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沖縄県の慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫・喘息)死亡 : 標準化死亡比による全国との比較: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

沖縄県の慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫・喘息

)死亡 : 標準化死亡比による全国との比較

Author(s)

新城, 正紀; 田中, 英夫; 喜屋武, 幸男; 赤嶺, 伊都子; 新垣,

満広

Citation

厚生の指標 = Journal of health and welfare statistics, 49(5):

21-26

Issue Date

2002-05-15

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10046

(2)

第49巻第5号 「厚fi:の指標」2002年5月 83 投稿

沖縄県の慢性閉塞性肺疾患

(

慢性気管支炎・

肺気腫・

哨息)死

-

標準化死亡比による全国との比較-シ

y

'

ウマ

サキ

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アオ

キヤン ユ

キオ

ネ イツコ

キ ミ

新城 正妃*

J

田中 英夫*

3

書屋武 幸男*

4

赤嶺 伊都子*

2

新垣 満広*

5 目的 1998年に著者 らは沖縄娯 (沖縄) と大阪府 (大阪) とで,死 亡の季節変動 について,年齢調 整 を行った死亡率 による比較検討 を行い,沖縄が全病死,虚血性心疾患,脳血管疾患 は低 く, 慢性閉塞性肺疾患は高いことを明 らかに した。本研究では,沖縄 における慢性気管支炎(I CD-9:490-491,ICD-10:J41-J42),肺 気 佳 (ICD-9:492,ICD-10:J43),嘱 息 (ICD-9: 493,ICD-10:

J

45-

J

46)による死亡が全国 と比べ て高いのか否か を明 らかにす るために,標準 化死亡比 (SMR)による検討 を行 った。 対象 と方法 全【要と沖縄の慢性気管支 炎,肺気腫,喋息に関す る7年間 (1992-1998年)の人 口動 態死亡情報 お よび1995年の国勢調査人 口を用いて沖縄全体,市部 と郡部,本島 と離島に開 し, 性別 に全国を標準 (100とす る) としたSMRを算出 したO 結果 年齢階級別 にみ ると沖縄の慢性気管支炎 と肺気腫の死亡数は,40歳以降の中高年 に多 く,棉 息は 0歳以降かち発生があった。いずれの疾患による死亡数 も年齢が高 くなるに従 って多 くな る傾向が あった。性 別 にみ ると慢性気管支 炎 と喋 息 は女 に多 く (163人対234人,252人対337 人),肺気腫 は男 に多かった (273人対106人)0 沖縄の慢性気管支 炎お よび喋息による死亡 リスクは男女 とも全国に比べ有意 に高かった (罪 120,女197お よび男129,女185)。肺気腫の死亡 リスクは女で有意 に高 く,男では全国 とほぼ同 レベルであった(男101,女166)。総数でみ ると慢性気管支炎 と喋息の死亡 リスクはいずれ も市 部,郡部,本島で有意 に高か った。肺気腫 は市部 と本 島において死 亡 リスクが有意に高 くなっ た。 3疾患 とも女の死亡 リスクが特 に高 くなる傾向がみ られた。 結論 沖縄では慢性気管支炎お よび嘱息による死亡者数は男 より女の方が多い という特異なパ タ ー ンを示 した。沖縄の女の これ ら3疾患 による死亡 リスクは全国の1.7-2.0倍 に上 ってお り, その原因究明のため喫煙状況な どの生活習慣 とともに大気汚染や農作業等 による環境 因子 につ いて も今後調査 してい く必要がある。 キーワー ド 慢性気管支炎,肺気腫,幡息,SMR, リスク要因,沖縄

風土,伝統的な食生活,健康的なライフスタイ ル ・健康行動な どが考 え られている。 その長寿 沖縄は1995年 に 「世界長寿地域宣言」1)を宣言 の要因に関す る科学的根拠 を追及す ることによ し,世界的 に最 も長寿地域 としてWHOに も認 l),寿命の延伸 と健康生活の進展 を図 ることが められている。その要因 として恵 まれた気候 ・ で きる。1998年 に著者 らは沖縄の温暖 な気候 と I1沖縄県立看護人学講師

*

2同助手

*

3大阪府立成人病セ ンター調査部調査課課長補佐 辛4沖縄県立南部病院呼吸器科部長

*

5沖縄県福祉 保健部健康増進課健康対策係係長

(3)

