所得税と所得割の違い
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57
住
民
税
住民税が課税されない人とは
下の①〜③の条件に該当する人は、均
等割と所得割(ただし、分離課税となる
退職所得の所得割は除きます)が非課税
になります。
■
所得割のみ非課税になる人
■
均等割と所得割が非課税になる人
以下の条件に該当する人は、所得割(分
離課税となる退職所得の所得割を除く)
が非課税になります。ただし、均等割は
課税されます。
住民税(所得割)の計算方法と納税
3
住民税における所得金額は、原則とし
て前年の所得税における所得金額と同じ
です(前年所得課税)。つまり、平成27
年の所得税の総所得金額、山林所得金額、
退職所得金額(現年所得課税された退職
所得を除きます)、土地・建物等の譲渡
所得金額などが、おおむね平成28年度
住民税の各所得金額になります。
このように、住民税と所得税の所得金
額は1年ずれるだけで、税額計算上の仕
組みはおおよそ同じです。ただし、次の
Q&Aのように異なる点もあります。
-2
所得金額の求め方
所得税と所得割の違い
所得税も所得割も、納税者
の1年間の所得に対して課
される税ですから、基本的な仕組み
は同じです。ただし、いくつか異な
る点もあります。
両者の主な相違点は以下の通りで
す。
所得税と住民税の所得割の仕組みはとてもよく似ていま
すが、税額控除など異なる点もあるように思います。ほ
かにどのような違いがあるのか教えてください。
上場株式等の譲渡により発生した一定の
譲渡益に対し、道府県民税として5%の
税率で徴収されます。特定口座で源泉徴
収を選択していれば、申告が不要になり
ます。
確定申告を行った場合は、所得割とし
て5%(市町村民税3%、道府県民税2
%)の税率で課税されます。株式等譲渡
所得割として特別徴収された金額は株式
等譲渡所得割額控除として所得割から控
除されます。所得割から控除しきれない
場合は均等割から控除し、なお控除しき
れない場合は還付されます。
以上5つの住民税のうち、利子割は特
別徴収で課税関係が終了する源泉分離課
税であり、配当割や株式等譲渡所得割に
ついても、申告不要を選択した場合には
実質的に源泉分離課税と同様の取扱いと
なります。
住民税の中では所得割の計算が最も複
雑ですので、57ページ以降で所得割の
計算方法を説明します。
①生活保護法による生活扶助を受けている人
②障害者、未成年者、寡婦または寡夫で、前年の合計所得金額が125万円以下の人
③所得割が課税されない人のうち、前年の合計所得金額が一定額以下の人
前年の合計所得金額(総所得金額+退職所得金額
※1
などの分離課税の所得
金額)≦(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)×最高35万円
+最高32万円
※2
※1 前年に現年所得課税された退職所得は除きます。
※2 控除対象配偶者または扶養親族がいる場合のみ加算されます。
●所得税と所得割の違い(平成28年分所得に対する課税)
項 目 所得税での取扱い 所得割での取扱い
課税対象
現年所得課税 前年所得課税 退職所得は除く
課税(納税)方式
申告納税方式 賦課課税方式 道府県・市町村が税額を計算し、納税者に通知
総合課税の税率
5〜45%の超過累進税率 (一律)10%
一般株式等の少額配当
申告不要を選択可 総合課税 所得税とは別に申告が必要
エンジェル税制(寄附金控除制度)※
適用あり 適用なし
純損失の繰戻還付
青色申告者は純損失の繰戻還付を選択可 繰戻還付は選択不可 所得割では繰越控除のみ認められる
給与所得・退職所得、公的年金
の雑所得以外の所得のある給与
所得者・年金所得者の申告要否
20万円以下は確定申告不
要 20万円以下でも申告が必要
復興特別所得税
所得税と併せて納付 (所得割には影響せず)
※ エンジェル税制について、詳細は83ページを参照して下さい。
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●住民税の仕組み
