救急搬送され、緊急手術となった患者の家族の体験 : 家族の『待つ時間』に注目した看護介入の検討
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(2) 甲南女子大学研 究紀要 第 4号. 看護学 ・ リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. ). 術 をい う。手術 の 決定か ら実施 までが 一 刻 一秒 を争 う ものか ら,数 時 間 の 余裕 の あ る もの まで ,そ の 緊急性. は じめ に. には幅があ るため ,本 研究 で は,救 急搬 送後 ,初 寮室 救 命救急 セ ン ター に搬 送 され る患者 の 多 くは,急 な. (救 急外 来 )で の 検 査 ・治療 の段 階で手術 が決 定 し ,. 発症 ,あ るい は突 発的 な事故 に よ り生命 の危機 に さら. 初寮室 か ら手術室 へ 移動 した患者 を対 象 と した。. されて い る。そ して ,患 者 の 家族 は何 の準備 もない ま. 『家族』. ま突然 の 出来事 に直面 し,対 処せ ざるを得 ない状 況 に. Friedmanの 「 家族 とは,絆 を共 有 し,情 緒 的親 密. おかれ ,各 家族成員が激 しく混乱 し,危 機 に陥 りやす い状 況 にあ る卜'。. さに よって互 い に結 びつい た ,し か も家族 で あ る と自. また ,家 族が病 院 に駆 けつ けて も,家 族 に与 え られ. 2つ 覚 して い る 2人 以上 の成 員 か らな る集 団 で あ る」 と. い う定義 を もとに,本 研究 で は家族 の範 囲 は,結 婚. ,. る情報 は 限 られた ものであ り,検 査や処置が終 わる ま. 血 縁 ,同 居 を問 わず ,家 族 員 で あ る と互 い に認 めて い. で ,何 の情報 も得 られ ない まま待 た され る場合 も少 な. る人 々の 集 団 で ,患 者 の救急入 院 の連絡 を受 け,入 院. くない 。患者 に関す る情報 が 得 られ な い ことは,家 族. に関わった者 と した。. の不安 や恐怖 を増大 し,心 理 的危機 を強め る こ とにな Ⅲ .研 究 方 法. る。その上 ,緊 急 手術 となる と,家 族 は,患 者 と隔離 された状 況 で長 い 時 間 を過 ごす こ とになる。予定手術 であれ ば,手 術前 の オ リエ ンテ ー シ ョン等 を通 して. ,. 1.研 究 デザ イ ン. 看護 師 との 関係性 が構築 されて い る こ とが 多 い 。 しか. 本研 究 では,救 急搬送 され緊急手術 を受 ける こ とに. し,救 急 での 緊急手術 で は,ど の部署 の看護 師 とも関. なった患者 の 家族 に焦点 をあて ,質 的帰納 的研究 デザ. 係性 が築 かれて い な い ため ,家 族 は病棟 か らも手術室. イ ンを とった。. か らも支援 を受 け る こ とがで きに くい 立場 に置かれ. ,. 緊張 と不安 の 中でただ待 つ とい う状 況 にある こ とが 多 67。. ぃ. しか も家族 の 不 安 が 強 い と彼 らが 本 来持 って. い る患者 をサ ポ ー トす る とい う家族機能が十分 に発揮. 研究参加者 の 許可 の も とに発言 内容 を録音 し,そ の 逐語録 を もとに研究 目的 に関連す る箇 所 に着 目し,内 容分析 を行 い ,カ テ ゴ リー を生成 し,カ テ ゴ リー相互 の 関係性 を検 討 した。. で きない だけでな く,医 療 ス タ ッフヘ の不信感 や ケア ヘ の不満 につ なが る場 合 もあ る8り 。. 2.研 究参加者. 重症患者家族 の ニー ドに焦点 をあてた研究 は これ ま ` で に も多 くみ られ るЮ "│。 これ らの研 究 で は ,重 症患. 者 の 家族 で あ る。家族 の 中 で研究協 力候補者 と した の. 者 家族 の もつ ニー ドと して「情 報 の ニー ド」「接 近 の. は,患 者 の 回復過程 に影響 を及 ぼす と考 え られ る代理. ニー ド」 が高 い こ とが 明 らか に された。. 意思決定 に関 わ るキ ーパ ー ソ ンや患者が信頼 し精神 的. 本研究 の参加者 は救急搬 送後 に緊急手術 となった患. 一 方 ,周 手術期 にあ る患者 の 家族 の体験 に焦点 をあ. 支 え と して い る家族 ,入 院中 の 身 の 回 りの世話 をす る. てた研究 もい くつ かあ るが ,こ れ らは予定手術患者 の 9Ю 〕 ,救 急 領 域 にお い 家族 を対 象 と した もの で あ り. 人 と し,1患 者 に対 して 1名 の 家族 か らの面接 を原則 と した。. て ,緊 急手術 を受 け る患 者 の家族 の体験 に焦点 をあて た研 究 は殆 ん どみ られ ない 。そのため本研究 は,救 急 搬送 ・緊急手術 とい う過程 での 家族 の体験 か ら,家 族 に とっての待 つ 時間 の意味 を明 らか にす るこ とで ,危 機 的状 況 にあ る家族 に効 果的 な介入 をす るための示唆 を得 るこ とを 目的 とす る。. 3.デ ー タ収集方法 1)デ ー タ収集期 間 2005年 7月 か ら 11月 にか けて行 な った。. 2)研 究参加者 の選定 と依頼 の手順 救急部 の看護 師長 に本研 究 の趣 旨,研 究対象者 の 設 定基準 を説明 し,救 急搬送後 に緊急手術 となった患 者. Ⅱ.用 語 の 操 作 的 定 義. の 中か ら研究参加候補者 を選択 した。患者 の全 身状態 が 安定 し,家 族 も平静 さを取 り戻 した と判 断 された後. 『緊急手術』 “ 臓器 の機能 の維持 もしくは障害 を最小 救命"や “. に,師 長 か ら研究参加候補者 に,研 究 につい ての説 明. 限にする"こ とを目的に,予 定外 に臨時に行われる手. 族 か ら承諾 が 得 られた後 に,そ の 家族が希望 した 日時. を聞 く意思があ るか ど うか の確 認 を して もらった。家.