第49巷 第5号 「厚生の指標」2002年5月

健康 との関連 をみ るために,年間の気温差の大 きい本土 (大阪) と小 さい沖縄の死亡率 を比較 し,全痛死,虚血性心疾患,脳血管疾患の年齢 調整死亡率 は年間 を通 して沖縄が低 く2),慢性 閉塞性肺疾患 (Chronicobstructivepulmonary disease:COPD)死亡率は沖縄が高 く,特 に春 季 に高 くなる傾向を示 した3)4)。わが国において も高齢化社会の進展や禁煙活動普及の立 ち遅れ によって今後 ます ますCOPD患者の増加が予想 され る5)。 慢性閉塞性肺疾患 とは,慢性気管支 炎 と肺気 任 を併せ た病名で,慢性の咳 ・疾 ・呼吸困難 を 主訴 とし, 中高年以降 に発症す ることの多い, 経過の長い予後不良の疾患であ り,慢性喫煙刺 激が最大の病 因であ ると考 え られてい る6)。閉 塞性肺疾患には,い くつかの疾患が含 まれ るが, わが国でみ られ る患者の大部分 は,嘱息,慢性 閉塞性肺疾患,び まん性 汎細気管支炎の3疾患 のいずれかに鑑別 ・診断 され る7)。沖縄の肺がん 死 亡率が全国 に比べ て高 い とい う報 告 はあ る8) が,COPDについては記述疫学的な特徴が明 ら かではない。 本研究では,沖縄 における呼吸疾患 (慢性気 管支炎 ・肺気腫 ・喋息) による死亡が全国的に 高いか否かを明 らかにす るために県全体,市部 と那 部,本 島 と離 島 に分 け,全 国値 との 比 (SMR)による比較 ・検討 を行 うとともに, これ ら

3

疾患の地理的分布の特徴 お よび環境要因に ついて考察 した。

Ⅰ 対象および方法

慢性気管支炎,肺気腫,幡息の全死亡に占め る割合 はがん,心疾患,脳血管疾患な どに比べ 低 く,沖縄の人 口は全国のわずか

1%

を占め る こ とか ら,年間の死亡数が少な く

1

年のデータ で全国 と比較 す ると偶然変動 による誤差が大 き くなる可能性があることか ら, 7年間 (199 2-1998年)の死亡情報 を合算 して解析 を行 った。

1995年 に死 因統計 の分類 としてICDIO「WHO

の第10回修正国際疾病,傷害お よび死 因統計分

類 (Internationa一StatisticalClassificationof

Diseases and Related Health Problems,

TenthRevision:ICDIO)」が適用 され死亡診断 書の改訂がなされ,慢性閉塞性肺疾患の分類 も 変更があったことか ら,本研究の対象について 1992-1994年はICD-9を用 い,1995-1998年は ICD-10を用いた。 慢性気管支 炎,肺気腫,喋息に関 してICD-9お よびICD-10での分類番号 をみ る と,ICD-9で は,慢性気管支炎が490-491,肺気腫が492,喋 息が493に分類 され ICD-10では,慢性気管支炎 および肺気腫が慢性閉塞性肺疾患 として死因基 本 分 類 コー ド

J

4

1-J

4

4

に分 類 され,鴨 息 が

J

4

5-J

4

6

に分類 された。 また,厚生省の人 口動 態統計の参考表各種分類表 「表3死因年次推移 分類 と死 因簡単分類及び死因基本分類」では, 慢性気管支炎及び肺気腫 は

J

4

1

-J

4

3

に分類 され 「死亡数,性 ・年齢 (5歳階級)・死因 (三桁基 本分類)別」では肺気腫が

J

4

3

に分類 されてい る。従 って,本研究では1995年以降については, 慢性気管支炎をJ41-J42,肺気腫 をJ43,瑞息を

J

4

5-J

4

6

としたQ 慢性閉塞性肺疾患の定義に関 しては.1999年 円本呼吸器学会 より,「COPD(慢性閉塞性肺疾 忠)の診断 と治療のためのガイ ドライン」9)が公 表 され,「COPDとは,慢性気管支炎,肺気腫 ま たは両者の併発 より惹起 され る閉塞性換気障害 を特徴 とす る疾患である」 と定義 され気管支噛 息はCOPDに含めないこととなった。わが国で はCOPDは 「気道の慢性的に持続す る閉塞性障 害 を主徴 とす る症候群 に名づ けられた症候群的 な診断名」 として,慢性気管支 炎,噛息,肺気 腫の3疾患 を含めた意味で用い られ ることが多 か った6)。著 者 らが調 査 の対 象 と した199 2-1998年 は 日本呼吸器学会ガイ ドラインが公表 さ れ る以前であることか ら幡息を含めた3疾患に ついて解析 した。死亡情報 は,「衛生統計年報」 (沖縄県)10ト16)お よび「人 口動態統計」(厚生省大 臣官房統計情報部)17)23)を用いた。 沖縄全体,市部 と郡部,本島 と離島に関 し性 別 に集計 し全国を標準(100とす る)としたSMR を算出 して比較検討 を行 ったC 沖縄 は53市町村 (10市,16町,27村)からな

