時に評 価可能なことです。 そのため、採血時に実施する様々な検査を組み合わせることによって、 ○耐糖能異常 糖尿病 IGT IFG 食後高血糖 ○高インスリン血症 インスリン抵抗性 ○食後高脂血症 以上の生活習慣病代謝性要因の早期検出が可能です。 *液状ブドウ糖又は日内変動の食事負荷と同じ扱いで、医師の判断で耐糖能異常疑い 例では、「耐糖能精密検査」として、検査(血糖とインスリンなど)について保険適 用が可能です。クッキー自体は食品ですので、保険適用ではありません。 2)クッキーテストの実施概要 1.一箱(内容量 115g)をテストに使用します。一箱分で一般的な朝食のエネル ギー相当となります。(592kcal)。 2.クッキー一箱分の摂食時間は 10∼15 分程度を目安にします。 *食べにくい方でも50%を少なくとも 10 分以内に食して頂き、残りはその後 20 分以内に食していただくと負荷試験としての基準が達成されます。 3.クッキーはお水またはお茶、紅茶 1∼2 杯で摂食します。 (砂糖・ミルクは使用しないで下さい) 4.空腹時の採血とクッキーを半分程度摂食した時間を 0 として、1 時間後、2 時 間後の採血を実施します。

(35)

クッキーの摂食後、澱粉と脂肪は血液中に血糖、脂肪として現れますのでインスリン作 用下の代謝、処理される過程を調べることができます。(精密耐糖能、高インスリン血 症、インスリン抵抗性、食後高脂血症の評価ができます。) 生活習慣病に関連する、血糖、高脂血症(特に食後高脂血症)、高インスリン血症や低 値、インスリンの効き方を観察することができます。日常の食習慣に即した代謝の流れ を観察できるよう考案いたしました。なお、慢性膵炎などのある方は、消化の遅れ、下 痢等の影響もありますので医師とご相談の上、判定に際してはご考慮ください。 空腹時 食後1時間 食後2時間 目的 血糖 ● ● ● ● ● ● ●  食後高脂 インスリン TG ● ● ● 追加オプション1 RLP-C ▲ ● 7.5mg/dl以上でレムナント高値、3.3mg/dl以上の増加で食後高脂血症 追加オプション2 PAGE ● ● VLDL増加、ミッドバンド出現、LDL小粒子化 TC ● ● HDL-C ● ● 追加オプション4 Apo-B ● ● ● アポ蛋白B 増加 (110mg/dl ↑) 、高アポB血症         耐糖能精密検査(900点)        ▲ 精密検討用 ◆クッキーテストで測定する血液検査項目 基本セット 耐糖能:正常、IFG 、IGT、糖尿病 高インスリン血症、インスリン抵抗性(AUCI、AUCI×AUCG) 血症(TG ⊿66mg/dl ↑) 追加オプション3 コレステロール変動(LDL-C 120mg/dl ↑) HDL-C変動(40mg/dl ↓)   IFG、耐糖能異常、IGT   糖尿病   高インスリン血症   低インスリン血症 TG (mg/dl) HDL-C (mg/dl) Apo-B (mg/dl) HOMA-R (mg/dl・μU/ml) インスリン面積 (μU/ml・hr)*1 血糖 (mg/dl)   高TG血症、食後高脂血症 RLP-C (mg/dl)   高RLP血症、食後高脂血症   低HDL血症 LDL-C (mg/dl)   高LDL血症   高アポB血症 Control 26例のMean+2SDを基準に算定

*1 Takeuchi, Harano, et al : Endocrine Journal 47(5),535-542(2000) にてインスリン抵抗性(SSPG)との有意相関を報告

◆クッキーテストによる総合的検出の基準値 2.1以上 インスリン抵抗性    空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405 インスリン面積×グルコース面積 (mg/dl・μU/ml・hr2 )*1 22800以上 インスリン抵抗性    (インスリン面積)×{(空腹時血糖値+     1時間血糖値+1時間血糖値+2時間血糖値)÷2} 110以上 インスリン抵抗性    (空腹時インスリン値+1時間インスリン値+   1時間インスリン値+2時間インスリン値)÷2 ②インスリン抵抗性の評価*2 計算式 基準値 評価 備考 120以上

