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全文

(1)

Wave length shifting fiber

の読み出しで光電子数を増やす

方法

山中卓研究室 

M2

 

池本 由希子

(2)

2

Abstract

 昨今サンドイッチカロリメータでのwave length shifting fiber読み出しが普及している。 fiber読み出しは獲得光量が少ないという欠点があげられる。そこで通常の光電子増倍管を 用いてもfiber読み出しで光電子数の増加が得られるようなライトガイドの開発を行った。 はじめに光電子増倍管の光電面と光の入射角度の関係やfiberからの光分布を測定した。 その結果、光電面の法線に対して60度傾けて光を入射すると、垂直に入射するときに比 べて光電子数が1.2~1.3倍増加した。またfiberの端から空気に出る光量分布は、fiberの 軸から約35度をピークに持っていることがわかった。 これらの結果をもとに、fiberからの光を平行にし、60度で光電面に入射させる新しい ライトガイドを開発し、その性能評価を行った。その結果1.3~1.85倍の光電子数増加を 得ることができた。

(3)

3

目 次

第1章 はじめに 5 1.1 研究の動機 . . . 5 1.2 研究の方針 . . . 5 第2章 予備実験 7 2.1 光電面への光の入射角度とPMTの出力. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 2.1.1 実験のセットアップ . . . 7 2.1.2 実験結果 . . . 9 2.2 fiberから出る光の角分布 . . . 10 2.2.1 実験のセットアップ . . . 10 2.2.2 実験結果 . . . 11 第3章 どうすればfiberからの光を多く集めることが出来るか? 13 3.1 fiberから出た光を平行にするには? . . . 13 3.2 airに出た光の角分布ー>アクリルに入る角分布 . . . 14 3.3 ライトガイドの設計 . . . 16 3.3.1 coneの設計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16 3.3.2 ライトガイドの設計 . . . 17 第4章 本実験 21 4.1 coneから出る光の角分布 . . . 21 4.1.1 実験のセットアップ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21 4.1.2 実験結果 . . . 23 4.2 ライトガイドの性能実験 . . . 32 4.2.1 実験のセットアップ . . . 32 4.2.2 実験結果 . . . 35 第5章 考察 41 5.1 改良型ライトガイドの性能評価 . . . 41 5.1.1 見込み角の違いによる結果について . . . 41 5.1.2 点光源の効果について . . . 43 5.2 PMTの光電面の法線に対して光の入射角度が60度のときが量子効率最大 になる理由 . . . 43

(4)

4 5.3 fiberからの光の角分布について . . . 44 5.4 これからの課題 . . . 45 第6章 結論 47

(5)

5

1

章 はじめに

1.1

研究の動機

昨今、サンドイッチカロリメータ等の読み出しにおいてwave length shifting fiber(以下

これをfiberとする)で読み出す方法を採用している実験が多くみられる。fiber読み出し はシンチレータに比べて減衰が小さいため、非常に大きな検出器からの読み出しの際に距 離による依存性が少なく、また積層の構造上読み出し構造を作りやすいなどの利点があげ られる。しかしその反面、fiberから得られる光量は非常に少ないことが欠点としてあげら れる。どのような用途の検出器として使う場合もそうだが、特にサンドイッチカロリメー タをγ検出器として使用する場合、光量の多少が非常に重要な要素になってくる。 最近ではこの問題を解消するためにEGP型(図1.1)の光電子増倍管(光電子増倍管を 以下PMTとする)が開発された[1]。このPMTは光電面を1mm間隔でプリズム状にカッ トし、光子の反応断面積を増やすことによって見かけ上の量子効率を増加させている。こ れによって従来型のPMTよりも約1.8倍もの光電子数の増加を見込むことが出来るよう になった。しかし、このEGP型のPMTはコストが割高になる。 そこで安価で簡単にそしてfiber読み出しに特化する形で、光電子数増加を見込める方 法はないものかと考えるに至った。それが今回の研究の動機である。