(4)

第49巷 第5号 「厚生の指標」2002年5月 り,市部以外 を郡部 と し,役所 (または役場) が沖縄 島 に所在 す る市町村 を本 島 と し, それ以 外 を離島 と した。本 島は

8

,

11町

,1

4

村 で, 離島は2市, 5町,13村 で構成 されてい る。沖 縄の

1

9

9

5

年の国勢調査 人 口は

1,

2

7

3,

4

4

0

人 (男 :

6

2

4,

7

3

7

人,衣 :

6

4

8,

7

0

3

人) で あ り, 人 口性 比 表l 慢性気管支炎′肺気腫′鳴息の年齢階級別死亡数 (沖縄県′1992

-

1

9

9

8

年) 慢性気管支炎l) 肺気施21 噂 息37 総 数 TJ 女 総 数 男 女 総 数 男 女 総11

0

5-10-15- 9

-

449数歳 3972 1631 2341 379 2731 106 589 252 3373611332 220-25-249 30-34 35-39 40-44 45-49 111 11 1038545472 243345341 50-54 4 3 1 10 2 8 55-59 60-64 27 4 23 147 l6l 13 3167 296 l7l 65-69 16 12 4 23 21 2 38 19 19 70-74 20 10 10 49 37 12 48 23 25 75-79 51 26 25 84 64 20 61 27 34 80-84 75 38 37 88 67 21 94 44 50 注 1) ICD-9:490-491,ICD-ユ0:J41-J42 2) ICD-9:492,lCD-10:J43 3) ICD-9:493.ICDllO:J45-J46 4) 1992-1994年はICD9,1995-1998年 はICDIOが適 用 され た。 (女

1

0

0

対男

9

6.

3

)

で女 が多か った。市部 の人 口 は

8

5

7,

3

9

0

人 (県計 の

6

7.

3

%)

で,郡部

4

1

6,

0

5

0

(

3

2.

7

%)

,本 島

1,

1

4

6,

9

6

5

(

9

0.

1

%)

,離 島

1

2

6,

4

7

5

(

9.

9

%)

で あ った。

SMR

の算 出方法 は,まず,全国の

1

9

9

2-1

9

9

8

年 の各3疾 患 に よる年齢 階級別 の死 亡数 を合算 し,年齢 階級別死 亡数 (A)と した。 この値 を全 国の

1

9

9

5

年 の年齢 階級 別Bl勢調査 人 口を

7

倍 し た値 で険 し,年齢 階級別死 因別死 亡率 (B)を求 め た。次 に,沖縄 の

1

9

9

5

年 の年齢 階級別 国勢調 査 人 口を7倍 し(C),これ にBを掛 けた値(B

x

C)

