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て そ れ以 降の諸 経 過は日本国 独資の形 成 過程であ り,
かつ 戦 時 国独 資 体 制の構 築 過 程で も あっ た。 米穀法 か ら食
管法 まで は, こ の よ う な日本 資 本 主 義 体 制の歴史的 画 期 に対 応 し てい る こ と は明 ら か である。 そ して そ の こ と は,
支 配 体 制の側か らの 構 築だ けで は な く,
勤 労 諸 段階の側 か らの働 きか けを一
部 吸 収する とい う,
複雑 な 性 格 をは ら んだ 体 制 構 築とい う基本 性 格を有してい る。 こ の こ と を 明 らか に す る こ と が近年の食 管不 要論へ の 有 効 なア ンチ ラー
ゼに は ならない の で は ない だ ろ う か ? これ らの こ とを 明か にして初め て, 著 者が本 書 で強 調 してい る よ う な, 過去の政 策と切り離し た 食管
論が,食
管 制 度の全 面 的理解を妨げて い る, とい う主 張が十 分に活きて く る よ うに思 わ れ る。
言い 換え る な ら ば, 穀 物の 「 公 的 管理」 の本 質 的 性 格を特 殊歴 史 的 段階の中に位 置づけ た展 開が必 要にな る とい うこ とにな ろ う。 そ れによっ て欧 米 諸国の政 策 との共 通性がさ ら に鮮 明に浮かび上 っ て く る で あ ろ う し, 他 方では異 質 性 も同 時に明 ら か になる か も し れ ない。 すで に紙 数がつ き たの で筆 を止めざる を え ない が, 冒頭で述べ た よ うに,
本 書は食 管論 に お ける 類 書にあ ま りみ ら れ ない 「 制 度 論」 を詳 細に展 開 し た 好著である こと を再 度 強 調した上で,
本 書の 刊 行を機 会に, 食 管 制 度 研 究の 方法論に つ い て の, 意 味のある論争が組 織さ れ る こ と を期 待し た い.
[東 北 大 学 河 相一
成 ] 豊 田 隆 著 『果樹農業
の展望
』 (農林 統 計 協 会 1990年 )1
本 書は, わが国の 二大果実で ある みか んと りん ご を素 材と し た 本
格
的 な 果樹 経 済論であると同 時 に, 果 樹 農 業を素 材とし た体 系 的な 日本 農 業 論の 構 築を指 向して い る とい うのが,一
読し た後 の評者の感 想で あ る。 わ れ わ れの先 達は, かつ て 「 日本 農 業 論」 に類 す る多くの書 物を著してい る。 しか し, 「 地 主制」 や 「生 産 力 構 造 」 を 分 析 すれば, 「日本 農 業 論 」 と銘 打つ こ とがで きた時 代と違い, 現 代の 日本 農 業は資 本主義 的 商 品 経 済の グロー
バ ル な浸透の中 で複 雑さ を増し,
「日本 農 業 論 」 の体 系化 は容易 で は な い。
今日, 時 た ま 刊行さ れ る 「 日本 農 業 論」 が, 専 門 分 野 を異にす る多くの研 究 者による 共 同 著 作と して構 成されてい る所 以である。 こ うし た一
般 的に は困難な課 題に挑 戦し た著 者 の意 気 込み とそ れ を可 能に し た博 識に は, 評者と して 心 底か ら畏敬の念を覚える次第で ある。 「は し が き 」 で著 者が言う よ うに, 「 本 書 は, 現 代 果 樹 農 業に お け る生 産構 造の分 析を基 礎に踏ま え な が ら, 更にマー
ケ ティ ング・市
場 流 通・
消 費 とい っ た流通構造お よ び自由 化のも と で変化の激 しい 貿 易 構 造を トー
タル に分 析し, 併せ て その将 来方向を展望 し よ う と努 力し た もの である」e そ うし た全 面 的でパー
スペ ク ティヴ な課 題に取り組 ん だ動機に つ い て, 著者は 「これ まで の我 が 国の 農 業 経 済研 究は,
主と し て稲 作のそ れ も生 産構造 の研究に 限 定され すぎて きた……。
現 状 分析の課 題に とっ て,
もっ と積 極的に畑作等の商品 生 産農 業を 対象と し た 総 合 的 な 実 証 研究が 不 可 欠で あ り, ま た生産 過程を 基礎に踏ま えつ つ , 流 通過程の分 析にも踏み込み, グロー
バ ル な視 角か ら再 生 産 過 程を トー
タル に解明 す る 研 究が求 め ら れて い るの で はない であ ろ うか」,
