フリーメッシュ法による3次元問題への適用について
今里 淳 (横浜国大院), 酒井 譲 (横浜国大)
E-mail:[email protected]
近年、物理現象の数値解析技術は目覚ましい発展をしている。特に計算機の性能向上による解析規模の 大型化、複雑な現象の数値解析シミュレーションが行われている。現在では3次元の複雑な物体の非線形 解析が頻繁に行われている。このような解析システムのツールとして有限要素法は、任意形状に対して容 易に適用することが出来、十分な解が得られることから広く利用されている [1]。 メッシュ分割型の解析手法である有限要素法によって解析を実施する場合、節点データの他に解析モデ ルのデータとして要素データの作成が必要になる。上述したように解析対象の大型化、複雑化に伴って有 限要素データの作成は膨大な仕事量となってきており、この問題に対処するために自動要素分割システム の開発が勢力的に行われいる。しかしながら3次元複雑形状の要素生成において4面体要素では実用的な システムが提案されているが 、立方体要素による分割は未だ多くの制約がある [2]。 一方、入力データの問題に対してメッシュレス法と呼ばれる、新しい計算手法のアプローチが盛んに行 なわれている。この手法では、問題領域の要素分割あるいは差分格子を必要とせず、入力情報として節点 情報のみを与え、解析は節点ベースで行われる。解析者は解析領域に適当な節点分布を与えれば 、従来必 要とされた節点ー要素コネクティビティ情報などの作成を必要とせずに解析が行うことが出来る手法であ る。メッシュレス法によれば解析を実施する上で節点データしか必要としないので、CAD データの利用が 容易になる。また、要素分割のプロセスが不要となるのでアダプティブ法との良好な整合性が期待できる。 このようなメッシュレス手法が確立すれば 、設計現場においてはモデルの作成からシミュレーションまで をシームレス (継ぎ目なし) に行えるようなシステムの核となるような技術として用いることが出来る。 現在提案されている主な手法はつぎのようである。 • 粒子法 [3],[4] • 最小自乗近似法 [5],[6] • その他の方法 [7]˜ [8] この中で、矢川らは従来の有限要素法の長所をなるべく減殺せずに要素支配の解法から節点支配の解法 へ転換する操作を自動的に行うフリーメッシュ法を提案している [7]。 ところで、有限要素法ではメッシュデータによって解析モデルを定義定義する。一方メッシュレス法は 基本的に節点間の結合情報を持たない手法であり、有限要素法とは異なった解析モデルが必要になる。特 に解析領域の境界は、線あるいは面による明確な設定が無いため、その定義およびその位置にある節点の 取扱いには注意が必要となる。FMM については、この問題点に関して、いくつかの報告がある。たとえ ば解析領域の定義のため、便宜的に解析モデルの表面に節点結合情報を入力情報として加えて解析を実施 した例 [9] などがある。しかし 、この場合き裂進展問題などの移動境界問題に対しては、き裂進展ステップ ごとに境界上での節点間の結合情報を更新しなおさなくてはならない。 本研究は、FMM を3次元構造解析に適用する上で問題となる、境界データの処理法について提案をおこ なった。すなわち節点ベースによる解析モデルの形状定義を設計モデルから得られるソリッド モデルの情 報を積極的に活用して行い、さらに境界付近における局所要素生成に現れる問題(内外判定)を解析形状を正しく反映させ処理する手法を提案している。また、FMM では「局所要素の一意性」が要求されるが、 今までのところ厳密な検討がなされていず、本研究では一意性の成立についても述べている。また、本手 法を CAD などのモデラーで作成した3次元形状構造物の応力解析に適用し 、その有効性を検討した [10]。
1
フリーメッシュ法
FMM では、剛性マトリックス作成に有限要素法の形状関数を用い、解析プロセスの中で自動的に局所 要素を生成するため節点情報ベースで解析がおこなえる。 r r (a) (b) (c)図 1: Free Mesh Method
図 1 に示すように各節点ごと (同図 (a)) に、その付近の他の節点 (候補節点) を用いて (同図 (b)) 評価節 点 (中心節点) の廻りに一時的に三角形要素を生成 (同図 (c)) し 、要素剛性マトリックスを計算する。得ら れた要素剛性マトリックスのなかで中心節点に寄与する成分を全体剛性マトリックスの対応する行に足し 込んでいき、最終的に得られた全体剛性マトリックスを従来のソルバーで解く。FMM において局所的に 生成される要素のデータは各評価節点ごとに「中心節点」と「衛星節点」の結合情報というデータ構造で 表現される。図.2 に FEM と FMM の解析プロセスの比較を示す。
2
FMM
における解析モデル
