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救急搬送され、緊急手術となった患者の家族の体験 : 家族の『待つ時間』に注目した看護介入の検討

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Academic year: 2021

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(1)原. 著. 救急搬送 され,緊 急手術 とな った患者 の家族 の体験 一― 家族 の 『待 つ 時間』 に注 目 した看護介入 の検討一―. 江. 口. 秀. 子. Experiences of Falllilies in the Emergency Room Duc. to A Fanlily Members'Emergency Surgery 一一一―An]Exan五 nation of Nursing lntervention Focusing on Fanlilies'. “ Waiting. Tilne"一一―一. EGUCHI Hideko Abstract: Regarding emergency medicine, there are many cases in which a patient is transfered fronl in― itial exanlination, to surgery, I(〕. 1」. and then a medical ward in a short period of tilneo While his/her fanlily. follows the patient,it is practically difficult for any of thenl to receive support irom nurses at any of thosc sections.The purpose of this study is to clarify just what the waiting time for these families with loved owes. brought to ER means,and how these emergency procedures actually affect them。 We conducted scnli― structured interviews with 12 fanlily members of such patients in order to conduct a qualitative content analysis based on the verbatim recordo SutteCtS'family members experienced“ an対 ety duc to uncertain future forecasting,". “ threats conling from approaching reality" and. “ anxieties that the patient. won't be fulfill societal roles" along with their distraught. Furthermore, these anxieties and threats were largely affected not only by support fronl surounding people but by. “ explanations and information gleaned. fronl medical personnel''.That means, cxplanatory contents and the amount of information became a factor influencing their perceptions of the incident。 through the end of its coursc experienced a. Key Words: 正〕 rn9rgency. 「 Fhese fanlilies observed from the beginning of an incident “ gravity of waiting anxicty" throughout their ordeals.. patients,cmergency surgery,fanlily,experiences,waiting tilne. 抄録 :救 急 医療 の 場 で は ,短 時 間 に初 療 室 ,手 術 室 ,ICu,病 棟 と担 当部 署 が 変 わ る こ と も少 な くな い 。 家族 は患 者 と と もに移 動 しなが ら も,実 際 に は どの 部 署 の 看 護 師 か ら も援 助 を受 け に くい 状 況 に あ る。 本研 究 の 目的 は ,こ の よ うな患 者 家 族 の 体 験 か ら,救 急 搬 送 され ,緊 急 手術 とな った 患 者 家 族 の 待 つ 時 間 の 意 味 を明 らか に す る こ とで あ る。 対 象 とな る患 者 の 家 族 12名 に 半 構 造 化 面 接 を実 施 し,そ の 逐 語 録 を も とに 質 的 内容 分 析 を行 った 。患 者 の 家 族 はそ の 衝 撃 的 で ス トレス フル な 出来事 に. より,【 見通しの不確かさによる不安】【 社会的役割が果たせ 現実がせまって くることによる脅威】【 ・ へ い こと の なくなる 不安】を体験 し,困 惑して た。さらに家族の不安 恐怖には,周 囲からのサポー トだけでなく,【 医療者からの説明・情報】が大きな影響を及ぼし,説 明内容や情報量が出来事の知 覚 に対する影響要因 となっていた。 また家族はその事態が起 きた ときか ら,手 術が終了するまでをひ とつの時間の単位 と捉 え,そ の時間軸 の上で 【 待 つ時間の重み】 を体験 していた。 キーワー ド :救 急患者 ,緊 急手術 ,家 族 ,体 験 ,待 つ時間.

(2) 甲南女子大学研 究紀要 第 4号. 看護学 ・ リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. ). 術 をい う。手術 の 決定か ら実施 までが 一 刻 一秒 を争 う ものか ら,数 時 間 の 余裕 の あ る もの まで ,そ の 緊急性. は じめ に. には幅があ るため ,本 研究 で は,救 急搬 送後 ,初 寮室 救 命救急 セ ン ター に搬 送 され る患者 の 多 くは,急 な. (救 急外 来 )で の 検 査 ・治療 の段 階で手術 が決 定 し ,. 発症 ,あ るい は突 発的 な事故 に よ り生命 の危機 に さら. 初寮室 か ら手術室 へ 移動 した患者 を対 象 と した。. されて い る。そ して ,患 者 の 家族 は何 の準備 もない ま. 『家族』. ま突然 の 出来事 に直面 し,対 処せ ざるを得 ない状 況 に. Friedmanの 「 家族 とは,絆 を共 有 し,情 緒 的親 密. おかれ ,各 家族成員が激 しく混乱 し,危 機 に陥 りやす い状 況 にあ る卜'。. さに よって互 い に結 びつい た ,し か も家族 で あ る と自. また ,家 族が病 院 に駆 けつ けて も,家 族 に与 え られ. 2つ 覚 して い る 2人 以上 の成 員 か らな る集 団 で あ る」 と. い う定義 を もとに,本 研究 で は家族 の範 囲 は,結 婚. ,. る情報 は 限 られた ものであ り,検 査や処置が終 わる ま. 血 縁 ,同 居 を問 わず ,家 族 員 で あ る と互 い に認 めて い. で ,何 の情報 も得 られ ない まま待 た され る場合 も少 な. る人 々の 集 団 で ,患 者 の救急入 院 の連絡 を受 け,入 院. くない 。患者 に関す る情報 が 得 られ な い ことは,家 族. に関わった者 と した。. の不安 や恐怖 を増大 し,心 理 的危機 を強め る こ とにな Ⅲ .研 究 方 法. る。その上 ,緊 急 手術 となる と,家 族 は,患 者 と隔離 された状 況 で長 い 時 間 を過 ごす こ とになる。予定手術 であれ ば,手 術前 の オ リエ ンテ ー シ ョン等 を通 して. ,. 1.研 究 デザ イ ン. 看護 師 との 関係性 が構築 されて い る こ とが 多 い 。 しか. 本研 究 では,救 急搬送 され緊急手術 を受 ける こ とに. し,救 急 での 緊急手術 で は,ど の部署 の看護 師 とも関. なった患者 の 家族 に焦点 をあて ,質 的帰納 的研究 デザ. 係性 が築 かれて い な い ため ,家 族 は病棟 か らも手術室. イ ンを とった。. か らも支援 を受 け る こ とがで きに くい 立場 に置かれ. ,. 緊張 と不安 の 中でただ待 つ とい う状 況 にある こ とが 多 67。. ぃ. しか も家族 の 不 安 が 強 い と彼 らが 本 来持 って. い る患者 をサ ポ ー トす る とい う家族機能が十分 に発揮. 研究参加者 の 許可 の も とに発言 内容 を録音 し,そ の 逐語録 を もとに研究 目的 に関連す る箇 所 に着 目し,内 容分析 を行 い ,カ テ ゴ リー を生成 し,カ テ ゴ リー相互 の 関係性 を検 討 した。. で きない だけでな く,医 療 ス タ ッフヘ の不信感 や ケア ヘ の不満 につ なが る場 合 もあ る8り 。. 2.研 究参加者. 重症患者家族 の ニー ドに焦点 をあてた研究 は これ ま ` で に も多 くみ られ るЮ "│。 これ らの研 究 で は ,重 症患. 者 の 家族 で あ る。家族 の 中 で研究協 力候補者 と した の. 者 家族 の もつ ニー ドと して「情 報 の ニー ド」「接 近 の. は,患 者 の 回復過程 に影響 を及 ぼす と考 え られ る代理. ニー ド」 が高 い こ とが 明 らか に された。. 意思決定 に関 わ るキ ーパ ー ソ ンや患者が信頼 し精神 的. 本研究 の参加者 は救急搬 送後 に緊急手術 となった患. 一 方 ,周 手術期 にあ る患者 の 家族 の体験 に焦点 をあ. 支 え と して い る家族 ,入 院中 の 身 の 回 りの世話 をす る. てた研究 もい くつ かあ るが ,こ れ らは予定手術患者 の 9Ю 〕 ,救 急 領 域 にお い 家族 を対 象 と した もの で あ り. 人 と し,1患 者 に対 して 1名 の 家族 か らの面接 を原則 と した。. て ,緊 急手術 を受 け る患 者 の家族 の体験 に焦点 をあて た研 究 は殆 ん どみ られ ない 。そのため本研究 は,救 急 搬送 ・緊急手術 とい う過程 での 家族 の体験 か ら,家 族 に とっての待 つ 時間 の意味 を明 らか にす るこ とで ,危 機 的状 況 にあ る家族 に効 果的 な介入 をす るための示唆 を得 るこ とを 目的 とす る。. 3.デ ー タ収集方法 1)デ ー タ収集期 間 2005年 7月 か ら 11月 にか けて行 な った。. 2)研 究参加者 の選定 と依頼 の手順 救急部 の看護 師長 に本研 究 の趣 旨,研 究対象者 の 設 定基準 を説明 し,救 急搬送後 に緊急手術 となった患 者. Ⅱ.用 語 の 操 作 的 定 義. の 中か ら研究参加候補者 を選択 した。患者 の全 身状態 が 安定 し,家 族 も平静 さを取 り戻 した と判 断 された後. 『緊急手術』 “ 臓器 の機能 の維持 もしくは障害 を最小 救命"や “. に,師 長 か ら研究参加候補者 に,研 究 につい ての説 明. 限にする"こ とを目的に,予 定外 に臨時に行われる手. 族 か ら承諾 が 得 られた後 に,そ の 家族が希望 した 日時. を聞 く意思があ るか ど うか の確 認 を して もらった。家.

