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SB6-2 人工知能はどのように社会を変えるか―社会学の視点からの検討 人工知能を備えたロボットは家族の一員になれるか?

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Academic year: 2021

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人工知能はどのように社会を変えるか―社会学の視点か

らの検討

人工知能を備えたロボットは家族の一員になれるか?

○佐藤嘉倫 東北大学大学院文学研究科 1 家庭に進出するロボット 現代社会では、多くのロボットが家庭に入り込んでいる。ソニーのaibo が典型例である。本報 告では、このようなロボットが家族の一員になれるのか、言い換えれば人間の家族に代替するこ とが可能なのか、という問題を検討する。経済学では、人工知能が人間の労働者に代替する可能 性についてさまざまな議論が展開されている。本報告では、社会学が対象とするさまざまな社会 的領域の中で家族を取り上げて、人工知能が家族に与えるインパクトについて考察する。 2 なぜ家族なのか? 社会学が対象とする社会的領域は実に多い。農村、都市、民間企業、行政組織、国家などいろ いろある。それらの中で家族を取り上げるのは、その背後にある行為原理が経済学の対象とする 市場における行為原理とは対照的だからである。市場において行為者は(制約条件の下で)自己 利益の最適化をめざす。これに対して、家族は親密性に基づいて行動する。このような親密性に よって結びついている家族にロボットが入っていくことができるのかどうか探究することは、経 済学とは異なる視点から人工知能が社会に与えるインパクトを考察することにつながる。 3 家族とは何か? それではそもそも家族とは何か。近代以前の家族は、家業の継承、子どもの養育、宗教儀礼な どさまざまな機能を担っていた。しかし近代化が進むにつれて、家業は会社、子どもの養育は保 育園、幼稚園、学校などの教育組織、宗教儀礼は神社、寺院、教会などの宗教組織が担うように なった。それでは現代社会で家族に残された機能は何か。それは性愛に基づく親密圏としての機 能である。このため、家族は親密性によって結びついている。 この性愛に基づく親密圏としての家族の背景には、恋愛を結婚の前提とするロマンティック・ イデオロギーの普及がある。それが端的に現れているのが、恋愛結婚とそれ以外の結婚(その主 なものは見合い結婚)の割合の変化である。かつては恋愛結婚以外の結婚が主流だったが、1960 年代に恋愛結婚の割合がそれ以外の結婚の割合を上回るようになり、現在では恋愛結婚が主流に なっている。

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4 家族構造の変化 近代化が進むにつれて、家族の規模は縮小していった。大家族から、夫婦と未婚の子どもから なる核家族への変化がそれである。税制などのさまざまな制度はこのいわゆる「標準世帯」を前 提として作られてきた。しかし現代では、標準世帯はマイノリティであり、単身世帯や夫婦のみ 世帯がマジョリティになりつつある。親密圏としての家族が崩壊しつつあると考えることもでき るだろう。 5 家族の代替要員としてのペットとその延長線上にあるロボット 単身世帯のように親密圏としての家族を構築できない場合、親密性の対象としてペットを飼う ことがある。自分のペットを「うちの子」と呼ぶ人は多いし、ある調査によれば5 割強の人がペ ットは家族の一員だと答えている。 それならば、ペット型ロボットであるaibo も家族の一員と見なされるのではないか。実際にそ の兆しはある。故障して直らないaibo とそのオーナーをある寺院に集めて行われた葬式はその一 端を示している。 6 ロボットが家族の一員になる条件 国立情報学研究所の佐藤健教授は「ロボットが家族の一員になるためには、人間が家族だと思 えることがポイントである」と示唆する(私信)。ここでは、この示唆をロボットの外見とコミュ ニケーション能力に焦点を当てて検討する。 ロボットの外見については「不気味の谷」(森政弘, 1970)が参考になる。aibo は不気味の谷に 落ちる前の外見をしているため、家族として受け入れられたのだろう。 コミュニケーション能力については、東北大学の乾健太郎教授があるシンポジウムで紹介して いた人間と人工知能との会話の例が示唆に富む。乾教授によると、現在の人工知能には常識知が 欠如しているので、人間の発言に対して時として適切に対応できない。いわば「空気が読めない」 ことがある。この点、aibo は有利である。aibo は言葉を発しないので、空気が読めない発言はし ない。 このように、外見とコミュニケーション能力に関する問題を適切に(あるいは戦略的に)回避 したため、aibo は家族の一員として受け入れられたのだろう。 7 人型ロボットは家族の一員になれるか? 現在の人型ロボットは不気味の谷に落ち込んでいるように思える。しかしさらに人間に近い外 見になり、空気が読める人型ロボットが開発されたら、彼・彼女は人間に家族の一員として受け 入れられるのだろうか。また受け入れられたとしたら、どのような問題が生じるのだろうか。こ こでは、社会的不平等の問題や倫理性の問題について検討する。

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