FMMに使用する解析モデルは 、明確な境界を持たないという点で従来の FEM 解析モデルと異なる。 本章では FMM 解析に適したモデルの提案をおこなう。2.1
計算機内における形状表現
立体形状をコンピュータ内で表現する手法には種々あるが、ソリッドモデル [11] がよく用いられる。ソリッ ド モデルには基本的な形状の組み合わせで目的のモデルを作成する CSG(Constructive Solid Geomety)、Obtain whole stiffness matrix Generate local
temporary element
Obtain local stiffness matrix
add to whole stiffness matrix For each node start Distribute Node Generation global mesh Obtaion whole stiffness matrix Solve system of equation End start Distribute Node
Solve system of equation
End
a) Usual FEM b) FMM
図 2: Free Mesh Method
境界表現法では、目的のモデルは、立体を境界面で表現する要素 (位相要素) と、ソリッド 形状を表す幾 何要素によって表される。位相要素 (topology) は、図.3 に示すように立体を境界面で表現する6つの要素、 (立体 (solid)、殻 (shell)、面 (face)、ループ (loop)、稜線 (edge)、頂点 (vertex)) を用い、そのつながり具 合 (位相) を表すデータ構造である。位相要素は立体への様々な操作に対して不変な要素である。一方、位 相要素に対して幾何要素 (geometry) は、実際の形状を定義する要素であり、surface、curve、point によっ て実際の形状が表される。位相要素と幾何要素との間には図.4 のような関係がある。
2.2
フリーメッシュ法における解析モデル [12]
第 1 章で述べたように FMM では 、解析は節点データのみで行う。FMM を実際の複雑形状物体に適用 する場合においても CAD を用い、与えた形状データに節点を分布させて解析を実施することになるが 、 この時節点情報のみを用いた適当な解析モデルが必要になる。矢川、細川らはFMMにおいても解析形状 を明らかにするために便宜上境界上の節点を繋合わせた手法によって解析モデルの形状を定めて行ってい る [9]。しかし 、この手法では移動境界問題への適用時に新たに解析領域の境界のデータ作成が必要とし 、 また境界上で節点間結合情報を用いて解析領域を表した時、局所要素の結合情報との間に不整合が起きる などの難点がある。 そこで境界表現法の形状記述法の導入し 、この情報を境界上に配置された節点から参照できるように節 点情報として合わせ持たせ、形状モデルの情報を参照しながら局所要素を生成できるようにしたデータ構 造を提案する( 図.5 参照)。vertex face loop edge shell Object 図 3: Topology of B-rep 例えば図 5(c) では、節点2、3はそれぞれ稜線”e1”上の節点、節点1、節点4はそれぞれ頂点”v1”、頂 点”v2”に対応する節点であるという情報を節点データに付加する。すなわち以下の2点によって FMM の 解析モデルの定義をおこなう。 1. 境界表現法の位相要素を保持した節点データ。 2. 境界表現法の位相要素の相互関係。 このようにすることで解析を実施する前に節点間結合情報を作成することなく FMM の解析を実施するこ とが出来る。3次元問題に対しても本手法を適用することが可能であることは明らかである。 これまで述べた解析モデルの定義に基づく節点情報を.1 に示す。ここで、”ShapeVector”は次節で述べ る、形状に対して表裏を表すベクトルである。 表 1: Node Structure Node x, y, z coordinates of node BoundNode property of topology(face,edge,Vertex)
PointLocate Location Number of
toporogy(Number) ShapeVecto
r
normal unit vector to the interior direction for shape(x,y,z)
3
FMM
における局所要素の生成と内外判定
3.1
Delaunay
分割による一意な局所要素の生成に関する考察
フリーメッシュ法では、中心節点の周りに一時的に局所要素を発生させるが、中心節点が他の節点に移 動したときにも局所要素の同一性を保持する必要がある。従って局所要素の生成はこの制約を満足する手