(3) 江口 秀子 :救 急搬送され 緊急手術 となった患者 の家族 の体験 ,. に訪 問 し研 究 の趣 旨に つ い て文 書 と口頭 で 説 明 を行. 体例 とす る説明概念 を生成 した。生成 された説 明概念. い ,署 名 にて研 究参加 へ の 同意 を得 た。. (サ. 3)面 接 方法. リー を生成 し,カ テ ゴ リー相 互 の 関係性 を検 討 し,分. 面接 は研 究参加者が希望す る 日時 に,プ ライバ シー. ブ カテ ゴ リー )か らさ らに ま とま りの あ るカテ ゴ. 析結果 をま とめ る とともに,カ テ ゴ リー 間 の 関連 を図. が 守 られ る場 所 (主 に病棟 カ ンフ ァ レ ンス ル ー ム ). 式化 した。そ の過程 を定期 的 に 2名 の研 究指導者 に提. で ,半 構 成面接法 を用 い て行 った。 さ らに研究参加 者. 示 し,ス ーパ ーバ イズ を受 け る こ とに よって ,信 頼性. の許可 を得 て面接 内容 を録音 した。. と妥 当性 を確保 した。. 4.研 究参加者 へ の倫理 的配慮. Ⅳ。 結. 果. 本研 究 は,研 究者が在学 した大 学 院 の倫理委員会 の には,研 究 目的 ,協 力 に関す る任意 性 ,お よび不利益. 1.研 究参加者 の概要 (表 1・ 2) 2施 設 よ り研 究 の協力 を得 る こ とが で き,研 究参加. を受 けない権利 の保 障 ,研 究者 の守秘義務 につい て説. へ の 同意 を得 られ た 家族 は 12名 で ,全 て女性 で あ っ. 明 し,署 名 に よる 同意 を得 た後 に面 接 を行 った。 さら. た。患 者 との続柄 は,配 偶者 5名 ,母 親 4名 ,子 ども. に面接 時 に,不 安 や緊張 ,苦 悩 な どに満 ちた出来事 を. 3名 であ った. 思 い起 こす こ とで ,不 快 な感情 を再体験 す る可 能性 が. き各 1回 で ,1回 の 平均 イ ン タ ビュー 時 間 は 45分 で. あ るため ,表 情 や反応 に注意す る とと もに,疲 労 や苦. あ った 。搬 送 理 由 は 交 通事 故 が 5名 ,労 務 事 故 が 2. 痛 を感 じた ら中止 ・中断が で きる こ とを伝 えた。. 名 ,自 宅 内 での転伊lが 2名 ,急 病が 3名 であ った (表. 承認 を得 た研 究計画書 に基 づ い て行 った。研 究参加者. 2)。. 5.分 析方法. (表. 1)。. イ ンタ ビュー 回数 は 2名 をのぞ. 救急車要請 を家族が行 い ,救 急車 に同乗 して きた. 家族 は 5名 ,搬 送先 の病 院 も しくは他者 か らの連絡 で. 分析 は,木 下 の修 正版 グラウ ンデ ッ ド・セオ リー ・. 病 院 に駆 けつ けた家族が 6名 ,そ の他. アプ ローチの分析 プ ロセス を参 考 に行 った")。 具体 的. (自. 家用車 での. 搬送 )が 1名 で あ った。. 頁と しては,逐 語録 に置 き換 えたデ ー タ全 体 を熟読 手川. 2.分 析結果. した後 に,「 救急搬 送 され ,緊 急 手術 となった患 者 の 家族 の体験 」 に関連す る箇所 の 中 で ,さ らに「待 つ 時. 患 者 の家族 の語 りか ら,待 つ 時 間 の体験 を示 す もの. 間」 に関連 す る と思 われ る箇 所 に着 目し,デ ー タを切. と して は ,表 3に 示 す よ うに 16サ ブ カテ ゴ リー が抽. 片化 す る こ とな く,文 章 また は段 落 ご とに拾 い 上 げ. 出 され ,8カ テ ゴ リー に ま とめ られた。 カテ ゴ リー を. た。 着 目 した箇所 の 要 点 を簡 潔 に整 理 し,解 釈 を加. 内容別 に整理 した ところ,家 族が体験 した不安 や恐怖. え,そ れぞれ にラベ ル をつ ける とともに,そ れ らを具. を示 す ものが 3カ テ ゴ リー,不 安や恐怖 に影響 を及 ぼ. 表. 研究参加者 施 設. 1生. 1. 研 究参加者 の概 要. 男J. 年齢. 患者 との 関係. 救急車 に同乗. イ ンタビュー 日. インタビュー時間/回 数. ①. A. 女性. 64歳. 母親. 同乗. 入 院 10日 目 ・ 18日 目. 87分 /2回. ②. A. 女性. 48歳. 妻. 否. 入 院 19日 目 。25日 目. 93分 /2回. ③. B. 女性. 53歳. 娘. 自家用車. 入 院 9日 目. 33分 /1回. ④. A. 女性. 68歳. 母親. 否. 入 院 9日 目. 60分 /1回. ⑤. A. 女性. 52歳. 妻. 同乗. ⑥. A. 女性. 60歳. 母親. ⑦. B. 女性. 48歳. ③. B. 女性. ⑨. A. ⑩. H日. 目. 34分 /1回. 否. 入院 19日 目. 53分 /1回. 娘. 同乗. 入院 6日 目. 40分 /1回. 52歳. 妻. 否. 入院 12日 目. 59分 /1回. 女性. 62歳. 妻. 同乗. 入 院 5日 目. 42分 /1回. A. 女性. 54歳. 妻. 否. 入 院 5日 目. 45分 /1回. ⑪. A. 女性. 74歳. 娘. 同乗. 入院 7日 目. 43分 /1回. ⑫. A. 女性. 48歳. 母親. 否. 入 院 17日 目. 45分 /1回. 入院.