1.2

研究の方針

より簡単な方法を研究するため、PMTは浜松ホトニクス社のH1161型を使用すること にした。 EGP型のPMTの特徴から考えて光電面への光の入射角度が光電子数増加に関わって いるものと考えられる。そこで予備実験としてまず、光電面への光の入射角度とPMTの 出力の関係を調べることにした。そしてfiberに特化した形にするため、あらかじめfiber から出る光の角分布も調べておく。 それらの実験結果から、fiberから出る光をより多く集めることが出来るようなライト ガイドの形を検討し、そこから出る光の角分布を測定する。そして集めた光をよりよい角 度でPMTへ入射するためのライトガイドを製作し、最終的にどれだけの光電子数の増加 を見込めたかを測定することにした。 最後に従来の方法とこの研究で改良した方法で、どれだけ光電子数の増加が見込めたか を比較検討する。

(6)

6 第1章 はじめに

(7)

7

2

章 予備実験

2.1

光電面への光の入射角度と

PMT

の出力

EGP型のPMTの特徴からPMTの出力には光電面への光の入射角度依存があると考え られる。そこで光電面への光の入射角度とPMTの出力の関係を調べた。           

2.1.1

実験のセットアップ

光源は白色LEDを使用した。スリットを通った光はほぼ平行光線でPMTの光電面の 中心にあたるようにした。そのときの光電面付近での光の幅は1mm程度にした。このと きLEDとスリットは同じ台の上にあり、一体となって動かせるようになっている。また PMT側にはPMTのガラス表面での入射角度による反射率の違い等の影響を避けるため、 表面のガラスに近い屈折率を持つ半円柱のアクリルをPMTのガラス窓につけた。(図2.1) このとき装置全体は110cm×80cm×40cmの箱形の鉄筋に黒のフェルトとブラック シートの2重に遮光したブラックボックスで覆った。

(8)

8 第2章 予備実験 PMT 半円柱の アクリル LED スリット θ 図2.1: 実験のセットアップ図

(9)

2.1. 光電面への光の入射角度とPMTの出力 9

2.1.2

実験結果

図2.1のようにPMTガラス表面に対してちょうど90度の位置を入射角0度の基準位置 として、左右それぞれ入射角度を5度おきにかえてPMTの出力を測定した。 その結果を図2.2に示す。 図 2.2: PMTへの入射角度と光量の関係 図からわかるように±60度付近で出力が最大になっていることがわかる。つまり0度 入射(垂直入射)よりもやや傾けて光を入射した方が、約1.2倍も多くの光電子数を得るこ とが出来ることがわかる。

(10)

10 第2章 予備実験

2.2

fiber

から出る光の角分布

fiberに特化した形で獲得光電子数の増加を見込みたいため、fiberから出る光の角分布

を調べた。

2.2.1

実験のセットアップ

使用したfiberはクラレのY11で直径が1mmである。fiberの長さは44cmでシンチレー

タからの光を吸収するときと同じ状況にするため、fiberの横から青色LEDを照射した。 照射位置は角分布の測定端から32cmの位置にした。LED照射位置はアルミナイズドマイ ラーで覆い、光源とfiber全体は図2.3に示すように測定端を残し黒画用紙で覆った。ま た測定用PMTはfiberの測定端から20.2cmの位置に置き、ガラス表面には黒画用紙とブ ラックテープで作った横幅1cmのスリットを接着させた。このスリット幅は光源を見込め る立体角と測定光量の関係をみて適切な幅を考慮した。 先の実験と同様に装置全体は遮光をした。 図2.3: 実験のセットアップ (左の暗箱中にLEDとfiberが入っており、測定端のみ外に 出ている。右は測定用PMT)

(11)

2.2. fiberから出る光の角分布 11

2.2.2

実験結果

fiberの軸方向を角度0度として、左右それぞれ5度おきに光量測定を行った。このとき PMTからの信号をそのままオシロスコープで測定すると、single photonがまばらにきて いるのが見えるだけで測定値としては使えない。そこで信号を積分回路に通して測定する ことにした。その結果を図2.4に示す。ある角度θで出た光の総量の角分布をみるために 図2.4にsinθをかけたものが図2.5である。これより、角度35度あたりをピークとした光 量分布をしていることがわかる。 図2.4: fiberから出る光の立体角あたりの角分布

(12)

12 第2章 予備実験

(13)

13

3

章 どうすれば

fiber

からの光を多く集め

ることが出来るか?