Geometry Topology Object shell face loop edge vertex surface curve point
図 4: Relation between Topology and Geometry
法を導入する必要がある。計算幾何学によると ”与えられた節点より生成される三角形の外接円内に他の 節点を含まない ”の性質を有する三角形分割法として Delaunany 三角形分割がある。Delaunany 三角形分 割によれば図 6 に示すように隣り合った節点間で同一の結合関係が得られる。 なお、Delaunay 分割によって節点間の結合関係が一意になるには中心節点の廻りに充分な数の候補節点 による分割が必要である。図.7 に示すように候補節点を集める範囲 R は、中心節点 l からその最も近傍に ある節点 (m,n,o,p,q,r) までの距離の平均値の3倍程度とするのがよい。
3.2
FMM
における Delaunay 分割の問題点
Delaunay 分割によって3角形や4面体の分割を行う時、いくつかの問題が生じる。例えば 、図.8 に示す ような4つの節点が同一の外接円上に存在するような節点分布において図.8a) では中心節点が l の時に l-n が選択されているが同図 b) のように m-o を選択しても両者ともに Delaunay 分割の性質を満たしている。 このような例外的状態は退化 (degeneracy) と呼ばれる [14] が 、この問題に対処しなければ本研究で望ん でいる一意性が期待できない。この問題は Delaunay 分割が数値的な誤差には弱い手法ことに起因してい る。これを回避するには4節点の内どれか一つの座標を少し動かして4節点が同一外接円上に無いように する手法で対処すればよい。また、図.9 に示す例のように、二つの境界が接近しているような部分におい て、l を中心節点とした時に本来は同図 a) のように三角形 (l-n-m) を作成したいが 、この三角形の外接円 に他の境界上の節点”o”が含まれてしまうため Delaunay 分割では同図 b) に示すように境界を交差する三 角形が生成されてしまう。この問題の回避策としても節点 n を境界から適当な距離に移動させることで正 しい三角形の節点間結合関係を構成できる。すなわち、図.10 に示すように l と同一の境界上にある節点 m までの距離 l1を計り線分 l-m の 1/2 の長さより線分 l-m から n までの距離 l2が大きくなるような位置に 節点 n をずらすことで回避することが出来る。 上述した2つの問題に対する回避法は、両者とも節点の位置を調整することで行われる。ゆえに Delaunay 分割を局所要素の生成法に採用した場合の FMM で解析を実施するためには前処理として節点の位置を適 当な手法で移動させることが必要となるであろう。そこで、次節で述べる手法によって節点間の距離を最 適化するような節点分布の調整手法を検討する。:nodes on vertex :nodes on Edge :nodes in interior :Boundary for Analysis Model (c) Boundary for FMM A B C D E F G H v1 v2 e1 e2 1 2 3 4 5 6
(a) Analysis Model
(b) Node Disribution A B C D E F G H (c) Boundary for FMM A B C D E F G H v1 v2 e1 e2
図 5: Definition of Analysis Model for FMM
3.3
FMM
における節点配置
Delaunay 分割は基本的に与えられた節点群を繋合わせて三角形や4面体分割を行う手法である。節点の 配置によっては Delaunay 分割で正三角形や正4面体に近いひずみの少ないの要素が得られる。言い替え れば 、各節点でのその近傍にある節点までの距離がほぼ等しい距離にある節点分布では Delaunay 分割は 正三角形や正4面体に近い要素の生成が期待される。そのような節点配置を得るために、嶋田は物理モデ ルと動力学シミュレーションを用いて節点位置の最適化を行う手法を提案している [15], [16]。 この手法では分布した節点に図.11 に示すようなバブルという半径と質量を持った物理モデルを導入す る。次に節点間の力の場として式 (1) で与えられるファン・デル・ワールス力のモデルを定義する。 fij = Gmimj r r0 6 − 2.0 r r0 3 1 r (1) r0 = d1(x, y, z) 2 + d2(x, y, z) 2 (2)o
p
q
l
m
n
r
s
t
u
Circumcircle for l-r-m
