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子どもの追究意欲を高める授業の試み~小5社会科の単元「工業生産をささえる人々」の実践~: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

Title

子どもの追究意欲を高める授業の試み∼小5社会科の単元

「工業生産をささえる人々」の実践∼

Author(s)

嘉納, 英明

Citation

沖縄大学地域研究所所報(21): 99-106

Issue Date

2000-10-06

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/9802

Rights

沖縄大学地域研究所

(2)

子 どもの追究意欲 を高める授業の試み

∼小5社会科の単元 「工業生産をささえる人 々」の実践∼

Ⅰ、は じめに 単元の最初の授業、すなわち、 "導入" と呼ばれる第1時間 目の授業の仕組み具合 によってその後の授業の流れは方向づけ られる。導入は、その単元のオ1)エンテ-ショ ン的な意味合いを含むものであ り、子 どもにこれか ら学ぶ学習内容の面白さを感 じさ せ、学習の兄 とお しをつけさせる意味で大切である。それゆえ、導入では、単元全体 を見 とおす教材の提示 と、それを活か し子 どもの興味 ・関心 を引 き出す教師の発間研 究が不可欠である。ここでい う教材 開発の重要性 については、有田和正 (元愛知教育 大学教授 )が、これまでの教育実践の中で明 らかに して きた。例えば、有田の大名行 列の授業は、図絵1枚 とその資料 を活かす授業者の発間によ り子 どもの興味 ・関心 を 最大限に引 き出す とともに、図絵の読み取 りか ら江戸時代の身分制度の実相 をとらえ させるものである。有田は、子 どもの問題追究の意欲 を引 き出すためには、子 どもの 意表 をつ く、それでいて単元の学習 を見 とおす教材提示の必要性 を説 くだけではな く、 教材 を活かす教師の発間研究の重要性 について も力説 している。優れた教材 を活かす ためには、教師は、教材開発 とセ ッ トとなって発間 も研究 し用意すべ きであるとい う のが、有田の主張である。 以上の有田の主張 を念頭 にお きなが ら、今回、小学校5年生の社会科の単元である 「工業生産 をささえる人々」を、導入時の教材 とそれを活かす発 間 を中心 に授業 を組 み立て実践 した。′ト稿では、導入時の子 どもの工業製品に関わる興味 ・関心が、子 ど もの学習問題 として成立 し、これに対 して子 どもが どの ように問題 を追究 していった のかを中心 に述べ ることにする。 Ⅱ、第 1時の指導案と絵画資料 単元 「工業生産をささえる人々」の学習 目標 は、日本の工業生産の特色や国民生活 との関連 を具体的な事例 をとお して理解することにある。単元の 目標は、①工業 にた ず さわる人々が生産を高める工夫を していることや工業生産の現状 をつかむ とともに、 生活環境や資源の保護の大切 さを理解すること、(参工業生産に関する写真や地図 ・統 計資料 などを収集 し、選択 し、国民生活 を支える工業生産の意味 を多角的、関連的に つかむこと、以上の二点である。 これ ら単元の 目標 を受けて、第 1時のオリエ ンテーシ ョンのね らいを次のように設 定 した。まず、① 身のまわ りにある工業製品が、わた したちの くらしを支えているこ -99 1

(3)

と に気 づ か せ 、特 に生 活 必 需 品 とな っ た 自動 車 に 注 目 させ る こ と、 (参自動 車 工 場 の 「社 長 」 に な っ た と仮 定 し、 「社 長 」 と して 自動 車 を生 産 す る た め に必 要 な 条 件 や 工 夫 を考 え る こ とで あ る O 以 下 、 当 日の 指 導 案 と絵 画 資 料 を掲 載 す るO

社会科学習指導案

平成11年9月8日 (水)5校時 あげな小学校5年1組 男子12名 女子 16名 授業者 嘉納英明 1.単元名 工 業 生 産 を さ さ え る 人 々

(

1

2

時 間 )

2.

本 時 の ね らい ○ 身 の まわ りに あ る工 業 製 品 が 、 わ た した ち の く ら しを支 え て い る こ とに気 づ く。 ○ 自動 車 工 場 の 「社 長 」 と して 、 自動 車 を生 産 す る た め に必 要 な条 件 や工 夫 を考 え 、 自動 車 工 場 を調 べ る視 点 (め あ て ) を もっ こ とが で きる。

3.