を沖縄 の

1

9

9

2-1

9

9

8

年 の年齢 階級別期待死 亡数 と した。沖縄 の

1

9

9

2-1

9

9

8

年 の累積 死 亡数 を累積 期 待数 で除 して

SMR

を得 た。

S

MR

の有意性 の検 定 は

,S

MR

の標 準 誤差 の

9

5

%

信頼 区間 を求 め

,

9

5

%

信頼 区間 内 に

1

0

0

を含 まなければ

5%

の危 険率で有意 で あ ると判 定 し た。 ⅠⅠ

Ⅰ結

表 lに慢性 気管支 炎,肺気腫,噛 息の年齢 階 級別死 亡数 を示 した。年齢 階級 別 にみ る と沖縄 の慢性気管支 炎 と肺 気腫 の死 亡数 は

,4

0

歳 以 降 の 中高年 に多 く,瑞 息 は

0-4

歳 か ら発生 が あ 表

2

全国を標準とした慢性気管支炎,肺気腫,嘱息の標準化死

亡比

(沖縄県

,J

9

9

2

-

I

9

9

8

年) 総 数 早 女 SMR (95%信頼区間) SMR (95%信頼区間) SMR (95%信輔区) 慢性気管支炎県 全 体 150 (135.6-165.2) 120 (101.6-138.4) 197 (171.7-222.1) 市 部 148 (129.1-167.5) 118 (94.5-142.1) 195 (161.7-227.4) 郡 部 153 (130.1-176.6) 122 (93.4-151.6) 200 (160.8-239.6) 本 島 157 (140.4-173,0) 124 (103.3-144.2) 208 (179.8-235.5) 錐 島 肺県 全 体気 腫 11012 (77 (96.8.35-1-l418.6.21) 1) 101 (501 (88.9.55-1-1413.2.56) 1) 1266 (7 (71.134.2-17-182.98.30)) 市 部 121 (106.ト135.7) 110 (93.8-126.1) 206 (160.0-251.3) 郡 部 87 (71.6-102,4) 8g (70.9-106.6) 109 (68.3-148.7) 本 島 116 (103.7-128,0) 111 (97.0-124.5) 182 (146.0-217.2) 離 島 噂児 全 体息 1557 (33 (140.6.81-1-767.5.46) 1) 529 (3 (31.112.84-7-144.4.9) 66) 189 (5 (1615.3.8-14-2204.5.50)) 市 部 141 (125.4-155.7) 110 (91.3-128.7) 179 (154.3-204.2) 郡 部 173 (152.0-194.3) 159 (130.4-187.5) 194 (162.1-226.8) 本 島 158 (144.6-171,6) 127 (109.6-143.7) 198 (176.3-220.1) 注 SMR標準化死亡比 (全国 を100とす る) り

4

5

歳以 降か ら増加がみ られた。 3疾 患 とも年齢 が高 くな るに従 っ て死 亡数が 多 くな る傾 向が あ り, 特 に慢性 気管支 炎 と胤 息は

8

5

歳以 上 の女 に多 く,女 の死 亡数 は男 の

2-3

倍 で あ った。性別 にみ る と 慢 性 気 管 支 炎 と喋 息 は女 に多 く

(

1

6

3

人対

2

3

4

,2

5

2

人対

3

3

7

人), 肺 気 腫 は男 に多 か っ た

(

2

7

3

人対

1

0

6

人)。 表 Zに慢性気管支 炎,肺気隆, 幡 息の死 亡 につ いて,沖縄全体, 市部 と郡部,本 島 と離 島の それ ぞ れ の

S

MR

お よび

9

5

%

信 頼 区 間 を 示 した。沖縄 の慢性気管 支 炎お よ び曝 息 に よる死 亡 リス クは男女 と も全国 に比べ有意 に高 か った (罪

(5)

第49巻第5号 「厚生の指標」2002年5月 120,女197お よび男129,女185)。肺気腫の死亡 リスクは沖縄の女が全国に比べ有意 に高 く,男 は全 国 とほぼ 同 レベ ル で あ った (男101,女 166)O総数でみ ると慢性気管支炎 と嘱息の死亡 リスクはいずれ も市部,郡部お よび本島におい て全国に比べ有意に高かった。肺気腫 は市部 と 本島において死亡 リスクは全国に比べ有意に高 かった。 3疾患 とも女の死亡 リスクは全国に比 べ高い傾向がみ られた。 3疾患の特徴 につ いて以下 に示す。 (l) 悼性気管支炎 総数では,県全体,市部お よび郡部,本島が 全国に比べ有意 に高 く,離島は全国 レベルであ った。男では,県全体,本島が全国に比べ有意 に高 く,市部,郡部お よび離島は全国 レベルで あった。女 では,児全体,市部お よび郡部,本 島が全国に比べ有意 に高 く全国の約 2倍 であ り, 離島は全国 レベルであった。 (2) 肺気腫 総数では,市部 と本島が全国に比べ有意 に高 く,離島が有意 に低 く,県全体 と郡部は全国 レ ベルであった。男では,県全体,市部 および郡 部,本島は統計的な有意性が認め られなかった が,離島が全国に比べ有意 に低 かった。女では, 県全体,市部,本島が全国に比べ有意 に高 く, 郡部 は全国 レベルで,離島は統計的な有意性 は なかったが全国 よ り低 かった。市部の女 は全国 の