Circumcircle for l-m-n
Triangles for center
node=l
Triangles for center
node=m
Triangles for center
node=l
図 6: Delaunay triangluration for node l and m
ここで G は万有引力定数、mi、mjはそれぞれバブル1、バブル2の質量、r はバブルの中心間の距離、 fijはバブル間に働く力である。このように定義した節点間力を用いて支配方程式 mi d2r ij dt2 + c drij dt = fij (3) を解いてシミュレーションする。ここで c は粘性抵抗、t は時間である。通常このような問題を数値的に解 く場合、バブル間の力が非線形であるため直接に解を得ることは出来ない。しかし 、本研究での目的は節 点間の距離の最適化であるので完全に収束させる必要はない。節点位置の最適化を行うにあたって初期節 点の位置の分布が、上述したシミュレーションの計算時間に影響を及ぼす。本研究では、初期節点の配置 は文献 [15] によった。適用例を図.12 に示す。本手法の導入によって Delaunay 分割の適用に際して良好な 節点配置を得ることが出来る。これにより FMM における解析において前節で述べた問題点も回避出来、 Delaunay 分割による節点間結合の一意性が確保される。 l m n o p q r b) l m n o p q r R a)
l m n o p q r s t u m n o p q r l s t u
a) Local Mesh for center node=l
b) Local Mesh for center node=m
図 8: Vioaltion of triangluration
boundary line other boundary line
l m n o Circumcircle for l-m-o boundary line other boundary line
l m n o Circumcircle for l-n-m a) b)
図 9: Triangluration between the boundary
3.4
局所的な内外判定の基準と解析モデルの内向き方向
凹形状を含む形状に対して Delaunay 分割を適用すると解析領域の外側に要素を生成してしまうことが 知られている。従来、領域の外側に作成された不要な要素の削除は、内外判定と呼ばれる境界上の節点間 結合情報を用いた方法によって行われている。FMM に Delaunay 分割を導入した場合も、図.13a) に示す ように中心節点が境界上の節点の時に不要な要素が表れる。そこで生成された局所要素から不要な要素を 削除する必要がある。 ところで、FMM では節点間の結合情報は入力しないため、節点間の結合関係を伴った明示的な解析モ デルの境界が定められていない。よって従来の内外判定の手法をそのまま適用することは出来ない。また FMM では節点間結合情報は各節点ごとに格納される。よって不要な要素の削除は局所的に行わなければ ならない。そこで、著者らは FMM のための局所的に生成された要素群から不要な要素を局所的に判定し 、 中心節点への寄与成分の削除する手法を開発した。 基本的な考え方として不要な要素の内外判定は、局所的に生成された各要素ごとに行う。そしてその要 素が解析領域のど ちら側にあるかを明らかにすることで、内外判定を行う。一方、対象の要素が境界のど ちら側にあるのかを判断する基準が必要になる。この基準は各要素の節点間結合関係の情報を利用する。 FMM では、局所的に要素を生成した後に境界上での節点間の結合情報が表れる。この結合情報を 2.2 節 で定義した解析モデルの情報と併用して用いて局所的に不要な要素の判定を行えるようにする。 具体的には三角形要素であればその要素の各辺、4面体要素であれば各面において解析モデルの境界と 一致する辺や面が含まれる要素を 2.2 節で与えた節点情報および形状境界の位相情報を元に探索し 、境界 と一致する要素の辺あるいは面をその要素の判定基準とする。そして、次節で述べる局所的な内外判定をl m n l1 l2 l m n l1 l2 l1 /2>l2 l1/2 <l2 a) b) boundary line other boundary line
l m n o Circumcircle for l-n-m c)
図 10: Triangluration new the boundaries