本 時 の展 開 子 どもの意識 学 習活動 .学習内容 支援のポ イン ト ○身のまわ りの (》日常生活の中で使っている工業製品につ ○身の まわ りにあ 工業製品にはど いて見つけ出すo る工業製品の多さ のようなものが 生活の中で使われている工業製品には、 ○工業製品 とは、に気づかせたいo あるだろうかo どのようなものがあ りますか○ (見つける) ○工業製品は、 ・時計 .テ レビのアンテナ .自動車 ・机 .炊飯器 .冷蔵庫 自然にあるものに (参工業製品が生活に与えた影響について考 手を加えて、役に わた したちの く えるo 立つ ものであるこ らしめ中で どの 工業製品は、わた したちの生活にどのよ とを押 さえるo ような役割 を果 うに役立 っていますかo ○話 し合い活動を(基碇的.基本的事項) た しているのだ ・仕事が楽になる ろうかo ・便利になる (考える) ・くらしを楽 しくさせる 通 して考えを深め ○「社長」 とし ③工業製品の中で も一番大 きな自動車 を取 ○必要な条件が相させたい○ て考えなければ り上げ、自動車工場 を作るためには、何が ならないことは 必要なのかを考えるo 何だろうかo 自動車工場の 「社長」 として、必要なも 互に関連 している (考える) ○工業製品につ のは、何ですかC, ことにも気づかせ ・お金 .働 く人 .土地や建物 .材料 たいo特にお金の (む実際の自動車工場 を調べ る視点 (めあ 使途について考え いて調べてみた て)を持つo ○工業製品の作 りを深め させたいo いことをみつけ 「社長」 とLて自動車工場 を見学に行き ようo ますが、特に、どのようなことについて 調べるとよいですかo 方や作っている人 ・自動車 を作る部品はどこからきているか 々の願いについて ・自動車の作 り方 調べるめあてが出 ・作った自動車 をどこに運んでいるか てほしいo ・働いている人はどれ くらいいるか ⑤ これからの学習のおおよその兄とお しと -10

(4)

0-・4.絵画資料 (沖縄県小学校社会科教育研究会編 F新版社会科学習 ノー ト 5年 1学 期J沖縄時事出版社

、5

0

頁 より) -..′′ -,, 8 l 一一一一一一 1 ○ ○ 1ロ口○. '団一 一 一 一 一口一一-十_∫ ,.ゝ ○ ○一面 [コ⊂l□ ′戸r /7,-Fr.1. ロ 戯'' 盲./ Ⅲ、授業の実際 上掲の絵画資料は、r社会科学習 ノー ト」か ら拡大 コピーをとり、黒板 に掲示 した ものである。初発間である 「生活の中で使 われている工業製品には、どのようなもの があ りますか?」には、アンテナ、ガラス、ホース、電灯、自動車、電話、靴箱、窓、 テ レビ、冷蔵庫、炊飯器等の子 どもの発言がみ られた。ここでは、工業製 品 を、「自 然にあるものに手 を加 えて、役 に立つ もの」 と定義 していたので、子 どもたちは、身 の回 りにある工業製品をた くさん発見することがで きた。続いて、「工業製 品は、 わ た したちの生活にどの ように役立っていますか

?

」については、子 どもたちは、グルー プでの話 し合いか ら次のような考えを述べた。 ☆ 自動車 ・・・人が移動するときに便利 なものである ☆電話は ・・・遠 くの人 とで も話す ことがで きる ☆テ レビ - ・生活の楽 しみであ り、いろいろな情報が得 られる ☆炊飯器 ・・・早 くご飯が炊 ける し、長持 ちす る。また、タイマーが付いて いて便利である 子 どもたちの発言か ら、工業製品は、生活 を便利 にするものであ り、 くらしを楽 し く豊かにするものである、と考えている。 二つの発間か ら、身のまわ りにある工業製品が、わた したちの くらしを支 えている ことに気づいた子 どもたちに、次の発間を準備 していた。それは、「も しも、み んな が 自動車工場の社長であれば、自動車 を作 るためには何が必要ですか?」 であ る。子 -10

(5)

1-どもたちは、グループでの話 し合い活動 をとお して、次の5点 を考え出 した。 ☆お金 ・・・働 く人の給料 として必要である ☆働 く人 ・・社長一人では何 もで きないか ら ☆土地 ・・・工場 を建てるためには必要である ☆車 を作 る機械 ☆車の部品 (材料 ) お金は、工場 を作 るために最 も必要 なものであ り、働 く人の給料以外にも、土地や 車の部品を買 うために必要であ り、工場で使われる電気料 を支払 うためにも大切だと い う考えが大勢 を占めた。では、実際 に、「自動車工場の社長 と して工場 を見学 に行 くとした ら、 どの ようなことについて調べ るとよいですか?」の発 間 に、子 どもたち は、次の ような調べ る視点 を発表 した。それは、① どの ような機械 を使って自動車が 作 られているのか、(参どの ような自動車が売れるのか、(参生産 した自動車の値段 と工 場の もうけは どうなのか、④ 自動車の部品は どこで買い、集めているのか、以上の