(4) 甲南女子大学研 究紀要 第 4号 表. 患者名. 1生. 号」 年齢. 看護学 。リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. 2. ). 患者 の概要 と経過. 搬 送理 由. 患者 の主 な疾患 名. 手術時間 (手 術室在室時間. 主 な術式. ). 子 (十 テ部 )置 換. 9時 間 35分 (11時 間 15分 ). 事例■. 男性. 36歳. 急病. 胸部大動脈瘤破裂. 事例121. 男性. 64歳. 交通外傷. 左下腿骨 開放性骨折. 創洗浄 ・ デブ リ 左頚骨 ピンニ ング. 3時 間 (4時 間 35分 ). 事例O. 女性. 91歳. 自宅 での転 倒. 左大腿骨頸部骨折. 左大腿骨 人工骨頭 置換 術. 1時 間 22分 (2時 間 45分 ). 事例④. 男性. 41歳. 交通外傷. 右下腿骨 開放性骨折. 右下腿骨創外 固定 ・ピンニング. 2時 間 (3時 間 25分 ). 事例C. 男性. 56歳. 労務事 故. 右下腿裂創 ・動静脈損傷. 創洗浄 ,動 脈 ・神経 吻合. 4時 間 10分 (7時 間). 事例Ol. 男性. 23歳. 交通クト傷. 右鎖骨 開放性骨折. 観血 的整復 固定術. 事例0. 男性. 83歳. 急病. 事例13. 男性. 53歳. 交通外傷. 事例O. 男性. 64歳. 急病. 胆石症 ,総 胆管結石. 事例⑩. 男性. 54歳. 労務事故. 右下腿骨 開放性骨折. 事例0. 女性. 91歳. 自宅 での転 倒. 急性 硬膜外 出血. 事例⑫. 男性. 20歳. 交通事故. 大動 脈損 傷. ,. 小腸破裂・右足 関節脱 臼骨折 腸管吻 合 ・観血 的脱 臼整復術. 1)た. だ事 で はない と思 う. 2)い つ になった ら治療が 開始 され るのか不安 に思 う. 1)厳 しい現実 と直面す る. 2.現 実が迫 って くる 2)喪 失へ の恐怖 こ とに よる脅 威 3)苦 痛 を訴 える患者 のそば にい る 不安 、 亡 3.社 会的役割が果 た 1)身 体機能 の変化 に よる影響 を′ せ な くな るこ とヘ の不安. 6。. 看護 師 に よる援助. 7.医 療者 (主 に医師. ). か らの説 明 ・情報. ピンニング ・右下腿骨創外 固定 1時 間 33分 (2時 間 30分 ) 開頭血腫 除去術. 1時 間 55分 (2時 間 50分 ). 下行動 脈置換術 ・FFバ イパ ス 4時 間 45分 (6時 間 5分 ). 表記す る。 (. )は 研究参加者 の語 りの内容 を補 った. 1)家 族 が体験 した不安や恐怖 見通 しの不確 か さによる不安】 【 他者 か らの連絡によって出来事 を知 らされた 6家 族 は,少 ない情報 のなかで,家 族成員の怪我 の程度 につ いて見積 もり,『 ただ事 ではない』 と思 い,場 合 によ っては死 をも想起 し,パ ニ ック状態になっていた。一. ではない』 と感 じ,不 安になっていた。 さらに手術が. 1)職 場. 必要 と説明 されなが ら,手 術 までに時間を要 した患者. 。知 人か らのサ ポー ト. 1)看 護 師 に よる援助 1)医 師か らの説 明 で不安 になる. 2)説 明 の曖味 さ 3)説 明が ない まま待 た され る不安 4)て い ね い に説 明 さオtた が , 部分 の 延長. 2)医 療者 の 出入 りを見て憶測す る. して い る要 因 を示す ものが 4カ テ ゴ リー,そ して全体 を通 しての家族の内面 的体験 を示す ものが (表. 1時 間 41分 (2時 間 25分 ). つていた 6家 族 は,患 者 の症状や訴 えか ら,『 ただ事. 的 に しか覚 えて い ない. -と な った. 4時 間 8分 (5時 間 20分 ). 2)経 済的不安. 1)不 安 に ともな う主観的時 間感覚. 8.待 つ 時 間 の重 み. 3時 間 7分 (4時 間 10分 ). 方,急 な発病や事故現場 に居合わせて最初か ら付 き添. 支援. 。知 人か らの サ ポー ト. 40分 (4時 間 5分 ). 配す る. 4.他 の 家族員 に よる l)他 の家族 員 に よる支援 5.職 場. 開腹胆嚢摘 出術. 2日 寺間. ものを示す。. サ ブカテ ゴ リー. カテ ゴ リー. に よる不安. ,. 総胆管切 開術 総胆管十 二 指腸吻 合術. 表 3 家族 の体験 をあ らわす カテ ゴ リー とサ ブカテ ゴ リー. 1.見 通 しの不確 か さ. _Lイ. F〕. 1. カテ ゴ リ. 3)。. ,サ 以下 ,内 容 を ゴ シ ックに,カ テ ゴ リー を 【 】 ブカテ ゴ リー を 『 』 で ,さ らに家族 の語 りは斜 体 で. の家族 は,医 師の判断 に従 うしかない と思 う一方で 『いつ になった ら治療が開始 されるのか不安』 にな っ ,. ていた。 (1)『 ただ事 ではない と思 う』. ■芳帯 /_. 電話 力ゞ あ. クまιで。 令 /_ン ツめ るよ うなが 'じ rの だ ってい うことで,用 いた航 点で,頭 申力ゞ 真 っ虜 /_ な クまιて,ぼ ん とるう。 (④ さん :母 親) ■一 季最初,C病 財か ら雷副ンツジ ヽ って きたん です ま,家 /_ 。 た 病防 です力ヽ 荻急 草 で今運 ばれ てきま した。 す ぐ来 て くだ さいノ って。家 を出よ うとした ら 鳴 ってフ√うちではあれ なの で ス 病院 薪つ 雪話″ゞ `携 f通ぶ ことにな って,る う出 ました。茂 紳 ノ. でそのま. ま行 きましたので,そ っ ちのぼ うに行って くだ さいゴ ` ιた らダメ って。たシヽ らそノιを用 いた ときに′ るι″ヽ か るっ. c い. うぷ いは ま きり ま したね。 (⑥ さん :母.

(5) 江口. 秀子 :救 急搬送 され ,緊 急 手術 となった患 者 の 家族 の体験. 体的な情報が増 えるにつ れて,予 想以上 の状況 とわか. 親) この ように最初 にもた らされる情報か ら,家 族は自 分な りに患者 の状況 を見積 もりなが ら病院に駆けつ け ていたが,実 際 よ りも厳 しい見積 もりをしてい る傾 向 がみ られた。 また,発 症時か らそばに付 き添 っていた家族 は,以 下の ように述べ てい る。 ■ (救急革力ゞ 至J着するまaり 大丈夫 ′ゴ とか ずっと 「 声 かけ ζ √ろうす ぐ枚急 草来るか らゴ って言 いな″ゞ ら,ど うなるん力ろ うとぷ って。 (⑦ さん !娘 ). り不安が増大 してい る。 ■ 作予勿 にガ名χされたガ副察のど言 らり√ちょっとここ 雨力ヽ では対応 できな札 循環界 の外〃 へ行かなあかんゴ っ て言われ て。 ζ 申塔ノ う―ん,た だその大変 さい うの ゛ ゞ ね。 ここ 力わか らな け とんなに大変か とい うこと″ヾ へ来 で主 湿 翌 夢 雄 ″れヽ ろ いろな検査 ιζ 訪卵 され て,そ こでは じめ て √わ ―′ すごいんだ な ―ゴ ってい うふ うにね ―。 (① さん :母 親) (2)『 喪失へ の恐怖』. この ように原因や病名が わか らない不確かな状況 で. 搬送時か ら意識がな く,生 命 の危機状態 にある患者. あ って も,患 者 の訴えや症状か らただ事 ではない と捉. の家族 は「この人を失 うか もしれない」 とい う恐怖 を. えていた。. 体験 していた。. (2)『 いつ になった ら治療が開始 されるのか不 安 に思. (3)『 苦痛 を訴 える患者のそばにい る不安』. う』. ■/7″ った ―。荻急 草呼 ん で ぐれ ―ゴ 言 うたか ら″. ここでは最初 に搬送 された病院では対応で きないた. ってみた ら,全 身′全部血 の潅. った る 出五勁ゞ すこンヽ. 場合 と,施 設側 の準備 のためにす ぐに手術室へ行けな. の。傷層 は月 でな いけど そやか らるう″か ったま。 た いノ っ て。 申塔り 荻急草 の 申 で る √いた い′ レヽ ζ. かった場合 の 2種 類 の状況がみ られた。. (⑤. め,さ らに高次の救急病院に転送 される ことになった. ■市内 の荻′ 争病院 に行. 1っ. た ら,こ こではでけへん とい. さん :妻 ). 救急車内で痛みを訴える患者 のそばにい ることで. ,. うことで,こ っ ちの ス 病院 のぼ うに運務ス れ て るろ. 痛みが 自分 にも伝 わって くる ようで,不 安や恐怖が増. で,そ の花 争革 で,そ のままここへ来たん です。. 大 していた。. `申 塔ノ そ こ まではっとかれた ら,√ こん なに並勁ヾ 出 とん. 社会的役割が呆たせなくなる事への不安】 【. のにどな いすんのゴ って。 (⑤ さん :妻 ) ■ス タ ッフ呼 ん で手碑. 、 亡 怪我や疾病に よる 『身体機能の変化 による影響 を′. 備 を して いる ところ なん で ヽ ″ って くだ さレ っ て。 で るさっき,今 ιゃべ っ てるノ ノ. 配す る』 とともに,『 経済的不安』 を訴えてい た。 し. fな るかわか らへ ん っ て言 った じゃな い。 どいつ ダメ ノ. か し,イ ンタビューの時期が比較的早期 だったため. だか ら早 ぐιてま ―っ て い う感 じだ ったん です。 そ の ″〃力ゞ 長 か った ですね。 (⑫ さん :母 親 ). 不安 の 内容 も患者の身体 的な ことに関す る ものが多. ,. のみだった。 く,経 済的な不安 は 1夕 」. 困難 な手術 で あれ ばあ るほ ど,医 療 ス タ ッフは万全 の準備 を して手術 に臨み た い と考 える。 しか し,い つ. 2)不 安や恐怖 に影響 を及ぼす要因. 急変す るかわか らない と説 明 され た 家族 は ,1分 1秒. 他 の家族員に よる支援】 【 ■自宅 で″ っているf女 と次男 のこと夕ご、 配 で, とつ ヽ ヽ ιよ う″ な 一って′ っ ζ ″ に ζ 竃話)″ ノ ナた ら′″ 『 つ のだんな さん″う √を事終 わ ク次第孵 けるか ら. で も早 く手術 を して助 け て欲 しい と願 っているので. ,. 待 た され る 間 に何 が起 こる か わか らな い とい う不 安. が,い つになったら手術が開始されるのかという苛立 ちに変化してい く様子がうかがえる。. ,. そのときに. に いるり 子夕逆れ てきてやるノ って言. って ぐれ て′`家 子ダた ちをり辺 えに行 って ぐれたん で ζ. 現実が迫って くることによる脅威】 【 情報が少 な く不確 か な状況 にあ った家族 は,病 院到 着後 の 医療者 か らの病状 説 明や ,実 際 に患者 と対面す. す。主スが迎えに行 こか って言 ってたん ですけど や っぱり お父 さんだはそばに居1っ てぼ ιか つたか ら。 (⑫. さん :母 親). る こ とに よって 『厳 しい 現 実 と直面』 した り,『 喪 失 へ の恐怖』『苦痛 を訴 える患 者 の そ ば に い る不 安』 を. を共有で きる夫 (=父 親)の 存在 は大 きい。一方で. 体験 して い た。. 自宅に残 して きた他 の子 どもたちのことも母親 として. (1)『 厳 しい現実 と直面す る』. は気がか りになる。そのような状況 の中で,役 割 を代. 少 な い情報 の 中 で ,見 積 も りを して い た家族 は,具. 子 のことを心配する母親に とって,不 安な気持 ち 虐、 ,. 行 して くれ る身内がい ることによって,⑫ さんは夫 と.

