• 検索結果がありません。

40-46_ 中山 秀典.indd

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "40-46_ 中山 秀典.indd"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

緒     言

 頭頸部領域に発生する血管腫および血管奇形は, 従来 「血管腫」と総称されていた.しかし, ISSVA (The Interna-tional Society for the Study of Vascular Anomalies) 分 類 で は 「血管腫」 と 「血管奇形」 は別の疾患であり, 従来 「海綿状 血管腫」 と呼称されていたものは, 「静脈奇形」 とされる1 ). 限局した血管奇形であれば外科的切除が確実であると思わ れるが, 顔面領域の病変に対しての治療法としては整容・ 機能障害の問題から苦慮することがある.今回我々は, 顔面 領域の多発性静脈奇形に対して無水エタノール (dehydrated

ethanol:以下 DE) とポリドカノール (polidocanol:以下 PD) による硬化療法を施行し良好な結果を得たので報告する.

症     例

 患 者:59 歳, 女性.  主 訴:上下唇・オトガイ部の腫脹.  既往歴:腎臓癌, 左腎静脈捕捉症候群.  現病歴:幼少期から左側頭部の腫脹を指摘されていた. その後, 成人した頃より口唇・オトガイの腫脹が増大しは じめ, 約 25 年前に他院にてオトガイ部血管奇形の外科的 切除術を受けた.それ以降上下唇・オトガイ部の腫瘤が少 しずつ増大したため, 2012 年 5 月当科を受診した.  現 症:  全身所見;腎臓癌のため右腎臓摘出後であり, 軽度腎機 能障害を認めた.  口腔外所見;上下唇・オトガイ部に弾性軟で暗紫色の腫 瘤を認めた (写真 1).  口腔内所見;舌前縁に暗紫色の腫瘤を認めた.  画像所見:パノラマ X 線写真にて頭頸部領域に静脈石を

顔面領域の多発性静脈奇形に対して

硬化療法が奏効した 1 例

中 山 英 典

1 ) 

・神 谷 祐 二

1 )

・服 部 雄 紀

1 )

吉 﨑 亮 介

1, 2 )

・箕 浦 喜 仁

1 )

・阿 曽 光 佑

1 )

Sclerotherapy for a case of facial multiple

venous malformations

NAKAYAMA Hidenori

1 )

・ KAMIYA Yuji

1 )

・ HATTORI Yuki

1 )

YOSHIZAKI Ryosuke

1, 2 )

・ MINOURA Nobuhito

1 )

・ ASO Kosuke

1 )

Abstract: The present patient, a 59-year-old woman, had been suffering from dark violet masses occurring in her lips and chin. Panoramic radiography showed phleboliths and contrast-enhanced CT showed an enlarged contrast effect with ununiform density in legions. We diagnosed the mases as venous malformations.

 We planned sclerotherapy because wide dissection of lesions in the facial esthetic regions was expected to lead to functional disorder.

 First, in June 2012, sclerotherapy using dehydrated ethanol was performed to treat venous malformations in the lip and chin. Necrosis of the skin surface occurred after sclerotherapy of the chin, and debridement was performed immediately. Good esthetic and functional outcomes were obtained 30 days after sclerotherapy.  Subsequently, we performed sclerotherapy with foamed polidocanol for her temporal venous malformation.  As a result, sclerotherapy for multiple facial venous malformations resulted in good esthetic and functional outcomes for 6 years.

Key words: sclerotherapy (硬化療法),venous malformation (静脈奇形),dehydrated ethanol (無水エタノール), polidocanol(ポリドカノール)

1) 公立陶生病院歯科口腔外科

(主任:神谷祐二部長)

2) 愛知学院大学歯学部顎口腔外科学講座

(主任:栗田賢一教授)

1) Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Tosei General

Hospital (Chief: Dr. KAMIYA Yuji)

2) Department of Oral and Maxillofacial Surgery, School of

Dentistry, Aichi Gakuin University (Chief: Prof. KURITA Ken-ichi)

