乳房良性腫瘍に対する手術を受ける方へ
１．あなたの病名、病状
病名： 乳房良性腫瘍 病状： 乳房に腫瘍性病変がある２．治療の方法
乳 房 腫 瘍 摘 出 術 手術の内容： 乳房腫瘍を外科的に切除するのが目的です。病変が乳房のどこに位置するかによ って皮膚切開の部位が異なります。腫瘍の直上で皮膚切開を行うのが基本ですが、 美容的な観点から目立たないところに皮膚切開を加えることがあり、その場合は腫 瘍とは離れた部位となることがあります。腫瘍の周囲組織を少しつけて切除するこ とが基本です。切除が終わった後は、腫瘍が大きい場合、リンパ液などを排液しキ ズの治りを良くするためドレーンという管を皮膚の下に入れて体の外に出すこと があります。この管は小さな弁当箱ぐらいの容器につながっており、抜く時は1 本抜糸をするだけですので病室でできます。皮膚は溶ける糸で表面に出ないように 縫いますので抜糸の必要はありません。この手術では術後の痛みは麻薬が必要とな るほど強くありません。通常の痛み止めの坐薬で済む程度のことがほとんどです。 手術にかかる時間は約1 時間で、予想出血量は 100cc 程度です。入院期間は術 後約2 日間です。手術翌日の朝（早い場合は当日）から食事を開始しトイレにも 歩行していただきます。３．期待される効果
手術により乳房の腫瘍性病変は取り除かれます。切除した腫瘍を病理検査（顕微 鏡で詳しく調べる検査）に提出し、確定診断、悪性病変の有無など詳しく調べるこ とができます。悪性腫瘍の合併が判明した場合は、後日あらためて手術が必要にな ることがあります。４．予想される副作用と対処方法
思いがけない理由で手術中に大量出血することがあり輸血が必要になる場合が あります。手術を終える際には止血は確実にしますが、止血の確認の際には出血し ていなかったものの傷を閉じて病室に帰ったあとから出血しだす場合もあります乳腺・内分泌外科 乳房良性手術 2006 年 7 月版 2 （後出血と呼びます）。後出血の程度がひどければ再度全身麻酔をかけ傷をもう一 度開き止血術をおこなわなければいけないことがあります。手術した部位に感染が おこり排膿などの処置を要することがあります。これらはすべてをあわせても数% 以下のきわめて可能性の低いものです。 この手術は充分準備して取りかかればきわめて安全に行え、命に関わるような危 険性は無いと言っていいと思われます。万が一、重大な問題が生じた場合は適切な 対応を取ります。 手術をした皮膚の下にリンパ液が貯まることがあり、注射器を使って貯まった液 を抜き取ることがあります。手術の影響で脇の下や二の腕の内側がしびれたような 感じになることがありますが、時間経過とともに慣れて気にならなくなります。 腫瘍が非常に大きな場合は、手術後の乳房の変形が著しくなることがあります。 そのような場合には形成外科医により再建手術を受けることができます。腫瘍切除 と同時に再建手術を予定することもできますが、腫瘍切除術が終わってから後日あ らためて再建手術を考えることも可能です。 その他の一般的な合併症として感染症・血栓症・肺合併症・心合併症があげられ ます。創感染、尿路感染など、病原性の弱い細菌でも麻酔や手術で体力が落ちたと きに病原性を発揮して発症することがあります。抗生物質などで治療しますが、も しMRSA という細菌が検出された場合には、院内感染を防ぐために隔離した部屋 に移っていただくことがあります。長時間の手術中や手術後に足の静脈の血が塊り 下肢静脈血栓症をおこすことや、血の塊りが肺まで流れて肺の血管が詰まる肺塞栓 症を発症することがあります。肺塞栓症は突然死の原因となりうる重篤な合併症で、 予防のためにストッキングをはいていただきます。肺合併症には肺炎、無気肺、胸 水などが、心合併症には心不全、狭心症、不整脈、心筋梗塞などがあります。スト レスによる胃十二指腸潰瘍や脳出血が突発的に起こることもまれにありますが、そ の他の非常にまれな合併症や予期せぬ事態に関しましては、万一発症したときにそ の時々で説明させていただきます。
５．本治療をうけなかった場合の予後、また当該疾患に対する他の治療
法の有無