4

点に集約で きた。いずれ も自動車工場 を調べ るための重要 な視点 (めあて)であ り、 次時以降ではこれ らの視点 を教科書や資料集、CD-ROM、FAXを活用 しての調 べ る時間 (学習問題 を追究す る時間)とした。 本時 を振 り返 ってみれば、子 どもが 日常生活でふれることので きる工業製品を切口 に しての導入であったため、活発 な意見が子 どもか ら出た。特 に、自動車工場の社長 に見たてての調べ る視点 (工場見学の視点)づ くりでは、あ らか じめ授業者が予想 し ていた点が全て出て きた。 しか しなが ら、指導案にも記述 したように、工業製品を作っ ている人々の願いや工夫 についての観点が、なかなか子 どもか ら出てこなかったため、 調べてい く中で子 どもたちが獲得 してい くこ とを期待 し、導入 の第 1時ではふれな かった。 絵図資料 を使 っての授業 - 10

(6)

2-Ⅳ、その後の授業 と子 どもの変容 第

2

時以降は、第

1

時で子 どもか ら出された調べ る視点 をもとに して、教科書や資 料集、CD-ROM、電話、FAX等 を活用 しての調べ る時間 となった。特 に、電話 帳をめ くって、市内外の 自動車工場 (整備工場)や 自動車販売店 に電話 インタビュー をした り、質問をFAXで送信 し、返信 をもとに して学習 を進める子 どもたちもいた。 教科書や資料集か らの情報 と違い、現場の働いている人か ら直接 、答 え (情報)が得 られることだけにFAXは活況であった。教師の支援 としては、FAX送信用紙の提 供 と送信方法だけに した。子 どもの質問に、自動車関連工場 (整備工場 )か ら届け ら れた答え (情報)は、次のような丁寧 なものばか りであった。 くFAXの例①)女子児童 3名か ら池田自動車へ ○なぜ、外国では、車の部品の もとになるのがた くさん とれるのに、 日本ではあ ま り 取れないのですか。 ◎外国は、国が広いので、取れる場所がた くさんあるのです。 日本は、国の広 さが外 国に比べてせ まいので、あ まりた くさん取れません。(量 としては少 ないのですが 、 ある程度は取れます) ○エアバ ックは、どこで どの ように して作 っているのですか。 ◎エアバ ックは、メーカーの方 (例 えば、 トヨタ、日産等 )で作 っています。場所 と しては、全国各地に工場があ りますが、有名なのは、名古屋の豊田市です。 ○車を作 るロボッ トは、国内で作 っているんですか ? それ とも、国外で作 っている んですか ? ◎ ロボッ トも国内でほとんど作 っています。 日本の技術 は、世界で も トップクラスな ので、そ ういうロボッ トも日本で作 っています。ただ し、ギアなど小 さい部品に関 し ては、コス トの安い外国 (東南 アジア等)で作 っている場合 もあ ります。 (FAXの例②)男子児童 4名か ら トヨタ ・カローラ店へ ○今、どんな車が売れてい ますか。 ◎最近、よく売れている車 はRV車です。RVとは主にアウ トドア (キャンプ)等 の レジャーに適 した車のことです。一般的には、ワンボ ックス ・ワゴン (8人-10人乗 り)や

4WD

(ジープタイプの

4

輪 くどう車)等です。 〇一 日、約何台、売れ ますか。 ◎難 しい質問なので、取 りあえず沖縄 県の トヨタ車だけで約

1

8

台 くらい と思われ ます。 (FAXの例③)女児 3名から上原 自動車整備センターへ ○なぜ、車のねん どの もけいをつ くるのですか。 ◎ 自動車 を作 るとい うことは、た くさんのお金 とた くさんの人の協力が必要です。ま - 1

(7)