(6) 甲南女子大学研究紀要 第 4号. 20. 看護学 ・ リハ ビ リテ ー シ ョン学編 (2010年 3月. ). ともに長男 の こ とに気持 ちを集 中す る こ とがで きて い. 欲 しい家族 にとって,医 師か らの説明 は,病 状や治療. た。 この ように役割 を代行 して くれ る家族 員や親 成 の. 方針 を知 らされると同時に,家 族 に新たな不安や恐怖. 存在 は,緊 急 手術 とい う出来事 に衝 撃 を受 け,困 惑 し. 心 を引 き起す もの とな り,『 医師か らの説明で不安 に. て い る家族 に とっては,他 の こ とに煩 わ され る こ とな. な り』体 が震える体験 をした り,医 師か らの説明があ. く,事 実 と直面 しそ の現実 を受 け止 め るための内面 的. まりにも脅威 となって,手 術 の説明の前後 のことを覚. 作業 をす る うえで大 きな影響要 因 となって いた。. えてい ない家族 もみ られた。 (2)『 説明の曖味 さ』. 職場・知人からのサポー ト】 【. 緊急手術 の場合,術 前 の患者情報が少ないため不確. 労務事故 や仕事 中 の救急搬送 で は,職 場 か らのサ ポ. 実 な要素が多 く,説 明が曖味 になる こともある。「大. ー ト状況が不安 の緩和 に影響 して い た。. 丈夫」 とい う確信が欲 しい家族に とって,生 命の保障. ② さんは,先 に駆けつけた職場の上司が,手 術が終 わるまでそばにいて,気 づかって くれたことを実感 じ. が得 られないことや曖昧な説明をされ ることが不安 を 増強 させていた。. てお り,職 場 の人か らのサ ポ ー トが あ った こ とで ,孤. ■意識 は ιっか クιてたん ですけど √令 に飛状 はな. 独 な状況 で待 つ とい う不安 を回避す る こ とがで きて い. いですよね ′ゴ って用 いた ら′√は いノ とはお っ ιゃ. た。逆 に,⑩ さんは,職 場 の人が 事故現場 か ら病 院 ま. らなか ったので,不 安 でしたね。 (事 例② :妻 ). で付 き添 って い なが ら,家 族 の到着後 は職場 へ 戻 って. (3)『 説明がない まま待たされる不安』. しまい ,一 人で待 たなければな らない状 況 となって い. 救急搬送 され,患 者 だけが初療室 の中に入 り,家 族. た。その間の孤独 感 に よる不安 を以下の ように述 べ て. は外 で待 つ ような隔離 された状況では,家 族成員 の様. い た。. 子が わか らないことか ら,不 安が強 くなる。 また,医. ■会社 のスね′ 手術 の 前 /_‐ 帰 った の よ。腹立 っ/_‐ わフ. 師か ら説明されてい た手術予定時間を過 ぎて も何の説. あれ。. 術が終わるまでノ/r7か ″かった。″βばっ. 明 もない と不安が増強 していた。. `手 か ι月 でね。 (⑩ さん :妻 ). ■外 でずっと″ ってたん です。本スだけ申で検査 を。 の晟 医″ その貯β″ゞ す ご― ぐfか った ですね。. 看護師による援助】 【. `そ ら,余 計 や看護師 か らの読″″ツ ぜんぜんなかったか. 家族は,不 安な気持ちや患者への思いを察 した声か けやケアに よつて癒 されていた。. ヽ ■ 大文夫 ですか ′ゴ と,衆ち 配 るιて〈 笑のぼ うの ご 「 れてたんでね,そ れは助かったかなあ。 で,`手 術膚 にソ患者のそば/_ 行 つたときにも √大丈夫 ですまゴ っ て,や っばり その一言で るんね,家友. /_‐. 芹 ちるソ変わってきます. ιたらね。`気 (⑤. さん :妻. ). このように救急車に同乗 し,1蚤 我をした夫のそばで 不安 と恐怖を体験 していた⑤ さんにとつて,「 大丈夫 ですか ?」 とい う感情表出を促す ような声かけや,患. に″かなあ って。 (① さん :母 親) ■ (手 術時間が予定 より延 びたことに対 して)fい か つてるか ら ら武か あ ったのか な― と思 つた ク,威 勁もヽ とか′ ノ ごヽ 〃 ιて (⑦ さん :娘 ) 救急外来で何 の説明 もない まま長 い時間待 たされた ① さんや,予 定 の手術時間が過 ぎて も何 の説明 もな く,不 安な状況 で待 っていた⑤ さんは,さ らに看護師 に期待することを以下 のように述べ てい る。 ― ■イ碓当′ ノ f′ ナでこう と′ ナてるら うだノ ちよっと声 を″ゝ 『 うん です″ヽ (① さん :母 親). よ」 とい う安心 感 を与 える言葉 をか ける よ うな情緒 的. ■その周 ひとつ る看護婦 さん来 なか ったん ま。 缶島存 ″り μ わるまでの″〃力ゞ 長か ったん で,今 ど うい う友. サ ポ ー トは,家 族 の気持 ちを安心 の 方向 に変化 させ て. ′ 要 で,と つ い うふ うにな っているか とい うのをやっぽ. 、 亡 配 して い る家族 に対 して ,「 大 丈夫 です 者 の状 態 を′. い た。. ク教え て欲 ιい ιフ看護婦 さんだ来 てるらった ら,や っぽ ク遅つ でιま。 (⑤ さん :妻 ). 医療者 (主 に医師)か らの説明・情報】 【 (1)『 医師からの説明で不安になる』 イ ンフ ォーム ドコンセ ン ト (以 下 ICと す る)で. この ように家族 は,病 態や治療方針に関す る情報 は 主に医師に,待 っている家族へ の状況説明 は看護師 に 求めていた。. は,手 術 の内容 だけでな く,手 術 に伴 う危険性 ,術 後. (4)『 て いねい に説明 されたが,部 分的 に しか覚 えて. 合併症 ,全 身麻酔 や輸血に伴 うリスクなど多 くの危険. い ない』. 性 について説明が される。「大丈夫」 とい う安心感 が. レン トゲ ン写真や絵や手術説明書 とい うツールを用.