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住
民
税
次に、所得金額から所得控除の額を差
し引いて課税所得金額を計算します。
所得控除には、雑損控除・医療費控
除・社会保険料控除・小規模企業共済等
掛金控除・生命保険料控除・地震保険料
控除・障害者控除・寡婦(寡夫)控除・
勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別
控除・扶養控除・基礎控除の13種類が
あります。
配偶者控除と配偶者特別控除の合計額
についても、所得税の場合と同じように、
配偶者の所得によって調整されています
(60ページ参照)。
所得控除
●住民税(所得割)の所得控除(平成28年度分、すなわち平成27年の所得に対して適用)
所 得 控 除 の
種 類 適用される条件・場合 控除される金額 備 考
雑 損 控 除 一定の資産につき、災害や盗難などに
よる損失を受けた場合
①損失金額のうち災害関連支出金額が
5万円以下の場合
②損失金額のうち災害関連支出金額が
5万円超の場合
③損失金額がすべて災害関連支出金額
である場合
損失金額−総所得金額等×10%
(災害関連支出金額−5万円)と
(損失金額−総所得金額等×10%)
とのうち多い金額
(損失金額−5万円)と
(損失金額−総所得金額等×10%)
とのうち多い金額
◦災害関連支出金額とは、災害
等に関連して納税者がやむを
得ず支出した金額で一定のも
のをいう
医 療 費 控 除 ①納税者または納税者と生計を一にす
る配偶者その他の親族のために、通
常必要であると認められる医療費を
支払った場合
②特定健康診査、予防接種、定期健康
診断等のいずれか(医師の関与があ
るものに限る)を受けている納税者
が、自己または自己と生計を一にす
る配偶者その他の親族に係るスイッ
チOTC医薬品の購入の対価を支払っ
た場合
対価の合計額
12,000円以下
12,000円超100,000円以下
100,000円超
(支払った医療費の額−10万円)と
(支払った医療費の額−総所得金額
等×5%)とのうち多い金額
〈最高200万円〉
特例の適用なし
12,000円を超える金額
88,000円
◦スイッチOTC医薬品とは、要
指導医薬品および一般用医薬
品のうち、医療用から一般用
に転用(スイッチ)されたも
のをいう
◦平成29年1月1日から平成33
年12月31日までの間に購入し
た対価について適用
◦①の医療費控除との併用は不
可
社 会 保 険 料
控 除
納税者または納税者と生計を一にする配偶者その他の親族のために社会保険
料を支払った場合、または給与から控
除される場合
支払額または控除額の全額
(社会保険料の全額) ◦社会保険料とは、健康保険・国民健康保険・介護保険・雇
用保険・国民年金・厚生年金
保険・船員保険等の保険料や
国民年金基金・厚生年金基金
等の掛金をいう
小規模企業共
済等掛金控除
納税者が小規模企業共済等掛金を支払った場合 支払った掛金の全額
生 命 保 険 料
控 除
①新契約に係る一般生命保険料を支払った場合
支払った保険料 12,000円以下
12,000円超32,000円以下
32,000円超56,000円以下
56,000円超
②新契約に係る個人年金保険料を支払
った場合
支払った保険料 12,000円以下
12,000円超32,000円以下
32,000円超56,000円以下
56,000円超
支払保険料等の全額
支払保険料等×1/2+6,000円
支払保険料等×1/4+14,000円
28,000円(※1)(※2)
支払保険料等の全額
支払保険料等×1/2+6,000円
支払保険料等×1/4+14,000円
28,000円(※1)(※2)
◦新契約とは、平成24年1月1
日以後に生命保険会社又は損
害保険会社等と締結した保険
契約等
◦旧契約とは、平成23年12月31
日以前に生命保険会社又は損
害保険会社等と締結した保険
契約等
◦新契約については、主契約又
は特約の保障内容に応じ、その
保険契約等に係る支払保険料
等を各保険料控除に適用する
③新契約に係る介護医療保険料を支払
った場合