 予備実験の結果からfiberからでた光を出来るだけ平行光線にして、それを角度60度で PMTに入射させることが出来ればより多くの光電子数を得られるものと考えられる。そ こでまず、fiberから出る光を平行光線にする方法を考える。

3.1

fiber

から出た光を平行にするには?

図 3.1: coneの断面図 • cone

 図3.1のようなcone状のライトガイドを考える。fiber光を入射する端面がfiber

の直径に対して十分大きいならばfiberからの光が点光源としてみなせる。そうすれ ばfiberから出る光の一番強度の強い角度の光をすべて平行にするような角度を持っ たconeを考えることが出来るので、それを通った光は平均的に平行光線にすること が出来る。(点光源としてみなせない場合、一番強度の強い角度で出た光でも断面図 に対してねじれの角度で入射されると、すべてを平行にすることは出来ない。)  またアクリルのconeは安価で加工が簡単であるという利点が挙げられる。 • lens  凸型lensを考える。PMTの直径を考えるとある程度lensの口径は小さいもので なければならない。またfiberからの光角分布で一番強度の高い35度の光線を十分 にとらえてやるには焦点距離が短く、分厚いものでなくてはならない。  このことから加工や取り扱いが難しいことが考えられる。

(14)

14 第3章 どうすればfiberからの光を多く集めることが出来るか? 平行光線にした後、60度の傾きでPMTに入射させることを考えてもconeの方が加工 も取り扱いも容易だと考えた。このため、今回の研究ではcone型のライトガイドを製作 することに決めた。

3.2

air

に出た光の角分布ー>アクリルに入る角分布

2.2節よりfiberからの光が空気中に出るときの分布は測定した。しかし実際にはfiber からライトガイドを通してPMTに光を入射することになる。そこでスネルの法則を利用 して光がfiberからライトガイドへ出るときの分布へ変換した。ライトガイドとしてはア クリルを用いた。このときfiberの屈折率nf=1.59、アクリルの屈折率na=1.49とした。 このときのグラフが図3.2である。また、2.2.2と同様にsinθをかけたものが図3.3で ある。 図 3.2: fiberからアクリルライトガイドへ出る光の立体角あたりの角分布

(15)

3.2. airに出た光の角分布ー>アクリルに入る角分布 15

(16)

16 第3章 どうすればfiberからの光を多く集めることが出来るか?

3.3

ライトガイドの設計

3.3.1

cone

の設計

図3.3より、fiberからアクリルライトガイドへの光の分布はfiberの軸から24度あたり をピークとして広がっていることがわかる。そこで24度の光束を平行光線にするような coneを考える。 まず、coneの角度θcone(図3.4)は12度である必要がある。次に光源が点光源にみなせる ことの効果を調べるために、直径1mm のfiberに対して図3.4のr1がそれぞれ1.0、2.0、 4.0mmのものを考えることにした。また、出来るだけ多くの光量を得たいことから、図 3.3より、光軸からの見込み角θmin(図3.4)が16度と20度のconeを検討することにした。 最後に加工の都合上、coneの先端に5mmの円柱を延長したものを製作した。 製作したconeのサイズは表3.1に示す通りである。 図3.4: cone(断面図)の設計 θmin(degree) r 1(mm) r 2(mm) name 16 1.00 3.87 A1610 16 2.00 7.73 A1620 16 4.00 15.46 A1640 20 1.00 2.40 A2010 20 2.00 4.81 A2020 20 4.00 9.62 A2040 表3.1: coneのサイズ

