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ADAM19 発現における電気刺激効果の機構解明

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 188 43 巻第 2 号 188 ∼ 189 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. ADAM19 発現における電気刺激効果の機 構解明 深澤賢宏 1),谷本圭司 2),古川拓馬 3),大倉優之介 3), 河原裕美 4),弓削 類 1). 図 1 ADAM19 プロモーターレポーターの作成. 1). (RPMI1640:Sigma 社 ) に 10 % ウ シ 胎 児 血 清(fetal bovine. 2). serum:FBS,Sigma 社),カナマイシン(Sigma 社)を添加. 3). したものを使用した。培養条件は,5% CO2,95% air,37 C. 4). とした。. 広島大学大学院医歯薬保健学研究院生体環境適応科学 広島大学原爆放射線医科学研究所 広島大学大学院医歯薬保健学研究科生体環境適応科学. (株)スペース・バイオ・ラボラトリーズ. 3.電気刺激実験 6) キーワード:ADAM19,プロモーター活性,神経筋接合部.  細胞を 2.0 × 105 個で 35 mm 培養皿(Nunc 社)に播種し, 24 時間後に培養皿に各々の白金線電極を培養液に接するよう. はじめに. に挿入し,電気刺激装置(SEN-2201:日本光電社)に接続し.  神経筋接合部は,運動神経から骨格筋へ活動電位を伝達し,. た。条件は矩形波,50 v,0.5 Hz で 30 分間電気刺激を行った。. 骨格筋を収縮させるのに重要な装置である。なかでも神経筋接. さらに 24 時間後に同一条件で電気刺激を行った。実験群は電. 合部形成不全は,骨格筋の萎縮を惹起することが知られてお. 気刺激を行わないコントロール群,電気刺激を行う電気刺激群. り,これに関連してサルコペニアや筋萎縮性側索硬化症の原因. とした。電気刺激 24 時間後にサンプリングを行い,Real-time. になるという報告が最近みられる 1)2)。したがって,神経筋接. RT-PCR 法にて ADAM19 発現,各プロモーターレポーターの. 合部の形成を促進することは,これらの疾患の治療に繋がる可. 活性を測定した。. 能性があり,運動療法や電気刺激などの介入効果の検討が動物. 4.Real-time RT − PCR. 実験で試みられている. 3)4). 。なかでも電気刺激は,理学療法に.  細胞回収後,NucleoSpin®RNA(MACHEREY-NAGEL 社). おいて多用される治療法のひとつではあるが,神経筋接合部形. を 使 用 し て total RNA を 抽 出 し た。Total RNA 量 を 50 ng/. 成に対する効果の基礎的研究は希である。. µ l に 調 整 後,ReverTra Ace®(TOYOBO LIFE SCIENCE.  ADAM19 は,発生過程において末梢神経や心臓の形成に重. 社 ) を 用 い て 逆 転 写 反 応 し て cDNA を 作 成 し た。cDNA を. 要な役割をしていることが報告されている。神経筋接合部形. 鋳 型 と し て,ADAM19 に 特 異 的 な プ ラ イ マ ー forward 5 ′ -. 成に関しては,ADAM19 ノックアウトマウスで神経筋接合部. TGG AAG ATG GGG AAG AGT GT -3 ′ ,reverse 5 ′ - ATT. 形成不全のため呼吸不全を起こすという報告がある. 5). 。また,. 我々は電気刺激により ADAM19 の発現が上昇し,下流のシグ. GCA GCA GGG GTT GTT AC -3′ (Universal Probe Library probe #35; cat. no. 04687680001) , ま た は ACTB(4326315E,. ナル伝達経路のニューレギュリン系を介して神経筋接合部形成. Applied Biosystems 社)と FastStart Universal Probe Master. を促進することを報告した 6)。電気刺激により ADAM19 発現. (Roche 社)を混合し,7500 Real-time PCR system(Applied. が上昇し,神経筋接合部形成を促すことがわかってきたが,電. Biosystems 社)を用いて解析した。. 気刺激による ADAM19 の発現制御機構は未だ不明である。そ. 5.プロモーター活性解析. こで今回,ADAM19 のプロモーター領域を組みこんだルシ. 5   細 胞 を 2.0 × 10 個 で 35 mm 培 養 皿 に 播 種 し 18 時 間 後,. フェラーゼレポーターを作成し,電気刺激のプロモーター活性. pGL4.26 Adam19 promoter レポーターまたは pGL4.26 empty. への影響を解析して,ADAM19 発現制御機構の検討を行った。. ベクターを TransIT®-LT1(Mirus 社)を用いてトランスフェ. 方  法. クションした。トランスフェクション効率の補正のために. 1.レポーター作成. pRL-SV40(Promega 社)を同時にトランスフェクションした。.  マウス Adam19 プロモーター領域(転写開始点を +1 とした. トランスフェクションして 6 時間後に 1 回目の電気刺激を行. ときの ‒ 1787 bp から +127 bp:1914bp)を特異的プライマー. い,24 時間後に 2 回目,その 24 時間後にサンプリングを行っ. forward 5 ′ -CCA TTC ATA TGT TGG AAC CCA AGC-3 ′ ,. た。プロモーター活性の解析には Dual Luciferase Assay Kit. reverse 5′ -GAT AGC AAC GGC CCT CTC ACT G-3′ を用い. (Promega 社)を使用し,各サンプルのルシフェラーゼ発光を. てマウスゲノム DNA から PCR 法で増幅後,pGL4.26 ルシフェ. Mini Lumat LB 9505 luminometer(Berthold Technolgies 社). ラーゼベクター(Promega 社)にサブクローニングして遺伝. にて測定し,各レポーター活性を pRL-SV40 で補正し,各実験. 子プロモーターレポーターを作製した(図 1)。塩基配列はダ. 群の比較を行った。. イレクトシークエンス法により確認した。. 6.統計解析. 2.細胞培養.  各値は平均±標準偏差とし,各群の比較には t 検定を用いて,.  培養細胞は,ヒト肝由来細胞株 HepG2 を用いた。培地は. 危険率 5%未満を有意水準とした。.