2

倍高かった。 (3) 嘱息 総数では,損全体,市部お よび郡部,本島が 全国に比べ有意 に高 く,離島は全国 レベルであ った。男では,児全体,郡部,本島が全国に比 べ有意 に高 く,市部 は全国 レベルで,離島は統 計的な有意性 はなかったが全国 より高か った。 女 では,県全体,市部お よび郡部,本島が全国 に比べ有意 に高 く,離島は全国 レベルであった。

沖縄 は肺がんによる死亡率が高いこと8)は報 告 されていたが,COPDについての記述疫学的 な特徴 はよ くわかっていなかった. そこで,悼 性気管支炎,肺気腫,喋息の死亡に焦点 をあて て沖縄 と全国 との比較 を行 った。 1995年のわが国の慢性気管支炎による死亡は 男2,618人で,女1,898人であ り,肺気腫 による 死亡は男5,400人,女1,061人であ り,嘱息によ る死亡は男4,052人,女3,201人で 3疾患 とも男 が多かった20)。しか し,表 lで示 した ように沖縄 の慢性気管支 炎の死亡は女が

1.

4

倍 多 く,幡息に よる死亡は女が1.3倍 多 く,沖縄の人 口性比 を考 慮 にいれて も慢性気管支 炎 と胤 郎 ま女 に多 く, 肺気腫 は男 に多いことが特徴的であった。SMR でみ ると3疾患 とも女が高い という傾向がみ ら れたが, その要因について分析す る必要がある。 3疾患のSMRを県全体,市部 と郡部,本島 と 離島,性別 にみたが,県全体でみ ると男女 とも 慢性気管支 炎 と喋息の死亡 リスクが全国に比べ 有意に高 く,肺気腫 は男が全国並であるのに対 し女 は全国に比べ有意 に高い結果であった。 ま た,1995年の全国の肺気腫の死亡数は男が女 に 比べ5.1倍 多い20)の に対 して,沖縄の男のSMR は全国並である一方,女のSMRは有意 に高かっ た。 このことは,肺気腫の主な リスク要因が喫 煙であるとす ると,沖縄の高年齢層の女 は全国 に比 し喫煙率が高かった可能性があると推察 さ れ るO 女 は男 に比べ てCOPDにな りやすい24)要因に ついて,Yue25)らはカナ ダ人を対象 とした調査 でCOPDの リスク要因には性差があ り,男に比 べ女がCOPDにかか りやすい要田は喫煙開始年 齢が早 いこととタバ コの吸いす ぎであ り,逆 に 男が女 に比べCOPDにかか りやすい要因は,収 入が低 いことを挙 げているO また,最 も簡単で 明白なCOPD予防は, タバ コを吸わないことで ある7)C 沖 縄 は第 二 次世 界大 戦 終 了か ら本土 復 帰 (1972年)まで米国の統治下にあ り,米軍基地か

(6)

第49巻 第5号 「厚作の指標」2OO2年5月 ら米国製の タバ コが民間へ流 出 し,県民 はこれ らのタバ コを安 く (やみ取引な ど) あるいは贈 与で手に入れ ることがで きた。 また,琉球煙草 株式会社(1951年設立,本土復帰後現JTに吸収 された)で もタバ コを製造 ・販売 していたが, これ らのタバ コはタール分の割合が高かったQ ち な み に,現 在 も 市 販 さ れ て い る 銘 柄 (URUMA,Violet,HトTONE)の タール含量 は 17mgで,ニ コチ ン含量は1.2mgである。米国統 治が始 まってタバ コが民間に流出す るようにな った と推察で きる1950-1960年代 に喫煙可能年 齢に達 していた沖縄の女の喫煙行動に関す る環 境が全凶 と異なっていた可能性があ り,他僻県 の女 よりも喫煙開始年齢が早 く,長期の喫煙習 慣がCOPDの リスクになっている可能性 も考 え られる。 また,Wakai等26)は 「沖縄7ラ ン ド (銘柄) のたばこは他の7う ン ドに比べて肺がんの高い リスク要因 となってお り, この ことは沖縄の男 においてタバ コをよく吸 う者が吸わない者 より 肺がんになっている数が多いことを説明で きる か も知れない」 と述べている。 この報告 には女 についての検討はなかったが,女 も男 と同様の 傾向であると推察で きる。 喫煙 と大気汚汝は ともにCOPDと喋息の環境 因子 といわれ るが,その作 用機 序 は明確 で な い27)。そこで,沖縄の中高年の女の詳 しい喫煙習 慣 を全国 と比較検討 してお くことは, 3疾患の 女の死亡率が全国に比べて有意に高い原因を探 るために必要で, これ ら3疾患の主要 な リスク 要因を明 らかにす る手がか りになると考 える。 男で も同様 に,若 い時期 に喫煙行動 を開始 し, 長期 に喫煙 した者が他府県に比べて多かった と も考 えられるが,慢性気管支炎 と噛息が全国 よ り有意に高 く,肺気腫が全国 レベル とい う今回 の結果 は説明がつかず, タバ コ以外の要因が沖 縄の高い慢性呼吸器疾患死亡率 に関係 している 可能性が残 る。 バルセ ロナの