(17)

3.3. ライトガイドの設計 17

3.3.2

ライトガイドの設計

開発したライトガイド 3.3.1節のconeに加えて平行になった光を角度60度でPMTに入射できる形を考えた。 coneに60度入射が可能なように斜めに切った円柱を取り付けたような形のライトガイ ドを製作した。これは加工の都合がおおいに関わってきたが、coneによって平均的に平行 光線となった光はほぼそのまま直進するすることを考えても妥当だと考えられる。 製作したライトガイドのサイズは表3.2に示す通りである。 図3.5: ライトガイド(断面図)の設計 θmin(degree) r 1(mm) r 2(mm) z(mm) name 16 1.00 3.87 36.57 B1610 16 2.00 7.73 68.15 B1620 16 3.00 11.60 99.72 B1630 18 3.00 8.68 75.86 B1830 20 1.00 2.40 24.64 B2010 20 2.00 4.81 44.27 B2020 20 3.00 7.21 63.91 B2030 20 4.00 9.62 83.54 B2040 22 3.00 6.33 56.71 B2230 24 3.00 5.74 51.89 B2430 26 2.00 3.54 33.96 B2620 26 4.00 7.09 62.91 B2640 表3.2: ライトガイドのサイズ

(18)

18 第3章 どうすればfiberからの光を多く集めることが出来るか? 比較のためのライトガイド 開発したライトガイドと従来の読み出し方法とを比べるために、円柱型のライトガイ ドの製作も行った。またPMTへ入射角だけを考慮したものとの比較を行うために、光が PMTに入射角60度で入るように円柱を斜めにカットした形のライトガイドも製作した。 製作したライトガイドのサイズは表3.3、表3.4にそれぞれ示す通りである。 h3 s1 図3.6: 円柱ライトガイド(断面図)の設計 s1(mm) h3(mm) name 1.93 10.1 C1 4.22 17.8 C2 7.73 40.3 C3 表3.3: 円柱のサイズ

(19)

3.3. ライトガイドの設計 19 図3.7: 円柱斜め切りライトガイド(断面図)の設計 s1(mm) h1(mm) h2(mm) name 1.93 6.74 13.4 D1 4.22 10.5 25.1 D2 7.73 27.0 53.7 D3 表3.4: 円柱斜め切りのサイズ

(20)
(21)

21

4

章 本実験

4.1

cone

から出る光の角分布

前章で設計したconeから出る光の角分布を測定した。

4.1.1

実験のセットアップ

予備実験と同様に、使用したfiberはクラレのY11で直径が1mmである。これを図3.4 のr

1 側の中央に接着した。fiberの長さは44cmでfiberの横から青色LEDを照射した。

照射位置は角分布の測定端(coneの端)から32cmの位置にした。coneを真正面から見た 図が図4.2である。LED照射位置はアルミナイズドマイラーで覆い、光源とfiber全体は 黒画用紙で覆った。また図4.1に示すように測定用PMTはconeの測定端から20.2cmの 位置に置き、ガラス表面には黒画用紙とブラックテープで作った1cm×1cmのスリット を接着させた。 装置全体は遮光をした。

(22)

22 第4章 本実験

図4.2: coneを真正面から見た図(平行光線として一番強く反射している光が緑のリング 状に見える。)

(23)

4.1. coneから出る光の角分布 23

4.1.2

実験結果

fiberからの光角分布を測定したときと同様に、fiberの軸方向を角度0度として、左右 それぞれ5度おきに光量を測定をした。PMTからの信号は積分回路を通して、その波高 を測定した。 それぞれのconeから出る光角分布は図4.3、図4.5、図4.7、図4.9、図4.11、図4.13に 示す通りである。 また、それぞれのconeから出る光のcosθの分布が 図4.4、図4.6、図4.8、図4.10、図 4.12、図4.14である。さらにこれらの図をもとにそれぞれの角度までごとに全光量の何 パーセントの光量を有しているかを示したものが表4.1、表4.2である。

