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都市圏を結ぶ高速道路網を活用した広島県経済の振興方策

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2011 年度(平成 23 年度)調査研究レポート

都市圏を結ぶ高速道路網を活用した

広島県経済の振興方策

平成 24 年3月

広島経済同友会

地域経済委員会

本調査研究レポートは,広島経済同友会からの依頼により, 中国電力株式会社エネルギア総合研究所が作成したものです

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目 次

はじめに ··· 1 本レポート作成まで の委員会にお ける活 動内容 ··· 2 第1章 広島県内に おける高速道 路整備 の現状と効果 ··· 3 1.県内高速道路の整備状況および利用状況(全国比較) ··· 3 2.高速道路整備が地域にもたらす効果・影響 ··· 5 第2章 尾道松江線 ,東広島呉道 路を例 とした整備効果 ··· 8 1.整備路線および沿線の概要 ··· 8 2.全線開通に伴う影響・効果 ··· 13 3.整備効果のまとめ ··· 28 第3章 九州地域に おける高速道 路網を 活用した地域振興 ··· 29 1.九州地域における高速道路網 ··· 29 2.高速道路網を活用した地域振興の取り組み事例 ··· 30 3.事例分析のまとめ ··· 36 第4章 高速道路網 を活用した広 島県経 済の振興方策 ··· 37 1.基本的な方向性 ··· 37 2.具体的な方策 ··· 38 おわりに ··· 41

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はじめに

現在,中国横断自動車道尾道松江線と東広島・呉自動車道は,着工からほぼ四半世紀の 2014 年度の全線開通に向けて工事が進められています。これらが完成すれば,広島県内で は南北軸2本(中国横断自動車道尾道松江線と広島浜田線)と東西軸2本(山陽自動車道 と中国縦貫自動車道)が交差することになり,西日本でも有数の高速道路網が形成されま す。 これによって,今後広島県内では都市相互の時間距離が一段と短縮化され,広島空港へ のアクセスも大幅に改善することから,ヒト,モノ,情報等の流れがより活発化かつ広域 化していくものと予想されます。また,山陰から山陽を経由して四国に至る新たな高速道 路軸には,災害時における緊急輸送の迂回・代替ルート(リダンダンシー)としての役割 も期待されています。 県内ではこれまで,中国縦貫自動車道(全線開通 1983 年),山陽自動車道(同 1993 年) などの開通が相次ぐ中で,沿線地域において企業誘致や観光開発といった産業振興策を展 開し,県経済の活性化に大きく寄与してきました。しかしながら,新たに開通する高速道 路については,国内経済の成熟化,主力産業の地盤沈下など,外部環境が着工当時とは大 きく変化しました。このため,高速道路網を活用した県経済の振興を考える上で,これま で以上に地域の特性やニーズ等を踏まえた沿線地域での一体的な方策が求められます。 そこで本委員会では,県内の高速道路整備の現状と効果(第1章)を整理したうえで, 中国横断自動車道尾道松江線と東広島・呉自動車道の整備効果(第2章)および九州地域 における高速道路網を活用した地域振興の先進的な取り組み(第3章)を踏まえて,高速 道路網を活用した広島県経済の振興方策(第4章)について取りまとめました。 最後になりましたが,今回の調査に関して,委員会等にお招きした講師の皆様,ヒアリ ング調査やアンケート調査にご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。

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本レポート作成までの委員会における活動内容

○第1回委員会(2011 年5月 27 日) ・勉強会「道路を賢く使う」 講師 広島大学大学院 国際協力研究科 教授 藤原 章正 氏 ○第2回委員会(2011 年8月8日) ・勉強会「『三次市地域戦略プラン∼中国横断自動車道尾道松江線開通を契機とした 三次市活性化計画』について」 講師 三次市 地域振興部 企画調整課 課長 山本 直樹 氏 ○県内ヒアリング調査① ・庄原市・三次市 : 庄原市企画課,三次商工会議所(2011 年9月 16 日) ・尾 道 市 : 尾道市政策企画課,尾道商工会議所(2011 年9月 28 日) ・世羅町・三次市 : 世羅町企画課,三次市企画調整課(2011 年9月 29 日) ○第3回委員会(2011 年 10 月 25 日) ・中国横断自動車道尾道松江線,東広島・呉自動車道開通に伴う経済効果について (RAEM-Light による試算結果の概要) ・尾道松江線沿線地域のヒアリング結果について ○先進地視察会(2011 年 12 月 19 日∼20 日) ・福 岡 県 福 岡 市 : (財)九州経済調査協会 ・佐 賀 県 鳥 栖 市 : 鳥栖市役所,鳥栖プレミアム・アウトレット (株)シーエックスカーゴ,新鳥栖駅周辺 など ・大 分 県 日 田 市 : 日田市役所,木の花ガルテン(大分大山町農協) ○県内ヒアリング調査② ・呉 市 : 呉市企画情報課,交通政策課他(2012 年1月 17 日) ○県外先進事例のヒアリング調査 ・福 岡 県 糸 島 市 : JA糸島産直市場 伊都菜彩(2012 年1月 20 日) ○第4回委員会(2012 年2月8日) ・先進地視察会の報告 ・アンケート結果の概要報告 ・報告書骨子(案)の検討 ○県内ヒアリング調査③ ・広 島 県 : 広島県地域政策課(2012 年2月 21 日) ○第5回委員会(2012 年3月 16 日) ・報告書(案)の検討

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905 427 381 360 335 323 322 315 308 277 266 257 244 227 221 200 198 198 187 178 0 200 400 600 800 1,000 北 海 道 新 潟 県 兵 庫 県 広 島 県 福 島 県 岩 手 県 長 野 県 岡 山 県 岐 阜 県 秋 田 県 宮 城 県 山 口 県 愛 知 県 茨 城 県 愛 媛 県 三 重 県 福 岡 県 静 岡 県 埼 玉 県 山 形 県 (km) 81 70 64 50 48 45 45 43 42 42 41 41 40 39 39 37 35 34 33 33 0 20 40 60 80 100 富 山 県 大 阪 府 香 川 県 埼 玉 県 愛 知 県 兵 庫 県 岡 山 県 滋 賀 県 広 島 県 山 口 県 新 潟 県 福 岡 県 佐 賀 県 愛 媛 県 宮 城 県 茨 城 県 三 重 県 千 葉 県 神 奈 川 県 大 分 県 (km/千㎢)

第1章 広島県内における高速道路整備の現状と効果

1.県内高速道路の整備状況および利用状況(全国比較) (1)高速道路の開通延長 広島県の高規格道路(高速自動車道路+一般国道の自動車専用道路)は,開通延長で全国 第4位,面積当たり(千㎢当たり)で第9位と上位に位置しており,広島県は,全国的にみ ても高速道路網の整備が進んだ地域といえる。 また,2010 年度以降にも約 111km の整備計画があり,さらに高速道路の整備率は高まる状 況にある。 図表 1-1 都道府県別開通延長・面積当たり開通延長(上位 20 位) (開通延長) (面積(千㎢)当たり開通延長) 資料:国土交通省「道路統計年報 2010」(2009 年4月1日現在) 国土地理院「平成 22 年全国都道府県市区町村別面積調」

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93 71 67 66 60 58 45 44 43 41 40 38 35 31 30 30 29 28 26 26 21 19 18 0 20 40 60 80 100 神 奈 川 県 埼 玉 県 静 岡 県 大 阪 府 愛 知 県 東 京 都 三 重 県 滋 賀 県 沖 縄 県 福 岡 県 千 葉 県 奈 良 県 栃 木 県 山 梨 県 茨 城 県 兵 庫 県 群 馬 県 佐 賀 県 京 都 府 長 野 県 広 島 県 岡 山 県 山 口 県 (千台) 11.7 11.5 8.8 6.2 4.9 3.8 3.4 3.0 2.9 2.7 2.5 2.5 2.4 2.3 2.3 2.2 2.22.1 1.9 1.8 0.7 0.6 0.6 0 2 4 6 8 10 12 14 奈 良 県 神 奈 川 県 東 京 都 沖 縄 県 大 阪 府 埼 玉 県 静 岡 県 石 川 県 佐 賀 県 滋 賀 県 長 崎 県 和 歌 山 県 愛 知 県 千 葉 県 山 梨 県 栃 木 県 三 重 県 福 岡 県 福 井 県 京 都 府 山 口 県 岡 山 県 広 島 県 (百台/日) (2)高速道路の一日平均交通量 高規格道路の一日平均交通量をみると,広島県は約2万1千台で全国第 25 位と開通延長 と比較して低い水準にある。 また,開通延長1km 当たりの交通量をみると,一日平均約 60 台で第 40 位まで低下する (山口県は第 36 位,岡山県は第 39 位)。 広島県には比較的交通量の多い山陽自動車道が通過しているにも関わらず,中山間地域 を通る他の高速道路の交通量の低さ等から,整備された高規格道路1km 当たり交通量が低 く,隣接する岡山県や山口県を下回っており,高速交通網の有効活用が十分行われていな い状況といえる。 図表 1-2 都道府県別一日平均交通量・開通延長1km 当たり一日平均交通量 (上位 20 位+山陽3県) (一日平均交通量) (開通延長1km 当たり一日平均交通量) 資料:国土交通省「平成 22 年度 全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)」