3

5

歳以上の住民 を対象 とした調 査により,都市における粒子状物質がCOPDの リスクとして増加 しているとい う報告がある28)0 日本で も大気汚染物質の一つである浮遊粒子状 物質(SPM)が問題 となってお り,そのSPMに 含 まれ るデ ィーゼル排気粒子 (DEP)は気管支 瑞息などの健康被害 を もた らす とい う国内外か ら報告がある29卜 31)。胤 息に関 しては市部 より郡 部が高 く,離島 より本島が高かったことか ら, 喫煙歴 とあわせ てDEP曝露 の影響 も検 討す る 必要があると思われ るO平成11年版環境 白書 (辛 成10年度年次報告 沖縄県)32)では,浮遊粒子状 物質の測定局である浦添局,与那城局,石川 局, 中城局,金武局,糸満局,貝志川局,知花局, 与儀局で環境基準 を超 えた 日が2日あ り, 4月 18日∼21日にかけては全測定局で通常の値 より 高 く,黄砂が原因だ と思われ るとの報告がある。 海洋性気候の沖縄の大気 は,常にク リー ンでは ない可能性があ り, これ らの環境汚染物質の健 康への影響 についての検討が必要である。 さら に, 3疾患の地理的分布の差異が,疾患その も のによるものなのか,医療 における診断基準お よび技術 によるものなのかの検討 も必要 になる と考 えられ る。 DEPや黄砂 な どの大気 汚染物 質 の曝 露 を受 けた量 に男女差があるのかについて も検討す る 必要がある。 もし,曝露量 に男女差がない とす ると, 3疾患 について女の死亡が全国に比べて 特 に高いことが説明で きない。 しか しなが ら, 診断基準や診断制度,死 亡診断書の死 因の記載 方法等の違 いによる影響 も否定で きないため, 多面的な検討 も必要 になる。 高齢者のCOPDでは加齢 とともに重症化 し, その結果,患者のADL,QOLは著 しく障害 され る33)。慢性の曝露によって引 き起 こされ る慢性 気管支炎,肺気腫,曙息が,喫煙行動 な どの個 人の習慣 によるものか,DEPな どの大気汚染 に よるものなのか, どちらが主な要因なのかにつ いて明 らかにす ることは,老年人 口の増加に伴 ってCOPDによる死亡数が激増す るこ とが予想 され る7)ことへの対策 に とって も重要 であ り, 高齢者のADL,QOLの向上 に も寄与す る可能性 が示唆 され る。 本研究の一部 は,公益信託宇流麻学術研究助 成基金お よび 日本学術振興会平成

1

3

年度科学研

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第49巷第5号 「厚生の指標」2002年5月 究費補助金基盤研究(B)に よ り実施 された もの である。 文 献 1)太平津城争 ・沖縄戦終結50周年記念事業 「記念誌」 検 討委見合編 集委員全 編 .長寿 の あ しあ と 沖 縄 県 長 寿 の 検 証 記 録 .沖 縄 県 環 境 保 健 部 予 防 課 , 1995.

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25)YueChen,KristaBriethaupt,Nazeem Muhajar -i11e.Occurrenceofchronic obstructivepulmo・ narydiseaseamongCanadiansandsexl.elated risk factors.JournalofCJinicalEpidemiology 2000;53:755-61.

26)KenjiWakai,YoshiyukiOhno,KeiichiroGellka,

etaLSmokinghabits,localbrandcigarettesand lungcancerriskjnOkinawa,Japan.Journalof Epidemiology1997;7(2):99-111、

27)佐 々木英 忠 .慢性 閉塞性 肺疾 患 と気管支ぜ ん息に 関す る環境 因子 呼吸 1997;16(10):1389-99. 28)JordiSunyer,JoelSchwartz,AurelioTobias,et

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