(24)

24 第4章 本実験

図4.3: A1610cone光角分布

(25)

4.1. coneから出る光の角分布 25

図4.5: A1620cone光角分布

(26)

26 第4章 本実験

図4.7: A1640cone光角分布

(27)

4.1. coneから出る光の角分布 27

図4.9: A2010cone光角分布

(28)

28 第4章 本実験

図4.11: A2020cone光角分布

(29)

4.1. coneから出る光の角分布 29

図4.13: A2040cone光角分布

(30)

30 第4章 本実験

図4.15: □A1610、◇A1620、×A1640

(31)

4.1. coneから出る光の角分布 31 name 5度 10度 15度 20度 25度 30 度 35度 A1610 9.56 29.5 50.6 67.1 78.2 86.7 92.6 A1620 20.0 49.3 67.7 80.7 90.8 95.8 98.5 A1640 22.4 47.0 65.5 78.6 89.2 95.8 98.3 表4.1: 見込み角16度のconeで0度からそれぞれの角度までの光量の割合(%) name 5度 10度 15度 20度 25 度 30 度 35度 40度 45度 50度 A2010 5.33 16.7 31.3 48.6 64.8 76.6 83.9 89.3 93.5 97.1 A2020 16.6 35.4 49.6 63.2 76.0 85.2 90.4 93.5 96.2 98.3 A2040 18.9 34.3 45.5 56.9 70.3 81.7 87.1 91.0 94.8 98.0 表4.2: 見込み角20度のconeで0度からそれぞれの角度までの光量の割合(%) fiberのみの場合の光角分布に比べて、全体的にみて比較的前方に光を集めることが出来 た。見込み角の違いをみると、16度のときの方がより前方に集まっていることがわかる。 またr 1が1mmの時はほかに比べて極端に集光率が悪くなっていることがわかる。つまり 直径1mmのfiberに対してconeの直径が4mm以上あれば点光源としてみなして集光で きるといえる。 その場合、coneの中心軸からみて15度以内に、見込み角16度では全体の50~70%、 見込み角20度では30~50%の光を集めることが出来た。 以上の結果からconeを使って前方に光を集め、平均的に光を平行光線にすることが出 来た。

(32)

32 第4章 本実験

4.2

ライトガイドの性能実験

製作したライトガイドをつかってfiberからどれだけの光量を得られるか実験した。

4.2.1

実験のセットアップ

使用したfiberは予備実験と同様にクラレのY11で直径が1mmのものである。これを ライトガイドの中心に接着した。fiberの全長は44cmで端から約1cmの所に横から青色 LEDを照射した。光源全体は黒色の樹脂とブラックテープで遮光し黒画用紙のスリットを 設けて、ライトガイドに直接LED光があたらないようにした。fiberは曲げると中できれ いに全反射せず外に光が漏れるので、出来るだけまっすぐになるように装置を配置した。 その様子を図4.17に示す。ライトガイドはPMTとの接面の中心が光電面の中心にくるよ うに接着した(図4.18)。接着剤はオプティカルセメントの主材のみを使用し、硬化剤は使 用しなかった。 また使用したLEDに熱や時間等によって出力の変化がみられたため、リファレンスと して光源のLED光を直接モニターできるようにPMTを設置した。これによって、たと えLEDの光量が変化してもライトガイドの違いによる出力の間の差を絶対評価できるよ うにした。

(33)

4.2. ライトガイドの性能実験 33

図4.17: 開発したライトガイドを使った光量測定装置(左上にLEDとリファレンス用PMT、 中央は黒画用紙のスリット、右下はライトガイドを接着した測定用PMT)

(34)

34 第4章 本実験

(35)