d2(x,y,z) d1(x,y,z) r0 bubble2 bubble1 図 11: Buble system 行う。以下、各要素における判定用の基準を三角形要素では判定辺、4面体要素では判定面と呼ぶことに する。図.14 を例として具体的なプロセスを示す。 中心節点は節点 L であり境界上の頂点”v7”である。この時に生成された局所要素の結合関係を表.2 に 、 各要素の構成節点の位相に関する情報を表.3 に示す。また、関連する境界表現法による位相データを表.4 に示す。 中心節点と関連する境界位相にある節点は”e5”、”e6”と関連する位相関係より P、M、S、R である。よっ て境界に沿うと判定される辺を有する要素は1、3、4、5、7となりそれぞれの要素で境界に沿う辺は 要素1は (L-P)、要素3は (L-M)、要素4は (L-M) と (L-S)、要素5は (L-S) と (L-R)、要素7は (L-P) と なる。よって内外判定を行う要素は要素1、要素3、要素4、要素5、要素7となり、判定辺はそれぞれ (L-P)、(L-M)、(L-M)、(L-S)、(L-S) と (L-R)、(L-P) となる。
a) Initial node distribution b) bubble of Initial node distribution c) Optimized node
distribution d) Bubble of Optimizednode distribution
図 12: sample of optimization of node position
表 3: Nodes infomation for 図.14
node Num. prop. of topology location
L vertex v7 M edge e6 N interoir O interoir P vertex v6 Q vertex v9 R vertex v8 S edge e6 さらに判定する要素および判定辺が明らかになったが 、これらの判定辺において解析領域がど ちら側が 内側かを明らかにしておく必要がある。2.1 節で触れたように形状の表現に幾何要素があるが 、これらは 式 (4) のように表現される。式 (4) は4頂点を持つ平面においてそのうちの3頂点を用いて P0(x0, y0, z0)、 P1(x1, y1, z1)、P2(x2, y2, z2) を頂点に持つ平面の方程式で陰関数表現によって表せる。 F (x, y, z) = Ax + By + Cz + D = 0 (4) ここで A、B、C、D は、3頂点の座標値から決定される係数である。
boundary line l m n o a) unnesssay element p q boundary line l m n o p q
current center node
removed element
b) sufficient element
図 13: Generation of unnessary element
Current Center Node L M N O P Q R S v6 e4 e5 v7 e6 v8 v9 e7
Satelite Node on Related toporogy Local Mesh segment Edge among to Shape
図 14: Example of local mesh
法線ベクトル n は n = ∂F ∂x ∂F ∂y ∂F ∂z (5) で与えられる。このようにある面上にある節点座標からその座標における法線ベクトルを得ることが出 来る [17]。そこで境界上に配置された各節点にここで得られた面に対する法線ベクトルの x,y,z 成分を 2.2 の”shapeVector”として合わせ持たせ、局所要素における判定辺や判定面が定まった時にその構成節点から 局所的に表裏関係を判定辺や判定面に与えることが出来る。本研究では形状の内向き方向への法線ベクト ルを採用した。 以上、説明を簡単にするため2次元での扱いを述べたが 、3次元での場合は判定用の基準は辺を面に置
表 2: Local element data for 図.14
element No. consist of node
1 L,O, P 2 L,N,O 3 L,M,N 4 L,S,M 5 L,R,S 6 L,Q,R 7 L,P,Q 表 4: Topology of boundary edges vertecies
edge Num. vertex vertex. Node edges
e4 P v6 P e4, e5 e5 P,L v7 L e4, e5 e6 L,R v8 R e5,e6 e7 R,Q v8 R e6,e7 v9 Q e7 き換えることで同様の取扱いが出来る。
3.5
FMM
における内外判定法