-

-110以上

-

-7.5以上 ⊿3.3以上 (1時間値-空腹時) ⊿3.3以上 (2時間値-空腹時) 40以下

-

-12以上 82以上 59以上 150以上 ⊿66以上 (1時間値-空腹時) ⊿66以上 (2時間値-空腹時) 3未満 18未満 25未満 160以上 140以上∼200未満 126以上

-

200以上 インスリン (μU/ml) ①測定値 採血項目 基準値 評価 空腹時 1時間 2時間 110以上∼126未満

(36)

3)クッキーについて クッキーテストの負荷食に使用されているクッキーが『ネオクッキー』として販売 されております。 商品をお求めの際、また詳細につきましては販売者のサラヤ株式会社にお問い合わ せください。 【販売者】 サラヤ株式会社 住 所 : 〒541-0051 大阪市中央区備後町 4-2-5 T E L : 06-4706-6081 E-mail: Cookie-test@saraya.com 担当者: 芝地、川崎 【製造者】 ナカイ製菓 株式会社 4)研究会について クッキーテスト研究会は、 ○近年注目されている生活習慣病の代謝性因子の早期検出と経過観察の指標とし てのクッキーテストの意義と有用性を明らかにすること。 ○生活習慣病の成因、機序、病態に深い理解が得られる手助けをすること。 ○生活習慣病の対策に貢献すること。 を目的としています。

◆クッキーテストに関するお問合せ先

クッキーテスト研究会事務局

1)児成会

生活習慣病センター 所長 原納優

TEL: 072-700-1135

2)サラヤ

(株) 担当: 芝地、川崎

TEL: 06-4706-6081

E-mail: Cookie-test@saraya.com

(37)

(組織 −平成22年4月現在−) ●代表世話人

原納 優

(児成会生活習慣病センター所長) ●世話人

泉 寛治

(辻野病院老人保健施設知恵の和苑施設長)

柏木 厚典

(滋賀医科大学病院病院長)

林 純

(九州大学病院総合診療科教授)

山田研太郎

(久留米大学内分泌代謝内科教授) ●幹事

池淵 元祥

(池渕クリニック院長)

石綿 清雄

(虎の門病院循環器センター内科部長)

伊藤 芳晴

(巽今宮病院病院長)

植田真一郎

(琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学教授)

植田 福裕

(羽衣国際大学人間生活学部講師)

久保田 稔

(関西学院大学社会学部教授・保健館長)

倉知 美幸

(NTT西日本東海病院総合健診センタ部長)

後藤 尚

(秋田赤十字病院内科副部長)

小松 良哉

(リョーヤコマツクリニック院長)

澤山 泰典

(九州大学病院総合診療科准教授)

三家登喜夫

(和歌山県立医科大学医学部臨床検査医学講座教授)

田尻 祐司

(久留米大学内分泌代謝内科准教授)

多田 紀夫

(東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部教授)

都島 基夫

(旭ヶ丘病院理事長)

中島 譲

(中島内科クリニック院長)

中村 高秋

(近江八幡市立総合医療センター内科部長)

仲森 隆子

(名古屋女子家政学部食物栄養学科教授)

難波 光義

(兵庫医科大学内科学糖尿病科主任教授)

野出 孝一

(佐賀大学医学部内科学教授)

藤田 誠一

(国立病院機構姫路医療センター研究検査科臨床検査技師長)

前川 聡

(滋賀医科大学内科学講座内分泌代謝内科教授)

横川 晃治

(よこかわクリニック院長)

萬屋 穣

(萬屋クリニック院長)

渡會 隆夫

(わたらい医院院長)

平成22年4月発行

Figure 1.  Plasma glucose and Insulin secretion after cookie overload with or without miglitol (50) in 14 non- non-diabetic subjects

参照

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