受付日:2020 年 1 月 6 日 採択日:2020 年 5 月 26 日

(2)

疑う石灰化物の散在を認めた.造影 CT では上下唇・オト ガイ部の腫瘤内部に不均一な造影性を伴う信号域を認めた (写真 2, 3).  臨床診断:顔面領域多発性静脈奇形.  処置および経過:血管奇形の分類と血管走行の把握のた め, 当院脳神経外科に血管造影を依頼した.右側大腿動脈 から血管造影検査を行ったところ, 上下唇・オトガイ部に は動脈流入はなかった.次いで腫瘤に造影剤を直接穿刺注 入したところ内部に造影剤の貯留を認め, 早期頸静脈への 流出を認めなかったことから, 血流の遅い静脈奇形 (venous malformation : 以下 VM) と診断した (写真 4).VM は顔 面領域に多発し, 切除術では整容・機能障害が強く出現す ると考えられたため硬化療法を選択した.今回は顔面領 域の治療のみを希望され, 舌病変は治療しなかった.硬化 剤は治療効果の高いとされる DE 1, 2 ) を選択した.DE で の硬化療法は疼痛管理や循環動態への影響のため全身麻 酔下で施行することが多い3, 4 ) が, 自験例は病変が顔面表 在部のため静脈内鎮静法を選択した.2012 年 6 月に当院 脳神経外科で入院下に, 上下唇およびオトガイ部 VM に対 して硬化療法を施行した.硬化剤として, DE をヨード化 ケシ油脂肪酸エチルエステル (リピオドール®) にて 70% に希釈したものを用いた.疼痛管理として塩酸ペンタゾ シン 15mg (ソセゴン®) を静脈内投与し, 病変周囲に局所 浸潤麻酔を施行した.オトガイ部 VM に 23G の翼状針を 用いて穿刺し, 逆血を確認した (写真 5).造影剤を注入し Digital Subtraction Angiography (以下 DSA) にて腫瘤内に 針先があること, 血管走行を確認した後, オトガイ部の病 変に 7 mL の DE を注入した.その後, 造影剤を注入し, 病 変部への効果を確認した (写真 6A, B).続いて下唇, 右上 唇, 上唇正中の病変にも同様に穿刺し DSA にて確認後, そ 写真 3 造影 CT 画像 (A:オトガイ部 B:上唇部) ともに不均一な造影性を伴う信号域を認める. 写真 2 初診時パノラマ X 線写真 静脈石を疑う不透過物の散在を認める. 写真 4 硬化療法前の DSA 像  オトガイ部腫瘤への直接穿刺で, 造影剤の 貯留を認める. 写真 1 初診時顔貌写真  上下唇・オトガイ部に弾性軟・暗紫色の腫瘤を認める.

A

B

(3)

れぞれ 2 mL の DE を注入した (写真 6C∼E).注入翌日に 病変周囲組織の腫脹を認めたため, デキサメタゾン (4 mg/ day) を 5 日間投与した.17 日後には, オトガイ部皮膚表 層の壊死と上下唇部 VM の縮小を認めたため, 壊死組織を デブリードマンしハイドロコロイド剤を貼付した.40 日 後には, オトガイ部上皮組織の瘢痕治癒を認めた.1 年後 には, 上下唇・オトガイ部の整容性・機能性を損なうこと なく VM の消失・縮小を得られた (写真 7).  上下唇・オトガイ部の治療後, 左側側頭部 VM に対して も硬化療法の希望があり 2013 年 4 月に施行した.前回は DE を選択したが, 治療中治療後の疼痛管理が難しく, 皮 膚壊死が出現したこともあり, 硬化剤として有害事象が少 ないとされる PD を選択した4, 5 ).PD 単体での効果は DE に劣るとされているため, 3 % PD 2 mL と造影剤 1 mL, air 7 mL を Tessari 法6, 7 ) に準じてフォームの作製を行った (写真 8).オトガイ部と同様に 23G 翼状針を用いて穿刺し 逆血を確認したのち, 10mL のフォームを DSA 下で左側側 頭部 VM 内に注入し, 硬化剤の早期流出を防止するため腫 瘤部周囲を徒手圧迫した.PD 注入から 1 か月後の MRI で は, VM の縮小を認め, 皮膚壊死等の有害事象を認めず, 経 過良好であった (写真 9).現在, 硬化療法終了後 6 年が経 過したが, 病変は縮小を保っており患者は満足している.