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広島呉道路 (クレアライン) 山陰 自動 車道 中国縦貫 自動車道 山陽自動 車道 中国 横断 自動 車道 広島 浜田 尾 道 松 江 線 中 国 横 断 自 動 車 道 岡 山 米 子 線 中 国 横 断 自 動 車 道 姫 路 鳥 取 線 中 国 横 断 自 動 車 道 東広島呉 道路 西瀬戸自動車道 (しまなみ海道) 供用中 事業中 供用区間 整備計画区間(事業区間) 基本計画区間(調査区間) 予定路線 高規格幹線道路 高速自動車国道に並行する 一般国道自動車専用道路 2.高速道路整備が地域にもたらす効果・影響 高速道路は,産業の競争力を下支えし,地域間の交流を促進させる社会基盤として重要な 役割を担っており,その整備により,地域間交通の時間短縮が実現され,取引コストの低減 や来訪者を誘引するなどの効果が期待される。 一方で高速道路整備により,地方圏から大都市圏へのストロー効果などマイナスの影響も 生じさせている。また,従来の幹線道路からの高速道路へのシフトにより既存国道沿線の停 滞などが懸念される。 本調査で取り上げる,中国横断自動車道尾道松江線(以下,尾道松江線)と東広島・呉自 動車道(以下,東広島呉道路)の整備が地域にもたらす効果および懸念される影響について, 以下のようなものが挙げられる。 (1)期待される効果 ①東西・南北軸の高速道路網の形成 尾道松江線は,山陰から中国山地を抜け,中国縦貫自動車道,山陽自動車道と接続し, さらに四国に至る西瀬戸自動車道(しまなみ海道)に接続するルートを形成することにな る。東広島呉道路も,山陽自動車道に接続するため,広島県は西日本の東西・南北軸の高 速道路網の結節点として機能がさらに高まる。 また,県内の空港,港湾,新幹線など他の交通機関との連携が容易になり,国内外への アクセスが多様化し,広域的な交流人口の拡大に資するものと考えられる。 さらに,広島都市圏の主要都市間および備後・備北の拠点都市間の時間距離の短縮も図 られるため,県内の一体的な発展に向けた連携強化が可能となる。 図表 1-3 中国地域の高速道路網概念図

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②既存産業のビジネスチャンスおよび新規産業創出・企業誘致の可能性の拡大 高速道路網の整備による県内都市圏間の時間短縮,空港や新幹線など広域的な高速交通 体系へのアクセスの向上は,沿線地域の既存産業において,営業範囲,物流範囲等の拡大, 集客施設への来訪者の増加や周遊観光ルートの形成など,多様なビジネスチャンスを生む ことが期待される。また,沿線地域における関連サービス業の創出や流通関係企業の進出, 交通アクセスの向上に伴う産業団地への企業誘致の可能性拡大など,沿線地域に新たな産 業を創出することが期待され,様々な面で地域産業の活性化に資するものと考えられる。 【具体例】 ○鳥取自動車道の開通により,鳥取県東部への企業進出が活発化し,2002∼2009 年の8 年間に延べ 73 社が進出した。うち鳥取市内の 25 社で 2009 年までに新たに約 1,200 人 の雇用を創出した。 ○1991 年の浜田自動車道の開通で,広島県に本社のあるコンビニエンスストアでは,島 根県西部に 18 店舗の展開が可能となった。 ○九州横断自動車道の整備が進むにつれ,佐賀県のいちごの遠方への出荷量は,1977 年 の 516 トンから 1995 年には 6,333 トンと 12 倍以上に増加した。 ③生活・防災環境の改善 高速道路網の整備により,沿線地域から拠点となる救急医療機関のある広島市や福山市 などの都市部へのアクセスの向上が実現し,救急医療活動の迅速化が期待できる。 また,高速道路を利用した都市圏間の高速バス網の整備も期待され,買物・レジャー等 での公共交通機関の利用拡大も期待される。 さらに,地震や豪雨による土砂災害,大雪等により既存道路が通行不能になった場合, 高速道路が陰陽および県内の南北交通の代替ルートとして機能するなどリダンダンシーの 確保にも大きく役立つと考えられる。 【具体例】 ○鳥取自動車道では,鳥取県東部の高度医療において拠点となる救急医療機関の 30 分圏 域が拡大し,圏域人口が約 5,000 人増加した。 ○また,国道 53 号(岡山市∼津山市∼鳥取市)が事故や災害で利用できなった場合や渋 滞等で道路としての機能が低くなった場合,鳥取自動車道が代替道路として機能し, 南北の交通が確保されることになった。 ○広島県北広島町大朝に立地する私立高校では,従来寄宿舎や下宿を利用する生徒が多 かったが,1991 年に浜田自動車道が全通し,周辺道路も整備されたことから高速バス 等の利用による通学者が増加し,特に広島市からは通学者が約6倍に拡大した。 (2)懸念される影響 ①既存国道沿線の産業の停滞 高速道路網の整備は,広域的な交通量のシフトを発生させ,既存道路網の渋滞緩和等に 役立つ一方,既存道路の利用者を対象とした飲食店や小売等の関連サービス産業は大きな

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打撃を受けることが懸念される。 特に,尾道松江線,東広島呉道路は無料通行区間の高規格道路として整備されるため, 交通量のシフトはより多くなると予想され,国道 54 号(特に,三次市∼雲南市),184 号(特 に,三次市∼世羅町∼尾道市),375 号(特に,三次市∼美郷町∼大田市)沿線に立地する 商店や飲食店,道の駅,ガソリンスタンド等にとって大きな問題になると考えられる。 【具体例】 ○1997 年3月に全線供用した中国横断自動車道岡山米子線(米子自動車道)によって, 並行して走る国道 180 号(新見市∼日南町∼米子市等)の休日交通量が,1990 年に比 べて約 20%も減少(道路交通センサス)するなど,山陽と山陰を流動する交通量が米 子自動車道にシフトし,既存国道の交通量が大きく減少した。 ②地方圏から大都市圏へのストロー効果 高速道路網の整備により,交通利便性が向上した場合,地域内に留まっていた需要がよ り高次都市機能を有する大都市圏へ流出してしまう状況,いわゆるストロー効果が発生す ることが懸念される。特に,買物や医療,通学等において,より利便性が高く質の高いサ ービスを提供する地域へ流れる傾向が強くなる。 尾道松江線沿線をみると,三次市は現在,島根県の県境地域から買物や医療などにおい て多くの人が流入し,地方の拠点としての役割を担っている。しかし,こうした人々がス トロー効果によって三次市を通過して広島市など大都市圏へ流出することが懸念される。 【具体例】 ○高松自動車道と神戸淡路鳴門自動車道が整備され,香川県が高速道路で関西地域に直 結したことに伴い,当初は予想されていなかった香川県内の消費者が関西地域へ流出 するストロー効果が発生した。また,この経路を走る関西方面への高速バスは,急速 に利用者を増加させている。 ③広域的な企業間および地域間競争の激化 高速道路網の整備により,地域の企業や住民は活動範囲が拡大するとともに,域外から の企業進出や来訪者の増加などの効果が期待される。その一方で,利便性向上により,地 域への流入・流出が容易になったことで,地域の事業環境は以前よりも広域的な企業間競 争にさらされることになる。特に,コンビニエンスストアや大手スーパー,ロードサイド 型の大手量販店などの進出や他地域の店舗との競合などが激化すると予想される。また, 地域資源を活かした集客施設等として,道の駅や大規模公園,ワイナリーなど類似施設が 多く,沿線地域間での競争を生じさせ,他の地域との差別化等が求められるようになる。 【具体例】 ○1996 年の京都縦貫自動車道八木園部道路の開通により,利便性を期待してIC周辺に 大規模小売店舗が立地した亀岡市では,小売販売額が飛躍的に増加し,商圏も拡大し たが,市内の小売店間の競合も激化することとなった。

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第2章 尾道松江線,東広島呉道路を例とした整備効果

1.整備路線および沿線の概要 (1)中国横断自動車道尾道松江線 ①整備路線の概要 尾道松江線は,広島県尾道市を起点に島根県松江市に至る延長約 137 ㎞の国土開発幹線 自動車道である。 このうち,尾道JCT∼三刀屋木次IC間は,2003 年 12 月の「第1回国土開発幹線自動 車道建設会議」を経て,2004 年1月に新直轄方式に切り替わり直轄事業の無料通行区間と して整備が進められている。その後,2010 年 11 月に尾道自動車道の尾道JCT∼世羅IC 間の 19.2 ㎞が供用開始されている。 図表 2-1 尾道松江線および周辺地域の概略図 資料:広島県ホームページ(2010 年 11 月)