前節において局所的に生成された各要素から内外判定を行う要素の抽出、判定辺や判定面の決定法を述 べた。本節では具体的な内外判定法と、さらに領域の内側にあると判断された要素から境界に接していな い要素の採用方法を説明する。内外判定は、判定する要素において判定辺や判定面での境界の内向き方向 とその要素の位置関係との比較によって行う。実際に判定を行うには対象の要素が境界のど ちら側にある のかを明らかにする必要がある。これには2通りの方法がある。 • 要素の重心点を用いて表す方法。 • 要素の構成節点中、対象境界上にない節点を用いて表す方法。 両者とも判定辺や判定面に対する要素の位置を表す。本研究では後者を用いる。まずはじめに、前節で 述べた判定辺もしくは判定面が明らかになっている要素に対して、各要素の内外判定を具体的に次のよう にする (図.15 参照)。 (1) 判定辺もしくは判定面において、その構成節点に付加された法線ベクトル式 (5) を用いて判定辺や判 定面の表裏関係を定める ((図.15(b))。(2) 対象の要素において判定辺もしくは判定面からその構成節点でない節点方向へのベクトルを計算して 境界に対する位置関係を定める ((図 15(c),(d))。 (3) (1) で定めたベクトルと (2) で定めたベクトルの内積を求め、その結果の正負によって形状境界の内外 を判定する ((図 15(c),(d))。 (4) 採用された要素の判定辺もしくは判定面の構成節点でない節点を節点群としてスタックしておく。 L M N O P Q
a :Normal Vector for edge from shape normal vector
normal shape vector at node toptology
edge B
(b) calculate shape norm vector (a)
(c) location test for L-O-P
( ) a b a b s o c θ = ⋅ | || | Normal Vector for edge
b :Normal Vector for edge from element L
O
P
topology edge A
edge L-O of L-O-P toptology vertex L L O L M O
(d) location test for L-M-O
θ2
θ1 ( ) s o c θ1 >0 ( ) s o c θ2 <0edge L-O of L-M-O
図 15: Location test of element at local mesh
要素が複数の判定辺や判定面を有する場合は、それぞれに対して上述のプロセスを適用してすべての内外 判定で境界の内側と判定された要素を採用する。局所的に生成された要素の内外判定を実施した後、採用 された要素をもとに残りの要素について形状の内側にある要素を次のように調べる (図.16 参照)。 (a) 採用された要素からスタックしておいた節点群から一つずつ取り出して次ぎのような幾何要素を探索、 抽出する。 2次元: 内外判定で採用された要素においてスタックしておいた判定辺の構成節点でない節点と中心 節点にて構成される要素の幾何要素 (図.16(a) の辺 L-N)。 3次元 要素の構成面のうち判定面でない面で中心節点を構成節点に有する要素の幾何要素 (面)。 (b) 抽出した要素の幾何要素を共有する要素を局所要素群から探索し 、存在すればその要素を採用し 、共 有している幾何要素の構成節点でない節点を節点群にスタックする (図.16(b))。 (c) すべての局所要素を調べ、(b) の条件の満たす要素を探索する。
(d) スタックした節点群に新しい節点を加えた時、すでにその節点の情報が存在した時に局所要素の探索 を終了する (図.16(c))。 L M N O P Q shared edge of L-N-M (b) Estimate L-P-Q (a) Estimate L-Q-N
(c) End of estimate of local mesh L M N O P Q shared edge of L-Q-N L M N O P Q exist node in stacked nodes
stacked Nodes={N,P} stacked Nodes={N,P,Q}
stacked Nodes={N,P,Q}
図 16: Location test of element at local mesh
以上のプロセスによって FMM における局所的な要素の内外判定を行うことが出来る。
4
適用例