03-ず、どうい う人たちにどんな使い方 を して欲 しいのか、言葉や文字で説明するよ りも、 もっとわか りやす くす るために、実際 に粘土で作 りたい自動車の模型を作 ります。粘 土 は、やわ らか くて形 をととのえやす くて、安全で安 く手 に入るか ら自動車の形 を作 る材料 としては、大変便利です。 ○そのねん どの もけいは、 どうするんですか。 ◎その作 った模型で、クルマの形のデザインや生産性 (クルマを安 くた くさん作 れる か どうか)を自動車会社 の人たちは考えます。大 まかな形が決 まると、実際の 自動車 の素材 (金属や プラスチ ックなど)で試作車 とい う皆 さんが見ているような自動車を 作 って、いろいろなテス トを します。 ○車が完成 した時、なぜ 、こんなにこまか く検査するんですか。 ◎ 自動車 は、た くさんの人の命や財産を乗せて走 ります。実際に道路で安全 に走れる か どうか、厳 しく検査 します。検査 に合格 した 自動車だけが道路 を走れます。 子 どもの調べ (追究 )は

、FAX

や教科書 、資料集だけにとどまらず、パ ソコン室 のコンピュー タもツールのひとつ となった。学校のパ ソコンはメモ リー不足 によ りト ヨタか ら無料提供 されたCD-ROMは、十分 な稼動 を見せては くれなか ったが、そ れで も、ゲーム性 に富んだ内容構成 となっていて、子 どもの興味 ・関心 を引 き出す も の となった。 ☆ 自動車工場か ら送 られてきた

FAX

を ☆CD-ROMを活用 しての調べ学習 読む児童 ☆図書室の資料や教科書 、地図帳、 パ ンフレット等の印刷 メデ ィアを 活用 しての調べ学習 ー10

(8)

4-自動車工場の社長 として問題 を追究 した子 どもたちは、① 自動車の部品が どこで作 られ、どのように して自動車工場 まで運ばれるのか、(参自動車が組み立てられる様子 は、どうなっているのか、③ 自動車工場で働 く人々の工夫や願いは何であるのか、④ 値段が安 くて安全性の高い車 をどのように開発 しているのか、G)未来の自動車はどの ようになっているのか、⑥消費者の願いは何であるのかについて調べていった。 特 に⑥ と関わって、「将来、自動車を買 うとしたら、どのような自動車がいいです か

?

」の発間に、子 どもたちは、1)安全で安い車、2)運転 しやす く乗 り心地のよい車 、 3)荷物がた くさん積める車、4)丈夫な車等が出された。その後、消費者の願いが どこ にあるのかを調べると、子 どもの予想 したことと合致する点が多かった。この単元の 最終では、自動車工場 と関連工場のつなが りを調べ、日本の自動車の輸出と外国での 生産の様子を r社会科学習ノー ト」でまとめた. ※ 自動車工場の学習 と並行 して、図工科の授業 を活用 した合科的指導を試みた。子 ど もに思い思いの 「未来の自動車」 を描かせたのである。子 どもたちは、水中散歩がで きる自動車、空飛ぶ自動車、運転 しなくて も目的地まで行けるオー ト操縦の自動車等 を描 き、創造性豊かな面をみせて くれた。 未来の自動車①-リサイクル幸一 ☆この事は、ゴミを拾ってそのゴミが、ガソリンになる仕組みです。 上のパイプは空気 をきれいにするのです。海のゴミだって吸い取っ て しまう車です。(女児) -10

(9)

5-一、t・:,I./:. 1::'・/:IJ<. ∴ IL:,I∴ 三7/1-∴ =-:.:I,I. 丁、t-/ ,m LISii-I.<丁:い ,-■_∴・.1 \こ:::ン _⊥ -I.i ㌦ ● Jで :▲ 一・、 --Lr'、\:・tT、弧 . :・''、: .∴ ・・こ.∴千 二 工∴ .∴ . イ 曲 - 賂 … ー 未来の自動車②一海を進む未来の幸一 ☆私は、海の中を進む車 を描 きました。 羽は、スクリューの働 きを します。(女児) Ⅴ、おわ りに 社会科の導入の実際を中心に述べ、その後の授業の流れを素描 した。授業後の子 ど もの声 を聞 くと、導入の授業 と機器 を活用 しての問題追究、「未来の 自動車」 の作 品 づ くりが、特 に、印象的であったようだ。子 どもの興味 ・関心を引 き出 し、子 どもの 追究意欲 を継続 させることは容易なことではないが、単元の入 り口で子 どもに興味を もたせ、調べ る方法 (学び方)を学ばせ、調べたことをまとめる力 を育てることは、 大切なことである。今後 とも、子 どもの中に学びの力が育むような授業実践に挑戟 し たい。 -10

参照

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