と述べ てい る。一
こ う し たこ と を一
貫 して主張してき た評 者として は, 溜飲を 下げる思い がする。
以 上のよ う な トー
タル な視 点と方 法の一
端は, 次の 目次 構 成に も表れて い る。
第1
部 現 代 果 樹 農 業の生産 構 造 第1
章 現 代 果 樹 農 業の生 産 構 造一
近 畿型 みか ん と東北 型 り ん ごの比較分析
一
第2
章 果 樹生 産力 構 造と わい 化り ん ご技術 第3
章 りん ご園の実 態 と流動 化 第4
章 大規 模 経 営と集 団 的土 地管理 第 II部 現 代 果 樹 農 業の流 通 構 造 第5
章 果 樹 市 場とりんご産 地商 人 第6
章 果樹イン テグレー
ショ ン と重層的産 地 形成 第皿部 貿易 自 由 化 と 果樹農業 第7
章 果 樹 貿 易 自 由化の基 礎 構 造 終 章 総 括と展望 全 体 を紹 介 する余 裕が ない の で, こ こで は本 書 N工工一
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書 評 の総 論 的 地 位にある第
1
部 第1
章と, 農 業 市 場 論 としても貴 重 な功 績で ある第II
部およ び第III
部 を中
心 に評 者が関心 を抱いた論 点を二 っ 紹 介し, コ メ ン トして お こう。2
まず第 1 章では, 果樹 農
業
を含め た商品生 産 農業
の分析視角
を,主産地の形
成
,農
民層
の分解
,経 営の専 門 化, の 三点に おい て, 果 樹 農 業 を対 象にそ れ ぞ れの視 角か らの課 題 を提 示 してい る。 な かで も
の視 角は, 本 章の副 題である 「 近 畿型み かん」 と 「東 北型 り ん ご」 の言 葉が 示 すよ うに, 著 者がもっ とも前 面に押し出し て いる視 角 で ある。 「近 畿 型 」 と 「東 北 型」 とい う整理 は, い う ま で も な く 山 田盛太
郎
氏 の も の だ が, これ に そ れ ぞ れ 「み か ん 」 と 「り ん ご」 とい う商品作 物を加 味し, 農 産 物 市 場. 労働 力 市 場 を含めて 「型 」 の拡 張と 深 化をは か っ たと こ ろに著者
の オ リ ジ ナ リ ティが ある。
こ れ は本
書の枢
要 点な の で, こ の点を簡潔
に ま と め た部 分を繁を厭わず 引 用して お こう。 「結
論を先取
り してい えぱ ,一
方
で は現代
の資本
主義
的 蓄 積の基軸地帯に展 開し, 在宅通 勤・
多 就 業の兼 業 深 化のも とで自小 作 形 態の 『高 賃 金・
低 地 代・
農 業 後 退』 を特 質とする近 畿 型 農 業の枠 内 にある みかん生 産は, 愛 媛 を典 型と し て, 果樹 生 産 力の省 力 的 展 開 (単一
品 種 化・
化 学 化・
手 抜き 化・省力
化 )を 基礎
に,農協
共販に よ る 大 型機械
共 選 と即売型 の大量 販売に よっ て市場流通にお け る 量 産 と省 力の メリッ ト を強く指 向して き た。 こ れ と は対 照 的に, 現 代 資 本 蓄 積の外 周 地 帯を な し, 出稼 ぎ, 日雇い 多 就 業の不 安 定兼 業の も とで典型 的に自作 農 型の 『低 賃 金・
高地 代・
農 業 進 展 』 を 特 質とする東 北 型 農 業の枠 内に ある りん ご生 産は, 青 森を典型 として,
果樹 生 産 力の集 約 的展開
(高
級品種
化・
袋か け・
剪 定など労 働 集 約 化 )を 基礎 グレ−
デ イング に,
産 地 商 人に よ る集 約 選果 と貯 蔵型の長 期販売 に よっ て , 市 場 流 通にお け る品 質と集 約の メ リッ トを指向
し て き た。」 (6
〜 7
頁)
。 こ こ に は, 実に豊 富 な論 点が含ま れてい る。 だ が, もっ とも議 論にな る点は ,農業
発 展と市
場 対 応の多 様な 展開
をこう し た 厂型 」 と し て 整 理 し, 両 者の対 抗のなか に 日本 農 業の方 向を展 望し よう63
とする著 者の方 法であ り, 評 者が取 り上 げたい論 点の第一
もこ こ にある。
「 近畿型みか ん」 と 「 東 北型 みか ん」 とい う類型 化は,
地 域 労 働 力 市 場と兼 業の存 在 形 態 (安
定 兼 業か不安 定 兼 業か),地 代の高 低と農 業 生 産
力
発展の形態 (省力
