UDP に対応した冗長トラフィック削減ノードの開発
○成田 耕,太田 佳吾*,一條 健司,成田 明子
弘前大学大学院理工学研究科,*弘前大学理工学部
1. はじめに 近年、通信機器の発達や動画配信サービスの増加 により、1 つのホストから複数のホストへ短時間に 重複するデータを配信する機会が増加している。本 研究室ではこのような冗長トラフィックを削減する TR (Traffic Reduction)ノード[1]を開発してい る。TR ノードは TCP に対応している。本研究の 目的はTR ノードを新たに UDP に対応させ、削減 対象データを増加することによって更なる冗長トラ フィックの削減を行うことである。 2. TR ノードによる冗長トラフィック削減 図1 は TR ノードを用いた最も簡単なネットワー ク構成である。TR ノードにはパケットキャッシュ が設けられている。上流TR ノードは受信したパケ ットのデータ部と一致するデータがキャッシュに記 録されている場合、データ部をキャッシュエントリ 番号、データサイズ、オフセットからなる復元情報 で置き換え、復元を指示する値をパケットに格納す る。下流TR ノードは受信したパケットの動作指示 を確認し、復元情報を用いてもとのデータ部を復元 する。復元情報は数十バイト程度しかないため、図 1 の削減区間において冗長なトラフィックを削減す ることができる。 図1:ネットワークの一例 3. キャッシュ内データの不一致による問題点 パケットがTR ノード間でロストした場合、上流 と下流の通信キャッシュの同期が取れなくなり、送 信したデータが受信ホストへ届かなくなる。 TCP 通信では送信したデータに対する確認応答 が一定時間内に来なければ再送する仕組みになって おり、再送を検知することでこの問題を回避してい た。上流TR ノードには受信した TCP パケットの TCP ヘッダ内のシーケンス番号を記録している領 域があり、TCP パケットを受信したらその領域内 から一致するシーケンス番号を探索する。再送パケ ットは同じシーケンス番号を使用するため、もし再 送パケットを受信した場合はシーケンス番号が一致 することになる。その場合、上流TR ノードは圧縮 せずにフォワードするので、キャッシュの同期が取 れていなくても正しいデータが受信ホストに届く。 UDP では再送制御がないためこの手法は使えな い。そのため、本研究では別の手法をとっている。 まず、上流TR ノードは圧縮時に UDP チェックサ ムを復元情報の末尾に付加して送信する。下流TR ノードは受信した復元情報に付加されたUDP チェ ックサムと復元後のデータのUDP チェックサムを 比較する。一致したら同期がとれていると判断し、 不一致ならば同期がとれていないと判断してそのエ ントリを無効化する。上流TR ノードも同様に無効 化する必要があるため、通知用パケットを上流TR ノードへ送信する。上流TR ノードが受信した通知 用パケットを元に該当エントリを無効化することに よってキャッシュの同期を取ることができる。この 手法によって、1 度目のデータは破棄されるがそれ 以降のデータは相手に届けることができる。 4. 測定・評価 図1 のネットワークで UDP パケットを 300 秒間 送信した際の上流TR ノードにおける UDP パケッ トの受信量と送信量を測定し、UDP パケットの削 減率を評価する。ここで、削減率は (1-送信量÷ 受信量)×100 とする。TCP と違い UDP はコネク ションを確立しないため、1 プロセス宛に同じパケ ットを5 回送信することで 5 つの受信ホストに送 信するものとする。 結果として平均削減率は76.7%となった。サーバ 1 プロセスとクライアント 5 プロセスでの通信にお いて、サーバが送るパケットサイズが常に最大転送 サイズでパケットのヘッダサイズが最小である場合 に得られる削減率の最大値は76.7%である。理想値 と同様の値が得られたと言えるため、想定した動作 をしていると言える。 5. まとめ UDP に対応した TR ノードを開発したことによ って従来のTCP パケット削減機能に加えて UDP パケットの削減も可能となった。削減対象データを 増加することができたため、更なる冗長なトラフィ ックの削減が可能となった。これにより通信帯域の 有効活用が期待できる。 参考文献[1]Yuki Otaka and Akiko Narita,“Efficient Packet Cache Utilization Of A Network Node For Traffic Reduction”,Proceedings of the 2013 International Conference on Internet Computing and Big Data (ICOMP’13),pp.106-112,2013.
平成30 年度電気関係学会東北支部連合大会