開催日:2021 年 1 月 22 日(金)15:00~16:00 形 式:オンライン開催 講 師: 佐藤 翔 氏(同志社大学 免許資格課程センター 准教授) 申込者:49 名(講演後の表彰式含む)
1.はじめに
本誌において,「オープンサイエンスのいま」という特 集が組まれ,2018 年 4 月~2020 年 3 月の計 24 回に渡り, 様々な角度からオープンサイエンスの現状や課題が報告さ れた。執筆は佐藤翔氏,林豊氏,池内有為氏,尾城孝一氏 (登場順)が担当されているが,各回とも非常に貴重な情 報がちりばめられており,大変勉強になる内容である。こ の特集は第45 回情報科学技術協会賞の研究発表賞を受賞 し,それを記念して執筆者のお一人である佐藤氏の講演に より,今回のセミナーが開催された。2.セミナー概要
特集では,全体的な動向からオープンアクセス(以下, OA)雑誌やリポジトリ,プレプリント等に関する様々な 状況,研究データのライセンスやデータマネージメントの 詳細等について幅広く取り上げられたが,本セミナーで は,主にOA に関する執筆の多かった佐藤氏による講演で あることもあり,OA を取り巻く話題を中心に紹介があっ た。 まず,前提として,オープンサイエンスについて,コン センサスを得た統一的な定義は存在しないと紹介された。 短期的には,研究成果(論文)と研究データのオープン化 を指すと捉えて差し支えないが,長期的には,研究に関わ るあらゆる事象のオープン化を指すという見解が示され た。 2.1 OA 雑誌 ・OA メガジャーナルの停滞 2018 年頃より論文数の伸びが鈍化しているという状況 をPlos One,Scientific Reports を例に挙げて紹介。 ・Gates Open Research, F1000 Research先に公開してから追って査読をするというモデルとし て,Gates Open Research,F1000 Research を紹介,解説。 Gates Open Research に収録されている論文は,ゲイツ 財団助成論文の2%程度に留まるが,他の OA プラット フォームで公開されている論文も多く,ゲイツ財団助成論 文のオープン化自体はかなり進んでいる。 ・ハゲタカジャーナルの跋扈 ハゲタカジャーナルの特徴は示せるものの,査読の実態 を外部から確認することは困難で,判断は非常に難しい。 ・APC の高騰
これまでAPC(Article Processing Charge)を採用し ていなかったトップジャーナル等でも取り入れ始めてい る。非常に高額なケースもあるが,作成コストを考えれば 妥当な額であるというのも事実。 ・Plan S 当初の強い制約(ハイブリッド誌による公開禁止,APC の上限額設定等)は大幅に修正されたが,OA を強力に進 めていくという姿勢は変わらない。 ・プレプリント 遅れていた医学系でも,ここ数年だいぶ進んできている。 COVID-19 関連論文においても,速報性を高めるため積 極的に活用されており,更に拍車がかかっている。また, eLife は公開されたプレプリントのみを査読対象とするこ とを発表しており,今後も拡大の流れは続くであろう。 2.2 研究データ 「研究データの公開・利用条件指定ガイドライン」が研 究データ利活用協議会により公開されている。 2.3 オープンサイエンスのこれから 論文・研究データや抄録等の公開はどんどん拡がってき ており,オープンサイエンスが今後益々進んでいくことは 間違いないが,誰かの思い通りに進むとは限らないと言う。 例えば,APC の高騰のようにビジネス化が進んでいく可 能性もあり,常に動向を注視していくことが必要であると 結論付けている。