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図表 2-2 尾道松江線の路線概要 図表 2-3 尾道松江線の整備概要(尾道∼三刀屋木次間) 尾道∼三次 三次∼三刀屋木次 起 終 点 起点:広島県尾道市美ノ郷町三成 終点:広島県三次市四拾貫町 起点:広島県三次市四拾貫町 終点:島根県雲南市三刀屋町三刀屋 計画延長 L=49.9km L=61.0km 計画交通量 5,800∼13,800 台/日 9,200∼13,100 台/日 設計速度 80km/h 車 線 数 2車線 資料:国土交通省中国地方整備局 ②尾道松江線の開通見通し 尾道松江線では,現在,世羅IC∼吉田掛合IC間の整備が進められている。広島県内 においては,2012 年度中に三次JCT・IC∼吉田掛合IC間が開通予定となっている。 これにより尾道松江線松江自動車道が中国縦貫自動車道と接続する。さらに,2014 年度中 に,世羅IC∼吉舎IC間が開通予定となっており,尾道松江線が全線開通し,中国縦貫 自動車道および山陽自動車道と接続する高速道路網が形成される。 図表 2-4 これまでの整備状況と開通予定 1987 年9月1日 予定路線として新規追加(高規格幹線道路網 14,000km) 国土開発幹線自動車道建設法の一部改正 2001 年3月 24 日 宍道IC∼松江玉造IC間供用 2003 年3月 16 日 宍道IC∼宍道JCT供用 三刀屋木次IC∼宍道JCT供用 2003 年 12 月 25 日 新直轄区間への移行 2004 年 1 月 30 日 新直轄区間として事業化(尾道JCT∼三刀屋木次IC) 2010 年 11 月 27 日 尾道JCT∼世羅IC間供用 ※御調IC(仮称)を尾道北IC,甲山IC(仮称)を世羅ICに名称決定 2012 年3月 24 日 吉田掛合IC∼三刀屋木次IC間供用(暫定) 2012 年度 三次JCT・IC∼吉田掛合IC間供用(暫定)予定 2013 年度 吉舎IC∼三次JCT・IC間供用(暫定)予定 2014 年度 世羅IC∼吉舎IC間供用(暫定)予定 【全線供用(暫定)】 資料:国土交通省中国地方整備局,広島県,島根県ホームページ 注:未供用のIC名等は仮称 I C 名 松 江 玉 造 宍   道 宍 道 J C T 三 刀 屋 木 次 吉 田 掛 合 高   野 口   和 三 次 J C T ・ I C 吉   舎 甲   奴 世   羅 尾 道 北 尾 道 J C T (資料)国土交通省 中国地方整備局  注:IC名の色付きは供用中(平成22年11月) 総 延 長 松江自動車道 71.6km 山陰自動車道 区間延長 県別延長 道路別延長 広島県 86.3km 島根県 50.9km 総延長 137.2 km 尾道自動車道 49.9km 8.1 12.3 12.2 7.0 22.9 12.5 13.3 10.3 14.1 1.6 10.6 12.3 資料:国土交通省中国地方整備局 注:IC名の色付きは供用中(2010 年 11 月)

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③沿線の概要 尾道松江線の沿線には,広島県側は尾道市,世羅町,三次市,庄原市,島根県側は雲南 市,松江市がある。 広島県側は,尾道市で山陽自動車道と接続するとともに,西瀬戸自動車道とも連絡して おり,東西・南北のルートを結ぶクロスポイントとなっている。また,世羅町,三次市, 庄原市の中山間地域を沿線に持ち,瀬戸内海沿岸部と中国山地の地域間交流を促進するル ートとなることが期待される。 広島県側の沿線市町の人口規模は合計で 26.0 万人,島根県側は 25.1 万人で合計 51.0 万 人であり,松江市を除く市町は過去5年間で5%前後の人口が減少している。また,高齢 化率も,広島県側は全市町で 30%を超え,過疎化,高齢化が進展している。 産業面でみると,第三次産業の構成比が6割前後と最も高くなっているが,三次市,庄 原市,世羅町,雲南市では第一次産業が 1 割以上を占めており,農林業の比率が比較的高 い地域となっている。 図表 2-5 沿線自治体の人口および産業構造(2005∼2010 年) 人口(人,%) 高齢化率(%) 産業構造(2005 年,上段:人,下段:%) 2005 年 2010 年 減少率 2005 年 2010 年 第一次 第二次 第三次 17,723 38,420 75,721 広島県側 271,554 259,600 -4.4 29.9 32.1 13.4 29.1 57.4 5,587 23,274 41,417 尾道市 150,225 145,202 -3.3 27.5 30.3 7.9 33.1 58.9 4,807 7,614 17,639 三次市 59,314 56,605 -4.6 29.9 31.4 16.0 25.3 58.7 5,011 5,090 11,910 庄原市 43,149 40,244 -6.7 36.2 37.7 22.8 23.1 54.1 2,318 2,442 4,755 世羅町 18,866 17,549 -7.0 34.9 36.0 24.4 25.7 50.0 9,340 27,973 88,080 島根県側 255,199 250,530 -1.8 23.7 25.7 7.4 22.3 70.2 5,913 20,622 75,361 松江市 210,796 208,613 -1.0 22.1 24.2 5.8 20.2 74.0 3,427 7,351 12,719 雲南市 44,403 41,917 -5.6 31.4 32.9 14.6 31.3 54.1 27,063 66,393 163,801 沿線自治体計 526,753 510,130 -3.2 26.9 28.9 10.5 25.8 63.7 資料:総務省「国勢調査」

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(2)東広島呉道路 ①整備路線の概要 東広島呉道路は呉市阿賀中央から東広島市高屋町溝口に至る約 33km を結ぶ一般国道の自 動車専用道路である。 1993 年度に国直轄代行方式による事業に移行し,無料通行区間として整備が進められ, 2007 年 11 月に上三永IC∼馬木IC間の 7.3km,2010 年3月山陽自動車道の高屋JCT・ IC∼上三永IC間の 4.4km が供用開始されている。 図表 2-6 東広島呉道路および周辺地域の概略図 注:図中の(2/4)は暫定2車線の区間を示す。 資料:広島県ホームページ 図表 2-7 東広島呉道路の路線概要 注:IC名の色つきは供用中(2011 年度) 図表 2-8 東広島呉道路の整備概要 起 終 点 起点:広島県東広島市高屋町溝口 終点:広島県呉市阿賀中央5丁目 計画延長 L=32.8km 計画交通量 15,700 台/日∼28,700 台/日 設計速度 80km/h 車 線 数 4車線 資料:国土交通省中国地方整備局 I C 名 阿 賀 郷 原 黒 瀬 馬 木 下 三 永 福 本 上 三 永 高 屋 J C T ・ I C 4.3 4.4 総延長 32.8km 区間延長 8.7 3.6 8.8 3.0

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②東広島呉道路の開通見通し 東広島呉道路では,現在,阿賀IC∼馬木IC間の整備が進められている。2012 年4月 には黒瀬IC∼阿賀IC間の 12.3km が開通予定で,2014 年度中には残りの馬木IC∼黒瀬 IC間が開通予定となっている。これにより東広島呉道路が全線開通となり,呉市と山陽 自動車道が直接高速道路によりネットワーク化される。 図表 2-9 これまでの整備状況と開通予定 1987 年6月 30 日 高規格幹線道路決定 1991 年 12 月 3 日 整備計画決定(東広島JCT∼馬木IC) 1991 年度 広島県事業化(1工区,L=11.7km) 1992 年度 広島県事業化(2・3工区,L=21.1km) 1993 年度 国直轄代行方式による事業に移行 1993 年7月 30 日 整備計画決定(馬木IC∼阿賀IC) 2007 年 11 月3日 上三永IC∼馬木IC供用(暫定) 2010 年3月 14 日 高屋JCT・IC∼上三永IC供用(暫定) 2012 年4月1日 黒瀬IC∼阿賀IC供用予定(暫定) 2014 年度 馬木IC∼黒瀬IC間供用(暫定)予定【全線供用(暫定)】 資料:国土交通省中国地方整備局 ③沿線の概要 東広島呉道路は,呉市から一部竹原市を通過して東広島市に至り,山陽自動車道に接続 するルートで整備が進められ,広島県西部の拠点都市間のネットワーク化が期待されてい る。 沿線地域の人口規模は約 46 万人で,東広島市は増加傾向にある。呉市,竹原市は減少傾 向にあり,沿線全体では微減となっている。また,高齢化率は竹原市で 30%を超えている ものの,大学等の集積する東広島市の比率が低いこともあり,沿線全体では 25%程度にと どまっている。 産業構造をみると,各市ともに第三次産業が6割を超えている一方,第二次産業も3割 を占めている。 図表 2-10 沿線自治体の人口および産業構造(2005∼2010 年) 人口(人,%) 高齢化率(%) 産業構造(2005 年,上段:人,下段:%) 2005 年 2010 年 減少率 2005 年 2010 年 第一次 第二次 第三次 4,419 33,987 77,274 呉市 251,003 239,973 -4.4 25.6 29.3 3.8 29.4 66.8 1,149 4,427 8,674 竹原市 30,657 28,644 -6.6 28.9 32.8 8.1 31.1 60.9 6,312 29,205 53,588 東広島市 184,430 190,135 3.1 16.4 18.7 7.1 32.8 60.1 11,880 67,619 139,536 沿線自治体計 466,090 458,752 -1.6 22.2 25.1 5.4 30.9 63.7 資料:総務省「国勢調査」