4.2. ライトガイドの性能実験 35

4.2.2

実験結果

得られたPMT出力はリファレンスとして得たLEDの光量との比で評価した。各ライ トガイドごとでの測定回数が少なかった。そのため誤差の評価は各々の1回目の測定に対 して2回目、3回目・・・の各測定値の比がどれだけずれたかを比で計算し(x回目/1回目)、 その比の標準偏差を考える。それを各測定値に対して相対誤差として適用した。そのため 誤差の見積もりは若干多く見積もられていると考えられる。 表4.3にその結果を示す。 name 得られた光量 B1610 1.11±0.05 B1620 1.24±0.05 B1630 1.05±0.05 B1830 1.30±0.06 B2010 1.33±0.06 B2020 1.50±0.06 B2030 1.37±0.06 B2040 1.28±0.05 B2230 1.43±0.06 B2430 1.29±0.06 B2620 1.07±0.05 B2640 1.33±0.06 表4.3: 開発したライトガイドの結果

(36)

36 第4章 本実験 また比較のために製作した円柱、円柱斜め切りライトガイドの結果をそれぞれ表4.4、表 4.5に示す。 name 得られた光量 C1 0.620±0.027 C2 0.812±0.035 C3 0.811±0.035 表 4.4: 円柱ライトガイドの結果 name 得られた光量 D1 1.03±0.04 D2 1.10±0.05 D3 1.39±0.06 表4.5: 円柱斜め切りライトガイドの結果

(37)

4.2. ライトガイドの性能実験 37

すべての結果をまとめたのが図4.19である。

図4.19: すべてのライトガイドのPMTの出力評価

図4.19より、開発したライトガイドは円柱ライトガイドに比べて1.3から最大で1.85倍

(38)

38 第4章 本実験 r 1の値を一定の3mmにして(点光源としての効果を一緒にして)見込み角θminの違 いを比べたグラフが図4.20である。 図4.20: 見込み角の違いによるPMTの出力評価 あまり大きな違いは見られない。B1830、B2030、B2040が若干B2430に比べてPMT の出力が大きいことから、図3.3よりピーク角24度よりもより小さな角度にでる光までよ り多く集めた方が効率が上がることがわかる。またB1630が少し出力が落ちているのは r2が大きいため、集めた光の量とPMTの光電面で中心から離れると量子効率が下がると いう効果が競合した結果といえると考えられる。このことは次の第5章でも触れる。

(39)

4.2. ライトガイドの性能実験 39 r 1の違い(点光源としての効果の違い)によって比べたグラフが図4.21である。 図 4.21: r1の違いによるPMTの出力評価 r 1が大きい方が点光源としてみなせてその効果が高いと考えていたが、光電面の大きさ との兼ね合いもあってかB2020が一番光電子数を得ていることがわかった。このr 1の違 いによる効果は次の第5章で述べる。

(40)
(41)

41

5

章 考察

今回の実験で得た結果について様々な考察を試みた。

5.1

改良型ライトガイドの性能評価

5.1.1

見込み角の違いによる結果について

前章のconeから出る光の角分布結果より見込み角16度の方が20度に比べて前方に光 が集められているという結果が得られた。その結果から見込み角16度の方が20度のライ トガイドに比べてより多くのPMT出力を得られると予想した。しかし、結果は見込み角 20度のライトガイドの方が多くの出力を得ていることがわかった。これはライトガイドの 形と大きさに関係があると思われる。 まずfiberから出た光角分布のピークとなる角で出た光が平行光線として光電面に入射 するようにcone、ライトガイドは設計した。またその他の角度でconeから出た光はある 程度平行光線に近い角度にそろえられて観測できる。このためより多くの光を取り込める、 見込み角16度のconeの方がより前方に集めることができたという実験結果が得られたの だろう。しかしライトガイドの場合、PMTの光電面の法線に対して60度傾けて入射する 必要性があることから、coneに対して60度に斜め切りした円柱をつけた形になっている。 (図3.5)そのため、多少平行からずれた光がその円柱の斜め切りの部分で反射され大角度 になって光電面に入射している可能性が考えられる。またその反射によって多少の光の減 衰も考えられるだろう。しかし、この効果については今回実験を行っていないので見込み 角の違いによってどれだけの差が出てくるのか定量的に議論できない。 次に考えられるのはライトガイドとPMTのガラス面との接着面積である。今回使用し たPMTの光電面は曲率を持つので、中心軸から離れて端になるほど光電面に対する法線 ベクトルが傾くものが多いため、目的の入射角を得られず、量子効率が落ちる。これは次 の光電面の位置の違いによる出力変化でも述べるように、今回のPMTで簡単な実験を行っ た結果である図5.1からも明らかである。設計したライトガイドの大きさは見込み角16度 の方が大きい。つまりガラス面との接着面積も大きく、光は光電面全体に広がって入射す ることになる。つまり全体として平均した量子効率を考えたとき、見込み角16度のライ トガイドの方が小さくなってしまっているのではないかと考えられる。