考     察

 自験例では, 多発する暗赤色の病変内に静脈石を疑う X 線不透過性病変を認めたため VM と臨床診断し, 確定診断 および血流評価のため血管造影を用いた.しかし, 現在の ガイドラインでは, 診断能と侵襲性から MRI と超音波検 査が推奨され, とくに MRI は病変全体の形態や拡がりを 確認でき, スピンエコー法を用いて血流評価も可能とされ 写真 6 硬化療法中の DSA 像

A:造影剤注入時 (オトガイ部)  B〜E:硬化剤注入時 (B:オトガイ部 C:下唇 D:右上唇 E:上唇正中) 写真 5 オトガイ部静脈奇形への硬化療法

 23G 翼状針で直接穿刺し逆血を確認後, 造影剤を 注入する.

(4)

写真 7 治療後の経過 A:硬化療法直後 B:1 日後 C:6 日後 D:17 日後 E:40 日後 F:1 年後 写真 8 フォーム作製と左側側頭部への注入 A: 2 本の注射器を三方活栓で接続し, 一方に air 7 mL, 一方に PD 2 mL と造影剤 1 mL を入れ 10 往復 パンピングしフォームを作製する. B: 直接穿刺して逆血を確認し, 造影剤を注入する. C:フォーム化した硬化剤を病変部へ注入する. 写真 9 左側側頭部 MR 画像 (水平断) A:治療前 ; 左側側頭部に T2 強調像で高信号を示す腫瘤を認める. B:治療後 ; 腫瘤の著明な縮小を認める.

A

B

(5)