(2) ADAM19 発現制御機構の解明. 189. 激による ADMA19 遺伝子発現増加は転写レベルでの制御であ る可能性が示唆され,組みこんだプロモーター領域内に電気刺 激に応答する配列が含まれている可能性が考えられた。今後, 電気刺激に応答する特異的配列を検索するために,今回作成し たレポーター領域よりも範囲を狭めた欠失変異体レポーターを 用いて電気刺激に対する応答性を観察し,制御領域の絞りこみ を行っていく必要がある。また,Adam19 のプロモーターは エピジェネティックに発現が抑制されているという報告があ り. 7). ,今後の研究でメチル化制御機構と電気刺激の関係を観察. していく必要もある。このように,電気刺激に応答する責任配 列やその制御機構を明らかにすることで,電気刺激による神経 筋接合部形成促進の分子機構解明につながり,分子標的薬物療 図 2 ADAM19 遺伝子発現解析. 法などの新たな治療法開発などに役立つ可能性がある。  今回は,神経筋接合部形成に重要な役割をする ADAM19 に 着目して,ADAM19 発現制御機構の解明を試みたが,電気刺 激は ADAM19 だけでなく,他の遺伝子の発現も制御している ことが推察される。したがって今後,網羅的な解析を行うこと で,電気刺激の生体に与える効果の全体像の把握に繋がること が期待される。電気刺激は,生体内に様々な変化をもたらすこ とで,生理的な状態を変化させる可能性が推察される。した がって,その制御系を明らかにすることは,電気刺激療法の効. 図 3 プロモーター活性解析. 果の応用範囲を広げることに繋がり理学療法の対象範囲を拡大 する可能性があると思われる。 文  献. 結  果 1.Real-time RT − PCR(図 2)  ADAM19 mRNA 発現は,電気刺激群において有意に高く なっていた(P < 0.05)。 2.プロモーター活性(図 3)  Empty ベ ク タ ー を ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し た 群 に 比 べ pGL4.26 Adam19 プ ロ モ ー タ ー を ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し た群では活性が有意に高くなっていた(P < 0.01)。pGL4.26 Adam19 プロモーターをトランスフェクションした群の中で も,電気刺激群において,プロモーター活性が有意に高くなっ ていた(P < 0.05)。 考  察  本研究により電気刺激による ADAM19 遺伝子発現の増加が, ヒト肝由来の細胞株においてはじめて観察された。これは,以 前報告した NG108-15 細胞以外でも様々な細胞において普遍 的な機構である可能性を示す結果となった。また,作成した Adam19 プロモーターレポーターは強い活性を示し,サブク ローニングした遺伝子領域に重要な転写調節領域が含まれてい る可能性が示された。さらに,Adam19 プロモーターは電気刺 激に応答し,プロモーター活性が高くなったことから,電気刺. 1)Deschenes MR, Roby MA, et al.: Remodeling of the neuromuscular junction precedes sarcopenia related alterations in myofibers. Exp Gerontol. 2010; 45: 389‒393. 2)Krakora D, Macrander C, et al.: Neuromuscular junction protection for the potential treatment of amyotrophic lateral sclerosis. Neurol Res Int. 2012; 2012: 379657. 3)Valdez G, Tapia JC, et al.: Attenuation of age-related changes in mouse neuromuscular synapses by caloric restriction and exercise. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010; 107: 14863‒14868. 4)Johnson AM, Connor NP: Effects of electrical stimulation on neuromuscular junction morphology in the aging rat tongue. Muscle Nerve. 2011; 43: 203‒211. 5)Yumoto N, Wakatsuki S, et al.: Meltrin beta/ADAM19 interacting with EphA4 in developing neural cells participates in formation of the neuromuscular junction. PLoS One. 2008; 3: e3322. 6)Fukazawa T, Matsumoto M, et al.: Electrical stimulation accelerates neuromuscular junction formation through ADAM19/neuregulin/ErbB signaling in vitro. Neurosci Lett. 2013; 545: 29‒34. 7)Chan MW, Huang YW, et al.: Aberrant transforming growth factor beta1 signaling and SMAD4 nuclear translocation confer epigenetic repression of ADAM19 in ovarian cancer. Neoplasia. 2008; 10: 908‒919..

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図 2 ADAM19 遺伝子発現解析

参照

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