乳房腫瘍を放置した場合、腫瘤の増大が進行した場合、その結果として皮膚にび らんや潰瘍形成、浸出液漏出や出血という症状があらわれることがあります。良性 腫瘍のなかでも乳癌との鑑別がむつかしい場合があり、手術を受けなかった場合結 果的に乳癌を放置することになる可能性があります。 他の方法との比較（利点、欠点）： 良性腫瘍を熱で焼く、冷やして凍らせるという治療法が試みられていますが、こ のような治療法や手術以外の治療法は、現在のところ当院では行っておりませんの で、希望される場合は他の医療機関で治療を受けていただくこととなります。当院 での検査資料を貸し出しいたします。６．費用について
費用に関してご質問がある場合は医事課へご相談ください。７．遠慮なく質問して下さい。また、同意はいつでも取り消せます。
ご不明な点、疑問点などがありましたら、我々スタッフにいつでもご相談下さい。 以上でも説明しましたが、一旦治療が始まった後でもあなたの希望によりいつでも 治療を中止することができますので、担当医まで申し出てください。 平成 年 月 日 ご説明担当医師 乳腺・内分泌外科 医師 図1 腫瘤と仮の皮膚切開線を書き加える乳腺・内分泌外科 乳房良性手術 2006 年 7 月版 4
名古屋大学医学部附属病院 治療同意書
（原本を全ページコピーし、コピーを患者様にお渡しください） 名古屋大学医学部附属病院 病院長 殿 患者氏名： 担当医署名： ご説明年月日：平成 年 月 日 治療名： 乳房腫瘍摘出術 治療予定日：平成 年 月 日 説明内容： □ 病名、病状 □ 治療の方法 □ 期待される効果 □ 予想される副作用と対処方法 □ 本治療をうけなかった場合の予後 □ また当該疾患に対する他の治療法の有無 □ 同意はいつでも取り消せること □ その他（ ） 上記の治療について、担当医から説明を受け、 □ 良く理解しましたので同意いたします。 □ 今回は同意いたしません。 □ セカンドオピニオン等、再度検討させていただきます。 署名年月日：平成 年 月 日 患者本人または代理人の署名： 代理人の場合、その患者本人との続柄：2006年7月版 日付 日付 検査 処方 食事 安静 排泄 清潔 説明 その他 治療 処方 食事 安静 排泄 手術室へ出発前に排尿 バルーン（排尿管）が入っています 清潔 説明 その他 外来 入院（手術前日） 月 日（ ） 月 日（ ） 月 日（ ） 手術日 術前 術後 午前9時すぎ入院 胸部Xp、採血、尿検査、 心電図、肺活量 口腔内消毒（感染予防） うがい薬をお使い下さい 普通食 食事は夕食まで 水分は夜9時まで 制限なし トイレへ 入浴可 除毛・入浴 看護師が清拭します。 発熱時・痛い時は適宜お薬を使 います。遠慮なく言って下さい。 術後３時間で飲水 ベッド上安静（寝返り可能） 手術終了時に付添の方 に手術内容について医 師から説明します。 特に問題なければ 術後３時間もしくは明朝、 酸素・ 心電図モニターをはずします 点滴をします。 絶飲食 ベッドで手術室に移動 リストバンドの確認 手術（全身麻酔） リストバンドの装着 携帯電話禁止 （PHSは使え ます） 入院前からの禁煙が大切です 持ち物に注意を 名古屋大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科 酸素マスク・心電図モニ ター、点滴、（ドレー ン）がつながっています。 キズにガーゼはあたっ ていませんが、水に濡れ ても大丈夫な保護剤で 覆ってあります。 手術前の注意事項 を説明をします。 麻酔科医師の説明 があります 手術について詳しく（輸 血に関することも）説明 します。書類があります。 看護師から必要な物品な どの説明などがあります。 今飲んでいる薬 を確認します
2006年7月版 日付 治療 処方 食事 安静 排泄 清潔 説明 その他 術後1日目 全身清拭をします。 抜糸はありません。 シャワー可 トイレへ 全身入浴可 傷にシャワーをあてても大丈夫で す。石鹸水がついても大丈夫です。 やさしく洗ってください。 ドレーンが入った場合、 ドレーンを抜去します。 点滴を抜きます。 バルーンを抜去します。 痛みどめを内服します （2日間くらい） 朝から普通食開始 歩行できます 術後２～３日目ころ 外来受診の予約日時をお知らせします。 退院