化 か集約
化 か),集出荷組
織の存在形 態 (農
協 共販 か産 地商人依 存か),市 場 対 応の基調 (量 産指 向か品質 指 向か), な ど を 尺度と し て い る。 み ら れ る ように, 類 型 化の尺 度に は, 農 業 生 産 構 造か ら農 産 物 流 通 構 造, 労 働 力 市 場を包 含し た客 観 的 条 件に, さらに主 産 地 形 成と市 場 対 応とい っ た主体 的 条 件が加 味さ れ て い る。 こうし た全 構 造 的な視 角は, ひとり 果樹 農 業 の分
析
に有
効なだけでな く, あ ら ゆ る商業
的農業
の構
造 分析
に有効
で あ る と考え ら れ る。 評者
が, 本書
を 「日 本 農 業 論」 を指 向し た もの と評 価す る 理由も, こ の点にある。 しか し, 著 者の類 型 化が実に見 事である が ゆえ に, 同 時に類型化
とい う方 法につ き ま と う限 界を 認識
し て お か な け ればな ら ない。 「 類型化」 とい う方 法を社 会 科 学の方 法 論と し て積 極 的に組み入 れ たの は, い う まで も な くマ ック ス・
ウエー
バー
の 「 理念型」 (ideal
typus
)で あるが, 彼にあっ て は 「理念型 」 はあ くま で現状 分 析の た め の概 念 装 置であ り,
「 理 念 型」 の構 築 自体が 目的で はな い。
現 状 分析
に おい て, そ の分析
対 象の特徴
を よ り ク リ アに示 す た めに,一
種の抽 象モ デル である 「型 」 をこ し ら え, これ を もっ て複 雑な社 会 現 象 をフ ォー
カ スす る の で ある。 そうし たあ くま で も 分 析 装 置である 「 型」 を, あたか も現 状 分 析その もの である か の ように誤 認し, そ の整理 に明 け暮 れてい る研 究が少な くないが,
実は それ は現 状 分 析 以 前の準 備 作 業な の で あ る。以 上の点は, 本 書の著
者
にとっ ては, 周知の こ とか も し れ ない 。 しか し, 評 者の誤 読か も し れ な い が, 本 書に おける 「 近 畿 型み か ん」 と 「東 北 型 りんご」 とい う 「型」 の提示の中に は, 果 樹 農 業 (さ らに は日本 農 業 )の現 状 把 握に有 効な分 析 装 置と して地 位を通 り越して,
しばしば現 状 分 析の 領 域に踏み込ん でい る 場 面 が み ら れ る よ うで ある。 その点は, 例え ば, 先の引 用に続 けて著 者が次の よ うに述べ る時, 明 瞭になる。 「し た が っ て, 近 畿 型みかん は,
果 実 流 通に お け N工工一
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る 『高 度 成 長 』 型の 『近 代 化・
大型化」 路 線 (一
大型産 地 化と広 域 流 通 偏 重に よる大 消 費 地 大 市 場s と の結 合 )の典型 即 ち
,
資本に よ る 果 樹 農業の包 摂と掌 握の典 型 を示 して い る。
これに対 し,
東北 型 り ん ご は, そのよ う な資 本の 「 市 在 編 制』 に対 する限 界を意 味して お り,
果 実 流 通に おけ る対 応 と対 抗そ して 批判の形 態の典型 を 示 してい る の で あ る」 (7
頁 ) こ こに は, 明ら か に 「 型の対 抗」 とい う視 点が 存 在してい る。 大 雑 把かっ 感 覚 的に言 うな らば,
「 近 畿 型み か ん」 は近 代 化 路 線で資本の包摂 タ イ プであ り,
「東 北 型 りんご 」 はこ れへ の 批 判形態 で あ る, とい う整 理である。 も ちろん, 著 者は前 者は わる く, 後者はよい とい っ た単 純な分け方を 排 除し, 両者の優れた点を取り入 れ た 「重 層 的 産 地 体 制」 の構 築を将来
の果 樹産 地の目標 と す るの だが, 現 状 分析の場 面に お いて, 著 者が 「 型の対 抗」 的 視 点を有し てい ること は明瞭 に看取で き る、だ が
,
現状分析を 子 細 に行 え ば, 「 近 畿 型み か ん」 と し て一
括 さ れ る み か ん農 業の中に も, 地 域 (その典型である愛 媛 県を含め て)によっ て は農 民的な ものが存 在し,
ま た 「 東 北 型 りん ご」 と一