(7) 江口 秀子 :救 急搬送 され 緊急 手術 となった患 者 の家族 の体験 ,. い て説 明 された こ とで ,医 師か らの説 明 に対 して家族. 境 を語 つていた。. は,て い ね い に説 明 された,わ か りやす か った とい う. )外 でずっと″ ってたん です。本ス だけ 申で検査 を。その 群 彩 ゞ ナご― ぐfか った ですね。 そ. 印象 は残 ってい るが ,実 際 には内容 の理解 まで には至. ■. (初 療室 の. 患者 の状 況 に衝 撃 を受 け てお り,何 か言 われた よ うだ. ぜんぜん なか ったか ら′ ″ゞ 笑への状況期 ち ゛ なあ って。 (① さ なあ っ こ と うιとん″ヽ 何力ヽ 余詐`=衆. が覚 えて い ない とか ,最 初 の イ ンパ ク トのある説 明部. ん :母 親). ってい ない こ とが 多 くみ られた。救急患 者 の家族 は. ,. れ. 前院で も診察や検査 のために 2時 間あまりかか り. 分 のみ しか覚 えて い ない こ とが 多 い 。. ,. 3)内 面的体験. A病 院 で も同 じよ うに手術室 に入室す る まで に約 2 時間を要 してい るに もかかわ らず ,前 院か ら A病 院. 待 つ 時 間 の重 み】 【. に移動 になるまでの時間の感覚 に関 しては,「 いえ. ,. 家族 は救急搬送 され る事態 が起 こった と きか ら,緊. す ぐだったですよ。」 と述べ ,A病 院では「すご一 く. 急手術 終了後 に患 者 と面会 し,主 治医か ら手術 の結果. 長 い」 と述べ ていた。その違 い を知るために,両 病院. や今後 の成 り行 きについ て説 明 され る まで をひ とつ の. の初療室 の外 で待 っていたときの状況について 2回 目. 時間 の単位 と して捉 えて い た。救急搬送時 に関 わる救. のインタビューで伺 うと,以 下 のように語 った。. 急救 命士 や救 急 隊員 ,そ して病 院到 着 後 は ,初 療 室 (救 急外 来 ),手 術 室 ,Icuも し くは救 急 病棟 と患 者. (前. 院では)ち ょっとの周 一緒 に いた とぷ うん で. とその家族 に関わる医療者 や担 当部署 は次 々 と替 わっ. 充 本ス と。 ちよっと検査 のとき外 で″ ってて言われ て,c また申へ″ ぽンιζ ヽか その用 は書J合早か っ. て い くが ,家 族 に とっては途切 れ る こ との ない一 連 の. た ですね。前院 ではエ コー しているところ 6月 せ てる. 流 れであ る。 また,家 族 に とって初療室や手術室 は. らった ι′ ζ 申略ノ こ ちら ζ=ス 病彰り へ 来 てか ら. ,. 入 り込 む こ とがで きな い領域 で あ り,医 療者 に全 て を. は,全然本ス と会えな ぐで外 で行 ってた でιま。 (①. 委ね なければな らない ところで もあ る。 そ の一 方 で患. さん :母 親). 者 に関す る情報 は知 りた い と思 い なが らも,そ の情報. この ように,患 者 のそばにい る時間があ り,患 者 に. を得 る手段 が わか らず 不安 な状況 で 過 ご し,そ の 間 の. 行 われてい る検査やその結果 に関する情報が随時伝 え. 時間 を長 い と感 じなが ら,こ の 【 待 つ 時 間 の重 み】 を. られ,患 者 の状況がわかる中での待 つ時間 と,患 者 と. 体験 して い た。 この よ うな ことか ら,こ の カテ ゴ リー. 隔離 され何が行われてい るのか全 くわか らない状況待. は 『不 安 に と もな う主 観 的時 間感覚 の 延長』『医療 者. つの とでは,ほ ぼ同 じ長 さの時間で も,家 族が感 じる. の 出入 りを見 て憶測す る』 の 2サ ブカテ ゴ リー か ら生. 時間の長 さに大 きな違 いが生 じていた。これ らの こと. 成 された。. か ら,待 っている家族 に医療者 か らどれだけの情報が. さらにこの 【 待つ時間の重み】に大きな影響を及ぼ す要因として,今 回の体験のスター トからある不安や 恐怖に加え,【 医療者 (主 に医師)か らの説明・情 報】がある。医師や看護師からどれだけの内容と量の 情報 が 得 られ たか に よって ,待 た され る患 者 の 家 族 は,不 安 になった り,希 望 を持 つ こ とが で きた りし. 提供 されてい るか,ま たそのことによって,家 族が ど. 者 は 7名 いた。その うち手術 中に何 らかの説明があつ. 待 つ 時 間 の重 み】 が変 化 して い た。 【. た ものは 3名 だった。その他 の 4名 の患者家族 は,何. (1)『 不安にともなう主観的時間感覚の延長』. の説明 もない ままじっと手術終了を待 ってお り,そ の. ,. れだけ状況認知で きてい るかで待 つ時間の感覚 に差が 生 じてい る。 12名 の患者 の うち手術予定時間 を覚 えて い ない⑩ さんを除 く H名 中,予 定時間 よ り手術が延長 した患. 不確 かで不 安 な状況で待 つ と きの主観 的時 間感覚. 時間を「長 い」 と感 じていた。家族 は,医 師か ら聞か. を,家 族 は「長 い」 と感 じていた。そ して長い と感 じ. された手術予定時間を目安に待 っているが,そ の時間. ることが さらに不安 を呼 び,不 安 の レベ ルを上昇 させ. を過 ぎて も何 の説明 もない と,い ろい ろなことを想像. るとい う悪循環 を作 り出 していた。 このように主観的. し,不 安になっていた。. 時間感覚 と不安 の大 きさは互 い に影響 しあい,相 関関. θ″用 と用 いいたの″ヽ 実際 は 5貯 庸 かか った とい うことで,り だヽ 配 でしたね。 ひょっと ι. 係 を示 しなが ら,待 つ時間の重みづ けをしていた。 最初 に搬送 された病院では対応で きない と言われ. ,. A病 院に転送 されて きた① さんは,1回 目のインタビ ューで以下のように,初 療室 の外 で待 っていた時の心. ■ 仔加. 2・. た ら切断力ゝるιれな いと言われ ていたか ら′切断 した か ら″β力ゞ 長 ぐなるんだろ うれ それ とる切断 ιな い ためfぐ な っているんだろ うか ととかね′ いろいろ考.

(8) リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. 甲南女子大学研 究紀要 第 4号. して。 (② さん :妻 ) えた クと力ヽ. ). 間の重み】 に影響す ると考え られた。. 術前 に切断の危険性 も説明 されていた② さんは,手. 交通事故に よる大血管損傷 のため緊急手術 にな り ,. 術時間が延 びたことで,そ れが切断を意味するのか. 手術中にも何が起 こるかわか らない と,医 師か ら厳 し. あるいは何 とか下肢 を残そ うと努力 されてい る結果な. い説明 を受けた⑫ さんは,手 術 を待 つ時間を長 い と感. のか と,時 間が延長 して い る意味 を推 し量 っては,不. じなが らも以下の ように語つていた。. 安 になって い た。. ■ (手 術室へ)ス ってか らの長 さってい うのは,そ の. (2)『 医療者 の 出入 りを見 て憶測す る』. 芹 てるfさ フ ス って f ttβ ぐらいで出 てきた 希望″ギ. ,. 手術終 了 を待 つ 家族 は,そ の場 を離 れ るこ とがで き. ら,そ こでだ わ クやろな って。θ″〃 ぐらい でぼ ちが c い. う,そ れは′ ってまι 『. ず ,た だ手術室 に出入 りす る医療者 を見ては,自 分 た. ちうま ぐいってるのかなっ. ち の 家族 と結 び つ けて い ろ い ろ な こ とを推 測 して い. たね。 手雨室 /_. た。. い (過 ぎた 頃 /_ ノ ,fい ね,fい ねフ で るちま つ とで. ■ ず いぶ んた くさん の看護婦 さん″浮 街室 だス っ て い. るfぐ お る と い うことは手笏フ湛 :ん でいる ってい うこ. くの を月 てたん で,ど うしてそん な /_‐ た ぐさん の看護 入 るのか なあ 一っ てい うふ う/_‐ 疑周 /_‐ 感 じな 婦 さん力ゞ. とやねってぷ ってましてた。 (⑫ さん 三母親 このように手術への期待感を高めながら,時 間を確. ら,月 てま したね。 (② さん :妻 ) ″ゞ. 認 して い るこ とが 伺 える。. ス. って,と 協 ぐら いか な。θ″庸 ぐら. ). この ように,家 族 は手術室に出入 りす る看護師の多. 医師か らの説 明 の 内容 や量 と,家 族が そ の説 明 ・情. さに疑間を持ち,中 で何か人手が い るような ことが起. 報 を どの よ うに受 け止 めて い るか に よって ,待 つ 時間. こっているのではないか と不安 にな っていた。そ し. の 長 さに対す る意 味が変化 してお り,待 つ 家族 の状況. て,手 術室か ら出て くる看護師を見ては,こ ちらに来. に よって 【 待 つ 時間 の重み 】 が違 っていた。. て何 か説明 をして くれないか と期待 していた。 このよ うに家族は,予 定手術時間が過 ぎて も何 の説明 もない ことで,不 安 を募 らせなが らも,誰 にも援助 を求める ことが 出来ず,自 分 たちだけでその不安 と向 き合 って. 以上 の ことか ら,各 カテ ゴ リー 間 の 関連 を図 1に 示 した。 救急患者 の 家族 は連絡 を受 けた ときか ら,そ の衝撃. こでは手術室 の. 的 で ス トレス フル な出来事 に よ り,不 安 や恐怖 を体験. 出入 り口)に 注意 を集中 し,手 術室に出入 りする医療. し,困 惑 して い た。 情報 が 限 られ ,不 確 定要素 が 多 い. 者 の動 きを,全 て 自分 の家族 と結 び付けて考 える傾向 待 つ時 がみ られた。 この ように,家 族が待つ環境 も 【. 見通しの不確かさによる不安】と,実 際に患 中での 【 者 と対面 した り,医 療 者か らの説 明 に よって情報 が増. いた。 また家族は,ひ とつのこと. (こ. 救急搬送緊急手術 に伴う不安・恐怖 見通 しの不確 かさ による不 安. 現実が迫ってくる脅成. \∈≡D/ 社会的役割が果たせなくなることへの不安. │ 〇. 1家. 族 が体 験 したこと. 影響 要 因となった体 験. 手術終了 IC∪ /救 急病棟入室. 図. 1. カテ ゴ リー 間 の 関係 1生.