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道路整備 地域間の所要時間が短縮 産業・家計は、より取引コストが安くなるように取引先・消費先を見直す 取引先の企業の取引の変化は 各商品の需要に影響を及ぼす

家計

の行動変化

社会資本整備

産業

の行動変化

地域別の便益額

生産を 縮小 拡大 した産業は、収益 減少 増加 収益 減少 増加 の産業に従事している従業員は、所得 減少 増加 所得が 減少 増加 した従業員の家計は、消費 減少 増加 トータルで消費が 減少 増加 した地域では、 マイナス プラス の便益が帰着 取引コストが削減 需要が 減少 増加 した産業は、生産 縮小 拡大 モデル内では産業・家計と も合理的な行動を想定 産業:利益を最大化 家計:消費を最大化 増加 減少 2.全線開通に伴う影響・効果 (1)産業・経済活動への影響・効果の定量的把握 ①RAEM-Light とは ここでは,経済モデル「RAEM-Light(ラーム・ライト)」を用いて,尾道松江線および東 広島呉道路の全線開通によって産業活動や日常生活で発生する効果を分析する。 本モデルの構造は,下図で示すように道路整備がもたらす物流(生産)コストの低下が 地域の企業や消費者に波及することで,どの地域にどの程度の経済効果が生じるのかを計 測する仕組みになっている。 以下では,「産業の取引変化」と「産業の生産変化」に着目して整理を行う。 図表 2-11 RAEM-Light の効果計測の考え方 注:汎用型空間応用一般均衡モデル RAEM-Light は,ミクロ経済学の理論に基づき道路整備と地域相互の関係 をモデル化するもので,道路の費用便益分析や経済波及効果分析と異なり,整備された道路(社会資本ス トック)による時間短縮が,各地域にどのような定量的な波及(間接)効果をもたらすかを推計する手法 である。 算出される主なアウトプットは,「産業の取引変化」,「産業の生産変化」,「家計の所得水準の変化」,「地 域別の便益額」などであり,すべて貨幣価値で出力する。

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②分析対象路線 ここでは,2005 年時点の道路ネットワークを基本として,この基本ネットワークに尾道 松江線(尾道JCT∼三刀屋木次IC),東広島呉道路がともに全線開通した場合の効果を 計測する。 図表 2-12 分析の前提条件(分析対象路線) ③経済効果の試算結果 a.沿線自治体全体の傾向 ア)域内総生産の変化 尾道松江線および東広島呉道路の全線開通による域内総生産(GRP)の変化をみると, 広島県全体では 41 億円/年,島根県∼広島県の沿線自治体全体では 73 億円/年,増加さ せる効果がある。(ただし,ここでの沿線自治体とは,島根県松江市,出雲市,雲南市,安 来市,旧斐川町,旧東出雲町,奥出雲町,飯南町,広島県三次市,庄原市,世羅町,尾道 市,福山市,府中市,三原市,神石高原町,東広島市,呉市である。)しかしながら,広島 市だけでは,卸売業や観光業,製造業における取引が時間短縮効果の大きい周辺市(呉市 など)にシフトするため,7.2 億円/年の減少となっており,広島県全体の変化額を減少さ せる形となっている。 地域別にみると,尾道松江線沿線では南北方向の取引活発化により島根県東部から三次 市にかけてプラス効果が予想される。東広島呉道路沿線では,呉市が広島県内主要都市(東 広島市・福山市・尾道市など),岡山県南,関西方面へのアクセス性の向上によって,約 33 億円と最も大きいプラス効果が見込まれる。 なお,沿線以外の島根県西部についても,岡山県南,関西方面への時間短縮効果が大き くなるため,プラス効果が比較的大きく見込まれている。 中国横断自動車道 尾道松江線 (尾道JCT∼三刀屋木次IC) 尾道JCT 三刀屋木次IC 阿賀IC 高屋JCT・IC 東広島・呉自動車道 (高屋JCT・IC∼阿賀IC)

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長 長 長 長 長門門門門門市市市市市 福 福 福 福 福山山山山山市市市市市 廿 廿 廿 廿 廿日日日日日市市市市市市市市市市 北 北 北 北 北九九九九九州州州州州地地地地地区区区区区 下 下 下 下 下関関関関関市市市市市 八 八八八 八西西西西西地地地地地区区区区区 大 大大大大洲洲洲洲洲地地地地地区区区区区 松 松 松 松 松山山山山山地地地地地区区区区区 宇 宇 宇 宇 宇部部部部部市市市市市 今 今 今 今 今治治治治治地地地地地区区区区区 新 新 新 新 新居居居居居浜浜浜浜浜・・・・・西西西西西条条条条条地地地地地区区区区区 丸 丸 丸 丸 丸亀亀亀亀亀・・・・・坂坂坂坂坂出出出出出地地地地地区区区区区 高高高高高松松松松松地地地地地区区区区区 三 三三三三豊豊豊豊豊地地地地地区区区区区 山 山山山山口口口口口市市市市市 平 平平平平生生生生生町町町町町 田 田 田 田 田布布布布布施施施施施町町町町町 西 西 西 西 西播播播播播磨磨磨磨磨地地地地地区区区区区 播 播 播 播 播 上 上上上 上関関関関関町町町町町 岩 岩 岩 岩 岩国国国国国市市市市市 尾 尾尾尾尾道道道道道市市市市市 周 周 周 周 周防防防防防大大大大大島島島島島町町町町町 周 周周周 周南南南南南市市市市市 柳 柳柳柳柳井井井井井市市市市市 光 光 光 光 光市市市市市 山 山 山 山 山陽陽陽陽陽小小小小小野野野野野田田田田田市市市市市 下下下下下松松松松松市市市市市 防 防防防 防府府府府府市市市市市 萩 萩 萩 萩 萩市市市市市 阿 阿 阿 阿 阿武武武武武町町町町町 雲 雲 雲 雲 雲南南南南南市市市市市 江 江 江 江 江津津津津津市市市市市 大 大 大 大 大田田田田田市市市市市 益 益 益 益 益田田田田田市市市市市 出 出 出 出 出雲雲雲雲雲市市市市市 浜 浜 浜 浜 浜田田田田田市市市市市 松 松 松 松 松江江江江江市市市市市 岩 岩 岩 岩 岩美美美美美町町町町町 鳥 鳥 鳥 鳥 鳥取取取取取市市市市市 江 江 江 江 江田田田田田島島島島島市市市市市 海 海 海 海 海田田田田田町町町町町 東 東 東 東 東広広広広広島島島島島市市市市市 大 大 大 大 大竹竹竹竹竹市市市市市 三 三 三 三 三原原原原原市市市市市 竹 竹 竹 竹 竹原原原原原市市市市市 呉 呉 呉 呉 呉市市市市市 広 広 広 広 広島島島島島市市市市市 倉 倉 倉 倉 倉敷敷敷敷敷市市市市市 瀬 瀬 瀬 瀬 瀬戸戸戸戸戸内内内内内市市市市市 備 備 備 備 備前前前前前市市市市市 笠 笠笠笠笠岡岡岡岡岡市市市市市 玉玉玉玉玉野野野野野市市市市市 岡 岡 岡 岡 岡山山山山山市市市市市 浅 浅 浅 浅 浅口口口口口市市市市市 和 和 和 和 和気気気気気町町町町町 吉 吉 吉 吉 吉賀賀賀賀賀町町町町町 津 津 津 津 津和和和和和野野野野野町町町町町 邑 邑 邑 邑 邑南南南南南町町町町町 美 美 美 美 美郷郷郷郷郷町町町町町 川 川 川 川 川本本本本本町町町町町 斐 斐 斐 斐 斐川川川川川町町町町町 飯 飯 飯 飯 飯南南南南南町町町町町 奥 奥 奥 奥 奥出出出出出雲雲雲雲雲町町町町町 東 東 東 東 東出出出出出雲雲雲雲雲町町町町町 地 地 地区区区区区 安 安 安 安 安来来来来来市市市市市 区 区 区 区 区 久 久 久 久 久万万万万万地地地地地区区区区区 江 江 江 江 江府府府府府町町町町町 日 日 日 日 日野野野野野町町町町町 日 日 日 日 日南南南南南町町町町町 大 大大大 大山山山山山町町町町町 日 日 日 日 日吉吉吉吉吉津津津津津村村村村村 伯 伯 伯 伯 伯耆耆耆耆耆町町町町町 南 南南南南部部部部部町町町町町 琴 琴 琴 琴 琴浦浦浦浦浦町町町町町 北 北北北北栄栄栄栄栄町町町町町 三 三 三 三 三朝朝朝朝朝町町町町町 湯 湯 湯 湯 湯梨梨梨梨梨浜浜浜浜浜町町町町町 智 智 智 智 智頭頭頭頭頭町町町町町 若 若 若 若 若桜桜桜桜桜町町町町町 八 八 八 八 八頭頭頭頭頭町町町町町 宍 宍 宍 宍 宍粟粟粟粟粟地地地地地 境 境 境 境 境港港港港港市市市市市 倉 倉倉倉倉吉吉吉吉吉市市市市市 米 米 米 米 米子子子子子市市市市市 府 府 府 府 府中中中中中市市市市市 神 神 神 神 神石石石石石高高高高高原原原原原町町町町町 世 世 世 世 世羅羅羅羅羅町町町町町 安 安 安 安 安芸芸芸芸芸高高高高高田田田田田市市市市市 北 北 北 北 北広広広広広島島島島島町町町町町 安 安 安 安 安芸芸芸芸芸太太太太太田田田田田町町町町町 坂 坂 坂 坂 坂町町町町町熊熊熊熊熊野野野野野町町町町町 府 府 府 府 府中中中中中町町町町町 庄 庄 庄 庄 庄原原原原原市市市市市 三 三 三 三 三次次次次次市市市市市 美 美 美 美 美咲咲咲咲咲町町町町町 久 久 久 久 久米米米米米南南南南南町町町町町 美 美 美 美 美作作作作作市市市市市 西 西 西 西 西粟粟粟粟粟倉倉倉倉倉村村村村村 奈 奈 奈 奈 奈義義義義義町町町町町 勝 勝 勝 勝 勝央央央央央町町町町町 津 津 津 津 津山山山山山市市市市市 鏡 鏡 鏡 鏡 鏡野野野野野町町町町町 真 真 真 真 真庭庭庭庭庭市市市市市 新 新 新 新 新庄庄庄庄庄村村村村村 新 新 新 新 新見見見見見市市市市市 井 井井井井原原原原原市市市市市矢矢矢矢矢掛掛掛掛掛町町町町町 早 早 早 早 早島島島島島町町町町町 阿 阿 阿 阿 阿東東東東東町町町町町 赤 赤 赤 赤 赤磐磐磐磐磐市市市市市 吉 吉 吉 吉 吉備備備備備中中中中中央央央央央町町町町町 高 高 高 高 高梁梁梁梁梁市市市市市 総 総 総 総 総社社社社社市市市市市 秋 秋 秋 秋 秋芳芳芳芳芳町町町町町 美 美 美 美 美東東東東東町町町町町 和 和 和 和 和木木木木木町町町町町 里 里 里 里 里庄庄庄庄庄町町町町町 美 美 美 美 美祢祢祢祢祢市市市市市 図表 2-13 GRP(域内総生産)増加量の分布 イ)産業別付加価値額の変化 尾道松江線および東広島呉道路の全線開通による,島根県∼広島県の沿線自治体におけ る産業別付加価値額の変化をみると,観光業が最もプラス効果が大きい産業となっており, 年当たり約 47 億円の増加が見込まれる。また,変化率でみると,農林業の伸びが最も高く, 2%以上の上昇が見込まれる。 商業については,小売業が約 18 億円,卸売業が約 12 億円と比較的高い変化額が見込ま れており,産業規模の大きい都市部でプラス効果が期待される。 製造業については,一般機械器具製造業での増加額が比較的大きくなっている。さらに, 鉄鋼業も大きく増加している。ただし,これは呉市に製鉄所が立地していることによるも のと考えられ,製品の性質上,海上交通に依存し,高速道路を利用する割合は高くないこ とに注意する必要がある。 図表 2-14 産業別付加価値額の変化(島根県∼広島県沿線自治体全体) GRPの増加量 ■広島県全体:41 億円/年 ■島根県∼広島県沿線自治体全体:73 億円/年 46.9 23.7 18.1 16.0 13.2 11.9 5.6 4.8 4.5 3.2 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 観 光 業 鉄 鋼 業 小 売 業 農 林 業 一 般 機 械 器 具 製 造 業 卸 売 業 電 子 部 品 ・デ バ イ ス ・ 造 業 窯 業 ・土 石 製 品 製 造 輸 送 用 機 械 器 具 製 造 食 料 品 製 造 業 変 化 率 ( % ) 変化 額 ( 億 円 ) わが国の経済成長率 (’91-10平均) 0.9% 観 光 業 鉄 鋼 業 小 売 業 農 林 業 一 般 機 械 器 具 製 造 業 卸 売 業 電 子 部 品 ・ デ バ イ ス 電 子 回 路 製 造 業 窯 業 ・ 土 石 製 品 製 造 輸 送 用 機 械 器 具 製 造 食 料 品 製 造 業

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b.産業別取引額の変化 ア)観光業 広島エリアでは,尾道松江線による松江方面からの入込観光客の増加,東広島呉道路に よる主に呉市への関西方面からの入込観光客の増加が見込まれる。備後エリアでは,尾道 松江線による松江方面からの入込観光客の増加が見込まれる。一方,備北エリアでは入込 観光客の大幅な増加は見込まれていない。 図表 2-15 観光業の取引変化 イ)製造業 広島エリアでは,尾道松江線による松江方面への出荷拡大,東広島呉道路による岡山・ 関西方面への出荷拡大が見込まれる。備後エリアでは,尾道松江線による松江方面への出 荷拡大,東広島呉道路による呉市方面への出荷拡大が見込まれる。備北エリアでは,尾道 松江線による岡山方面への出荷拡大が見込まれる。 図表 2-16 製造業の取引変化 松江着 雲南着 広島着 備北着 備後着

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ウ)商業(卸売・小売業) 広島エリアでは,尾道松江線による松江方面への取引拡大,東広島呉道路による岡山・ 関西方面への取引拡大が見込まれる。備後エリアでは,尾道松江線による松江方面への取 引拡大,東広島呉道路による呉市方面への取引拡大が見込まれる。また,備北エリアでは, 尾道松江線による関西方面への取引拡大が見込まれる。 図表 2-17 商業(卸売・小売業)の取引変化 エ)農林業 広島エリアでは,尾道松江線による松江方面への出荷が拡大するとともに,東広島呉道 路により岡山・関西方面への出荷拡大が見込まれる。備後エリアでは,尾道松江線による 松江方面への出荷拡大が見込まれる。備北エリアでは,尾道松江線による岡山・四国・関 西方面への出荷拡大が見込まれる。 図表 2-18 農林業の取引変化

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④試算結果にみる高速道路整備がもたらす時間距離短縮効果 これまでの試算結果から,尾道松江線,東広島呉道路の開通により次のような効果が期 待される。 ○ 尾道松江線の整備によって最もプラス効果が大きいのは,山陽・四国などへのアク セス性が大きく向上する島根県東部であり,広島県内では,沿線地域で時間短縮効果 が比較的大きな三次市,世羅町等である。 ○ 東広島呉道路の整備によって最もプラス効果が大きいのは,呉市であり,時間短縮 効果が少ない東広島市へのプラス効果は小さい。 ○ なお,広島市のGRPが 7.2 億円/年の減少となるのは,卸売業や製造業では呉市 に,観光業では松江市等に取引・来訪のシフトが生じるためであるが,これはより時 間短縮効果の大きい地域に対し需要がシフトする本モデルの特性によるものである。 ○ 産業別にみると,観光業は,広島県内では呉市が東広島呉道路により関西方面から のアクセスが向上するため,増加が見込まれる。 ○ 尾道松江線沿線の三次市などは大きな変化はみられない結果となっているが,中国 縦貫自動車道とのクロスポイントとなる地理的条件を活かし,交流が活発化すること が見込まれる山陽から山陰へのヒト,モノの流れを取り込むことで,推計結果以上の 効果を引き出すよう,取り組みを工夫する必要がある。 ○ 農林業は,成長率が高く,産業規模に対して大きなプラス効果が期待される産業で あり,特に備北エリアは尾道松江線整備により広域的な取引拡大が期待される。 ○ 製造業については,一般機械器具製造業など沿線で集積の高い加工組立型産業にお いて,高速道路整備により原材料の調達等も効率的になり,生産コストが低減するこ とから成長が期待される。 また,呉市に立地する鉄鋼業の伸びが高いという結果が出ているが,陸上輸送の割 合が低いことへの注意が必要である。 ○ 試算結果によると,沿線地域で広く押し上げ効果が期待されるが,備後エリア,広 島エリアは他の沿線地域と比較して経済成長が鈍い可能性がある。これは,取引関係 上,尾道松江線,東広島呉道路開通による時間短縮の効果をあまり受けないことが原 因として考えられる。

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(2)産業・経済活動への影響・効果の定性的把握 ①沿線自治体における高速道路整備の効果と影響(ヒアリング調査) ○ 尾道松江線沿線では,三次市・庄原市は中国縦貫自動車道とのクロスポイントとな ることを意識し,広域的な高速道路網の中継地としての役割,周辺地域との連携強化 に対する意識が強くみられた。 ○ 一方,尾道市・世羅町では,周辺との交流が若干弱いものの,山陽自動車道とのク ロスポイントであることを活かし,関西・四国方面との交流拡大に対する期待が大き い。また,今後の対応方策として,無料通行のメリットを活かした取り組みの必要性 などを挙げている。 ○ 東広島呉道路のターミナルポイントである呉市は,道路で結ばれる東広島市との連 携の弱さを課題として挙げており,広島市も含めた広島県西部におけるトライアング ルの連携強化やターミナルポイントとしてのイメージアップなどを期待している。 また,地域内の渋滞解消や整備が進む阿賀マリノポリス地区の物流機能等を活かし た市内への企業誘致などにより,道路整備効果の拡大を期待している。 ○ なお,広島県は,県内高速道路網の整備に伴い,広島空港および周辺地域の利活用 に関する期待もあり,広島中央フライトロード(世羅町∼東広島市河内町)やフルー ツロード(世羅町∼三原市大和町)の整備など関連道路の整備と合わせた相乗効果が 発揮されることを期待している。 広島中央フライトロード・広島空港大橋(2011 年4月開通)

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図表 2-19 ヒアリング結果概要 三次市・庄原市 尾道市・世羅町 呉市 ① 地域 の現 状 認識 ○人口減少,若年層の減 少 ○日帰り観光が中心 ○関西,四国方面から観 光農園への観光客が 急増 ○造船,農業,漁業は沈 滞だが,観光客は増加 ○企業立地の遅れ ○中心市街地の空洞化 ②地域間交流 ○買物・レジャーで広島 市への流出 ○中継地としての役割 が増加 ○周辺地域との結びつ きが強まる ○周辺との交流が強く はない ○銀山街道,日本風景街 道の取組を展開 ○東広島市から,呉方面 への交流が少ない ③メリット, 期待 ○山陰山陽での広域的 なネットワーク形成 ○市内に複数のICの 整備が実現 ○無料道路で自由な出 入りが可能 ○無料であり,市内企業 団地への進出促進 ○山陽自動車道との直 結 ○広島市,東広島市との トライアングルの形 成 ○ターミナルポイント としてのイメージア ップ ○市内交通渋滞の解消 ④デメリット, 課題対応 ○過疎化の進展,雇用の 流出 ○若年層の一層の流出 ○通過地となることへ の懸念 ○通過地となることへ の懸念 ○既存商業施設の売上 げ減少 ○尾道自動車道の開通 時期の遅れ ○海運依存で陸送の交 通量が少ない ○東広島市との連携の 弱さ ⑤ 活用 すべ き 強み・資源 ○山陰山陽の要衝 ○IC周辺に整備予定 の道の駅 ○高速道路の結節点(ク ロスポイント) ○スポーツ合宿等への 取組 ○阿賀マリノポリス地 区 ○病院等医療施設の集 積 広島県 ・広島空港利用・周辺利用の低迷,空港周辺の企業進出の遅れがみられる。 ・周辺の高速道路の整備や広島中央フライトロード,フルーツロードの整備等により,空港 周辺の未利用地,関連施設を広島臨空オフィス等としての有効利用や中央森林公園など県 立施設の魅力向上を図っていきたい。 ・そのためには,利用促進のための広報活動や空港および高速道路沿線周辺地域への来訪者 の誘致,周辺施設への誘導が必要と考えている。

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②企業における高速道路整備の効果と影響(アンケート調査) a.調査の目的 尾道松江線や東広島呉道路の全線開通を目前に控え,整備後の高速道路網の有効活用を 図るため,沿線地域の企業等を対象に,高速道路の活用状況や整備後の利用可能性,高速 道路の利活用による地域活性化の方向性等について調査を行い,今後の高速道路の利活用 による広島県経済の振興方策を検討する上での基礎資料とすることを目的とする。 b.調査概要 ア)調査手法 : 郵送による発送・回収 イ)調査時期 : 2012 年1月 ウ)調査対象地域 : 尾道松江線,東広島呉道路の沿線エリア(6エリアに区分) エ)調査対象 : 高速道路の利活用が想定される業種(農林水産業,製造業,卸売 業,小売業,飲食業,娯楽・レジャー業,宿泊業)の企業(従業員 5人以上)および広島県,島根県のJA。 企業については,エリアごとに 200 社を抽出(雲南エリアは対象 企業が 200 社に満たないため全数を対象とした)。 オ)発送・回収状況 図表 2-20 発送・回収状況 区分 発送数 回収数 回収率 全体 1,185 328 27.7 広島県 812 185 22.8 広島エリア 207 42 20.3 備後エリア 201 38 18.9 尾三エリア 202 49 24.3 備北エリア 202 56 27.7 島根県 369 140 37.9 松江・出雲エリア 204 63 30.9 雲南エリア 165 77 46.7 その他 4 3 75.0 注:島根県では,対象エリア外の4JAも対象とした。

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3.9 2.5 3.3 15.9 12.1 12.5 35.5 44.4 45.9 29.5 36.2 48.2 51.3 45.7 44.3 45.5 44.8 21.4 12.5 2.6 4.9 9.8 4.5 5.2 21.4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 物流 営業等での社員の移動 来訪する顧客 物流 営業等での社員の移動 来訪する顧客 広 島 県 (参 考 )島 根 県 大幅に増加する 増加する ほとんど変化しない 減少する 大幅に減少する わからない 無回答 36.9 42.7 36.0 28.0 4.6 41.1 43.8 33.0 24.9 5.9 31.4 41.4 40.0 32.9 2.1 0 20 40 60 物流において利用している 営業等での社員の移動で利用している 来訪する顧客が高速道路を利用してい る 事業に高速道路の利用は関係ない その他 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 c.調査結果概要 ア)高速道路の主な利活用の状況 ・何らかの形で高速道路を事業で利用している企業は全体の6∼7割であり,広島県では, 営業等での社員の移動,物流などで4割程度の企業が利用している。 図表2-21 高速道路の主な利活用の状況 イ)将来の高速道路利用の見込み ・広島県では,将来高速道路の利用が大幅に増加するという企業は少ないものの,4割前 後の企業が増加すると回答している。 図表 2-22 将来の高速道路利用の見込み n=76 n=81 n=61 n=44 n=58 n=56

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17.1 11.0 10.4 9.8 8.5 6.4 3.0 2.7 2.1 2.1 14.6 11.4 10.8 11.4 9.7 4.3 0.5 2.2 1.6 2.7 20.7 10.7 10.0 7.9 7.1 9.3 6.4 3.6 2.9 1.4 0 5 10 15 20 25 広島エリア 備後エリア 尾三エリア 松江・出雲エリア 備北エリア 雲南エリア 石見・他エリア 備中エリア 米子エリア 愛媛県 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 5.8 3.7 3.4 3.0 1.8 1.8 1.8 0.9 0.6 0.6 6.5 3.8 1.1 0.5 2.7 3.2 0.0 0.5 0.0 1.1 5.0 3.6 6.4 6.4 0.7 0.0 3.6 1.4 1.4 0.0 0 2 4 6 8 10 備北エリア 広島エリア 松江・出雲エリア 雲南エリア 備後エリア 尾三エリア 石見・他エリア 米子エリア 芸北エリア 岡山県北エリア (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 ウ)新たな高速道路整備により取引等が増加・減少するエリア ・新たな高速道路整備により取引等が増加する地域としては,広島エリアへの期待が最も 高く,備後エリア,尾三エリア,松江・出雲エリアなど産業集積が比較的高い地域が上 位となった。なお,広島エリアは特に島根県企業の取引拡大意向が強くなっている。 ・一方,取引等が減少する地域としては,備北エリアが比較的高くなっており,高速道路 整備の悪影響が懸念される地域となっている。 図表 2-23 新たな高速道路整備により取引等が増加・減少するエリア (取引が増加するエリア) (取引が減少するエリア) ・エリア別にみると,取引増加を見込む企業が多いのは,備北エリアでは尾三エリア,備 後エリアでは松江・出雲エリアなどとなっている。 ・一方,取引が減少すると見込む企業が比較的多いのは,備北エリアでは自地域,尾三エ リアでは広島エリアとなっている。 図表 2-24 新たな高速道路整備により取引等が増加・減少するエリア(エリア別・上位5位) 取引等が増加するエリア 取引等が減少するエリア 広島 尾三 備後 松江・出雲 備北 鳥取 倉吉 米子 福岡県 広島エリア 16.7 9.5 4.8 4.8 4.8 2.4 2.4 2.4 2.4 広島 松江・出雲 備後 備北 雲南 広島 尾三 備北 井笠 岡山県北 備後エリア 10.5 10.5 7.9 7.9 5.3 2.6 2.6 2.6 2.6 2.6 広島 備後 備北 松江・出雲 尾三 広島 尾三 備後 尾三エリア 26.5 16.3 16.3 14.3 6.1 10.2 8.2 6.1 尾三 備後 松江・出雲 備北 雲南 備北 松江・出雲 備後 雲南 広島 備北エリア 21.4 14.3 14.3 8.9 7.1 19.6 3.6 3.6 1.8 1.8 広島 雲南 尾三 備後 松江・出雲 石見・他 松江・出雲 雲南 広島 備北 松江・出雲 エリア 25.4 15.9 14.3 12.7 9.5 4.8 3.2 3.2 3.2 3.2 広島 備後 尾三 松江・出雲 備北 松江・出雲 雲南 備北 広島 石見・他 雲南エリア 16.9 9.1 6.5 6.5 6.5 9.1 9.1 6.5 3.9 2.6

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80.4 38.8 30.1 22.8 15.1 14.4 13.1 75.0 38.1 24.4 18.5 11.3 10.7 15.5 86.8 39.6 36.8 27.8 19.4 18.8 10.4 0 20 40 60 80 100 所要時間が短縮されるため 移動可能範囲が拡大するため 時間の見込みが立てやすくなるため 運転の負担が軽減するため 物流費・通行料金が低減できるため 新規性があり,来訪者の関心が高まる ため 周辺地域との周遊性が高まるため (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 10.4 8.5 8.5 5.2 1.5 7.6 9.7 7.0 5.4 0.5 13.6 7.1 10.0 4.3 2.9 0 10 20 30 40 50 移動可能範囲が拡大し,より遠方へ来 訪する人が増加するため 物流・通行ルートが変化するため 周辺地域の競合企業・施設等との競争 が激化するため 利便性が高まる他地域との取引が増 加するため その他 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 2.7 13.7 4.3 50.0 1.2 2.2 11.9 3.8 55.1 0.0 3.6 16.4 5.0 43.6 2.9 0 10 20 30 40 50 60 沿線地域に新たな事業所,店舗,集客 施設,物流拠点等を立地したい 新規取引先,新規顧客の発掘を目指し たい 新たな事業分野に進出したい 新たな取り組みは考えていない その他 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 エ)新たな高速道路整備により取引等が増加・減少する理由 ・新たな高速道路整備による取引等の増加理由をみると,「所要時間が短縮されるため」が 突出して高くなっており,これに「移動可能範囲が拡大するため」や「時間の見込みが 立てやすくなるため」などが続いている。 ・一方,取引等が減少する理由をみると,「移動可能範囲が拡大し,より遠方へ来訪する人 が増加するため」や「物流・通行ルートが変化するため」,「周辺地域の競合企業・施設 等との競争が激化するため」などが高くなっている。 図表 2-25 新たな高速道路整備により取引等が増加・減少する理由 (取引等が増加する理由) (取引等が減少する理由) オ)新たな事業展開の可能性 ・高速道路整備に伴う,新たな事業展開の可能性をみると,多くは「新たな取り組みは考 えていない」と回答しており,「新規取引先,新規顧客の発掘を目指したい」とする企業 は 1 割程度と少なくなっている。 ・なお,「沿線地域に新たな事業所,店舗,集客施設,物流拠点等を立地したい」や「新た な事業分野に進出したい」とする企業は5%に満たない。 図表 2-26 新たな事業展開の可能性

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18.9 7.6 27.6 14.1 11.4 4.9 15.7 10.3 47.0 31.4 25.4 14.1 29.7 13.5 18.4 11.9 24.3 43.2 32.4 43.2 36.8 53.0 38.4 43.8 6.5 14.1 10.8 24.9 20.0 25.4 24.3 30.8 0% 20% 40% 60% 80% 100% 整備地域(ルート) 開通時期 無料通行できる 沿線にSA,PAが整備されない 整備地域(ルート) 開通時期 無料通行できる 沿線にSA,PAが整備されない 尾道松江 線 東広島呉道 路 よく知っている ある程度知っている あまり知らない まったく知らない 無回答 31.1 27.6 35.7 14.3 18.9 8.6 17.7 19.5 15.7 14.9 17.8 11.4 18.9 20.0 17.9 20.1 23.8 15.7 11.6 13.0 9.3 19.8 16.2 24.3 16.2 16.2 15.7 22.0 16.8 27.9 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体 広島県 島根県 全体 広島県 島根県 尾 道 松江 線 東 広島 呉 道 路 ぜひ利活用したい 利活用を検討したい あまり利活用するつもりはない 利活用しない わからない その他 無回答 カ)尾道松江線,東広島呉道路の認知度 ・尾道松江線の認知度をみると,整備地域(ルート)や無料通行できることは比較的よく 知られているが,開通時期や沿線にSA,PAが整備されないことはあまり知られてい ない。 ・また,東広島呉道路の認知度をみると,全般的に尾道松江線に比べて認知度が低く,特 に開通時期や沿線にSA,PAが整備されないことは2割前後の企業にしか知られてい ない。 図表 2-27 尾道松江線,東広島呉道路の認知度(広島県企業) n=185 キ)尾道松江線,東広島呉道路の利用意向 ・尾道松江線,東広島呉道路の利用意向をみると,尾道松江線は約半数の企業が利用を検 討している一方,東広島呉道路は広島県企業でも4割に満たない状況である。 図表 2-28 尾道松江線,東広島呉道路の利用意向 全 体:n=328 広島県:n=185 島根県:n=140

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56.4 24.7 32.6 21.3 27.1 19.8 33.2 4.3 57.3 24.3 30.3 15.7 21.1 19.5 38.9 3.8 55.7 25.7 36.4 29.3 35.0 20.7 26.4 5.0 0 10 20 30 40 50 60 70 各地への所要時間が短縮され,住民の生活圏 (通勤通学,買い物,通院等)が拡大する 来訪者が拡大し,地域に賑わいが生まれる 事業活動範囲が拡大し,新たなビジネス チャン スが生まれる 物流費や通行費などの軽減が図られ,企業誘 致や施設誘致が優位になる 複数の移動ルートが形成され,災害等が発生し た際の移動が確保される 緊急搬送などの所要時間が短縮され救命率が 向上する 既存国道等の交通渋滞が緩和される その他 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 23.2 44.2 34.5 18.0 13.1 3.0 15.7 33.5 33.5 15.1 11.9 4.3 32.9 59.3 35.7 22.1 15.0 1.4 0 10 20 30 40 50 60 70 人口,企業,域内需要などが域外に流 出する(ストロー効果) 人流・物流が高速道路にシフトし,既存 国道沿線などがさびれる 移動が容易になることで広域的な競争 が生じる 新たに同業他社等が進出する 交通事故などが増加する その他 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 ク)高速道路整備で地域に期待される効果,懸念される影響 ・高速道路整備で地域に期待される効果としては,「各地への所要時間が短縮され,住民の 生活圏が拡大する」が突出して高く,「既存国道等の交通渋滞が緩和される」や「事業活 動範囲が拡大し,新たなビジネスチャンスが生まれる」なども高くなっている。 ・一方,高速道路整備において地域で懸念される影響をみると,「人流・物流が高速道路に シフトし,既存国道沿線などがさびれる」が最も高く,これに「移動が容易になること で広域的な競争が生じる」や「人口,企業,域内需要などが域外に流出する(ストロー 効果)」が続いている。 図表 2-29 高速道路整備で地域に期待される効果,懸念される影響 (期待される効果) (懸念される影響)

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39.0 39.0 36.0 22.0 21.6 18.0 33.0 36.2 40.5 18.9 21.1 15.7 47.9 42.9 30.7 25.7 22.1 21.4 0 10 20 30 40 50 60 積極的な企業誘致 地域の魅力をPRする情報発 信の強化 道の駅や商業施設等の集客 施設の整備 地域資源を活用した特産品開 発 高速バス等の広域公共交通 の誘致 企業団地等の整備 (%) 17.7 16.5 14.0 14.0 8.5 7.0 13.5 14.1 13.5 16.8 8.1 6.5 23.6 19.3 15.0 10.7 9.3 7.9 0 10 20 30 40 50 60 広域公共交通と連動した域内 公共交通網の整備 広域的な連携組織の設立 飲食関連サービスの充実 医療関連施設の整備・機能強 化 良質な住宅用地等の整備 地域内での活用推進組織の 設立 (%) 全体 n=328 広島県 n=185 島根県 n=140 28.6 33.3 33.3 16.7 23.8 14.3 23.7 36.8 50.0 13.2 15.8 13.2 28.6 30.6 42.9 18.4 16.3 26.5 46.4 42.9 37.5 25.0 26.8 8.9 0 10 20 30 40 50 60 積極的な企業誘致 地域の魅力をPRする情報発 信の強化 道の駅や商業施設等の集客 施設の整備 地域資源を活用した特産品開 発 高速バス等の広域公共交通 の誘致 企業団地等の整備 (%) 28.6 7.1 4.8 21.4 11.9 9.5 2.6 7.9 7.9 13.2 5.3 2.6 18.4 10.2 18.4 16.3 4.1 4.1 5.4 26.8 19.6 16.1 10.7 8.9 0 10 20 30 40 50 60 広域公共交通と連動した域内 公共交通網の整備 広域的な連携組織の設立 飲食関連サービスの充実 医療関連施設の整備・機能強 化 良質な住宅用地等の整備 地域内での活用推進組織の 設立 (%) 広島エリアn=42 備後エリアn=38 尾三エリアn=49 備北エリアn=56 ケ)尾道松江線や東広島呉道路を有効活用するために地域が取り組むべき方策 ・尾道松江線や東広島呉道路を有効活用するために地域が取り組むべき方策としては,「積 極的な企業誘致」や「地域の魅力をPRする情報発信の強化」,「道の駅や商業施設等の 集客施設の整備」が比較的多くなっている。 図表 2-30 尾道松江線や東広島呉道路を有効活用するために地域が取り組むべき方策 ・エリア別にみると,備北エリアでは「積極的な企業誘致」や「地域の魅力をPRする情 報発信の強化」,「地域資源を活用した特産品開発」が多く,備後エリアでは「道の駅や 商業施設等の集客施設の整備」が多いという特徴がある。また,尾三エリアでは「企業 団地などの整備」が比較的多いという特徴がみられる。 図表 2-31 エリア別を有効活用するために地域が取り組むべき方策

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3.整備効果のまとめ ○ RAEM-Light を用いた高速道路整備効果の定量的な分析によると,時間短縮効果が大き いのは島根県東部,呉市および広島県北部沿線地域である。 ○ 産業別では観光業へのプラス効果が大きく,これに製造業,商業などで付加価値額の 増加が多くなっている。また,農林業は増加率が突出して高くなっており,地域によっ ては有望な成長産業となることが期待される。 ○ 定量的に把握された整備効果を発現させるためには,沿線自治体に対するヒアリング 調査や関係地域立地企業へのアンケート調査により把握された定性的な条件を踏まえ た対応が重要となる。 ○ 沿線自治体へのヒアリング調査では,クロスポイントとなる尾道市や三次市など地域 間交流の集中する地域において通過交通を地域へ流入させる取り組みの必要性が挙げ られ,地域資源の活用による魅力づくりや情報発信の重要性も指摘された。 ○ 東広島呉道路のターミナルポイントとなる呉市は,広島県西部での広島市,東広島市 とのトラインアングルの連携強化,道路整備による域内交通の渋滞緩和や整備の進む港 湾機能等を活かした企業誘致などに力を入れる方向性が挙げられた。 ○ 関係地域立地企業へのアンケート調査では,地域内における企業の高速道路利用率は 6∼7割と高く,今後利用率を拡大すると回答した企業も半数程度あることが把握され た。特に,時間短縮効果による事業範囲の拡大への期待が大きかった。 ○ また,取引等が増加するエリアとしては,中国地域の高次都市機能や人口の集積する 広島エリアを挙げる企業が多く,大都市圏への期待が高くなっている。 ○ 一方で,尾道松江線および東広島呉道路の認知度は十分でなく,両道路の利用意向は 5割未満で,沿線での新たな事業展開意向も低い。新たに整備される道路の利用促進を 図るためにも,道路整備に関する情報発信は重要と考えられる。 ○ 高速道路の有効活用に向けて地域が取り組むべき方策としては,広島県では「道の駅 や商業施設等の集客施設の整備」や「地域の魅力をPRする情報発信の強化」など集客・ 交流に関連した項目を挙げる企業が多くなっている。 ○ また,RAEM-Light による推計結果では,尾道松江線沿線の備北エリアにおける観光業 のプラス効果はそれほど大きくなかった。高速道路整備により通過型とならないよう, クロスポイントとしてのメリットを活かし,観光・交流機能の強化を高速道路全通まで の期間に取り組んでいくことが重要である。

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第3章 九州地域における高速道路網を活用した地域振興

∼ 佐賀県鳥栖市,大分県日田市などにおける取り組み事例 ∼ 1.九州地域における高速道路網 九州地域の高速道路網は,1971 年に九州縦貫自動車道の植木IC∼熊本IC(いずれも 熊本県)間の開通を皮切りに,順次整備が進められてきた。1996 年に九州横断自動車道長 崎大分線の玖珠IC∼湯布院IC(いずれも大分県)間が開通したことで,九州縦貫自動 車道と九州横断自動車道が十字型につながる「クロスハイウエイ」が完成した。また,1999 年には福岡都市高速道路と九州縦貫自動車道が大宰府IC(福岡県)で直結し,県庁所在 地がすべて高速道路で結ばれることになった。現在は,「循環型ハイウエイ」の完成を目指 し,東九州自動車道,西九州自動車道などの整備が進められている。 九州地域戦略会議が 2005 年にまとめた資料によると,「循環型ハイウエイ」の完成は以下 の整備効果や経済効果をもたらすと期待されている。 (2005 年)クロスハイウエイ (将来図)循環型ハイウエイ 図表 3-1 九州地域における高速道路網整備 資料:九州地域戦略会議循環型高速交通体系整備検討委員会「九州における循環型高速道路ネットワークの 整備効果」(2005 年6月) ● 循環型高速道路の整備効果 ① 利用機会の拡大効果(高速道路の交通量は 34.4%増加/人口の9割以上がIC 30 分圏内に/製造業,小売業で9割,農業就業者の8割がIC30 分圏域) ② 回廊性の効果(通過箇所数が大幅増/災害時の代替機能) ③ 最短経路選択の効果(時間短縮の効果/分散による交通円滑化/部品調達や外注 等の取引先が九州一円に)

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2.高速道路網を活用した地域振興の取り組み事例 (1)高速道路の沿線都市における取り組み ① 佐賀県鳥栖市 a.鳥栖市の概要 ・もともと鉄道や主要一般道の分岐点に位 置する「交通の要衝」で,高速道路のク ロスポイントとなり,九州主要都市に3 時間以内でアクセス可能となった。特に, 福岡市には約 25 分で到達できることから, 同市のバックヤードとして機能している。 ・JR鳥栖貨物ターミナル駅の開業(2006 年),九州新幹線鹿児島ルートの全線開通 と新鳥栖駅の設置(2011 年)により,交 通結節機能は一層強化された。 ・交通アクセスの良さを活かして九州有数の 成長都市となり,現在も人口は増加してい る。同市の発展に加え,九州域内の高速道路網の整備が進んでいることから,鳥栖I Cの利用台数は増加傾向で推移している。 資料:九州地域戦略会議循環型高速交通体系整備検討委員会「九州における循環型高速道路ネットワークの 整備効果」(2005 年6月) 0 1 2 3 福岡 北九州 長崎 熊本 大分 鹿児島 宮崎 広島 25分 1時間 1時間25分 1時間 1時間30分 2時間30分 3時間15分 3時間30分 h h h 図表 3-2 各都市からの所要時間 (高速道路利用時) 図表 3-3 鳥栖市の人口推移 資料:鳥栖市 資料:総務省「国勢調査報告」 57,413 60,726 64,723 69,074 0 20,000 40,000 60,000 1995 2000 2005 2010 (人) 年 ● 経済効果の測定 ① 走行時間の短縮効果(年間1兆 9,900 億円) ② 走行経費節減効果(年間 1,024 億円) ③ 交通事故減少効果(年間 1,651 億円) ④ 環境負荷軽減効果(CO2福岡ドーム年間 360 個分削減) 図表 3-4 鳥栖ICの利用状況 資料:西日本高速道路株式会社 250 300 350 400 450 02 03 04 05 06 07 08 09 (万台) 年度 流入 流出

参照

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