括される りんご生 産の動きの中に, 地 域 (その典 型である青 森 県 を含め て)に よっ ては資 本 包 摂的 な もの が存 在し てい ることが 明 ら かにな る と 思 わ れ る。
そ う し た 支 配 的 傾 向 と は異な る動き を, 「型 」 論 は軽 視す る 恐 れ は ない か。
ま た, 「 型の 対抗」 を強 調す るこ とによっ て, すべ て の産 地の中
に存在す る内部矛盾と対 抗の存 在を,
こ れ ま た 軽 視 する こ と に はな らない か。
著 者の方 法に対す る評者の最 大の懸念 (疑 問で はないD
はこ こ に ある。現に
,
評者が管見 す るかぎりで も, 西 日本の み か ん産 地の中に, 品 質 重 視で集 約的 な 産 地 形成を 目指してい る, い わゆ る 「 東 北型 り ん ご」 的な も のをい くつ も見て き てい る。 オレ ン ジ ・果汁の自 由 化と市 場の成 熟 化の進展の 中で, 製品差 別 化を マー
ケ テ ィ ング戦 略として組み込 んでい る みか ん 産 地 は, む し ろ支 配的で あ る とい っ て よい だ ろ う。 しか し な が ら, こ れ らみ か ん産 地の労 働 力 市 場 条 件は, 明ら か に 「 近畿型」 の そ れ であ り, 販売も 農 協 共 販に よっ てい るものが大 半である。 そうし た品 質 重視, 差 別 化 路 線は, けっ し て支 配 的傾 向 に対 す る異質 な 動 きでな く, 今日の みか ん 危機に 対す る農民的 対 応・
対抗の ひ とつ の動 きである。
量 販売の仕入 れ や卸 売会社の荷 引き戦 略に おい て, 量 産 と ともに品 質 を 重 視 した方 向 が 強 まっ てい る こ とも,
以上の動き に拍 車 をか けて い る。
り ん ご産 地の動 きにつ い て は
多
くを 承知 してい ない が, 本 書で紹 介さ れ てい る事 例の中に は, 明 ら か に流 通 資 本に主 導さ れ た産 地と流 通 再 編の動 き が存在 して い る。
とす る な らば,
「近 畿型 みかん 」 と 「東北 型 り ん ご」 とい う類型化を強 調し す ぎると, 現 実の多 様な 動 き をかえっ てネ グレ ク トするこ と に結果 し か ねない 。 現 状 分 析に お い て もっ とも重 要な視 点 は,
そ れ ぞ れ の分析 対 象の客 観 的 過 程に おい て, 矛 盾・
対 立 が何で あ り, そ れ が どのよ うに顕 現し て き たか を明らか にする ことにある。 同 時に, そ うし た矛 盾・
対立 を国 民や地 域 住民の 立場に立っ て打 開し ようとする主 体 的 条 件と政 策 的 課 題を示 す こ と で ある。 これ が現状 分 析の本 質 的 内 容で あ り,
類 型 化はあ くまで現 状 分 析のため の ひ とつ の (しか し有 効な〉概 念 装 置に過 ぎない。
こう した,
ある意 味で は当た り前のこ と を強 調 す るのは, 「農産 物 市 場 論 」 の名著 とい わ れ る も の の 中に も, 「 類型 化」 自体 を目 的とす る記述 が 少 な く ない からである。 ま た,
近年の,
と くに若 手の研 究に おい て も,
い くつ もの類 型を作り上 げ る こ と を 目 的とした研 究が 目に つ く。
し か し,
「 類 型 化」 は繰 り返 し述べ れ ば,
歴 史の一
時 期に お け る現 象の抽 象 化で あり,
その時 点で は妥 当し て も, 時が た てぼ 「遺物
」 に な り陳
腐 化 す る。 「 類型化」 にあ たっ て は, こ う し た限 界をわ きま え な くては な ら ない 。 書 評の場を借 りて, かねて か らの持 論を展 開す るこ とになっ て し まっ た が, こう し た指 摘が本 書 の コ メ ン ト として妥 当 する か どうか は, 読 者の判 断を待
ち たい。
3
第二 の論 点は, り ん ご産 地に おける産 地商人の 役 割を積 極 的に評 価し, そうし た事 実に立 っ て, 農産物 市場 論に お け るい わ ゆ る 「 手 数料商 人 化」 論を批 判してい る こ と で ある。 著 者に言わ せ る と, 独 占段 階になる と商 業 資 本 N工工一
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