(9) 江口 秀子 :救 急搬送 され 緊急手術 となった患者 の家族 の体験 ,. え る こ とで ,厳 しい 現 実 と直 面 す る こ とか ら起 こ る. 明 らか に された。. 現実がせまってくることによる脅威】によって生じ 【 た ものが あ る。 この 2つ の カテ ゴ リー か ら生 まれた不. このような家族の不安には,【 医療者 (主 に医師 からの説明・情報】が大きな影響を及ぼし,説 明・情. 安や恐怖 は,単 独 に成 り立 つ もので はな く,そ れぞれ. 報 の 内容 や量 に よって脅成 を感 じた り,逆 に不確 か さ. の カテ ゴ リー 同士が絡 みあ った り,行 った り来 た りし. か ら解放 され ,不 安が軽減す る場合 もあ った。 これ は. なが ら反 復 的 に起 こ る ものであ った。 さらにそ こか ら. 情報 の提供 が 出来事 に対 して の 知覚 に大 き く影響 して. 今回の出来事による 【 社会的役割が呆たせなくなるこ とへの不安】が派生していた。. い る ことを示 して い る。 また,医 師 か らの説明 に対 し. ). て ,『 て い ね い に説 明 されたが ,部 分 的 に しか覚 えて. これ らの不安や恐怖 の 強 さへ の影響要 因 となった体. い ない』 とい う結果 は,搬 送直後 のパ ニ ック状態がお. 験 と して ,周 囲か らのサ ポ ー トが あ った。突然起 こっ. さま らない うちに,緊 急手術 とい う現実 に直面 し,意. た衝 撃 的 な出来事 に よってパ ニ ック状態 になった家族. 思決定 を迫 られた こ とに よる脅威 か ら,何 が起 こった. に とって ,最 も身近 で安心 で きる存在 で あ る家族 員が. のか を把握す るのが精一杯 で ,情 報が十分 に理解 ・整. そばにい て ,不 安 な気持 ちや辛 さを共有す るな どの情. 理 で きない こ とを示 して い る。 さらに,研 究参加者が. 緒 的支援 や他 の 家族員 に連絡 をす るな どの家族 役割 の. 不 安 な思 いで待 つ とい う体験 の 中 で 医療者 に期待 した. 一部を代行 してもらうような 【 他の家族員による支 援】が,情 緒的混乱を安定化に向かわせていた。ま た,【 職場 ・知人からのサポー ト】 も,不 安 を緩和す る要因となっていた。さらに,看 護師による家族への. こ とは ,「 ほん とに ち ょっ との声 か けで いい か ら,今 どうい う状況 なの か教 えて欲 しい」 とい う こ とで あ っ た。 これ は初 療室 で も手術室 の待合室 で も同様 であ っ た。. 声かけなど 【 看護師による援助】によって,患 者の家 族は救われたと語っていたが,こ のような看護師から. と して ,数 は少 ない が看護 師 に よる気遣 い が あ つた。. の情緒 的支援 を初療室や手術室 の待合室 で体験 した家. 看護 師 の一 言 で安心感 を抱 き,気 持 ちが変 わった と述. 族 は少 なか った。逆 に,周 囲か らのサ ポ ー トが ない家. べ られて い るこ とか ら,不 安 な気持 ちをわか って もら. 族 は,孤 独 感か らさらに不安 や恐怖 が増大 して い た。. え,医 療者 か ら気 づ かわれて い る とい うサ ポ ー テ イブ. 一方で 【 医療者 (主 に医師)か らの説明 0情 報】によ って も,不 安 や恐怖 は大 きな影響 を受 けて い た。 さらに,救 急患者 の家族 は,手 術 が終 了 し,患 者 と. な雰 囲気 が家族 に伝 わる と,家 族 は安心 し,情 緒 的安 ‖)の 定 に向か う こ とがで きて い た。Molteruゃ 善家 ら 研 究 で は,家 族 へ の気遣 い に関す るニー ド (不 安や辛. 面会 で きる まで の 待 つ 時 間 を非常 に長 い と感 じて い. い 自分 の 思 い を聞 い て もらえ る ,葛 藤 や怒 りが 出 せ. た。 この待 つ 時間 の主 観 的時 間感覚 に影響 を及 ぼす も. る,家 族 の健康 や疲労 を気 にか け て もらうな ど)の 重. の と して ,家 族が体験 して い る不安 や恐怖 の大 きさと. 要度 は低 い とされて い るが ,決 して ニー ドが な い わ け. 医療者 (主 に医師)か らの説明・情報】がみられ 【 それによって,【 待つ時間の重み】づけがされてい. で はない 。 む しろ家族 は,患 者 の こ とで精 一杯 で ,自 分 た ちが 1青 緒 的混乱 に陥 り援助 を必要 として い るこ と. た。不確 かで,不 安 な状況で待 つ 時間 は「長 い と感. を意識 して い なか った り,自 分 たちの ことで 医療者 を. じ」,そ の「長 い と感 じる時間」のなかで,家 族 はい. 煩 わせ た くな い とい う思 いの 表 れ で あ る と考 え られ. ろい ろな憶測 をして,ま た不安になるとい う内面的体. る。 この こ とが ,家 族 へ の気遣 い を積極 的 には看護 師. 験 をしていた。. に期 待 しない こ との要 因にな ってい る と思 われ る。 し. ,. また,不 安 な状況 にあ る家族 に影響 を及 ぼ した体験. B・. か し,い たわ りや励 ま しとい う気遣 い を受 け た とい う. V.考. 察. 体験 は,厳 しい現実 と直面す るための大 きな力 になっ て い る こ とも確 かであ る。. 1.救 急搬送 され,緊 急手術 となった患者 の家族 の体験 救急 医療 の場 で出会 う家族 は,突 然 の 出来事 に各家 族成員が激 しく混乱 し,深 刻 な危機 に陥 りやす い。本. 研究においても,【 見通しの不確かさによる不安】や 現実がせまって くることによる脅威】 【 ,【 社会的役割 が呆せなくなる事への不安】 といった不安や恐怖を体 験 し,大 きな衝撃を受け,混 乱・困惑していたことが. また他の家族員に連絡して 【 他の家族員による支 援】を求めるという行動から,家 族は自分たちの不安 は 自分 たちで引 き受 け,互 い に支 えあ っていた こ とが 明 らか に された。不安 な時間 を家族 で支 えあ うため に は,家 族 の 関係性 が重要 な要素 とな り,事 故が原 因 の 場合 には,職 場 や事故 の 関係者 の存在 も家族 へ の影響 要 因 となる。.