支払った保険料 12,000円以下
12,000円超32,000円以下
32,000円超56,000円以下
56,000円超
支払保険料等の全額
支払保険料等×1/2+6,000円
支払保険料等×1/4+14,000円
28,000円(※1)(※2)
◦異なる複数の保障内容が一の
契約で締結されている保険契
約等は、その保険契約等の主
たる保障内容に応じて保険料
控除を適用する
◦剰余金の分配等(剰余金の分
配や割戻金の割戻し)につい
ては、主契約と特約のそれぞ
れの支払保険料等の金額の比
に応じて剰余金の分配等の金
額を按分し、それぞれの支払
保険料等の額から差し引く
④旧契約にかかわる一般生命保険料を
支払った場合
支払った保険料 15,000円以下
15,000円超40,000円以下
40,000円超70,000円以下
70,000円超
⑤旧契約にかかわる個人年金保険料を
支払った場合
支払った保険料 15,000円以下
15,000円超40,000円以下
40,000円超70,000円以下
70,000円超
支払保険料等の全額
支払保険料等×1/2+7,500円
支払保険料等×1/4+17,500円
35,000円(※2)(※3)
支払保険料等の全額
支払保険料等×1/2+7,500円
支払保険料等×1/4+17,500円
35,000円(※2)(※3)
◦新契約に係る一般生命保険料
控 除 は 遺 族 保 障 等 を 対 象 と
し、旧契約に係る一般生命保
険料控除は遺族保障、介護保
障、医療保障等を対象として
いる
(※1)①〜③は別枠である
(※2)複数の契約がある場合の
各保険料控除の合計適用
限度額
・新契約のみの場合
:上限2.8万円
・旧契約のみの場合
:上限3.5万円
・新旧契約両方の場合
:上限2.8万円
・介護保険料と生命保険料と年
金保険料の合算:上限7万円
(※3)④と⑤は別枠である
地 震 保 険 料
控 除
①地震保険契約等の保険料のみ支払った場合
②平成18年12月31日までに締結した長
期損害保険契約等(契約期間10年以
上で満期返戻金を支払う旨の特約の
ある保険契約)の保険料のみ支払っ
た場合(経過措置)
支払った保険料 5,000円以下
5,000円超15,000円以下
15,000円超
③①と②の2つの保険に加入している
場合
④②に新たに①を付帯させた場合など
1つの保険に①と②が備わっている
場合
支払った地震保険料×1/2
<最高2万5千円>
支払った保険料の全額
支払った保険料×1/2+2,500円
10,000円
両方の保険料を合わせて最高2万5
千円まで控除が認められる。この場
合、長期損害保険料の控除限度額は
最高1万円。
①あるいは②のいずれかを選択適用
◦損害保険契約等には、一定の
偶然の事故によって生ずるこ
とのある損害を補てんする損
害保険契約等のほか、身体の
傷害に基因して保険金が支払
われる保険契約で、生命保険
会社等または損害保険会社等
と締結したもの(いわゆる第
三分野の保険契約)も含まれ
る
障 害 者 控 除 ①納税者、控除対象配偶者、扶養親族
が障害者である場合
②納税者、控除対象配偶者、扶養親族
が特別障害者である場合
③控除対象配偶者、扶養親族が同居の
特別障害者である場合
1人につき26万円
1人につき30万円
1人につき53万円
寡 婦( 寡 夫 )
控 除
納税者が寡婦(寡夫)の場合納税者が寡婦であって、扶養親族であ 26万円
る子を有し、前年の合計所得金額が
500万円以下である場合
30万円
勤 労 学 生
控 除
納税者が勤労学生の場合 26万円 ◦勤労学生とは、前年の合計所得金額が65万円以下であるな
ど一定の者
配 偶 者 控 除 ①控除対象配偶者がいる場合
②老人控除対象配偶者がいる場合 33万円38万円 ◦控除対象配偶者とは、納税者と生計を一にする配偶者で、
前年の合計所得金額が38万円
以下の者
配 偶 者
特 別 控 除
納税者の前年の合計所得金額が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者が
いる場合。配偶者の前年の合計所得金
額により区分
次の表を参照