(42)

42 第5章 考察 光電面の位置の違いによる出力変化 ライトガイドの性能評価実験では光電面の中心にライトガイドの中心がくるようにセッ ティングしたが、光電面は位置の違いによってその量子効率が異なる。H1161型では中心 軸からはなれると量子効率は落ちるものが多い。そこで今回開発したライトガイドのうち 一番小さなB2010を使って光を60度入射し、簡単に位置ごとのPMTの出力を測定した。 その結果を図5.1に示す。図中の値は4.2.2と同様に、得られた出力をリファレンスとし て得たLEDの光量との比で評価したものを示してある。 1.30 ±0.06 1.25 ±0.05 1.20 ±0.05 1.04 ±0.04 0.889 ±0.038 1.28 ±0.05 1.19 ±0.05 0.946 ±0.041 0.758 ±0.033 1.29 ±0.06 1.13 ±0.05 0.934 ±0.040 0.806 ±0.035 1.24 ±0.05 1.14 ±0.05 1.06 ±0.05 0.914 ±0.039 図5.1: B2010のライトガイドを使ったPMTの出力の場所による違いの結果 (各点5mm おきに測定した。光電面の大きさは直径46mmである。) これにより確かに光電面の中心から離れると出力が落ちる、つまり量子効率が下がり獲 得光電子数が少なくなっていることがわかる。

(43)

5.2. PMTの光電面の法線に対して光の入射角度が60度のときが量子効率最大になる理由43

5.1.2

点光源の効果について

前述の考察は同様に図4.21の結果にもいえると考えられる。図4.2をみるとライトガイ ド内部で反射する光の一番強度の強い部分がリング状に見える。これはr1 の違いによっ てそのリングの大きさは異なる。その大きさはr1が1mm、2mm、3mm、4mmのときそ れぞれ直径が5~6mm、8mm、10mm、14mm程度である。ここで光電面での中心軸から の位置の違いによる量子効率の違いを考慮すると、リングが小さい方がより平均的に量子 効率が高いものと考えられる。またこれに図4.16や表4.2を加えて考慮するとB2020が 結果として最高の光電子増加率を得たと考えられる。

5.2

PMT

の光電面の法線に対して光の入射角度が

60

度のときが

量子効率最大になる理由

PMTの内部では、まず光電面に光が入ってくると光電効果を起こして光電子を放出す る。その放出された光電子をダイノードで増幅させて最終的にアノード面に集められた 光電子を電気信号にかえてPMTの信号として観測できる。そのうち光電面でおこってい る現象について着目する。光電面でおこっていると考えられる現象を模式的に図5.2に示 した。 光電面に入ってきた光は光電面の金属と反応して光電効果を起こし光電子を放出する。 しかし光電面にはある程度の厚さがある。そのため金属表面やある深さまでで相互作用し て放出された光電子は、その持つエネルギーを金属中を通過する際に使い果たしてしまい、 外側に出てこない。つまり実際に獲得できる光電子はある深さ以上のところで光電効果を 起こして、なおかつそこから外側までの金属中を通過できるだけのエネルギーを持った光 電子に限られる。 そこで図5.2中のΔtを考える。光の入射角度が大きくなると1/cosθでΔtが大きくな る。これは光の反応断面積が増加していることに相当する。これによってより光電効果が 起きて金属の外側に出られるようなエネルギーを持った光電子が放出される確率が上がる のではないかと考えられる。またあまり広角度になりすぎるとPMTの表面のガラス面で 光が屈折して理想的に光電面に入射されなかったり、全反射等で光の減衰がおこることな どが考えられる。 これらの効果の総合結果として最終的に60度という角度が最大の光電子数増加を見込 んだのではないかと考えられる。