(10) 甲南女子大学研究紀要第 4号. 看護学 ・リハ ビリテーシ ヨン学編 (2010年 3月. ). これ らの こ とか ら,危 機状態 にあ る家族が家族機 能. 主観的時間感覚 の影響要因になるとい う報告 と一致 し. を十分 に発揮 す るため には,危 機 にあ る家族 をサ ポ ー. た。野村 らの研究 は予定手術患者 を対 象 と して い た. トで きる資源 (家 族が安心 して相談 した り,依 頼 した. が,本 研究のような救急における緊急手術 とい う体験. りで きる人)の 存在 を確認 した り,キ ーパー ソ ンを明. は,生 命の危険性が高 く,突 然 の出来事 でこころの準. らか に し,そ の よ うな人 が来院で きる よ うに調整 した. 備 もで きて い な い上 に,情 緒 的サ ポ ー トの主 たる役割. りして ,家 族 の ソー シ ヤルサポ ー トを強化す る こ とが. を担 う他 の家族員がす ぐに駆 けつ け られ ない とい う状. 重要 になる。 またそれが不可能 な場合 には,看 護 師 が. 況 にあ る。その上 ,本 研究結果 の よ うに,予 定時 間が. そ の 家族 のサ ポ ー ト的役割 を担 う必要が あ る。. 過 ぎて も何 の 説明 もな い とい う情報不足 の場合 は,さ. 本研究 の 中 で特徴 的 だった こ とは,患 者 と長時 間隔. らに家族 の不安 は増大 し,野 村 らの結果以上 に主観 的. 離 され不安 な時間 を過 ご して い る家族 は,そ の不安 と. 時 間感覚 に影響 を与 えて い た と推 測 され る。 そ の 結 不安 (状 況が わか 果 ,野 村 らの研 究で示 されて い る “. 医療者 (特 に医師)か らの説明 ・情報】 の影響 を受 【 けなが ら,「 待 つ体験」 してい たことである。物理的. らない ,何 か起 きた のではな い か )"“ 辛 い (辛 い ,大 くない こ と. 時間 として も長 い時間待 たされてい るが,そ れ以上に 主観的時間感覚 として「長 い」 と感 じなが ら,不 安や. 変 な 1日 で あ る)"“ 悪 い 出来事 の想像. 期待感をもちなが ら過 ご していたことが明 らかにされ. た )"な どの心 理 的苦痛 と一致す る語 りが ,本 研 究 の. た。. 研 究 参加 者 か ら も多 く聞 か れ た。 そ の上 ,救 急 患 者. (よ. や患者 の異変が思 い 浮か んだ)"“ 焦燥 感 (い らい らし. は,初 療室 で待 つ 時 間 も含 めて ,手 術が終 わる まで の. 2.患 者の家族が長いと感じる 【 待つ時間の重み】の. 時 間 を一 連 の 時間 と捉 えて い るため さらに「長 い」 と 感 じて い るのであ る。. 意味 本研 究 の 家族 は,救 急搬 送 され る事態が発 生 した と. 次 に「情報」 に よる影響 であ るが ,こ れ には 2つ の. きか ら,緊 急手術 が無事終 了 し,主 治医か ら手術 の結. 要素が み られた。 ひ とつ は医師か らの説 明や情報 に対. 果や今 後 の 成 り行 きにつ い て説明 されては じめて時間. 待 つ 時 間 の重 み 】 の す る家族 の 受 け止 め 方 で あ る。 【. の 区切 りをつ け,手 術 が無事終 了 した安堵 感 を感 じて. 中には,不 安 や恐怖 だけで な く,手 術 へ の期待 感 も含. い た。救急搬送 されてか ら手術終了 まで の 時間 は,約. まれて い た。① さんは,手 術 に伴 う危険性 をい ろ い ろ. 4時 間か ら 16時 間 45分. (転 送 され た患 者 は最 初 に搬. 説明 されたが ,そ れで も「待 って いる間 は,一 命 は取. 送 され た病 院 で の 時 間 も含 む )で ,12例 の 平均 時 間. りとめ,救 うための 手術 やか ら, これ (手 術 )を した. は 8時 間 30分 であ つた。 救急搬 送 され緊急 手術 とな. ら大丈夫 なんや って い う気持 ちで,手 術 が終 わるの を. った場合 ,家 族 はか な りの 時間 「待 つ 体験 」 を し,こ. 待 つ しかない とい う感 じで したね」 と,手 術 へ の期待. の 間,不 安 や恐怖 とともに緊張 した時 間 を過 ご して い. 感 を語 られた。 さらに⑫ さんは,何 が起 きるか わか ら. る。 つ ま り,家 族 に とつては待 つ 場所 は変 わって も待. な い とい う厳 しい 説 明 を受 けて手術 に臨 ん だ た め. ,. つ 時 間 は継続 し,そ の 時 間軸 の上 で不安 や恐怖 を体験. 「 ち ょっ とで も長 くお る とい うこ とは手術 が進 ん でい. しなが ら過 ご して い た。 したが つて他 院か ら転 送 され. るこ とやね って思 って」 と語 られた。生命 の危険性 や. て きた患者 の 家族 は,救 急要請 した ときを出発点 と し. 情報不足 が不 安 を高 め る とい う一 方 で ,医 師か らの説. て ,最 初 に搬 送 された病 院 で 費や した時 間 も含 めて. 明や情報 を家族が どの よ うに受 け止 めて い るか に よっ. ,. 「待 つ 時 間が長 い 」 と感 じて い た。 そ して待 つ 時 間 の. て ,待 つ 時間 の 意味が変化す る こ とをこれ らの語 りは 示 して い る。. 不安 を家族 だけで引 き受 けて い たのであ る。. 情報 に関連 した もうひ とつ の 要素 は,最 初 に与 え ら. その 【 待つ時間の重み】には,「 主観的時間感覚」 と「情幸 風 」 ,お よび「環境」が影響要因となっている. れた情報 とは異 な った状況 になった ときに,情 報 の修. こ とが 明 らか に された。時 間に は時計 で測定す る こ と. 正が な されるか ど うかが ,そ の 後 の心理状態 に大 き く. がで きる物理 的 な側面 と,心 理 的 な変化 に よつて個 々. 影響 す る ことで あ る。家族 は医師か ら示 された手術予. に知覚 され る主 観 的 な側面があ る。 本研 究 で 明 らか に. 定時 間 を 目途 に手術終 了 を待 ってい る。 この予定時 間. された 『不安 に伴 う主観 的時間感覚 の 延長』 で は,野. を過 ぎた と きに,新 たな情報 が追加 され ない と,家 族. 村 らの「手術 中 の 家族 の 『待 つ』 とい う体験 に関す る 24で 生 命 の 危 険性 ",“ 情 緒 的 研 究」 述 べ られて い る “. に とってはそ こで情報 が途絶 えた こ とにな り,不 安が. サ ポ ー トの不足 ",“ 情報不足. "が 家族 の不安 を高め. ,. 増強していた。つまり情報不足が生じて,【 待つ時間 の重み】が変化しているのである。.

(11) 江口 秀子 :救 急搬送され 緊急手術 となった患者 の 家族 の体験 ,. さらに待 つ 環境 も時 間 の重 みへ の影響要 因 となって い た。 手術終了 を待 つ 家族 は,手 術室 に出入 りす る医. の場 に,看 護 師が 同席す るこ とは,そ の後 の情緒 的支 援 のため に有効 であ る と考 える。. 療者 を見 ては,自 分 たちの 家族 と結 びつ け て い ろい ろ. 初療室や手術室 の待合 室で待 つ 家族 は,情 報 の ニー. な憶測 を して不安 になって い た こ とが ,本 研 究 で 明 ら. ズ は高 い が ,多 くの説 明 を求めて い るので はない 。 し. か になった。 不安 の レベ ルが 高 くなる ほ ど知覚領域 は. か も場合 に よっては,説 明や情報 が家族 に とって脅威. 低下 し,細 部 に集 中 しが ちで ,他 の こ とは何 も考 え ら. に もな ってい る こ とか ら,不 安 な状況 にあ る家族 は. れ な くな り,些 細 な こ とで 混 乱 す る よ うに な る。 A. 外 界 か らの刺激 に敏 感 にな り,傷 つ きやす い状態 とい. 病 院 で は,家 族 の待 つ 空 間が手術 室 の 出入 り回 の正面. える。情報 の提供 に関 して も,医 療 チ ーム 内 での コ ミ. にあ ったため ,予 定時 間 を過 ぎて も手術 が終了せず. ュニ ケ ー シ ョンを密 に して,誰 が どこまでの情報 を提. ,. ,. 不安 な家族 の 意識が 出入 り口に集 中 して い た。その結. 供 して い るか ,今 あ る情報 を今後 ,誰 が ど う伝 える予. 果 ,家 族 にゆが んだ知覚 を もた らす要 因 とな り,不 安. 定 なのか を把握 し,で きるだけ家族が混乱 を来 た さな. がますます増強するという悪循環をもたらし,【 待つ 時間の重み】に影響を及ぼしていた。. い よ うに適切 な情報 をタイ ミング よ く提供す る こ とが. 一 方 で ,待 つ 時 間 は,患 者 と長 い 時 間隔離 され不安. 重要 で あ る。 また,家 族 は救急搬送 されてか ら手術 が終 了 し,ICU. な時 間 で あ る と同時 に,脅 威 の対 象 か ら距離 をお き. もしくは救急病棟 に入 院す る まで をひ とつ の 時 間 の単. 家族が落 ち着 きを取 り戻す ことがで きる時 間 で もあ っ. 位 として捉 えて い た。 一 方 ,看 護 師側 か らみ る と,緊. た。 手術 とい う治療 方針が決 まって よ うや く家族 は. 急 手術 が終 了 し ICUも しくは救 急 病棟 に入 室 す る ま. ,. ,. 中断 された 日常性 を調整す る ことに思 い をめ ぐらせ て. で ,患 者 とその家族 に関わる担 当部署 は,初 療室 ,手. い た。 それ は他 の 家族員 や会社 に連絡 を した lo名 中. 7名 が ,患 者が手術室 に入室 してか ら他 の家族員 に連. 術 室 ,ICUも し くは 救 急 病 棟 と 次 々 と替 わ っ て い く。それぞれ の部署 で ,待 ってい る患 者 の家族 へ の援. 絡 を して い る こ とか らもわか る。. 助 を考 えるだけで な く,も う一 歩踏 み込 んで ,救 急 と い う一 連 の流 れの中で長 い時 間 を過 ご して きた家族 と. 3.看 護介 入 へ の示唆. い う捉 え方 を して,関 わる必 要が あ る。. 黒 田は,救 急 医療場面 での家族が示 した危機 の プ ロ. Ⅵ。お わ り に. セス をフ ィ ンクの危機 モ デル を用 い て説 明 し,有 効 な 「衝撃期 の 家族 へ の 危機 介入」 を 目指 した危機 介 入 モ デル を示 して い る29。 これ は家 族 が初 療 室 や. IcUで. 初療室や手術室 とい う領域 は,緊 迫 した中 で 家族 と. 患者 と面会 した と きの情緒 的混乱状態 へ の介入 を示 し. 看護 師 が は じめて出会 う ことや看護 師が家族 と関 わる. た もので あ る。患者 の そばにい る家族 とい う意味 にお. 時 間 の 少 な さか ら,信 頼 関係 を築 きに くい とい う状況. い ては,医 療者 か ら見 える家族 とい える。そのため. にあ る。かかわ りの少 な さは,家 族 か らの フイー ドバ. ,. 家族 の心理状態 の アセス メ ン トや家族介入 も行 い やす. ック も少 ない とい う こ とであ る。そのため この よ うな. い。 しか し,初 療室や手術室 の待合室 で待 つ 家族 は. 家族 の生 の声 を直接 聞 く機会 は少 ない と思 われ る。 看. ,. 患者 か ら離 れた ところに存在 す る医療者 か ら見 えない. 護 師 が 自分 たちの体験 談 を他 の 人たち と共有す る こ と. 家族 とい える。 この よ うな状 況 にあ る家族 の心理状態. 2つ で ,臨 床 で役立 つ教訓 を広 げ る こ とがで きる と Ben―. を把握 し,適 切 な家族援助 を実践 す るには,看 護 師 は. nerが 述 べ て い る よ う に ,家 族 が どの よ うな体 験 を. か な り意識 して関わる必要性 があ る。 これ は,鈴 木 ら. し,ど の よ うな情報 や援助 を求 めて い るのか ,医 療 チ. の研 究 に よる救命救急 セ ン ター で実際 に看護 師が家族. ーム全体 で共有す るこ とが ,家 族 へ の援助 を考 える重. に関わ つた所要時 間が 1分 ∼ 8分 で ,平 均所要 時 間 は. 要 な手がか りとなる と考 える。. 3分 と短 い とい う結 果. 20ゃ. ,本 研 究 にお け る初 療 室 で. の家族 の体験 に看護 師が ほ とん ど登 場 しない こ とか ら もい える。 しか し,数 は少 な くて も看護 師か らの情緒 的支援 を受 け た とい う体験 が ,厳 しい現実 と直面す る ための力 となって い るので ,短 い 時 間 で あ って も,家 族 の傍 らに寄 り添 って ,声 をか け るな どの 関 わ りが重 要 となる。そのため には,家 族が 一 番脅威 と感 じた IC. 文. 献. 1)堤 邦彦,福 山嘉綱,上 條吉人他 :救 急場面における 家族援助 一家族援助 の必要性 ―,主 任 &中 堅,1992,2 (4), 107-111. 2)渡 辺裕 子 :救 急 医療 ・集 中治療 の場 にお け る家 族 看 護 .鈴 木和 子 ,渡 辺 裕 子 著 ,家 族 看 護 学 理 論 と実 践 第 2版 ,日 本看護協 会 出版会 ,東 京 ,1999,170-197.