(3) 江口 秀子 :救 急搬送され 緊急手術 となった患者 の家族 の体験 ,. に訪 問 し研 究 の趣 旨に つ い て文 書 と口頭 で 説 明 を行. 体例 とす る説明概念 を生成 した。生成 された説 明概念. い ,署 名 にて研 究参加 へ の 同意 を得 た。. (サ. 3)面 接 方法. リー を生成 し,カ テ ゴ リー相 互 の 関係性 を検 討 し,分. 面接 は研 究参加者が希望す る 日時 に,プ ライバ シー. ブ カテ ゴ リー )か らさ らに ま とま りの あ るカテ ゴ. 析結果 をま とめ る とともに,カ テ ゴ リー 間 の 関連 を図. が 守 られ る場 所 (主 に病棟 カ ンフ ァ レ ンス ル ー ム ). 式化 した。そ の過程 を定期 的 に 2名 の研 究指導者 に提. で ,半 構 成面接法 を用 い て行 った。 さ らに研究参加 者. 示 し,ス ーパ ーバ イズ を受 け る こ とに よって ,信 頼性. の許可 を得 て面接 内容 を録音 した。. と妥 当性 を確保 した。. 4.研 究参加者 へ の倫理 的配慮. Ⅳ。 結. 果. 本研 究 は,研 究者が在学 した大 学 院 の倫理委員会 の には,研 究 目的 ,協 力 に関す る任意 性 ,お よび不利益. 1.研 究参加者 の概要 (表 1・ 2) 2施 設 よ り研 究 の協力 を得 る こ とが で き,研 究参加. を受 けない権利 の保 障 ,研 究者 の守秘義務 につい て説. へ の 同意 を得 られ た 家族 は 12名 で ,全 て女性 で あ っ. 明 し,署 名 に よる 同意 を得 た後 に面 接 を行 った。 さら. た。患 者 との続柄 は,配 偶者 5名 ,母 親 4名 ,子 ども. に面接 時 に,不 安 や緊張 ,苦 悩 な どに満 ちた出来事 を. 3名 であ った. 思 い起 こす こ とで ,不 快 な感情 を再体験 す る可 能性 が. き各 1回 で ,1回 の 平均 イ ン タ ビュー 時 間 は 45分 で. あ るため ,表 情 や反応 に注意す る とと もに,疲 労 や苦. あ った 。搬 送 理 由 は 交 通事 故 が 5名 ,労 務 事 故 が 2. 痛 を感 じた ら中止 ・中断が で きる こ とを伝 えた。. 名 ,自 宅 内 での転伊lが 2名 ,急 病が 3名 であ った (表. 承認 を得 た研 究計画書 に基 づ い て行 った。研 究参加者. 2)。. 5.分 析方法. (表. 1)。. イ ンタ ビュー 回数 は 2名 をのぞ. 救急車要請 を家族が行 い ,救 急車 に同乗 して きた. 家族 は 5名 ,搬 送先 の病 院 も しくは他者 か らの連絡 で. 分析 は,木 下 の修 正版 グラウ ンデ ッ ド・セオ リー ・. 病 院 に駆 けつ けた家族が 6名 ,そ の他. アプ ローチの分析 プ ロセス を参 考 に行 った")。 具体 的. (自. 家用車 での. 搬送 )が 1名 で あ った。. 頁と しては,逐 語録 に置 き換 えたデ ー タ全 体 を熟読 手川. 2.分 析結果. した後 に,「 救急搬 送 され ,緊 急 手術 となった患 者 の 家族 の体験 」 に関連す る箇所 の 中 で ,さ らに「待 つ 時. 患 者 の家族 の語 りか ら,待 つ 時 間 の体験 を示 す もの. 間」 に関連 す る と思 われ る箇 所 に着 目し,デ ー タを切. と して は ,表 3に 示 す よ うに 16サ ブ カテ ゴ リー が抽. 片化 す る こ とな く,文 章 また は段 落 ご とに拾 い 上 げ. 出 され ,8カ テ ゴ リー に ま とめ られた。 カテ ゴ リー を. た。 着 目 した箇所 の 要 点 を簡 潔 に整 理 し,解 釈 を加. 内容別 に整理 した ところ,家 族が体験 した不安 や恐怖. え,そ れぞれ にラベ ル をつ ける とともに,そ れ らを具. を示 す ものが 3カ テ ゴ リー,不 安や恐怖 に影響 を及 ぼ. 表. 研究参加者 施 設. 1生. 1. 研 究参加者 の概 要. 男J. 年齢. 患者 との 関係. 救急車 に同乗. イ ンタビュー 日. インタビュー時間/回 数. ①. A. 女性. 64歳. 母親. 同乗. 入 院 10日 目 ・ 18日 目. 87分 /2回. ②. A. 女性. 48歳. 妻. 否. 入 院 19日 目 。25日 目. 93分 /2回. ③. B. 女性. 53歳. 娘. 自家用車. 入 院 9日 目. 33分 /1回. ④. A. 女性. 68歳. 母親. 否. 入 院 9日 目. 60分 /1回. ⑤. A. 女性. 52歳. 妻. 同乗. ⑥. A. 女性. 60歳. 母親. ⑦. B. 女性. 48歳. ③. B. 女性. ⑨. A. ⑩. H日. 目. 34分 /1回. 否. 入院 19日 目. 53分 /1回. 娘. 同乗. 入院 6日 目. 40分 /1回. 52歳. 妻. 否. 入院 12日 目. 59分 /1回. 女性. 62歳. 妻. 同乗. 入 院 5日 目. 42分 /1回. A. 女性. 54歳. 妻. 否. 入 院 5日 目. 45分 /1回. ⑪. A. 女性. 74歳. 娘. 同乗. 入院 7日 目. 43分 /1回. ⑫. A. 女性. 48歳. 母親. 否. 入 院 17日 目. 45分 /1回. 入院.
(4) 甲南女子大学研 究紀要 第 4号 表. 患者名. 1生. 号」 年齢. 看護学 。リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. 2. ). 患者 の概要 と経過. 搬 送理 由. 患者 の主 な疾患 名. 手術時間 (手 術室在室時間. 主 な術式. ). 子 (十 テ部 )置 換. 9時 間 35分 (11時 間 15分 ). 事例■. 男性. 36歳. 急病. 胸部大動脈瘤破裂. 事例121. 男性. 64歳. 交通外傷. 左下腿骨 開放性骨折. 創洗浄 ・ デブ リ 左頚骨 ピンニ ング. 3時 間 (4時 間 35分 ). 事例O. 女性. 91歳. 自宅 での転 倒. 左大腿骨頸部骨折. 左大腿骨 人工骨頭 置換 術. 1時 間 22分 (2時 間 45分 ). 事例④. 男性. 41歳. 交通外傷. 右下腿骨 開放性骨折. 右下腿骨創外 固定 ・ピンニング. 2時 間 (3時 間 25分 ). 事例C. 男性. 56歳. 労務事 故. 右下腿裂創 ・動静脈損傷. 創洗浄 ,動 脈 ・神経 吻合. 4時 間 10分 (7時 間). 事例Ol. 男性. 23歳. 交通クト傷. 右鎖骨 開放性骨折. 観血 的整復 固定術. 事例0. 男性. 83歳. 急病. 事例13. 男性. 53歳. 交通外傷. 事例O. 男性. 64歳. 急病. 胆石症 ,総 胆管結石. 事例⑩. 男性. 54歳. 労務事故. 右下腿骨 開放性骨折. 事例0. 女性. 91歳. 自宅 での転 倒. 急性 硬膜外 出血. 事例⑫. 男性. 20歳. 交通事故. 大動 脈損 傷. ,. 小腸破裂・右足 関節脱 臼骨折 腸管吻 合 ・観血 的脱 臼整復術. 1)た. だ事 で はない と思 う. 2)い つ になった ら治療が 開始 され るのか不安 に思 う. 1)厳 しい現実 と直面す る. 2.現 実が迫 って くる 2)喪 失へ の恐怖 こ とに よる脅 威 3)苦 痛 を訴 える患者 のそば にい る 不安 、 亡 3.社 会的役割が果 た 1)身 体機能 の変化 に よる影響 を′ せ な くな るこ とヘ の不安. 6。. 看護 師 に よる援助. 7.医 療者 (主 に医師. ). か らの説 明 ・情報. ピンニング ・右下腿骨創外 固定 1時 間 33分 (2時 間 30分 ) 開頭血腫 除去術. 1時 間 55分 (2時 間 50分 ). 下行動 脈置換術 ・FFバ イパ ス 4時 間 45分 (6時 間 5分 ). 表記す る。 (. )は 研究参加者 の語 りの内容 を補 った. 1)家 族 が体験 した不安や恐怖 見通 しの不確 か さによる不安】 【 他者 か らの連絡によって出来事 を知 らされた 6家 族 は,少 ない情報 のなかで,家 族成員の怪我 の程度 につ いて見積 もり,『 ただ事 ではない』 と思 い,場 合 によ っては死 をも想起 し,パ ニ ック状態になっていた。一. ではない』 と感 じ,不 安になっていた。 さらに手術が. 1)職 場. 必要 と説明 されなが ら,手 術 までに時間を要 した患者. 。知 人か らのサ ポー ト. 1)看 護 師 に よる援助 1)医 師か らの説 明 で不安 になる. 2)説 明 の曖味 さ 3)説 明が ない まま待 た され る不安 4)て い ね い に説 明 さオtた が , 部分 の 延長. 2)医 療者 の 出入 りを見て憶測す る. して い る要 因 を示す ものが 4カ テ ゴ リー,そ して全体 を通 しての家族の内面 的体験 を示す ものが (表. 1時 間 41分 (2時 間 25分 ). つていた 6家 族 は,患 者 の症状や訴 えか ら,『 ただ事. 的 に しか覚 えて い ない. -と な った. 4時 間 8分 (5時 間 20分 ). 2)経 済的不安. 1)不 安 に ともな う主観的時 間感覚. 8.待 つ 時 間 の重 み. 3時 間 7分 (4時 間 10分 ). 方,急 な発病や事故現場 に居合わせて最初か ら付 き添. 支援. 。知 人か らの サ ポー ト. 40分 (4時 間 5分 ). 配す る. 4.他 の 家族員 に よる l)他 の家族 員 に よる支援 5.職 場. 開腹胆嚢摘 出術. 2日 寺間. ものを示す。. サ ブカテ ゴ リー. カテ ゴ リー. に よる不安. ,. 総胆管切 開術 総胆管十 二 指腸吻 合術. 表 3 家族 の体験 をあ らわす カテ ゴ リー とサ ブカテ ゴ リー. 1.見 通 しの不確 か さ. _Lイ. F〕. 1. カテ ゴ リ. 3)。. ,サ 以下 ,内 容 を ゴ シ ックに,カ テ ゴ リー を 【 】 ブカテ ゴ リー を 『 』 で ,さ らに家族 の語 りは斜 体 で. の家族 は,医 師の判断 に従 うしかない と思 う一方で 『いつ になった ら治療が開始 されるのか不安』 にな っ ,. ていた。 (1)『 ただ事 ではない と思 う』. ■芳帯 /_. 電話 力ゞ あ. クまιで。 令 /_ン ツめ るよ うなが 'じ rの だ ってい うことで,用 いた航 点で,頭 申力ゞ 真 っ虜 /_ な クまιて,ぼ ん とるう。 (④ さん :母 親) ■一 季最初,C病 財か ら雷副ンツジ ヽ って きたん です ま,家 /_ 。 た 病防 です力ヽ 荻急 草 で今運 ばれ てきま した。 す ぐ来 て くだ さいノ って。家 を出よ うとした ら 鳴 ってフ√うちではあれ なの で ス 病院 薪つ 雪話″ゞ `携 f通ぶ ことにな って,る う出 ました。茂 紳 ノ. でそのま. ま行 きましたので,そ っ ちのぼ うに行って くだ さいゴ ` ιた らダメ って。たシヽ らそノιを用 いた ときに′ るι″ヽ か るっ. c い. うぷ いは ま きり ま したね。 (⑥ さん :母.