ている1 ).血液検査においては D-Dimer の上昇がしばし ば認められ, 静脈奇形に特異的とされている1 ).自験例に おいては狭い範囲に限局した治療であったため硬化療法前 に D-Dimer の測定は行わなかったが, 初回の硬化療法後 2 年経過した 2014 年 8 月に発症した慢性硬膜下血腫の開頭 手術を契機に DIC を発症し, その後も D-Dimer と FDP の 高値, フィブリノーゲンおよび血小板数の低値が続いてい る.これは, 体表面積の大きい VM の病変内での凝固因子 消費によって生じる localized intravascular coagulopathy と 呼称されている.このように静脈奇形を有する患者は, 高 侵襲の治療によって急性 DIC を発症する可能性があるた め, 侵襲的な治療の前には DIC 関連項目の評価を行い, 急 性 DIC の発症に留意すべきであると思われた.  VM の治療法には外科的療法や凍結療法, レーザー療法 等あるが, 硬化療法は皮膚に瘢痕を残す危険性が少なく, 有効率が高いことから選択されることが増え8 ), さらに近 年のインターベンショナルラジオロジー技術の向上もあり, 今や VM の治療の第一選択とされている9 ).佐々木ら10) は, 硬化療法は神経・筋組織に隣接している場合でも複数 回段階的に治療することが可能であり, 瘢痕形成の問題が 少なく, 完全治癒しない場合でも二次的な外科手術が容易 になると報告している.自験例においても, 顔面多発病変 のため整容面・機能面に配慮し, 硬化療法を選択した.  硬化剤には DE, オレイン酸モノエタノールアミン (以 下 EO), PD の使用が報告されている2, 8, 11〜23).治療効果 は DE, EO, PD の順で有効率が高いとされ4, 5 ), 合併症も DE, EO, PD の順で多いと報告されている.それぞれの硬 化剤の特徴を表 1 に, 頭頸部領域の血管奇形に対して硬化 療法を施行した本邦の報告を表 2 に示す.  DE は治療効果が最も高く, 頭頸部での本邦の報告でも すべて単回投与で有効と報告されている15, 20).しかし表 層皮膚の壊死は合併症としては起きやすく, Lee ら2 ) 34%, Berenguer ら24) は 50%と報告しており, 頭頸部領 域でも報告されている15, 21).自験例でも DE を使用した オトガイ部で皮膚壊死を認めたが, オトガイ部は硬化療法 前の造影 CT 画像で他の病変よりも造影剤がよく貯留して いたために, 予想より強く奏功したと考えられた.また塞 栓物質および造影剤としてリピオドール®を混和使用した ことも硬化剤の停滞貯留を増強したと考えた.佐々木ら8 ) の報告でも, 駆血帯を併用した硬化療法で皮膚壊死が起き ており, 駆血により硬化剤が病変周囲に必要以上停滞した ことによるものと考察している.また, 投与後に著しい腫 脹が生じるため20), 気道閉塞のリスクを伴う部位への投与 の際は十分な注意が必要である.注入量については, DE は 1 mL/kg の極量を超えないようガイドライン上では明 記されているが, 0.52mL/kg で, 心肺虚脱による死亡例も 報告されている25).  EO は, 本邦における頭頸部領域の硬化療法では比較的 多く使用されている10, 13, 14, 16, 18, 21〜23).治療効果および 合併症の頻度は DE よりも低く, 単回〜複数回投与での治 療効果が報告されている.合併症として血管内溶血による 溶血性腎不全が生じやすいと報告されており16), 予防のた め十分な輸液による尿量の確保と炭酸水素ナトリウム投与 による尿のアルカリ化やハプトグロビンの投与が有効とさ れている11) が, ハプトグロビンは血液製剤としての安全 性の問題がある.頭頸部領域での報告においてもヘモグロ ビン尿の報告は多くみられるが, すべてにおいてハプトグ ロビンの投与が行われ, 溶血性腎不全に移行した報告はな かった16, 18, 22).最大投与量は薬品添付文書で, 10%のオ ルダミンを造影剤で 5 %に希釈したものを使用し, 総量 20 mL 以内とされている.  PD を使用した液状硬化療法は治療効果が劣るとされて おり, 頭頸部領域では単回投与で有効であった報告はみら れなかった12, 17, 19).しかし, PD フォーム硬化療法では液 表 1 硬化剤の種類および特徴 作用機序・特徴 治療効果 合併症の頻度 主な合併症 最大投与量 DE 非特異的な細胞固定作用による組織硬化 組織壊死・神経障害 1 mL/kg 1 ) 流動性・組織浸透性が高い 深部静脈血栓症・肺塞栓症・心肺虚脱 EO 血管内皮細胞の障害により血栓を形成し病変を硬化退縮させる 血管内溶血によるヘモグロビン尿・溶血性腎不全 5 %に希釈し 20mL 以内(薬品添付文書) PD EO と同様に溶血と組織障害を引き起こし (フォームで中) 血圧低下・徐脈・可逆性心停止 フォームでは肺静脈血栓・視覚障害・片頭痛 2 mL/kg 6, 28) 組織を線維化させる 病変外に漏出しても蛋白変性や溶血反応を 起こさないため比較的安全 液状硬化療法では治療効果は低い 除痛作用あり

(6)