(44)

44 第5章 考察 ガラス面 光電面 e-Δt 光 光電効果 θ 図5.2: 光電面内部での現象の模式図(光電面は誇張して描いてあります。)

5.3

fiber

からの光の角分布について

今回使ったfiberの断面図を図5.3に示す。 fiberはまっすぐな状態でも失われる光がある。これが曲げられ曲率が小さくなるにつ れその損失量は多くなる。2.2の実験で装置図の光源とfiberは黒画用紙で覆われているが (図2.3)、実はその中でfiberが曲がっている。そのため本来のfiberからの光角分布とは 多少異なる可能性が出てくる。実際に図5.3のような角度で理想的に光が出てきた場合、 今回の実験結果(図2.5)とは測定誤差を鑑みても大きく異なることがわかる。 この実験時にもっと考慮していたら最終的な結果も今回の結果よりもより良い結果が得 られただろうと考えられる。 図5.3: 使用したfiberの断面図[2]

(45)

5.4. これからの課題 45

5.4

これからの課題

今回の実験で使用したPMTは光電面が端の方で曲率を持ち、量子効率が落ちるという 特徴があった。その影響で予想した結果が得られなかったものもある。PMTの中には光電 面がより平らなものもあり、多種多様なものがある。そのため実際の実験で使用するPMT での検証も必要となってくるだろう。fiberに関しても、現実の構造上曲げる必要が出てく ることもあり今回の実験ほどの効率が得られない可能性もある。実情に合わせた形での検 討も必要だろう。 また今回はfiber1本に対して実験を行ってきた。しかし実際の実験を行う際は多数の fiberを使用することになる。そのため今回の実験結果をもとに更なる応用が必要となって くる。cone型もおそらく改良が必要となってくるであろうし、fiber1本を点光源としてみ なせる形で今回は検討を進めてきたのでこれも十分に改良の余地がある。Winston cone 型やlensを使った新しい方法など今後の構想は様々考えられるが、今回の実験がその基礎 となりうることを期待したい。

(46)
(47)

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6

章 結論

 今回の研究では、coneと、円柱を60度に斜め切りしたもの組み合わせた形のライトガ イドをを開発した。これを使って光電面の法線に対して60度の角度でfiberからの光をほ ぼ平行に入射させた。fiberをPMTに垂直に取り付ける場合に比べ、開発したライトガイ ドを用いると最大1.85倍もの光電子数を得られた。これによって通常のPMTを用いても EGP型のPMTに匹敵する効率が得られることがわかった。

(48)
(49)

49

関連図書

[1] 有賀雄一, ”E391aバレル部カウンターの応答特性の研究”Master thesis,Yamagata Univ.(2002)

(50)

50 第6章 結論  謝辞  この論文を仕上げるにあったって多くの方々にお世話になりました。研究室の仲間やス タッフの方はもちろん、別の研究室ながら親しくさせて頂きご指導いただいた先生方や精 神的に様々な部分でお世話になった学校関係者の方々に心より感謝申し上げます。 特に山中卓教授には、右も左もわからなくなっていた私に根気づよく一からご指導いた だきました。本当にありがとうございました。

図 1.1: 左が従来型、右が EGP 型の光電子増倍管
図 2.5: fiber から出る光の角度 θ あたりの分布
図 3.3: fiber からアクリルライトガイドへ出る光の角度 θ あたりの分布
図 4.1: cone から出る光角分布の測定装置 ( 左は fiber 付きの cone 、右は測定用 PMT)
+7

参照

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