これまで述べた手法に基づいて3次元問題へのシステムを開発、実装し以下に述べる3次元問題に適用 して有効性を検証する。システムの実装については 2.2 節に述べたデータ構造を用いて C++によって行っ た [18]。本報告では次ぎの2種類の問題に適用した。 1) 凹形状を有した簡単な3次元形状のモデル (Model1)。 2) CAD モデラーで作成された機械部品 (Model2)。 1) の問題のモデルを図.17 に、2) の問題のモデルを図.18 に示す。 与えた節点分布を Model(1) について は図.19 に Model(2) については図.20 に示す。節点位置の最適化はこの分布に対して行った。なお、3.3 節 で示したバブルは一様の大きさを与えた。 Model(1)、Model(2) での生成された要素が妥当であるかを検証する。3次元問題において FMM によっ て生成された局所要素の体積の総和を4で割った値は解析対象の物体の体積となるはずである。そこで 生成された要素による体積の総和の結果を表.5 に示す。Model(1) の正解の値は、算術計算による体積値、 Model(2) の正解の値は、形状が複雑であるため汎用自動要素生成システム kswad によって要素分割され た4面体要素の体積の総和をもって解析モデルの体積値とした。Model(1) における本手法での値が正解よR25 130 50 31 25 16 33 14 1.5 105 A A’ unit:mm Y X Z 図 17: Model 1 A A’ X Y Z 1N 26mm 154mm 13.5mm 13.5mm 120.5mm 図 18: Model 2 り若干大きくなっているが、この部分に与えた節点分布が形状に対して少なく、生成された要素が荒いた め、曲面部分での体積が形状に完全に沿った面となっていないからである。一方、Model(2) の値の結果と 一致した結果となっている。
表 5: Compare sumation of Volume
This Method(mm3) exact Value(mm3)
Model(1) 176480 176460
Model(2) 14695 14695
4.1
解析例
Model(1) および Model(2) を本研究による手法で解析し 、図.17 および図.18 に示した A-A’ での x 方 向の変位を FEM の解析結果と比較した。用いた材料定数を表.6 に示す。
Number of Nodes: 115
図 19: Node distribution for Model 1
Number of Nodes: 588
図 20: Node distribution for Model 2
表 6: Material Value
Young’s modulus(MPa) Poison ratio
21000 0.3
Model(1) の結果を表 7 に Model(2) の結果を表 8 にそれぞれ示す。
表 7: Analysis result of Model(1)
Sampling Position z FMM FEM
5.899 -3.93509e-01 -3.93582e-01
7.165 -5.4300e-01 -5.46399e-01
10.431 -9.92958-e01 -9.94045e-01
表 8: Analysis result of Model(2)
Sampling Position z FMM FEM
26.000 -4.33549e-01 -4.33549e-01 37.812 -9.85520e-01 -9.85520e-01 49.625 -1.72224e+00 -1.72224e+00 61.438 -2.85776e+00 -2.85776e+00 73.250 -4.39842e+00 -4.39842e+00 85.062 -6.28958e+00 -6.28958e+00 96.875 -8.50249e+00 -8.50249e+00 108.688 -1.09561e+01 -1.09561e+01 120.500 -1.35614e+01 -1.35614e+01
5
結言
本研究では、入力情報として節点データのみによって解析を行うフリーメッシュ法において節点情報の データ構造と CAD 形状データの境界表現法を用いて解析対象のモデリングを行い、3次元複雑物体形状 の解析を実施できるアルゴ リズムおよびシステムの開発を行なった。 1. 節点情報のデータ構造と CAD 形状データの境界表現法を用いて解析対象のモデリングした。 2. 本研究では、FMM における全体剛性マトリックスの一意性を保証するために局所的に Delaunay 分割 のアルゴ リズムを採用した。 3. 局所的に Delaunay 分割によって生成されてしまう解析領域外の要素を削除するために居所的な内外 判定法を新たに考案した。 4. FMM において必要と考えられる節点分布の検討を行った。 本手法では要素の生成は局所的に行われ 、かつ生成された要素の内外判定は局所的に行なわれるため、 本手法によれば特に自由局面を有した複雑形状に対しても一貫したアルゴ リズムで適切な要素生成ができ るものと考えられる。参考文献
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