状硬化療法と比較し, 硬化剤の使用量を少なくでき, 症状 改善が有意に高いとされている26).自験例では単回投与 で有効であった.また, 倉本ら22) は頭頸部で EO と比較 検討し有効性に有意差はみられず, その一方で合併症の発 生は有意に低かったと報告している.PD は除痛作用も有 しており, 自験例においても DE での硬化療法に比べ治療 中治療後の疼痛は軽度であった.合併症には, 血圧低下, 徐脈, 可逆性心停止の報告がある27) が, 自験例では硬化療 法中に循環動態の抑制は認めなかった.その他, フォーム 硬化療法では病変から流出したフォームが大循環系・脳動 脈に移行することによる静脈血栓塞栓症や視覚障害・片頭 痛が挙げられるが, air に代わり CO2を使用することでこ れら合併症を減少できるとの報告がある6 ).自験例では3% PD 2 mL と air 7 mL, リピオドール® 1 mL にてフォームを 作製したが, 硬化療法後にこれらの合併症を認めなかっ た.自験例では, DSA で確実に病変内に硬化剤を注入でき ることを確認したため, 重篤な全身合併症を抑制できたと 考えられた.PD の投与量は液状硬化療法で 2 mL/kg 以下 であれば安全とされているが6, 28), フォーム硬化療法での 投与量に言及した報告は少なく, 20〜80mL 使用した報告 があるが29), 添付文書によると 1 穿刺あたりの投与量とし ては病変の大きさや PD の濃度による違いがあるが, 2〜6 mL 以下とされている.  今後, 頭頸部領域において安全で効果的な硬化療法を行 うために, 自験例および既報告から得られた要点を以下に 示す.  ① 硬化剤の選択  口唇・舌前方・頰粘膜などの表層で用手圧迫が可能な部 位で, 病変に確実に穿刺できる場合は有効性が高い DE ま たは EO が優れるが, 投与後の腫脹や組織壊死に対しての マネージメントが必要となる可能性がある.また, EO の 投与量が多い場合はヘモグロビン尿に備える必要がある. 用手圧迫が困難な口腔内や深部の病変では, 病変外への漏 出が起きても安全と考えられる液状 PD を用いた段階的 な硬化療法を行うことで合併症を減らすことができる19). PD フォームは報告が少ないが, 治療効果の高さと合併症 の少なさから, 幅広い部位に適応可能であると考えられる.  ② 治療体制  病変が小さく気道閉塞のリスクがない病変であれば外 来通院での硬化療法も可能である.一方, 舌根部や口底・ 咽頭部など気道閉塞のリスクがある部位では全身麻酔下 で行い, 術後は抜管せずに気道の管理を行うことが望まし い16, 22).また, DE 使用時は強い痛みを伴うため, 適切な 除痛ができない場合も全身麻酔での硬化療法が推奨され る.OE を使用する場合は投与量が多い場合はヘモグロビ ン尿の観察や腎機能確認のため入院下での管理が推奨され 表 2 本邦における頭頸部血管奇形への硬化療法の報告例 報告者   報告年 部位 使用薬剤 治療体制 透視方法 有効性 合併症・その他 田中ら11)1999 上唇 EO 入院局麻下 X 線透視下 単回投与で有効 術前にハプトグロビン投与 山本12)2001 軟口蓋 PD(液状) 記載なし 直視下 2 回投与で有効 腫脹を認めるも気道閉塞なし 舌縁 PD(液状) 記載なし 直視下 3 回投与で有効 高野ら13)2003 舌根部 EO 入院局麻下 CT 下 3 回投与で有効 小田ら14)2005 下唇 EO 入院局麻下 直視下 3 回投与で有効 著明な腫脹 下唇 EO 外来局麻下 直視下 単回投与で有効 頰粘膜 EO 外来局麻下 直視下 単回投与で有効 舌背部 EO 外来局麻下 直視下 単回投与で有効 石川ら15)2006 口唇・舌・頰粘膜多発 DE 全身麻酔下 直視下 単回投与で有効 組織壊死 加地ら16)2006 顔面 74 例 EO 記載なし DSA 下 平均治療回数 2.6 回 86%で有効 ヘモグロビン尿 (34%), 壊死 ( 表層 16%, 深部 12%) 5 例で植皮や組織移植・再建を要した 真野ら17)2008 軟口蓋〜側咽頭 PD(液状) 記載なし 直視下 3 回投与で有効 壇上ら18)2012 口唇・口腔内 9 例 10 部位 EO 入院局麻下 X 線透視下 すべて単回投与で有効 1 例でヘモグロビン尿 橘ら19)2012 舌縁〜下顎枝 PD(液状) 入院局麻下 直視下 6 回投与で有効 岡本ら20) 2014 頰部 DE 全身麻酔下 DSA 下 単回投与で有効 重度の腫脹 林ら21) 2017 口唇 5 例 DE・EO PD(フォーム) 全身麻酔下 エコー下 段階的硬化療法後切除術の有効性を報告 DE 使用例で組織壊死 倉本ら22) 2018 口唇 21 例・口腔内 6 例 その他頭頸部 40 例 EO (液状・フォーム) PD(フォーム) 3 群での比較検討 記載なし DSA 下 EO (液状,フォーム), PD(フォーム) 有効率はそれぞれ 71%, 65%, 78%で有意差なし ヘモグロビン尿 (38%, 26%, 0 %), 組織壊死(14%, 9 %, 2 %) 術後腫脹による挿管管理 (2 例, 1 例, 0 例) Tabe ら23) 2019 上唇 EO 静脈内鎮静下 X 線透視下 3 回投与で有効 組織壊死 自験例   上下唇多発頰部 PD(フォーム)DE 静脈内鎮静下静脈内鎮静下 DSA 下DSA 下 単回投与で有効単回投与で有効 組織壊死