(5) 江口. 秀子 :救 急搬送 され ,緊 急 手術 となった患 者 の 家族 の体験. 体的な情報が増 えるにつ れて,予 想以上 の状況 とわか. 親) この ように最初 にもた らされる情報か ら,家 族は自 分な りに患者 の状況 を見積 もりなが ら病院に駆けつ け ていたが,実 際 よ りも厳 しい見積 もりをしてい る傾 向 がみ られた。 また,発 症時か らそばに付 き添 っていた家族 は,以 下の ように述べ てい る。 ■ (救急革力ゞ 至J着するまaり 大丈夫 ′ゴ とか ずっと 「 声 かけ ζ √ろうす ぐ枚急 草来るか らゴ って言 いな″ゞ ら,ど うなるん力ろ うとぷ って。 (⑦ さん !娘 ). り不安が増大 してい る。 ■ 作予勿 にガ名χされたガ副察のど言 らり√ちょっとここ 雨力ヽ では対応 できな札 循環界 の外〃 へ行かなあかんゴ っ て言われ て。 ζ 申塔ノ う―ん,た だその大変 さい うの ゛ ゞ ね。 ここ 力わか らな け とんなに大変か とい うこと″ヾ へ来 で主 湿 翌 夢 雄 ″れヽ ろ いろな検査 ιζ 訪卵 され て,そ こでは じめ て √わ ―′ すごいんだ な ―ゴ ってい うふ うにね ―。 (① さん :母 親) (2)『 喪失へ の恐怖』. この ように原因や病名が わか らない不確かな状況 で. 搬送時か ら意識がな く,生 命 の危機状態 にある患者. あ って も,患 者 の訴えや症状か らただ事 ではない と捉. の家族 は「この人を失 うか もしれない」 とい う恐怖 を. えていた。. 体験 していた。. (2)『 いつ になった ら治療が開始 されるのか不 安 に思. (3)『 苦痛 を訴 える患者のそばにい る不安』. う』. ■/7″ った ―。荻急 草呼 ん で ぐれ ―ゴ 言 うたか ら″. ここでは最初 に搬送 された病院では対応で きないた. ってみた ら,全 身′全部血 の潅. った る 出五勁ゞ すこンヽ. 場合 と,施 設側 の準備 のためにす ぐに手術室へ行けな. の。傷層 は月 でな いけど そやか らるう″か ったま。 た いノ っ て。 申塔り 荻急草 の 申 で る √いた い′ レヽ ζ. かった場合 の 2種 類 の状況がみ られた。. (⑤. め,さ らに高次の救急病院に転送 される ことになった. ■市内 の荻′ 争病院 に行. 1っ. た ら,こ こではでけへん とい. さん :妻 ). 救急車内で痛みを訴える患者 のそばにい ることで. ,. うことで,こ っ ちの ス 病院 のぼ うに運務ス れ て るろ. 痛みが 自分 にも伝 わって くる ようで,不 安や恐怖が増. で,そ の花 争革 で,そ のままここへ来たん です。. 大 していた。. `申 塔ノ そ こ まではっとかれた ら,√ こん なに並勁ヾ 出 とん. 社会的役割が呆たせなくなる事への不安】 【. のにどな いすんのゴ って。 (⑤ さん :妻 ) ■ス タ ッフ呼 ん で手碑. 、 亡 怪我や疾病に よる 『身体機能の変化 による影響 を′. 備 を して いる ところ なん で ヽ ″ って くだ さレ っ て。 で るさっき,今 ιゃべ っ てるノ ノ. 配す る』 とともに,『 経済的不安』 を訴えてい た。 し. fな るかわか らへ ん っ て言 った じゃな い。 どいつ ダメ ノ. か し,イ ンタビューの時期が比較的早期 だったため. だか ら早 ぐιてま ―っ て い う感 じだ ったん です。 そ の ″〃力ゞ 長 か った ですね。 (⑫ さん :母 親 ). 不安 の 内容 も患者の身体 的な ことに関す る ものが多. ,. のみだった。 く,経 済的な不安 は 1夕 」. 困難 な手術 で あれ ばあ るほ ど,医 療 ス タ ッフは万全 の準備 を して手術 に臨み た い と考 える。 しか し,い つ. 2)不 安や恐怖 に影響 を及ぼす要因. 急変す るかわか らない と説 明 され た 家族 は ,1分 1秒. 他 の家族員に よる支援】 【 ■自宅 で″ っているf女 と次男 のこと夕ご、 配 で, とつ ヽ ヽ ιよ う″ な 一って′ っ ζ ″ に ζ 竃話)″ ノ ナた ら′″ 『 つ のだんな さん″う √を事終 わ ク次第孵 けるか ら. で も早 く手術 を して助 け て欲 しい と願 っているので. ,. 待 た され る 間 に何 が起 こる か わか らな い とい う不 安. が,い つになったら手術が開始されるのかという苛立 ちに変化してい く様子がうかがえる。. ,. そのときに. に いるり 子夕逆れ てきてやるノ って言. って ぐれ て′`家 子ダた ちをり辺 えに行 って ぐれたん で ζ. 現実が迫って くることによる脅威】 【 情報が少 な く不確 か な状況 にあ った家族 は,病 院到 着後 の 医療者 か らの病状 説 明や ,実 際 に患者 と対面す. す。主スが迎えに行 こか って言 ってたん ですけど や っぱり お父 さんだはそばに居1っ てぼ ιか つたか ら。 (⑫. さん :母 親). る こ とに よって 『厳 しい 現 実 と直面』 した り,『 喪 失 へ の恐怖』『苦痛 を訴 える患 者 の そ ば に い る不 安』 を. を共有で きる夫 (=父 親)の 存在 は大 きい。一方で. 体験 して い た。. 自宅に残 して きた他 の子 どもたちのことも母親 として. (1)『 厳 しい現実 と直面す る』. は気がか りになる。そのような状況 の中で,役 割 を代. 少 な い情報 の 中 で ,見 積 も りを して い た家族 は,具. 子 のことを心配する母親に とって,不 安な気持 ち 虐、 ,. 行 して くれ る身内がい ることによって,⑫ さんは夫 と.
(6) 甲南女子大学研究紀要 第 4号. 20. 看護学 ・ リハ ビ リテ ー シ ョン学編 (2010年 3月. ). ともに長男 の こ とに気持 ちを集 中す る こ とがで きて い. 欲 しい家族 にとって,医 師か らの説明 は,病 状や治療. た。 この ように役割 を代行 して くれ る家族 員や親 成 の. 方針 を知 らされると同時に,家 族 に新たな不安や恐怖. 存在 は,緊 急 手術 とい う出来事 に衝 撃 を受 け,困 惑 し. 心 を引 き起す もの とな り,『 医師か らの説明で不安 に. て い る家族 に とっては,他 の こ とに煩 わ され る こ とな. な り』体 が震える体験 をした り,医 師か らの説明があ. く,事 実 と直面 しそ の現実 を受 け止 め るための内面 的. まりにも脅威 となって,手 術 の説明の前後 のことを覚. 作業 をす る うえで大 きな影響要 因 となって いた。. えてい ない家族 もみ られた。 (2)『 説明の曖味 さ』. 職場・知人からのサポー ト】 【. 緊急手術 の場合,術 前 の患者情報が少ないため不確. 労務事故 や仕事 中 の救急搬送 で は,職 場 か らのサ ポ. 実 な要素が多 く,説 明が曖味 になる こともある。「大. ー ト状況が不安 の緩和 に影響 して い た。. 丈夫」 とい う確信が欲 しい家族に とって,生 命の保障. ② さんは,先 に駆けつけた職場の上司が,手 術が終 わるまでそばにいて,気 づかって くれたことを実感 じ. が得 られないことや曖昧な説明をされ ることが不安 を 増強 させていた。. てお り,職 場 の人か らのサ ポ ー トが あ った こ とで ,孤. ■意識 は ιっか クιてたん ですけど √令 に飛状 はな. 独 な状況 で待 つ とい う不安 を回避す る こ とがで きて い. いですよね ′ゴ って用 いた ら′√は いノ とはお っ ιゃ. た。逆 に,⑩ さんは,職 場 の人が 事故現場 か ら病 院 ま. らなか ったので,不 安 でしたね。 (事 例② :妻 ). で付 き添 って い なが ら,家 族 の到着後 は職場 へ 戻 って. (3)『 説明がない まま待たされる不安』. しまい ,一 人で待 たなければな らない状 況 となって い. 救急搬送 され,患 者 だけが初療室 の中に入 り,家 族. た。その間の孤独 感 に よる不安 を以下の ように述 べ て. は外 で待 つ ような隔離 された状況では,家 族成員 の様. い た。. 子が わか らないことか ら,不 安が強 くなる。 また,医. ■会社 のスね′ 手術 の 前 /_‐ 帰 った の よ。腹立 っ/_‐ わフ. 師か ら説明されてい た手術予定時間を過 ぎて も何の説. あれ。. 術が終わるまでノ/r7か ″かった。″βばっ. 明 もない と不安が増強 していた。. `手 か ι月 でね。 (⑩ さん :妻 ). ■外 でずっと″ ってたん です。本スだけ申で検査 を。 の晟 医″ その貯β″ゞ す ご― ぐfか った ですね。. 看護師による援助】 【. `そ ら,余 計 や看護師 か らの読″″ツ ぜんぜんなかったか. 家族は,不 安な気持ちや患者への思いを察 した声か けやケアに よつて癒 されていた。. ヽ ■ 大文夫 ですか ′ゴ と,衆ち 配 るιて〈 笑のぼ うの ご 「 れてたんでね,そ れは助かったかなあ。 で,`手 術膚 にソ患者のそば/_ 行 つたときにも √大丈夫 ですまゴ っ て,や っばり その一言で るんね,家友. /_‐. 芹 ちるソ変わってきます. ιたらね。`気 (⑤. さん :妻. ). このように救急車に同乗 し,1蚤 我をした夫のそばで 不安 と恐怖を体験 していた⑤ さんにとつて,「 大丈夫 ですか ?」 とい う感情表出を促す ような声かけや,患. に″かなあ って。 (① さん :母 親) ■ (手 術時間が予定 より延 びたことに対 して)fい か つてるか ら ら武か あ ったのか な― と思 つた ク,威 勁もヽ とか′ ノ ごヽ 〃 ιて (⑦ さん :娘 ) 救急外来で何 の説明 もない まま長 い時間待 たされた ① さんや,予 定 の手術時間が過 ぎて も何 の説明 もな く,不 安な状況 で待 っていた⑤ さんは,さ らに看護師 に期待することを以下 のように述べ てい る。 ― ■イ碓当′ ノ f′ ナでこう と′ ナてるら うだノ ちよっと声 を″ゝ 『 うん です″ヽ (① さん :母 親). よ」 とい う安心 感 を与 える言葉 をか ける よ うな情緒 的. ■その周 ひとつ る看護婦 さん来 なか ったん ま。 缶島存 ″り μ わるまでの″〃力ゞ 長か ったん で,今 ど うい う友. サ ポ ー トは,家 族 の気持 ちを安心 の 方向 に変化 させ て. ′ 要 で,と つ い うふ うにな っているか とい うのをやっぽ. 、 亡 配 して い る家族 に対 して ,「 大 丈夫 です 者 の状 態 を′. い た。. ク教え て欲 ιい ιフ看護婦 さんだ来 てるらった ら,や っぽ ク遅つ でιま。 (⑤ さん :妻 ). 医療者 (主 に医師)か らの説明・情報】 【 (1)『 医師からの説明で不安になる』 イ ンフ ォーム ドコンセ ン ト (以 下 ICと す る)で. この ように家族 は,病 態や治療方針に関す る情報 は 主に医師に,待 っている家族へ の状況説明 は看護師 に 求めていた。. は,手 術 の内容 だけでな く,手 術 に伴 う危険性 ,術 後. (4)『 て いねい に説明 されたが,部 分的 に しか覚 えて. 合併症 ,全 身麻酔 や輸血に伴 うリスクなど多 くの危険. い ない』. 性 について説明が される。「大丈夫」 とい う安心感 が. レン トゲ ン写真や絵や手術説明書 とい うツールを用.
(7) 江口 秀子 :救 急搬送 され 緊急 手術 となった患 者 の家族 の体験 ,. い て説 明 された こ とで ,医 師か らの説 明 に対 して家族. 境 を語 つていた。. は,て い ね い に説 明 された,わ か りやす か った とい う. )外 でずっと″ ってたん です。本ス だけ 申で検査 を。その 群 彩 ゞ ナご― ぐfか った ですね。 そ. 印象 は残 ってい るが ,実 際 には内容 の理解 まで には至. ■. (初 療室 の. 患者 の状 況 に衝 撃 を受 け てお り,何 か言 われた よ うだ. ぜんぜん なか ったか ら′ ″ゞ 笑への状況期 ち ゛ なあ って。 (① さ なあ っ こ と うιとん″ヽ 何力ヽ 余詐`=衆. が覚 えて い ない とか ,最 初 の イ ンパ ク トのある説 明部. ん :母 親). ってい ない こ とが 多 くみ られた。救急患 者 の家族 は. ,. れ. 前院で も診察や検査 のために 2時 間あまりかか り. 分 のみ しか覚 えて い ない こ とが 多 い 。. ,. 3)内 面的体験. A病 院 で も同 じよ うに手術室 に入室す る まで に約 2 時間を要 してい るに もかかわ らず ,前 院か ら A病 院. 待 つ 時 間 の重 み】 【. に移動 になるまでの時間の感覚 に関 しては,「 いえ. ,. 家族 は救急搬送 され る事態 が起 こった と きか ら,緊. す ぐだったですよ。」 と述べ ,A病 院では「すご一 く. 急手術 終了後 に患 者 と面会 し,主 治医か ら手術 の結果. 長 い」 と述べ ていた。その違 い を知るために,両 病院. や今後 の成 り行 きについ て説 明 され る まで をひ とつ の. の初療室 の外 で待 っていたときの状況について 2回 目. 時間 の単位 と して捉 えて い た。救急搬送時 に関 わる救. のインタビューで伺 うと,以 下 のように語 った。. 急救 命士 や救 急 隊員 ,そ して病 院到 着 後 は ,初 療 室 (救 急外 来 ),手 術 室 ,Icuも し くは救 急 病棟 と患 者. (前. 院では)ち ょっとの周 一緒 に いた とぷ うん で. とその家族 に関わる医療者 や担 当部署 は次 々 と替 わっ. 充 本ス と。 ちよっと検査 のとき外 で″ ってて言われ て,c また申へ″ ぽンιζ ヽか その用 は書J合早か っ. て い くが ,家 族 に とっては途切 れ る こ との ない一 連 の. た ですね。前院 ではエ コー しているところ 6月 せ てる. 流 れであ る。 また,家 族 に とって初療室や手術室 は. らった ι′ ζ 申略ノ こ ちら ζ=ス 病彰り へ 来 てか ら. ,. 入 り込 む こ とがで きな い領域 で あ り,医 療者 に全 て を. は,全然本ス と会えな ぐで外 で行 ってた でιま。 (①. 委ね なければな らない ところで もあ る。 そ の一 方 で患. さん :母 親). 者 に関す る情報 は知 りた い と思 い なが らも,そ の情報. この ように,患 者 のそばにい る時間があ り,患 者 に. を得 る手段 が わか らず 不安 な状況 で 過 ご し,そ の 間 の. 行 われてい る検査やその結果 に関する情報が随時伝 え. 時間 を長 い と感 じなが ら,こ の 【 待 つ 時 間 の重 み】 を. られ,患 者 の状況がわかる中での待 つ時間 と,患 者 と. 体験 して い た。 この よ うな ことか ら,こ の カテ ゴ リー. 隔離 され何が行われてい るのか全 くわか らない状況待. は 『不 安 に と もな う主 観 的時 間感覚 の 延長』『医療 者. つの とでは,ほ ぼ同 じ長 さの時間で も,家 族が感 じる. の 出入 りを見 て憶測す る』 の 2サ ブカテ ゴ リー か ら生. 時間の長 さに大 きな違 いが生 じていた。これ らの こと. 成 された。. か ら,待 っている家族 に医療者 か らどれだけの情報が. さらにこの 【 待つ時間の重み】に大きな影響を及ぼ す要因として,今 回の体験のスター トからある不安や 恐怖に加え,【 医療者 (主 に医師)か らの説明・情 報】がある。医師や看護師からどれだけの内容と量の 情報 が 得 られ たか に よって ,待 た され る患 者 の 家 族 は,不 安 になった り,希 望 を持 つ こ とが で きた りし. 提供 されてい るか,ま たそのことによって,家 族が ど. 者 は 7名 いた。その うち手術 中に何 らかの説明があつ. 待 つ 時 間 の重 み】 が変 化 して い た。 【. た ものは 3名 だった。その他 の 4名 の患者家族 は,何. (1)『 不安にともなう主観的時間感覚の延長』. の説明 もない ままじっと手術終了を待 ってお り,そ の. ,. れだけ状況認知で きてい るかで待 つ時間の感覚 に差が 生 じてい る。 12名 の患者 の うち手術予定時間 を覚 えて い ない⑩ さんを除 く H名 中,予 定時間 よ り手術が延長 した患. 不確 かで不 安 な状況で待 つ と きの主観 的時 間感覚. 時間を「長 い」 と感 じていた。家族 は,医 師か ら聞か. を,家 族 は「長 い」 と感 じていた。そ して長い と感 じ. された手術予定時間を目安に待 っているが,そ の時間. ることが さらに不安 を呼 び,不 安 の レベ ルを上昇 させ. を過 ぎて も何 の説明 もない と,い ろい ろなことを想像. るとい う悪循環 を作 り出 していた。 このように主観的. し,不 安になっていた。. 時間感覚 と不安 の大 きさは互 い に影響 しあい,相 関関. θ″用 と用 いいたの″ヽ 実際 は 5貯 庸 かか った とい うことで,り だヽ 配 でしたね。 ひょっと ι. 係 を示 しなが ら,待 つ時間の重みづ けをしていた。 最初 に搬送 された病院では対応で きない と言われ. ,. A病 院に転送 されて きた① さんは,1回 目のインタビ ューで以下のように,初 療室 の外 で待 っていた時の心. ■ 仔加. 2・. た ら切断力ゝるιれな いと言われ ていたか ら′切断 した か ら″β力ゞ 長 ぐなるんだろ うれ それ とる切断 ιな い ためfぐ な っているんだろ うか ととかね′ いろいろ考.
(8) リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. 甲南女子大学研 究紀要 第 4号. して。 (② さん :妻 ) えた クと力ヽ. ). 間の重み】 に影響す ると考え られた。. 術前 に切断の危険性 も説明 されていた② さんは,手. 交通事故に よる大血管損傷 のため緊急手術 にな り ,. 術時間が延 びたことで,そ れが切断を意味するのか. 手術中にも何が起 こるかわか らない と,医 師か ら厳 し. あるいは何 とか下肢 を残そ うと努力 されてい る結果な. い説明 を受けた⑫ さんは,手 術 を待 つ時間を長 い と感. のか と,時 間が延長 して い る意味 を推 し量 っては,不. じなが らも以下の ように語つていた。. 安 になって い た。. ■ (手 術室へ)ス ってか らの長 さってい うのは,そ の. (2)『 医療者 の 出入 りを見 て憶測す る』. 芹 てるfさ フ ス って f ttβ ぐらいで出 てきた 希望″ギ. ,. 手術終 了 を待 つ 家族 は,そ の場 を離 れ るこ とがで き. ら,そ こでだ わ クやろな って。θ″〃 ぐらい でぼ ちが c い. う,そ れは′ ってまι 『. ず ,た だ手術室 に出入 りす る医療者 を見ては,自 分 た. ちうま ぐいってるのかなっ. ち の 家族 と結 び つ けて い ろ い ろ な こ とを推 測 して い. たね。 手雨室 /_. た。. い (過 ぎた 頃 /_ ノ ,fい ね,fい ねフ で るちま つ とで. ■ ず いぶ んた くさん の看護婦 さん″浮 街室 だス っ て い. るfぐ お る と い うことは手笏フ湛 :ん でいる ってい うこ. くの を月 てたん で,ど うしてそん な /_‐ た ぐさん の看護 入 るのか なあ 一っ てい うふ う/_‐ 疑周 /_‐ 感 じな 婦 さん力ゞ. とやねってぷ ってましてた。 (⑫ さん 三母親 このように手術への期待感を高めながら,時 間を確. ら,月 てま したね。 (② さん :妻 ) ″ゞ. 認 して い るこ とが 伺 える。. ス. って,と 協 ぐら いか な。θ″庸 ぐら. ). この ように,家 族 は手術室に出入 りす る看護師の多. 医師か らの説 明 の 内容 や量 と,家 族が そ の説 明 ・情. さに疑間を持ち,中 で何か人手が い るような ことが起. 報 を どの よ うに受 け止 めて い るか に よって ,待 つ 時間. こっているのではないか と不安 にな っていた。そ し. の 長 さに対す る意 味が変化 してお り,待 つ 家族 の状況. て,手 術室か ら出て くる看護師を見ては,こ ちらに来. に よって 【 待 つ 時間 の重み 】 が違 っていた。. て何 か説明 をして くれないか と期待 していた。 このよ うに家族は,予 定手術時間が過 ぎて も何 の説明 もない ことで,不 安 を募 らせなが らも,誰 にも援助 を求める ことが 出来ず,自 分 たちだけでその不安 と向 き合 って. 以上 の ことか ら,各 カテ ゴ リー 間 の 関連 を図 1に 示 した。 救急患者 の 家族 は連絡 を受 けた ときか ら,そ の衝撃. こでは手術室 の. 的 で ス トレス フル な出来事 に よ り,不 安 や恐怖 を体験. 出入 り口)に 注意 を集中 し,手 術室に出入 りする医療. し,困 惑 して い た。 情報 が 限 られ ,不 確 定要素 が 多 い. 者 の動 きを,全 て 自分 の家族 と結 び付けて考 える傾向 待 つ時 がみ られた。 この ように,家 族が待つ環境 も 【. 見通しの不確かさによる不安】と,実 際に患 中での 【 者 と対面 した り,医 療 者か らの説 明 に よって情報 が増. いた。 また家族は,ひ とつのこと. (こ. 救急搬送緊急手術 に伴う不安・恐怖 見通 しの不確 かさ による不 安. 現実が迫ってくる脅成. \∈≡D/ 社会的役割が果たせなくなることへの不安. │ 〇. 1家. 族 が体 験 したこと. 影響 要 因となった体 験. 手術終了 IC∪ /救 急病棟入室. 図. 1. カテ ゴ リー 間 の 関係 1生.