(12) 甲南女子大学研究紀要 第 4号. 26. 3)早 坂 百 合子. 看護学. 高橋 章 子 編 ,救 急. :患 者 と家族 の心 理. 看護急性 期 病 態 にあ る患 者 の ケ ア ,医 歯 薬 出版株 式 会 社上, 珠こ万て, 2001,85-90 4)山 勢博 彰 :家 族 へ の 危機 介 入 ,HEART nursing,2002っ. ). 論文集 (成 人看護 I),2000,51-53 16)山 勢博 彰 ,山 勢 善江 ,石 田美 由紀 他 :重 症 ・救 急 患 者 家族 アセ ス メ ン トの た め の ニ ー ド&コ ー ビ ングス ケ ー ルの 開発 一暫 定 版 CNS― FACEの 作 成過程 とニ ー ドの 構 成概 念 の 評価 一,日 本救急 看護 学雑 誌 ,2002,3(2),. 15(3), 242-248. 5)山 勢 博 彰. リハ ビ リテ ー シ ョン学編 (2010年 3月. :生 命 の 危 機 状 態 に あ る患 者 と家 族 の 心. 理 .高 橋章子監修 ,救 急看護 の基 本技術 ,2004,Emergency. 23-34. 17)山 勢博 彰 ,山 勢 善 江 ,石 田美 由紀 他 :完 成 版. CNS―. FACEの 信頼性 と妥 当性 の検 証 ,日 本救急看護学雑 誌. nursing夏 季増刊 号 ,254-261. 6)小 澤 み ゆ き 1手 術 終 了 を待 つ 家族 の 不 安 と看 護 婦 ヘ の ニ ー ズ ー心 臓 血 管 外 科 手術 患 者 の 家 族 へ の ア ンケ ー ト調査 か ら 一,第 10回 日本手 術看護学 会発表集録 集. ,. ,. 2003,4(2), 29-38. 18)鎌 田梨 愛 ,中 川雅 子 :脳 血 管 疾患 に よ り緊急 入 院 し た患 者 家族 の心 理 と情 報 提 供 に関す る ニ ー ド,三 重 看 言 隻生 許言 志。2004,6, 121-136. 1996, 192-197. 7)荒 内正 弘 ,大 原 由子 .吉 井 順 子 他. :手 術患 者 を待 つ. 族 の ニ ー ズの 抽 出 とニ ー ズ 測 定 尺 度 の 開発 ,日 本 集 中. 家族 の不安 ,看 護 の研究 ,1999,319149-153 8)Leskeo JS: Intcrvention to Decrease Family An対. ety,. CRITICAL CARE NURSE,2002,22(6), 61-65. 9)大 場 由香・ 村 井 嘉 子. :′. ヽ 亡 臓 外 科 手 術 を受 け た患 者 家. 族 の主 観 的体験 に関す る研 究 ―手 術 決 定 か ら回復 期 に ,HEART nursing,2004,17(9),891-899. 焦 点 を あ て て 一. 19)辰 巳有 希 子 ,羽 尻 充子 ,中 村 尚美 他 : ICU患 者 家. 10)Ⅳ loltero NC: Need of relatives of critically in patients:. 治療 医学 会雑誌 ,2005,12(2),Hl― H8 20)御 崎安 津 子 ,森 厚 子 ,古 川 美 紀 :術 中待 機 す る家族 の 不安 とニ ー ズの 分析 (第 2報 )一 術 中 の 情 報提 供 を実 施 して 一,第. H回 日本手術看護学 会発表集録 集 ,1997,. 247-253. 21)青 山み ど り,二 渡 玉江 ,樽 矢 裕 子 他 :心 臓 手術 患 者. A dcscriptive study,HEART&LUNG,1979,8(2),332-. の 家族 支援 に関 す る研 究 一家族 の 患 者 へ の思 い ,医 療. 339. 者 の 対 応 へ の 思 い 一 ,HEART. 11)Leske.JS: Internal psychometric properties of the Criti―. nursing,2004,17(3),264. -268. cal Care Family Nceds lnventory,HEART&LUNG,1991,. 22)Friedman.MM: Family Nursing,Theory and Practice,. 20(3), 236-244. Appleton&Lange,1992,p.9 23)木 下 康 仁 :グ ラ ウ ン デ ッ ド ・ セ オ リ ー ・ ア プ ロ ー チ. 12)Mendonca&Walcn:Percdved and Unmet Needs of Cntical Care Family Members,Critical Care Nursing Quar― terly, 1998,21(1), 58-61. 13)善 家 里 子 ,吉 永 喜 久 恵 ,田. 中靖 子 他 :救 急 入 院 患 者. の 家 族 の ニ ー ドに関 す る研 究 一そ の. 1-家 族 が 重 要 で あ. 看言 隻 I), 1993: 30-32. 中 靖 子 ,吉 永 喜 久 恵 :救 急 入 院 患 者 の. 2-家 族 が 重 要 と捉 え. ー搬 送者 の 家族 の 体 験 の 援 助 一家 族 の 認 識 と行 動 の 特. 期 大 学 部 紀 要 ,1999,18,17-25 家 族 の ニ ー ドに 関す る研 究 一そ の. て い る ニ ー ドは 満 た され て い る か 一,神 戸 市 看 護 大 学 短 期 大 学 者隣己要 , 2000, 19,45-54. 15)草 場 俊 哉 ,一. 影響 要 因 につ い て ,第 24回 日本看護 学 会論 文集 (成 人. 25)黒 田裕 子 :危 機状 況 にあ る救 急 重 症患 者 の 家 族 に対 す る看護援助 ,月 刊 ナ ー シ ング,1989,9(3),274-278 26)鈴 木和 子 ,豊 田淑 恵 ,長 瀬 雅子 他 :(救 命救急 セ ンタ. る と認 識 して い る ニ ー ドの 特 性 ― ,神 戸 市 看 護 大 学 短. 14)善 家 里 子 ,田. の 実践 【 質的研究 へ の誘 い】,弘 文堂 ,東 京 ,2003 24)野 村 美 香 ,田 中京 子 :手 術 を待 つ 家族 の 時 間 間隔 と. ノ宮 典 子 ,永 田 美 香 他 :救 命 救 急 セ ン. ター 入 院 患 者 の 家 族 援 助 の 実 際 一患 者 家 族 の ニ ー ドの 重 要 度 と満 足 度 調 査 を試 み て 一,第 31回 日本 看 護 学 会. 徴 か ら 一,東 海大学健康科学 部紀要 ,2004,9,H-18 27)Benner.P,Hooper― Kyriakidis.PL,Stannard.D (1999)// 井上 智子 訳 :ベ ナ ー. 看 護 ケ アの 臨床 知. 考 える こ と。医学書 院,東 京 ,2005. 行動 しつ つ.

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参照

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