(7)

る.なお, 外来通院の場合は DE 投与による酩酊の可能性 があるため自動車の運転は控えさせる必要がある.  ③ 穿刺方法  可能な限り X 線透視や DSA を用いて病変内に確実に硬 化剤が投与できる状態での穿刺が望まれるが, 表層部の VM などで確実に穿刺可能で, 逆血が確認できる場合は, 直視での穿刺も許容される.透視が困難な場合は PD を用 いる必要がある.  自験例では DE と PD を使用した結果, どちらも満足の いく結果が得られたが, 治療効果が現れるまで時間を要し た.また, 自験例では単回治療で効果を認めたが, 他の報 告では複数回治療が必要とされている.しかし, 手術療法 と比べ低侵襲であり, 整容・機能的な障害が少ないことか ら, 顔面領域に発生する VM の治療法として有効であるこ とが示された.

結     語

 今回我々は, 顔面領域の多発性静脈奇形に対して, 無水 エタノールとポリドカノールによる硬化療法を施行し, 良 好な結果を得た 1 例を経験したので, 若干の考察を加えて 報告した.  稿を終えるにあたり, 自験例の治療にご協力をいただきまし た当院脳神経外科の細島 理先生に謹んで感謝の意を表します.  本論文に関して, 開示すべき利益相反状態はない. 引 用 文 献 1 ) 佐々木 了, 三村秀文, 他:血管腫・血管奇形・リンパ 管奇形診療ガイドライン 2017 第 2 版.Available at: http://www.jsir.or.jp/guide_line/vascular/. Accessed Feb 16, 2019.

2 ) Lee BB, Do YS, et al : Advanced management of venous malformation with ethanol sclerotherapy: Mid-term results. J Vasc Surg 37: 533-538, 2003. 3 ) 今井茂樹:IVR 総論.臨床画像 30: 505-515, 2014. 4 ) 渡部 茂, 東 浩樹, 他:血管腫・血管奇形の概念 と硬化療法.映像情報 Med 41: 613-617, 2009. 5 ) 三村秀文, 藤原寛康, 他:血管腫・血管奇形の診断 と硬化療法・塞栓術.関節外科 28: 24-29, 2009. 6 ) 三村秀文, 藤原寛康, 他:血管腫・血管奇形の IVR 静 脈奇形の最新治療.INNERVISION 24: 25-28, 2009. 7 ) Tessari L, Cavezzi A, et al : Preliminary experience

with a new sclerosing foam in the treatment of vari-cose veins. Dermatol Surg 27: 58-60, 2001.