(9) 江口 秀子 :救 急搬送 され 緊急手術 となった患者 の家族 の体験 ,. え る こ とで ,厳 しい 現 実 と直 面 す る こ とか ら起 こ る. 明 らか に された。. 現実がせまってくることによる脅威】によって生じ 【 た ものが あ る。 この 2つ の カテ ゴ リー か ら生 まれた不. このような家族の不安には,【 医療者 (主 に医師 からの説明・情報】が大きな影響を及ぼし,説 明・情. 安や恐怖 は,単 独 に成 り立 つ もので はな く,そ れぞれ. 報 の 内容 や量 に よって脅成 を感 じた り,逆 に不確 か さ. の カテ ゴ リー 同士が絡 みあ った り,行 った り来 た りし. か ら解放 され ,不 安が軽減す る場合 もあ った。 これ は. なが ら反 復 的 に起 こ る ものであ った。 さらにそ こか ら. 情報 の提供 が 出来事 に対 して の 知覚 に大 き く影響 して. 今回の出来事による 【 社会的役割が呆たせなくなるこ とへの不安】が派生していた。. い る ことを示 して い る。 また,医 師 か らの説明 に対 し. ). て ,『 て い ね い に説 明 されたが ,部 分 的 に しか覚 えて. これ らの不安や恐怖 の 強 さへ の影響要 因 となった体. い ない』 とい う結果 は,搬 送直後 のパ ニ ック状態がお. 験 と して ,周 囲か らのサ ポ ー トが あ った。突然起 こっ. さま らない うちに,緊 急手術 とい う現実 に直面 し,意. た衝 撃 的 な出来事 に よってパ ニ ック状態 になった家族. 思決定 を迫 られた こ とに よる脅威 か ら,何 が起 こった. に とって ,最 も身近 で安心 で きる存在 で あ る家族 員が. のか を把握す るのが精一杯 で ,情 報が十分 に理解 ・整. そばにい て ,不 安 な気持 ちや辛 さを共有す るな どの情. 理 で きない こ とを示 して い る。 さらに,研 究参加者が. 緒 的支援 や他 の 家族員 に連絡 をす るな どの家族 役割 の. 不 安 な思 いで待 つ とい う体験 の 中 で 医療者 に期待 した. 一部を代行 してもらうような 【 他の家族員による支 援】が,情 緒的混乱を安定化に向かわせていた。ま た,【 職場 ・知人からのサポー ト】 も,不 安 を緩和す る要因となっていた。さらに,看 護師による家族への. こ とは ,「 ほん とに ち ょっ との声 か けで いい か ら,今 どうい う状況 なの か教 えて欲 しい」 とい う こ とで あ っ た。 これ は初 療室 で も手術室 の待合室 で も同様 であ っ た。. 声かけなど 【 看護師による援助】によって,患 者の家 族は救われたと語っていたが,こ のような看護師から. と して ,数 は少 ない が看護 師 に よる気遣 い が あ つた。. の情緒 的支援 を初療室や手術室 の待合室 で体験 した家. 看護 師 の一 言 で安心感 を抱 き,気 持 ちが変 わった と述. 族 は少 なか った。逆 に,周 囲か らのサ ポ ー トが ない家. べ られて い るこ とか ら,不 安 な気持 ちをわか って もら. 族 は,孤 独 感か らさらに不安 や恐怖 が増大 して い た。. え,医 療者 か ら気 づ かわれて い る とい うサ ポ ー テ イブ. 一方で 【 医療者 (主 に医師)か らの説明 0情 報】によ って も,不 安 や恐怖 は大 きな影響 を受 けて い た。 さらに,救 急患者 の家族 は,手 術 が終 了 し,患 者 と. な雰 囲気 が家族 に伝 わる と,家 族 は安心 し,情 緒 的安 ‖)の 定 に向か う こ とがで きて い た。Molteruゃ 善家 ら 研 究 で は,家 族 へ の気遣 い に関す るニー ド (不 安や辛. 面会 で きる まで の 待 つ 時 間 を非常 に長 い と感 じて い. い 自分 の 思 い を聞 い て もらえ る ,葛 藤 や怒 りが 出 せ. た。 この待 つ 時間 の主 観 的時 間感覚 に影響 を及 ぼす も. る,家 族 の健康 や疲労 を気 にか け て もらうな ど)の 重. の と して ,家 族が体験 して い る不安 や恐怖 の大 きさと. 要度 は低 い とされて い るが ,決 して ニー ドが な い わ け. 医療者 (主 に医師)か らの説明・情報】がみられ 【 それによって,【 待つ時間の重み】づけがされてい. で はない 。 む しろ家族 は,患 者 の こ とで精 一杯 で ,自 分 た ちが 1青 緒 的混乱 に陥 り援助 を必要 として い るこ と. た。不確 かで,不 安 な状況で待 つ 時間 は「長 い と感. を意識 して い なか った り,自 分 たちの ことで 医療者 を. じ」,そ の「長 い と感 じる時間」のなかで,家 族 はい. 煩 わせ た くな い とい う思 いの 表 れ で あ る と考 え られ. ろい ろな憶測 をして,ま た不安になるとい う内面的体. る。 この こ とが ,家 族 へ の気遣 い を積極 的 には看護 師. 験 をしていた。. に期 待 しない こ との要 因にな ってい る と思 われ る。 し. ,. また,不 安 な状況 にあ る家族 に影響 を及 ぼ した体験. B・. か し,い たわ りや励 ま しとい う気遣 い を受 け た とい う. V.考. 察. 体験 は,厳 しい現実 と直面す るための大 きな力 になっ て い る こ とも確 かであ る。. 1.救 急搬送 され,緊 急手術 となった患者 の家族 の体験 救急 医療 の場 で出会 う家族 は,突 然 の 出来事 に各家 族成員が激 しく混乱 し,深 刻 な危機 に陥 りやす い。本. 研究においても,【 見通しの不確かさによる不安】や 現実がせまって くることによる脅威】 【 ,【 社会的役割 が呆せなくなる事への不安】 といった不安や恐怖を体 験 し,大 きな衝撃を受け,混 乱・困惑していたことが. また他の家族員に連絡して 【 他の家族員による支 援】を求めるという行動から,家 族は自分たちの不安 は 自分 たちで引 き受 け,互 い に支 えあ っていた こ とが 明 らか に された。不安 な時間 を家族 で支 えあ うため に は,家 族 の 関係性 が重要 な要素 とな り,事 故が原 因 の 場合 には,職 場 や事故 の 関係者 の存在 も家族 へ の影響 要 因 となる。.
(10) 甲南女子大学研究紀要第 4号. 看護学 ・リハ ビリテーシ ヨン学編 (2010年 3月. ). これ らの こ とか ら,危 機状態 にあ る家族が家族機 能. 主観的時間感覚 の影響要因になるとい う報告 と一致 し. を十分 に発揮 す るため には,危 機 にあ る家族 をサ ポ ー. た。野村 らの研究 は予定手術患者 を対 象 と して い た. トで きる資源 (家 族が安心 して相談 した り,依 頼 した. が,本 研究のような救急における緊急手術 とい う体験. りで きる人)の 存在 を確認 した り,キ ーパー ソ ンを明. は,生 命の危険性が高 く,突 然 の出来事 でこころの準. らか に し,そ の よ うな人 が来院で きる よ うに調整 した. 備 もで きて い な い上 に,情 緒 的サ ポ ー トの主 たる役割. りして ,家 族 の ソー シ ヤルサポ ー トを強化す る こ とが. を担 う他 の家族員がす ぐに駆 けつ け られ ない とい う状. 重要 になる。 またそれが不可能 な場合 には,看 護 師 が. 況 にあ る。その上 ,本 研究結果 の よ うに,予 定時 間が. そ の 家族 のサ ポ ー ト的役割 を担 う必要が あ る。. 過 ぎて も何 の 説明 もな い とい う情報不足 の場合 は,さ. 本研究 の 中 で特徴 的 だった こ とは,患 者 と長時 間隔. らに家族 の不安 は増大 し,野 村 らの結果以上 に主観 的. 離 され不安 な時間 を過 ご して い る家族 は,そ の不安 と. 時 間感覚 に影響 を与 えて い た と推 測 され る。 そ の 結 不安 (状 況が わか 果 ,野 村 らの研 究で示 されて い る “. 医療者 (特 に医師)か らの説明 ・情報】 の影響 を受 【 けなが ら,「 待 つ体験」 してい たことである。物理的. らない ,何 か起 きた のではな い か )"“ 辛 い (辛 い ,大 くない こ と. 時間 として も長 い時間待 たされてい るが,そ れ以上に 主観的時間感覚 として「長 い」 と感 じなが ら,不 安や. 変 な 1日 で あ る)"“ 悪 い 出来事 の想像. 期待感をもちなが ら過 ご していたことが明 らかにされ. た )"な どの心 理 的苦痛 と一致す る語 りが ,本 研 究 の. た。. 研 究 参加 者 か ら も多 く聞 か れ た。 そ の上 ,救 急 患 者. (よ. や患者 の異変が思 い 浮か んだ)"“ 焦燥 感 (い らい らし. は,初 療室 で待 つ 時 間 も含 めて ,手 術が終 わる まで の. 2.患 者の家族が長いと感じる 【 待つ時間の重み】の. 時 間 を一 連 の 時間 と捉 えて い るため さらに「長 い」 と 感 じて い るのであ る。. 意味 本研 究 の 家族 は,救 急搬 送 され る事態が発 生 した と. 次 に「情報」 に よる影響 であ るが ,こ れ には 2つ の. きか ら,緊 急手術 が無事終 了 し,主 治医か ら手術 の結. 要素が み られた。 ひ とつ は医師か らの説 明や情報 に対. 果や今 後 の 成 り行 きにつ い て説明 されては じめて時間. 待 つ 時 間 の重 み 】 の す る家族 の 受 け止 め 方 で あ る。 【. の 区切 りをつ け,手 術 が無事終 了 した安堵 感 を感 じて. 中には,不 安 や恐怖 だけで な く,手 術 へ の期待 感 も含. い た。救急搬送 されてか ら手術終了 まで の 時間 は,約. まれて い た。① さんは,手 術 に伴 う危険性 をい ろ い ろ. 4時 間か ら 16時 間 45分. (転 送 され た患 者 は最 初 に搬. 説明 されたが ,そ れで も「待 って いる間 は,一 命 は取. 送 され た病 院 で の 時 間 も含 む )で ,12例 の 平均 時 間. りとめ,救 うための 手術 やか ら, これ (手 術 )を した. は 8時 間 30分 であ つた。 救急搬 送 され緊急 手術 とな. ら大丈夫 なんや って い う気持 ちで,手 術 が終 わるの を. った場合 ,家 族 はか な りの 時間 「待 つ 体験 」 を し,こ. 待 つ しかない とい う感 じで したね」 と,手 術 へ の期待. の 間,不 安 や恐怖 とともに緊張 した時 間 を過 ご して い. 感 を語 られた。 さらに⑫ さんは,何 が起 きるか わか ら. る。 つ ま り,家 族 に とつては待 つ 場所 は変 わって も待. な い とい う厳 しい 説 明 を受 けて手術 に臨 ん だ た め. ,. つ 時 間 は継続 し,そ の 時 間軸 の上 で不安 や恐怖 を体験. 「 ち ょっ とで も長 くお る とい うこ とは手術 が進 ん でい. しなが ら過 ご して い た。 したが つて他 院か ら転 送 され. るこ とやね って思 って」 と語 られた。生命 の危険性 や. て きた患者 の 家族 は,救 急要請 した ときを出発点 と し. 情報不足 が不 安 を高 め る とい う一 方 で ,医 師か らの説. て ,最 初 に搬 送 された病 院 で 費や した時 間 も含 めて. 明や情報 を家族が どの よ うに受 け止 めて い るか に よっ. ,. 「待 つ 時 間が長 い 」 と感 じて い た。 そ して待 つ 時 間 の. て ,待 つ 時間 の 意味が変化す る こ とをこれ らの語 りは 示 して い る。. 不安 を家族 だけで引 き受 けて い たのであ る。. 情報 に関連 した もうひ とつ の 要素 は,最 初 に与 え ら. その 【 待つ時間の重み】には,「 主観的時間感覚」 と「情幸 風 」 ,お よび「環境」が影響要因となっている. れた情報 とは異 な った状況 になった ときに,情 報 の修. こ とが 明 らか に された。時 間に は時計 で測定す る こ と. 正が な されるか ど うかが ,そ の 後 の心理状態 に大 き く. がで きる物理 的 な側面 と,心 理 的 な変化 に よつて個 々. 影響 す る ことで あ る。家族 は医師か ら示 された手術予. に知覚 され る主 観 的 な側面があ る。 本研 究 で 明 らか に. 定時 間 を 目途 に手術終 了 を待 ってい る。 この予定時 間. された 『不安 に伴 う主観 的時間感覚 の 延長』 で は,野. を過 ぎた と きに,新 たな情報 が追加 され ない と,家 族. 村 らの「手術 中 の 家族 の 『待 つ』 とい う体験 に関す る 24で 生 命 の 危 険性 ",“ 情 緒 的 研 究」 述 べ られて い る “. に とってはそ こで情報 が途絶 えた こ とにな り,不 安が. サ ポ ー トの不足 ",“ 情報不足. "が 家族 の不安 を高め. ,. 増強していた。つまり情報不足が生じて,【 待つ時間 の重み】が変化しているのである。.
(11) 江口 秀子 :救 急搬送され 緊急手術 となった患者 の 家族 の体験 ,. さらに待 つ 環境 も時 間 の重 みへ の影響要 因 となって い た。 手術終了 を待 つ 家族 は,手 術室 に出入 りす る医. の場 に,看 護 師が 同席す るこ とは,そ の後 の情緒 的支 援 のため に有効 であ る と考 える。. 療者 を見 ては,自 分 たちの 家族 と結 びつ け て い ろい ろ. 初療室や手術室 の待合 室で待 つ 家族 は,情 報 の ニー. な憶測 を して不安 になって い た こ とが ,本 研 究 で 明 ら. ズ は高 い が ,多 くの説 明 を求めて い るので はない 。 し. か になった。 不安 の レベ ルが 高 くなる ほ ど知覚領域 は. か も場合 に よっては,説 明や情報 が家族 に とって脅威. 低下 し,細 部 に集 中 しが ちで ,他 の こ とは何 も考 え ら. に もな ってい る こ とか ら,不 安 な状況 にあ る家族 は. れ な くな り,些 細 な こ とで 混 乱 す る よ うに な る。 A. 外 界 か らの刺激 に敏 感 にな り,傷 つ きやす い状態 とい. 病 院 で は,家 族 の待 つ 空 間が手術 室 の 出入 り回 の正面. える。情報 の提供 に関 して も,医 療 チ ーム 内 での コ ミ. にあ ったため ,予 定時 間 を過 ぎて も手術 が終了せず. ュニ ケ ー シ ョンを密 に して,誰 が どこまでの情報 を提. ,. ,. 不安 な家族 の 意識が 出入 り口に集 中 して い た。その結. 供 して い るか ,今 あ る情報 を今後 ,誰 が ど う伝 える予. 果 ,家 族 にゆが んだ知覚 を もた らす要 因 とな り,不 安. 定 なのか を把握 し,で きるだけ家族が混乱 を来 た さな. がますます増強するという悪循環をもたらし,【 待つ 時間の重み】に影響を及ぼしていた。. い よ うに適切 な情報 をタイ ミング よ く提供す る こ とが. 一 方 で ,待 つ 時 間 は,患 者 と長 い 時 間隔離 され不安. 重要 で あ る。 また,家 族 は救急搬送 されてか ら手術 が終 了 し,ICU. な時 間 で あ る と同時 に,脅 威 の対 象 か ら距離 をお き. もしくは救急病棟 に入 院す る まで をひ とつ の 時 間 の単. 家族が落 ち着 きを取 り戻す ことがで きる時 間 で もあ っ. 位 として捉 えて い た。 一 方 ,看 護 師側 か らみ る と,緊. た。 手術 とい う治療 方針が決 まって よ うや く家族 は. 急 手術 が終 了 し ICUも しくは救 急 病棟 に入 室 す る ま. ,. ,. 中断 された 日常性 を調整す る ことに思 い をめ ぐらせ て. で ,患 者 とその家族 に関わる担 当部署 は,初 療室 ,手. い た。 それ は他 の 家族員 や会社 に連絡 を した lo名 中. 7名 が ,患 者が手術室 に入室 してか ら他 の家族員 に連. 術 室 ,ICUも し くは 救 急 病 棟 と 次 々 と替 わ っ て い く。それぞれ の部署 で ,待 ってい る患 者 の家族 へ の援. 絡 を して い る こ とか らもわか る。. 助 を考 えるだけで な く,も う一 歩踏 み込 んで ,救 急 と い う一 連 の流 れの中で長 い時 間 を過 ご して きた家族 と. 3.看 護介 入 へ の示唆. い う捉 え方 を して,関 わる必 要が あ る。. 黒 田は,救 急 医療場面 での家族が示 した危機 の プ ロ. Ⅵ。お わ り に. セス をフ ィ ンクの危機 モ デル を用 い て説 明 し,有 効 な 「衝撃期 の 家族 へ の 危機 介入」 を 目指 した危機 介 入 モ デル を示 して い る29。 これ は家 族 が初 療 室 や. IcUで. 初療室や手術室 とい う領域 は,緊 迫 した中 で 家族 と. 患者 と面会 した と きの情緒 的混乱状態 へ の介入 を示 し. 看護 師 が は じめて出会 う ことや看護 師が家族 と関 わる. た もので あ る。患者 の そばにい る家族 とい う意味 にお. 時 間 の 少 な さか ら,信 頼 関係 を築 きに くい とい う状況. い ては,医 療者 か ら見 える家族 とい える。そのため. にあ る。かかわ りの少 な さは,家 族 か らの フイー ドバ. ,. 家族 の心理状態 の アセス メ ン トや家族介入 も行 い やす. ック も少 ない とい う こ とであ る。そのため この よ うな. い。 しか し,初 療室や手術室 の待合室 で待 つ 家族 は. 家族 の生 の声 を直接 聞 く機会 は少 ない と思 われ る。 看. ,. 患者 か ら離 れた ところに存在 す る医療者 か ら見 えない. 護 師 が 自分 たちの体験 談 を他 の 人たち と共有す る こ と. 家族 とい える。 この よ うな状 況 にあ る家族 の心理状態. 2つ で ,臨 床 で役立 つ教訓 を広 げ る こ とがで きる と Ben―. を把握 し,適 切 な家族援助 を実践 す るには,看 護 師 は. nerが 述 べ て い る よ う に ,家 族 が どの よ うな体 験 を. か な り意識 して関わる必要性 があ る。 これ は,鈴 木 ら. し,ど の よ うな情報 や援助 を求 めて い るのか ,医 療 チ. の研 究 に よる救命救急 セ ン ター で実際 に看護 師が家族. ーム全体 で共有す るこ とが ,家 族 へ の援助 を考 える重. に関わ つた所要時 間が 1分 ∼ 8分 で ,平 均所要 時 間 は. 要 な手がか りとなる と考 える。. 3分 と短 い とい う結 果. 20ゃ. ,本 研 究 にお け る初 療 室 で. の家族 の体験 に看護 師が ほ とん ど登 場 しない こ とか ら もい える。 しか し,数 は少 な くて も看護 師か らの情緒 的支援 を受 け た とい う体験 が ,厳 しい現実 と直面す る ための力 となって い るので ,短 い 時 間 で あ って も,家 族 の傍 らに寄 り添 って ,声 をか け るな どの 関 わ りが重 要 となる。そのため には,家 族が 一 番脅威 と感 じた IC. 文. 献. 1)堤 邦彦,福 山嘉綱,上 條吉人他 :救 急場面における 家族援助 一家族援助 の必要性 ―,主 任 &中 堅,1992,2 (4), 107-111. 2)渡 辺裕 子 :救 急 医療 ・集 中治療 の場 にお け る家 族 看 護 .鈴 木和 子 ,渡 辺 裕 子 著 ,家 族 看 護 学 理 論 と実 践 第 2版 ,日 本看護協 会 出版会 ,東 京 ,1999,170-197.
(12) 甲南女子大学研究紀要 第 4号. 26. 3)早 坂 百 合子. 看護学. 高橋 章 子 編 ,救 急. :患 者 と家族 の心 理. 看護急性 期 病 態 にあ る患 者 の ケ ア ,医 歯 薬 出版株 式 会 社上, 珠こ万て, 2001,85-90 4)山 勢博 彰 :家 族 へ の 危機 介 入 ,HEART nursing,2002っ. ). 論文集 (成 人看護 I),2000,51-53 16)山 勢博 彰 ,山 勢 善江 ,石 田美 由紀 他 :重 症 ・救 急 患 者 家族 アセ ス メ ン トの た め の ニ ー ド&コ ー ビ ングス ケ ー ルの 開発 一暫 定 版 CNS― FACEの 作 成過程 とニ ー ドの 構 成概 念 の 評価 一,日 本救急 看護 学雑 誌 ,2002,3(2),. 15(3), 242-248. 5)山 勢 博 彰. リハ ビ リテ ー シ ョン学編 (2010年 3月. :生 命 の 危 機 状 態 に あ る患 者 と家 族 の 心. 理 .高 橋章子監修 ,救 急看護 の基 本技術 ,2004,Emergency. 23-34. 17)山 勢博 彰 ,山 勢 善 江 ,石 田美 由紀 他 :完 成 版. CNS―. FACEの 信頼性 と妥 当性 の検 証 ,日 本救急看護学雑 誌. nursing夏 季増刊 号 ,254-261. 6)小 澤 み ゆ き 1手 術 終 了 を待 つ 家族 の 不 安 と看 護 婦 ヘ の ニ ー ズ ー心 臓 血 管 外 科 手術 患 者 の 家 族 へ の ア ンケ ー ト調査 か ら 一,第 10回 日本手 術看護学 会発表集録 集. ,. ,. 2003,4(2), 29-38. 18)鎌 田梨 愛 ,中 川雅 子 :脳 血 管 疾患 に よ り緊急 入 院 し た患 者 家族 の心 理 と情 報 提 供 に関す る ニ ー ド,三 重 看 言 隻生 許言 志。2004,6, 121-136. 1996, 192-197. 7)荒 内正 弘 ,大 原 由子 .吉 井 順 子 他. :手 術患 者 を待 つ. 族 の ニ ー ズの 抽 出 とニ ー ズ 測 定 尺 度 の 開発 ,日 本 集 中. 家族 の不安 ,看 護 の研究 ,1999,319149-153 8)Leskeo JS: Intcrvention to Decrease Family An対. ety,. CRITICAL CARE NURSE,2002,22(6), 61-65. 9)大 場 由香・ 村 井 嘉 子. :′. ヽ 亡 臓 外 科 手 術 を受 け た患 者 家. 族 の主 観 的体験 に関す る研 究 ―手 術 決 定 か ら回復 期 に ,HEART nursing,2004,17(9),891-899. 焦 点 を あ て て 一. 19)辰 巳有 希 子 ,羽 尻 充子 ,中 村 尚美 他 : ICU患 者 家. 10)Ⅳ loltero NC: Need of relatives of critically in patients:. 治療 医学 会雑誌 ,2005,12(2),Hl― H8 20)御 崎安 津 子 ,森 厚 子 ,古 川 美 紀 :術 中待 機 す る家族 の 不安 とニ ー ズの 分析 (第 2報 )一 術 中 の 情 報提 供 を実 施 して 一,第. H回 日本手術看護学 会発表集録 集 ,1997,. 247-253. 21)青 山み ど り,二 渡 玉江 ,樽 矢 裕 子 他 :心 臓 手術 患 者. A dcscriptive study,HEART&LUNG,1979,8(2),332-. の 家族 支援 に関 す る研 究 一家族 の 患 者 へ の思 い ,医 療. 339. 者 の 対 応 へ の 思 い 一 ,HEART. 11)Leske.JS: Internal psychometric properties of the Criti―. nursing,2004,17(3),264. -268. cal Care Family Nceds lnventory,HEART&LUNG,1991,. 22)Friedman.MM: Family Nursing,Theory and Practice,. 20(3), 236-244. Appleton&Lange,1992,p.9 23)木 下 康 仁 :グ ラ ウ ン デ ッ ド ・ セ オ リ ー ・ ア プ ロ ー チ. 12)Mendonca&Walcn:Percdved and Unmet Needs of Cntical Care Family Members,Critical Care Nursing Quar― terly, 1998,21(1), 58-61. 13)善 家 里 子 ,吉 永 喜 久 恵 ,田. 中靖 子 他 :救 急 入 院 患 者. の 家 族 の ニ ー ドに関 す る研 究 一そ の. 1-家 族 が 重 要 で あ. 看言 隻 I), 1993: 30-32. 中 靖 子 ,吉 永 喜 久 恵 :救 急 入 院 患 者 の. 2-家 族 が 重 要 と捉 え. ー搬 送者 の 家族 の 体 験 の 援 助 一家 族 の 認 識 と行 動 の 特. 期 大 学 部 紀 要 ,1999,18,17-25 家 族 の ニ ー ドに 関す る研 究 一そ の. て い る ニ ー ドは 満 た され て い る か 一,神 戸 市 看 護 大 学 短 期 大 学 者隣己要 , 2000, 19,45-54. 15)草 場 俊 哉 ,一. 影響 要 因 につ い て ,第 24回 日本看護 学 会論 文集 (成 人. 25)黒 田裕 子 :危 機状 況 にあ る救 急 重 症患 者 の 家 族 に対 す る看護援助 ,月 刊 ナ ー シ ング,1989,9(3),274-278 26)鈴 木和 子 ,豊 田淑 恵 ,長 瀬 雅子 他 :(救 命救急 セ ンタ. る と認 識 して い る ニ ー ドの 特 性 ― ,神 戸 市 看 護 大 学 短. 14)善 家 里 子 ,田. の 実践 【 質的研究 へ の誘 い】,弘 文堂 ,東 京 ,2003 24)野 村 美 香 ,田 中京 子 :手 術 を待 つ 家族 の 時 間 間隔 と. ノ宮 典 子 ,永 田 美 香 他 :救 命 救 急 セ ン. ター 入 院 患 者 の 家 族 援 助 の 実 際 一患 者 家 族 の ニ ー ドの 重 要 度 と満 足 度 調 査 を試 み て 一,第 31回 日本 看 護 学 会. 徴 か ら 一,東 海大学健康科学 部紀要 ,2004,9,H-18 27)Benner.P,Hooper― Kyriakidis.PL,Stannard.D (1999)// 井上 智子 訳 :ベ ナ ー. 看 護 ケ アの 臨床 知. 考 える こ と。医学書 院,東 京 ,2005. 行動 しつ つ.
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