8 ) 佐々木 了:皮膚軟部組織の血管奇形に対する硬化 療法の臨床的検討.日形会誌 25: 250-259, 2005. 9 ) Lee BB, Baumgartner I, et al : Diagnosis and

Treat-ment of Venous Malformations. Consensus Docu-ment of the International Union of Phlebology (IUP). Int Angiol 34: 97-149, 2015. 10) 佐々木 了, 大久保佳子, 他:Vascular malformation の分類と治療 : 硬化療法.日形会誌 44: 637-645, 2001. 11) 田中 晋, 白井 誠, 他:オレイン酸モノエタノー ルアミンによる局所注入硬化療法を行った上唇血管 腫の1例.日口外誌 45: 381-383, 1999. 12) 山本一宏:ポリドカノールによる血管腫硬化療法. 耳鼻臨床 94: 801-807, 2001. 13) 高野賢一, 坪田 大, 他:硬化療法を施行した舌根 部血管腫例.耳鼻臨床 96: 255-260, 2003. 14) 小田邦博, 牧 泉, 他:オレイン酸モノエタノール アミン局所注入硬化療法を行った血管腫の 4 例.愛 知学院大歯会誌 43: 267-272, 2005. 15) 石川 均, 長谷川和樹, 他:口腔顎顔面領域の血管 腫に対しエタノール局所注入療法を行った 2 症例. 口腔腫瘍 17: 125-130, 2005. 16) 加地展之, 波利井清紀:頭頸部領域の血管奇形に対 する塞栓硬化療法の確立と MRI を用いた術後縮小 率の評価.杏林医会誌 37: 43-54, 2006. 17) 真野隆充, 内田堅一郎, 他:ポリドカノールを用い て硬化療法を行った軟口蓋から咽頭側壁部に生じた 血管腫の1例.口科誌 57: 54-57, 2008. 18) 檀上 敦, 山下佳雄, 他:顎口腔領域における静脈 奇形に対するオレイン酸モノエタノールアミンを用 いた硬化療法.口科誌 61: 243-250, 2012. 19) 橘 寛彦, 吉田孝史, 他:ポリドカノールによる硬 化療法を行った口腔内血管腫の 1 例.日口外誌 58: 660-664, 2012. 20) 岡本秀治, 小谷 勇, 他:右頰部静脈奇形に無水エ タノールで直接穿刺硬化療法を行った1例.日口外 誌 60: 300-304, 2014. 21) 林 礼人, 望月真理子:口唇部動静脈奇形の治療戦 略とその現状.形成外科 60: 635-648, 2017. 22) 倉本康世, 野村 正, 他:静脈奇形に対する硬化療 法におけるオレイン酸エタノールアミンとポリドカ ノールの比較検討.形成外科 61: 450-456, 2018. 23) Tabe S, Habu M, et al : Venous malformation at the

upper lip treated with scleotherapy – A case report. J Oral Maxillofac Surg Med Pathol 31: 204-207, 2019. 24) Berenguer B, Burrows PE, et al : Sclerotherapy of

craniofacial venous malformations: complications and results. Plast Reconstr Surg 104: 1-15, 1999.

25) Chapot R, Laurent A, et al : Fatal cardiovascular collapse during ethanol sclerotharapy of a venous malformation. Interv Neuroradiol 8: 321-324, 2002. 26) 清水康弘, 石原 浩, 他:フォーム硬化療法におけ る至適投与濃度の検討.静脈学 20: 283-289, 2009. 27) 霜 知浩, 日高康治, 他:ポリドカノールによる血 管硬化療法中に2度心停止を起こした小児の1症例. 麻酔 54: 57-59, 2005. 28) 佐戸川弘之,横山 斉, 他:下肢静脈硬化剤 (ポリ ドカノール) の安全性および血漿中濃度の検討.静 脈学 14: 283-289, 2003.

29) Cabrera J, Cabrera J Jr, et al : Treatment of venous malformations with sclerosant in microfoam form. Arch Dermatol 139: 1409-1416, 2003.

参照

関連したドキュメント

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

たRCTにおいても,コントロールと比較してク

がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断さ

※ 硬化時 間につ いては 使用材 料によ って異 なるの で使用 材料の 特性を 十分熟 知する こと

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

(( .  entrenchment のであって、それ自体は質的な手段( )ではない。 カナダ憲法では憲法上の人権を といい、

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば